
不動産売却で必要な書類の内容と取得方法を解説!不動産を売る時に必要なものを一覧で紹介
不動産売却には細かい手順があります。
査定をして仲介業者を見つけ、具体的な売却手続きを行うと聞けば、それほど難しくないように思えますが、自分に合った業者とめぐり合うまでには売り手にも動きが必要であり、なかなかハードです。
多数の業者から査定を受け、こちらが優位になるくらいの情報を集めておくのが不動産売却で得をする秘訣ですが、その分だけ必要書類も必要になってきます。
この必要書類の中には、交渉の際に効力を発揮するものなどもあるので、しっかりと準備、保管しておきましょう。

不動産売却の必要書類の概要
不動産売却時に必要な書類は、主に以下の3つに分けられます。
- 売り手に関するもの
- 権利に関するもの
- 物件に関するもの
こうした書類が必要な背景としては、不動産売却が購入者優位の手続きである事が挙げられます。
購入希望者は物件だけではなく、売り手や権利関係の情報を入手して選ぶことができます。それ故、不動産売却時にこのような書類を用意する場合は、主に買い手を満足させるためだと考えてみてください。
物件の特徴を正しく理解してもらうだけでなく、良さをアピールできるような内容になっていれば更にいいですね。こうした資料は内覧のときも役に立ちます!
不動産会社との媒介契約~内覧までの間に必要な書類の内容と取得方法
媒介契約から内覧までの間に必要な書類は、以下の通りです
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 住民票
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 登記済権利書または登記識別情報
- 固定資産税通知書
- 固定資産税評価証明書
- 固定資産税評価証明書
- 土地の測量図
- 建物の図面
- 固定資産税評価証明書
- ※マンション情報が確認できる書類
- その他書類(お持ちの場合提出)
ここからは、それぞれの書類の内容と取得方法を紹介していきます。
身分証明書

媒介契約を結ぶ際には、身分証明書の提出が必要です。
身分証明に利用できるのは、以下のようなものです。
- パスポート
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 外国人登録証明書(在留資格が特別永住者のものに限る)
- 免許証等
- 個人情報カード
- 官公庁・特殊法人などが発行した写真付の身分証明書
- 保険証
- (国民)年金手帳
- 共済年金股は恩給などの証書
- 運転経歴証明書所
たいていの場合、いずれか1点を提出すればOKです。
身分証明書の取得方法
保険証やパスポートなどは、自宅にあるものをそのまま不動産会社に持っていって構いませんが、個人情報・住所は最新のものかチェックしましょう。
もし、氏名が旧姓だったり、住所が以前のままだったりする場合は、最新情報が記載されているものを提出します。
- 住所記載のある給与明細(直近2ヶ月分
- 水道・ガス・電気・NHKなどの公共料金の明細(直近2ヶ月分
印鑑証明書・実印

契約書類の作成には印鑑証明書と実印が必須になります。
この印鑑証明書は取得から3ヶ月以内のものでなければいけません。
また、兄弟で分割した不動産を売却する場合は、代表者だけでなく権利者(共有名義人)全員分の印鑑証明書・実印が必要になります。
印鑑証明書・実印の取得方法
印鑑証明書を発行するには、印鑑を実印登録する必要があります。
身分証明書と印鑑を持参して役所に行き、登録申請をおこないますが、身分証明書として認められるのは運転免許証・パスポートなど、写真付きの公的なものだけです。
社員証、健康保険証は受理してもらえないので注意しましょう。
次に印鑑証明書の取得ですが、以下の書類を使うのが一般的です。
- 登録印鑑証
- 住民基本台帳カード
- マイナンバーカード
詳しくはこちらで解説しているので、合わせてお読みください。
実印登録から印鑑証明書の発行まで考えるとかなりの時間がかかるので、事前に手続きを済ませておくようにしましょう。
住民票

注意して欲しいのですが、媒介契約時に提出する住民票は、売りたい物件のものと、今住んでいる物件のものとなります。
つまり、今住んでいる家を売りたいなら住民票は1枚で良いのですが、相続した物件など、今住んでいないものを売りたいなら、住民票は2枚必要です。
住民票は、身分確認だけでなく不動産の内容確認という意味もあるので、このような仕組みとなっているのですね。
住民票の取得方法
住民票の取得は、基本的に市役所、役所の支所、出張所の3か所です。
市役所は基本的に月~金しか営業していないので、土曜日に出張所で申請するのが一般的です。
本人以外の第三者が住民票を代わりに取得することもできますが、この際、対象者の住所・氏名と第三者の本人確認書類の提示が必要となります。
過去に転居があった場合は住民票の移し替えからおこなわないといけないので、時間に余裕を持って準備しましょう。
登記事項証明書(登記簿謄本)
登記事項証明書は、以前まで登記簿謄本と呼ばれていた書類です。
登記簿謄本は全国の登記所で管理されていましたが、今ではコンピューターで一括管理されています。
登記事項証明書の表題部、「土地」の項目には、地番、地目、地積などが記されており、「建物」の項目には家屋番号、種類、構造などが記されています。
登記事項証明書の取得方法
登記事項証明書は、法務局の窓口で申請すれば1枚1,000円で取得できますが、通常1都道府県に法務局は1か所しかないので、遠くに住んでいる方はネットや郵送を利用することをおすすめします。
マンションの場合は建物の証明書だけでOKですが、家の場合は建物と土地の2枚が必要です。
登記済権利書(登記識別情報)

どちらも同じ内容の書類ですが、2006年以前に発行されたものは「登記済権利書」、それ以降のものは「登記識別情報」と呼ばれます。
登記済権利書は、媒介契約だけでなく、売買契約時の名義変更手続きや、住宅ローンの借り換え時などにも、法務局へ提出します。
登記済権利書は建物と土地で個別となっているので、マイホーム(建物+土地)を売却する際は2冊の準備が必要です。
登記済権利書(登記識別情報)の取得方法
登記済権利書は写しを自宅に保管しているケースもあるので、まずは家を探しましょう。
見当たらない場合は、法務局か司法書士に相談して、取得してもらいます。
※お持ちの権利書を紛失した際の対応などは、こちらにまとめてあります!
固定資産税通知書

不動産の所有者には、評価額に応じて固定資産税が課されます。
固定資産税は1年に4回納付するのが一般的で、その都度通知書が郵送されます。
固定資産税から逆算して査定額を算出したり、売却後の課税額を日割り計算したりするためにこの通知表が必要となります。
固定資産税通知書の取得方法
固定資産税通知書は自宅に郵送されるので、保管をしておけばすぐに提出できます。
通知書の送達は賦課決定の意味もあるので、再発行することは原則できません。
紛失した場合は、該当地域の収税課に連絡して納付書を発行してもらうか、課税明細書の写しを郵送してもらうようにしましょう。
固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書とは、総務大臣が定めた評価基準に基づく評価額を市長が決定し、課税台帳に登録したものです。
3年ごとに 評価替えがおこなわれますが、新築・増改築をした家や交換・分筆・合筆をした土地は翌年度に再評価がおこなわれます。
固定資産税評価証明書の取得方法
固定資産税評価証明書の取得は、窓口と郵送の2種類の方法があります。
窓口取得なら、市区町村の役所やその出張所、駅の証明書発行コーナーで発行してもらえます。
郵送の場合は、該当する市区町村役所に連絡し、以下のものを同封して郵送します。
- 免許証・健康保険証などの写し
- 委任状(第三者が取得する場合)
- 返信用封筒
- 手数料(定額小為替)
同封する手数料は、350円から400円が相場となっています。
詳しい金額は事前に聞いておきましょう。
土地の測量図
家が立っている土地の面積が記されている図です。
この書類は登記所(法務局登記部門)で取得することができますが、測量図が存在しないこともあり、その場合は業者に測量をしてもらう必要があります。
登記所の窓口にいかなくてもインターネットで請求できるので、はやめに測量図の有無を確認しておきましょう。
建物の図面
建物の図面や間取り図は、広告を作成するときの参考資料になります。
こちらの図面も登記所で取得する書類となっているので、全部事項証明書、測量図と一緒のタイミングで揃えることをおすすめします。
マンション売却では建物規則の記載書類も必要

マンションには、喫煙やペット飼育の可否など、物件によってさまざまなルールが定められています。
また、家屋や土地と異なり、共用部分があるため、その分の利用細則や、共用管理費の証明が必要となります。
マンションの売却を希望する際は、以下の書類を追加で用意し、提出しましょう。
- 管理規約・使用細則
- 管理費・修繕積立金
- マンション管理組合費
- 町内会費
また、一戸建てのマイホームを売却する場合は、新築時の設計図・工事記録書などが必要です。
これは、物件が建築基準法に基づき作られたか証明するもので、買主からの信頼アップ効果もあります。
マンションについての書類の取得方法
分譲マンション・マイホームの場合、上記書類を持っているのは管理会社か建築会社となります。
マンションによっては売却時の独自取り決めがあるかもしれないので、書類の郵送依頼の他にも確認をしておきましょう。
リフォーム・検査時の報告書なども提出しよう
以前に物件のリフォームをおこなっているなら、業者から見積もり書が配布されているとおもいます。
また、物件検査をした場合にも、住宅性能評価書や耐震診断報告書などの書類が配布されています。
こうした書類は査定時の資料となる他、PR時の武器にもなるので準備しておきましょう。
まだローン残債がある物件の売却を希望する場合は、ローンの残高証明書も必要です。
登記所から必要書類を受け取る方法
全部事項証明書、測量図、図面は登記所から取得する書類となります。
登記所から書類を受け取る方法は4種類あり、それぞれ費用も異なります。
測量図、図面の場合、取得方法と1通あたりの費用は以下のとおりです。
- 窓口で取得:450円
- オンライン請求後、郵送で受け取る:450円
- オンライン請求後、窓口で受け取る:430円
- 登記情報サービスでデータのみ取得:365円
費用を比べると、ネットでデータを取得するのが最も安くて簡単に思えます。
しかし、データのみでは証明にならなかったり、古い図面のデータがなかったりするので、ネットを利用する場合は事前に業者に確認をとっておきましょう。
時間がとれない場合は業者に所得を依頼することも可能
これらの書類は、本人にかかわらず誰でも登記所で取得することが可能です。
つまり、本人が請求をしなくても、住所さえわかっていれば書類を取得することができるということです。
そのため、登記所に行く時間がないという方は、不動産業者や家族に取得を依頼することもできます。
家の売却が迫ってくると書類集めにかけられる時間がなくなってしまうので、名義人本人でなくても準備ができるものは他者にお願いするのも一つの手です。
売買契約時に必要な書類の内容と取得方法
媒介契約が済むと、仲介業者による販売活動がはじまります。
その後、内覧を経て売買契約となりますが、この際には以下の書類・準備物が必要となります。
- 本人確認書類
- 印鑑証明書・実印
- 登記済証または登記識別情報
- 固定資産税関連書類
- 建築協定書
- 印紙代
- 仲介手数料の半金
- 建築確認通知書
- マンションの管理規約等
上記で紹介した書類もあるので、ここからはそれ以外のものを詳しく紹介していきます。
建築協定書
一部の地域では、以下のような事柄が協定によって定められています。
- 敷地の最低面積
- 敷地の境界線から外壁までの距離の限界
- 建物の耐火性
- 建物の用途
- 建物階数
- 建物の色彩・デザイン
- 設備の設置場所
こうした地域ごとのルールを定めたものが、建築協定書です。
買い手は、物件の新築やリノベーション、リフォームをこの書類を参考にさながらおこなうようになります。
建築協定書の取得方法

所属する自治体の公式サイトに、各地域の建築協定の有無・内容がまとめてあるので、こちらをプリントして持参するようになります。
もしサイトに建築協定の記載がない場合は、役所に連絡して確認しましょう。
印紙代
売買契約時には、印紙税という税金を納付する必要があります。
納付の方法としては、売買契約書の提出分と控えのそれぞれに、売却額に応じた課税額分の小切手を貼り付けるというのが一般的です。
ちなみに、印紙税は売却額に応じて、以下のようになります。
不動産売却代金 | 書類1枚に貼る印紙税額 |
---|---|
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
仲介手数料の半金

仲介手数料は、売却が決定した段階で一次金を支払います。
その残りの半金は、買い手から代金をもらった後に仲介業者へ支払うようになります。
仲介手数料の計算方法と値引きの方法は、こちらに詳しくまとめています。
→仲介手数料の相場はいくら?なぜ払うの?根拠・計算方法・値引きのコツ
建築確認通知書(確認済証)

建築確認通知書は、建物の新築時に提出した建築確認申請書に記載されている事項が、建築基準法の内容と合致していることの確認証明書類です。199年5月以降に発行されたものは、建築確認通知書ではなく確認済証と呼ばれます。
建築確認通知書(確認済証)の取得方法
建築確認通知書(確認済証)は建物の新築時に送付されているので、これを保管しておくのが理想的です。
紛失しても再発行はできませんが、台帳記載事項証明書を代わりに使うこともできます。
これは建築確認台帳の記載内容を転記した証明書で、各自治体で発行してもらえます。窓口で発行する場合は印鑑・委任状は不要ですが、300~400円ほどの手数料がかかります。
売買契約書と重要事項説明書は不動産売却の最重要書類!それぞれの内容と違いは?
売買契約が成立したことを示す最も重要な書類が、売買契約書と重要事項説明書の2点です。
混同されがちな2つの書類ですが、内容には以下のような違いがあります。
- 売買契約書:引き渡し・決済・トラブル時などのルールを記載した書類
- 重要事項説明書:接する道路の種類やインフラなど、不動産に関する重要事項を記載した書類
重要事項説明書は公的・専門的な情報がメインとなるので、基本的には事前に提出した書類をもとに仲介業者が作成します。
一方、売買契約書は売り手と買い手の個人的な取り決めも反映されるため、重要事項説明書よりも自由なフォーマットとなります。
売買契約書の作成方法はこちらにまとめてあります!
不動産売却後には確定申告書作成が必要なケースも!
不動産の売却益が購入費を超える場合、譲渡税という税金が発生します。
この際、譲渡税納付前に確定申告をする必要があります。
確定申告は自分で白紙の書類を準備し、提出するようになりますが、サラリーマンは確定申告経験者がほとんどいないので、特に戸惑うことでしょう。
こちらに確定申告の方法と申告書作成の流れをかなり詳しく記載しているので、参考にしてください!
不動産売却の書類準備は早めに!
ここまで、不動産売却に必要な書類について解説しましたが、お分かりいただけましたか。
不動産売却と聞いたら、多くの人が早く高く売る方法を知りたいと思いますが、その方法の一つに、こうした情報を開示していく事で信頼を勝ち取っていくというものがあります。
また、不動産売却はタイミング勝負の部分が大きくあるので、事前に物件情報に関する書類を手元にまとめておくようにすると良いでしょう。
購入希望者の立場に立った時、どんな情報が欲しいかを考え、先手を取る事が不動産売却成功の近道といえます。
