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不動産売却の方法ガイド|不動産を売るなら読むべき鉄則!成功した人の共通点

【更新日】2023-12-06
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不動産売却

不動産を売却する理由は人それぞれですが、実家の相続や住み替えがきっかけで、急に売却することになるケースも少なくありません。

不動産業界最大の団体である全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)の市場動向調査によれば、年間合計100件~150万件前後の中古マンション・戸建ての取引及び、土地の所有権移転がおこなわれています。

よく「不動産は一生の買い物」と表現されますが、上記のデータによれば、2021年の首都圏の中古戸建取引件数は計39,812件もあります。

つまり、憧れのマイホームを購入したからといって今後手放さないという保証はありません。

不動産売却は生涯でめったに経験するものではなく、そのやり方や必要な準備・かかる費用や税金について一般的に良く知られている訳ではありません。

また、中古の不動産には定価がないため、価格を評価して、営業活動をおこなう不動産会社の選定が重要となります。

今回は、不動産売却を成功させたい方に向けて、流れや費用・不動産会社選びなど、「これだけ知っていれば大丈夫」というポイントを詳しく解説していきます。

不動産を高く売る方法とは?高額売却のために必ずやっておきたいポイントと注意点

この記事の監修

宅地建物取引士/弁護士 松浦絢子

松浦綜合法律事務所代表。

京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。

宅地建物取引士。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。

不動産売却をする主な理由

不動産売却をする主な理由

不動産を売却する理由は人によって様々です。約半数は更に良い住まいへの住み替えや、相続した物件の処分を理由としていますが、それ以外にも返済が困難なローンの処理や離婚などを理由に売る方もいます。

実際にどのような理由で不動産を売却するケースが多いのでしょうか。ここからは、主な理由を紹介していきます。

不動産売却の理由とは?理由ごとに売却を成功させるコツを紹介

住み替え

今の住まいの売却代金を元手に、より良い住まいや広い住まいを購入するケースが、一般的に最も多いです。

勤務先から転勤を命じられてやむなく住み替えをするケースもあれば、家族構成の変化や築年数の経過、加齢により不便さが増したことをきっかけに、より生活に適した住まいへ住み替えるパターンもあります。

住み替え目的の売却では、およそ7割以上の売り物件がローン完済前と言われており、売却代金を使うなどして残債を処理してから、買主へ引き渡す必要があります。

また、持ち家から持ち家への住み替えは、売却と新居購入の手続きを同時並行で進める必要があります。

この時、それぞれの契約のタイミングがずれると、新居引っ越し前に仮住まいが必要な期間が生まれてコストもかさんでしまうため、注意が必要です。

住み替えの理由ランキングと理由別のおすすめ住み替え方法を解説

相続物件の処分

実家を相続しても、遠方に住んでいたり、築古で状態が良くなかったりする場合は、固定資産税や維持費の支払いを回避するために早期の売却をおすすめします。

この場合、まずは相続登記をおこなって所有権を相続人の名義に変更し、その上で正規の手続きで不動産を売却します。

相続人全員が物件そのものに価値を感じていない場合は、売却をして現金化することで、分割しやすくなり相続争いの回避に繋がります。

相続した不動産を売るには?売却の流れや相続税・売却時にかかる税金の注意点

資産の整理・現金化

不動産を賃貸経営していて運用状況が悪化した場合などに、不動産売却で現金化すべきケースがあります。

賃貸経営による収益は、賃料収入などのインカムゲインと、物件の売却益などのキャピタルゲインの大きく2通りがあります。

賃貸経営している物件からの利益を最大化するためにはインカムゲインとキャピタルゲインの総和が最大化するタイミングで、売却をする必要があります。

基本的には、築年数の経過などにより空室率が増えて、維持費・管理費などのコストとの収支悪化や、キャピタルゲインの見込み低下が見られるタイミングでの売却が多いです。

転勤・転職

勤務先から異動を言い渡されて、慌てて住み替え先を探すケースもあります。

売却期限が限られた中での住み替えになるので、スケジュール管理をしっかりとおこないながら進めていきましょう。

転勤が理由の住み替えは住まいがまだ劣化していないことも多いので、売却してしまうか、賃貸に出すかの選択も必要になってきます。

今後のライフプランなど様々なことを考えた上で、最適な選択をしていきましょう。

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離婚

夫婦で購入した住まいを、離婚を機に不動産売却を検討するケースもあります。

一緒に住んでいた家は離婚時に売却して分割するか、どちらか一方が住み続けるかの2択となります。

片方が住み続けるケースも多いですが、この場合は家を出ていくほうにも住宅ローンの支払い義務が発生したりと、様々な面倒が生まれてしまいます。

なにより、離婚前の家に住み続けるのは、感情的にも気持ち良いものではありません。

離婚を機に不動産を売却して、新生活をスムーズに始めるのがおすすめです。

離婚時に住宅ローン残債がある家を売却する方法!ローン中の物件売却の流れとトラブルを回避するコツ

借金などの金銭的理由

借金に追われている、住宅ローンの支払いが滞っているなど金銭的に苦しい場合、不動産売却を検討するケースがあります。

特に、住宅ローンの返済が不能な状態の時は任意売却をおこない、完済できなかった残債は債権回収業者(サービサー)に少しずつ返済することができます。

任意売却を使わずに返済滞納を放置していた場合、裁判所から差し押さえられて競売にかけられるリスクもあるので注意が必要です。

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不動産売却の方法

不動産売却方法は、大きく分けて6つあります。

不動産売却の方法

  • 仲介売買:仲介業者と契約して、販売を依頼する
  • 買取:物件を募集している業者に売却する
  • 個人売買:専門業者を挟まず、個人間で売買をする
  • 買取保証付き仲介:一定期間だけ仲介売却で売却活動を実施し、期限以降は買取で不動産を売却する
  • 任意売却: 住宅ローンを組んでいる金融機関から承諾を得てから売却する
  • リースバック:不動産会社に物件を買い取ってもらった家を賃貸にして住み続ける

それぞれの特徴を比較すると、以下の通りになります。

項目 仲介売却 業者買取 個人間売買 買取保証付き仲介 任意売却 リースバック
売却相場 相場価格で売れる 相場価格より安い 取り決めた金額 期限付きで相場価格で売れる 相場価格で売れる 相場価格より安い
かかる期間 平均3~6カ月 希望時期(最短2週間ほど) 希望時期 3ヶ月
期日以降は買取
買主・金融機関と協議の上で決定できる 希望時期(最短2週間ほど)
契約不適合責任 あり なし あり あり なし なし
必要な準備 書類準備・内覧準備など なし 場合による 書類準備・内覧準備など 書類準備・内覧準備など なし

それぞれの方法を事前に把握しておき、適切なやり方を選択していきましょう。

【図解付】不動産売却の流れ全9ステップを手順に沿って解説!全体図から必要事項まで完全網羅

仲介売却

仲介買取

物件の売却を専門業者に仲介してもらい、第三者へ売却をする仲介売却が、最もメジャーな売り方です。

"不動産売却=仲介売却"とイメージしている人も多いです。

希望の金額で売り出すことができ、上手く買い手が見つかれば高い金額で売れます。

一方で仲介売却は、物件が売れるまで時間がかかりやすいのが注意点です。

仲介業者は契約後に広告掲載などをおこない、購入希望者が現れるのを待たなければいけません。

広告から申し込む人の数は人気の物件でも1日に数名で、そこから内覧で好印象を持って契約までいく人はかなり絞られます。

また、成約時に売上の一部を仲介手数料として支払わなければいけない点も注意が必要です。

買取

買取

買取は、不動産会社へ物件を直接売る方法です。

仲介売却は購入希望者がいないと売れないので、状態の悪い物件は売れ残りがちです。

一方で買取は状態の悪い物件でも売れやすく、かつ早く換金できるのが魅力です。

なるべく早めに不動産売却を済ませたいという人に最適の方法です。

一方、買取で得られる利益は仲介売却と比べて下がってしまうので、まとまったお金を手に入れたい方には不向きな売り方でもあります。

不動産買取とは?業者買取と仲介売却のどっちがお得?メリット・デメリットと損しないための注意点

個人売買

個人売買

個人売買は売主と買主が個人間で契約をして取引をする方法で、仲介手数料を節約して、自分達が納得するルールで契約できるのが魅力です。

田舎では近隣の住民へ隣接する所有地を売る場合などに、個人売買の方法が用いられることは多いです。

また、親族間で個人売買を実施するケースもありますが、親族間で不当に価格を下げて取引したと判断された場合、贈与税が発生するリスクがあります。

不動産売買は大金が動くので、専門家の意見を挟まずに取引をすると後で大きなトラブルが発生する可能性が高いです。

個人間で不動産売却を行う場合は、専門家や弁護士に相談して明確なルールに沿って進めましょう。

買取保証付き仲介

買取保証付き仲介

買取保証付き仲介は、不動産会社が一定期間内に物件が売れなかった場合、事前に定められた価格で買取るという保証をつけて物件を仲介するサービスです。

この方法のメリットは、売却の確実性が高まる点です。

特に、早急に資金を得る必要がある場合や、新居購入のタイミングと合わせたいときに適しています。

しかし、買取価格は市場価格よりやや低めに設定されることが多いため、最高価格を求める売主には不向きな方法です。

不動産買取保証とは?各社のサービス比較とメリット・注意点を詳しく解説

任意売却

任意売却

任意売却とは、ローンの返済が困難になった場合など、債権者との合意のもと、不動産を売却することを指します。

これにより、不動産の差し押さえや競売が避けられます。

任意売却のメリットは、負債の圧縮やクレジットヒストリーの保全にあります。

専門の不動産会社や司法書士と連携し、適切なプロセスを経て売却を進めることが重要です。

これにより、最も良い条件での売却が行えます。

任意売却とは?手続きの流れとメリット・デメリットをわかりやすく解説

リースバック

リースバック

リースバックは、不動産を売却した後もその物件を賃貸として引き続き使用する方法です。

具体的には、売主が物件を第三者に売却し、その後、売主が買主から物件を賃借する形となります。

これにより、資金的なニーズを満たしつつ、住み慣れた物件で生活ができます。

特に、現在の住居を離れたくないが、一時的な資金が必要な場合や、老後の資金計画の一環として、この方法を検討しましょう。

リースバックの仕組みとは?メリット・デメリット・注意点をわかりやすく解説

不動産売却の手順

不動産売却の流れ

不動産売却の流れは、基本的に上記の5ステップで進んでいきます。

エリアや物件の種類・状態にもよりますが、全て完了するまで3~6か月かかるのが一般的です。

各ステップと所要時間は以下の通りです。

手続き 売却検討開始からかかる時間の目安
【STEP1】業者に相談・査定依頼 ~約1.2週間
【STEP2】査定結果で絞込み ~約2週間から1か月
【STEP3】媒介契約 ~約1か月から2か月
【STEP4】販売活動・内覧 ~約2か月から5か月
【STEP5】契約・引き渡し ~約3か月から6か月

STEP1.業者に相談・査定依頼

まず、不動産売却について詳しくない人は、不動産売却に詳しい知り合いやネットを活用して情報を集めましょう。

知識をある程度身につけたあとは、不動産会社に売却の相談をしましょう。

不動産売却は、売却活動をサポートしてくれる担当者が重要になるので、対面での相談をおすすめします。

最初の相談は何も持たずに気軽に相談することも可能ですが、「ここの不動産会社で売る!」と決めている人は必要書類を最初に持って行った方がスームズに売却を進められます。

必要書類は下記の通りです。

  • 所有不動産の物件概要書
  • 登記事項証明書
  • 間取り図

また、不動産会社を決めかねている人は一括査定サービスで自分に合った不動産会社を見つけることも可能です。

STEP2.査定結果で絞込み

媒介契約を結ぶ不動産が決まっている人は「査定結果で絞り込み」の項目は必要ありません。

不動産会社の一括査定サービスで不動産会社に依頼した人は、査定結果から売却を依頼する所を決めましょう。

複数の不動産会社に依頼すると、各不動産会社によって査定額が異なってきます。

査定額の低い不動産会社で不動産売却を行うと、予定より低い価格で売却されるケースもあります。

一番高い査定額を提示している所が良いとは限りませんが、売却予定の物件を得意としている不動産会社が高い査定額を出している可能性があるので、検討してみてください。

STEP3.媒介契約

不動産会社を選んだあとは、媒介契約を結びます。

媒介契約は、不動産売却が成立した時に不動産会社が受け取る報酬の金額や売却活動の方向性を決めることを指します。

媒介契約を結ぶ時に、売却予定の物件の状況を報告書にまとめて提出します。

仲介業者との契約(媒介契約)には3の契約方法があります。

契約の種類 メリット デメリット
専属専任媒介契約
  • 業者・担当者のモチベーションが高まる
  • 1週間に最低1回は進捗の報告をしてくれる
  • レインズへ5営業日以内に確実に登録してくれる
  • 依頼者は自分で買主を発見してはいけない
  • 気軽に業者変更ができない
専任媒介契約
  • 7営業日以内にレインズへの登録をしてもらえる
  • 最低2週間に1回の報告義務
  • 自分で買主を探す自己発見取引が可能
  • 専任媒介契約を望まない業者も多い
  • 他社との契約は禁止
一般媒介契約
  • 複数社と同時に契約を結べる
  • 悪徳業者に騙される心配が減る
  • 業者のモチベーション・販売活動の規模が低くなりがち
  • 進捗の報告義務がない
  • レインズへの報告義務がない

依頼者にとって契約解除上の拘束は専属専任>専任>一般の順に難しくなりますが、契約上の拘束が強い=仲介手数料を確実に得られるということでもあるので、業者のモチベーションや使える販売コストも専属専任媒介契約が一番高くなります。

不動産売却の状況によっても最適な契約方法は異なるので、慎重に選びましょう。

不動産売却時の媒介契約とは?専任媒介と一般媒介の違いとメリット・デメリットをわかりやすく解説

STEP4.販売活動・内覧

媒介契約を結んだあとは、不動産会社が正式に仲介として販売活動を始めます。

販売活動は主に不動産会社が進めてくれるので、売主は買主が現れるまで待ちます。

興味をもった買主が見つかると物件の内覧や説明を行います。

不動産売却を成功させるためにも内覧してもらう物件の掃除は丁寧にしておきましょう。

物件の内覧や説明は、不動産会社に全て任せられますが、売主が実際に立ち会う事がほとんどです。

売主は内覧日を調整して事前準備も行います。

STEP5.契約・引き渡し

買主が決定すると、買主側の住宅ローンの審査・物件の最終調整を行い、売買契約を結びます。

売買契約は主に、売主・売主側の仲介業者・買主・買主側仲介業者が集まって行います。

不動産売買契約の流れ・注意点を徹底解説!契約書のチェックポイントと瑕疵担保責任

売買契約には下記の書類が必要になります。

  • 実印・認印
  • 身分証明証
  • 登録済権利証
  • 印鑑証明書
  • 収入印紙

契約時には、宅地建物取引士が同席して重要事項説明の読み合わせを行います。

重要事項の説明がおわれば売買契約書を締結します。

必要書類を提示して、本人確認をおこない手付金の授受を同時に実行します。

すべての内容に双方が合意すれば契約書への署名・押印を行い、終わったあとは売主・買主が契約書を持ち帰ります。

上記全て終われば不動産売却が完了します。

不動産売却を始める前にやるべき事

不動産売却を検討している人は、まず不動産売却の全体像を把握することから始めましょう。

ここからは、不動産を売る前に実施したいポイントを紹介します。

不動産売却について家族と話し合う

不動産売却は、当事者だけでなく家族全体に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、家族全員の合意と理解を得ることが重要です。

家族とのコミュニケーションは、予想外の問題や誤解を防ぎ、平穏な売却プロセスを保証するためにも不可欠です。

例えば、売却の理由、予定されているタイミング、想定される影響など、不動産売却に関する全ての重要な情報を家族と共有することが必要です。

特に子供がいる場合、彼らにとっては大きな変化となるため、その理由と影響を正しく理解させることが重要です。

また、家族の一員が売却に反対する場合、その理由を理解し、可能な限り調整し、共通の理解を築くことが大切です。

売り出されている不動産を見る

不動産売却を検討している人は、、まずどんな中古物件が売り出されているのか、実際に確認してみましょう。

SUUMOやライフルホームズのような不動産ポータルサイトは賃貸物件を探す際に利用する方が多いですが、実は中古の売り出し物件も多数掲載されています。

どんな物件が売られているのか実際に検索してみて、イメージを掴みましょう。

自主的に不動産売却の流れについて調べておく

不動産売却には一連の手続きが必要であり、それらを理解しておくことが大切です。

それにより、必要な手続きをスムーズに進行させることができ、また、問題が発生したときに適切な対応が取れます。

不動産売却の流れを理解するためにやること

  • 不動産業者の選び方
  • 査定の依頼方法
  • 契約手続き
  • クロージングまでのステップ
  • 売却後の税金の問題

など、基本的な売却の流れを理解することから始めましょう。

次に、売却の手続きを進める中で起こり得る問題や困難について知識を深めていくことも重要です。

最後に、自分自身の状況に適した売却戦略を立てるための情報を集めることが求められます。

これらを行うことにより、自主的に不動産売却の流れを理解し、予期せぬ問題に対応する能力を身につけられます。

【図解付】不動産売却の流れ全9ステップを手順に沿って解説!全体図から必要事項まで完全網羅

不動産の権利関係・詳細情報を再確認する

長年所有しいている不動産でも、詳しい内容は意外と知らないものです。

特に多いのが、相続した不動産の権利が亡くなった親名義のままになっているケースです。

相続後、特に手続きをしないと親名義のままになりますが、売却の際は名義変更が必要になります。

その他、調べてみるとローンの担保が付いたままだったり、親族が権利の一部を持っていたりすることもあります。

「不動産売却をするぞ!」と意気込んでも不動産の権利が親名義になっていると売ることが出来ないので、必ず権利確認と詳細情報の把握をしておきましょう。

不動産売却の名義変更とは?かかる費用・流れ・必要書類を解説!自分で変更できる?

住宅ローンの残債額の確認

不動産売却を考える前に、まず現在の住宅ローンの残債額を確認することが非常に重要です。

ローン残高が物件の売却価格を下回ると、差額を自己資産で埋めなければなりません。

そのため、残債額と推定売却価格とを比較し、自己負担額が発生する可能性を見極めが重要です。

一方、残債額が売却価格を上回る場合、差額は売却後に受け取れます。

この金額を予め計算し、新たな住宅購入などの資金計画に活用できます。

住宅ローンの残債が残る不動産を売却!銀行へ連絡するタイミングはいつ?

土地境界線の把握

土地を売却する際には、土地の境界線を明確に把握しておきましょう。

境界線が不明瞭であると、隣地とのトラブルを引き起こす可能性があります。

具体的には、売買契約後に境界線の問題が発生すると、買主から損害賠償請求を受ける可能性もあります。

売却前に境界確認を行い、必要であれば測量士による公式な境界確認調査を実施することが望ましいです。

この結果は買主にも提示し、事前に問題をクリアにすることでスムーズな売却が可能となります。

境界線の確認で気を付けること

  • 境界確認は専門の測量士に依頼するのが最善。自己判断は誤差を生む可能性があります。
  • 境界線に問題があると感じた場合、売却前に隣地との話し合いをすること。

不動産相場を把握する

不動産売却を検討している物件の相場を、自分で事前に調べてみましょう。

不動産会社への査定依頼は無料で出来ますが、すぐに依頼をせず、まずは自分で調べることをおすすめします。

不動産会社が査定サービスをおこなっているのは営業目的という側面が強い上、足元を見られて低めの価格を提示されても不動産のプロに営業をかけられると信用してしまいがちです。

こうしたケースを防ぐため、事前にある程度の相場を知っておき、悪徳業者と優良業者を見抜けるようにしておきましょう。

不動産売却相場はいくら?地域別の価格と初心者でも簡単に相場を調べる方法

不動産を売る理由を整理する

転居や離婚、借金返済、事業資金の補填など、不動産を売る理由は様々あります。

ただ、不動産売却の理由を一言で説明しろと言われたら、意外と説明できないものです。

まずは理由を徹底整理しましょう。

理由が明確になることで、目的や依頼すべき不動産会社も見えてきます。

不動産をいくらで売るか決める

一番重要なのが、不動産をいくらで売るか決めることです。

不動産売却は売主と買主のマッチングなので、条件の良い物件でも運やタイミング次第でなかなか売れない可能性はあります。

予想以上に売れないと、不動産会社から早く売るために値下げをしてはどうかと提案されます。売主も「売れ残りでこんなにストレスが溜まるなら、いっそ値下げしようかな…」と心が揺らいでしまいがちです。

ここで目的がブレないように、事前に「売るなら○○万円~△△万円の間。それを下回るなら売却をキャンセルする」と決めておくことで、引き渡し後に振り返って後悔するようなことがなくなります。

不動産の査定額はどう決まる?査定価格と成約価格の差や算出方法を解説

余裕とゆとりのある不動産売却の計画を立てる

不動産の売却は、単なる物件の売買以上の意味を持つ大きな決断です。

それは売主の資産管理、税務、あるいは生活スタイルの変更を意味しているといってもいいでしょう。

そういった大きな決断を迫られるとき、焦りや混乱が生じやすくなります。

それを避けるためにも、余裕とゆとりを持った計画を立てることが大切です。

例えば、販売タイミングの考慮、価格設定、物件の状態や近隣環境の評価、必要書類の準備など、売却に関わる多くの要素について予め考えておく必要があります。

売却活動がスムーズに進行するよう、タイムラインを作成し、それぞれのステップに対する目標日を設定すると良いでしょう。

これにより、あなたは確実に進行することができ、焦りや混乱からくる不安が軽減できます。

手付金の金額・取り扱いについて知っておく

不動産売却において、手付金の金額や取り扱いは非常に重要な要素です。

手付金は売買契約成立時に買主から売主へ支払われる証拠金であり、その金額は通常、売買価格の5%〜10%程度が一般的です。

取引が無事完了した場合、この手付金は売買代金に充当されますが、何らかの事情で契約が破棄された場合の取り扱いが重要となります。

契約が破棄された場合、手付金の返還義務や額は契約ごとに異なるので、都度、詳細な内容を契約書に明記しましょう。

よって、不動産を売却する前に、手付金の金額や取り扱いについて十分に理解し、必要に応じて専門家に相談しましょう。

契約不適合責任の内容を理解しておく

不動産の売買契約では、売主は買主に対して、不動産が契約通りの状態であることを保証する責任を負います。

これを契約不適合責任といいます。

つまり、売主は、自身が売却する不動産についての詳細情報を正確に把握し、隠れた欠陥などがないかを確認する必要があります。

万が一、売買後に欠陥が発覚した場合、売主は補修費用や損害賠償を負担します。

このように、契約不適合責任は重大な影響を及ぼす可能性があるため、不動産売却にあたってはその内容を理解しておきましょう

ローン特約について知っておく

不動産売買にはローン特約が設けられることがあります。

これは、買主が売買代金の支払いにローンを利用する場合に、そのローンが成立しなかったときに契約そのものを無効にできる特約です。

これにより、ローンが下りなかった買主は手付金を戻すなどして契約を撤回できます。

この特約があることで売主は、一時的に買主を確保できますが、買主がローンを組むことができなかった場合、再度買主を探す必要があります。

このようなリスクを理解した上で、売却する不動産や市場状況に応じた適切な契約形態を選ぶべきです。

売却活動や売買契約時に必要なものを用意しておく

不動産の売却には、多くの書類や情報が必要となります。

間取り、面積、築年数、設備等の物件の詳細情報や、不動産の登記簿謄本、固定資産税評価証明書、建築確認証明書、実測図などを用意しましょう。

また、売却活動を進める上で不動産業者との契約も必要となるため、その際の契約書や業者の資格証明書なども確認します。

これらの準備を進めることで、売却活動がスムーズに進行し、より早く適切な買主を見つけられます。

また、これらの情報を整理することで、不動産の価値を正しく評価し、適切な売却価格の設定ができます。

不動産の売却価格と築年数の関係

不動産売却と築年数の関係

立地が良くて相場も好調な優良物件であれば、不動産売却が必ず上手くいくという訳ではありません。

なぜなら、建物には築年数があるからです。

上記のグラフのように、戸建ては築20~25年で建物部分の価値が0になります。

これは、どんなに立地が良くて条件の良い物件でも同じです。

築年数が1年経つ度に価格が大きく下がるだけでなく、購入希望者からの人気・需要も下がっていきます。

だからといって、せっかく買った物件を超築浅で売ってしまっては本末転倒です。

ほとんどの方は長く利用することを想定して建物を購入するので、急な離婚や転勤、相続などがない限り不動産売却を意識すらしないでしょう。

不動産を売却する理由は人それぞれですが、売却を決めたら早めに手続きを進めて、無駄に築年数を消費させないようにすることが大切です。

古い建物になればなるほど売却価格は下がる

国は各建物の耐用年数を定めており、耐用年数を過ぎたからと言って建物が売れないという訳ではありませんが査定価格に大きく影響します。

マンションの場合、新築時に比べて築10年は約70~80%の価格になりますが、築20の場合価値が半分になります。

しかし不動産売却の価格に築年数が関係しない例外もあります。

  • 人気エリア
  • デザイナーズマンション
  • ブランドマンション

人気のあるエリアの物件や駅前などの立地の良い物件は、築年数が経過していても価格の下落が抑えられているケースがあります。

また、デザイナーズマンションやブランドマンションはヴィンテージマンションと呼ばれており、価格が下落しにくい傾向にあります。

有名建築家のマンションも需要が高く、築年数が経過していても資産価値のある状態で保つことができます。

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不動産の売却相場を調べる方法

不動産売却は依頼者(素人)がプロ(不動産屋)に相談や売却依頼をするという構図なので、中にはプロの有難いアドバイスだと思って必要以上に受け入れてしまう方も多いです。

ただ前述の通り、初めて相談をした不動産会社の査定額が低い場合もあります。プロだからと言って、誰に依頼してもお得という訳ではないのです。

しかし、こちらは初心者ですから、業者を比較して実績の差があることを見抜けない可能性もあります。こうした状況を防ぐために、事前に不動産売却相場を自分で調べておくことをおすすめします。

事前に調査をすることで、価格の相場はどれくらいなのか、周辺エリアでどれくらいの不動産が売り出されているのかが分かります。

事前に不動産売却相場を調べるべき理由
  • 売却価格のイメージを早いうちにつかめる
  • 査定額が大幅に乖離している業者との契約を回避できる
  • どんなプランが適しているかを早いうちに判断することができる
  • いくらで売るのが成功か定義でき、それに向かって動くことができる

高い精度で相場を知るにはスキルが必要ですが、以下のようなサイトを利用すれば初心者でも簡単に相場を知ることができます。

  • 土地総合情報システム
  • レインズ・マーケット・インフォメーション
  • 東京カンテイ 価格天気図
  • 国土交通省地価公示・都道府県地価調査
  • 路線価図・評価倍率表
  • ポータルサイト(SUUMO、アットホームなど)

どのサイトを利用するかによって調査方法や対応する物件タイプが変わってくるので、それぞれの違いを事前に把握しておくことをおすすめします。

では、ここからそれぞれの特徴を見ていきましょう。

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土地総合情報システム

土地総合情報システムの仕組み・特徴

土地総合情報システムは国土交通省が運営するデータベースです。

土地・マンション・戸建てに満遍なく対応しており、直近5年間の成約価格(アンケート)をすぐ検索することができます。

検索ページ(不動産取引価格情報検索)の利用の流れは、左側にあるように➀時期を選ぶ→②種類を選ぶ→③地域を選ぶ、の順で項目を指定して検索をします。

注意点として、検索で見られる価格は業者へのアンケート調査に基づいているので、100%正確とは限らないという点に留意しておきましょう。

また、土地総合情報システムは過去の事例を参考にできますが、経済状況や環境変化、金融状況の変化によって相場が変動することは良くあるので、似たような物件が過去に成約したからといって、必ずしもイコールになる訳ではありません。

レインズ・マーケット・インフォメーション

レインズ・マーケット・インフォメーションの仕組み・特徴

レインズは基本的に正規の不動産業者しかチェックすることが出来ませんが、レインズ・マーケット・インフォメーションは一般の方でも調査できる成約価格のデータベースです。

全国のマンション・戸建ての直近1年分の成約価格がグラフで表示され、視覚的にも相場をチェックすることができます。

土地総合情報システムと違って実際の成約価格を検索できるのが強みですが、土地に対応していなかったり、直近1年しか調査できなかったりするのがデメリットです。

東京カンテイ 価格天気図

東京カンテイ 価格天気図の仕組み・特徴

東京カンテイの価格天気図は、マンション価格の推移状況が天気図モチーフで表されています。

先月より価格が下がれば雨、好調推移なら晴れというように、一目で相場状況がわかるので便利です。

活用し切るには一定以上のレベルが必要ですが、中古マンション売却を検討している方はぜひ1度チェックしてみましょう。

国土交通省地価公示・都道府県地価調査

国土交通省地価公示・都道府県地価調査の仕組み・特徴

国土交通省地価公示・都道府県地価調査は、国土交通省が全国を調査して分かった地価を検索できるデータベースです。

このサイトに掲載されている地価は不動産価格を算出する上での基盤となる重要な数値ですが、土地価格が基準になるので建物の相場は分かりません。

また、売却時の相場価格と基準地価は似て非なる部分もあるので、売却相場を調べる際に活用すべきかというと、そこまで優先ではないでしょう。

路線価図・評価倍率表

路線価図・評価倍率表の仕組み・特徴

路線価図・評価倍率表(通称:路線価図)では、路線価という道路の価値が記入された地図を閲覧することができます。

土地が接する道路の価値が分かれば、土地の相場も読み取ることができて便利です。

土地の売却相場を調べる際はぜひ活用したいですが、初心者には読み取りが少し難しいので、以下の記事を参考にすることをおすすめします。

路線価を使って土地の売買価格を査定しよう!路線価図の見方・計算方法

ポータルサイト(SUUMO、アットホームなど)

ポータルサイト(SUUMO、アットホームなど) の仕組み・特徴

SUUMOなどの不動産ポータルサイトは賃貸物件を探す際に良く使われますが、実は売り出し中の不動産情報も多数掲載されています。

周辺エリアの中で類似の不動産タイプを絞り込み検索をすれば、現在どんな不動産がいくらで売られているかが分かります。

ただ、ポータルサイトに掲載されているのは成約価格ではなく売り出し価格なので、今後の交渉や販売期間の延期(売れ残り)などで価格が大きく変わる可能性も多々あります。

周辺の不動産の売り出し価格を基準に計画を立てるのは危険なので、十分注意しましょう。

不動産売却にかかる期間

不動産売却の所要時間の目安は3~6か月ですが、これは平均的な物件を大きな外的要因もなく取引できた時の所要期間を目安にしているため、必ずこの期間内で売れる訳ではありません。

立地の良い不動産ほど需要が高いので早く売れ、地方・郊外ほど期間が長引く傾向にあります。

不動産売却の期間は平均3~6ヵ月!売れるまでのスケジュールと期間内に売るポイント

地域や土地ジャンルによって期間は異なる

立地によって期間が異なり、郊外の小規模都市や山間部・農村だと1年かかる場合もあります。

立地 売却にかかる期間の目安
首都圏・都心 2~3.5か月
地方の大都市 2~5か月
一般的な規模の都市 3~6か月
郊外の小規模都市・山間部・農村など 6か月~1年以上

オフィスが連なる都市部は転居する人もその分多く、需要も大きいため早く売れます。

逆に人が流入しにくい郊外や、農林水産業のように特定の産業が強い地域は需要が低く、売れにくい傾向にあります。

更に、不動産をいくらで売り出すかによっても、所要期間は異なります。

設定価格 売却にかかる期間の目安 利益
相場より安い 平均期間より早く売れる マイナス(損)
相場通り 平均期間前後で売れる
相場より高い 平均より期間が長引く プラス(得)

売り出し価格は査定価格も参考に、売主の意向を汲んで設定されます。

そのため、時間をかける代わりに利益を追求するか、それとも短期間での売却を目指すかは売主自身が戦略を決めるようになる訳です。

自分の思い通りに売却をするには、何を目的とするかを明確にした上で、積極的に不動産会社へ意向を伝える必要があります。

つまり、不動産売却を成功させるには販売活動をやりながら知識を付けていくのではなく、契約前に大枠のプランを固めておかなければいけないのです。

購入希望者の見つかるスピードによって期間が短くなる

需要のあるマンションなどの不動産売却は、2ヶ月程ですべてが完了する場合もあります。

一戸建てや土地の不動産売却は隣地との境界線が曖昧な場合、測量等を使って境界線を明確にしなければならないので売り始めるまでに時間が掛かってしまいます。

そして、購入希望者の見つかるスピードによって不動産売却の期間は大きく異なります。

買主が見つからないと、目標としていた期間より長引いてしまう事もあるので"不動産売却は時間がかかる"と認識しておきましょう。

買主が見つからない原因は、売出し価格が相場より異常に高いことなどが大きな原因です。

高い価格で長く売りにだして「いつか売れるだろう」という認識は間違いなので、3ヶ月たっても買主が現れない場合は、価格を見直しても良いでしょう。

不動産売却の必要書類

不動産の売却手続き開始から売買契約締結完了までに、一般的に必要となる書類を紹介します。

不動産売却の必要書類を一覧で紹介!不動産を売る時に必要な全20書類の取得・提出方法を解説

土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報

土地・建物登記済証は通称「権利証」と呼ばれるもので、不動産の名義変更手続きや、新たに抵当権を設定する場合などに用いられる書類です。

他にも、登記識別情報というものが存在します。こちらは12ケタのパスワードで、不動産と申請人(名義人)を照合するために用いられます。

不動産売却では、売主(登記義務者)が権利証を法務局に提出する必要があります。

実印

契約締結時には、実印が必要となります。

相続した実家のように名義人が複数いる場合は、全員分の実印が必要になるので注意が必要です。

印鑑証明書

実印と併せて、印鑑証明書も持参が必要となります。

印鑑証明書は実印登録をしている市町村の窓口で、3か月以内に発行されたものでなければいけません。

固定資産税・都市計画税納税通知書

都税事務所・市区町村役場などから発行される書類で、固定資産税・都市計画税の納税額などが記載されています。

固定資産税・都市計画税は1年ごとに課されるため、年半ばで売買をする場合はこちらの資料を参考に課税を日割り清算します。

マンションの管理規約・管理組合総会の議事録など

マンションを売却する場合は、戸建てなどと違って管理規約や管理組合のルールが存在します。

マンションの買主は売主からこれらの資料を共有してもらうのが原則となります。

建築確認通知書・検査済証

建築確認通知書は建築前に、検査済証は建築完了時の検査で合格した時に発行される書類です。

法的にみて適切に建築されていることを保証する書類で、安全に不動産を引き渡すために必要です。

測量図・建物図面(見取図)

土地や建物の状況を正確に理解するために必要な書類で、特に土地境界や建物の図面を把握するために用いられます。

利用状況が測量図の記載と異なっている場合は、調整が必要なケースもあります。

設備表

設備の有無や修理歴などを記載した書類です。

収益物件の売買では、ランニングコストを確認するために重宝されます。

印紙(印紙代)

売買契約時に、契約書へ貼り付ける印紙です。

印紙代は、売却代金に応じて決定します。

本人確認書類

売主本人であると証明するために必要な書類です。

運転免許証やパスポートなどが該当します。

【補足】引き渡し時に必要な書類

契約が完了して実際に物件を引き渡す際は、以下のような書類が必要となります。

  • 銀行口座の証明書類(口座の通帳・通帳印など)
  • 抵当権等抹消書類
  • 住民票
  • 物件の鍵

引き渡し時はお金の振込の他、書類の確認や鍵などの受け渡しなどが必要になります。

住民票のように有効期限がある書類もあるので、取得する際は注意しましょう。

不動産売却で発生する税金・費用

不動産を売ると、代金がそのまま手元に入るわけではありません。

不動産を売ると以下のような費用がかかってしまうので注意しましょう。

  1. 仲介手数料
  2. 印紙税
  3. 抵当権抹消登記費用
  4. 譲渡所得税
  5. 住宅ローン一括返済費用
  6. 測量費用
  7. ハウスクリーニング費(必要に応じて)
  8. リフォーム費(必要に応じて)
  9. 建物の解体費(必要に応じて)

費用がいくらかかるかは不動産がいくらで売れるかにも大きく関わりますが、少なくとも100万円以上にはなります。

不動産を売る際は、費用がかかることを頭に入れておかないと、無意味に物件を手放すことにもなりかねないので注意しましょう。

以下に必要な費用を詳しく解説します。

不動産売却の費用・手数料を一覧で紹介!手数料を安く抑えるコツや計算方法も解説

仲介手数料

仲介手数料とは、買主との売買契約が成立した際に仲介してもらった不動産会社に支払う金額です。

売却時の費用で最も掛かる部分で、次のように計算されます。

売買価格 仲介手数料の上限額
200万円以下の部分 売買価格の5%+消費税
200万円超400万円以下の部分 売買価格の4%+消費税
400万円超の部分 売買価格の3%+消費税

売却価格が400万円を越える場合は、「売買価格×3%+6万円+消費税」と簡単に計算できます。

例えば取引価格が1,000万円の物件だと、1,000万円×3%+6万円+消費税=36万円が仲介手数料となります。

通常の売却益から差し引かれるので、不動産会社にわざわざ支払う必要はありません。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約を結ぶ際に契約書に印紙として貼り付ける税金のことです。

売却した側、購入した側双方に支払い義務が生じます。

売買金額ごとに、次のように印紙税は定められています。

売買金額 不動産売買契約書
1〜9,999円 非課税
1万円〜10万円 200円
10万円〜50万円 200円
50万円〜100万円 500円
100万円〜500万円 1,000円
500万円〜1,000万円 5,000円
1,000万円〜5,000万円 10,000円
5,000万円〜1億円 30,000円

不動産の売買であれば、大体10,000円~30,000円のことが多いです。

抵当権抹消費用

抵当権抹消費用とは、住宅ローンを組む際に設定された抵当権を抹消するための費用です。

抵当権は住宅ローンを返済できなかった際に、金融機関が住宅を担保に売却することができる権利なので、不動産を売却する際は必ず支払わなければなりません。

抵当権抹消費用は不動産一つに付き1,000円で、土地と建物それぞれに抵当権が付いている場合は2,000円かかります。

ただし、抵当権の抹消は手続きが面倒なので、司法書士に依頼することが一般的です。

司法書士に依頼する費用は15,000円~20,000円程度かかります。

譲渡所得税

不動産を売却すると、売却によって発生した利益に対して譲渡所得税がかかります。

譲渡所得税とは所得税と住民税の合算の税金で、不動産を保有していた年数によって次のように税率が変わります。

短期譲渡所得税(5年以内) 所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63%
長期譲渡所得税(5年を超える) 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%

5年を超えるかどうかで税率が倍近く変わるので、売却時期を選ぶ余裕があるのであれば時期を待つのも一つの手です。

住宅ローン一括返済費用

売却する不動産に住宅ローンが残っている場合は、抵当権を抹消するために売却前に住宅ローンを一括で返済する必要があります。

住宅ローンを一括で返済する際に、手数料がかかります。

住宅ローン一括返済の手数用は金融機関によって異なりますが、おおよそ0円~50,000円程度です。

一括返済することが決まれば、返済予定日の1か月前を目安に金融機関に連絡しておきましょう。

測量費用

土地を売却する際にきちんと測量して正確な土地を売却しようとすると、測量費用が掛かります。

測量の方法には次の3種類があり、それぞれの金額が異なります。

測定方法 内容 金額
現況測量 土地の状況をありのままに測量する 10~20万円
境界測量 境界を測量して、境界の位置を特定する 20~30万円
確定測量 隣地の所有者に立会いと同意をもらって境界を確定させる 40~50万円

不動産を売却する際には、ほとんどのケースで確定測量が必要です。

土地が市区町村の道路や水路に接していると、さらに+10万円程度かかります。

測量は必ずしなくてはいけないわけではないので、測量せずに売却する人も多いです。

不動産売却を成功させている人の共通点

不動産売却の「成功」とは、一体なにを指すのでしょうか?

不動産売却の理由が人それぞれであるように、何をもって成功とするかも人それぞれです。

ただ、大多数の方は不動産売却の成功を以下の2通りで定義しています。

  • 不動産を相場よりも高く売る
  • 不動産をスムーズに早く売る

つまり、この2点をどちらも満たすことが出来れば、多くの方にとっての成功と見なすことができるでしょう。

ただ、上記の設定価格の内容で触れたように、高く売ることと早く売ることは相反しやすいものです。

しかし一方で、全体の約2割の売主は不動産を高く早く売れているというアンケート結果もあります。

そこで今回は、不動産売却を成功させている人たちの共通点を紹介します。

「不動産を高くスムーズに売りたい!」と考えている人は必見です。

急がず焦らず売却スケジュールに余裕を持っている

不動産売却を成功させるためには、適切なタイミングとスケジューリングが不可欠です。

現に、不動産売却を納得がいくものとして成功している人たちは、急がず焦らず、計画的に売却活動を進めています。

このアプローチは、市場の動きや買い手の動向を見るための時間を確保することができます。

さらに、売却スケジュールに余裕を持つことは、想定外の事態が発生した場合でも対応できます。

そのため、彼らは買い手のニーズや市場環境に迅速に対応し、最大の売却価格を確保しています。

自主的に不動産売却に関する知識を学んでいる

不動産売却を成功させる人たちは、必要な知識と情報を自主的に習得する傾向があります。

これには、不動産市場の動向、法律や税金の知識、売却手続きのフローなどが含まれます。

これらの知識を身につけることで、自身の不動産の価値を正しく認識でき、適切な売却価格で市場に送り出せます。

また、知識があることで不動産会社との交渉にも自信を持て、不適切な価格設定や契約内容を避けることもできます。

不動産会社を売却に欠かせないパートナーとして見ている

成功している不動産売却者は、不動産会社を単なる仲介者としてではなく、売却活動に欠かせないパートナーとして認識しています。

彼らは不動産会社の専門知識と経験を活用し、最適な売却計画を立案します。

また、信頼できるパートナーとしての不動産会社を選ぶことで、市場情報の提供や売却戦略の策定、交渉のサポートなど、全てのプロセスをスムーズに進められます。

パートナーとしての不動産会社との良好な関係性は、売却成功に至るための重要な要素となります。

査定の主導権を握っている

不動産売却で一番むずかしいポイントは"売出し価格の設定"です。

物件の売出し価格は、高すぎても低すぎても売却できなくなる可能性があります。

設定価格を高く出すと買主は「高すぎるな、ちょっと見送ろう」と考えやすく、低く売ると「なにか欠陥があるのでは?」と不審に思われます。

売出し価格は基本不動産会社が設定します。

不動産会社によって得意分野が異なり、査定額に差が出てきます。

査定をすべて不動産会社にまかせていると、知らない所で希望額より低く設定されていたりする可能性もあります。

不動産会社に査定価格を提示された際に、価格の根拠や売出し戦略などの説明をしっかり受けることによって自分の意見も反映させてもらうことができます。

不動産売却を成功させている人はしっかり自分の意見を不動産会社側に提示している場合が多く、査定の主導権をしっかり握っているので、査定してもらう際は完全放置にならないようにしましょう。

売主が相場を明確に把握している

売出し価格を設定する時は、周辺の物件相場を調べておきましょう。

「高く売り出したい!」と思っている売主でも、相場より高すぎる価格を提示すると買主が見つからない可能性もあります。

不動産会社が査定で提示した金額は、あくまでも査定なので売出し価格も査定額と同じにする必要はありません。

査定額は不動産会社が「この価格であれば3ヶ月程度で売却できる」と推測したものなので、実際の売出しでは売主の希望も織り込んで価格を決めましょう。

そして売主が希望価格を提示するには、物件の相場をおおまかに把握しておく必要があります。

売出し価格を相場の範囲内で提示できるようにする為にも、事前に物件の周辺相場を把握しておきましょう。

値引き交渉を織り込んでいる

不動産売却は値引き交渉が頻繁に行われています。

物件購入を希望している人からすると、値引き交渉に応じてくれる人は印象が良く成約しようという気持ちが出てきます。

上記のことから、売主は値引き交渉しても対応できるレベルの金額に設定することをおすすめします。

ただし値引き交渉を織り込んだ金額といっても、相場の範囲内の価格設定が重要なので注意しましょう。

不動産売却を成功させる方法

不動産売却を行う人の中で「安く売ってもいいや!」という人は居ませんよね。

売却するからにはなるべく高い価格でスムーズに売りたいと売主は思います。

しかし、不動産売却は選ぶ不動産会社に失敗したり買主とのコミュニケーションに失敗したりすると思い通りの価格で売ることができません。

そこで今回は不動産売却を成功させる方法をまとめました。

これから売ろうと考えている人は、成功させる方法を参考に不動産売却をすすめましょう。

不動産の査定額を比較する

不動産を早く高く売るためには、複数社の査定額や実績を比較するのが不可欠です。

仲介売却の場合、実際の販売活動の9割以上は契約した不動産会社に委託するようになります。つまり、どの業者と契約するかによって売却結果が決まるといっても過言ではないです。

業者によっていくらで売れるかバラバラなので、しっかり比較をする必要があります。

プロの業者なのに、なぜ査定額のバラつきがこんなに出るのでしょうか?

それは、不動産会社を査定する際の前提となる様々な条件が異なるためです。

  • 査定額の認識(努力目標とみなすか、100%達成可能な価格とみなすか)
  • 採用する査定方法(原価法/取引事例比較法/収益還元法)
  • 得意・不得意な物件タイプ
  • 得意・不得意な対応エリア
  • 所有しているデータベースの量・質
  • 査定を担当する人の能力
  • 業者が持つネットワーク力
  • 業者が対応できる売却プランの数・種類

自分の売りたい不動産とマッチしない業者を選んでしまうと、失敗の確率が高まります。

大手業者でも査定額が低いケースはある

多くの方から高評価を受けている大手の人気業者だからといって、あなたの不動産を高値で査定してくれる確証はありません。

これは、不動産は一つとして同じものはない(個別性)という考え方に起因しています。

とある物件を見て、もう売れないと思うか、まだ売れると思うかの判断に過去の実績はそこまで関係ありません。

人気の業者でも低く評価するケースはありますし、逆に地域密着型の中小業者が高い査定額を付けてくれるケースもあります。

実績のある業者ほど査定額の根拠はしっかりしているのは確かです。

ただ、本当にお得な業者がどこか見極めるためには、実際に査定額を比較する必要があります。

査定額の比較は不動産一括査定サイトを利用しよう

不動産一括査定サイト

複数業者を比較するために多くの方が活用しているのが、一括査定サイトです。

一括査定サイトに査定を依頼したい不動産の基本情報を入力すると、査定に対応している業者が一覧で表示されます。

そこから最大6社程度にチェックを付けて送信すると、指定した業者へ一括で査定依頼が可能です。

かえってきた査定結果を比較すれば、どこと契約すれば高く売れるのかが一目瞭然です。

登録業者の広告料で収益化されているため、利用料は完全無料です。

売却を検討段階の方も気軽に利用してみましょう。

不動産一括査定サイトおすすめ比較ランキング!不動産売却におすすめの人気15社を厳選紹介【2023年最新】

不動産会社選び・契約内容の選定に力を入れる

各社の査定価格は、「うちに依頼をしてくれれば、だいたい○○万円で売れる」という意思表示になるため、比較して高値を付けてくれた業者に依頼をするのが成功の近道です。

しかし、査定額だけで業者を選べば必ずしも成功するとは限りません。なぜなら、見積もりの目利きが甘い可能性や、故意に査定額を高く吊り上げるケースなどが考えられるからです。

ここからは、不動産会社を上手に選ぶコツを紹介します。

査定額が高くても根拠が曖昧な業者は危険

査定結果が出たら、なぜその価格になったのかの根拠を詳しくヒアリングしましょう。

査定額の根拠が曖昧な場合、業者の実績が不十分な可能性や、査定額をわざと吊り上げていた可能性があります。

曖昧な根拠しか返ってこない業者と契約をしても、本当にその価格で売れるかは疑問が残ります。

他社の査定結果を持ちより、「A社は○○万円だったのに、なぜ××万円だったんですか?」と聞いてみると根拠が分かりやすいです。

不動産会社によって信頼性・実績が異なる

媒介契約に最低限の連絡回数は明記されていますが、媒介契約の種類によっては1回の連絡すら義務ではないケースもあります。

とは言え、不動産売却を成功させるには密な連携が不可欠となります。

不動産会社を検討している段階で、連絡を頻繁にとってくれる業者や説明が丁寧な業者はある程度分かります。

不動産売却は成約までを2人3脚で取り組んでいくことを考えれば、最低限の連絡回数と分かりやすさは必要でしょう。

選んだ不動産会社に財産を預けられるかを指標に決めよう

一般の方にとって、持ち家は所有する資産の中で最高額のものです。

この資産を他者に預ける訳ですから、信頼できない人には触れてほしくないですよね?

査定額や実績は最低基準を満たしているものの、担当者と話した感じで、「なんか信用できない…」と思うのであれば、それも立派な断る動機になります。

あなたが怪しいと思った会社・営業マンでも実績を出しているところはあります。

しかし、実績のある営業マンの多くは髪型や服装がキチンとしていて、話も分かりやすい…というステレオタイプ通りの傾向にあります。

このイメージから外れた営業マンに「もしかしたら優秀かも…?」と思って売却を依頼するのはリスクがあります。どこから見ても絵にかいたように優秀な営業マンに依頼をすれば済む話だからです。

不動産売却の結果によっては人生が左右される可能性もあります。そのことを考えれば、業者選びはこだわり過ぎるくらいで丁度よいのかも知れません。

不動産売却の目標価格・売却期限を決める

不動産売却を成功させるには、以下の3点を詳しく設定する必要があります。

  • 不動産をいつ売り出すか
  • 不動産をいつまでに売り切るか
  • 不動産を最低いくらで売るか

この3点をどう設定するかというのが売主の腕の見せ所であり、結果にも影響する部分です。

目標に定めた価格・期間通りに売るのは不動産のプロでも簡単ではありませんが、だいたいのイメージを事前に設定し、それを不動産屋に共有することで成功率は高くなります。

では、どうやって設定していけば良いのでしょうか?

詳しい方法を紹介していきます。

不動産売却のタイミングの決め方

国土交通省 不動産価格指数(令和5年7月・第2四半期分)

参照:国土交通省 不動産価格指数(令和5年7月・第2四半期分)より

不動産売却のタイミングによって、同じ物件でも結果が異なってきます。

周辺環境や経済状況の変化によって、売却相場は変化するからです。

相場変動の要因としては、主に以下が挙げられます。

  • 経済状況の変化
  • 金融状況の変化
  • 周辺環境の変化
  • 居住している層の変化
  • ブランド力の変化

この他にも様々な要因が挙げられますが、景気状況が良くて、その街に活気を感じるのであれば、そこまで売却が不利になる訳ではありません。

急に不動産売却が必要になった方は、まずは今が売り時として最低限の要素を満たしているかをチェックしましょう。

ただ、本当に有利な売り時で不動産を売却して高利益をあげたいと思ったら、相場変動へのより深い理解が必要になります。

※売却タイミングに関しては、以下の記事に詳しくまとめています。

不動産を売るおすすめのタイミングとは?最適な時期を見極めるポイント

不動産をいつまで引き渡すかの期限を決める

不動産売却は、ただ単に物件を高く売れば良いという訳ではありません。

会社から転勤を言い渡されている場合はその期限まで売却しなければいけませんし、新居購入や引っ越し準備、子供の転入手続きなど様々な作業を同時に進めていかなければいけません。

そのため、潤沢な時間の中でじっくり売っていくことは出来ません。

まずは、他の作業も余裕を持ってこなすためにはいつまでに売ればいいのかという期限の設定をおこないましょう。

不動産会社と話を詰めていく上で、「値下げをしないほうが時間はかかるけど高く売れる」「時間はかかるけど検査をしておいた方が良い」などの提案を受けますが、こうした提案を全て受け入れているとトータルの時間がかかり過ぎてしまいます。

提案を断る根拠をハッキリさせ、方針を明確化するためにも事前に期限を定めておくほうが良いです。

不動産の最低売却価格を設定する

不動産売却で成功したいという方の話を聞くと「できれば相場の〇割増しで売りたい」など、高い目標しか考えていないケースがあります。

しかし、不動産売却は100%上手くいく確証はありません。自信満々に売り出しても売れ残りが続くことだってあります。

注意点
不動産は想定期間内に査定額通りで売れる確証はない

高い目標しか考えていないと、計画通りにいかなかった時に対処することができません。事前に上手くいかなかった時でも最低いくらで売れれば良いのかを決めておきましょう。

適正価格通りに売れたとしても、契約直前になって買主のほうから値下げ依頼を受けるケースは多々あります。

利益を重視して依頼を突っぱねても成約は取れませんが、相手の顔を立てて際限なく値下げをするのは損失に繋がります。

最低いくらまで値下げが出来るのかは、売却代金を何に利用するのかを逆算した上で、事前に設定することをお勧めします。

不動産を高値で売る方法

売却を控えている不動産の資産価値は、不動産の状態や周辺環境の良し悪し、設備の劣化具合、現行の景気など、様々な状態を加味して価格を出します。

無論、査定を実施する不動産会社の目利き次第で価格が前後します。

ここでは、所有する高値で売却したいときに行う工夫を5つ紹介します。

相場価格を把握する

物件を売却するときは、現在の不動産市場での相場価格を把握することから始めましょう。

不動産の価値は場所、築年数、広さ、設備、周辺環境など多岐にわたる要素により決定されます。

インターネット上の不動産ポータルサイトや地元の不動産業者から情報を得ることで、自分の物件がどの程度の価値を持っているのかが判断できます。

正確な価格設定は、適切な買い手を見つけ、良い価格での取引を実現する上で必要不可欠です。

不動産のアピールポイント・強みを伝える

自分の不動産の強みや特徴を見つけ、それを効果的に伝えることも重要です。

例えば、景観や最寄り駅までのアクセスの良さ、周辺の生活環境、設備、リフォームの歴史など、アピールできる点を見つけて前面に押し出しましょう。

ポテンシャルな買い手に対して、この物件が他の物件と何が違うのか、どのようなライフスタイルを提供できるのかを具体的に伝えることが必要です。

掃除を行って不用品を処分する

物件の第一印象は、不動産売却を円滑に進めるのに必要な要素です。

物件の状態が綺麗であれば、購入希望者の心に良いイメージを植え付けられます。

そのような印象を持ってもらうためにも、定期的な清掃や、不要な家具や不用品の処分を行い、物件をスッキリと見せることで、空間の広さや利便性が強調できます。

見学時の印象が良いと、価格交渉が有利に進められます。

ホームステージングを行う

ホームステージングとは、物件をより魅力的に見せるためのプロの技法です。

家具の配置やインテリアの選び方、照明の工夫などを行い、物件の魅力を最大限に引き出します。

ホームステージングを行うことで、購入希望者が「この家での生活をイメージしやすい」と感じ、物件への興味や欲望を高められます。

インスペクションの実施

物件の状態を正確に把握するために、専門家によるインスペクションを行うことも重要です。

これにより、隠れた問題や修理が必要な箇所を事前に発見できます。

売り手としては、問題が明らかになってから修理を行うよりも、事前に修理を済ませておくことで、買い手からの信頼を得やすくなります。

また、物件の状態を正確に把握しておくことで、価格交渉時にも自信が持てます。

不動産を高く売る方法とは?高額売却のために必ずやっておきたいポイントと注意点

不動産売却にありがちな失敗事例

不動産売却が成功するかどうかは、不動産会社の選定や売主自身の理解力、売却するタイミングなど、様々な要因で変わってきます。

前節までで解説してきたことを、行動に移せたとしても、100%、売主の理想に近い形で売却が完了するといった保証はありません。

ここでは、不動産売却にありがちな失敗事例を3つ紹介します。

不動産会社に言われるがまま売却活動を行った

不動産の売却は、専門的な知識と経験を必要とします。

そのため、多くの人々は不動産会社に依存しますが、会社に言われるがまま行動するのは危険です。

一部の不動産会社は、自己の利益を最優先し、顧客の利益よりも高速な取引や自社の利益を優先することがあります。

その結果、売却価格が適正でなかったり、売却のタイミングが不適切だったなどの結果から予想よりも低い形で売却が行われてしまいます。

このような失敗を犯さないためにも、自身が得るべき情報を自分で調査し、不動産会社のアドバイスと自分の理解を統合することが重要です。

また、いくつかの不動産会社から意見を得ることで、より広範な視点から情報が得られます。

これにより、あなた自身の最善の利益を追求するための知識と判断力を身につけることができます。

相場よりも高い査定額を出した会社と契約した

不動産を高く売りたいというのは自然な願望ですが、それが相場よりも高い査定額を提示する会社を選ぶ理由はありません。

実際の市場価格よりもはるかに高い価格を提示する会社は、売主の期待を利用し、契約を締結するための手段としてそれを使用している可能性があります。

しかし、現実的な価格でなければ、物件は売れません。

結果として、物件は長期間売れ残り、最終的には市場価格以下で売らなければならない状況になる可能性があります。

査定価格を決定するためには、物件の条件、近隣の相場、市場の動向など、様々な要素を考慮しなければなりません。

複数の不動産会社から査定を受け、それらの見積もりを比較し、理論的な根拠に基づいた適切な査定価格を理解しましょう。

不動産売却では査定額だけ高い・相場より高すぎる業者に注意しよう!見積もり額だけで選ぶべきでない理由と対処法

売却するタイミングを逃した

不動産の売却には最適なタイミングがあります。

市場の状況、物件の状態、個人的な事情などにより、売却の最適なタイミングは変わります。

しかし、これらの要素を十分に考慮せず、あるいは市場の動きを見て待ちすぎてしまうと、最適な売却タイミングを逃してしまう可能性があります。

例えば、物件価格が上昇している時期に売却を決断できなかった場合、物件価格が下降に転じた時に売却せざるを得ない状況になります。

また、物件のメンテナンスを怠り、物件の価値が下がった時に売却せざるを得ない状況になるケースもあります。

売却タイミングを逃さないためには、不動産市場の動向を常にチェックし、物件の状態を良好に保つこと、そして自分自身の状況を評価し続けましょう。

不動産会社の失敗しない選び方

前述の通り、不動産売却を成功させるためには業者選びが不可欠になります。

ただ、素人目に見たらどの業者も同じように見えて、結局どこと契約すれば良いのか分からないですよね。

どのポイントで業者を選べばよいのでしょうか。

査定依頼時の条件は同じにする

不動産会社を選ぶ際は、まず複数社に査定を依頼して、その結果を比べるのことをおすすめします。

この時、依頼する業者によって査定の方法を変えたり、提出書類を追加したりしないようにしましょう。

査定の条件を変えると、その分査定結果も変わってしまい、フラットな視点で比較することができなくなります。

査定額は同じタイミングで依頼・比較をする

複数社の査定額を比較する際は、依頼のタイミングをずらさないことが前提です。

不動産の市場は常に動いていますし、経済状況によっても査定額は変わってきます。

特に春、秋など転勤が多い時期は物件需要が高まり、査定額も高くなりやすいと言われています。

複数社に査定を依頼する際は、一括査定サイトを使い同時に依頼することをおすすめします。

大手不動産会社以外も依頼する

複数の不動産会社を比較する際、三井のリハウスや東急リバブルといった大手のみ比較する方や、最寄の不動産会社のみ比較する方がいます。

このように大手のみ、中小のみで比較をするのはおすすめできません。

規模が小さい会社の査定額が高いケースも十分あるので、先入観にとらわれず様々なタイプの業者を比較することをおすすめします。

不動産査定書を比較してみる

査定を依頼したら、結果が不動産査定書という形で届きます。

この時、査定額だけをチェックしていてはダメです。

不動産査定書には、それぞれの業者がなぜこの金額で査定したのかの根拠がしっかり書かれています。こちらを確認せずに金額のみを見るのは危険です。

また、査定書の中には自由記入欄もあり、それぞれの業者のコメントも掲載されています。

このコメント欄に定型文しか書いていない業者もあれば、ちゃんと売主に向けた内容を記載している業者もいます。

この内容で業者のモチベーションも測れるので、しっかりチェックしましょう。

囲い込みに注意する

囲い込み

仲介業者と契約する際に、最も注意したいのが囲い込みです。

一般的に、仲介売買は売主が契約している業者と買主が契約している業者が異なります。(片手仲介)

しかし、どちらの仲介もしている大手の場合、売主と買主の契約先が同じ業者になるケースがあります。(両手仲介)

この両手仲介を結ばせるために、わざと外部への情報を遮断したり、レインズに登録しなかったりする悪徳手法が囲い込みです。

囲い込みを受けている場合、営業マンはあの手この手で「値下げを検討すべきだ」などと言い、このままでは売れないと言ってきます。

その後、結果的に自社で契約する買主とのマッチングをはかります。

仲介業者の報酬は仲介手数料ですが、手数料の金額は売却価格に比例して高くなってきます。

しかし、多少手数料の金額が下がっても、両手仲介によって2倍報酬をもらうことが出来るので、業者にとっては得しかないのです。

囲い込みを受けると広告の出稿を制限されたりして、高く早く売る可能性を遮断されてしまいます。

売主にとって明らかにデメリットな囲い込みは、アメリカなど海外では明確に禁止されています。

ただし、日本ではまだまだ取り締まりが甘く、かつ売主も「今、囲い込みを受けている」と気づきにくい現状があります。

その理由のひとつは、日本の不動産業界がまだまだ閉鎖的なこと。一般の方も不動産に関する知識が甘かったり、不動産会社に全般的な信頼をおいていることも閉鎖性を助長しています。

また、日本の不動産業界は慣例・慣習が多く、業界のルールに素人の依頼者が丸めこまれてしまうケースも多々あります。

囲い込みを受けないためには、自分は素人、相手はプロだなど余計なことは考えず、分からないことは分からないとズバッと言う必要があります。

不動産売却の注意点

不動産を売るのは決してプラスばかりではなく、売却によるリスクも存在します。

不動産を売る時にはこうしたリスクも頭に入れておき、しっかり決断する必要があります。

不動産売却のプラスの面だけでなく、マイナスの面もしっかり頭に入れておきましょう。

慎重に売却計画を進める

不動産を売ってしまうと、また購入するしか取り戻す方法はありません。

しかし、一度他人の手に渡ってしまえば入居者の趣味で増改築やリフォームをされますし、乱暴に利用される可能性だってあります。

また、戸建て物件は築年数の経過による劣化が激しいので、手放した当時の物件が再び手に入ることはないと考えて良いでしょう。

税金・手数料を考慮して売却価格を決める

不動産を売ると、各種税金・手数料がかかります。

状況によって費用の総額に違いはありますが、売却価格の1割前後が引かれるケースも珍しくありません。

税金・費用がいくらかかるかを予め知っておかないと、住み替えなどの計画が大きく狂います。

家を失った上で目標額も得られないという状況は避けたいので、事前に税金・費用のシミュレーションもしておきましょう。

悪徳業者と契約しない

不動産の売却価格を見極める上で重要なのが、不動産会社が算出する査定価格です。

プロの見積もりなので信用性が高いと思いきや、計算の仕方や評価のポイントもバラバラですし、見積もり額も各社でブレがあります。

査定価格は「うちの会社ならこれくらいで売却可能」という、あくまで私見になるので、実際の売却益を保証するものでもありません。

実際、不動産を売った方の約4分の1が、査定額を下回る価格で成約をしています。

1社にだけ査定依頼をせず、複数社の査定額を比較して業者を選ぶことが重要になります。

売れ残った場合も考える

どんなに状態が良い不動産でも、運・タイミング次第で売れ残る可能性があります。

不動産売買は買い手がいて初めて成立するものなので、買い手が現れなければいつまで経っても売れない訳です。

特に、不動産は一つとして同じものはありません。

やっと買主が現れたと思っても、彼らの家族構成や趣味嗜好に合わなければ成約は見込めません。

売却が最善の選択とは限らない

中古の不動産が売れる見込みは、時代によってどんどん薄くなっています。

その大きな要因に持ち家需要の低下があります。

一昔前はサラリーマンが30、40代で持ち家を購入するというのは一種のステータスでしたが、現在は主要産業の拠点がどんどん都市の中心部に集まってきたことや、核家族化が進行していることもあり、郊外に持ち家を買おうという人口が確実に減少しています。

この傾向はどんどん進み、2040年代には持ち家率が50%を切ると言われています。

つまり、中古の不動産はじっくり売れば必ずいつか売れるという時代ではなくなってきているのです。

逆に言えば、売却がより難しくなる前に、早めに手続きを進めていくことが重要になるでしょう。

地域や自治体の制限・ルールを知っておく

農地や再建築不可物件など、特殊な不動産は気軽に売却できない決まりになっています。

まずは自分の売りたい不動産が売却可能なのか、不動産会社に問い合わせてみましょう。

京都や軽井沢のように、景観の変化を冒さないように売却を制限されているケースもあります。

売りたい不動産の問題点を洗い出す

不動産を売ろうと思ったら、まずは一通りチェックをして懸念点を洗い出しましょう。

フローリングの傷・凹みや水漏れ・シロアリ被害などがある場合、隠すのではなく不動産会社に伝えて、どう対処するか相談しましょう。

不動産売却には瑕疵担保責任というものがあり、引き渡しから一定期間内に発見された欠陥は買主から売主へ賠償請求できるという決まりがあります。

事前に対応するより引き渡し後に請求される賠償のほうがずっと高額になるので、欠陥を知らないで売る、隠して売るのは売主に何のメリットもありません。

仲介業者も訪問調査でチェックしますが、数時間の調査で欠陥を見落とす可能性もあるので売主自身でもチェックしておきましょう。

名義人が複数いる時のルールを知っておく

不動産1つにつき所有者が1人という訳では必ずしもありません。

兄弟間で実家を相続するケース、夫婦共同で購入した住まいを離婚で売却するケースなど、名義が複数になる事例は意外と多くあります。

こうした共有名義の不動産を売却する際は、単独名義の不動産の売却とは違った手続きになるので注意しましょう。

共有名義の不動産を売却する方法とは?売り方のポイント・注意点を解説

不動産売却のよくある質問

不動産売却のよくある質問をまとめたので、初めて売却を検討している人は参考にしてください。

今回はランドネット株式会社の牧野さんに回答してもらいました。

質問の回答者
牧野 俊

株式会社ランドネット 牧野 俊(第3営業部係長)

  • 出身:埼玉
  • 年齢:38
  • 保有資格:宅地建物取引士

前職は大手賃貸仲介会社にて、お客様のお部屋探しのお手伝いや
賃貸管理オーナー様のサポート業務を行う。
2018年ランドネットへ入社
入社後は不動産の売買営業として、居住用、投資用マンション
土地、一棟アパート等幅広い不動産取引に従事

ランドネットへの売却相談はこちら

相続した物件も売却できる?

相続した物件も、売却することは可能です。

相続人が複数いる場合は、売却に際し相続人全員の同意が必要となります。

ローンが残っている物件も売却できる?

ローンが残っている物件も、売却は可能です。

ローンが残っている物件を売却する際は、売却金額でローンを完済できるか確認しましょう。

売却金額がローンの残債を下回る場合も売却は可能ですが、不足額を自己資金で補う必要があります。

賃貸に出している物件も売却できる?

賃貸に出している物件も、売却は可能です。

投資用物件の場合、賃貸中の状態で取引されることが一般的です。

オーナーチェンジという形で賃貸の契約内容が買主様に引き継がれますので、入居者様も今まで通り変わらずに住み続ける事が可能です。

周りに知られず物件を売却できる?

不動産会社に相談をすればなるべく周囲に知られないように対応してくれることが多いです。

通常の売却だと売り出し中の物件はチラシやWebサイトに広告掲載されるので、周囲に売却を知られる可能性は高いです。

周囲に知られないよう売却活動を行う場合は、広告には出さずに不動産会社に買い取ってもらう、不動産会社の顧客へ内々で紹介してもらう方法があります。

物件に住みながら売却することは可能?

住みながら売却活動を行う事も可能です。

居住用物件の売却で一般的におこなわれている方法です。

売出し後は購入検討者様から内覧の申込があります。

内覧に備えて清掃や不用品の処分など不動産屋さんと事前に打ち合わせをしましょう。

売却価格は途中で変更できますか?

売却価格の変更は可能です。

売出してみたが反響が無い等で価格を下げることはよくあります。

価格を上げたい場合ついては、可能ですが必ず不動産会社と打ち合わせをしましょう。

既に申込が入っていた場合などはトラブルになる可能性もありますので注意が必要です。

不動産売却を成功させる為には不動産会社選びが最も重要

不動産売却は、不動産会社選びが最も重要です。

適当な不動産会社に査定を依頼すると、相場より安い価格で売却活動を行われたり相場と乖離している査定価格で市場に出して売れ残ってしまう可能性があります。

「不動産会社選びが難しい」と感じている人は、一括査定サービスを活用することによって優良企業と不動産売却をすすめていく事ができます。

また「大手不動産会社だから安心!」と思っている人も居ますが、物件の状況・内容によっては地域密着型の中小企業のほうが高い売出し価格で物件を売却してくれるケースもあるので、大手・中小両方に査定依頼を出しましょう。

不動産売却を経験した人達の口コミや評判から不動産会社を評価する方法も一つの手段なので、心配な人は他の人達の意見も参考にしてみましょう。

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