
不動産売却後の固定資産税は誰が支払う?どう精算・納付する?
不動産を所有していると、自動的に固定資産税が課されます。
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産を有している人に課されますが、それでは、不動産売却の際は大晦日に物件を引き渡さない限り、売却者は損をしてしまいます。
不動産売却時の固定資産税の支払い、精算はどのような考えで行われるのでしょうか。
売り手、買い手の双方が気になっているであろう不動産売却時の疑問を解説していきます。
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不動産売却における固定資産税の取り扱い
不動産売却が成功し、1月1日以降に物件を引き渡したとしても、納税者は売り手のままです。
実は、年の途中に不動産売却が完了し、引き渡しが起こった際の固定資産税の取り扱い方法に明確な決まりはありません。
その年の納付書や関連書類は全て売り手のもとに届くようになります。
固定資産税は1月1日時点の所有者に納税義務がある
固定資産税は不動産を所持し続ける限り、毎年納税義務があります。未登記だったり、1月1日以降に立て壊したりしても、自治体が航空写真で把握できる建物の所有者には納税義務があります。
これは年内に売り渡した場合も同じです。
不動産売却では日割りでの分割計算が一般的
不動産売買においては、一般的に売り手と買い手の負担額を日割り計算するという方法が一般的です。
こうして公平に税負担を配分することを、「固定資産の精算」と言います。
ただ、これも法的な取り決めではないので、売り手と買い手の交渉次第では、どちらかが全額負担するということもありえます。
この様に、負担方法は話し合いのもと自由に決めることができますが、もしもの際に責任を負われるのは売り手の方です。
分担をしたら放っておくのではなく、定期的に納税の確認をすると安心です。
精算しないと100%売り手の損
最近では、固定資産税の精算は面倒なので、行わない人が増えてきています。
たしかに、日割の計算や当事者間のお金の受け渡しという作業は手間がかかります。
しかし、精算をしない場合は売り手の全額負担になるので、行わないと必ず損してしまいます。
もし、不安であれば、不動産業者に相談をしましょう。
通常であれば、精算についてリードをおこなってくれるはずです。
もちろん、完全に業者任せにはせず、売り手自身も金額が正しく分担されているか確認しておきましょう。
固定資産税だけでも精算しておいた方が良い
不動産売却をすると、こうしたタイプの出費が増えてきます。
少額のものなどは、無理に精算をせず、引き続き売り手の負担であることが多いです。
しかし、固定資産税に関しては、精算をするのが不動産売却の慣習となっている部分もあります。
もし、買い手が負担に消極的でも、こうした例を出せば負担してもらえやすいですし、ほとんどの業者も精算の交渉を経験しているので、いざという時は任せてしまうのも一つの手です。
固定資産税の精算は起算日の設定に注意
1月1日を起算日とすると、どちらかが損をする可能性もあります。
それゆえ、不動産売却が決定した後に、状況に応じて起算日を再決定します。
現在では、1月1日と4月1日のどちらかを選ぶ場合がほとんどです。
ただ、起算日を変更したとしても、1月1日時点で決まった納税義務者に、約半年後、納付書が届けられるので、契約内容や時期が混乱しやすいです。
また、起算日をいつにするかで、売り手と買い手の負担の比重は大きく変わります。
お互いが納得できる決定ができるようにしましょう。
起算日と負担額の例
起算日が1月の場合、1月1日から引き渡し日分は買い手が、引き渡し日から大晦日までの分は売り手が負担するようになります。
一方、起算日が4月の場合、引渡日末までの分は売り手が、それ以降の分は買い手が負担します。
決算日を何月にするか、引渡日をいつにするかによって、負担額は最大で6,7万円も変化します。
これほど負担に差が出るということを知っている人は、あまり多くないです。
とはいえ、相手の無知を利用して勝手に決めてしまっても、後々大きな問題に繋がってしまいます。
無用なトラブルを防ぐ為にも、早めに業者と相談しておいた方が良いでしょう。
関東は1月1日・関西は4月1日が起算日となることが多い
固定資産税の台帳の更新は1月1日と国が定めています。
ただ、起算日に関しては、関東が1月1日、関西が4月1日となっています。
違う地域の不動産を売却したり、転居者と契約したりする場合は注意しましょう。
起算日を決めないトラブルが多い
実際に、起算日を決めずにいると、不動産売却後の固定資産税を誰が負担するか、トラブルになりやすいです。
こうしたトラブルは、毎年多数起こっています。
この際は、売り手と買い手が、仲介業者も交えた話し合いを行います。
無事に分担されれば問題はありませんが、買い手、売り手、業者のいずれかに著しい過失がある場合は、全額近くを負担させる場合もあります。
どちらにしても面倒なことになるので、早めに話し合いの場を設け、決めてしまいましょう。
税金・費用の精算は固定資産税以外にも必要
固定資産税以外にも、今まで期限を設定して支払っていた様々な費用を精算する必要があります。
例えば、分譲マンションの家賃、水道光熱費、マンション管理費、駐車場代などがそうです。
→不動産売却にかかる費用一覧!いくらかかるのか解説費用を精算したいのなら、今かかっている細かい費用を把握した上で事前に引き渡し日を起点に計算しておきましょう。
税金・費用の精算には売主の働きかけが必要
実際は、年の途中で売買された物件の費用をどう処理するかの明確な法規定はありません。
例えば固定資産税は「1月1日時点の所有者に納税義務がある」と法律に書いてあるので、字義通り見れば精算などできないはずです。
費用の精算はあくまで慣例で認められたイレギュラーなもので、引き渡した年・月締めの費用は売主が支払うのがセオリーです。
それでも精算したいなら、売主のほうから不動産会社に依頼・相談をするようにしましょう。
不動産売却費は固定資産税以外精算しないことが多い
実際は、費用を全て日割り計算するのは売主にとっても面倒なので、高額な固定資産税以外は精算せずに売主が負担するケースも多いです。
様々な費用も合計すれば結構な出費になってしまうので、きっちり精算したほうがお得ではあります。
一方で、売買契約は高額のお金を出してくれる買主が優位でもあります。
費用を半分負担させて買主とトラブルが起き、契約を解除されたら困るのは売主のほうです。
細かい費用を精算するより、売却代金を無事に受け取るほうが利益は大きいわけですから、財布に余裕があれば気持ちよく負担したいですね。
不動産の固定資産税を精算する際の注意点
固定資産税を精算するときに知っておきたい注意点が、以下の2つです。
- 精算は売買者間の合意でおこなわれる
- 精算は”公式”の手続きではない
ここから、より詳しく説明していきます。
精算は売買者間の合意でおこなわれる
費用の精算は、あくまで2人の合意でおこなわれる手続きです。
買主に拒否されれば自分で全額支払うしかないので、最初から精算できると思わないほうが良いです。
精算手続き自体に費用はかかりませんが、費用の計算時には精算できた場合とできなかった場合の2通りをシミュレーションしておきましょう。
精算は”公式”の手続きではない
税金・費用の精算は価格の値上げ・値下げなどと同じで、ある意味”口約束”によっておこなわれる手続きです。
税務局などもどう精算したか認知しませんし、あくまで売買者・業者の3者間のみが知る手続きとなります。
そのため、もし引き渡し後に支払いトラブルが起きても、話し合いの証拠がなければ相手の言い分をのまざるを得ません。
もし支払われなかった場合のペナルティなども含めてしっかり話し合っておき、それを売買契約書に詳細に書き留めておくのがおすすめです。
→不動産売却の必要書類と取得方法をタイミング別に徹底解説不動産売却において見落とされがちな固定資産税
仲介業者の役割は、物件の引き渡しまでとなります。
それゆえ、固定資産税の存在を業者は見落としがちです。
売り手・買い手間のみで取り決めをすることも可能ですが、第三者がいてくれた方がトラブルに発展しにくいです。
不動産業者の立会いのもと、日割り計算についてだけでなく、起算日をいつにするかまで、しっかりと話し合っておくことが大切です。
また、税負担の配分は、あまり早く決めてしまうと売買契約の結果に影響してしまうので、お薦めはできません。
なるべく、契約が決まった後に話しを切り出すと良いでしょう。
