屋根修理で助成金・補助金をもらう方法とは？支給条件と申請のポイントを解説【2025年最新】

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屋根修理は雨漏りや老朽化の対処だけでなく、住宅の断熱性や耐震性を改善する重要なリフォームです。

しかし工事費用は高額になりがちで、数十万円から200万円以上かかるケースも少なくありません。

そうした中で活用したいのが、国や自治体が提供する助成金・補助金制度です。一定の条件を満たす屋根工事であれば、補助を受けて費用負担を軽減することが可能です。

ただし、制度には対象となる工事内容や申請手続きのルールがあり、すべての屋根工事が補助対象になるわけではありません。

この記事では、助成金・補助金が支給される具体的な屋根修理のケースを中心に、申請条件や注意点まで詳しく解説します。

屋根修理で助成金・補助金が支給される主なケース

屋根修理に対する補助制度は、主に、下記の2点のうちいずれかを満たしていることが前提となります。

• 住宅の省エネ工場に繋がる工事・改修である
• 耐震性向上につながる工事・改修である

一方で、単なる美観向上やデザイン目的の屋根リフォームは支給対象外となるため注意が必要です。

ケース1】太陽光パネルの設置

屋根に太陽光発電パネルを設置する工事は、再生可能エネルギーの導入として国や自治体の補助対象になりやすい代表的な例です。

この工事は家庭内の電力を自家発電でまかなうことで電力使用量を削減できるため、省エネ改修としての効果が高いと評価されます。

特に環境省・経済産業省・各自治体では脱炭素化の一環として太陽光設備を推進しており、設置費用の一部を補助しているケースも増えています。

ただし、売電による収益を目的とした設置※は助成対象外となることがあるため注意が必要です。

※自家発電ではなく、発電した電力の売電による収益獲得を目的とした太陽光発電パネルの設置

申請時には、自家消費が目的であること・補助金交付要件を満たしていることを明確に示す必要があります。

ケース2】屋根に断熱材を敷く

屋根裏（小屋裏）の垂木間に断熱材を敷き込む改修工事は、夏の熱気・冬の冷気を遮断し、冷暖房の効率を高める省エネ対策として補助金・助成金の対象になります。

とくに築年数の古い住宅では、屋根部分に断熱材がまったく入っていないケースもあり、断熱材を新設・追加することで実際の省電力効果も大きいと考えられます。

断熱材には、スタイロフォームやグラスウール、ウレタンボードなどさまざまな素材があり、施工方法や断熱性能の数値によって補助対象かどうかが判断されます。

ケース3】屋根の内側から断熱材を吹き付け

屋根裏の野地板（屋根の内側）にウレタン系断熱材を吹き付ける工法は隙間の少ない気密施工が可能です。

この方法は、既存の屋根材を剥がさずに施工ができるため、工期が短く外観を損ないというメリットがあります。

断熱材は発泡性のウレタンフォームなどが用いられ、断熱性能（熱抵抗値）や厚みなどで補助対象かどうかが判断されます。

ケース4】屋根瓦の下に断熱材を敷く

既存の屋根瓦を一度取り外し、その下に断熱シートやパネルを敷設する工法は、屋根全体の断熱性能を底上げする改修として補助制度の対象となるケースがあります。

この方法は、瓦そのものを再利用する場合と新しい瓦に交換する場合の2パターンがあり、断熱材の種類や厚さによって省エネ効果が異なります。

特に、屋根裏空間が確保できない構造の住宅では、瓦下に断熱層を設けることで室温の安定・冷暖房負荷の軽減につながります。

遮熱性を持つ高性能断熱シートなどを組み合わせれば、より高い省エネ効果を実現でき、補助対象として認定されやすくなります。

ケース5】屋根に断熱・遮熱塗料を塗る

屋根に断熱性・遮熱性のある塗料を塗装する工事も、屋根表面温度の上昇を抑える省エネ改修とみなされます。

とくに夏場は、屋根が太陽熱を吸収することで小屋裏や室内の温度が上昇し、冷房負荷が増加します。

断熱塗料を使えばこの熱の侵入を抑制し、冷房エネルギーの削減効果が期待できます。

ただし、塗料による断熱はあくまで補助的な効果と見なされ、単体では補助対象とならないケースもあります。

そのため、断熱材の併用や屋根全体の改修と組み合わせた計画であれば、省エネ改修補助制度の対象となる可能性が高まります。

ケース6】軽量な屋根材に変更する

従来の瓦屋根などをガルバリウム鋼板やスレートなどの軽量屋根材に交換することで、住宅全体の耐震性向上につながり、耐震改修補助制度の対象となる場合があります。

重い屋根は建物の重心を高くするため地震の揺れに影響しやすくなります。そのため、屋根を軽量化することで地震の揺れを逃しやすくなります。

たとえば、瓦屋根を金属系屋根材に変更することで、屋根重量が1/10以下に軽減されることもあります。

この改修は、耐震診断の結果や補強計画に基づいた工事であれば、診断費用や工事費の一部が補助される可能性があります。

屋根修理で助成金・補助金を受ける条件

屋根修理で助成金や補助金を受け取るためには、単に修理を行えば良いというわけではありません。補助対象として認められるには、制度ごとに定められた複数の条件を満たしている必要があります。

これらの条件を満たさないまま工事を進めてしまうと、あとから申請しても受給できないというケースも珍しくありません。

ここでは、屋根修理において助成金・補助金を受けるために原則求められる6つの条件を解説します。

条件1】省エネ・耐震性の向上を目的とした修理であること

助成金・補助金制度の多くは、社会的課題の解決を目的とした性能向上型のリフォームを対象としています。

そのため、屋根修理も単なる美観向上や老朽箇所の修繕だけでは補助対象外になる可能性があります。

たとえば、断熱材の設置や遮熱塗料の使用は省エネ性の向上として、また、軽量屋根材への変更は耐震性向上として評価されやすい工事です。

一方で、デザイン変更や色の塗り直しといった機能的価値が薄いリフォームは原則として対象外です。

条件2】工事前に申請を完了していること

助成金・補助金制度では工事着工前に申請が完了していることが原則です。これを守らない場合、後から申請しても補助が受けられない可能性が非常に高くなります。

自治体は事前に工事の必要性と補助対象性を確認・審査する必要があるため、着工済みの工事は制度の対象外とされるのが一般的です。

また、申請には見積書や施工前の写真、住宅の登記情報など複数の書類が必要になります。これらは施工業者を選定した後に揃えるのが効率的です。

条件3】税金の滞納・未納がないこと

屋根修理に限らず公的な助成金・補助金を受けるには、税金を正しく納付していることが前提条件になります。

多くの自治体では住民税・固定資産税・都市計画税などの地方税に滞納がないかを審査時に確認しています。

申請時には納税証明書や完納証明書などの提出が求められるケースがあり、直近の支払い状況が重視されるのが一般的です。

過去に滞納歴があっても、現在までに清算されていれば申請できる場合もあるため、申請前に役所や税務課で納付状況を確認しておくと安心です。

条件4】自治体指定のリフォーム業者を利用すること

助成金・補助金制度によっては、自治体に登録された指定業者のみを利用することが申請条件になっている場合があります。

これは制度に精通した施工業者を通じて適切な工事・書類対応が行われるようにするためであり、無登録の業者では補助対象外とされることがあるため注意が必要です。

特に、小規模な施工会社や個人事業主は制度登録をしていないケースもあり、施工前に制度対応業者かどうかを必ず確認する必要があります。

自治体指定の施工会社かどうかはその会社に聞けば答えてくれると思いますが、相手が悪徳業者で嘘をついている可能性も考えると、自治体のHPを参照したり、直接自治体へ聞くのがおすすめです。

条件5】反社会的勢力との関係がないこと

申請者やその関係者が反社会的勢力と無関係であることは、全ての公的制度利用に共通する禁止事項です。

申請時には暴力団排除に関する誓約書や同意書の提出を求められることがあり、審査を進める際には誓約が必須となります。

また、施工を依頼するリフォーム業者側も同様に反社チェックを受けており、登録制度では反社会的関係のないことが登録条件となっています。

問題があると判断された場合は申請却下や補助金の返還を求められるリスクもあるため、自身が反社会勢力との関わりがないだけでなく、信頼できる業者を選ぶことも大切です。

条件6】居住用の住宅であること

助成金・補助金制度は、住民が実際に生活している住宅(居住用住宅)を基本的に対象としています。

店舗・事務所・賃貸用物件・別荘・空き家など、実際に居住実態のない建物は原則として補助の対象外です。

自治体によっては、住民票がその住所にあるかどうかや、水道・電気などの使用実績によって居住の有無を判断しています。

申請時には住民票・固定資産税納税証明書・公共料金の領収書などが必要となる場合があるため、書類の準備と現住所の確認を事前に済ませておくことが重要です。

屋根修理の代表的な助成金・補助金制度

屋根修理に使える助成金・補助金には、国が主導する制度と各自治体が独自に実施している制度の2種類があります。

いずれも住宅の省エネ性能や耐震性の向上、安全で快適な住環境の整備を目的としており、その目的に沿った屋根修理であれば補助対象となる可能性があります。

制度の内容や補助額、対象条件は毎年変更されることもあるため、最新情報を自治体や公式サイトで必ず確認したうえで利用を検討することが大切です。

長期優良化リフォーム推進事業制度

長期優良化リフォーム推進事業は国土交通省が実施する制度で、既存住宅の性能をバランスよく向上させ、長く快適に住める家へと改修することを目的としています。

対象となるリフォームは、耐震性・劣化対策・省エネ性・維持管理性など、複数の性能項目にわたる包括的な改修です。

屋根修理では、たとえば以下のような工事が補助対象になる可能性があります。

工事内容の例	補助対象になる理由
屋根材の軽量化	耐震性の向上に繋がるため
屋根の断熱強化	住宅の省エネ性向上に繋がるため
野地板などの劣化対策	耐震性の向上・住宅の耐久性向上に繋がるため

補助額は、1戸あたり最大100万円（子育て世帯等は150万円）で、比較的規模の大きい性能向上リフォームに向いている制度です。

ただし、認定を受けた建築士が作成するリフォーム計画書が必要であり、制度対応の実績がある業者へ依頼する必要があります。

省エネ改修補助事業

省エネ改修補助事業は、住宅の断熱性能やエネルギー効率を向上させる改修工事に対して各自治体が実施している代表的な補助制度です。

屋根に関しては、次のような工事が対象になり得ます。

断熱性能が改善されることで冷暖房のエネルギー使用量が削減されるため、省エネ目標を支援する制度として導入が進んでいます。

補助額は自治体により異なりますが、上限20万～30万円程度に設定されているケースが一般的です。

制度を利用する際は、使用する断熱材や塗料の仕様書・性能証明書の提出が必要になることが多いです。

耐震診断・改修等補助制度

耐震診断・改修等補助制度は、地震に強い住宅への改修を促進するために多くの自治体が実施している制度です。

特に、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅を対象に、専門家による耐震診断と改修工事の一部費用を補助する仕組みになっています。

屋根修理においては、以下のような工事が対象になるケースがあります。

補助額は自治体ごとに異なりますが、耐震診断で最大5万円、耐震改修で最大20～30万円が支給される例が多く見られます。

なお、申請には耐震診断士の診断報告書が必要となります。

屋根修理で助成金・補助金を受け取る流れ

屋根修理で助成金や補助金を受け取るためには、工事の前段階から明確なステップを踏む必要があります。

1. 利用可能な補助金制度を調べる
2. 必要書類を準備して申請手続きを行う
3. 着工前に屋根の状態を撮影する
4. 業者と連携して屋根修理工事を実施する
5. 完了後に調査員の現地確認を受ける

ここでは、制度を正しく利用するために必要な5つの基本ステップを紹介します。

【Step1】利用可能な補助金制度を調べる

まずは、自宅の屋根修理に対してどの補助金・助成金制度が利用できるのかを調べることから始めましょう。

補助制度は国・都道府県・市区町村の3つのレベルで提供されており、エリアによって内容・補助額・条件がまったく異なります。

「屋根修理　補助金　〇〇市」などのキーワードで検索したり、自治体の住宅課や建築課の公式サイトをチェックするのが基本です。

特に補助金・助成金を探す上で確認すべき項目は次の通りです。

• 対象工事と対象住宅の条件
• 補助額の上限と助成率
• 募集期間と受付件数

【Step2】必要書類を準備して申請手続きを行う

補助金の申請を行う際は、制度ごとに定められた申請書類一式を事前に準備して提出する必要があります。

主に求められる書類は以下の通りです。

自治体によっては、納税証明書・住民票・誓約書などが求められることもあります。

記載ミスや不備があると審査が遅延したり、補助対象外になることもあるため、経験のある施工業者と一緒に作成・確認するのがおすすめです。

【Step3】着工前に屋根の状態を撮影する

助成金・補助金の申請では、着工前の屋根の状態を証拠として写真に残しておくことが求められます。

撮影の際は、破損箇所・劣化の様子・既存の屋根材や構造がわかるアングルを意識し、複数方向から記録するのが基本です。

素人では高所の撮影が難しく危険を伴うため、施工業者に撮影を依頼するのが安全かつ確実です。

写真の撮影日は申請日と同日である必要はないですが、撮影日があまりに古いとみなされた場合は申請が無効になる可能性があります。また、申請後に追って写真を提出することはできないので注意が必要です。

【Step4】業者と連携して屋根修理工事を実施する

補助金・助成金の支給を受けるには、事前申請の内容に沿って正確に屋根修理を実施することが重要です。

工事内容や使用材料が申請と異なっていた場合、補助対象から外れることがあるため注意が必要です。

また、制度によっては工事中や完了時の写真提出を求められるため、施工前・施工中・施工後の工程ごとの記録を残しておくことも忘れないようにしましょう。

断熱材の型番や厚み、屋根材の品番など補助金審査に関わる項目は、申請者(工事の依頼者)自身が工事の段階で確認しておくことをおすすめします。

【Step5】完了後に調査員の現地確認を受ける

屋根修理が完了したら、自治体や補助金運営団体から派遣された調査員が現地確認に訪れるのが一般的です。

この確認では、「申請内容と実際の工事が一致しているか」をチェックされ、問題がなければ補助金交付決定通知が発行されます。

また、当日は以下のような書類・データを準備しておきましょう。

確認に不備があると再訪問や修正報告が求められることもあるため、事前に業者と連携し、資料を揃えておくことが重要です。

調査が完了し問題がなければ、1〜2か月以内に補助金が振り込まれるのが一般的です。

屋根修理で助成金・補助金を受ける時の注意点

屋根修理で助成金や補助金を活用する場合、制度の仕組みや条件を正しく理解しておかないと、申請が通らない・受給できないというトラブルにつながります。

ここでは、屋根修理の助成金活用で失敗しないために注意すべき代表的なポイントを整理して紹介します。

注意点1】申請通過前に契約・着工すると補助対象外になる

屋根修理の助成金制度では補助金交付の事前申請が必須条件となっており、申請が通過する前に契約や工事に着手した場合は補助対象外とされるのが一般的です。

制度上は審査・交付決定通知が発行された後に契約・着工する流れが原則とされており、着工日や契約書の日付が審査時に照合されます。

先に工事を進めてしまうと、補助金が下りずに全額自己負担になってしまう恐れがあるため非常に危険です。

注意点2】屋根修理は1社にまとめて依頼するのが基本

助成金や補助金の申請では、原則として「1つの業者が全体の工事を請け負っていること」が条件とされていることが多く、複数業者に分けて依頼（分離発注）した場合は補助対象外となるリスクがあります。

例えば、屋根材の葺き替えをA社、断熱材の施工をB社に依頼した場合、工事の一体性が確保できず、制度上の補助要件を満たさないと判断される可能性があります。

また、工事報告書・実績報告書の提出が制度上必要な場合も、責任の所在が分散すると記載不備や手続き遅延の原因になります。

注意点3】提出書類の不備は申請却下の原因になる

助成金・補助金の申請では提出書類に不備があると審査に通らず、補助が受けられないケースが多くあります。

特に注意したいのは、記入漏れ・日付の不整合・押印忘れ・添付資料の不足などのケアレスミスです。これらは自治体からの再提出や申請却下の原因となります。

また、仕様書・見積書・写真資料など補助対象工事であることを証明する書類は特に重要で、内容が曖昧だと審査を通過できません。

制度ごとに提出書類や様式が異なるため早めに一覧を確認し、チェックリストを用いて事前に点検することをおすすめします。

注意点4】補助金制度には募集期間・予算上限がある

多くの助成金・補助金制度には明確な募集期間や年度ごとの予算上限が設定されています。

そのため、募集開始後にすぐ申し込まなければ申請受付が終了してしまうことも珍しくありません。

特に人気の高い省エネ改修や耐震補強関連の制度は、受付開始から1か月以内に締切となるケースも多く見られます。

また、制度によっては先着順や抽選制が採用されており、計画を後回しにしていると間に合わないリスクもあります。

注意点5】補助金制度を装った詐欺業者に注意する

屋根修理の補助金制度はあまり知られていない制度も多く、それを逆手にとった悪質な詐欺業者が存在します。

よくある詐欺の手口としては、以下のようなものがあります。

このような業者は、突然の訪問・即決を求める態度・会社情報が不透明といった特徴があります。

被害を防ぐにはその場で契約せず、自治体や第三者機関に相談する時間を設けることが大切です。

屋根修理費用を助成金・補助金で賢く抑える

屋根修理は、住宅の安全性・断熱性・快適性を守るうえで欠かせない工事ですが、高額な費用がネックになりやすいのも事実です。

そこで活用したいのが国や自治体の助成金・補助金制度です。工事の内容や対象条件を満たせば、数十万円単位で補助を受けられる可能性があります。

ただし、制度には申請順序・対象工事・書類内容・業者選びなどのルールがあるため、正しい手順で慎重に進めることが重要です。

まずはお住まいの自治体に問い合わせて最新の補助制度を確認したうえで、制度対応に慣れた信頼できる業者と連携して屋根修理を進めましょう。