マイホームを売却するときは、売却の流れだけでなく住宅ローンの残債、税金、住み替えのタイミングも確認しておく必要があります。
住宅ローンが残っていても売却できるケースはありますが、原則として引き渡しまでにローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。
また、売却益が出た場合は譲渡所得税がかかることがあります。一方で、居住用財産の3,000万円特別控除など、条件を満たせば税負担を抑えられる制度もあります。
この記事では、マイホームを売る流れ、住宅ローンが残っている場合の対応、売却時にかかる税金や費用、住み替え時の注意点を整理します。
- 不動産会社への相談・査定依頼
- 査定結果の確認・不動産会社選び
- 媒介契約
- 売却活動・室内の準備
- 内覧対応
- 購入申込の確認
- 売買契約
- 決済・引き渡し
マイホームを売る主な理由
マイホームを売る理由は、住み替え、転勤、離婚、相続、家族構成の変化、住宅ローンの負担など人によってさまざまです。
売却理由そのものが、必ず買主への告知事項になるとは限りません。
ただし、物件の状態や購入後の生活に影響する可能性がある事情は、不動産会社に相談しておく必要があります。
個人的な理由は詳しく説明しなくてもよい場合がある
離婚や転勤、住み替えなど、物件そのものに関係しない個人的な理由は買主へ詳しく説明する必要がないケースもあります。
一方で、事故、近隣トラブル、騒音、嫌悪施設、重大な設備不良など、購入後の生活や契約判断に影響する可能性がある事情は告知が必要になる場合があります。
| 物理的な欠陥 | 水漏れ・雨漏りや設備の故障・柱の腐敗や耐震性の不足 など |
|---|---|
| 法律的な瑕疵 | 建築制限のオーバー、接道義務を果たしていない など |
| 心理的な瑕疵 | 過去に自殺や殺人事件が物件内で起きた、近隣に指定暴力団事務所があった など |
| 環境的な瑕疵 | 夜中を通して騒音や睡眠を妨害するレベルの振動があるエリアだった など |
判断に迷う場合は自己判断で隠すのではなく、売却を依頼する不動産会社に確認しておきましょう。
マイホーム売却の流れと期間の目安
マイホーム売却は、査定依頼から引き渡しまで複数の手順があります。
- 不動産会社への相談・査定依頼
- 査定結果の確認・不動産会社選び
- 媒介契約
- 売却活動・室内の準備
- 内覧対応
- 購入申込の確認
- 売買契約
- 決済・引き渡し
まずは不動産会社へ相談し、査定を依頼します。査定額や売却方針に納得できる会社が見つかったら、媒介契約を結んで販売活動を始めます。
※媒介契約:売主が不動産会社に販売活動を依頼し、成約した場合に仲介手数料を支払う契約
| 契約の種類 | 契約の有効期間 | 売り手自身が買い手を見つけること | 依頼可能な業者数 | 仲介業者からの報告 ※規定されてい最低限の回数であり、実際の連絡回数は業者によって異なる |
|---|---|---|---|---|
| 専属専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
| 専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できる | 1社のみ | 2週間に1回、メールか文書で連絡 |
| 一般媒介契約 | 3ヶ月以内 | できる | 複数社と契約可能(契約数の上限なし) | なし |
売却活動では広告掲載、問い合わせ対応、内覧対応などが行われます。買主が見つかると売買契約を結び、住宅ローンの精算や登記手続きを経て、決済・引き渡しへ進みます。
マイホーム売却にかかる期間は一般的に3〜6カ月程度が目安とされます。ただし、立地、築年数、価格設定、室内の状態、市況によって変わるため、必ずその期間で売れるとは限りません。
住み替えや転勤が関係する場合は、余裕を持ってスケジュールを組んでおくと安心です。
住宅ローンが残っていてもマイホームは売却できる?
住宅ローンが残っているマイホームでも売却できるケースはあります。
ただし、引き渡しまでに住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消する必要があります。
抵当権が残ったままでは通常は買主へ物件を引き渡せません。
住宅ローンが残っている場合は、まず以下を確認しましょう。
- 住宅ローンの残高
- 売却できそうな価格
- 売却価格でローンを完済できるか
- 自己資金を使う必要があるか
- 住み替えローンや任意売却を検討する必要があるか
売却価格がローン残高を上回る場合は売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消したうえで引き渡す流れになります。
一方、売却価格だけでローンを完済できない場合は、自己資金を加える、住み替えローンを検討する、返済が難しい場合は任意売却を相談するなどの対応が必要です。
マイホームは売るべき?貸すべき?判断ポイント
転勤や一時的な引っ越しなどでマイホームを売るか貸すか迷う人もいます。
売却すればまとまった資金を得られ、固定資産税や維持管理費の負担をなくせます。
一方で売却後に同じ家へ戻ることはできません。
賃貸に出す場合は、所有権を残したまま家賃収入を得られる可能性があります。ただし、入居者が見つからないリスク、修繕費、管理の手間、空室期間の負担があります。
マイホームの売却と賃貸のメリット・デメリット
| 項目 | 売却 | 賃貸 |
|---|---|---|
| メリット |
|
|
| デメリット |
|
|
住宅ローンが残っている場合、金融機関との契約内容によってはマイホームを賃貸に出せないケースもあります。
貸し出しを検討する場合は、事前に金融機関へ確認しておきましょう。
ローン残債がある場合の判断ポイント
住宅ローンが残るマイホームには、主に以下の選択肢があります。
- 売却して売却代金でローンを返済する
- 売却代金と自己資金でローンを完済する
- 住み替えローンを検討する
- 返済が難しい場合は任意売却を相談する
- 条件が合えば賃貸に出す
住み替え先でも住宅ローンを組む場合、今の住宅ローンが残っていると審査に影響することがあります。
売るか貸すかを決める際は、残債、賃貸需要、転勤期間、将来戻る予定、住宅ローン契約の条件を確認して判断しましょう。
売却か賃貸かを判断する目安
| 項目 | 売却を検討しやすいケース | 賃貸を検討しやすいケース |
|---|---|---|
| 残債 | 売却代金で返済できる、または自己資金で補える | 返済計画に無理がなく、金融機関の条件も満たせる |
| 転勤期間 | 戻る予定がない、または未定 | 数年後に戻る可能性が高い |
| 立地 | 売却需要が見込める | 賃貸需要が見込める |
| 管理 | 遠方管理が難しい | 管理会社に任せられる |
将来的に戻る予定がない場合や、維持費の負担を減らしたい場合は売却を検討しやすくなります。戻る予定があり、賃貸需要も見込める場合は、貸し出しも選択肢になります。
住宅ローン残債を処理する方法
住宅ローンが残っているマイホームを売る場合、残債の処理方法を事前に整理しておきましょう。
- 売却代金で一括返済する
- 売却代金と自己資金で一括返済する
- 住み替えローンを利用する
- 返済が難しい場合は任意売却を検討する
売却代金でローンを完済できる場合は、比較的スムーズに売却を進めやすくなります。
完済できない場合は、不足分を自己資金で補うか、住み替えローンなどを検討する必要があります。
住み替えローンを使う場合の注意点
住み替えローンは今の家の売却代金で住宅ローンを完済できない場合に、不足分を新居の住宅ローンに組み込める場合がある仕組みです。
たとえば、住宅ローンが3,000万円残っていて売却価格が2,000万円だった場合、不足する1,000万円を新居のローンに組み込める可能性があります。
ただし、住み替えローンは借入額が大きくなりやすく、毎月の返済負担も増える傾向があります。
審査も通常の住宅ローンより厳しくなることがあるため、利用できるかどうかは金融機関に確認が必要です。
返済が難しい場合は任意売却を検討する
住宅ローンの返済が難しく売却しても完済できる見込みがない場合は、任意売却を検討する方法があります。
任意売却とは住宅ローンを借りている金融機関の同意を得たうえで、ローンが残っている不動産を売却する方法です。
通常の売却と違い金融機関との調整が必要になります。
売却価格、残債の扱い、引っ越し費用、返済計画などは個別の状況によって異なります。
返済が遅れそうな場合や、すでに滞納している場合は、早めに金融機関や任意売却に詳しい不動産会社へ相談しましょう。
マイホーム売却でかかる税金・費用
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
印紙税
印紙税は売買契約書を作成する際にかかる税金です。売買契約書に収入印紙を貼り、消印する形で納付します。
収入印紙| 不動産売却代金 | 印紙税額 |
|---|---|
| 100万円以下 | 500円 |
| 500万円以下 | 1,000円 |
| 1,000万円以下 | 5,000円 |
| 5,000万円以下 | 10,000円 |
| 1億円以下 | 30,000円 |
印紙税額は契約金額や軽減措置の有無によって変わるため、契約時点の最新情報を確認しておきましょう。
登録免許税
登録免許税は不動産の登記手続きを行う際にかかる税金です。
マイホーム売却では、売主側は住宅ローンを完済した後の抵当権抹消登記に関係する費用が発生することがあります。
所有権移転登記の費用は、取引条件によって負担者が決まるため、売買契約時に確認しておきましょう。
司法書士に手続きを依頼する場合は、登録免許税とは別に司法書士報酬がかかります。金額は依頼先や手続き内容によって異なるため、事前に見積もりを確認すると安心です。
譲渡所得税
マイホームを売って利益が出た場合、譲渡所得税がかかることがあります。
譲渡所得は、一般的に以下のように計算します。
取得費には購入代金や購入時の仲介手数料、登記費用、一定のリフォーム費用などが含まれる場合があります。
譲渡費用には、売却時の仲介手数料や測量費などが含まれることがあります。
ただし、何を取得費・譲渡費用に含められるかは状況によって異なるため、税理士や税務署に確認しておくと安心です。
譲渡所得税率は所有期間で変わる
譲渡所得税の税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって変わります。
所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得として扱われます。
居住用財産の場合、所有期間が10年を超えると軽減税率を使えるケースもあります。
実際の税率や特例の適用可否は、売却時点の制度や個別条件によって変わるため、最新情報を確認しましょう。
譲渡所得がある場合は確定申告が必要
譲渡所得が発生した場合は、原則として売却した翌年に確定申告が必要です。
また、3,000万円特別控除などの特例を使う場合も確定申告が必要になるケースがあります。
税金が発生しない場合でも特例を使うために申告が必要なことがあるため、早めに確認しておきましょう。
マイホーム売却で使える3,000万円特別控除
マイホームを売却して譲渡所得が出た場合でも条件を満たせば居住用財産の3,000万円特別控除を利用できることがあります。
この制度を使うと譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
結果として、譲渡所得税の負担を抑えられる場合があります。
申請を考える際の、主な確認ポイントは以下です。
- 自分が住んでいた家や敷地を売却すること
- 住まなくなった日から一定期間内に売却すること
- 親子や夫婦など、特別な関係にある人への売却ではないこと
- 過去に同じ特例を使っていないか確認すること
- 他の特例との併用可否を確認すること
適用条件は細かく定められているため、利用できるかどうかは税務署や税理士に確認しておきましょう。
将来の売却も考えてマイホームを選ぶ
マイホームは長く住むために購入する人が多い一方で転勤、離婚、相続、介護、住み替えなどをきっかけに売却が必要になることもあります。
そのため、購入時点から将来売る可能性も考えておくと、物件選びや資金計画を立てやすくなります。
将来の売却価格を想定しておく
購入時には、将来いくらで売れそうかを簡単に確認しておくと安心です。
周辺の中古物件価格、駅からの距離、築年数、土地の広さ、建物の状態、需要のある間取りかどうかなどは、将来の売却価格に影響します。
将来の価格を正確に予測することはできませんが、売りやすい条件を意識しておくことで、住み替えや相続時の選択肢を広げやすくなります。
売却しやすい間取りやデザインも意識する
個性的すぎる間取りや特殊な設備は、住んでいる間は便利でも、売却時に買主を選ぶことがあります。
一方で、使いやすい間取り、生活動線のよい設計、シンプルな内装、管理しやすい設備は、幅広い買主に検討されやすくなります。
マイホームを購入するときは、自分たちの暮らしやすさだけでなく、将来の売却しやすさも意識しておくとよいでしょう。
マイホームを住み替える際のポイント・注意点
ポイント・注意点1】売却と購入のタイミングを確認する
今の住まいを引き渡した後に新居が決まっていない場合、仮住まいが必要になることがあります。
一方で、新居を先に購入してから今の住まいを売る場合、売却価格が想定より低くなると資金計画に影響します。
住み替えでは、売却価格、住宅ローン残高、新居の購入資金、引っ越し時期をまとめて確認しておきましょう。
ポイント・注意点2】売り先行と買い先行の違いを理解する
マイホームの住み替えには、売り先行と買い先行があります。
売り先行
売り先行は、今の住まいを売却してから新居を購入する方法です。
売却価格が確定してから新居を探せるため、資金計画を立てやすい点が特徴です。一方で、引き渡し日までに新居が決まらない場合は、仮住まいが必要になることがあります。
買い先行
買い先行は、新居を先に購入してから今の住まいを売却する方法です。
新居探しに時間をかけやすい一方で、今の住まいが予定通り売れない場合は、住宅ローンや維持費の負担が重くなる可能性があります。
自己資金やローン審査に余裕があるかを確認してから検討しましょう。
ポイント・注意点3】引き渡し時期の調整も確認する
売却と購入のタイミングがずれる場合、引き渡し時期を調整できるか不動産会社に相談しましょう。
売買契約の条件によっては、引き渡し日を調整できる場合があります。ただし、買主の事情もあるため、必ず希望通りになるとは限りません。
早めにスケジュールを共有し、無理のない日程を組むことが大切です。
ポイント・注意点4】築古物件でも売れるケースはある
築年数が古い家でも、立地や土地の広さ、建物の状態、買主の目的によっては取引されることがあります。
ただし、築古物件は修繕費や解体費が考慮されることもあるため、査定額が思ったより低くなる場合があります。
築古のマイホームを売る場合は、複数社に査定を依頼し、土地として売るのか、古家付きで売るのかも含めて相談するとよいでしょう。
ポイント・注意点5】査定額より高く売れるケースもある
室内の整理や清掃、適切な価格設定、販売活動の状況によっては、査定額に近い価格や査定額を上回る価格で成約することもあります。
ただし、必ず高く売れるわけではありません。相場とかけ離れた価格で売り出すと、売却期間が長引くこともあります。
ポイント・注意点6】住み替えローンを使うケースもある
売却価格だけで住宅ローンを完済できない場合、住み替えローンを検討する人もいます。
ただし、住み替えローンは借入額が増えやすいため、将来の返済負担をよく確認する必要があります。
ポイント・注意点7】任意売却は早めの相談が大切
住宅ローンの返済が難しい場合、任意売却を検討することがあります。
任意売却は、金融機関との調整が必要なため、滞納が続いてからでは選択肢が限られることがあります。返済が難しいと感じた段階で、早めに相談することが大切です。
マイホーム売却で損失が出た場合の特例
マイホームを売って損失が出た場合でも、条件を満たせば譲渡損失に関する特例を使えることがあります。
代表的な制度には、居住用財産の買換え等に関する譲渡損失の損益通算・繰越控除や、特定居住用財産の譲渡損失に関する損益通算・繰越控除があります。
ただし、これらの制度には適用期限や条件があります。売却時期、所有期間、住宅ローン残高、買い替えの有無などによって使えるかどうかが変わるため、最新の制度を確認しましょう。
マイホームの売却に関するよくある質問
マイホームを売却する前にやっておくことは?
住宅ローンが残っている場合は、売却価格で完済できるかどうかが重要です。
あわせて、登記名義、建物や設備の状態、必要書類、住み替え時期も確認しておくと、売却の流れを整理しやすくなります。
売却を依頼する不動産会社はどう探せばいいですか?
査定額が高い会社が必ずよいとは限りません。
売却実績、対応エリア、販売戦略、担当者の説明の分かりやすさ、査定額の根拠を確認して選ぶことが大切です。
離婚を理由にマイホームを売却する場合は何を確認すべきですか?
夫婦共有名義や連帯債務、連帯保証がある場合は、売却前に整理が必要です。
離婚に伴う売却では、住宅ローンの扱いや売却代金の分け方が問題になりやすいため、不動産会社だけでなく、必要に応じて弁護士や司法書士にも相談しましょう。
住み替えは売り先行と買い先行のどちらがよいですか?
売り先行は、売却価格が確定してから新居を探せるため、資金計画を立てやすい方法です。
買い先行は、新居探しに時間をかけられる一方で、今の住まいが売れない場合に負担が増える可能性があります。
相続したマイホームはいつ売却すればいいですか?
空き家のまま放置すると、建物の劣化や管理費用、固定資産税の負担が続くことがあります。
相続した家を売る場合は、相続人の確認、相続登記、遺産分割協議、税金の確認を進めておきましょう。
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