
不動産売却の流れ全8ステップを手順に沿って分かりやすく解説【図解付き】
不動産売却を検討している方は、どんな情報を参考にしているでしょうか?
不動産売却に関する情報はあまりないので、実際どのような流れで売却や引き渡しが行われるのか疑問に思っている方も多いでしょう。
不動産売却は大きな金額が動く取引です。
「詳しい事は不動産業者にきけばいい」という心持ちでは、不動産売却を有利に進める事が出来ません。
査定を依頼する前に、手続きの流れについてしっかり理解しておきましょう。
→不動産売却とは?不動産を売るなら知っておくべき基本内容と取るべき行動・心構え
不動産売却の手続きの流れ
不動産売却の大まかな流れは、上記4ステップです。ただ、更に細かく手続きをみていくと、全部で以下の8ステップとなります。
- 不動産会社への相談・査定依頼
- 査定・業者選び
- 媒介契約
- 売却活動・部屋のクリーニング
- 内覧対応
- 買付(購入申込書)をもらう
- 売買契約
- 引き渡し・決済
この流れを把握しておくことで、交渉を有利に進めておくことができます。
また、実際の売却では査定を依頼する前に不動産売却額の相場などに関する情報収集を行うのが上手くいくコツでもあります。
一括査定サイトなどを利用して、なるべく多くの媒体から情報を得るようにしていきましょう。
不動産売却の流れの詳細
ここからは実際の不動産売却の手続きで、具体的にどのような作業を行うのかについて説明したいと思います。
購入希望者が早期に見つかるかどうかによって手続きにかかる時間は大きく変わりますが、手順を知っておく事で次の手続きの準備を素早く行う事ができますよ!
①不動産会社への相談・査定依頼
不動産を売りたいなら、まず査定額の算出と、売却活動してくれる仲介業者選びをおこないます。
不動産会社に相談をし、査定を依頼してから業者を選ぶまで、だいたい2週間前後の期間を要します。
不動産売却の理由・目的・目標を整理
中古の不動産を売った経験のある方は少ないです。
築年数の経ったマイホームでもリフォームをすれば孫の代まで相続できますし、古家を立て壊して新築を建てることだってできます。
持ち家は一般の方が持てる最高額の固定資産で、あるのとないのでは信用・ステータスに大きな違いが生まれます。
このように、そもそも不動産は「持っていたほうが良いもの」なのです。それでも売るのか、その理由はどうしてか、利益はいくら必要かなどを、一旦考え直すのも必要ですよ。
住宅ローンの残額を確認
よく「住宅ローンが残っている中古の不動産は他人に売れない」という方がいますが、ローンが残っていても売り出すことはできます。
ローン残債がある不動産は、買い手から代金をもらった際に、貯金と合わせて完済をし、その後に引き渡すようになります。
ローンの残金を確認し、不動産屋からもらった査定額を参考に返済計画をたてましょう。
もし査定額と貯金を合わせてもギリギリで完済できる程度なら、その後の税金・費用を考えると売らないほうが良いでしょう。
必要書類は事前に準備
合わせて、不動産の査定依頼や媒介契約、少し先ですが売買契約に必要な書類を準備していきます。
必要な書類は家(戸建て)、マンション、土地といった不動産タイプによって少しずつ異なります。以下の表を参考に準備してください!
書類 | 内容 | 家(戸建て) | マンション | 土地 |
---|---|---|---|---|
身分証明書 | 保険証、運転免許証、パスポートなど | 〇 | 〇 | 〇 |
実印 | 売主本人の実印。共有名義の場合は名義人全員の実印が必要 | 〇 | 〇 | 〇 |
印鑑証明書 | 発行から3ヶ月以内のものを提出。共有名義の場合は名義人全員の実印が必要 | 〇 | 〇 | 〇 |
住民票 | 登記上の住所と、売り手の現住所が異なる場合の証明に必要。発行から3ヶ月以内のものに限る | △ | △ | △ |
登記済権利書、または登記識別情報 | 売却物件の詳細情報の確認と登記時に必要 | 〇 | 〇 | 〇 |
固定資産税納税通知書、または固定資産税評価証明書 | 税額の確認のために必要 | 〇 | 〇 | 〇 |
ローン残高証明書、またはローン返済予定表 | ローン残債がある不動産の売却に必要 | △ | △ | △ |
銀行口座書類 | 銀行通帳の写しなどを提出。代金を振り込みで貰う場合に必要 | △ | △ | △ |
土地測量図・境界確認図 | 土地の範囲を確認するために必要 | △ | × | △ |
建築設計図書・工事記録書など | 新築時・改修時にどう作業がおこなわれたか確認する書類 | △ | × | △ |
マンションの管理規約、使用催促など | ペット飼育の有無など、利用のルールがまとめられた書類 | × | 〇 | × |
マンションの維持費確認書類 | 管理費、修繕積立金、管理組合費などがまとめられた書類 | × | 〇 | × |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書など | 耐震調査をおこなっている場合は、証明書を提出 | △ | △ | △ |
地盤調査報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書など | 以前に不動産に関わるこうした書類を発行していれば提出 | △ | △ | △ |
パンフレットなど | 内覧時や価格交渉でアピールするための資料 | △ | △ | △ |
※〇:必須、△:必要に応じて提出、×:不要
②不動産一括査定サイトで複数社を比較
準備が整ったら、次に不動産を査定してもらいます。
従来は、査定に対応している不動産会社を探し出し、電話をかけて来店予約をし、査定依頼するという流れでしたが、現在は一括査定サイトを使うのが一般的です。
一括査定サイトは、簡単な物件情報を入力(所要時間:約60秒)するだけで、平均6社前後に一括で査定を依頼することができます。
登録業者の広告料で成り立っているので、利用料は無料で使える便利なサイト。気軽に使ってみましょう。
不動産一括査定サイトを使うメリット
一括査定サイトを使うことで、複数業者の査定額を比較することができます。
多少の誤差はありますが、基本的に売却額は査定額と大差ないので、比較して高額査定してくれた業者に依頼をすれば、最寄り業者と適当に契約するより確実にお得です。
また、一括査定サイトに物件所在地を登録すれば、対応している業者が一瞬で表示されるので、わざわざ1から不動産会社を探す手間が省けますよ!
※不動産査定サイトの使い方と、おすすめのサイトはこちらで解説!
→不動産一括査定サイトおすすめランキング!33社を比較【2022年最新】
不動産査定の方法と仕組み
不動産の査定は、以下の3種類があります。
評価法 | 方法 | 評価額の名称 |
---|---|---|
原価法 | 再調達原価に、原価補正をおこない算出 | 積算価格 |
収益還元法 | 将来得られる収益を現在価値に修正して算出 | 収益価格 |
取引事例比較法 | 近隣の取引事例と比較して算出 | 比準価格 |
これらの方法を基に簡単な査定をおこなった後は、訪問査定で以下のポイントをチェックされます。
- 広さ(面積)
- 間取り
- 築年数
- 室内の状況
- 眺め
- フローリング・壁などの痛み
- 方角(戸建て・マンション)
- 駅からの距離
- 共用施設(マンション)
- 管理状態
- 近隣施設
- 学区
- 施工会社
これらの要素を総合的に判断して、査定額が算出されます。
③媒介契約
査定額を比較した上で気に入った業者が見つかれば、媒介契約を結び売却仲介を依頼します。
媒介契約には以下の3つの契約方法があります。
契約の種類 | 契約の有効期間 | 売り手自身が買い手を見つけること | 依頼可能な業者数 | 仲介業者からの報告※ |
---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
一般媒介契約 | 3ヶ月以内 | 可能 | 複数社と契約可能(契約数の上限なし) | なし |
基本は担当者1人がじっくり対応してくれる専任媒介契約がおすすめですが、別荘地など人気があるエリアなら一般媒介契約を選ぶほうが高値売却できることもあります。
④売却活動・部屋のクリーニング
媒介契約を結ぶと、仲介業者が物件の広告を店舗やネットに掲載したり、営業をかけたりして、買ってくれる人を探していきます。
売り手(物件の所有者)はこれと言って何かできるわけではないですが、決まったタイミングで報告の連絡が来るので、それをしっかり確認しましょう。
一般媒介契約なら、売り手個人が買い手を見つけてくるのも許されているので、自ら営業をかけていくのもアリでしょう。
ただ、個人的には、家の清掃・整理整頓に力を入れるのをおすすめします。
この後には不動産売却最大の関門である内覧が待ち受けていますが、ここで第一印象が良ければ、査定額よりも高値で売却できる可能性が高いです。
内覧前の清掃ポイント
中古住宅の内覧準備は、やりすぎても費用がかさむので良くありません。以下にポイントをまとめたので、参考にしながら重点的に対策していきましょう。
場所 | ポイント |
---|---|
キッチン | コンロやシンクを優先的に磨き上げる。生ごみのニオイはしっかり消臭 |
浴室・洗面所 | カビ・水垢・鏡の曇りを清掃。内覧時には全体が乾いた状態になっているようにする |
トイレ | におい、カビ、水垢やホコリを清掃 |
リビング・ダイニング | ものを整理整頓し、広い印象を与える |
玄関 | 靴・傘はしっかり収納。床(三和土)は水拭きしておく |
ベランダ・バルコニー | 洗濯物はすべて取り込んでおく。床を拭き掃除し、余計なものは置かない |
窓ガラス | ガラス・網戸を拭き、日光がより入るようにする |
クローゼット・ロフト | 中を見られることも想定して整理整頓。荷物を押し込まない |
⑤内覧
業者が掲載した広告に対し、1日5件以上の問い合わせが来るようなら、良い傾向です。
そのうち、内覧希望者が現れるので、希望のスケジュールに合わせて内覧会を開催しましょう。
このとき、基本は仲介業者が対応するようになりますが、あなたが同席してもOKです。
もし同席するのであれば、まずは以下の2点を意識しましょう。
- 長年住んだ人にしかわからない建物の長所を10コは用意する
- 近くの美味しいパン屋のパンフレットなど、何でも良いので目に見える形でPRできる資料を集める
こうした準備をすることで物件のPRができますし、内覧者との会話も弾みます。
以前の居住者との相性も成約のためには重要なので、そういった意味でも効果的な準備をしていきましょう!
⑥買付(購入申込書)をもらう
内覧で気に入ってもらえば、相手の仲介業者を通して買付(購入申込書)が送られてきます。
ここに値下げの希望など、購入条件が記載してあり、売り手は担当者と相談の上で契約に進むか決めます。
ただ、こちらの書類には法的拘束力はなく、買付を送ってきたのに急にキャンセルされることもあります。
手慣れた方だと、キープするために複数の物件へ同時に買付を送っている場合もありますし、時間が経つと相手が冷めることもあります。
なるべく早期の対応を心がけましょう!
⑦売買契約
買付をもらってからだいたい1週間ほどで、売買契約を結びます。
契約の際は、以下の支払いを忘れないようにしましょう。
費用 | 支払い方法 |
---|---|
手付金など | 代金の2割程度を領収書とともに持参するのが一般的。契約解除が起きた際の処理に使う |
印紙税 | 売買契約書に貼る。 |
仲介手数料 | 現金・振込・小切手のいずれかが一般的 |
売買契約では、事前に作成書の読み合わせがおこなわれます。
契約書に記載されたこちらの項目を確認し、相違がなければ契約は完了です!
- 売買物件の表示
- 代金や手付金などの支払い日
- 土地の実測・土地代金の精算
- 所有権の移転・引き渡し
- 付帯設備の引継ぎについて(例:エアコン等の処分)
- 税金の精算
- 手付の解除
- 引き渡し後に天災等があった場合の取り決め
- 契約違反時のペナルティ
- ローン特約
- 瑕疵担保責任
こちらが万全の準備をしていても、売買契約は買い手あってのものなので、向こうの出方が悪いと上手くいきません。
特に買い手が今の家を売り払って引っ越す場合は、すでに旧住居を売る目途は付いているのか、住宅ローンの審査は進んでいるかなどをしっかり確認しましょう。
契約を結んだあとの解除はリスクが大きいですが、契約前に相手に非があると分かれば、対応のしようがあります。
⑧引き渡し・決済
契約を結んでから2週間~1ヵ月後に、買い手の住宅ローン審査の結果が共有されます。
通過していれば、そこから引き渡し日の設定をおこないます。
売り手は売買契約が終わってから連絡を待つことになりますが、以下のようなやるべきことがあるので、ボーっと待っているだけというのはNGです。
- 引き渡し日の調整(原則、平日の午前)
- 住宅ローンを借りていた銀行へ連絡
- 引っ越し作業(住み替えの場合)
- 物件の最終確認
これらが全て終われば、引き渡しです。
まず買い手から代金を受け取り、残債があればこれでローンを完済。その後司法書士に抹消登記をおこなってもらい、仲介手数料の残りを業者に支払うなど、諸費用の支払いを済ませます。
最後にカギを引き渡して、全て完了です!
不動産売却にかかる期間
査定から物件の引き渡しまでの期間は、だいたい半年から1年となっています。
良い物件だからといって早く売れるというわけでもなく、運やタイミングも関わるので、どんな物件が早期売却できるか、一概には言えません。
これから不動産を売ろうと考えている方は、できれば1年かかることを想定してスケジュールを組んでおきましょう!
不動産売却にかかる時間は、上記が基本の流れとなっています。
しかし、場合によっては更に耐震調査、境界調査などの作業があります。
ここで、水道管や杭抜き工事の必要があれば、更に期間は伸びていきます。
このように、不動産売却に要する時間は不動産のタイプ・状態によって大きく前後するというのも頭に入れておきましょう。
相続した不動産を売却する流れ
相続した不動産を売却するには、通常の不動産売却の前に相続登記がおこなわれるので、こちらの全9ステップになります。
- 相続登記
- 不動産会社への相談・査定依頼
- 査定・業者選び
- 媒介契約
- 売却活動・部屋のクリーニング
- 内覧対応
- 買付(購入申込書)をもらう
- 売買契約
- 引き渡し・決済
相続登記とは、法律上の持ち主を前の名義から、現在の名義へと変更する手続きを指します。
相続登記は相続時に一応やるべきものですが、長期間手続きをしなかったとしても罰則を受ける訳ではありません。
ただ、不動産を売る際は法的に正しい持ち主が手続きをしないとトラブルに見舞われる可能性がるので、相続登記は必須となります。
お忙しい方、いまいちやり方が分からない方は司法書士に依頼するのも一つの手です。
不動産売却の契約の流れ
不動産売却のように大きな金額が動く場合、契約をミスなく慎重に進めていく必要があります。
不動産売却時に結ぶ契約は以下の2つです。
- 媒介契約:売主と不動産会社間の契約
- 売買契約:売主と買主間の契約
事前にそれぞれの契約の流れを把握しておきましょう。
①媒介契約の流れ
- 売却プラン・修繕の必要性の確認
- 売り出し価格の設定
- 媒介契約の方法決定・締結
媒介契約は、不動産会社の査定書を見て売主が金額に納得できるかどうかがまず初めの一歩です。
その後、売却のプランやその他の検査サービスの利用の有無を決めた上で、媒介契約書に納得がいけば契約を締結します。
①売却プラン・修繕の必要性の確認
査定額が分かったら、それを実現するために業者がどのような戦略を考えているのか確認しましょう。
高い査定額通りで売るためには、売却期間を長めに想定しておく必要も出てきます。
また、査定額が高くてもプランが曖昧だと、その価格通り売れる可能性は少ないとも考えられます。
プランは確実にチェックしておきましょう。
また、状態の悪い物件は売却前に修繕を施さないといけないと判断される場合もあります。
この修繕費用が高額の場合、売却できてもコストを補填できない可能性があります。
修繕の可否についても業者によって考え方は異なるので、十分注意しましょう。
②売り出し価格の設定
査定額をベースにしながら、売主の希望も合わせて売り出し価格を設定していきます。
売り出し価格は売主の意向を汲んで査定額より高くなることが多いですが、あまりに高すぎても売れ残ってしまいます。
不動産会社と相談しながら、慎重に金額を決定しましょう。
③媒介契約の方法決定・締結
方針が決定したら、いよいよ媒介契約を結びます。
媒介契約では、不動産の販売を委託する代わり、成約の際に代金の一部を仲介手数料として支払うことを主に決定します。
その他、3種類の契約方法があるので、慎重に選びましょう。
その他、媒介契約書(標準約款)に記載されている以下の項目を読み合わせて、チェックします。
- (1)標準約款に基づくか否かの別
- (2)媒介契約の種類
- (3)目的物件の表示
- (4)不動産会社の義務と業務
- (5)有効期間と更新
- (6)指定流通機構への登録
- (7)媒介価額
- (8)仲介手数料(報酬)
- (9)依頼者の義務
- (10) 媒介契約の解除
- (11)反社会勢力の排除
相違がなければ、契約締結となります。
②売買契約の流れ
売り出し物件の内覧を実施し、購入を希望する方が現れたら買付(購入申込書)というものが売主側の仲介業者へ届きます。
この書類が届いたら売買契約の日時を設定していきます。
売買契約には通常、売主・買主と片方の仲介業者が3人集まっておこなうのが一般的です。
場所は主に同席する業者の事務所でおこなわれます。
売買契約の流れは基本的に以下の通りです。
①必要書類の準備
売買契約に向けて、まずは必要書類を取り揃えておいたほうが良いです。
書類は数が多い上、取得まで時間がかかることも多いです。
ギリギリに手続きをした結果、書類で誤記が見つかったら修正の時間がなく、契約は流れてしまうので注意しましょう。
売買契約に必要な書類は、以下があります。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 物件状況等報告書・設備表
- 修繕・リフォーム履歴をまとめたもの
- 各種診断書
- 覚書
- ローン残高証明書
- 身分証明書・印鑑
②契約条件の交渉
売買契約は、ある程度自由なフォーマットで売主・買主間の取り決めがおこなえます。
まずは条件を話し合い、取り決めた内容を契約書に記載していきましょう。
契約書に記しておかないと、ただの口約束で終わってしまうので注意が必要です。
③契約当日に売主と買主が集合
売買契約当日に、売主と買主が指定された場所に集合します。
この時、売主・買主の他に、どちらかの仲介業者が同席するのが一般的です。
提出書類やお金を忘れずに持っていきましょう。
④売買契約書の読み上げ(最終確認)
お互いに売買契約書の内容を読み上げ、契約内容の確認をおこないます。
この時にチェックする内容はこちらが一般的です。
- 売買物件の表示
- 売買代金、手付金額、支払日
- 所有権の移転・引き渡し日
- 公租公課の精算
- ローン特約
- 付帯設備等の引き渡し
- 手付解除
- 契約違反による解除
- 瑕疵担保責任
- 特約事項
話し合った内容の有無を確認するのはもちろんのこと、数字の記入ミスなども慎重にチェックしましょう。
⑤契約書へ署名・押印
契約書を確認した結果、問題なければ署名・押印をおこないます。
印鑑証明をした実印でなければいけないので注意しましょう。
この時、契約書は提出用と保管用の2部を作成しますが、提出用には売却価格と相応する収入印紙を貼りつけます。
不動産売却代金と印紙税額の関係は、以下の通りです。
契約金額 | 税額 |
---|---|
10万円超 50万円以下 | 400円 |
50万円超 100万円以下 | 1,000円 |
100万円超 500万円以下 | 2,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超 1億円以下 | 60,000円 |
1億円超 5億円以下 | 100,000円 |
5億円超 10億円以下 | 200,000円 |
10億円超 50億円以下 | 400,000円 |
50億円超 | 600,000円 |
⑥手付金の授受
売買契約では、買主から売主へ、価格の1割程度が支払われます。
これを、手付金と言います。
手付金は契約後~引き渡しの間に契約がキャンセルされた時支払われる違約金にもなるので、この段階では手を付けず、大事に保管しておきましょう。
事前に確認すべき7つの項目
不動産売却の流れを進める前に、まず確認しておきたい7つの項目があります。
- 売却の理由
- 売却価格の目標
- 売るタイミング
- 売却相場
- 売却の期限
- かかる税金・費用
- 失敗した時の対処法
不動産売却の手続きをおこなう前に準備へ時間を取るのは面倒ですが、最初に計画をしっかりすることでスムーズな不動産売却が可能になります。
➀売却の理由
不動産を売ってまとまったお金が入るのは嬉しいですが、貴重な不動産が二度と手元に戻らないというリスクも存在します。
また、高く売りたいなら適正価格で売り出しじっくり待つ、早く売りたいなら相場より低く設定するなど、高さ・早さが両立しないのも不動産売却の難しいところです。
不動産会社も、「高く早く売ってほしい!税金も免除にしてほしい!」という希望を100%答えられる訳ではありません。
また、上記の通り不動産は持っているだけで価値のある資産であり、緊急時には担保にしてお金を借りることもできます。
あなたは不動産を何のために売るのか、売ることによってどうしたいのかということをじっくり考えた上で、目的をぶらさずに不動産売却の手続きを進めていくことが重要になります。
②売却価格の目標
例えば調べた売却相場が2,000万円だったとしても、住み替え費用などのために2,500万円で売る必要がある場合は、そもそも売るべきか、どのように相場以上で高く売れば良いかなどを整理する必要があります。
不動産売却の相場は国土交通省によって算出される基準地価をベースに決まっており、相場を無視して売却価格を高めると、売れ残りのリスクが格段にアップします。
それでも、清掃・整理整頓に力を入れて第一印象を良くするなどして、相場以上で売ることも可能ではあります。
相場通りに売却するのか、リスクをとって高額売却にチャレンジするのか、それとも売却の時期をズラすのか、よく考えましょう。
③売るタイミング
不動産売却は、どのタイミングで売りに出すかが重要になります。
売り出しのタイミングを見極める際は、まず自身の状況を考えた上で、本当に今売っても良いのかを考えましょう。
更に市況などによっても売り時は変わってきます。
その他、不動産売却を見極める上では以下の要素が重要になってきます。
不動産売却のタイミングはこちらにまとめています。
→不動産を売るおすすめタイミングとは?時期を見極めるコツ・ポイント
④売却相場
不動産売却の手続きを進める上で、だいたいの価格のイメージを付けておくことが重要になります。
いくらで売れるか分からないと、目標額に達しない上、大事な不動産まで手放してしまうことになってしまいます。
中古の不動産は定価がなく、実際に調べてみないと相場がいくらかイメージが付きません。
不動産売却の相場を調べる方法としては、以下のようなものがあります。
- スーモなどのポータルサイト上に掲載されてる類似売り出し物件をチェックする
- REINS Market Informationから過去の成約事例をチェックする
- 土地総合情報システムで過去の成約事例をチェックする
- 路線価図から価格を算出する
初心者でも出来るこうした方法を通して、大まかな価格のイメージを算出しましょう。
⑤売却の期限
不動産売却をいつまでに終わらせれば良いのかも事前に確かめておく必要があります。
例えば4か月後に転勤があるとすれば、早めに不動産売却を済ませて、その代金を元手に新居の購入契約を終わらせた後、引っ越しの荷造りをして引き渡しをするところまで緻密に計画を立てておかないといけません。
売却時期が遅くなると値下げが必要になってきますが、逆に早く売れすぎても住むところが無くなってしまい、賃貸などの仮住まいに引っ越す手間とコストがかかってしまいます。
もし、利益を度外視して出来るだけ早期の売却を希望するのであれば、不動産会社に直接買い取ってもらうことをおすすめします。
→不動産買取とは?業者買取と仲介売却のどっちがお得か徹底比較
⑥かかる税金・費用
不動産売却をおこなうと、新たに税金・費用がかかってきます。
更に住み替えをする場合は引っ越し代や新生活の準備でかかる様々な費用を負担しなければならなくなります。
これらの出費を全て合わせると、不動産売却価格の5~10%に上ります。
つまり、最初に不動産会社が算出してくれた金額を、そのまま貰える(手元に残る)訳ではないのです。
こうしたお金の計算はしっかりやっておかないと、後で大きなトラブルに見舞われる可能性が高いので注意しましょう。
かかる費用と支払いのタイミングは、事前に把握しておくことをおすすめします。
→→不動産売却の費用・諸経費・手数料はいくらかかる?諸費用の一覧と金額の目安・計算方法
⑦失敗した時の対処法
不動産売却をおこなう際は、失敗のリスクも頭に入れた上で進めていく必要があります。
大きな金額を取引する分、不動産売却の失敗は今後の人生にも影響を及ぼす危険性があります。
しかし、業者によっては不動産売却のメリットしかいってこない業者も少なくありません。
こうした業者に対しては、もし失敗したらどうするのか、保証などはあるのかといった質問を必ずおこないましょう。
不動産売却の失敗例としては、以下のような例が考えられます。
- 成約価格が目標より大幅に低い
- いつまで経っても売れない
- 契約関係のトラブルが起きる
- 権利関係の問題が発覚する
- 法令・条例上の規制に触れてしまう
- 瑕疵担保責任に問われてしまう…
こうしたケースに陥った場合どうするかのシミュレーションが非常に重要となります。
不動産取引で失敗するリスクは他の取引と比較になりませんから、最悪のケースは想定できるだけ想定しておきましょう。
不動産売却の手続きをスムーズにおこなうポイント
このように不動産売却の流れには必要な手続きがたくさんあります。
一つ一つの作業をスムーズに進めるためには、あらかじめ準備しておくことが肝心です。
費用の見積もりまで事前におこなう
物件引き渡しの前にも費用を支払わなければならないので注意しましょう。
手付金や仲介手数料の他にも、お金の振込みを受けた際は、所得税、住民税などを納めなければならないので、最低でも数十万円はかかります。
流れの中で、お金の準備に時間がかかってしまうと折角のチャンスを逃してしまうかも知れません。
引き渡し後も見越して、お金を準備しておきましょう。
※仲介手数料の計算方法や値引きのコツはこちら!
→不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法
業者選びに時間をかける
売却までの手続きで最初の関門となるのが、媒介契約を結ぶ業者選び。
査定額だけを比較して業者を決めてしまう方が多いですが、売却までの手続きを楽にしたいなら業者が対応してくれるサポートの幅も比較しておきましょう。
高額査定してくれた業者に焦って決めてしまったあとで、細かい手続きのたびにお金がかかって後悔するなんてこともあります。
※おすすめの仲介業者は、こちらでまとめて紹介しています!
→【2021年】大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較!信頼できるのはどこ?
不動産の基礎知識を勉強しておく
基本的に、不動産売却は仲介業者に一任することができます。
ただ、できれば売り手自身も最低限の不動産知識を持っていたほうが良いです。
まず、不動産会社の言っていることが常に正しいとは限りません。時には、自社の売上を重視した施策をとることもあります。
このとき、ある程度の知識があれば、「少しおかしいのでは?」と疑問を持つことができます。
また、一般的に不動産売買では売り手よりも買い手のほうが知識を持っています。
そのため、勉強をして内覧時に対等に話すことができれば、相手からの受けもよいです。
不動産売却の流れを理解しておこう
不動産売却の流れは、少しややこしい手続きもありますが、それほど難しくはないです。
とはいえ、難しくないからといって何も準備せずに流れにのると損をしかねません。
なるべく多く査定を行う事や、物件のアピールポイントを考えておく事、お金の準備をしっかりしておく事に気をつけた人が、不動産売却で優先的に得をします。
一括査定サイトなどを利用し、効率の良い情報収集を行いましょう。
売却益が出たら確定申告が必要
このページでは不動産の査定から決済・引き渡しまでの流れを解説しましたが、手続きはこれで終わりではありません。
中古物件の売却益が購入時の費用を超えた場合、譲渡所得税が発生します。
譲渡税を納めるときは確定申告をする必要がありますが、申告手続きは意外と複雑です。
不動産売却後の確定申告の方法はこちらで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください!
