
厳選10種類の土地活用の方法を紹介!収益性・初期費用やデメリットを徹底比較

以前よりも簡単に運用できるようになったことで利用者が拡大している土地活用。売却や買取をしても高値がつかないような立地でも出来るので、土地を相続して困っている方にもおすすめですよ。
土地活用は資産を手放さず利益を得ることができるお得な方法ですが、初心者には経営が難しかったり、利回りの悪い方法を選ぶと逆に損だったりもするので、しっかり知識を得てからチャレンジするようにしましょう。
ここからは、土地活用の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます!
土地活用の主な方法の費用と利益を比較
土地活用は大きく分けて二種類あります。
まずひとつめは土地を加工したり、機具を設置したりして運用をする方法で、駐車場運営や太陽光パネルの設置がこれにあたります。
もうひとつは物件を建てて賃貸運営をする方法で、初期投資が高額な分、利益も高いです。
土地活用の方法を調べると、その種類は10ほどになります。それぞれの方法と、費用や利益性の違いは以下の通りです。
土地活用の方法 | 初期投資・費用 | 回収の速さ | 転用性 | リスク | 利益 |
---|---|---|---|---|---|
①マンションの経営 | 超高額(土地活用の中で最も初期投資がかかる) | 速い(入居者がいれば毎月一定の賃料収入) | △ | △ | 超高額 |
②アパートの経営 | 高額 | 速い(入居者がいれば毎月一定の賃料収入) | △ | △ | 高額 |
③戸建ての賃貸経営 | 高額(相続物件を活用するならリフォーム代のみで済む) | 契約内容によって異なる | △ | △ | 低額(マンション、アパートに比べると1、2世帯に貸し出すのが限度) |
④賃貸併用住宅 | 超高額(相続物件を活用するなら抑えることは可能) | 契約内容によって異なる | △ | △ | 1、2世帯に貸し出すのが限度なので低額 |
⑤サ高住(サービス付き高齢者住宅) | 高額(相続物件を活用してもリフォーム代+機材導入費) | 契約内容によって異なる | △ | △ | サービス内容によって異なる |
⑥事業用賃貸の経営 | 高額(相続物件を活用するならリフォーム代のみで済む) | 短期(相手が法人だと長期契約になりやすく、期限も順守されやすい) | △ | △ | 高額(個人に貸し出す場合より高額で契約しやすい) |
⑦駐車場経営 | 低い | かなり速い(契約時にお金をもらえる) | 高い(途中で物件を建てる、売却するのが容易) | 特になし | 低い(1件あたりの単価が低い) |
⑧トランクルーム経営 | 低い(小規模のものであれば100万円以下から開始できる) | 速い(入居者がいれば毎月一定の賃料収入) | △ | △ | 低い(アクセスの良い場所であれば高額利益を見込める) |
⑨太陽光発電事業 | 低い(規模が大きくなるほど高コストになる) | 契約内容によって異なる | 高い(パネルを撤去すればすぐ転用できる) | 特になし(立地に関わらず一定額の収入を得られる) | 20年間は固定買取価格が一定 |
⑩貸地 | 低い | 遅い | ケースによる(相手に利用法を一任) | △ | 契約内容によって異なる |
こうしてみると、土地活用のバリエーションは非常に多いですが、どれも一長一短ということがわかりますね。
土地活用の方法10種類のメリット・デメリット
ここからは、主な土地活用の方法のメリット・デメリットを紹介していきます。
どの方法を選べばよいのか、検討中の方はぜひ参考にしてください。
マンション経営のメリット・デメリット
マンションを建てて、入居者から賃料を得る方法です。
建設費が高いですが、家賃もその分高くなるので長期的にみるとアパート経営よりお得です。
ただマンションを経営しても入居者は集まらないので、設備でライバル物件に差をつけることが求められます。
また、注意したいのが常にマンション>アパートという訳ではないということです。
地域によってはアパートのほうが収益をあげられるケースもあるので注意しましょう。
アパート経営のメリット・デメリット
主に木造アパートを建てて貸し出す方法です。
狭い土地でも効率よく収益をあげられるのが大きな魅力。
ただ、アパートも賃料が安ければ入居者が集まる訳ではなく、設備などに気を使う必要があります。
戸建経営のメリット・デメリット
今まで住んでいた家や、空き家になった実家を経営して収益を得る方法です。
すでに所有している物件を利用するなら、かなり初期コストを抑えることができます。
ただ物件につき1世帯しか入居できないので、大きな利益は見込めません。
キレイに利用してくれる保証もないので傷や凹みが付く可能性が高く、最終的に自分の手に戻したい人は注意が必要です。
賃貸併用住宅のメリット・デメリット
住宅の一部に賃貸部分を作り、事業者に貸し出して店舗などにする方法です。
効率よく収益を得ることが出来るので、近年注目を集めている方法でもあります。
ただ、入ってくる事業者との関係は十分注意しなければいけません。
焼肉屋や東南アジア系の店舗だと、臭いがとれず、物件の評価が低くなる恐れがあります。
また、賃貸のタイプとしては特殊ではあるので、エリアによってはニーズがないこともあります。しっかり見極めましょう。
サ高住(サービス付き高齢者住宅) のメリット・デメリット
サ高住は、高齢者の安否確認・生活相談などが受けられるシニア向け賃貸住宅です。
一定条件を満たしていれば補助金や税制優遇を受けられるので、お得に経営できるメリットがあります。
デメリットは、一定以上の設備を準備しなければいけないので、場合によっては初期投資額が大きくなってしまう点です。
トータルコストで損をする可能性もあるので注意しましょう。
事業用賃貸経営のメリット・デメリット
商業ビル・テナントなどの事業用物件の経営は、収益性が高く投資改修が早いというメリットがあります。
賃料を高く設定しやすい他、ゴミ捨てや近隣トラブルなど、通常の居住用物件の経営で起こるトラブルを回避できます。
建築基準法の制限も緩く、アパート・マンション経営が出来ない土地も検討の余地があります。
期限付きの契約になるので、長く定着する法人がないのは、メリットでありデメリットでもあります。
→テナント経営とは?高利回りで人気の理由とデメリット・リスクを解説
駐車場経営のメリット・デメリット
初期コストを抑えられますが、ローリターンなのがデメリットでもある土地活用です。
駐車場経営は月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。
月極駐車場は初期費用を抑えられますが、収益も少なくなります。
一方、コインパーキングは高い収益を見込めますが、機械の購入・導入にコストがかかってしまいます。
アクセスの良い土地ならコインパーキングにするなどの見極めが必要です。
→空き地で駐車場経営を始めたい!メリット・デメリットと成功のコツを分かりやすく解説
トランクルーム経営のメリット・デメリット
土地にトランクルームを設置して、契約者の荷物を保管できるようにする方法です。
専門業者に土地を一括借り上げしてもらう方法と、自費でトランクルームを購入して設置する方法の2通りがあります。
比較的場所を選ばず始められるのが強みですが、エリアによって需要の差が多いので注意しましょう。
→トランクルーム経営は人気だけど収益化しにくい?市場規模とメリット・デメリットを解説
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電は固定価格買取制度(FIT)により、売電価格が20年固定されています。
そのため、長期間の安定収益を得ることが可能です。
ただ、太陽光パネルを定期的にメンテナンスしないと破損などのリスクがあるので、一般に言われているほど「放置しておいても儲かる」訳ではありません。
また、いわゆる日照権などが太陽光発電には適用されないので、いつ日当たりが遮られるか分からないリスクもあります。
→土地活用による太陽光発電のメリットとデメリット・リスクとは?田舎の土地でも安定収入を得られる?
貸地のメリット・デメリット
土地をそのまま貸し出す方法もあります。
コストをほぼかけず、固定資産税対策・税金対策をすることができます。
ただ、借り手の需要によって無数の利用方法があるので、契約時に十分注意しないと大きなトラブルにつながりかねません。
土地の活用方法を選ぶ時のチェックポイント
土地の活用方法を選ぶ時は、土地の状況や周辺環境などを分析した上で最適な方法を見つける必要があります。
土地によっては向いている活用方法と不向きな活用方法があり、安易に活用を進めてしまうと大失敗する恐れがあります。
ここからは、土地活用の前にチェックすべきポイントを紹介します。
収益性
土地の活用方法を選ぶ際には、収益性を必ず意識しなければいけません。
収益は家賃収入や駐車場の契約料など、土地活用の仕組みによって変わってきます。
収益性を考える上で重要な指標が利回りです。
利回りが低いと初期費用を回収できないので、どんな活用方法を選んだとしても不利になります。
ただ、利回りが高い物件でも空室リスクは少なからずあるので、リスクも含めて物件選びをしていきましょう。
その上で、今度は活用の規模を決めていきます。
低リスクで気軽に不労所得を得るのか、マンション投資のように高リスクで大規模運用を目指すのかを決めていきましょう。
初期費用・ランニングコスト
最初に費用がかかるタイプの土地活用は、予算が足りなければ実施できません。
また、アパート・マンション投資は固定資産税・修繕費などのランニングコストも高額なので注意が必要です。
初期費用が高額でも収益性の高い投資をしたいなら、ローンを利用するのがおすすめです。
費用がかかる土地活用は収益もその分高くなるので、長期的な視点で検討することが大切です。
税金優遇
更地に建物が建っていると固定資産税が6分の1に優遇されるので、節税対策のためにアパート経営をおこなっている方は多いです。
トータルコストでチェックしないと一概に良し悪しは判断できませんが、できれば税金が優遇される方法を選択するのがおすすめです。
失敗リスク
土地活用のリスクは、以下の3通りに大きく分けられます。
- 金利上昇のリスク
- 空室増(需要減)のリスク
- 倒壊・欠損などの物理的リスク
アパートローンを変動金利で利用すると、将来的な金利上昇のリスクがつきまとうことになります。
将来的な金利上昇も見越してリスクヘッジをしておかないと失敗する可能性が高いので注意が必要です。
金利変動の他にも、空室や空車が増えるリスクは常につきまとってきます。
競合に勝つために設備を充実させていくと予想外のコストになることも多いです。
他には、土地活用で購入した設備が破損するリスクもあります。
例えば太陽光発電の場合、台風で飛ばされた石や枝でパネルが傷ついてしまう場合もあります。
土地活用は外的なリスクが意外と多く、上手く回避しながら運用していく必要があります。
転用性
土地活用を始めた後に他に方法に変更したり、活用を取りやめたりする際のやりやすさを転用性といいます。
転用性が高いと失敗しそうな時に別の方法を試したり、頃合いを見て売却したりするのが容易になります。
アパートやマンションの経営は一度建てたものを気軽に解体できない上、契約の都合上オーナーの好きなタイミングで退去してもらうのは困難です。
面積
活用したい土地の面積によっては、できない方法もあります。
50坪以下の土地だと土地を大きく使っての大規模運用は難しい傾向にあります。
ただ、狭い土地でも収益をあげられる方法はあるので事前にチェックしましょう。
→狭い土地におすすめの土地活用16選!狭小地でも収益化できる活用方法
立地
立地によっても最適な土地の活用方法は変わってきます。
観光地ならコインパーキングや自動販売機の設置、住宅街なら駐車場活用など、立地に合わせた活用方法を選ぶ必要があります。
用途制限
国はエリアごとに土地の大まかな用途を設定しています。
用途地域が商業地なら基本的に商業用途で活用する前提であり、マイホームを建てようとすると様々な制限があります。
活用したい土地がどの用途になっているのか事前に確認しましょう。
費用・予算で選ぶと収益性は下がる
費用の安い方法でも、高額利益を目指すのであれば、それなりの出費は必要になります。
それでも、貸地や駐車場経営であれば100万円以下に費用を抑えることができるので、まずはこうした方法を試すのがおすすめです。
トランクルームや太陽光発電も比較的安値ではじめることができます。ただそれでも数百万円の費用はかかってしまうので、注意は必要です。
手っ取り早くはじめられるのがこうした活用法のメリットですが、初期投資が安値であればあるほど、収益性も低くなってしまいます。
土地の立地・面積によってその辺は大きく変わるので何とも言えませんが、低費用の土地活用はかなり多くの方がおこなっているので、駐車場経営なども独自のメリットがなければ厳しいでしょう。
借入金を使って賃貸経営に挑戦するのもおすすめ
土地はそれ自体が固定資産なので、本来は1億円以上の費用がかかるマンション経営も借入金を使えば費用を2割程度に抑えることも可能ですよ。
借り入れを使って資産運用する方法はレバレッジとよばれ、リスクは大きくなりますが、利益もその分高いです。
100万円の初期投資でトランクルーム運用をしても、10万円の年利益しかないのであれば、利回りは10%です。
しかし、土地を担保にして計1000万円の資金で大きなトランクルームを運用すれば、10%の利回りでも年利益は100万円になります。
こうなれば、自己投資額をたった1年で回収でき、それ以降も大きな利益をあげることができます。
このように、ある程度リスクを取り、希少性の低い方法を試す勇気が土地活用では必要です。
利回りと転用性も考慮する
土地活用の中でも特に賃貸経営を選ぶ方は、回収期間と転用性にも着目するようにしましょう。
アパート・マンション活用は10%の利回りを目安としています。
この目安に届くかどうかが、逆に言えば土地活用などの不動産投資をおこなうかどうかの基準になります。
資金回収まで10年ときくとそこまで悪くない話に聞こえますが、たとえばアパートを賃貸運営しても常に部屋がうまっているとは限らないので、実際は資金回収に10年以上時間がかかることが多いです。
マンション市場では築10年を一つの基準としており、10年を過ぎると古いイメージがついてしまい、利益はガクッと落ちてしまうので、新しくサービスを提供してすぐに初期投資を回収しないと損失が大きくなりがちです。
また、転用性の高さも重要です。
運用が上手くいかない場合は見切りをつけて違う方法を試す、売却してしまうといった柔軟な対応が必要となるので、チェックしておきましょう。
どんな活用方法でもフル稼働は難しい
初期費用が物件経営より安い太陽光発電なども回収期間は10年が一般的です。
いくら転用性が高い太陽光発電でも、回収しなければ意味がないので10年は続ける覚悟が必要でしょう。
トランクルーム経営なども10年が目安となっていますが、全ての部屋がフル稼働されることはまずなく、10年以上かかるのが普通です。
そう考えると、回収期間と転用性を考えるのはもちろん大切ですが、利益を考えると、ある程度犠牲にしなければならない要素でもあります。
それでも慎重に動きたいのであれば、一旦土地を自分で活用しつつ、可能性を探っていくのが良いでしょう。
土地活用は利益と安全性のどちらを優先すべき?
賃貸物件の運営が失敗した場合の損失は測りしてないものがあります。
「いくらリスクをとったほうが高利益になるといっても、損失額を負担するのは無理…。」という方は、建物を建てないでおこなう土地活用がおすすめです。
ただ、最もリスクが小さい貸地は数十年単位の契約を借主と結ぶので、転用性は極めて低いというデメリットがあります。
このように、リスクや転用性が気になる方は、そもそも土地活用自体があまり向いていないという可能性もあります。
売却や自己利用のメリットとしっかり比較して、なぜ土地活用をおこなうのかという根拠を明確にしましょう。
高い収益を目指すなら失敗するリスクも上がる
「どうせ土地活用をするならば、高額利益を目指したい!」という方は多いです。
ネット上には不動産投資の体験談が溢れるようにあり、それに感化される人も年々上昇しています。
上記で挙げた土地活用の中で収益性が最も高いのがマンションや店舗併用住宅などの経営です。
ただ、これらの方法も投資をしたからこそ結果が出るわけでなく、立地が結果に大きく影響します。立地が悪ければ希望者の目に触れることもないので、難易度はかなり難しくなります。
また、借入金を使えば初期投資が何とか賄えるとはいえ、返済額・利息負担も膨大なので注意が必要です。
順調に運用していかないと、少しのきっかけで大失敗してしまいますよ。
土地活用で失敗しないための注意点
土地活用で失敗しないために、事前にポイントを抑えておくことが大切です。
ここからは、失敗を防ぐポイントを紹介していきます。
土地の状態に合わせて活用方法を選ぶ
土地活用には時期によってトレンドがあるものの、あなたの土地がその活用方法に向いている保証はありません。
立地条件や法規制、面積や形状に合わせた方法を選ぶことが、土地活用を成功する一番の近道です。
トレンドと土地の個性が異なるだけでなく、業者が提供する活用方法が土地の個性と異なることも少なくありません。
業者は自分たちが得意としている活用方法を提案してくる傾向にあるので、必ず複数社の提案を比較するようにしましょう。
長期的な視点で選ぶ
少額コストで始められる活用方法に初心者は飛びつく傾向があります。
ただ、長い目で見るとこうした方法は十分な収益をあげられず、後悔する可能性があります。
アパート経営などは最初に上質な素材を購入しておくほうが、長期的な収益は高くなります。
用途地域をチェックする
土地の用途地域を事前に必ずチェックしましょう。
用途地域によって建ぺい率・容積率などの条件が異なるので、事前に把握しておかないと途中で失敗する恐れがあります。
土地活用はリスクに注意しておこなおう
挙げられる限り最多の10の活用方法を紹介していきました。
何に注目するかによって大きくおすすめの方法が変わるのが分かったでしょうか?
これまで、土地活用は相続税の節税方法として有効だと言われてきましたが、法改正によって現在はそうともいえなくなってきました。
このように、今おすすめの方法が将来もずっと良い方法だとは限りません。前述の通り、最低10年のスパンで考えていかなければいけないので、長い目でしっかりと方法を選ぶようにしましょう。