日本では多くの空き家処分に困っている人が居ます。
空き家問題は一つの大きな社会問題になりつつあり「空き家を売ろうとしても売れない!」と困っている人が増え続けています。
今回は、空き家が売れない理由を紹介し売れない時の対策や解決法を解説します。
空き家が売れない理由
理由1】築年数が古く状態が悪い
築年数が古い空き家は、構造の劣化や腐敗など見えない部分の欠陥がある可能性も高く、購入後に利用するためには大規模なリフォームや建て直しをしなければいけないケースが多いです。
また、築年数が古い空き家は、見た目は綺麗に見えても、下記のような欠陥を抱えている可能性があります。
- シロアリ被害がある
- 雨漏りがある
- 耐震性に問題がある(現行の耐震基準に適用していない)
欠陥のある空き家は、リフォームして使うにしてもより高額な費用がかかるので、購入をためらう方は多いです。
理由2】立地条件が悪い・周辺環境が悪い
主に、アクセス条件(駅までの距離・都市部への距離など)が悪い・周辺環境が悪いといった状態の空き家は、需要が低く売れ残る可能性が高いです。
- 駅やバス停からの徒歩分数が長い
- 都市部より遠方にある(地価が低い)
- 騒音や振動がある
- 住宅などが整然とされていない
- 暴力団事務所などの嫌悪施設がある
- 地盤の弱さ、海抜の低さなどの災害リスクがある
条件が悪い具体例としては、例えば上記などが挙げられます。
立地条件や周辺環境が悪い場合は、単に買い手が低いだけでなく、価格も低くなってしまいがちです。
理由3】再建築不可物件である
現状の空き家を全く同じ条件で再建築した時に、現行の都市計画法や建築基準法とそぐわず、建築できないような物件を再建築不可物件と呼びます。
例えば、旧耐震基準(1981年5月31日までに建築確認された建物)の物件や接道義務を果たしていない物件が再建築不可物件にあてはまります。
再建築不可の対象になるのは築年数が非常に古いものが多く、かつ建て替えが出来ないとなると売却が非常に難しくなります。
理由4】隣との土地境界が不明確
不動産を売却する際は、隣地との境界が明確である必要があります。
登記上の土地境界がない場合もありますが、登記上と現況が異なるケースもあります。
土地境界が不明確な場合は、土地家屋調査士や測量士に依頼をして、境界確定をする必要があります。
測量費用は、一般的には35万円~45万円、土地が私道に接している場合などは60万円~80万円となります。
理由5】不動産会社に仲介・買取ができないと判断された
空き家を売却に出す前に、不動産会社から仲介や買取を断られるケースもあります。
このケースはよほど状態が悪く、不動産会社からしても手間やコストをかけられない・利益で回収できる見込みがないと判断された可能性が高いです。
この場合は、他の不動産会社をあたるか、他の可能性も考慮して相談する必要があります。
売れない空き家を放置しておくリスク
リスク1】固定資産税が最大6倍になる
土地に空き家が建っている場合、固定資産税の課税額が通常の6分の1、都市計画税が通常の3分の1まで抑えられます。(住宅用地の特例措置)
しかし、この税制は国や自治体に空き家認定(特定空き家・管理不全空き家)を受けた場合、対象外となってしまいます。
特定空き家 | 管理不全空き家 | |
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区分の根拠 | 「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成27年5月施行) | 「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和5年12月施行) |
認定の条件 |
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空き家の管理を放置すれば楽になる訳ではなく、実際はコストが大幅に増大してしまうので注意が必要です。
リスク2】空き家の状態が加速的に劣化する
戸建てに人が住まなくなると、水道や扉の開閉などの動きが全く止まってしまいます。
水を流したり扉や窓を開閉したりする動きは家の機能を維持するためにも必要であり、空き家として1ヵ月でも放置すると、状態は劣化すると考えられます。
特に古い水道管の場合は、水の流れが完全に止まることで悪臭が発生し、近隣に迷惑をかけることもあります。
悪臭や倒壊のリスクが発生することで、周囲に害を与え、場合によっては賠償請求を受ける可能性もあります。
リスク3】犯罪や災害の起点になる可能性が高まる
例えば、近隣で火災が起こった場合、空き家に燃え移ってしまっても、誰も気づけず対応できないことで大規模な火事に発展するリスクが高まります。
また、空き家を見つけた愉快犯に侵入されたり、着火されたりするリスクも高くなります。
空き家を放置することは、その周辺エリアの治安を悪化させることや、災害や事故のリスクを増大させることに繋がります。
リスク4】無償でも譲渡できなくなる可能性がある
人口の減少や少子高齢化、都市部への人口流出などによって、元々高くなかった空き家の購入需要は、近年更に大きく下がっています。
かつては状態の悪い物件でも1、2年売り出せば買い手がつくというイメージでしたが、近年はこれ以上の年数売れ残るケースも珍しくありません。
地方では実際に、「無償で譲渡する」といって貰い手を募集しても、一向に貰い手が現れないケースが増加しています。
自治体への寄贈も、地方の財政難なども影響して受け入れが減少傾向にあります。
ある程度築年数が浅く、購入需要があるうちに売却しないと、のちのち処分できなくなる可能性があります。
売れない空き家を売却する方法
売れない空き家は、様々な手法を使うことによって売却することができます。
近隣にある不動産会社に頼むだけでは、売却出来ない可能性がでてくるので、さまざまな方法を考えましょう。
方法1】不動産一括査定サイトを活用する
不動産会社に一括査定を依頼できるサービスを活用しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼すると、売りたい物件の相場が大まかに理解できます。
売る時に価格が相場価格と大きく乖離していると、買主が見つからない原因にもなります。
まずは複数の不動産会社の査定価格をみて、物件の価値を把握しましょう。
また高値で査定してくれた不動産会社に相談してみるのもありです。
方法2】マッチングサイトを活用する
近年、”家いちば”と言う、さまざまな物件の売買マッチングをおこなっているサービスがあります。
家いちばは空き家だけでなく、学校や宿泊施設も取り扱っており、査定価格も0円~1億円と幅広いです。
どうしても空き家を売却したい人は家いちばのサービスを利用して買い取ってくれる人をさがしましょう。
空き家がどうしても売れない時の対処法
対処法1】所有する前に相続放棄をする
立地が悪い、築年数が古いなど、不動産の初心者でも明らかに売れない空き家だな、、、と判断することは可能でしょう。
明らかにいらない空き家でも相続すべきなのか、それとも相続を放棄すべきなのか、悩む方は多いです。
いらない空き家を相続して放置をしても、維持コストが毎年かかり続けるので全くお得ではありません。
使い道のない空き家は、取得後に売れるかどうかで取得を判断することをおすすめします。
売れるかどうかの判断はシビアにおこなうことをおすすめします。
2020年現在は空き家が売れにくい上に寄付をするのも難しくなっているので、売れ残った場合はそのまま相続した人の負債になる可能性が高いです。
注意したいのは、複数ある遺産のうち、空き家など特定のものだけを相続放棄することはできないということです。
遺産は全て相続するか、全て放棄をするかしか方法はありません。
売れない空き家のみが遺産なら相続放棄しても問題はないですが、その他に数百~数千万円の資産を残している場合は、果たして空き家ごと相続すべきか悩むところです。
維持でかかるコストも考慮すると、遺産に占める売れない空き家の価値が2割以下なら、空き家を放棄したいがために他の遺産も放棄してしまうのは勿体ないので、丸ごと相続することをおすすめします。
対処法2】空き家を活用する
空き家がどうしても売れ残ってしまう場合は、売却以外の選択肢も検討していきましょう。例えば誰かに住んでもらう、違う用途で利用するといった方法です。
空き家が売れ残った時に最もだめなのが、そのまま放置することです。
放っておいても固定資産税はかかり続けてしまうので、空き家を使って何かしらの利益を生み出し、コストを軽減する必要があります。
古い空き家は立て壊して更地にしてしまえば、駐車場利用、太陽光発電、トランクルーム設置…といった様々な方法で活用できるようになります。
土地信託のように、用途や管理を相手に任せてしまう事もできるので、管理も楽になります。
売れない空き家を売却しようとする時の注意点
売れない空き家を売却する際に注意しておくべきポイントをまとめました。
売れない空き家を単純にリフォームしても、買主がみつからないままということもあるので、注意点を把握しつつ売却できる最善の方法を考えましょう。
注意点1】空き家の権利関係を把握しておく
空き家が共同名義になっている場合は、売却する際に権利者に確認する必要があります。
空き家を売る以前の問題になるので、権利関係を把握した上で対策を取って空き家を売却しましょう。
注意点2】更地化は固定資産税額が決定した後におこなう
空き家を更地にして売却しようと考えている人は、固定資産税が決定した後に更地にしましょう。
固定資産税は毎年1月1日に決定する為、更地は1月2日以降にしましょう。
固定資産税を抑えることによって買主の負担を減らすこともできるので、買主が見つかりやすい効果もあります。
注意点3】特別控除を適用できる期間内に売却する
空き家の売却は特別控除を適用することができます。
ただし、空き家になって3年以内に売却しなければいけない条件があります。
空き家を売却して利益が出そうな人は、空き家になってから3年以内に売却して特別控除を得られるようにしましょう。
空き家の処分はどうする?素早く手放す方法や得する処分方法を解説
売れない空き家は対策次第で売却できる
売れない空き家でも、リノベーション・リフォームしたり更地にしたりすることによって売却できる可能性があります。
マッチングアプリを活用することによって、利益は出ない状態でも譲渡できる可能性もあります。
売れないからといって空き家を放置していると固定資産税が上がり、持ち主の損失ばかり増えてしまします。
「取り敢えず売却価格がいくらなのか知りたい」という人は一括査定サービスで、空き家の価格相場を把握してみましょう。