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不動産売却

不動産売却とは?不動産を売るなら読むべき鉄則【専門家監修】

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この記事の監修者
松浦絢子さん
監修者
宅地建物取引士/弁護士
松浦絢子さん

松浦綜合法律事務所代表。

京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。

宅地建物取引士。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。

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今住んでいる家や、相続した物件など、所有する不動産を売却したいと考えている人も多いでしょう。

しかし、不動産売却をするのが初めてであるため、次のような疑問や不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

不動産売却についてよくある疑問
  • そもそも、なぜ不動産売却を考えるの?
  • 不動産売却の方法とは?
  • どういった流れで不動産売却が進むの?
  • 不動産売却のために準備しておくことはあるの?
  • 不動産売却にはどういったお金がかかるの?
  • どうしたら不動産売却を成功できるの?
  • どの不動産会社と契約すればいいの?

そこでこの記事では、不動産売却に関わる疑問をまとめて解決する参考として、不動産売却の全体像、そして具体的な動き方、覚えておきたい知識について解説します。

「これだけ知っていれば大丈夫」というポイントを詳しく説明しているので、気になる項目をチェックしてみてください。

なお本記事では、株式会社グローベルスが1,201名を対象に独自調査したアンケートのうち、実際に不動産売却を利用した134名の情報をもとに傾向などを分析します。

「実際に利用した人の意見が気になる」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

売却方法 仲介売却 業者買取 個人間売買 買取保証付き仲介 任意売却 リースバック
売却相場 相場価格で売れる 相場価格より安い 取り決めた金額 期限付きで相場価格で売れる 相場価格で売れる 相場価格より安い
かかる期間 平均3~6ヶ月
※物件の状態次第では6ヶ月以上
希望時期
(最短2週間前後)
希望時期 約3ヶ月
期日以降は買取
買主・金融機関と協議の上で決定 希望時期(最短2週間ほど)
契約不適合責任 あり なし あり あり なし なし
必要な準備 書類準備・内覧準備など なし 場合による 書類準備・内覧準備など 書類準備・内覧準備など なし
おすすめの方 高値で不動産を売りたい方 短期間で早々に不動産を売りたい方 仲介手数料の節約や売買取引に慣れている方 仲介売却と業者買取の2方法を活用して不動産を確実に売りたい方 抵当権付きの不動産を売りたい方 売却後も今の家に住みたいと考えている方

 

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Contents

不動産売却をする主な理由

不動産売却をする主な理由

不動産を売却する理由は人によって様々です。

では、実際に売却をした人たちはどのような理由を持っていたのでしょうか。

不動産売却をした理由とは?

株式会社グローベルスが実際に不動産売却をした134名を対象に実施した独自アンケートによると「住み替え」「相続物件の処分」「使い道を失う」「ローン返済に悩む」という理由で売却する傾向が強いとわかりました。

より良い住まいに住み替えるため 40名(29.9%)
相続物件を処分するため 37名(27.6%)
物件の使い道が無くなったため 17名(12.7%)
ローンの返済が困難なため 12名(9.0%)
資金調達のため 10名(7.5%)
転勤のため 6名(4.5%)
離婚したため 4名(3.0%)
通勤・通学のため 4名(3.0%)
家族と同居するため 2名(1.5%)
結婚したため 2名(1.5%)
不動産売却の利用者ランキング

仕事やプライベートでのライフスタイルが変化したため、住み替えが必要になる人や、両親等が亡くなったことで物件を相続し、そのまま処分するために売却を考える人が多いとわかります。

上記のアンケートにあてはまる理由を含め、ここからは、よくある不動産売却の理由を紹介していきます。

理由1位】より良い住まいに住み替えるため

今の住まいを売却して代金を手にし、より良い住まいや広い住まいを購入するケースが最も多いです。

ちなみに、独自アンケートでは全体の約3割が住み替えのために不動産売却を利用しています。

参考として、住み替えの検討が必要になる理由を以下にまとめました。

住み替えが必要になる理由
  • 勤務先から転勤を命じられてやむなく
  • 家族構成の変化や築年数の経過、加齢により今の家に不便さを感じたため

なお、住み替え目的の不動産売却では、およそ7割以上の売り物件がローン完済前だと言われています。

ローンを返済し終えていない人でも、不動産売却で得た代金を使えば残債を処理できます。

また、持ち家から持ち家への住み替えは、売却と新居購入の手続きを同時並行で進めなければなりません。

この時、それぞれの契約のタイミングがずれると、新居引っ越し前に仮住まいが必要な期間が生まれてコストもかさんでしまうため、注意が必要です。

理由2位】相続物件を処分するため

実家を相続したけれど、遠方に住んでいたり、築古で状態が良くなかったりする場合は、固定資産税や維持費の支払いを回避するために不動産を売却する人がいます。

独自アンケートによると、全体の3割弱が相続した物件の取扱いに困り、不動産売却を利用している状況です。

この場合、まずは相続登記をおこなって所有権を相続人の名義に変更し、その上で正規の手続きで不動産を売却しなければなりません。

なお、相続した物件の形見分けが必要なとき、相続人全員が物件そのものに価値を感じていない場合は、売却をして現金化することで、相続の分割がしやすくなりトラブルの回避に繋がります。

理由3位】物件の使い道が無くなったため

次のような理由で賃貸経営している不動産がマイナスな方向に進み、資産の整理や現金化が必要となって不動産売却をするケースがあります。

資産整理や現金化が必要になるケース
  • 不動産の賃貸経営における収益が落ちた(人が住まなくなった)
  • 経年劣化やメンテナンスなどにより期待する収益を得にくくなった

なかでも、賃貸経営による収益は、日本の少子高齢化問題による人口減少の影響を受けやすく、徐々に賃貸契約を辞めて別の場所に移り住むという人が増えてきます。

特に今後は人口1億人を切り、2070年になると8,700万人にまで減ると予想されているため、徐々に今住んでいる賃貸物件から離れる人が増加すると考えられます。

また、築年数の経過などにより空室率が増えると、維持費・管理費などのコストとの収支悪化や、キャピタルゲインの見込み低下が見られます。

このタイミングでの売却が多いことから、人口減少による影響を強く受けて不動産売却に動き出す人も少なくありません。

理由4位・5位】ローンの返済が困難なため(その他の金銭的理由含む)

借金に追われている、住宅ローンの支払いが滞っているなど金銭的に苦しい場合、不動産売却を検討するケースがあります。

例えば、住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンの返済負担率は15~20%にしている割合が多い傾向です。

返済負担率の傾向出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」

ですが人によっては、自身の収入よりも負担率の大きな物件を購入して、住宅ローンの返済を滞らせてしまう人も少なくありません。

無理な買い物をしてしまうと、必要以上に借金を背負うことになるため、十分に注意してください。

なお、住宅ローンの返済が不能な状態の場合には、任意売却をおこない完済できなかった残債は債権回収業者(サービサー)に少しずつ返済することが可能です。

なお、任意売却を使わずに返済滞納を放置すると、裁判所から不動産を差し押さえられて競売にかけられるリスクもあるので注意が必要です。

理由6位】転勤のため

次のようにワークスタイルが変化することで、不動産売却を始める人もいます。

不動産売却に関わるワークスタイルの変化
  • 勤務先から異動を言い渡された
  • ワークスタイルを変えるために転職した

近年では転職ブームなども起きていることから、家族と一緒に別のエリアに移り住むために、一度購入した不動産を売却して新しいエリアに家を買うという人も少なくありません。

なお、転勤や転職が伴う不動産売却は、売却期限が限られた中での住み替えになるため、スケジュール管理を徹底しなければなりません。

今後のライフプランなど様々なことを考えた上で、最適な選択をしていきましょう。

理由7位】離婚したため

夫婦で購入した住まいを、離婚を機に不動産売却を検討するケースもあります。

一緒に住んでいた家は離婚時に売却して分割するか、どちらか一方が住み続けるかの2択となります。

ちなみに、法務局が実施した財産分与の調査によると、不動産売却をして現金化をするケースが3%程度ある状況です。

財産分与の対象にならなかった 78.9%
財産分与の対象になり片方が取得した 17.8%
不動産売却をして現金を分与した 3.4%

引用:法務局「財産分与を中心とした離婚に関する実態調査・分析業務」

財産分与にならないこともあれば、片方が住み続けるケースも多いのですが、夫婦ローンなどを組んだ状態で片方が家を出てしまうと、出て行った後も住宅ローンの支払い義務が発生するなど、さまざまな面倒が生まれてしまいます。

一方で不動産を売却してしまえば、ローンの返済、そして離婚後の関係を明確に終えられるのが特徴です。

なによりも、離婚前の家に住み続けるのは、感情的にも気持ち良いものではありません。

離婚を機に不動産を売却して、新生活をスムーズに始めるのがおすすめです。

不動産売却の方法

不動産売却方法は、大きく分けて6つあります。

不動産売却の方法
  • 仲介売買:仲介業者と契約して、販売を依頼する
  • 買取:物件を募集している業者に売却する
  • 個人売買:専門業者を挟まず、個人間で売買をする
  • 買取保証付き仲介:一定期間だけ仲介売却で売却活動を実施し、期限以降は買取で不動産を売却する
  • 任意売却:住宅ローンを組んでいる金融機関から承諾を得てから売却する
  • リースバック:不動産会社に物件を買い取ってもらった家を賃貸にして住み続ける

それぞれの特徴を比較すると、以下の通りになります。

項目 仲介売却 業者買取 個人間売買 買取保証付き仲介 任意売却 リースバック
売却相場 相場価格で売れる 相場価格より安い 取り決めた金額 期限付きで相場価格で売れる 相場価格で売れる 相場価格より安い
かかる期間 平均3~6カ月 希望時期(最短2週間ほど) 希望時期 3ヶ月
期日以降は買取
買主・金融機関と協議の上で決定できる 希望時期(最短2週間ほど)
契約不適合責任 あり なし あり あり なし なし
必要な準備 書類準備・内覧準備など なし 場合による 書類準備・内覧準備など 書類準備・内覧準備など なし

それぞれの方法を事前に把握しておき、適切なやり方を選択していきましょう。

方法1】仲介売却


物件の売却を専門業者に仲介してもらい、第三者へ売却をする「仲介売却」が、最もメジャーな不動産売却の方法です。

“不動産売却=仲介売却”とイメージしている人も多く、希望金額で売り出しやすく、うまく買い手が見つかれば高い金額で売れます。

ただし仲介売却の「物件が売れるまで時間がかかりやすい」という点に注意が必要です。

例えば、仲介売却を利用すると、契約をした後に広告掲載などをおこない、購入希望者が現れるのを待たなければいけません。

広告から申し込みをする人数は、人気の物件でも1日に数名であり、そこから内覧で好印象を持ってもらい、契約に至る人は、さらに少なくなります。

また、成約時に売上の一部を仲介手数料として支払わなければいけない点も注意が必要です。

おすすめな人
おすすめできない人
・不動産売却期間にゆとりがある
・高額で不動産を売却したい
・じっくり購入希望者を選びたい
・急いで不動産を売らなければならない
・内覧に対応するのが手間に感じている

方法2】不動産買取

買取
買取は、不動産会社へ物件を直接売る方法です。

前述した「仲介売却」は購入希望者がいないと売れないほか、状態の悪い物件は売れ残りがちです。

一方で「買取」は状態の悪い物件でも売れやすく、かつ早く換金できるのが魅力です。

なるべく早めに不動産売却を済ませたいという人に最適の方法です。

ただし、買取で得られる利益は仲介売却と比べて下がってしまうので、まとまったお金を手に入れたい方には不向きな売り方でもあります。

売却方法 仲介売却 不動産買取
買主 個人 不動産会社
売却活動の期間 購入希望者が現れるまで
※平均3~6ヶ月前後
買取条件が合えば、短期間で売却可能
※平均1~2ヶ月前後
売却価格(相場) 市場価格の90%~110% 市場価格の70%前後
契約不適合責任の有無 原則免除
※適用される場合がある
あり
仲介手数料の有無 なし あり
おすすめの方 ・不動産を短期間で売却したい方
・築古ゆえ仲介売却を断られてしまった方
・不動産を高値で売却したい方
・抵当権付きの不動産を売却したい方
おすすめな人
おすすめできない人
・急いで不動産を売らなければならない
・内覧に対応するのが手間に感じている
・不動産売却期間にゆとりがある
・じっくり購入希望者を選びたい
・高額で不動産を売却したい

方法3】個人売買

個人売買
個人売買は、売主と買主が個人間で契約をして取引をする方法で、仲介手数料を節約して、自分達が納得するルールで契約できるのが魅力です。

例えば、田舎で近隣の住民などに所有地を売る場合などに個人売買が用いられています。

ただし、親族間で個人売買を実施するケースもありますが、親族間で不当に価格を下げて取引したと判断された場合、贈与税が発生するリスクがあります。

不動産売買は大金が動くため、専門家の意見を挟まずに取引をすると後で大きなトラブルが発生する可能性が高いです。

個人間で不動産売却を行う場合は、専門家や弁護士に相談して明確なルールに沿って進めましょう。

おすすめな人
おすすめできない人
・仲介手数料を節約したい
・すでに購入してくれる人が決まっている
・不動産売却の手続きがわからない
・税金を減らすために不当に価格を下げようとしている
・個人間トラブルを避けたい

方法4】買取保証付き仲介

買取保証付き仲介
買取保証付き仲介(不動産買取保証)は、不動産会社が一定期間内に物件が売れなかった場合に「事前に定められた価格で買取する」という保証をつけて物件を仲介するサービスです。

この方法のメリットは、売却の確実性が高まる点です。

買取保証制度

特に、早急に資金を得る必要がある場合や、新居購入のタイミングと合わせたいときに適しています。

しかし、買取価格は市場価格よりやや低めに設定されることが多いため、最高価格を求める売主には不向きな方法です。

おすすめな人
おすすめできない人
・確実に不動産を売却したい
・新居購入に合わせて売却したい
・高額で不動産を買取してほしい
・値段交渉をして買取額を高めたい

方法5】任意売却

任意売却
任意売却とは、ローンの返済が困難になった場合など、債権者との合意のもと、不動産を売却することを指します。

借金や収入減少などにより住宅ローンを返済できない場合に利用することが多く、これにより、不動産の差し押さえや競売が避けられます。

任意売却また任意売却のメリットは、負債の圧縮やクレジットヒストリー(滞納歴など)の保全にあります。

専門の不動産会社や司法書士と連携しながら売却を進めましょう。

おすすめな人
おすすめできない人
・住宅ローンを支払えなくなった
・ローンによる借金を増やしたくない
・滞納歴をつくりたくない
・問題なくローンを支払える
・値段交渉をして買取価格を増やしたい

方法6】リースバック

リースバック
リースバックは、不動産を売却した後もその物件を賃貸として引き続き使用する方法です。

参考としてリースバックの流れを以下にまとめました。

  1. リースバックを提供している不動産会社に不動産を売る
  2. 不動産会社から不動産を賃貸として借りる
  3. 契約を更新しつつリースバックした不動産に住み続ける

リースバックを利用すれば、不動産売却の収益を得ながら、今までと同じ不動産に住み続けられるのが魅力です。

リースバックの仕組み

ただし、賃貸契約に変更となるため、継続的な家賃の支払いが必要となります。

特に、現在の住居を離れたくないが、一時的な資金が必要な場合や、老後の資金計画の一環として、この方法を検討しましょう。

おすすめな人
おすすめできない人
・住宅ローンの支払いが厳しくなった
・今すぐに高額な費用が必要である
・将来家にかかる費用をなくしたい
・不動産という資産を自分で所有しておきたい

不動産売却の手順【5ステップ】

不動産売却の流れは、基本的に上記の5ステップで進んでいきます。
エリアや物件の種類・状態にもよりますが、全て完了するまで3~6か月かかるのが一般的です。

各ステップと所要時間は以下の通りです。

手続き 売却検討開始からかかる時間の目安
【STEP1】事前調査・業者に相談・査定依頼 ~約1.2週間
【STEP2】査定結果で絞込み ~約2週間から1か月
【STEP3】媒介契約 ~約1か月から2か月
【STEP4】販売活動・内覧 ~約2か月から5か月
【STEP5】契約・引き渡し ~約3か月から6か月

STEP1.事前調査・業者に相談・査定依頼

まず、不動産売却について詳しくない人は、不動産売却に詳しい知り合いに相談したり、ネット検索を活用したりして次のような情報を集めましょう。

事前調査しておきたい項目
  • 不動産の売却相場
  • 契約する不動産会社の評判

売却の相場は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や「地価公示・地価調査検索システム」、不動産ポータルサイト、また固定資産税の納税通知書を確認することで確認が可能です。

また、評判については実際に利用した人たちから聞いてみたり、口コミ投稿サイトなどを利用することで確認できます。

そして、知識をある程度身につけたあとは、気になる不動産会社を選んで売却の相談をしましょう。

不動産会社と相談をする

不動産売却は、売却活動をサポートしてくれる担当者が重要になるので、対面での相談をおすすめします。

ちなみに最初の相談は、何も持たずに気軽に相談することも可能ですが「ここの不動産会社で売る!」と決めている人は以下の必要書類を持って行ったほうがスムーズに売却を進められます。

必要書類
  • 所有不動産の物件概要書
  • 登記事項証明書
  • 間取り図

上記の書類があれば、机上査定および訪問査定を進行しやすくなります。約1~2週間で終えられるため、最初の準備を始めましょう。

もし不動産会社を決めかねている人は、不動産一括査定サイトで自分に合った不動産会社を見つけることも可能です。

不動産一括査定サービスの利用者数

株式会社グローベルスが実際に不動産売却をした134名を対象に実施した独自アンケートによると不動産売却をした人のうち、約3割が不動産一括査定サービスを利用しています。

使ったことがある 40名(29.9%)
使ったことがない 94名(70.1%)
不動産一括査定サービスの利用者数

不動産一括査定サービスを利用することにより、相性の良い不動産会社を見つけられるので、ぜひ一括査定を利用してみてください。

STEP2.査定結果で絞込み

各不動産会社の査定価格例

気になる不動産会社に見積もりを依頼し、査定結果(不動産査定書)を受け取ったら、どの業者と契約を結ぶべきか、絞り込みを始めましょう。

東急リバブルから査定書が届く

まず、複数の不動産会社に査定を依頼すると、不動産会社によって査定額が異なります。

査定額の低い不動産会社など、相場と異なる条件を提示してくる場所もあるので、事前に調査しておいた売却の相場をもとに、相場に近しい金額で査定されているのかをチェックしてみてください。

また、査定額が一番高い場所を利用してよいというわけではありません。

なかには、高い査定額を出してもらったけれど、価格が高いせいで購入希望者があらわれないというケースもあります。

安心して任せられる不動産会社を選ぶためにも、スタッフの対応や実績数なども比較しながら業者を探してみてください。

STEP3.媒介契約

不動産会社を選んだあとは、媒介契約を結びます。

媒介契約とは、不動産売却が成立した時に不動産会社が受け取る報酬の金額や売却活動の方向性を決めることを指します。

不動産売却の仕組み

国土交通省が定める「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」に基づき、以下に示す3つの契約方法のうち、ひとつの方法で契約をしなければなりません。

契約の種類 メリット デメリット
専属専任媒介契約
  • 業者・担当者のモチベーションが高まる
  • 1週間に最低1回は進捗の報告をしてくれる
  • レインズへ5営業日以内に確実に登録してくれる
  • 依頼者は自分で買主を発見してはいけない
  • 気軽に業者変更ができない
専任媒介契約
  • 7営業日以内にレインズへの登録をしてもらえる
  • 最低2週間に1回の報告義務
  • 自分で買主を探す自己発見取引が可能
  • 専任媒介契約を望まない業者も多い
  • 他社との契約は禁止
一般媒介契約
  • 複数社と同時に契約を結べる
  • 悪徳業者に騙される心配が減る
  • 業者のモチベーション・販売活動の規模が低くなりがち
  • 進捗の報告義務がない
  • レインズへの報告義務がない

依頼者にとって契約解除上の拘束は、専属専任>専任>一般の順に難しくなりますが、契約上の拘束が強い=仲介手数料を確実に得られるということでもあるので、業者のモチベーションや使える販売コストも専属専任媒介契約が一番高くなります。

不動産売却の状況によっても最適な契約方法は異なるので、契約方法を慎重に選びましょう。

STEP4.販売活動・内覧

媒介契約を結んだあとは、不動産会社に仲介してもらいながら不動産の販売活動を始めます。

販売活動時に行われることは、レインズへの登録や物件広告の作成、広告のWebサイト掲載やポスティング、必要書類の作成や取得などです。

物件広告

販売活動は不動産会社が主体となって進めてくれるので、売主は買主が現れるまで待ちます。

その後、興味をもった買主が見つかると物件の内覧や説明を行うのが一般的です。

物件の内覧や説明は、不動産会社にすべて任せられますが、売主が実際に立ち会う事がほとんどですので、前日までに掃除を終わらせておきましょう。

内覧前に決めたいポイント
  1. 売主は内覧に同席するか
  2. 内覧前に家財道具などを処分するか
  3. 内覧の準備は当日どのように行うか(換気・出迎え・照明の点灯など)
  4. 内覧前にどんな準備をおこなうか(清掃・整頓整理など)

内覧してもらう物件の掃除をしているのか、していないのかで、不動産売却の成功率が変わることもあるので注意してください。

マンションの内覧でよく見られる箇所
  1. 入室時の第一印象(明るさ・広さ・においなど)
  2. 眺めの良さ
  3. 方角・日当たり・風通し
  4. 水回り
  5. キッチンの広さ・位置
  6. 天井・壁のキズや汚れ
  7. 床の傾き・軋み
  8. バルコニーの広さ
  9. ドア・窓をスムーズに開閉できるか
  10. 水栓
  11. 給湯器

STEP5.契約・引き渡し

買主が決定すると、買主側の住宅ローンの審査・物件の最終調整を行い、売買契約を結びます。

売買契約は主に、売主・売主側の仲介業者・買主・買主側仲介業者が集まって行います。

なお、売買契約には下記の書類が必要になります。

必要書類
  • 実印・認印
  • 身分証明証
  • 登録済権利証
  • 印鑑証明書
  • 収入印紙

契約時には、宅地建物取引士が同席して重要事項説明の読み合わせを行います。

その後、重要事項の説明がおわれば売買契約書を締結します。

必要書類を提示し、本人確認をして手付金の授受を同時に実行したのち、すべての内容に双方が合意すれば契約書への署名・押印を行い、終わったあとは売主・買主が契約書を持ち帰ります。

上記全て終われば不動産売却が完了します。

不動産売却を始める前にやるべき事

不動産売却を検討している人は、スムーズに不動産売却を終わらせるためにも、事前準備について把握しておくことが大切です。

ここからは、不動産を売る前に実施したいポイントを紹介します。

不動産を売る時の注意点!売却前に知っておきたいポイント12選

不動産売却について家族と話し合う

不動産売却は、当事者だけでなく家族全体に影響を及ぼす可能性があるため、家族全員の合意と理解を得ることが重要です。

例えば、次のように、不動産売却に関する重要情報を家族と共有することが必要です。

家族に話しておくべきこと
  • 売却する理由
  • 予定している売却のタイミング
  • 想定される影響(生活やお金)

特に子供がいる場合、彼らにとっては大きな変化となるため、その理由と影響を正しく理解させることが重要です。

また、家族の一員が売却に反対するときには、可能な限り調整し、共通の理解を築くことが大切です。

周辺エリアで売り出されている類似物件をチェックする

不動産売却を検討している人は、まずどんな中古物件がいくらで売り出されているのか確認してみましょう。

SUUMOライフルホームズのような不動産ポータルサイトには、中古の売り出し物件も多数掲載されており、次の情報がわかります。

ポータルサイトでわかること
  • 物件の価格
  • 売り出されている土地の広さ

自宅と条件が近い物件をチェックすれば、おおよその売却価格を予想できます。

どんな物件が売られているのか実際に検索してみて、売り出し価格を決める参考にしてみてください。

不動産売却の一連の流れを把握しておく

不動産売却をスムーズに進めたいなら、あらかじめ一連の流れを理解し、正しい判断をしていくことが大切です。

参考として、全体の流れを調べるときにチェックしておきたいポイントをまとめました。

調べておきたい項目
  • 不動産業者の選び方
  • 査定の依頼方法
  • 契約手続き
  • クロージングまでの流れ
  • 不動産売却にかかる費用

次に、以下に示す項目のように、売却の手続きを進めるなかで起こり得る問題や困難について知識を深めていくことも重要です。

よく起こる問題
  • 不動産スタッフとの相性の良し悪し
  • 売り出した物件が売れない
  • 必要書類の準備不足
  • 売却後の税金の問題

これらを行うことにより、自主的に不動産売却の流れを理解し、予期せぬ問題に対応する能力を身につけられます。

不動産の権利関係・詳細情報を再確認する

長年所有している不動産でも、詳しい内容は意外と知らないものです。登記事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せて、登記上はどうなっているのかを確認しましょう。

不動産登記簿謄本の内容と見方

特に多いのが、相続した不動産の権利が亡くなった親名義のままになっているケースです。

相続後、特に手続きをしないと親名義のままであるため、売却するときにはお住まいのエリアにある法務局で、次の方法を使って名義変更が必要になります。

名義変更の方法
  • 窓口手続き
  • 郵送申請
  • オンライン申請

また、調べてみるとローンの担保が付いたままだったり、親族が権利の一部を持っていたりすることもあります。

住宅ローンの残債額の確認

不動産売却を考える前に、まず現在の住宅ローンの残債額を確認することが非常に重要です。

例えば「ローン残高>売却価格」という状態の場合、差額を自己資産で返済しなければなりません。(オーバーローン)

一方で「ローン残高<売却価格」という状態なら、差額を売却後に受け取れます。(アンダーローン)

オーバーローン・アンダーローン

残債額と推定売却価格とを比較し、自己負担額が発生する可能性を見極めてみてください。

不動産を売る理由を整理する

転居や離婚、借金返済、事業資金の補填など、不動産を売る理由は様々あります。

ただ、不動産売却の理由を一言で説明しろと言われたら、意外と説明できないものです。

まずは理由を徹底整理しましょう。理由が明確になることで、目的や依頼すべき不動産会社も見えてきます。

売却時に整理しておきたいポイント
  • 売却の目的は何か
  • 売却後の手残りは最低いくら必要か
  • 売却後に最低いくらの資金が必要か
  • 売り出しから成約までは何か月(何年)後まで待てるか
  • 成約価格は最低いくらに設定するか
  • もし、上記条件に合わない場合はどうするか

不動産をいくらで売るか決める

不動産売却は売主と買主のマッチングなので、条件の良い物件でも運やタイミング次第でなかなか売れない可能性はあります。

予想以上に売れないと、不動産会社から早く売るために値下げをしてはどうかと提案されます。

売主も「売れ残りでこんなにストレスが溜まるなら、いっそ値下げしようかな…」と心が揺らいでしまいがちですが、ここで目的がブレないように、事前に「売るなら○○万円~△△万円の間。それを下回るなら売却をキャンセルする」と決めておきましょう。

金額の上限値・下限値を決めておくことにより、引き渡し後に振り返って後悔するようなことがなくなります。

また、査定結果を受けて、いくらで売り出すかを決めるのも売主の目的を達成するために重要なポイントです。

三井のリハウス「タイプ別売出提案価格」三井のリハウス「タイプ別売出提案価格」
売却プラン 査定価格 スタンダート チャレンジ スピード
売出提案価格 2,184万円 2,180万円~2,380万円 2,380万円~2,580万円 1,980万円~2,180万円
査定価格乖離率 99.8%~108.9% 108.9%~118.1% 90.6%~99.8%
90日以内成約割合 81% 88% 72%

上記は三井のリハウス(三井不動産リアルティ)が設定した、ある物件(査定価格2,184万円)の売却プランになります。上記の通り、売り出し売出価格を設定したら成約までの期間は長引き、安く設定したら成約までの期間は早まるものの、損をしてしまいがちです。

余裕とゆとりのあるスケジュール計画を立てる

不動産の売却は、売主の資産管理、税務、あるいは生活スタイルを変える重大な行動であり、大きな決断を迫られたせいで焦りを感じる人も少なくありません。

ですが焦りや混乱があると、つい不動産会社任せにしてしまい、満足のいく売却ができなくなってしまいます。

それを避けるためにも、次のように余裕とゆとりを持った計画を立てることが大切です。

ゆとりのある計画とは
  • 販売タイミングを考慮して動き始める
  • 売り出し価格が変更になることを把握しておく
  • 物件の状態や近隣環境の評価で価格が変動すると理解しておく
  • 必要書類を早めに準備しておく

売却活動がスムーズに進行するよう、タイムラインを作成し、それぞれのステップに対する目標日を設定すると良いでしょう。

これにより効率よく不動産売却を進行でき、焦りや混乱からくる不安を軽減できます。

売却活動や売買契約時に必要なものを用意しておく

不動産の売却には、次のように多くの書類や情報が必要となります。

書類が必要なタイミング 書類の名称 内容 必要度
査定・売買契約 登記権利証または登記識別情報 不動産の所有者を示す書類 必須
査定時 確定測量図・境界確認書 隣接する土地の所有者や境界を明確にする書類 必須
地積測量図 法律によって定められた方法で作成された測量図 場合による
登記簿謄本 土地面積・建物構造、所有権などがまとめられた書類 場合による
建物図面・公図・建築設計図書 建物の形状や土地の形状などが記載された図面・書類 場合による
住宅性能評価書・耐震診断報告書 建物の断熱性や安全性などがまとめられた第三者機関の報告書 場合による
リフォームの実績が分かる書類 リフォーム箇所・時期を示す書類 場合による
(リフォームをした家のみ)
売買契約書(購入時のもの) 物件の購入条件が記載された書類 場合による
重要事項説明書 物件購入時に渡される権利や条件がまとめられた書類 場合による
固定資産税通知書(固定資産評価証明書) 固定資産税の税額や不動産価格が記載された書類 場合による
管理費・修繕積立金の記載書類 管理費や修繕積立金の額が示された書類 場合による
売買契約 固定資産税通知書 固定資産税の税額や不動産価格が記載された書類 必須
本人確認書類 運転免許証・パスポート・マイナンバーなど 必須
実印・印鑑証明書 売主の実印や役所で登録した印鑑の証明書 必須
・マンション管理規則
・総会議事録
・長期修繕計画
・管理に関わる重要事項調査報告書
マンションの必要書類 必須
(マンションの場合)
・建築確認済証
・検査済証
建物工事の建築基準法の診断証明書 必須
(一戸建ての場合)

これらの準備を進めることで、売却活動がスムーズに進行し、より早く適切な買主を見つけられます。

また、これらの情報を整理することにより、不動産の価値を正しく評価し、適切な売却価格の設定ができます。

売りたい不動産の瑕疵(欠陥)を調べておく

不動産の売買契約では、売主(あなた)は買主に対して、不動産が契約通りの状態であることを保証する責任を負います。これを契約不適合責任といいます。

つまり、売主は、自身が売却する不動産についての詳細情報を正確に把握し、隠れた欠陥(瑕疵)などがないかを確認する必要があります。

主な瑕疵(欠陥)の例
物理的な欠陥 水漏れ・雨漏りや設備の故障・柱の腐敗や耐震性の不足 など
法律的な瑕疵 建築制限のオーバー、接道義務を果たしていない など
心理的な瑕疵 過去に自殺や殺人事件が物件内で起きた、近隣に指定暴力団事務所があった など
環境的な瑕疵 夜中を通して騒音や睡眠を妨害するレベルの振動があるエリアだった など

万が一、売買後に欠陥が発覚した場合、売主は補修費用や損害賠償を負担します。

このように、契約不適合責任は重大な影響を及ぼす可能性があるため、不動産売却にあたっては、事前に国民生活センターが契約不適合責任について説明している誌上法学講座をチェックしておくと安心です。

隣地との境界が明確になっているか調べておく

土地を売却する際には、土地の境界線を明確に把握しておきましょう。

明確にしておくべき理由
  • どちらの土地なのかという理由で隣地とトラブルが起こる
  • 所有物を勝手に売られたと損害賠償を請求される

以上より、売却前には境界確認を行い、必要であれば測量士による公式な境界確認調査を実施することが望ましいです。

この結果は買主にも提示し、事前に問題をクリアにすることでスムーズな売却が可能となります。

なお、敷地境界の情報は、国土交通省の「地籍調査Webサイト」に掲載されている場合もあるので、一度自宅周辺の境界線をチェックしてみてはいかがでしょうか。

不動産売却で発生する税金・費用

不動産を売ると、代金がそのまま手元に入るわけではありません。

不動産を売ると以下のような費用がかかってしまうので注意しましょう。

不動産売却にかかる税金・費用
  1. 仲介手数料
  2. 印紙税
  3. 抵当権抹消登記費用
  4. 譲渡所得税
  5. 住宅ローン一括返済費用
  6. 測量費用
  7. ハウスクリーニング費(必要に応じて)
  8. リフォーム費(必要に応じて)
  9. 建物の解体費(必要に応じて)

費用がいくらかかるかは不動産がいくらで売れるかにも大きく関わりますが、少なくとも100万円以上にはなります。

不動産を売る際は、費用がかかることを頭に入れておかないと、無意味に物件を手放すことにもなりかねないので注意しましょう。

以下に必要な費用を詳しく解説します。

仲介手数料

仲介手数料とは、買主との売買契約が成立した際に仲介してもらった不動産会社に支払う金額です。

売却時の費用で最も掛かる部分で、次のように計算されます。

売買価格 仲介手数料の上限額
200万円以下の部分 売買価格の5%+消費税
200万円超400万円以下の部分 売買価格の4%+消費税
400万円超の部分 売買価格の3%+消費税

出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

売却価格が400万円を越える場合は、「売買価格×3%+6万円+消費税」と簡単に計算できます。

例えば取引価格が1,000万円の物件だと、1,000万円×3%+6万円+消費税=36万円が仲介手数料となります。

通常の売却益から差し引かれるので、不動産会社にわざわざ支払う必要はありません。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約を結ぶ際に契約書に印紙として貼り付ける税金のことです。

収入印紙収入印紙

売却した側、購入した側双方に支払い義務が生じます。売買金額ごとに、次のように印紙税は定められています。

売買金額 不動産売買契約書
1〜9,999円 非課税
1万円〜10万円 200円
10万円〜50万円 200円
50万円〜100万円 500円
100万円〜500万円 1,000円
500万円〜1,000万円 5,000円
1,000万円〜5,000万円 10,000円
5,000万円〜1億円 30,000円

出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

不動産の売買であれば、大体10,000円~30,000円のことが多いです。

また近年では、売買契約の電子化などが進んでいます。オンライン契約などで対応できる場合には、印紙を貼り付ける必要がないため、上記の費用をかけずに手続きをすることも可能です。

抵当権抹消費用

抵当権抹消費用とは、住宅ローンを組む際に設定された抵当権を抹消するための費用です。

抵当権は住宅ローンを返済できなかった際に、金融機関が住宅を担保に売却することができる権利なので、不動産を売却する際は必ず支払わなければなりません。

なお、抵当権抹消費用は法務局が公開している「抵当権の抹消登記に書類と登録免許税」という資料より、不動産一つにつき1,000円で、土地と建物それぞれに抵当権が付いている場合は2,000円かかります。

ただし、抵当権の抹消は手続きが面倒なので、司法書士に依頼することが一般的です。

司法書士に依頼する費用は15,000円~20,000円程度かかります。

譲渡所得税

不動産を売却すると、売却によって発生した利益に対して譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税の上乗せ)がかかります。

譲渡所得税の仕組みと計算式
譲渡所得税の計算式
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
譲渡所得税の計算の流れ
  1. Step1】売却した不動産の取得費を算出する
  2. Step2】売却費用(譲渡費用)を計算する
  3. Step3】特別控除額を計算する
  4. Step4】譲渡所得(不動産売却で発生した利益)を計算する
  5. Step5】それぞれの金額を計算式に当てはめる

譲渡所得税は、所得税と住民税の合算の税金で、不動産を保有していた年数によって次のように税率が変わります。

短期譲渡所得税(5年以内) 所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63%
長期譲渡所得税(5年を超える) 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%

出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」

5年を超えるかどうかで税率が倍近く変わるので、売却時期を選ぶ余裕があるのであれば時期を待つのも一つの手です。

なお、マイホームを売却したときには、譲渡所得の特例として「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」により、最大3,000万円を控除できます。

また、相続した物件を売却する際には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」が適用され、最大最大3,000万円を控除できます。

住宅ローン一括返済費用

売却する不動産に住宅ローンが残っている場合は、抵当権を抹消するために売却前に住宅ローンを一括で返済する必要があります。

なお、住宅ローンを一括で返済する際には手数料がかかります。

住宅ローン一括返済の手数料は金融機関によって異なりますが、おおよそ0円~50,000円程度です。(住宅金融支援機構の場合:繰上返済する金額×5%)

一括返済することが決まれば、返済予定日の1か月前を目安に金融機関に連絡しておきましょう。

測量費用

地積測量図・境界確認書

土地を売却する際にきちんと測量して正確な土地を売却しようとすると、測量費用が掛かります。

測量の方法には次の3種類があり、それぞれの金額が異なります。

測定方法 内容 金額(平均)
現況測量 土地の状況をありのままに測量する 10~20万円
境界測量 境界を測量して、境界の位置を特定する 20~30万円
確定測量 隣地の所有者に立会いと同意をもらって境界を確定させる 40~50万円

売りたい不動産の境界線が登記上存在しない場合や、登記上の境界と現況が明らかに異なる場合は、土地測量が原則必要になります。

また、下記のような土地の測量は官民立ち会い測量といって、国・自治体の担当者立ち合いのもと測量をおこなう必要があります。

官民立ち会い測量が必要な土地
  • 土地が市有地・国有地に面している
  • 印鑑証明書の取得が必要
  • 土地の形が複雑
  • 近隣トラブルを抱えている

この場合、測量費用は平均60万円~80万円となります。

不動産売却を成功させるポイント

不動産売却の理由が人それぞれであるように、何をもって成功とするかも人それぞれです。

ただ、大多数の方は不動産売却の成功を以下の2通りで定義しています。

不動産売却の成功の定義
  • 不動産を相場よりも高く売る
  • 不動産をスムーズに早く売る
不動産売却の利用者が気にしているポイント

株式会社グローベルスが不動産売却をした134名を対象に実施した独自アンケートによると、不動産売却をした人たちは「金額の高さ>売却の早さ」を優先していることがわかりました。

多少時間がかかっても(+6ヵ月程度)、相場と同じやそれ以上に高く売りたい 105名(78.4%)
多少価格が下がっても(相場の2割減程度)、できるだけ早く(依頼から換金まで2週間程度で)売りたい 29名(21.6%)
不動産売却をした人の優先度

上記の調査より、多少の時間がかかっても、相場よりも高く売却したいと考える人が多いようです。

売却のスケジュールに余裕がある方は、ぜひ売却価格にこだわってみてください。

ここでは、不動産売却を成功させている人たちの共通点を紹介します。

「不動産を高くスムーズに売りたい!」と考えている人は必見です。

ポイント1】急がず焦らず売却スケジュールに余裕を持つ

不動産売却を成功させるためには、適切なタイミングでの売却とスケジューリングが不可欠です。

現に、不動産売却を成功させている人たちは、急がず焦らず、計画的に売却活動を進めています。

実際、不動産を査定価格より高く売るなら、売り出し価格を割高に設定するのが一般的な方法です。売り出し価格が高い=買い手にとっては割高な商品なので、購入を希望する方は少なくなります。そのため、不動産を高く売るためにはスケジュールに余裕があることが原則必要といえます。

ポイント2】不動産売却の仕組みなどを積極的に学ぶ

不動産売却を成功させる人たちは、次のような必要な知識と情報を自主的に習得する傾向があります。

習得しておきたい知識
  • 不動産市場の動向
  • 法律や税金の知識
  • 売却手続きのフロー

これらの知識を身につけることで、自身の不動産の価値を正しく認識でき、適切な売却価格で市場に送り出せます。

また、知識があることで不動産会社との交渉にも自信を持つことができ、不適切な価格設定や契約内容を避けることもできます。

ポイント3】信頼できる不動産会社を探すことに力を入れる

不動産売却で成功している人は、不動産会社を単なる仲介者としてではなく、売却活動に欠かせないパートナーとして認識しています。

例えば、不動産会社の次のポイントをチェックすることで、最適なパートナーを見つけられます。

パートナー探しのコツ
  • 自身が所有する物件と同じ種類の売却実績が豊富
  • 積極的に売り出しの方法を提案してくれる

信頼できるパートナーとしての不動産会社を見つけられれば、市場情報の提供や売却戦略の策定、交渉のサポートなど、全てのプロセスをスムーズに進められます。

パートナーとしての不動産会社との良好な関係性は、売却成功に至るための重要な要素となります。

ポイント4】希望条件を遠慮なく不動産会社に伝える

いつまでに売りたいか、いくらで売りたいかといった要望は、遠慮なく不動産会社に伝えましょう。

仲介売却で不動産会社が独断で何かをおこなうことはなく、売主の要望は原則必ず反映されます。

価格の希望などを積極的に伝えていかないと、不動産会社に足元を見られてしまいます。

ポイント5】売却相場を事前に調べておく

売出し価格を設定する時は、周辺の物件相場を調べておきましょう。

「高く売り出したい!」と思っている売主でも、相場より高すぎる価格を提示すると買主が見つからない可能性もあります。

不動産会社が査定で提示した金額は、あくまでも査定なので売出し価格も査定額と同じにする必要はありません。

査定額は不動産会社が「この価格であれば3ヶ月程度で売却できる」と推測したものなので、実際の売出しでは売主の希望も織り込んで価格を決めましょう。

そして売主が希望価格を提示するには、物件の相場をおおまかに把握しておく必要があります。

売出し価格を相場の範囲内で提示できるようにする為にも、事前に物件の周辺相場を把握しておきましょう。

不動産売却に役立つサービス

サービス1】不動産一括査定サイト

不動産一括査定サイトの仕組み

不動産会社の数が多すぎて、どの業者に査定を依頼してよいのかわからないとお悩みなら、不動産一括査定サイトを活用しましょう。

不動産一括査定サイトでは「査定を依頼したい不動産」の基本情報を入力するだけで、査定に対応してくれる業者を一覧でチェックできます。

そこから最大6社程度にチェックを付けて送信すると、指定した業者へ一括で査定依頼が可能です。

不動産一括査定サイトを使ってから不動産会社を選ぶまでの流れ

後は、かえってきた査定結果を比較することで、どこと契約すれば高く売れるのかが一目瞭然です。

なお、登録業者の広告料で収益化されているので、利用料は完全無料です。

売却を検討段階の方も気軽に利用してみましょう。

サービス2】ホームステージング

住友不動産販売のホームステージング(ステップエスコート)住友不動産販売のホームステージング(ステップエスコート)

ホームステージングとは、物件をより魅力的に見せるためのプロの技法です。

家具の配置やインテリアの選び方、照明の工夫などを行い、物件の魅力を最大限に引き出します。

ホームステージングを行うことで、購入希望者が「この家での生活をイメージしやすい」と感じ、物件への興味や欲望を高められます。

ホームステージングは、東急リバブル住友不動産販売などの大手不動産会社ではサポートサービスとして用意されています。こうした用意がない場合も、仲介業者に一度相談することをおすすめします。

サービス3】インスペクション(住宅診断)

物件の状態を正確に把握するために、専門家によるインスペクション(住宅診断)を行うことも重要です。

ホームインスペクションの診断項目ホームインスペクションの診断項目

インスペクションとは、専門家が住宅の劣化や不具合の状況について調査を行い、欠陥の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に検査することです。

これにより、隠れた問題や修理が必要な箇所を事前に発見できます。

売り手としては、問題が明らかになってから修理を行うよりも、事前に修理を済ませておくことで、買い手からの信頼を得やすくなります。

また、物件の状態を正確に把握しておくことで、価格交渉時にも自信が持てます。

不動産売却にありがちな失敗事例

不動産売却が成功するかどうかは、不動産会社の選定や売主自身の理解力、売却するタイミングなど、様々な要因で変わってきます。

前節までで解説してきたことを、行動に移せたとしても、100%、売主の理想に近い形で売却が完了するといった保証はありません。

ここでは、不動産売却にありがちな失敗事例と、不動産売却を経験した人の体験談を紹介します。

失敗事例1】不動産会社に言われるがまま売却活動を行った

多くの人は「不動産会社に任せておけば大丈夫」だと売却手続きを依存してしまいますが、会社に言われるがまま行動するのは危険です。

一部の不動産会社は、自己の利益を最優先し、顧客の利益よりも高速な取引や自社の利益を優先することがあります。

その結果、売却価格が適正でなかったり、売却のタイミングが不適切だったなどの結果から予想よりも低い形で売却が行われてしまいます。

このような失敗を犯さないためにも、自身が得るべき情報を自分で調査し、不動産会社のアドバイスと自分の理解を統合することが重要です。

また、いくつかの不動産会社から意見を得ることで、より広範な視点から情報が得られます。

これにより、あなた自身の最善の利益を追求するための知識と判断力を身につけることができます。

体験談
37歳 男性 営業職
man5_口コミ

不動産会社はプロだから、全部任せておけばいいんじゃないかと考えてお任せ状態で動いたんですが、最終的に決まったのは希望している売却価格の2/3くらいの値段でした。なんとか利益は出せましたが、それでもガクッと受け取るお金が減ったので、うれしいやら、悲しいやらという感じです。

失敗事例2】査定価格の高さだけで不動産会社を選んだ

不動産を高く売りたいというのは自然な願望ですが、相場よりも高い査定額を提示する会社を選ぶだけでは失敗するリスクがあります。

実際の市場価格よりもはるかに高い価格を提示する会社は、売主の期待を利用し、契約を締結するための手段としてそれを使用している可能性があります。

しかし、現実的な価格でなければ、物件は売れません。

結果として、物件は長期間売れ残り、最終的には市場価格以下で売らなければならない状況になる可能性があります。

査定価格を決定するためには、物件の条件、近隣の相場、市場の動向など、様々な要素を考慮しなければなりません。

複数の不動産会社から査定を受け、それらの見積もりを比較し、理論的な根拠に基づいた適切な査定価格を理解しましょう。

体験談
40歳 女性 自営業
woman3_口コミ

3社の不動産会社に査定をお願いしたところ、1社だけとびぬけて査定額が高い場所があったんです。「めっちゃ高いじゃん!利益も多そうだからここにしよう!」と軽い気持ちで選んだところ、最悪な結果に…。まず売り出したものの買い手が見つかりませんでしたね。また「値段を下げましょうか」と不動産会社に言われ続け、最終的には数百万も安く売ることになってしまいました…。

失敗事例3】売却するタイミングを逃した

不動産の売却には最適なタイミングがあります。

その一つとして挙げられるのが、中古物件の築年数です。

例えば、東日本不動産流通機構が公開している「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況」によると、築年数が経過すると徐々に不動産売却の成約価格が減少していることがわかります。

中古戸建ての築年数 東京都における成約価格
築5年以内 7,219万円
~10年 6,237万円
~15年 5,971万円
~20年 5,653万円
~25年 5,742万円
~30年 5,286万円
30年以上 3,580万円

また、市場の状況、物件の状態、個人的な事情などにより、売却の最適なタイミングは変わります。

しかし、これらの要素を十分に考慮せず、あるいは市場の動きを見て待ちすぎてしまうと、最適な売却タイミングを逃してしまう可能性があります。

例えば、物件価格が上昇している時期に売却を決断できなかった場合、物件価格が下降に転じた時に売却せざるを得ない状況になります。

また、物件のメンテナンスを怠り、物件の価値が下がった時に売却せざるを得ない状況になるケースもあります。

売却タイミングを逃さないためには、不動産市場の動向を常にチェックし、物件の状態を良好に保つこと、そして自分自身の状況を評価し続けましょう。

体験談
35歳 男性 会社員
man1_口コミ

どこかで「もうちょっと待てば不動産の価格が上がる」と聞いたので、不動産売却を止めていました。ただ、2年くらいして実際に査定を受けてみると、200万円も安く査定されてしまいました。後から不動産会社に聞いてみると、建物の状態が悪くなっているから安くなったとのこと。もっと早めに売れば良かった。

失敗事例4】不動産会社ごとに要望や共有情報が異なっていた

前述の通り、不動産売却を成功させるためには業者選びが不可欠になります。

ただ、素人目に見たらどの業者も同じように見えてしまい、結局どこと契約すればよいのかわからず、業者選びに失敗する人も少なくありません。

結論として、不動産会社を選ぶ際は、まず複数社に査定を依頼して、その結果を比べるのことをおすすめします。

この時、依頼する業者によって査定の方法を変えたり、提出書類を追加したりしないようにしましょう。

査定の条件を変えると、その分査定結果も変わってしまい、フラットな視点で比較することができなくなります。

体験談
40歳 男性 自営業
man2_口コミ

査定条件を変えて伝えれば、高く見積もってくれる不動産会社があるんじゃないかと思い、それぞれバラバラの情報を共有しました。ただ、バラバラな情報だったせいもあり、不動産会社ごとに査定額に差がありすぎて困りました。また訪問査定を依頼したところ、最初の査定額よりも金額が落ちたので、非常に焦りました。

失敗事例5】不動産会社の規模だけで契約先を選んだ

複数の不動産会社を比較する際、三井のリハウスや東急リバブルといった大手のみ比較する方や、最寄の不動産会社のみ比較する方がいます。

このように大手のみ、中小のみで比較をするのはおすすめできません。

規模が小さい会社の査定額が高いケースも十分あるので、先入観にとらわれず様々なタイプの業者を比較することをおすすめします。

体験談
43歳 女性 会社員
woman2_口コミ

大切な家を売るんだから大手の不動産会社に任せておこうと考えていましたが、後々中小の不動産会社に「この物件なら、もっと高く早く売れます。充実したサポートの会社がありますよ」とアドバイスを受けました。すでに大手の会社と契約をしていて売買契約の手前まで言っていたので、もっと中小の不動産会社も見ておけばよかったと思いました。

失敗事例6】不動産査定書をしっかり確認しなかった

不動産査定書の例出典:住宅金融支援機構「価格査定の書式」

査定を依頼したら、結果が不動産査定書という形で届きます。

この時、査定額だけをチェックしていてはダメです。

不動産査定書には、それぞれの業者がなぜこの金額で査定したのかの根拠がしっかり書かれています。こちらを確認せずに金額のみを見るのは危険です。

また、査定書の中には自由記入欄もあり、それぞれの業者のコメントも掲載されています。

このコメント欄に定型文しか書いていない業者もあれば、ちゃんと売主に向けた内容を記載している業者もいます。

この内容で業者のモチベーションも測れるので、しっかりチェックしましょう。

失敗事例7】囲い込みを受けた

仲介業者と契約する際に、最も注意したいのが囲い込みです。

一般的に、仲介売買は売主が契約している業者と買主が契約している業者が異なります。(片手仲介)

しかし、どちらの仲介もしている大手の場合、売主と買主の契約先が同じ業者になるケースがあります。(両手仲介)

この両手仲介を結ばせるために、わざと外部への情報を遮断したり、レインズに登録しなかったりする悪徳手法が囲い込みです。

売主にとって明らかにデメリットな囲い込みは、アメリカなど海外では明確に禁止されています。ただし、日本ではまだまだ取り締まりが甘く、かつ売主も「今、囲い込みを受けている」と気づきにくい現状があります。

その理由のひとつは、日本の不動産業界がまだまだ閉鎖的なこと。一般の方も不動産に関する知識が甘かったり、不動産会社に全般的な信頼をおいていることも閉鎖性を助長しています。

また、日本の不動産業界は慣例・慣習が多く、業界のルールに素人の依頼者が丸めこまれてしまうケースも多々あります。

囲い込みを受けないためには、自分は素人、相手はプロだなど余計なことは考えず、分からないことは分からないとズバッと言う必要があります。

なお、囲い込みについては国民生活センターでも注意喚起されています。

初めて不動産売却を始める方は、囲い込みをされていないかチェックしましょう。

不動産売却の注意点

不動産を売るのは決してプラスばかりではなく、売却によるリスクも存在します。

不動産を売る時にはこうしたリスクも頭に入れておき、しっかり決断する必要があるため、マイナスの面もしっかり頭に入れておきましょう。

注意点1】税金・手数料の内容や金額・支払いスケジュールを知っておく

不動産を売ると、税金や手数料がかかります。

状況によって費用の総額に違いはありますが、売却価格の1割前後が引かれるケースも珍しくありません。

つまり、税金・費用がいくらかかるかを予め知っておかないと、住み替えなどの計画が大きく狂います。

また、税金が発生したら期限内に納付しないと遅延金が発生し、最悪の場合は脱税と見なされる可能性があるので、注意が必要です。

注意点2】悪徳業者と契約しない

不動産の売却価格を見極める上で重要なのが、悪徳業者から算出された査定価格の見極めです。

プロの見積もりなので信用性が高いと思いきや、計算の仕方や評価のポイントもバラバラですし、見積もり額も各社でブレがあります。

査定価格は「うちの会社ならこれくらいで売却可能」という、あくまで私見になるので、実際の売却益を保証するものでもありません。

国土交通省が公開している「地価の個別化・多極化に対応した鑑定評価手法の検討業務」によると、不動産を売った方の多くが査定額を下回る価格で成約をしていると説明されています。

満足のいく成約にするためにも、1社にだけ査定を依頼するのではなく、複数社の査定額を比較して業者を選ぶことが重要です。

注意点3】売れ残った場合にどうするかを考えておく

どんなに状態が良い不動産でも、運・タイミング次第で売れ残る可能性があります。

不動産売買は買い手がいて初めて成立するものなので、買い手が現れなければいつまで経っても売れない訳です。

特に、不動産は一つとして同じものはありません。やっと買主が現れたと思っても、彼らの家族構成や趣味嗜好に合わなければ成約は見込めません。

年度(年) 新規登録件数(件) 成約件数(件) 成約件数の割合(%)    ※小数点2位以下切り捨て
2013 162,085 36,762 22.6%
2014 162,845 33,265 20.4%
2015 184,760 35,100 18.9%
2016 193,520 37,446 19.3%
2017 197,207 37,172 18.8%
2018 208,786 37,601 18.0%
2019 201,966 37,912 18.7%
2020 170,388 37,049 21.7%
2021 160,554 37,828 23.5%
2022 181,149 35,381 19.5%

東日本不動産流通機構「中古マンションの基本指標[首都圏]」

※同年度に、レインズへ新規登録された物件の件数

上記は首都圏の中古マンションの、年度ごとのレインズ新規登録(売り出し)件数と成約件数を比較したものになります。上記データに拠ると、単純計算で売り出し物件の各年の成約率は20%前後で、80%の物件は来年以降に成約が持ち越しとなっているか、売却を諦めていることになります。

このように、売り出し物件が売れ残るケースは決して珍しいことではなく、条件・状態の良い物件を売る際も、売れ残った場合を想定する必要はあります。

注意点4】売却が最善の選択とは限らない

売却する以外の主な選択肢
  • 今の建物や土地をそのまま賃貸に出す
  • 建物・土地をエリアの状況に合わせて収益化する(土地活用)
  • 親族などに譲渡するなど、改めて住まいとして活用できないか検討する

中古物件や使い道がなくなった土地を活かす方法としては上記などがあり、場合によっては売却よりもニーズに一致していることがあります。

他の選択肢以外も含めて不動産会社に相談することをおすすめします。

マンションを売るか貸すかを決める判断基準マンションを売るか貸すかを決める判断基準

注意点5】名義人が複数いる時のルールを知っておく

不動産1つにつき所有者が1人という訳では必ずしもありません。

兄弟間で実家を相続するケース、夫婦共同で購入した住まいを離婚で売却するケースなど、名義が複数になる事例は意外と多くあります。

共有持分

こうした共有名義の不動産を売却する際は、単独名義の不動産の売却とは違った手続きになるので注意しましょう。

不動産売却のよくある質問

不動産売却のよくある質問をまとめたので、初めて売却を検討している人は参考にしてください。

今回はランドネット株式会社の牧野さんに回答してもらいました。

質問の回答者
回答者
株式会社ランドネット
牧野 俊さん
保有資格:宅地建物取引士
前職は大手賃貸仲介会社にて、お客様のお部屋探しのお手伝いや
賃貸管理オーナー様のサポート業務を行う。
2018年ランドネットへ入社
入社後は不動産の売買営業として、居住用、投資用マンション
土地、一棟アパート等幅広い不動産取引に従事
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相続した物件も売却できる?

相続した物件も、売却することは可能です。

相続人が複数いる場合は、売却に際し相続人全員の同意が必要となります。

ローンが残っている物件も売却できる?

ローンが残っている物件も、売却は可能です。

ローンが残っている物件を売却する際は、売却金額でローンを完済できるか確認しましょう。

売却金額がローンの残債を下回る場合も売却は可能ですが、不足額を自己資金で補う必要があります。

賃貸に出している物件も売却できる?

賃貸に出している物件も、売却は可能です。

投資用物件の場合、賃貸中の状態で取引されることが一般的です。

オーナーチェンジという形で賃貸の契約内容が買主様に引き継がれますので、入居者様も今まで通り変わらずに住み続ける事が可能です。

周りに知られず物件を売却できる?

不動産会社に相談をすれば、なるべく周囲に知られないように対応してくれることが多いです。

通常の売却だと売り出し中の物件はチラシやWebサイトに広告掲載されるので、周囲に売却を知られる可能性は高いです。

周囲に知られないよう売却活動を行う場合は、広告には出さずに不動産会社に買い取ってもらう、不動産会社の顧客へ内々で紹介してもらう方法があります。

物件に住みながら売却することは可能?

住みながら売却活動を行う事も可能です。

居住用物件の売却で一般的におこなわれている方法です。

売出し後は購入検討者様から内覧の申込があります。

内覧に備えて清掃や不用品の処分など不動産屋さんと事前に打ち合わせをしましょう。

売却価格は途中で変更できますか?

売却を進めている途中でも、売却価格の変更が可能です。売り出してみたが反響が無い等で価格を下げることはよくあります。

価格を上げたい場合ついては、可能ですが必ず不動産会社と打ち合わせをしましょう。

既に申込が入っていた場合などはトラブルになる可能性もありますので注意が必要です。

不動産売却を成功させる為には不動産会社選びが最も重要

不動産売却は、不動産会社選びが最も重要です。

適当な不動産会社に査定を依頼すると、相場より安い価格で売却活動を行われたり相場と乖離している査定価格で市場に出して売れ残ってしまう可能性があります。

「不動産会社選びが難しい」と感じている人は、一括査定サービスを活用することによって優良企業と不動産売却をすすめていく事ができます。

また「大手不動産会社だから安心!」と思っている人も居ますが、物件の状況・内容によっては地域密着型の中小企業のほうが高い売出し価格で物件を売却してくれるケースもあるので、大手・中小両方に査定依頼を出しましょう。

不動産売却を経験した人達の口コミや評判から不動産会社を評価する方法も一つの手段なので、心配な人は他の人達の意見も参考にしてみましょう。

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