
不動産売却の費用・諸経費・手数料はいくらかかる?諸費用の一覧と金額の目安・計算方法
不動産売却にかかる費用としては、様々な税金などが挙げられます。
しかし、その金額は売却額などに応じて変化するので、一様ではありません。
不動産売却時に金額が高いのは、不動産業者に支払わなくてはならない仲介手数料です。
これは、大体売却額の3%を支払わなければならないので、大きな額になります。
こうした費用を合わせるとかなりの出費になるので、常に不動産売却は得をするとは思わず、返済資金の調達は計画的に行っていきましょう。

不動産売却にかかる費用10つの内容を徹底解説!
不動産売却でかかる費用を流れ順にまとめると、ざっとこれくらいあります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消登記費用
- 譲渡所得税
- 測量費用
- 不用品の処分費用
- 各種書類の発行費用
- ハウスクリーニング費
- リフォーム費
- 解体費
ここからは、それぞれの費用の内訳や計算式、節約対策などをわかりやすく解説していきます。
→不動産売却の流れを査定から契約・決済・引き渡しまで一挙解説!
仲介手数料の内容・計算方法と値引きのコツ
仲介手数料は売買契約成立後、仲介業者に対して支払う報酬金です。
多くの場合、不動産売却でかかる費用の中で最も高額となります。
仲介手数料は、売却益に応じて以下のように決まっています。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
マンションが1,000万円で売却できた場合、仲介手数料は1,000万円×3%+6万円=36万円となります。
→仲介手数料の相場はいくら?なぜ払うの?根拠・計算方法・値引きのコツ
仲介手数料を値引きする方法
上の表に書かれているのは法定の上限値の求め方ですが、慣例により原則、上限値そのままが仲介手数料として求められます。
法律の上限額を求められているのですから、何とかして値引きすることもありそうですが、交渉したところで値引きに応じてくれることはまずありません。
また、仲介業者を挟まずに個人売買をすれば仲介手数料はかかりませんが、利益・安全面から不動産のプロに任せるほうが良いです。
もし値引きをしたいなら、仲介手数料の割引制度がある仲介業者と契約するのがおすすめです。
ページリンク | 割引特典の内容 |
---|---|
三井のリハウス |
|
住友不動産販売 | 再度のお取引特典:2度目の成約でギフト券10万円分プレゼント |
東急リバブル |
|
京王不動産 | リピーター制度:再度の利用で仲介手数料1割引き |
割引特典を常時提供している不動産会社はごく一部ですが、春先など売買が盛んな時期にキャンペーンとして値下げ特典を実施する業者もあるので、随時チェックしておきましょう。
印紙税の納税・計算方法と節税のコツ
印紙税は、国によって納付額を定められている税金です。
印紙税は、売却額に応じて、以下のように決まっています。
不動産売却代金 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
こちらは、売買契約時に契約書の提出用(買主分)と保管用(売主分)に貼り付ける形で納付します。
つまり、家を4,000万円で売った時の印紙税は10,000円×2=20,000円となります。
印紙税の節税方法
印紙税の金額自体は国が定めており、値引きをすることができません。
ただ、売主分の契約書に貼り付ける印紙をコピーにすれば、税負担を減らすことができます。
契約書は合意を明確にする目的で作成するものなので、買主分と売主分に相違がなければコピーでも問題ありません。
ただ、契約後に買い手が勝手に追加内容を書き足していた場合などは、売主が訴えても証拠が不十分を見なされる可能性があります。
この節税方法は法的には問題ないですが、万が一の不安を含んでいることは理解しておきましょう。
抵当権抹消登記費用の計算・支払い方法
抵当権抹消登記費用とは、登録免許税と登記を司法書士に依頼した際の報酬を合算した金額のことを指します。
登録免許税とは、売主が所有権を移転したり、ローンで新居を購入したりした際にかかる税金です。不動産の権利を移転した際にかかる税金と覚えておくと良いでしょう。
ローンで新居を購入する際には抵当権の設定が必要ですが、このときに不動産価格の1000分の4の登録免許税が課されます。
→不動産売却において重要な抵当権について一方、所有権の移転時にかかる免許登録税は、不動産タイプによって以下のように変わります。
不動産タイプ | 課税額 |
---|---|
建物 | 売却価格の1000分の20 |
土地 | ※売却価格の1000分の15 |
※2019年4月1日から1000分の20に減額
司法書士の報酬
あなたの物件にいくつの登記手続きが必要かによって司法書士の報酬は変わりますが、基本的には1つの手続きあたり5,000円で、計15,000円ほどを支払うことが多いです。
→不動産売却で司法書士は何をするの?支払いは登記変更手続きのタイミングで登録免許税としはらうのが一般的です。
司法書士は法務局で紹介してもらいますが、最近は自分でネットを使って探すケースも増えてきました。
不動産会社がおすすめする司法書士に依頼するのが最もスムーズですが、実は不動産会社が悪徳業者で司法書士もグルという場合、被害は甚大になるので注意しましょう。
譲渡所得税の計算・納付方法と節税のコツ
不動産売却代金が購入費用よりも高い場合、譲渡所得税が発生します。
→不動産売却後も税金が!譲渡所得税の仕組みと注意点課税額は、以下の計算式で求めます。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
取得費とは売った不動産を取得した際にかかった費用の合計額で、建物の場合は、減価償却費を差し引いて求めます。
次に、売却費用ですが、こちらはこのページで紹介しているような、不動産売却によって発生したさまざまな費用・税金の合計額です。
最後に税率に関してですが、こちらは物件の所有期間が何年の時点で売ったかによって、以下のように変化します。
税金の種類 | 5年以下 | 5年超10年以下 | 10年超 |
---|---|---|---|
所得税 | 30% | 15% | 10% | 住民税 | 15% | 5% | 4% |
譲渡所得税の注意点
譲渡所得税の税率の求め方は上の通りですが、所有期間の求め方が少し特殊です。
所有期間は、物件購入日から引き渡し年の1月1日までとなるので、例えば2013年12月1日に購入した物件を2018年12月1日に引き渡した場合、所有期間は2013年12月1日~2018年1月1日で4年1ヶ月となり、減税できません。
また、譲渡所得税が発生するケースに該当したら、引き渡し年の翌2月16日~3月15日に確定申告をしなければいけません。
こちらに確定申告の方法がまとめてあるので、参考にしてください!
→不動産売却後の確定申告の流れ!申告時期から必要書類の書き方までわかりやすく解説
測量費用の相場と値引きのコツ
土地や戸建て(建物+土地)を売却する場合、事前に土地の面積・境界線を明確にする必要があります。
土地測量は、不動産会社ではなく専門の測量業者がおこなう作業で、境界線を確認、確定し、測量図を作成します。
測量費用は、一般的には35万円~45万円、土地が私道に接している場合は60万円~80万円となります。
測量費用が高額になるケース
私有地、国有地に土地が面している場合、官民立会いの必要があるので費用が通常より30万円ほど高くなってしまいます。
また、それ以外にも以下のような場合は費用が高くなりがちです。
- 印鑑証明書の取得が必要
- 土地の形が複雑
- 近所付き合いが悪く、測量の協力・承認がない
- 面積が非常に大きい
土地の面積が大きく、測量にかかる時間・労力が増える場合も費用は高くなります。
一般的に200坪前後の土地なら80~150万円、1000坪前後なら100~200万円ほどとなり、更に官民立会いが必要なら最高で300万円以上かかることもあります。
測量費用を値引きするコツ
測量費用の設定は業者によって異なります。
費用を節約したいなら、まず相場の安い業者を探して、依頼しましょう。
大手の多くでは、測量サービスは不動産会社の販売プランに組み込まれており、提携の業者や子会社がおこなう形をとります。
もしその金額が少し高いと感じるなら、他業者の見積もり書を持参して交渉するのも1つの手です。
不用品の処分費用を節約するコツ
売却の際に不用品を捨てるのにも費用がかかります。
家具ならば無料で捨てられますが、暖房など備え付けの住宅設備が故障している場合は修理費用を売主が負担します。
ただこれは交渉次第でどうにでもなる部分ではあります。
不動産の売買契約はかなり自由に執り行えるので、例えば家具をそのままにしておくか、処分するかといった話し合いをするのも許されています。
マンションから戸建てに住み替える人に綺麗な家具を残しておけば、購入コストも省けて喜ばれるでしょう!
それでも処分してほしいと言われたら、売却価格に費用を一部上乗せしてもらうこともできます。値引きできるかどうかは話し合い次第といったところでしょう。
各種書類の発行費用
不動産売却では、以下の書類を公的機関から発行してもらう必要があります。
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 住民票
- 登記済権利書または登記識別情報
- 固定資産税通知書
- 固定資産税評価証明書
- その他書類
必要書類の内容と取得方法はこちらに詳しくまとめてあるので、事前に確認して費用のシミュレーションをするようにしましょう!
→不動産売却の必要書類と取得方法をタイミング別に徹底解説ハウスクリーニング費の相場・値引きのコツ
不動産の実際の価値はアクセスや築年数、面積などによる部分が大きく、表面上の見映えなどはあまり考慮されません。
→家の査定前に掃除をすると価格は上がる?査定の方法から注意点・相場まで解説
ただ、売買は人あってのものなので、掃除が徹底されている家なら成約率はその分高くなります。
特に浴室、洗面所、トイレなどの水回りは第一印象に大きく関わるので綺麗にしたいところですが、自力で限界があるなら、いっそハウスクリーニング業者に依頼するのがおすすめです。
ハウスクリーニングを業者に依頼したときの費用相場は、以下の通りです。
場所 | 費用相場 |
---|---|
浴室 | 10,000~20,000円 |
洗面所 | 6,000~10,000円 |
トイレ | 6,000~13,000円 |
キッチン | 10,000~24,000円 |
レンジフード | 10,000~20,000円 |
上の箇所をすべて依頼すると、総額で6~8万円ほどの費用となります。
ハウスクリーニング費を値引きするコツ
ハウスクリーニングも、複数業者に見積りを出してもらい、最安値のところに依頼をするという方法が有効です。
業者によって水回りにキッチンが含まれていなかったり、他の箇所もセットでクリーニングしてくれたりするので、費用はかなり細かく分かれます。
以下に自分で掃除する際のポイントを載せておくので、できるところは自分でやって、一部を業者に依頼するというのが、もっとも費用を抑えられておすすめですよ!
場所 | ポイント |
---|---|
キッチン | コンロやシンクを優先的に磨き上げる。生ごみのニオイはしっかり消臭 |
洗面所 | 6,000~10,000円 |
浴室・洗面所 | カビ・水垢・鏡の曇りを清掃。内覧時には全体が乾いた状態になっているようにする |
トイレ | におい、カビ、水垢やホコリを清掃 |
リビング・ダイニング | ものを整理整頓し、広い印象を与える |
キッチン | コンロやシンクを優先的に磨き上げる。生ごみのニオイはしっかり消臭 |
玄関 | 靴・傘はしっかり収納。床(三和土)は水拭きしておく |
ベランダ・バルコニー | 洗濯物はすべて取り込んでおく。床を拭き掃除し、余計なものは置かない |
窓ガラス | ガラス・網戸を拭き、日光がより入るようにする |
クローゼット・ロフト | 中を見られることも想定して整理整頓。荷物を押し込まない |
ハウスクリーニングさえすればリフォームは不要?
ハウスクリーニングは内覧前にやっておきたいですが、リフォームまでする必要はありません。
そもそも中古物件の購入希望者はリフォーム前提で物件を探しており、売主がリフォームをしても買主の好みと合わず、逆効果なケースも多いです。
ただ、買主の要請があった場合や、古すぎて業者からリフォームをすすめられる場合なども偶にあります。
この際は、リフォーム代の一部を売却額に上乗せすることができます。
解体費の支払いタイミングと値下げのコツ
マイホーム(建物+土地)を売る際に、建物部分の築年数が経ちすぎて価値がない場合は、建物を解体して土地のみで売り出すほうが、短期かつ高額で売却されやすいです。
ただ、いずれ解体するにしても、建物付きで土地を売るメリットもあるので、売買契約前~引き渡し前に業者に依頼して、費用を支払うのがおすすめです。
→古家付き土地売却の注意点!築20年以上の中古住宅は解体・リフォームせず売ろう
このときにかかる費用の相場は、20,000円~50,000円/坪となります。(構造によっても変化)
家の解体費用を値引きするコツ
こちらも、解体業者によって金額が異なるので、複数社に見積もりをもらい、比較して申し込むのがおすすめです。
また、解体費用を売却代金に上乗せするように契約することもできます。この際も、交渉しやすいように契約までは建物を壊さず残しておくのがおすすめです。
もしかしたら、解体せずリフォームして使いたいという要望が来るかもしれません。
不動産売却時の費用・手数料の支払いタイミングは売買契約時と引き渡し時
不動産売却の費用・手数料は、大きく分けて以下の2つのタイミングにまとめて支払われることが多いです。
- 売買契約時
- 引き渡し時
売買契約時に払う費用・手数料は、以下が代表的です。
- 仲介手数料の半金
- 印紙税
- 売買契約書の作成費用
- 測量費用
- 登録免許税
- 司法書士手数料
一方、引き渡し時に支払う費用は以下の通りです。
- 仲介手数料の残金
- ローン残債
- ローン一括返済手数料
ほとんどの費用は、こちらの2回のタイミングで支払われると思って構いません。
売買契約時に発生する費用・手数料は手付金を用いて処理しない
売買契約時には、売却代金の1~2割が買主から手付金として支払われます。
一部とは言え、やっとここで代金が支払われるので、すぐに使ってしまいたい気持ちも理解できます。
ただ、手付金は急な契約のキャンセルなどが起こった時のために、残しておかなければいけないお金です。
- 売主が売買契約をキャンセル:手付金の2倍を買主に支払う
- 買主が売買契約をキャンセル:手付金をそのまま放棄する
契約から引き渡しまでの間に手付金を使い果たしてしまうと、契約がキャンセルされた時にリスクが発生してしまいます。
引き渡し時に残りの代金を全てもらった後なら費用の支払いに使うのは問題ないですが、売買契約時の支払いはもしもの時に備えて、自己資金から支払うようにしましょう。
不動産売却以外にも引っ越し前は費用がかかる
不動産売却でかかる費用・手数料は前述の通りですが、今までの住まいを売却して新生活の準備をする場合は、それだけで高額の費用が発生します。
引っ越し時に支払いが必要な費用は以下のようなものが挙げられます。
- 引っ越し業者への依頼費
- 新居の購入費用
- 新居購入で発生する仲介手数料
- 荷物の梱包費用
- その他、新生活に費用な各種費用
こうした費用が発生することも念頭に置かないと、計画が破綻してしまうので注意が必要です。
結局、上で挙げた2つのタイミング以外にも細々とした費用は発生するので、準備するお金は多いに越したことはありません。
不動産売却で発生する手数料・費用の総額は売却価額の5%以下に抑えるのが理想的
不動産売却で発生する手数料・費用の総額は支払うべきところは払う必要がありますが、できるだけ支払いを抑えることが大切です。
目安としては、手数料・費用の総額が売却価額の5%以下に収まることを目指しましょう。
費用総額の相場は、売却価格の5~10%になることが多いです。
利益の1割を費用で持っていかれる場合、その後の引っ越しなどはかなり厳しいものになります。
不動産売却を成功させるには、引かれる分を減らす考えも重要です。
不動産売却時の費用の支払いは安全性の担保でもある
不動産売却は、仲介を頼まずに、売買契約を行うことも可能ですし、この際には、様々な費用を支払う必要もありません。
しかし、個人間でこのような高額取引を行うのは、かなりの危険性が伴います。
また、個人間で取引を行った場合、気付かないうちに違法取引をしてしまう場合もあります。
費用を支払うことは、安全性の担保に繋がっている面があることを理解しましょう。
不動産売却費用を余裕を持って支払うには高額売却するのが一番!
ここまで、不動産売却でかかるであろう費用と値引きのコツをすべて紹介しましたが、支払いをスムーズにする1番の方法は、やはり不動産を高値で売ること以外にありません。
不動産は一般の人が持ちうる最も高額な固定資産で、これを売るよりも高額な臨時収入を得られる手続きはほぼないです。
良く、「少しの工夫で家が査定額より300万円高く売れた!」なんてブログ記事を見ますが、100万円高く売れば、そのお金で費用をすべてまかなうことができます。
転勤までに旧住居を売らなければならない場合は、どうしても期間に目がいってしまいますが、どんな状況であれ高額売却を目指したほうが、今後楽になります。
一括査定サイトを使って高額売却!
不動産を高額で売った人のほぼ全員が使っているサービスが、一括査定サイトです。
簡単な物件情報を入力するだけで、平均6社へ査定依頼できるスグレモノで、査定額を比較すれば、確実に高額売却してくれる業者と契約することができます。
登録会社の広告料で成り立っているので、利用料は完全無料!利用しない手はありませんよ!
査定サイトのより詳しい特徴やおすすめサイトは、こちらにまとめてあるので合わせてお読み下さい!
不動産売却では手数料・費用が意外とかかる!お金の用意は早めに!
不動産売却にかかる費用は様々な種類があるので、全てを覚えるのは中々困難です。
不動産売却の手続きの流れともリンクさせながら、支払いをしっかりと行うようにしましょう。
これらは、はじめての方は予想以上の高額さに驚くことが多いです。
不動産売却代金が利用できない場合もあり、事前に準備をしておかなければ、支払うことができません。
検討中の方は、費用も頭に入れていきましょう。
