土地を売るとき、多くの人は不動産業者の仲介サービスを利用しますが、依頼する手順や売却の流れなどがわからないとお悩みの人も多いのではないでしょうか。
また、複数ある不動産仲介業者のなかから、どこに依頼するのがいいか迷っている方もいるはずです。
- そもそも土地の売り方がわからない
- 不動産仲介会社の探し方・選び方がわからない
- 所有する土地がいくらで売れるのかわからない
- 土地を売る手順をイメージできない
もしスムーズに土地の売却を進めたいなら、あらかじめ土地を売るための基礎知識を覚えておくことが重要です。
例えば、何もわからずに土地を売ろうとすると、相場よりも安く買いたたかれるおそれがあるほか、言われるがまま悪い条件で売却してしまうかもしれません。
そこでこの記事では、納得したうえで土地を売りたいという方向けに、土地売却の全体像をステップごとに詳しく説明し、留意点やアドバイスを解説します。
また売れない土地をうまく売却する方法も紹介しているので、土地を手放す必要がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 土地売却の流れ
- 土地を高く売る方法
- 土地を売る時に必要な準備
- 土地を売る時の業者選びのポイント
大手システム開発会社にてシステムエンジニアとして勤務後、一般財団法人日本不動産研究所にて不動産鑑定・研究を経て、千葉市で株式会社中田不動産鑑定を開業。
大型収益ビルから山林まで、幅広い不動産に関して相談可能です。
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土地売却の流れ
土地を高額で売りたいなら、不動産仲介業者と契約して販売活動を委任するのが一般的です。
- 市場調査
- 土地査定
- 媒介契約
- 売却開始
- 売買交渉
- 売買契約
- 決済・引き渡し
ここからは、それぞれのSTEPについて詳しく説明していきます。
【STEP1】市場調査
まずは土地を売る際に必要な、市場調査を始めましょう。
例えば次のようなサイトを利用することで、土地の価格目安・相場について調査ができます。
- 国土交通省が提供している不動産情報ライブラリなどを活用する
- SUUMO・アットホームといったポータルサイトを活用して土地の相場を把握する
なかでも重要なのが、できるだけ高くスムーズに土地を売る際の判断材料となる土地の相場です。
例えば、土地の相場を把握しておくことで、設定した売り出し価格の妥当性を判断する材料になります。
また不動産仲介会社から受け取った査定額が、相場に基づいているのかを判断する際にも役立ちます。
「土地の広さ」「駅からのアクセス」「周辺状況」「災害の状況」など、所有する土地と同じくらいの物件を調べることで相場の把握が可能ですので、事前に調査をしてみてください。
【STEP2】土地査定
市場調査が終了したら、不動産仲介会社を探して土地査定を依頼しましょう。
株式会社グローベルスが1201名に独自に実施したアンケートによると、ユーザーの6割程度がインターネット検索で不動産関連の情報を探していることがわかりました。
第1位 インターネット検索 |
58.9%(707名) |
---|---|
第2位 その他のきっかけ |
14.9%(179名) |
第3位 店頭 |
12.7%(152名) |
第4位 知り合い・家族の紹介 |
7.9%(95名) |
第5位 新聞・雑誌 |
1.6%(19名) |
なお土地査定をする際は、1社だけに査定をお願いするのではなく、複数の会社の査定額を見比べたうえで、自身にとって利益のある不動産仲介会社と契約することが重要です。
ただし、複数ある不動産仲介会社に対して、1社ずつ土地査定の依頼するのは大変な労力を割くことに注意しなければなりません。
もし時間をかけずに目安の査定額を知りたいなら、まずは不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。
一度の申請で複数の不動産会社に土地査定の依頼を出せるので、簡単に合い見積もりをすることが可能です。
【STEP3】媒介契約
「この会社に仲介をお願いしたい!」という不動産仲介会社が見つかったら、不動産仲介会社と土地の売りたい人(あなた)の間で媒介契約を結ぶ必要があります。
なお媒介契約で失敗したくない方は、契約を交わす際に、次のポイントを確認してください。
- 媒介契約の種類
- 契約期間
- 不動産仲介会社の義務
- 依頼者(あなた)の義務
- 違約金
- 仲介手数料
契約内容について、契約の段階で不動産仲介会社から説明を受けられます。
契約する内容に間違いがないか、自身にとって不利な条件が組まれていないかを確認したうえで契約を締結しましょう。
【STEP4】売却開始
媒介契約が締結すると、次のような方法で土地を売り出し、購入希望者を探し始めてくれます。
- 公式サイトのサービスに掲載する
- 広告を出す(チラシ・ネットなど)
なお、売り出した土地に問い合わせが来ない場合には、売り出し価格を下げるといった対策を取りながら、取りを売り進めていくのが一般的です。
また土地を売り出していると、購入希望者から「土地の状況を確認したい」と言われるケースが良くあります。
土地を売る際には、施錠といった防犯対策が不要であるため、立ち合いが必ず立ち会う必要はありません。
不動産仲介会社との契約によっては、自身の代わりにスタッフが土地を案内してくれる場合もあるので、媒介契約時には立ち合いの有無について不動産仲介会社と話し合っておくことをおすすめします。
【STEP5】売買交渉
土地の購入希望者が見つかったら、売却価格と売却時期について交渉を始めます。
売主側が提示している土地の売買条件に対して、買主側の「○○万円値下げして欲しい」といった要望は購入申込書に記載されて送付されてきます。
こちらに記載されている要望などを受けるかどうかも含めて話し合い、取引の詳細を決定します。
一般的には不動産仲介会社を通して交渉を進めていきますが、購入希望者の集まり具合によっては、値下げなどに応じる必要が出てくるケースも少なくありません。
もし土地の値下げを少しでも抑えたいという方は、次のテクニックを活用してみてください。
- 値下げに応じる代わりに現状引き渡しを了承してもらう
- 契約不適合責任の通知期間を短くする
- 手付金を多めにしてもらう
上記のテクニックを駆使すれば「値下げには応じますが、代わりとして~」というように、条件を与えることで手間や負担金を減らしやすくなります。
ちなみに、古家付き土地を売る場合、交渉のタイミングで建物の撤去費用について話し合うのが一般的です。
【STEP6】売買契約
土地の売買交渉が完了したら、土地の売買契約を締結します。
当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと
引用:e-GOV法令検索「民法 第555条」
売買契約を結ぶ際は、土地の売主・買主・不動産仲介会社が1カ所に集まらなければなりません。
対面したうえで契約を取り交わすので、事前にスケジュール調整をしておきましょう。
なお契約を結ぶ際は、収入印紙の貼り付けが必須です。
金融庁が公開している「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」によると、収入印紙の金額は、売却する価格によって異なり200円~60万円分が必要です。
ただし、近年は電子契約が主流となっていることから、売買契約を電子上で交わす際には収入印紙が不要となります。
【STEP7】決済・引き渡し
契約を締結したら、買主から契約金額分の支払いを受けたのち、土地を引き渡しましょう。
ちなみに、土地の売却によって得た利益は必ず確定申告を行う必要があります。
土地の売買などによって得た利益は譲渡所得の対象であり、納税を行っていない場合は、高額な追徴課税を求められてしまいます。
収益を得た年の翌年、2月15日~3月15日あたりで申告をしなければならないので注意してください。
なお確定申告については国税庁が公開している「譲渡所得の申告のしかた」を参考してください。
土地売却を成功させるコツ【9選】
土地は、建物のように間取りやデザインというものがないので、主に立地(駅までのアクセスなど)や面積と比例して価格が付けられます。
建物よりも査定額と売却額のブレが小さいことが多いですが、それでも工夫次第では当初の見積もりよりも高く売ることができます。
なお国土交通省が公開している「令和3年度土地に関する動向、令和4年度土地に関する基本的施策」によると、土地の価格は新型コロナウイルスがまん延したタイミングを除き、全国的に上昇傾向が続いている状況です。
そのなかでも、さらに土地を高く売りたい方のために、抑えておきたいポイントを解説していきます。
方法1】土地売却の相場価格を調査する
土地売却をする際には、その地域の相場価格を調査することが不可欠です。
相場価格の調査には、不動産仲介会社のような専門家に相談するほか、インターネット上の不動産ポータルサイトを利用するなどの方法があります。
これらの情報を活用することで、次のような売却価格を決定するうえで参考となる情報が得られます。
- 地域の市場状況
- 土地の価格動向
- 近隣の類似物件の取引価格
また、土地相場を調べるついでに、その地域の開発計画や将来的な価値上昇の見込みなども調査してみましょう。
これらは土地の将来価値の予想が立てられるほか、売り出し価格を高く設定できるかもしれません。
方法2】売却期間を長めに設定する
土地を売る際には、売却期間に余裕をもって動くことをおすすめします。
土地を売り出してから引き渡しまでにかかる期間は、平均3~6ヵ月となります。
ただ、土地の場合は測量・境界確認が必要になることもあり、売却までに半年以上かかっている人も少なくありません。
また、はじめて土地売買をする方のなかには「1ヶ月売れないから業者を変えた」という声を聞きます。
しかし、新たに不動産仲介会社と契約をして売り出すまでの時間のほうが長くなる可能性があることに注意が必要です。
もちろん理想は早期売却を済ませることですが、必ずしもうまく購入希望者が見つかるとは限りません。
これから土地を売ろうと感がてえいる人は、土地売却には2ヶ月以上かかることが一般的であり、長い場合には半年以上の期間がかかることを念頭に土地の売却をスタートしましょう。
方法3】短期間で売る
土地の所有者は毎年固定資産税・都市計画税を支払う義務があります。
また土地を持っている間は税金がかかり続け、もちろん売却期間中も課税されます。
つまり、早く売れば売るほど税金が減り、トータルの利益が増えるのです。
※土地にかかる税は1年単位で課されますが、年の途中に引き渡した場合は引き渡し日までの税金を売り手が、引き渡し日から締め日までの税金を買い手が日割り計算の上で支払います。
また、建物を含む土地の場合には、早めに売ることで売却価格を高める効果を期待できます。
参考として、東日本不動産流通機構が公開した「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況」によると、建物の築年数に応じて価格の下落が起きているとわかります。
東京都の中古戸建て住宅 | 東京都の中古マンション | |
---|---|---|
~築5年 | 6,828万円 | 9,940万円 |
~築10年 | 6,590万円 | 8,472万円 |
~築15年 | 5,751万円 | 7,797万円 |
~築20年 | 5,874万円 | 6,973万円 |
~築25年 | 6,081万円 | 6,217万円 |
~築30年 | 4,791万円 | 5,246万円 |
築30年~ | 4,151万円 | 3,296万円 |
土地は地域状況やまちづくりの動き方によって少しずつ価格が変動(上昇・下落)する一方で、建物は築年数で価格が下落していくのが特徴です。
古家付き土地を売却する予定の方は、ぜひ築年数がたたないうちに売却を検討しましょう。
方法4】(専属)専任媒介契約を選ぶ
不動産仲介会社と土地売却の契約を結ぶことを「媒介契約」といいますが、契約には以下3つの方法があります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
自分で買主を探せるか | 可能 | 可能 | 不可 |
依頼できる会社数 | 複数社 | 1社のみ | 1社のみ |
依頼主(あなた)への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの物件登録 | 義務なし | 義務あり | 義務あり |
そして3つの中で最もおすすめなのが、専任媒介契約です。
まず一般媒介契約は複数社と契約する方法ですが、仲介手数料は1番早く成約した1社にのみ支払われるので、業者のモチベーションが低くなります。
逆に専属専任媒介契約は販売活動に最もお金をかけてくれますが、縛りが強く、途中の契約解除などがやりにくいです。
一方で専任媒介契約は、両社の中間的な立ち位置にある契約スタイルです。
特にこだわりがない方は、バランスの良い専任媒介契約を選びましょう。
※中には、一般媒介契約を結ぶほうが高く売れるケースもあります。詳しい説明はこちら!
【方法5】古家付き土地として売却する
土地のなかに資産価値のない不要な残置物がある場合には、古家付き土地として売却するのがおすすめです。
資産としての価値がない古い家や古屋が建っている土地のことです。
中古物件ではなく「土地」として取引できるため、買主は購入後にその家に住むか、解体して更地にするかを自由に選べます。
また、あくまでも土地として販売するため、建物に対する責任を負わなくて済みます。
また、参考として古家付き土地の状態で売るメリットを以下にまとめました。
- 解体費用がかからない
- 更地に比べて固定資産税が安くなる
- 買主希望者が住宅ローンを適用できる
- 契約不適合責任を免責にできる
古家付き土地は、解体費用をかけることなく土地を売却できるほか、買主にとっても住宅ローンを借りやすいというメリットがあります。
また、古家付き土地は土地のみの価格で売り出すことから「建物について一切の責任を負わないもの」とする契約不適合責任免責の条文を契約書に明記することで、古家の管理義務の不安を取り除けるのが魅力です。
大幅な手間やコストを抑えられるので、古家付き土地として売却をしてみてください。
【方法6】土地を合筆・分筆して売る
まず敷地が小さく区切られている土地は、各土地をひとつにまとめる合筆をしたうえで売るのがおすすめです。
一般的に、狭い3つの土地を売った合計額よりも、ひとつにまとめて広い土地を売ったほうが高利益となります。
なお合筆をするためには、土地を管轄している法務局で合筆登記の手続きをしなければなりません。
ちなみに以下の条件にあてはまる土地は合筆ができないため、事前に合筆が可能かチェックしておきましょう。
- 相互に接続していない土地
- 地目・地番区域が相互に異なる土地
- 表題部所有者・所有権の登記名義人が相互に異なる土地
- 表題部所有者・所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地
- 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆
- 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地
引用:e-GOV法令検索「不動産登記法 第41条」
続いて、広大な土地を所有している場合には、ひとつの土地を複数に分ける「分筆」をして売却するのがおすすめです。
田舎の土地など、広大な土地をまとめて売りに出しても、予算の関係上、土地をまとめて購入してくれる人はほとんどいません。
逆に、居住のための土地として必要面積をわけて(分筆して)売り出せば、居住用の土地を安く購入できるという理由で購入希望者が集まりやすくなります。
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、1住宅当たりの延べ面積は約 126.32 ㎡ですので、平均面積を基準に分筆する範囲を検討してみてください。
なお、合筆・分筆はともに土地の登記手続きをすることで対応が可能です。
土地が極端に狭い・広いという場合には、ぜひ合筆・分筆を視野に入れてみてください。
【方法7】質の悪い売れない土地なら安値でも成約を目指す
近年は、少子高齢化や地方から都市部への人口流出の加速により、現実的に買い手がつく可能性がほぼない土地や建物が増えています。
こうした不動産は、マスメディアなどで「負動産」などと呼ばれています。
こうした査定額の低い土地を高額で売り出しても、買い手が全くつかないケースがほとんどです。
それならば、高額で売ることを目指すより、取り敢えず税金の支払いを早期にストップさせる「損切り」ほうがトータルでお得です。
何年も売れずに土地を所有し続けた場合、売却価格よりも固定資産税・都市計画税のほうが高額になるケースもあるので、売り出しても購入希望者が現れないという場合には損切りを検討してみてはいかがでしょうか。
【方法8】不動産一括査定サイトを活用する
土地を少しでも高く売りたいなら、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる、不動産一括査定サービスを活用しましょう。
一括査定では、平均して6社程度に無料査定を依頼できます。
従来は近くの不動産屋を探し、提出書類を揃えて来店する…という作業の繰り返しだったのですが、一括査定を活用すればほんの1分程度で対応業者の絞り込みが可能です。
「自分で不動産仲介会社を選べない」「土地の売却相場がわからない」とお悩みなら、ぜひ不動産一括査定サービスを活用してみてください。
【方法9】土地を定期的に整備する
土地を高値で売却する秘訣として、定期的な土地の整備があります。
例えば、草が生い茂ったり、ゴミが散乱していたりする土地は、見た目が悪く、また建築をする際に整備費用などがため、購入希望者からの評価が低くなりがちです。
また、排水路の問題や地盤の沈下などを放置していても、同様に土地の価値が低くなってしまいます。
一方で、きれいに整備された土地は、建築計画を立てやすく、高評価につながります。
大変ではありますが、定期的に整備を行うことで土地の美観を維持し、潜在的な問題の早期解決が可能です。
手間暇はかかりますが、土地を整備する余力がある場合には、ぜひ草むしりや地盤対策などに動き出してみてください。
土地売却相場を調べる方法
不動産仲介業者が提示してくる査定額が本当に正しいのかわからないとお悩みの人は、事前に土地売却相場をリサーチしておくと、相場の正しさを判断しやすくなります。
参考として、土地売却相場を調べる3つの方法をまとめました。
調べ方1】路線価をチェック
国税局が公開している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」にアクセスすれば、所有する土地近辺の路線価をチェックできます。
路線価とは、都道府県が毎年公表する不動産(土地と建物)の価格のことで、一般的に公道に面した土地の1平方メートルあたりの価格を指します。
これは、特定のエリアや地点で土地が売買された場合の基準価格となるため、土地売却の相場を調べるときの参考になります。
路線価を用いた土地の価格の算出法
路線価×画地補正率×土地の面積÷80%
※画地補正率とは、土地の奥行きなどを考慮した数値です。
例えば、あなたが所有する土地の面積と近隣の路線価を掛け合わせることで、大体の売却額の目安を知ることができます。
ただし、路線価はあくまで基準価格です。
実際の取引価格は土地の条件や市場の動向により変化するため、目安としてリサーチしてみてください。
- 「路線価図・評価倍率表」にアクセス
- 土地の所在地に該当する都道府県を選択
- 路線価図を選択
- 土地の所在地に該当する市区町村を選択
- 土地所在地に対応した地図が表示される
- 道路部分に記載されている数字(例:330C)などを確認
- 「路線価=表記されている数字×1,000(円)」で路線価を算出
- 路線価を用いた土地価格の算出法を用いて算出
調べ方2】公示地価(公示価格)をチェック
国土交通省が公開している「土地総合情報システム」にアクセスすれば、土地の公示価格から土地売却の目安価格を想定できます。
ちなみに公示地価は、国土交通省が毎年公表する、全国の主要な土地の1平方メートル当たりの価格であると同時に、公示地価は特定の地点の土地価格を示すため、土地売却の相場を把握する一つの手段となります。
毎年元旦時点までで得た調査結果を、その年の3月に公表しています。
公示地価を用いた土地の価格の算出法
公示地価×土地の面積
公示地価は、不動産の評価、税金の計算、公共事業の補償などに利用されます。
以下は、公示価格を用いて土地価格調査を実施する手順になります。
- 「標準地・基準地検索システム」にアクセス
- 土地の所在地に該当する都道府県を選択
- 土地の所在地に該当する市区町村を選択
- 対象欄を「地価公示」と「都道府県地価調査」の両方に設定
- その他の条件を入力
- 公示地価が表示されたら、「公示地価×土地の面積」を用いて土地価格を算出
公示地価を確認することで、所有している土地が位置する地域の価格動向や、近隣の土地価格と比較して相場がどの程度なのかを把握することが可能です。
調べ方3】固定資産税評価額をチェック
一般財団法人 資産評価システム研究センターが運営している「全国地価マップ」にアクセスすれば、固定資産税評価額から土地の目安価格を算出できます。
なお固定資産税評価額は、固定資産税を計算するための土地や建物の価格で、自治体が評価します。
固定資産税評価額は、毎年4月初旬に届けられる「固定資産税課税明細書」に記載されている納付額や、一般財団法人資産評価システム研究センターが公表している固定資産税路線価のいずれか用いて算出します。
固定資産税評価額を用いた土地価格の算出法
固定資産税評価額÷0.7
※「0.7」という数字は、固定資産税評価額が公示価格の約7倍であることから、一般的に固定資産税評価額は市場価格よりも低めに設定されますが、これを利用することで売却予定の土地のおおよその価値を把握することができます。
さらに、近年の評価額の推移を見ることで、価格の上昇傾向や下落傾向を掴むこともできます。
以下は、先の計算式を用いて土地価格調査する手順になります。
- 納税通知書の「課税明細書」という項目中の固定資産税評価額を確認
- 「固定資産税評価額÷0.7」を用いて土地価格を算出
ただし、固定資産税評価額は、市場価格とは必ずしも一致しないので、最終的な売却価格の判断材料の一つと考えるべきです。
土地売却でかかる税金・費用
土地を売る際には、さまざまなシーンで費用がかかります。
つまり土地が高く売れたからといっても、その金額をまるまる手にすることができません。
参考として、土地の売却にかかる費用や税金の情報をまとめました。
売る前よりも経済的負担が増えたと後悔したくない方は、ぜひ費用や税金について把握しておきましょう!
仲介手数料
土地を売ったときにかかる費用のうち、最も高額なのが仲介手数料です。
売買契約が成立したあと、販売活動・営業をしてくれた不動産会社に対して支払う報酬のようなもので、法律上は以下の金額が上限額に設定されています。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」
法的な上限額といっても、実際は売値に対してこの表のまま請求されることが多く、値下げ交渉などもほとんどの業者が受け付けていません。
例えば土地が200万円で売れたとしたら、その5%の10万円を支払わなければいけません。かなりの痛手ですよね。
三井のリハウスなどの大手業者の中には、仲介手数料の値引きサービスを提供しているところもあります。詳しくはこちらにまとめてあるので、合わせてご覧ください!
印紙税
印紙税は、売買契約書に貼りつける印紙代のことです。
この印紙税も、土地がいくらで売れたかに比例して、課税額が以下の通り設定されています。
売却額 | 課税額 |
---|---|
10万円~50万円 | 400円 |
50万円~100万円 | 1,000円 |
100万円~500万円 | 2,000円 |
500万円~1,000万円 | 1万円 |
1,000万円~5,000万円 | 2万円 |
5,000万円~1億円 | 6万円 |
1億円~5億円 | 10万円 |
5億円~10億円 | 20万円 |
10億円~50億円 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
引用:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
印紙は買い手へ提出する分と控えで持っておく分の2つに貼り付けるので、支払う費用はこの表の数字×2となります。
印紙税を節約するコツとして、控えの分は印紙のコピーで済ませる方法もあります。ただ、2枚の契約書に食い違いがあった際などは、コピーのほうが証明力は落ちるので気を付けましょう。
なお、近年は電子契約が主流となっていることから、売買契約を電子上で交わす際には収入印紙が不要となるケースが多い傾向です。
譲渡所得税
購入時の費用より売却額のほうが高かった場合、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税とは、不動産を譲渡したときに手にした利益に対し課税される税金のことです。毎年の確定申告で申告をし、必要量の税金を納めなければなりません。
なお譲渡所得税の金額は、以下の計算式で求められます。
譲渡所得税=※課税譲渡所得×税率
※課税譲渡所得=譲渡価額(売却代金) -取得費(購入費用)-譲渡費用(売却費用)
また税率は、所有期間(土地の取得日から売却した年の1月1日まで)が5年以下(短期譲渡所得)か5年超(長期譲渡所得)かによって変化します。
所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得 | 15% | 5% | 20% |
出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
まもなく所有してから5年を迎える土地であれば、やや売却のタイミングを伸ばしてから売ることで、譲渡所得税を抑えやすくなります。
消費税
消費税について、まず個人が所有している土地を売却する場合は、消費税非課税となります。
ただし、法人が土地を売却するときには消費税がかかることに気を付けてください。
また、代金決済時の手数料や登記時の司法書士への報酬などは、消費税とは別に課税対象となります。
また、個人事業主や法人でも、免税事業者とみなされる場合は、消費税は非課税となります。
登録免許税
土地の売却時には、名義変更手続きが必要であり、その際に登録免許税を支払わなければなりません。
登録免許税とは、法務局へ新しい所有者名を登録するための税金です。
具体的な金額は売却価格や土地の地域等により異なりますが、全体の売却価格の数パーセント程度と考えておくとよいでしょう。
※司法書士に代行依頼する場合、報酬の約6万~8万円が加わる
なお一般的には売主(あなた)ではなく、買主が登録免許税を負担するケースが多いです。
測量費用
土地売却の際には、土地の境界確認が必要となるため測量費用が発生します。
測量費用は、専門の測量士が土地の境界を正確に特定するためにかかる費用であり、土地の大きさや形状、立地条件などによって金額が変わります。
測量費用の相場
60~80万円
この費用は通常、売主(あなた)が負担しなければなりません。
解体費用
土地に建物がある場合、売却前に建物解体が求められるケースも多く、解体費用がかかるかもしれません。
なお解体費用は建物の規模や構造、立地条件等によって金額が前後します。
例えば、40坪の木造2階建ての場合、120~150万円前後の費用が発生します。
また解体費用は通常、売主(あなた)が負担するのが一般的です。
資金に余裕がない場合は、古家付き土地として売却するのが得策です。
整地費用
建物の解体後、または未開発の土地を売却する際には、土地を平らにするための整地費用が必要となる場合があります。
整地費用は、土地の面積や地形、立地条件によりますが、数十万円から数百万円程度の費用が発生します。
整地費用も通常、売主(あなた)が負担します。
地盤調査費用
土地売却にあたって、購入希望者から「土地の地盤状態を知りたい」と連絡を受け、対応する際には、地盤調査費用が発生します。
地盤調査費用は、専門の業者が地盤の状態を調査するための費用で、数十万円程度かかることが多いです。
この費用は、買主が負担します。
土壌汚染調査費用
土地が汚染されている恐れがある場合や、近辺に工場などが存在して土壌汚染が起きている可能性が示唆される場合には、土壌汚染調査が必要となります。
土壌汚染の調査には、土地面積に応じて数十万円から数百万円の費用が発生します。
費用の負担者はケースバイケースで、事前に売買双方で話し合うことが一般的です。
抵当権抹消費用
土地に抵当権が設定されている場合、売却の際にはその抵当権を抹消する必要があります。
抵当権抹消にかかる費用は、法務局が公開してる「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」より不動産1件当たり1,000円かかります。
※土地と建物の抵当権をまとめて抹消する場合は、2件分の2,000円がかかる
なお、司法書士に抹消手続きの依頼を出した場合、報酬金として1.5万円の費用が発生します。
土地売却を進める上で必要なもの・書類
土地を売る際は、手続きや契約をする際にさまざまな書類を取得しなければなりません。
必要書類の種類によっては取得に時間がかかることも多いため、早めに対応するのがおすすめです。
参考として、土地売却をする際の必要書類を以下にまとめました。
- 身分証明書
- 実印・印鑑登録証明書
- 不動産の全部事項証明書
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- 土地測量図・境界確認書
以下より、必要書類の特徴や入手方法について解説していきます。
身分証明書
土地を売却する際には、以下に示す身分を公的に証明できる証明書の提出が必要です。
- 免許証
- 健康保険証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 住民票
上記のうち住民票が身分証明書として認められるのは、発行してから直近3ヶ月以内だけです。
また、運転免許証の場合は有効期限を超過している場合は認められないので注意しましょう。
実印・印鑑登録証明書
土地を売る際は、売買の契約を結ぶために実印や印鑑登録証明書が必要です。
なお実印は自身で購入する必要があるほか、印鑑登録証明書は管轄の役所で登録の手続きを済まさなければ発行されません。
なお実印と印鑑登録証明書は同じものである必要があるため、契約時には持参する印鑑を間違えないように気を付けてください。
不動産の全部事項証明書
土地を売る際には、不動産(土地)の情報が記載されている、不動産の全部事項証明書の提出が必要です。
全部事項証明書とは、不動産登記簿に記載されているすべての内容が表示されている書類のことであり、土地の抵当権に関する情報確認のために求められます。
ちなみに全部事項証明書の抵当権が抹消されていない場合は、土地を売ることが出来ないので注意してください。
登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証・登記識別情報は、土地の所有者だけが持つことができる土地の身分証明書です。
書類として発行されている場合と12桁のランダムな数字とアルファベットの組み合わせでオンライン発行されている場合があります。
大阪府の法務局では見本の登記識別情報通知が公開されているので、自身が所有する資料と同じなのかをチェックしてみてください。
土地の売却が完了し、所有権の登記を変更する際に必要な情報となります。
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書は、土地の納税が行われているか、いくら税金がかかっているかを証明する書類です。
区役所や市役所から毎年4月あたりに発行されており、マイナポータルなどからも確認できます。
登記の変更をする際や売却した年の税金を計算する際に必要となります。
また、土地を購入した人が維持費にいくらかかるのかを把握するためにも提出が求められます。
土地測量図・境界確認書
土地測量図・境界確認書は、土地の大きさや近隣住民と土地を巡ったトラブルになった際に土地の境界を証明するために必要な書類です。
新しい建物であれば、土地測量や境界確認書があるケースが多いですが、古い土地であれば30年以上も更新されていない場合やそもそも実施されていないケースもあります。
土地の大きさによって売却価格が変わるので事前に準備しておきましょう。
土地を売る時に必要な準備
土地をいきなり売り出すのではなく、事前に準備をしてから売り出したほうが売却成功の可能性は高くなります。
ここからは、土地を売る前にすべき準備を整理していきます。
土地を売る理由・目標を整理
土地を何のために売るのか、目標のためにはいつまで、いくらで売るのが良いのかを整理しましょう。
いざ不動産会社に相談しにいくと、良さそうな検査サービスやオプションをどんどん進められて費用がかさんでいってしまう可能性があります。
また、売れ残りが続いて業者が値下げを提案してきた時、最初の目標を下回る金額まで下げてしまっては、手放す意味がなくなってしまいます。
最初に目標を明確化し、ぶれずに売っていくことが大切です。
土地の測量
土地の面積が登記簿に載っていないときは、測量をしないと売ることができません。
ただ、登記簿に地積が載っている場合でも、売る前に測量をしておくのが理想的です。
以下に測量をしておくべき理由をまとめました。
- 登記簿の地積と実際の地積が異なるケースがある
- ご近所とのトラブルを防ぐ
まず実際の地積が登記簿より狭いと、売却額が査定額よりも安くなります。
また地積に不備があると購入希望者から心象が悪いため、確認の意味も含めて測量をしておくべきです。
次に、敷地境界が明確でないまま売却をすると、買主と隣人とで境界トラブルが起きてしまうかもしれません。
事前に敷地を明確にしておくことで、近所トラブルを避けやすくなるのが測量のメリットです。
地盤調査
地盤調査は、購入希望者に土地の安全性を伝える目的でやっておきたい調査です。
日本ではこれまで、2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震と、大きな地震が相次いで発生しています。
また今後、首都圏や東海地方で大規模な地震が予測されており、不動産の買主も耐震性を強く意識するようになりました。
そして自身の影響の有無を確認するために役立つのが地盤調査です。
調査資料があれば、液状化(地盤が緩みやすい)しやすい土地なのかを判断できるので、結果次第で早期売却をしやすくなるでしょう。
買い手を安心させるためにも、地盤調査を業者に依頼して、報告書でお墨付きをもらいましょう。
地質・地歴調査
昔近くに病院や工場があった土地などは、土壌汚染が起きていないかチェックするために地質調査をしておくのがおすすめです。
また、地質調査と合わせて、近くの役所や図書館で土地関連の古い資料を閲覧する(地歴調査)のもおすすめです。
昔が農地や工業地だった場合は地盤・地質に問題があるケースも考えられるので、例えば寄付など売る以外の方法をとることを考えてもよいでしょう。
中には、昔祖父母から聞いた話と全く違う結果だったということもあるので、なるべく資料を見ておきましょう!
水道管のチェック
相続した土地に新居建築目的の買い手がついた場合は、水道のチェックを忘れないようにしましょう。
例えば管が古い、今のタイプと直径が違う、敷地を跨いで水道管が通っているというケースがあり、買い手が家を建てられない危険性があります。
売り手からすれば関係ない話のように思えますが、瑕疵担保責任があるのでペナルティを受けてしまいます。
早めにチェックをすれば、水道工事を価格に上乗せするといった対策も立てられるのでおすすめです。
土地に埋まった古い杭のチェック
古くから所有している土地を売る際には、土のなかにある杭をチェックしましょう。
まず、古くから家が建っているような土地には、土のなかに木杭などが残っているケースが多々あります。
これは、建物の荷重を支える目的で埋められたものが多いですが、新居を建てる際に邪魔になったり、自分で勝手に抜いて不法投棄に該当してしまったりと、放置していても良いことがありません。
些細なことですが、引き渡し前に必ず杭抜き工事をしておきましょう。
売れない土地を売却する方法
土地が売れるまでの平均期間は3~6か月と言われています。
ただ、状況によっては売り出しから半年が経過しても売れ残ってしまうケースがあります。
住み替えのために土地を売ろうとしたとき、少しでも利益を出したいと考えて若干相場よりも高めに売り出したんです。
すると、まわりの土地は売れているのに、僕の土地だけはスルーされるという状況になってしまいました。
半年たっても買主希望者が現れなかったので、これは危ないと思い相場価格まで落としてみました。
一般的な価格になったおかげかすぐに買主希望者が現れたので、無理に価格を上げるのは良くないんだなぁ…と感じましたね!
両親から引き継いだ土地の使い道がなかったので、仲介業者を通して売却することに決めました。
ただ、土地の条件が悪いのかまったく売れません。
売れなければ今後も固定資産税を支払い続けていかなければならないし、土地の管理も大変です。
自分は土地活用という手で何とか対策しましたが、同じように売れない土地を持っている人は結構多いのかも?と気になりましたね。
そこで、土地がいつまで経っても売れない場合の対処法を紹介していきます。
方法1】売り出し価格を見直す
土地が売れないのは、立地や面積・見込める用途に対して価格が高すぎるからかもしれません。
購入希望者は「損したくない」という気持ちから相場の調査にぬかりがなく、少しでも割高と思われると避けられてしまいます。
段階的に価格を下げていくことで、成約率はグッと上がります。
方法2】土地を活用する
いらない土地を査定に出しても、高価格が付かないのであれば、活用するという手もあります。
アクセスの悪い土地でも日当たりがよければ、太陽光発電で利益を得ることも可能です。
しかし、土地は所有し続けるので固定資産税は支払わないといけませんし、売る場合よりも初期投資がかかるかもしれません。
上手くいけば安定収入を得続けることができますが、売却よりも成功が難しいのは確かです。
方法3】業者に直接買い取ってもらう
スピーディに土地を処分するには、不動産会社に直接買い取ってもらうのがおすすめです。
いらない土地をそのまま業者に持ち込むので、販売活動をする手間がかかりません。
買取を希望した段階で今後のスケジュールも共有してもらえるため、ストレスなく手続きを進めることができます。
デメリットは、買取価格が仲介売却時の6割ほどまで下がってしまうことです。
早く簡単に処分できますが、高利益をあげたい方にはおすすめできない方法です。
方法4】国に土地を売る
個人や法人には買い手がつかない場合でも、国に土地を売却できる可能性があります。
しかし、基本的には国からの提案での売買になり、好きなタイミングでの売却は難しく、事例も多くありません。
ではどのような場合に国に土地を売ることができるのかについてご紹介します。
道路・鉄道整備のため区画内の土地を買い取るケース
道路や鉄道などは年々新しく整備され続けていますが、整備予定の場所が誰かの所有地だった場合は買い取らなければなりません。
道路・鉄道などの交通整備は数十年先まで影響してくるため、国としてもなんとしても買い上げる必要があります。
よって土地の所有者側が有利に売買をすすめられるため相応の高い金額で買い取ってもらえます。
公共施設の建設のため敷地を買い取るケース
学校・公園・図書館・病院などのように国が運営する施設を建設する際に必要な土地は買い取ってもらうことができます。
道路・鉄道と同じように公共事業なので売却金額も相応になります。
ただし、公共事業がいつできるかは一般の人にはわからないため、売買のタイミングが奇跡的に合わない限りは難しいですね。
方法5】国・地方自治体に土地を寄付する
所有者の都合に合わせて土地を国に売却することは難しいです。
しかし、売れない土地をいつまでも持っていても仕方ないですし、先ほど紹介したデメリットも発生します。
そこで土地を寄付してしまうという方法をご紹介したいと思います。
自治体に寄付する流れ
自治体に寄付するための流れは以下のとおりです。
- 担当の窓口に相談する
- 自治体による調査
- 可能と判断された場合は書類を提出
- 寄付の完了
ただし、自治体に使用する目的がなければ寄付をすることはできません。使用しない土地にかけるコストを発生させたくないのは自治体も所有者も同じです。
申請してみないことにはわからないので、気になる方は一度寄付の申請をしてみましょう。
土地を売る時の仲介業者選びのポイント
「土地を高く売りたい!」と思っても、実際に営業や広告作成をおこなうのは契約した不動産会社です。
そのため、土地売買を成功させるには、実績の高い業者を見つけ出すことが不可欠です。
株式会社グローベルスが1201名に独自に実施したアンケートによると、査定価格・担当者の印象・アクセスについて意識している人が各2~3割程度いることがわかりました。
第1位 査定価格 |
.33.3%(400名) |
---|---|
第2位 担当者の印象 |
24.9%(299名) |
第3位 お住まいからの距離・アクセスの良さ |
22.0%(264名) |
第4位 会社知名度 |
11.2%(134名) |
第5位 過去の売買実績 |
6.2%(75名) |
第6位 会社規模・売上 |
2.4%(29名) |
とはいえ、査定額を比較すればすぐ分かると思う方もいますが、不動産会社の実際は全て数字に表れるわけではありません。
今回は、業者選びの前にチェックしておきたいポイント2つを解説していきます。
土地売買の実績を聞いてみる
都心のベンチャー系不動産会社など、マンションの仲介がほとんどで土地売買の実績はほぼないというところもあります。
こうした業者も土地の査定はしてくれますが、実績豊富な業者と比べて信用度は落ちます。
また、公式HPなどで「昨年の仲介実績10万件!」と書いてみても、土地の仲介件数はそのうち数件というケースがあります。
業者には得意・不得意があり、人気の業者が必ずしも土地仲介に適しているというわけではないのです。
実績のない業者が高い査定額を出したからといって、契約を結ぶのは危険です。必ず契約前に実績を確認するようにしましょう。
検査・保証サービスもチェックする
土地を引き渡した後に、埋没物や地盤の弱さなどが発覚するケースがあります。
不動産会社の中には、こうしたトラブルがあった時に保証をしてくれるところがあります。
また、売り出しの前に安値で検査してくれる業者も存在します。
高く売れても後に問題が発覚して罰金を取られたのでは意味がありません。
多少、査定額が低くても保証のしっかりしたところを選ぶのがおすすめです。
【ケース別】土地売却で気を付けた方が良い土地の種類
都市部にある土地や、最寄駅から徒歩数分圏内にある土地、病院や商業施設などの公共施設が多数あるエリアにある土地など、需要が高い土地ほど買い手が見つかりやすい傾向にあります。
その一方で、仲介売却や業者買取を依頼しても、買い手がつかない、あるいは買い手がついても安く買いたたかれてしまう可能性があるワケありの土地もあります。
ここでは、土地売却で気を付けた方がいい土地の種類を6つ紹介します。
隣接地との境界が不透明な土地
1つ目は、隣接地との境界が不透明な土地です。
隣地との境界線がハッキリしていない状態で土地売却の話を進めてしまうと、売却の過程で隣地の土地をも含めて売却してしまう恐れがあり、最悪の場合、財産侵害などの理由で告訴される可能性があります。
境界線の基準になる境界標や境界確定図がない場合は、土地家屋調査士に依頼して設置してもらいましょう。
このようなケースは、都市部、地方、郊外といった場所や後述する土地の種類を問わず、明確化しておく必要があります。
古家付きの土地
2つ目は、築年数が数十年経過している建物(古屋)が残っている土地を売却する場合です。
このような土地は、建物を解体して更地にして売りに出すか、小屋を残したまま売却するかのいずれかを選択します。
例えば、建物を解体して売りに出す場合、売り手側は解体費用を負担する必要があるほか、道路付けの状況によっては、今後建物が建てられない再建築不可の土地になっている可能性もあります。
どの方法を選択しても、それぞれにメリット・デメリットがありますので、売却前に一度不動産会社に相談してから決断を下しましょう。
相続した土地
3つ目は、親族から相続した土地を売却する場合です。
相続した土地の売却ができるのは、土地の所有者(名義人)として不動産登記簿(登記事項説明)に記載されている方に限り、売却が行える権利があります。
どんなに近しい親族であっても、不動産登記簿に記載された名義人でない限り、土地売却は行えません。
親族から土地を相続したら、手始めに相続登記を行いましょう。
名義人を変更した後は、冒頭で紹介した土地売却の流れに従って土地売却を進めて行きます。
遠方の土地
4つ目は、遠方にある土地を売却する場合です。
自宅から遠い場所にある土地を売却する場合は、信頼できる不動産会社に査定依頼を出すと同時に媒介契約を結ぶことが重要です。
媒介契約を結んでから買い手が見つかったあとは、郵送で契約を結ぶ持ち回り契約か、代理人を立てて売買契約を締結させる方法の2つがあります。
また媒介契約を交わす際は、定期報告が義務付けられている専任媒介契約か専属専任媒介契約を選ぶのがおすすめです。
貸地
5つ目は、貸地を売却する場合です。
貸地を売却する場合、借地権者の承諾が必要です。
土地を売却すると、新たな所有者と借地権者との間で新しい契約が必要となるためです。
また、借地権者に優先的な買取権が存在する場合もあります。
そのため、売却の際には借地権者との十分な協議を行う必要があるほか、貸地売却の際には、収益性が見込める物件として売却価格が挙げられます。
ただし、借地権者の存在により、売却先の選択肢が限られる場合もあります。
そうした点も踏まえた上で、適切な売却戦略を立てることが求められます。
農地・田畑
6つ目は、農地や田畑、山林など、特殊用途で活用していた土地を売る場合です。
例えば、登記簿上、地目が農地になっている場合は、農業委員会から売却の許可をもらってから売却活動を行っていきます。
売却する場合を含め、宅地に利用する場合も農業委員会に許可申請を行わなければなりません。
また申請したからといって、必ず許可が下りるわけではありません。
農地や田畑などを売却する際に気をつけたいのが農地法という売却・転用のルールが定められた法律です。
第3条(農地売却の許可)、第4、5条(農地転用の許可)が定められており、定められた手順で手続きをしなければ法律違反となり、ペナルティを受ける場合があります。
一方、山林を売りに出す場合は、山林売買サイトと不動産会社を併用利用して売却するのがおすすめです。
また、相場を把握する際には林野庁が公開している「森林の売買・評価に関する情報」をチェックすることで、相場などの情報を把握できます。
そもそも山林を買いたいと思う人は希少で、不動産会社に仲介依頼を出しても、買い手がつくまで1年以上もの時間がかかるケースもあります。
しかし、山林売買サイトを活用すれば、買い手に出会える可能性が数%ながら上がるでしょう。
とはいえ、山林の固定資産税は安いといってもある程度の維持費がかかるため、タダでも取引したいと思う人は少ないかもしれません。
よって、山林を売却する場合は、別荘や居住用の宅地開発が可能であったり、太陽光パネル用地として使えるなど恵まれた土地でもない限り、買い手が見つかる望みは薄いかもしれません。
共有名義の土地
共有名義の土地の売却は、全共有者の同意が必要です。
それぞれの共有者が異なる意見を持っている場合、売却が難しくなります。
売却をスムーズに行うためにも、まずは全員の意向を確認し、全員が売却に同意しているかを確認しましょう。
また、売却代金の分配についても予め全員で話し合い、合意する必要があります。
さらに、相続税等の税務処理についても、事前に専門家への相談しましょう。
一方で、共有名義解消のために一部所有者が他の所有者への買取を考える場合もあり、その場合の評価額や取引条件等についても注意が必要です。
土地売却の注意点
土地売却は、戸建て住宅やマンションなどの居住用物件や、事務所や店舗といった非居住用物件の売却とは違った観点で売却活動を進めていきます。
また、土地の用途や特徴など、様々な点を加味しながら査定額を算出していきます。
ここでは、前節で取り上げた「【ケース別】土地売却で気を付けた方がいい土地の種類」に該当する土地を含めて、土地売却を行う上で気を付けることを紹介します。
注意点1】土地に瑕疵・欠陥がないかを調べる
土地売却時には、土地の瑕疵や欠陥がないかを確認しましょう。
これには、地盤の強度や土壌汚染の有無など、物理的な要素だけでなく、法律的な要素、例えば建築規制や地目変更の可能性も含まれます。
これらの瑕疵や欠陥が見つかった場合、売却価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。
専門家に依頼して土地調査を行うことで、土地の瑕疵や欠陥を詳しく調査できます。
この調査は、売主が売却前に誠実に行うことで、買主からの信頼を得られます。
また、予期せぬトラブルを防ぎ、スムーズな売却を進めるための基盤となります。
注意点2】売却時に必要となる書類を取り寄せておく
土地売却の過程では、様々な書類が必要となります。
これには、登記簿謄本や地図、固定資産税評価証明書などがあります。
これらの書類は、土地の所有権や範囲、評価額など、土地の状態や特性を示す重要な情報を含んでいます。
売却をスムーズに進めるためには、これらの書類を事前に取り寄せ、整理しておきましょう。
また、これらの書類は、売却価格を決定する際や買主との交渉時にも役立ちます。
適切な準備は、不明瞭な点や誤解を防ぎ、売却プロセスを円滑に進めるために不可欠です。
注意点3】共有名義なら合意形成を早めに確保しておく
土地が共有名義である場合、全ての共有者の同意が必要です。
そのため、売却を進めるにあたり、早めに共有者全員との合意形成を得ましょう。
売却活動に入る直前に合意形成を行うと、意見の不一致や誤解が売却を遅延させ、場合によっては売却そのものが困難になります。
同意形成のプロセスでは、共有者全員が売却の必要性と条件を理解していることを確認し、不明確な点や懸念事項を明確にします。
また、必要であれば専門家に助言を求めるのも1つの手です。
時間をかけて丁寧に合意形成を行うことで、売却がスムーズに進行し、問題を未然に防げます。
注意点4】引き渡し日までにローンを完済しておく
土地の売却を考えている場合、その土地に関連するローンがまだ残っている場合は、引き渡し日までに完済しておきましょう。
なぜなら、ローンが残っている土地は、買主にとっては追加的な負担やリスクとなる可能性があるからです。
土地に関連するローンの完済には時間がかかることもありますので、売却計画の初期段階でこれを計画し、進めていきましょう。
ローンを完済することで、土地の売却価格を向上させ、より多くの買主からの関心が得られます。
注意点5】土地買取も視野に入れて売却活動に取り組む
土地の売却方法として、一般的には仲介を通じた売却が考えられますが、それ以外にも、土地買取という選択肢も視野に入れながら売却活動を進めていきましょう。
土地買取は、不動産会社が直接土地を買い取る形で、買主を探す手間や時間を省き、迅速に売却を進められます。
しかし、一方で買取価格は、市場価格よりも若干低くなります。
どちらの選択肢を選ぶにせよ、自身の状況とニーズをしっかりと考え、適切な売却戦略を立ててから売却活動に臨みましょう。
土地を売る時のポイントをおさらい
ここでは、土地売却を行う前に知っておきたいことや解決しておきたいことを質問形式で解説していきます。
土地を売りたいときは何から始めればいい?
その後、土地売却に必要な書類の取り寄せ、土地境界線の明記を済ませ、複数の土地売却を専門にしている不動産会社に査定依頼を出して、売却の手筈を固めて行きましょう。
土地を売却する時に必要な書類は?
土地売却に必要な書類
- 身分証明書
- 実印・印鑑登録証明書
- 不動産の全部事項証明書
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- 土地測量図・境界確認書
特に土地測量図・境界確認書は取り寄せに時間がかかるので、どの書類よりも早めに取り寄せておきましょう。
土地売却がうまく進まないときはどうすればいい?
売却活動が好転しないときは、以下の3点を見直してみましょう。
- 土地の売値
- 土地の現況の問題
- 媒介契約の内容
例えば、売却活動を依頼している不動産会社に問題があるなら、仲介会社を変更してみたり、媒介契約の内容を変更してみましょう。
前述した3点を見直してもなお、買い手が見つからなかった場合は、業者買取も視野に入れて売却活動を行ってみましょう。
土地はいつ売ればいいの?
そうすることで、将来的な固定資産税や維持費のコストを抑えることができます。
土地を国・自治体に売ることはできる?
その他、寄付をすることもできますが、この場合は利益が発生しません。
田舎の土地も売却できる?
土地売却のトラブルを避けるにはどうすれば良い?
トラブルを避けるには以下の対応をおすすめします。
- 土地測量
- 地盤調査
- 地質・地歴調査
- 水道管のチェック
- 古い杭の引き抜き
土地売却を成功させるにはどうすれば良い?
- 売却期間を長めに設定する
- 短期間で売ることを心掛ける
- 専任媒介契約を選ぶ
- 事前に土地の相場を調べておく
- 古家付きの土地は更地にせず売却する
- 合筆して売る
- 質の悪い売れない土地は「損切り」を意識する
- 一括査定サイトを使う
個人間でも土地の売却は可能?
仮に、境界標がはっきりしていたとしても、例えば境界標が隣地とのブロック塀の中央にある場合、そのブロック塀の所有者は誰になるのかといった法的トラブルに見舞われる可能性があります。
よって、トラブルなく売却を行うなら、不動産会社に仲介してもらいながら売却を行うのが最適です。
ローン返済が残っている土地を売却するにはどうすればいい?
ローンを完済して抵当権を抹消すれば土地売却が行えます。
ただし、土地査定の結果がローン残債を上回る結果であっても土地売却が行えます。
一方、ローン残債を下回る場合は、不足分を自己資金で補填して売却するか、任意売却を行うかになります。
共有名義の土地するときはどうすればいい?
契約書にも共有者全員の署名と捺印が必要で、共有者全員による合同売却という形で売却が行われます。
また全員からの同意がなくても、共有持ち分の売却も可能です。
共有持ち分の売却を行う際は、登記事項証明書で持分割合の確認を行った後、通常の土地売却と同じ段取りで売却を行います。
土地売却を成功させるには準備・情報収集が不可欠
ここまで、土地売却の手順や高値で取引するコツ、売却にかかる費用や税金など、土地売却に欠かせない要素を解説してきました。
使用しない土地を所有しているだけで、多額な税金や管理維持費用など多方面で出費が発生します。
このような出費を抑える意味では早々に売却するのが最善策ですが、土地境界線の明確化を済ませていないと隣接地の所有者と揉めることになります。
また、訳アリの土地を売却する時は、通常の土地売買と同様の手順に加えて、注意すべきことが多々あります。
今回ご紹介した内容を参考に、土地売買をスムーズに執り行ってください。