土地を売る際は基本的に不動産会社に仲介を依頼します。
ただ、売主は何もしなくて良い訳ではありません。
売る方法・ポイントを事前に知っておくことで、高く売ることが可能になります。
今回は不要な土地を売りたいと思った方のために、売却のポイントを解説していきます。
→土地を高く売る15のポイント!高額売却したいなら絶対チェック
土地売却の流れ
土地を高額で売りたいなら、仲介業者と契約して販売活動を委任するのが一般的です。
業者の仲介で土地を売る場合、手続きの流れは以下が一般的です。
土地売却の流れ
- 【Step1】土地の相場を調べる
- 【Step2】土地の査定
- 【Step3】媒介契約
- 【Step4】売却開始
- 【Step5】売買交渉
- 【Step6】売買契約締結
- 【Step7】決済、土地引き渡し
また、土地の場合は引き渡しまでの段階で測量・境界測定をおこないます。
→
土地を売る時は測量・境界確定が必要?測量費用・流れを徹底解説それぞれの手続きに関しては、こちらの記事で詳しく紹介されているので、合わせてご覧ください。
→土地売却の流れを査定から引き渡しまで解説
それぞれのSTEPについて詳しく説明していきます。
[STEP①]市場調査
土地を売却する最初のSTEPは市場調査をすることです。
売却予定の土地の価格目安・相場はいくらなのかをまずは確認しましょう。
土地の査定価格は各不動産会社が自社のルールに基づいて価格を決めるので、悪徳不動産会社に捕まってしまうと土地が本来持っている価値よりも安価な値段で売却することになってしまいます。
事前に土地の相場を調査しておくことで市場価格に沿った値段で土地を売却することが出来ます。
[STEP②]土地査定
市場調査が終了したら、実際に不動施案会社に土地査定を依頼しましょう。
土地査定をする際は、合い見積もりをすることによって高額で売却できる不動産会社を見つけることが出来ます。
ただし、一社毎に土地査定の依頼を出すのは大変な労力を割くことになってしまうので、一括査定を利用するようにしましょう。
一括査定であれば、一度の申請で複数の不動産会社に土地査定の依頼を出すことが出来るので、簡単に合い見積もりをすることが可能です。
[STEP③]媒介契約
不動産買取ではなく、不動産仲介を利用する際は不動産会社と土地の売却をしたい人の間で媒介契約を結ぶ必要があります。
媒介契約
不動産仲介会社に土地の買主を探してもらう際にする契約です。
土地の売却価格や買主を探す期間などを決めます。
家の売却ではなく売却を手伝ってもらう契約書になります。
媒介契約書を結べば、不動産仲介業者が土地の買主を見つけてくれます。
[STEP④]売却開始
不動産仲介業者が土地の買主を見つけてくれたら、土地の売却について実施していきます。
買主が土地の現状を直接確認しに来るので立ち合いが必要であれば、売主は見学の立ち合いをしましょう。
土地の売却であれば不動産などとことなり施錠等の防犯対策をする必要がないので、必ずしも立ち合いは必要ありません。
立ち合いの有無について媒介契約時に不動産仲介業者に事前相談をしておきましょう。
[STEP⑤]売買交渉
土地購入の希望者が見つかったら、売却価格と売却の時期についての交渉を実際にしていきましょう。
建物付きの土地であれば撤去費用などの相談もこの時に同時に行います。
不動産仲介を通して相談はすることが出来ますが、実際の売買が成立するかどうかは交渉によって変わります。
[STEP⑥]売買契約
土地の売買交渉が完了したら、実際に土地の売買をしましょう。
土地の売買をする際は売買契約の締結が必須です。
売買契約を結ぶ際は、土地の売主・買主・不動産会社が1カ所に集まる必要があるので、事前にスケジュール調整をしっかりと行っておきましょう。
契約書を結ぶ際は、収入印紙の貼り付けが必須なので契約日までに準備しておきましょう。
必要な収入印紙の金額は売却する価格によって異なり200円~60万円分が必要です。
[STEP⑦]決済・引き渡し
契約の締結が完了したら、金銭と引き換えに土地を引き渡しましょう。
土地の売却によって利益を得た場合は必ず確定申告を行う必要があります。
土地の売買などによって得た利益は大きく納税を行っていないばあいは、高額な追徴課税を求められてしまいます。
土地を高く売るポイント
この記事の監修
アネシスプランニング株式会社 代表取締役
住宅コンサルタント。住宅セカンドオピニオン。
大手ハウスメーカーに勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入・売却などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、これまでに2500件以上の相談を受けている。
東洋経済オンライン、ZUU online、ホームフォーユー、スマイスター、楽待などのWEBメディアに住宅、ローン、不動産投資についてのコラム等を多数寄稿。
著書に『不動産投資は出口戦略が9割』『一生役立つ「お金と住まい」の話』『不動産投資の曲がり角 で、どうする?』(クロスメディア・パブリッシング)がある。
土地は、建物のように間取りやデザインというものがないので、立地(駅までのアクセス)や面積と比例して価格が付けられます。
建物よりも査定額と売却額のブレが小さいですが、それでも工夫次第では当初の見積もりよりも高く売ることができます。
ここからは、土地を高く売りたい方のために、抑えておきたい以下のポイント8つを解説していきます。
売却期間を長めに設定する
不動産売却は申し込み→査定→契約→販売活動→売買契約→引き渡しまで3ヶ月~半年ほどかかるのが一般的です。
ただ、土地の場合は測量・境界確認が加わるので、大体プラス3~4ヶ月はかかると見たほうが良いでしょう。
よく、はじめて土地売買をする方で、「1ヶ月売れないから業者を変えた」という声がありますが、業者のPR活動の良し悪しを判断するには時間とタイミングが必要でもあります。
もちろん気長に売るのが良いわけではなく、次に説明しますが利益面を考えると早期売却が絶対お得です。
ただ、単純に良い土地だから早く売れるというわけでもないので、もし目標期間内に売れなかったらどうするのか、選択肢をいくつか考えておくと良いでしょう!
短期間で売る
土地の所有者は毎年固定資産税・都市計画税を支払う義務があります。
土地を持っている間は税金がかかり続け、もちろん売却期間中も課税されます。
つまり、早く売れば売るほど税金が減り、トータルの利益が増えるのです。
※土地にかかる税は1年単位で課されますが、年の途中に引き渡した場合は引き渡し日までの税金を売り手が、引き渡し日から締め日までの税金を買い手が日割り計算の上で支払います。
専任媒介契約を選ぶ
仲介業者と契約を結ぶことを媒介契約といいますが、契約には以下3つの方法があります。
※→不動産売却における専任媒介契約と一般媒介契約の違い
3つの中で最もおすすめなのが、専任媒介契約です。
まず一般媒介契約は複数社と契約する方法ですが、仲介手数料は1番早く成約した1社にのみ支払われるので、業者のモチベーションが低いです。
逆に専属専任媒介契約は販売活動に最もお金をかけてくれますが、縛りが強く、途中の契約解除などがやりにくいです。
特にこだわりがない方は、バランスの良い専任媒介契約を選びましょう。
※中には、一般媒介契約を結ぶほうが高く売れるケースもあります。詳しい説明はこちら!
→不動産売却で一般媒介を選んだほうがいいケース
事前に土地相場を調べておく
「土地を高く売りたい!」という方は、そもそも何をもってして”高く売れた”と言えるのかを考えましょう。
失礼な言い方ですが、東北地方の郊外の土地が都心の一等地よりも高く売れることは99%ありません。
高利益を目指すのは間違っていませんが、ある程度分をわきまえた価格設定をしないと買い手がつきませんし、結果的に損です。
そのため、土地を売る際は周辺ではどれくらいの価格で売れているのかの相場を調べておきましょう。
土地相場を調べる代表的な方法は以下の3通りです。
- 不動産ポータルサイトを使う
- 土地総合情報システムを使う
- 不動産一括査定サイトを使う
初心者でもできる不動産相場の調べ方はこちらに詳しくまとめてあります!
→不動産売却相場の調べ方を一挙公開!マンション・家・土地のタイプ別おすすめ方法は?
古家付きの土地は更地にせず売却する
不動産を相続した場合、土地の面積も広くアクセスも申し分ないけれど、上にボロボロの木造物件が建っていて見映えが悪い…ということが良くあります。
普通の考えなら家を建て壊し、土地をならしてから売ったほうがウケが良いように感じますが、なるべくなら家が建ったまま売ってしまうのがおすすめです。
土地を探す個人の方は、ほとんどが新築物件をその上に建てる目的でいます。
いくらボロボロの家でも、ある程度の高さの建物が土地に建っていることで、彼らが日当たりの良さや庭の広さなどを具体的にイメージしやすくなります。
詳しくはこちらにまとめてあるので、合わせてご覧ください!
→古家付き土地売却がおすすめな理由
土地を合筆して売る
土地は建物と違い、大きなものがまるまる1つあるわけではありません。小さな土地に区切られている、細かく所有者ごとに分かれているという場合も良くあります。
この場合、隣り合った土地を一つにまとめて売る合筆という方法がおすすめです。
一般的に狭い3つの土地を売った合計額よりも、一つにまとめて広い土地を売ったほうが高利益となります。
分割相続をした場合も、合筆して得た利益を分けたほうがお得です。
ただ、合筆にはやり方・ルールがあるので、こちらを事前にチェックしましょう。
➝土地の合筆は自分でおこなうべき!費用はどれくらいかかる?
質の悪い売れない土地なら「損切り」を目指す
逆説的な言い方ですが、どうしても高値で売れなそうな土地は、逆に高値へのこだわりを捨てることで利益を最大化できます。
最近は不動産の買い手の目も肥えてきて、適正価格以下でなければなかなか買ってくれなくなりました。
そのため、査定額の低い土地を高額で売り出しても、買い手が全くつかないケースがほとんどです。
それならば、高額で売ることを目指すより、取り敢えず税金の支払いを早期にストップさせる(損切り)ほうがトータルでお得です。
土地売却は最大で5年かかることもあります。努力をして査定額よりも少し高く売れても、5年分の固定資産税・都市計画税を差し引けば、損切りした場合より利益が少ないことも良くあります。
不動産一括査定サイトを活用する

現在、土地を高く売りたい方の必須ツールとなっているのが、一括査定サービスです。
平均最大6社に無料で査定を依頼することができ、査定額を簡単に比較することができます。
従来は近くの不動産屋を探し、提出書類を揃えて来店する…という作業の繰り返しだったのが、このサービスを使えば平均60秒で対応業者の絞り込みもおこなえるのが大きなメリットです。
土地は基本的に査定額=成約額ですから、査定額の高い業者と契約すれば、その分だけ高く売ることができます。
こちらにおすすめの査定サイトを紹介しているので、ぜひ参考にしてください!
→不動産一括査定サイトおすすめランキング!不動産売却におすすめの33社を比較【2022年最新】
土地相場を調べる方法
土地を売却する時、不動産会社に仲介依頼をして売却する方法が主ですが、中には、業者買取を選択される方もいます。
前者の方法で土地を売却する場合、市場に出す売値は売り手が自由に決めていいということになっています。
しかし利益ばかりを重視して売値が高すぎれば、買い手が付かずいつまでも市場に残ってしまいます。
そうならないためにも、まずは土地価格の相場をチェックしていくらで売れているのかを調査する必要があります。
路線価をチェック
路線価とは、国税庁が公表している財産評価基準書を基に定められた相続税や贈与税の算出の際にも用いられる土地の評価額です。
毎年7月初頭に国税庁が公表しています。
※画地補正率とは、土地の奥行きなどを考慮した数値です。
路線価を用いた土地価格調査の手順
- 【Step1】「路線価図・評価倍率表」にアクセス
- 【Step2】土地の所在地に該当する都道府県を選択
- 【Step3】路線価図を選択
- 【Step4】土地の所在地に該当する市区町村を選択
- 【Step5】土地所在地に対応した地図が表示される
- 【Step6】道路部分に記載されている数字(例:330C)などを確認
- 【Step7】「路線価=表記されている数字×1,000(円)」で路線価を算出
- 【Step8】路線価を用いた土地価格の算出法を用いて算出
公示地価(公示価)をチェック
公示地価(公示価)は、国土交通省が公表している「標準地・基準地検索システム」上にある評価額を指します。
毎年元旦時点までで得た調査結果を、その年の3月に公表しています。
※「1.1」という数字は、土地価格が公示地価の1.1倍にあたる場合が多いことから来ています。
公示価格を用いた土地価格調査の手順
- 【Step1】「標準地・基準地検索システム」にアクセス
- 【Step2】土地の所在地に該当する都道府県を選択
- 【Step3】土地の所在地に該当する市区町村を選択
- 【Step4】対象欄を「地価公示」と「都道府県地価調査」の両方に設定
- 【Step5】その他の条件を入力
- 【Step6】公示地価が表示されたら、「公示地価×土地の面積×1.1」を用いて土地価格を算出
固定資産税評価額をチェック
固定資産税評価額とは、固定資産税・都市計画税の2つの税金の額面を算出する目的で使用する評価額です。
固定資産税評価額は、毎年4月初旬に届けられる「固定資産税課税明細書」に記載されている納付額や、一般財団法人資産評価システム研究センターが公表している固定資産税路線価のいずれか用いて算出します。
※1「0.7」という数字は、固定資産税評価額が公示価格の約7倍であることから
※2「1.1」という数字は、土地価格が公示地価の1.1倍にあたる場合が多いことから来ています。
固定資産税評価額を用いた土地価格調査の手順
- 【Step1】納税通知書の「課税明細書」という項目中の固定資産税評価額を確認
- 【Step2】「固定資産税評価額÷0.7×1.1」を用いて土地価格を算出
土地売却でかかる税金・費用
土地を売るときにも費用を支払わなければいけません。
つまり、土地が高く売れたからといって、その額をまるまる手にすることができます。
土地を持っていたときは処分するまで税金がかかりますが、売った後の費用は一時的なものですし、高額な売却代金があるので支払いは苦ではないです。
ただ、これらの費用と支払いのタイミングを知らず、売却益を引っ越し費用やローンの返済に使ってしまい、結果売る前よりも経済的負担が増えたという方もいるので要注意です!
→土地売却にかかる税金まとめ!節税方法と特例・控除も徹底解説
①仲介手数料
土地を売ったときにかかる費用のうち、最も高額なのが仲介手数料です。
売買契約が成立したあと、販売活動・営業をしてくれた不動産会社に対して支払う報酬のようなもので、法律上は以下の金額が上限額に設定されています。
取引額 |
仲介手数料(法定の上限額) |
200万円以下 |
売却額×5% |
200万円超400万円以下 |
売却額×4%+2万円 |
400万円超 |
売却額×3%+6万円 |
法的の上限額といっても、実際は売値に対してこの表のまま請求されることが多く、値下げ交渉などもほとんどの業者が受け付けていません。
土地が300万円で売れたとしたら、その5%の15万円を支払わなければいけません。かなりの痛手ですよね。
三井のリハウスなどの大手業者の中には、仲介手数料の値引きサービスを提供しているところもあります。詳しくはこちらにまとめてあるので、合わせてご覧ください!
➝仲介手数料の相場はいくら?なぜ払うの?根拠・計算方法・値引きのコツ
②印紙税
印紙税は、売買契約書に貼りつける印紙代のことです。
この印紙税も、土地がいくらで売れたかに比例して、課税額が以下の通り設定されています。
売却額 |
課税額 |
10万円~50万円 |
400円 |
50万円~100万円 |
1,000円 |
100万円~500万円 |
2,000円 |
500万円~1,000万円 |
1万円 |
1,000万円~5,000万円 |
2万円 |
5,000万円~1億円 |
6万円 |
1億円~5億円 |
10万円 |
5億円~10億円 |
20万円 |
10億円~50億円 |
40万円 |
50億円超 |
60万円 |
印紙は買い手へ提出する分と控えで持っておく分の2つに貼り付けるので、支払う費用はこの表の数字×2となります。
印紙税を節約するコツとして、控えの分は印紙のコピーで済ませる方法もあります。ただ、2枚の契約書に食い違いがあった際などは、コピーのほうが証明力は落ちるので気を付けましょう。
③譲渡所得税
購入時の費用より売却額のほうが高かった場合、譲渡所得税が課されます。
不動産は普通購入時よりも売却時のほうが価格は安くなるので、この税金が課されるケースは稀です。
譲渡所得税がいくらかかるかは、こちらの計算式で求めることができます。
譲渡所得税=※課税譲渡所得×税率
※課税譲渡所得=譲渡価額(売却代金) -取得費(購入費用)-譲渡費用(売却費用)
税率は、所有期間(土地の取得日から売却した年の1月1日まで)が5年以下(短期譲渡所得)か5年超(長期譲渡所得)かによって、税率が変化します。
| 所得税 |
住民税 |
合計税率 |
短期譲渡所得 |
30% |
9% | 39% |
長期譲渡所得 |
15% |
5% | 20% |
→
不動産売却は短期譲渡のほうがお得?長期譲渡税との税率の違いを解説ただ、相続した土地などはいくらで買ったかわからない場合も多く、計算できないケースもあります。
この際は売却価格の5%が取得費(売却益-購入費)となるので、多額の譲渡所得税が発生してしまいます。
相続した土地を売るときには、なるべく古い資料も集めるようにして、こうしたリスクを避けましょう。
④消費税
土地を売るときに消費税がかかるかどうかは気になるところですが、個人がすでに所有している土地を売却する場合は、消費税非課税となります。
ただ、法人が土地を売却するときには消費税がかかってしまうので要注意です。
個人の土地売却は消費税非課税ですが、仲介手数料は消費税の課税対象となっています。
その他、代金決済時の手数料や登記時の司法書士への報酬なども課税対象となるので注意しましょう。
※土地売却と消費税の関係はこちらで詳しくまとめてあります!
→土地を売却する際に知っておきたい消費税のしくみ
土地売却の必要なもの
土地を売る際は、必要書類を取得して提出する必要があります。
必要書類の取得には時間がかかることも多いので、早めに対応するのがおすすめです。
土地売却時の必要書類は以下の通りです。
- 身分証明書
- 実印・印鑑登録証明書
- 不動産の全部事項証明書
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- 土地測量図・境界確認書
すべての書類が絶対に必要とは限りませんが、特に土地の状態を証明する書類はいつ提出を求められるか分からないので、出来るだけ揃えておきましょう。
土地測量図・境界確認書は時間がかかりがちなので、早めに取得することをおすすめします
身分証明書
住民票だけでなく免許証や健康保険証の様な身分を公的に証明できる証明書の提出が必要です。
住民票などは市役所などから発行してもらう必要があるため、土地の売却直前ではなく事前に準備しておく必要があります。
ただし、身分証明書として認められるためには発行してから直近3ヶ月以内である必要があります。
また、運転免許証の場合は有効期限を超過している場合は認められないので注意しましょう。
実印・印鑑登録証明書
土地を売る際は、売却の契約を結ぶ必要があります。
契約書を結ぶ際は認印ではなく実印で契約する必要がるので、印鑑登録証明書と一緒に実印を準備しておきましょう。
実印を持っていない人の場合は実印の作成と市役所への登録を事前に行っておくようにしましょう。
不動産の全部事項証明書
不動産の情報が記載されている、不動産の全部事項証明書の提出も必要です。
全部事項証明書によって抵当権の有無を確認することが出来るので必ず提出が必要な書類の一つです。
全部事項証明書の抵当権が抹消されていない場合は、土地を売ることが出来ないので注意してください。
登記済権利証または登記識別情報
土地の所有者だけが持つことが出来る土地の身分証明書です。
書類として発行されている場合と12桁のランダムな数字とアルファベットの組み合わせでオンライン発行されている場合があります。
土地の売却が完了し、所有権の登記を変更する際に必要な情報となります。
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
土地の納税がしっかりと行われているか、いくら税金がかかっているかを証明する書類です。
登記の変更をする際や売却した年の税金を計算する際に必要です。
土地を購入した人が維持費にいくらかかるのかを把握するためにも提出が求められます。
土地測量図・境界確認書
土地の大きさや近隣住民と土地を巡ったトラブルになった際に土地の境界を証明するために必要な書類です。
新しい建物であれば、土地測量や境界確認書がありますが、古い土地であれば10年以上も更新されていない場合やそもそも実施されていないケースもあります。
土地の大きさによって売却価格が変わるので事前に準備しておきましょう。
土地を売る時に必要な準備
土地をいきなり売り出すのではなく、事前に準備をしてから売り出したほうが売却成功の可能性は高くなります。
ここからは、土地を売る前にすべき準備を整理していきます。
土地を売る理由・目標を整理
土地を何のために売るのか、目標のためにはいつまで、いくらで売るのが良いのかを整理しましょう。
いざ不動産会社に相談しにいくと、良さそうな検査サービスやオプションをどんどん進められて費用がかさんでいってしまう可能性があります。
また、売れ残りが続いて業者が値下げを提案してきた時、最初の目標を下回る金額まで下げてしまっては、手放す意味がなくなってしまいます。
最初に目標を明確化し、ぶれずに売っていくことが大切です。
土地の測量
土地の面積が登記簿に載っていないときは、測量をしないと売ることができません。
→
土地を売る時は測量・境界確定が必要?測量費用・流れを徹底解説ただ、登記簿に地積が載っている場合でも、売る前に測量をしておくのが理想的です。
理由はまず1つに、登記簿の地積と実際の地積が異なるケースがあるからです。
もし実際の地積が登記簿より狭いと売却額は査定額より安くなります。
逆に実際の地積のほうが広いと高く売れますが、買い手からすれば話が違うわけで、契約直前で断れることが多いです。
次にしっかり近隣との境界を定めておけば、ご近所とのトラブルを防ぐことができます。
もしあなたがご近所と土地の境界についてしっかり話しあっていないなら、新しい所有者がこの話しあいをしないといけません。
それはやはりストレスなので、面倒でも関係性のある前の所有者が話しあいを済ませておくほうが、買い手は喜びます。
➝土地の境界トラブルの原因と解決法をご紹介!
地盤調査
2011年の東日本大震災に2016年の熊本地震と、近年大きな地震が相次いで発生しています。
今後、首都圏や東海地方で大規模な地震が予測されており、不動産の買い手も耐震性を強く意識するようになりました。
買い手を安心させるためにも、地盤調査を業者に依頼して、報告書でお墨付きをもらいましょう。
「このへんは地盤が頑丈なんですよ」と話しで聞くよりも、やはりしっかりとした証明書類があるほうが、効果があります。
➝土地を売る前に地盤調査するべき?
地質・地歴調査
昔近くに病院や工場があった場合などは、地質が汚染されているケースが多いです。
その土を使って育てた野菜を口にしたりすると危険なので、できれば地質調査をしておきましょう。
また、地質調査と合わせて、近くの役所で土地関連の古い資料を閲覧するのもおすすめです。
昔が農地や工業地だった場合は地盤・地質に問題があるので、寄付など売る以外の方法をとるのが無難です。
昔祖父母から聞いた話と全く違う結果だったということもあるので、なるべく資料を見ておきましょう!
水道管のチェック
相続した土地に新居建築目的の買い手がついた場合は、水道のチェックを忘れないようにしましょう。
管が古い、今のタイプと直径が違う、敷地を跨いで水道管が通っているというケースがあり、買い手が家を建てられない危険性があります。
売り手からすれば関係ない話のように思えますが、瑕疵担保責任があるのでペナルティを受けてしまいます。
早めにチェックをすれば、水道工事を価格に上乗せするといった対策も立てられるのでおすすめです。
➝土地売却時は水道のチェックを忘れずに
土地に埋まった古い杭のチェック
古い土地には杭つきのものが多いです。
これは、建物の荷重を支える目的で埋められたものが多いですが、新居を建てる際に邪魔になったり、自分で勝手に抜いて不法投棄に該当してしまったりと、放置していても良いことがありません。
些細なことですが、引き渡し前に必ず杭抜き工事をしておきましょう。
➝土地を売却する際に杭抜き工事は必要?
訳ありの土地を売却するときの注意点
不動産会社に仲介売却の依頼をしたり、買取依頼をすれば、高確率で土地売却が成立するということはなく、買い手の需要やエリア環境・状況などの要素が左右して決まるエリア需要度の高さによって成立するか否かが変わってきます。
中でも「訳ありの土地」を売却する時は、買い手が付かないというよりもトラブルに発展することがあります。
ここでは、訳アリの土地を売却する時に気を付けることを、それぞれの土地の特徴に合わせて解説します。
隣接地との境界が明確じゃない土地の売却はトラブルの元
土地を売却する前に、隣接する土地との境界線を明確化しておかないと、相手の土地財産を減らすなどの行為に繋がってトラブルに発展します。
土地境界線を明確化するには、「境界標」というコンクリートなどで作られた杭を土地の境界線に当たる角に打ち込むことと、隣接地との境界が明記された「境界確定図」の取得することで境界線が明確化します。
もし「境界標」がない場合は、土地家屋調査士に依頼して設置をお願いしましょう。
土地を売る時は測量・境界確定が必要?測量費用・流れを徹底解説
農地を売却する時の注意点
農地は、国の政策の一環であるため、個人都合で勝手に売却できません。
売却手続きを組むなら、農地を管理している農業委員会に土地の種類を確認してもらい、売却の承認を得ることで売却へと至ります。
また農地を宅地に変える場合は、農業委員会からの許可と宅地変更等の届け出を提出することで認可が下ります。
農地を売却する方法!田んぼや畑を売る手続きの流れ・売買の条件
山林を売却する時の注意点
山林を売却する場合、農地のように土地を管理している委員会や自治体に認可を求める必要がありません。
しかし、活用用途が限定されるほか、造成費用がかさむため、買い手が見つかるまでかなりの時間を要します。
仮に買い手が見つかったとしても、立木にかかる「山林取得」や土地部分にかかる「譲渡所得」の2つを計算して税負担額を算出しなければなりません。
計算がやや複雑なので、売却前に税理士に依頼しておくのがいいでしょう。
山林を売る方法3選!売却の流れと注意点を徹底解説
田舎・遠方にある土地を売却するときの注意点
地元から遠方にある土地や、親族から相続した土地が田舎にある場合は、持ち回り契約と信用できる方に売買契約を締結してもらう方法の2つがあります。
持ち回り契約
持ち回り契約とは、仲介売買を引き受けた不動産会社が売り手・買い手の両者の元に尋ねるか郵送で両社から売買契約書に押印、サインを頂いて契約を締結させる方法です。
現地に赴かず売買契約ができる一方、契約書を会社側が持ちまわっている間に買い手の意向が変わる可能性があります。
仲介を依頼する会社は必ず、信頼に足る不動産会社を選ぶことです。
代理人を立てて売買を締結する
土地売買は、代理権を付与した代理人に売買契約の締結を依頼することで契約締結に持っていくことも可能です。
代理人を立てるには、代理権委任状を作成する必要があります。
代理人を立てることは、委任した本人が法的に行ったことと見なされるため、代理人は、親族や信用できる専門家、不動産会社のいずれかから立てるのがおすすめです。
また代理人を立てる前に一度、面会して信用に足るか否かを見定めましょう。
もし不動産会社を代理人に立てるなら、媒介契約は、1社専任で買い手を探してくれる専任媒介契約か専属専任媒介契約のいずれかで結ぶのがベストです。
遠方の不動産を売却する方法・流れ!現地に行かなくても書類を郵送提出できる?
共有名義・賃貸中の土地を売却する時の注意点
所有している土地を親族複数人の共有名義で所有している場合や、第三者に貸し出している状態で土地売却を行う上で気を付けることが多々あります。
共有名義での土地売却
共有名義の土地を売却するには、名義者全員の同意を得なければなりません。
具体的手順は、売買契約書に共有者全員の署名・捺印を行った後、共有者全員の合同売却を得ることで締結します。
売買契約書に共有者全員の署名・捺印を行う時に、名義人が全員揃うのは難しい場合は、名義人1人を代表者にして、他の名義人からは委任状を作成して手元に取り寄せることで全員揃わずとも売買ができます。
また名義人全員の同意が得られずとも、共有持ち分のみを売買することができます。
共有名義の不動産を売却する方法とは?売り方のポイント・注意点を解説
賃貸中の土地
貸し出し中の土地を売却する場合、貸し出しの状態で売買する方法と借地人に立ち退いてもらってから売買する方法の2つがあります。
どちらの方法を取るかは、その土地の賃貸借契約内容によって変わってきます。
土地の賃貸借契約には、借地期限が決められている「定期借地契約」と、借地期限なしで土地が借りられる「普通借地契約」の2つがあります。
前者は、期限が来れば借地人が立ち退きますが、契約期間の長いと期限切れまで待つ必要がありますし、後者の場合は土地所有者の都合で解約手続きを組むことができません。
いずれにせよ、借地人が立ち退かない場合、貸し出しの状態で売買する方法を取るしかありません。
貸出状態のまま売却すれば、借地料が手に入ります。
しかし、土地活用に制限が付いてくるため、一般的な土地価格よりも安価で取引されます。
借地権・底地権買取におすすめの業者21社!相場価格・高価買取の方法をご紹介!
土地が売れない時の対処法
土地が売れるまでの平均期間は3~6か月と言われています。
ただ、状況によっては売り出しから半年が経過しても売れ残ってしまうケースがあります。
土地がいつまで経っても売れない場合の対処法を紹介していきます。
売り出し価格を見直す
土地が売れないのは、立地や面積・見込める用途に対して価格が高すぎるからかもしれません。
購入希望者は「損したくない」という気持ちから相場の調査にぬかりがなく、少しでも割高と思われると避けられてしまいます。
段階的に価格を下げていくことで、成約率はグッと上がります。
土地を活用する
いらない土地を査定に出しても、高価格が付かないのであれば、活用するという手もあります。
アクセスの悪い土地でも日当たりがよければ、太陽光発電で利益を得ることも可能です。
しかし、土地は所有し続けるので固定資産税は支払わないといけませんし、売る場合よりも初期投資がかかります。
上手くいけば安定収入を得続けることができますが、売却よりも成功が難しいのは確かです。
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土地賃料(借地料)相場の求め方!ポイントや注意点を一挙解説業者に直接買い取ってもらう
スピーディに土地を処分するには、不動産会社に直接買い取ってもらうのがおすすめです。
いらない土地をそのまま業者に持ち込むので、販売活動をする手間がかかりません。
買取を希望した段階で今後のスケジュールも共有してもらえるため、ストレスなく手続きを進めることができます。
デメリットは、買取価格が仲介売却時の6割ほどまで下がってしまうことです。
早く簡単に処分できますが、高利益をあげたい方にはおすすめできない方法です。
国に土地を売る
個人や法人には買い手がつかない場合でも、国に土地を売却できる可能性があります。
しかし、基本的には国からの提案での売買になり、好きなタイミングでの売却は難しく、事例も多くありません。
ではどのような場合に国に土地を売ることができるのかについてご紹介します。
道路・鉄道整備のため区画内の土地を買い取るケース
道路や鉄道などは年々新しく整備され続けていますが、整備予定の場所が誰かの所有地だった場合は買い取らなければなりません。
道路・鉄道などの交通整備は数十年先まで影響してくるため、国としてもなんとしても買い上げる必要があります。
よって土地の所有者側が有利に売買をすすめられるため高い金額で買い取ってもらえることが多いです。
公共施設の建設のため敷地を買い取るケース
学校・公園・図書館・病院などのように国が運営する施設を建設する際に必要な土地は買い取ってもらうことができます。
道路・鉄道と同じように公共事業なので売却金額も高めになります。
公共事業がいつできるかは一般の人にはわからないため、売買のタイミングが奇跡的に合わない限りは難しいですね。
国・地方自治体に土地を寄付する
所有者の都合に合わせて土地を国に売却することは難しいです。
しかし、売れない土地をいつまでも持っていても仕方ないですし、先ほど紹介したデメリットも発生します。
そこで土地を寄付してしまうという方法をおすすめしたいと思います。
自治体に寄付する流れ
自治体に寄付するための流れは以下のとおりです。
土地を自治体に寄付する流れ
- 【Step1】担当の窓口に相談する
- 【Step2】自治体による調査
- 【Step3】可能と判断された場合は書類を提出
- 【Step4】寄付の完了
ただし、自治体に使用する目的がなければ寄付をすることはできません。使用しない土地にかけるコストを発生させたくないのは自治体も所有者も同じです。
申請してみないことにはわからないので一度寄付の申請をしてみましょう。
売却ではなく寄付なので利益は上げられない
あくまで寄付なので残念ながらお金を受け取ることはできません。
固定資産税のことを考えるとプラスにはなるかもしれませんが、単純に土地を手放すのと同じことになります。
どうしても売りたいというのであれば再び不動産会社を通じて買い手を探しましょう。
土地を売る時のよくある質問
土地はいつ売ればいいの?
再び土地を利用する可能性がないのであれば、できるだけ早く売却することをおすすめします。
そうすることで、将来的な固定資産税や維持費のコストを抑えることができます。
土地を国・自治体に売ることはできる?
国・自治体の都市計画区域にあてはまる土地は売却可能です。
その他、寄付をすることもできますが、この場合は利益が発生しません。
田舎の土地も売却できる?
田舎だからといって不動産会社が仲介を拒否することはないですが、時間がかかりやすい、価格が低くなりやすいというデメリットがあります。
土地売却のトラブルを避けるにはどうすれば良い?
トラブルを避けるには以下の対応をおすすめします。
- 土地測量
- 地盤調査
- 地質・地歴調査
- 水道管のチェック
- 古い杭の引き抜き
土地売却を成功させるにはどうすれば良い?
以下の8つのポイントを意識しましょう。
- 売却期間を長めに設定する
- 短期間で売ることを心掛ける
- 専任媒介契約を選ぶ
- 事前に土地の相場を調べておく
- 古家付きの土地は更地にせず売却する
- 合筆して売る
- 質の悪い売れない土地は「損切り」を意識する
- 一括査定サイトを使う
土地売却は境界線の明確化から始めること
ここまで、土地売却の手順や高値で取引するコツ、売却にかかる費用や税金など、土地売却に欠かせない要素を解説してきました。
土地を所有しているだけで、多額な税金か管理維持費用など多方面で出費が発生します。
出費を抑える意味でも早々に売却するのが最善策ですが、土地境界線の明確化を済ませていないと隣接地の所有者と揉めることになります。
また、農地や山林など訳アリの土地を売却する時は、通常の土地売買と同様の手順に加えて、注意すべきことが多々あります。
今回ご紹介した内容を参考に、土地売買をスムーズに執り行ってください。