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不動産売却

不動産査定とは?売却査定の種類と流れ・査定額相場の計算方法を解説

不動産査定とは?売却査定の種類と流れ
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この記事の監修者
梅澤康二
監修者
プラム綜合法律事務所 弁護士
梅澤康二
東京大学法学部卒業。
2014年7月にプラム綜合法律事務所設立。
労務全般の対応、紛争等の対応、その他、不動産業を含む企業法務全般のご相談などに広く対応。
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不動産売却を行う前に実施する不動産査定は、売却する不動産の価値を数値化して知る術であると同時に、売却するときに決める売出価格の参考価格にするなど、多岐に渡る使用用途があります。

不動産査定の使用用途
不動産査定で得た情報の使い道 情報の活用方法
適正価格の把握 不動産査定を行う最も大きな理由は、その物件が現在の市場でいくらで売れる可能性があるかを知ることです。これにより、売主は物件を適正価格で売り出すことができ、買主は適正価格で購入することができます。
売却戦略の策定 査定結果は、売却戦略を立てる際の基礎となります。市場価値を知ることで、売り出し価格の設定、売却タイミングの選定、マーケティング戦略の策定など、より効果的な売却計画を立てることができます。
担保になるかどうかの証明 不動産を購入する際、多くの買主はローンを利用します。金融機関は、ローンの承認プロセスの一環として不動産の査定価格を重視します。物件の査定価格が高ければ、より多くのローンを得ることが可能になります。
税金の計算 不動産の査定価格は、固定資産税や贈与税、相続税などの税金の計算基準にもなります。正確な査定価格によって、これらの税金が適正に計算されるため、納税者にとっても重要です。
投資判断の支援 投資目的で不動産を購入する場合、査定結果は投資判断の重要な基準となります。将来的な価値上昇の可能性や賃貸からの収益見込みなどを評価するために、正確な市場価値の把握が必要です。
交渉の基盤 不動産の売買において、査定結果は価格交渉の出発点となります。査定価格を基にして、売主と買主は価格交渉を行い、双方にとって納得のいく取引を目指します。

また、不動産査定は、「不動産」に関する専門知識を持つ専門家が担当します。

不動産査定に関する法律

査定価格の算出には、市場動向、物件の立地、建物の状態、周辺環境など、多くの要因を総合的に評価し、最も正確な市場価値を導き出します。

加えて、不動産査定は、車や骨董品などを売る時に行われる査定とは異なる観点でその価値を数値化します。

よって、今回は、不動産売却を考えている方に向けて、不動産査定の方法や一連の流れ、査定を依頼する前に行っておくことを詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 不動産の査定方法
  • 不動産査定額の算出方法
  • 不動産査定の流れ
  • 不動産査定前にしておくべき事前準備
  • 不動産査定の相場を事前に調べる方法
完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定
Contents

不動産査定とは

不動産査定は、一戸建てやマンションなどの不動産を売却する際に、その物件の市場価値を推定するプロセスです。

この査定によって算出された価格(査定額)は、売り出し価格を設定する際の重要な基準となります。

査定額を把握することで、売主は資金計画を立てたり、次の物件の購入予算を決めたりする際に有益な情報を得ることができます。

不動産査定は、売却を成功させるためのスタートラインであり、物件の魅力や市場の動向を反映した適切な売却価格の設定に寄与します。

不動産会社による査定方法や判断基準は異なることがあり、複数の業者に査定を依頼して比較検討することも重要です。

不動産査定の結果を理解し、それをもとに戦略的な売却計画を立てることが、売主にとって非常に重要です。

不動産の査定方法

不動産の査定方法
査定依頼の方法 内容 メリット デメリット
机上査定 申込データ+業者の所有データで簡易査定
  • 結果がスピーディに算出できる
  • 複数社を比較しやすい
  • 査定も簡易でおこなわれるので精度が不足しがち
  • 現況を見た場合の査定評価と異なる場合も多い
訪問査定 机上査定に加えて、担当者が物件を実際に訪問して調査
  • 査定額の精度が高い
  • 担当者に対面相談できる
  • 机上査定より時間がかかる上、訪問日時のアポイントが必要

不動産査定を業者に依頼する際、机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類から選ぶようになります。

どちらにすれば良いか分からない初心者のために、それぞれの特徴を比較していきます。

机上査定(簡易査定)

机上査定(簡易査定)は、依頼者自身の自己申告(Webフォームへの入力内容など)や書類に記載されている情報を元に、各社のデータベースなども参考にしながら査定額を算出する方法です。

担当者がオフィス内で実施できる査定方法なので、訪問される心配がありません。

また、すでに計算の仕組みが整っている場合も多く、依頼してすぐに価格を算出してもらえます。

ただ、机上査定では物件内の傷・凹みや騒音といった詳しい内容までチェックすることはできません。

そのため、査定の精度という面では疑問の残るやり方になります。

机上査定のメリット・デメリット

  • 手軽に相場がわかる
  • 訪問査定より精度が低い

机上査定は不動産会社の担当者が机上で査定する為、PCでおこなうシミュレーション査定より精度が高くなります。

「不動産を売却しようか悩んでいるけど、取り敢えず価格を知っておきたい!」という人におすすめの方法です。

机上査定は手軽さがメリットになりますが、訪問査定よりも精度が劣るデメリットも存在します。

不動産は管理状態の違いや周辺環境の良し悪しによって価格が変わることもあります。

机上査定は訪問査定のように実際に不動産を見て査定する訳ではないので、売出し価格が変わってしまう恐れもあります。

家査定の結果がすぐ出るアプリやサイト5選!査定の流れも解説

訪問査定

訪問査定は実際に担当者が訪問調査を実施し、査定額を算出する方法です。

調査は査定対象の不動産は勿論のこと、境界や接している道路、周辺環境なども含まれます。

訪問日時の設定が面倒ですが、査定の精度は机上査定よりずっと高くなります。

訪問査定のメリット・デメリット

  • 精度の高い査定ができる
  • 売る判断をしていない人には不向き

訪問査定は不動産会社の担当者が直接訪問して査定してくれるので、精度の高い査定を行えます。

机上査定では分からない細かな部分まで見てくれるので、一番信頼性のある価格を算出してくれます。

不動産を売ると決めている人に有効的なメリットなので、売却することを決めている人におすすめです。

一方で訪問査定は、不動産会社から営業電話が頻繁にかかってくるデメリットがあります。

不動産を売却するか不透明な人がりようすると、営業電話が迷惑に感じてしまう恐れがあります。

「不動産の価格だけしりたい!」という人は、不動産査定ではなく不動産鑑定で鑑定評価を利用することがおすすめです。

その他査定方法

不動産査定は一般的に机上査定と訪問査定のどちらかを選びますが、2つの査定方法以外でも不動産査定を行うこともできます。

  • 不動産鑑定(有料)
  • 匿名査定(無料)
  • アプリやAIでの査定(無料)

匿名査定はインターネットを通じて行う査定方法で、気軽に不動産価格を知りたい人におすすめの方法です。

精度が低くなりますが、気軽に不動産価格を知ることができます。

近年ではアプリやAIで気軽に査定するものも出ているので「なんとなく不動産の価値を知りたい!」という人は、机上審査の前に気軽にダウンロードしてみて下さい。

不動産会社以外が行う不動産査定の方法

不動産売却を行う過程で行う不動産査定は、売却に関する専門知識を持つ不動産会社に依頼します。

不動産会社に査定を依頼すれば、机上(簡易)査定と訪問査定の2方法で売りに出す不動産の資産価値を算出してくれます。

しかし、査定依頼を引き受けているところは、不動産会社以外にも存在します。

不動産会社以外が行う不動産査定の方法
  • 不動産鑑定士が行う不動産査定の方法
  • 金融機関が行う不動産査定の方法

ここでは、特殊な事情で不動産会社以外の機関に査定依頼を出したとき、どのような査定を行ってくれるのかについて解説します。

不動産鑑定士が行う不動産査定の方法

不動産鑑定士は、国家資格を有する専門家で、その査定は非常に複雑で詳細です。

彼らは単に市場価格を評価するだけでなく、物件の使用価値やその他の要素も総合的に考慮します。

不動産鑑定を利用するときは、主に一般的に相続・贈与・財産分与の場面です。

例えば離婚や生前贈与で財産分与する時や、相続財産を複数の相続人で分割する時など、正確な不動産価格を知ってトラブル回避をしたいときに不動産鑑定士を利用します。

このため、裁判所などの公的な場での評価において、彼らの鑑定が重視されます。

不動産鑑定士と不動産査定は、不動産の価格を出す事自体は同じですが提示する背景が異なるので理解しておきましょう。

ただし、この方法は費用が高く時間もかかります。

一般的に、不動産鑑定士による査定は数万円から数十万円の範囲で行われ、1週間から1ヶ月程度の時間が必要です。

金融機関が行う不動産査定の方法

金融機関、特に銀行は住宅ローンの提供に際して、不動産の価値を査定する必要があります。

彼らの主な方法は「再調達価額法」と呼ばれ、これは建物を新築する場合の建築費用の平米単価を基に算出します。

銀行はこの方法を使って、ローンの担保となる不動産の価値を見極めます。

これにより、ローンが返済不能になった際のリスクを抑えることができます。

しかし、この査定方法は銀行ごとに異なる基準を持つため、一様ではありません。

不動産査定額の算出方法

不動産の査定で見られるポイントをチェックしたら、次に不動産会社は実際の査定額を算出していきます。

この時、査定額を算出する方法は不動産のタイプや周辺環境に応じて、以下の3つの方法から選択されます。

  • 原価法
  • 取引事例比較法
  • 収益還元法

ここからは、それぞれの査定方法を詳しく解説していきます。

原価法

原価法

原価法は土地・戸建ての査定に良く用いられる方法です。

同じ不動産を今、もう一度建築・造成したらいくらかかるのかを算出し、それを修正しながら査定額を算出していきます。

手順としては、はじめに再調達原価という、再取得に必要な費用を算出します。

その後、建物の場合は築年数の経過による価値の低下を減価修正して、査定額を算出します。

査定額【原価法】=再調達原価(総面積×単価)÷耐用年数×残存年数(耐用年数-築年数)

住宅の耐用年数は、木造の場合は22年、鉄筋コンクリート造で47年、鉄骨造(厚さ4㎜超)で34年、鉄骨造(厚さ3~4㎜)で27年となります。

取引事例比較法

取引事例比較法

取引事例比較法は原価法よりも幅広い物件で利用される査定方法で、過去の取引事例を参考にし、査定額を計算していきます。

過去の取引事例は周辺エリアの類似物件を参考にすることが多いですが、周辺に十分な事例がない場合は、条件の似ている他の地域を参考にすることもあります。

取引事例比較法を非常に分かりやすく説明すると、面積60㎡の物件を査定したい場合、他の条件が全く同じ2つの取引事例が同一エリア内で過去にあったとします。

  • 物件A:2,000万円(80㎡)
  • 物件B:1,500万円(40㎡)

この時、査定物件の金額はA、Bを考慮して1,750円となります。

ただ、実際に査定額を算出する場合は、このような単純計算で算出するとは限りません。

以下の4つの要因を参考にして、価格を修正するケースもあります。

  • 事情補正
  • 時点修正
  • 地域要因
  • 個別的要因

離婚や転勤、借金などの理由で売却までの期限が設定されている場合は、査定価格が低くなりがちです。

どんな商品も同じですが、早く売れる商品は性能の割にお得であることが前提条件になります。

そのため、どうしても早く売らなければいけない理由がある場合は、相場よりも金額が低くなってしまいがちです。

時点修正

過去の取引事例と査定物件のエリアが同じだったとしても、数年で周辺環境が大きく変化している可能性が十分あります。

また、経済状況の変化などでも不動産相場は変化するので、リーマンショックや東日本大震災、2020年のコロナショックといった大きな出来事によって査定価格も下落する傾向にあります。

地域要因

○○町の中の取引事例を集積し、それを参考に査定額を算出するということは、同一エリア内の取引は同一条件でおこなわれているという認識が前提になります。

ただ、エリアの中の特定地域だけが悪臭・騒音があったり、治安・渋滞に問題があったりするケースも多々あります。

特に子ども連れの世帯は、「橋を挟んで手前側の学区は優秀だけど、奥側の学区は荒れている」といったケースを非常に気にします。

このように、同一エリア内でも一部の条件が異なる場合は地域格差を考慮して査定額を算出します。

個別的要因

不動産がそれぞれ抱える傷や凹み、リフォームの有無なども考慮して価格を修正していきます。

収益還元法

収益還元法

収益還元法は、投資用の不動産が今後生み出す収益から逆算をして査定額を算出する方法です。

利益額が直接査定額の根拠になるので精度の高い方法ではありますが、同時に計算の根拠も重要になります。

収益還元法は大きく分けて、直接還元法とDCF法の2種類に分かれます。

直接還元法

直接還元法では、一定期間の純利益を還元利回りで割り、不動産価格を算出します。

査定額【直接還元法】=一定期間の純利益(家賃収入-かかった費用)÷還元利回り

満室時の月間家賃収入が50万円、月間の管理費が5万円の場合、年間の純利益は(50-5)万円×12=540‬万円となります。

還元利回りが10%の場合、査定額は5400万円となります。

DCF法

DCF法は、所有期間全体の純利益と売却予想額を割り戻して算出します。

収益不動産は築年数の経過によって劣化するため、頃合いを見て売却をする必要があります。そのため、DCF法のほうが直接還元法よりも実情に即した方法だと言えます。

この時に重要となるのが割引率です。

投資家にとって1年後にもらえる100万円と2年後にもらえる100万円は、投資を拡大できるという意味で価値が全く異なります。

つまり、査定額算出のために割り戻した金額(価値)は、前者のほうが大きいのです。

DCF法による査定額の計算式の基本は、以下の通りです。

査定額(DCF法)=毎年の純利益を算出後、今の価値に戻した金額+将来的な売却価格を今の価値に戻した金額

例えば、年間の家賃収入が200万円で割引率を2%とし、5年後の予想価格が4,000万円とすると、割り戻しの計算式は以下のようになります。

純利益 割り戻し計算をした結果
1年目 200万円÷(1+0.03)=約194万円
2年目 200万円÷(1+0.03)²=約189万円
3年目 200万円÷(1+0.03)³=約183万円
4年目 200万円÷(1+0.03)⁴=約178万円
売却時の予想価格 4,000万円÷(1+0.03)⁵=約3,450万円

この時、4年目までの純利益の合計が約744‬万円、5年目の売却価格を今の価値に割り戻すと約3,450万円となります。

つまり、DCF法で算出する現在の査定価格は約744‬万円+約3,450万円=約4,194‬万円となります。

不動産査定の流れ

不動産査定の流れ

不動産査定の流れは、以下の5ステップで進んでいきます。

  1. 査定を依頼する
  2. 訪問査定の日時を決める
  3. 訪問査定を実施する
  4. 必要書類を確認する
  5. 査定結果の報告

最初に大まかな流れを把握し、スムーズに査定を進めていきましょう。

【Step1】査定を依頼する

不動産査定の最初のステップは、査定を依頼することです。

これは、地元の不動産会社やオンラインの不動産査定サイトを利用することで、査定依頼が出せます。

査定依頼時に必要な情報
  • 物件の所在地(住所)
  • 築年数
  • 建物の種類
  • 建物の面積 など

また、近隣の環境や設備、リフォームの有無なども詳しく説明すると、より正確な査定結果が得られます。

依頼後、不動産会社からは訪問査定の日程調整等の連絡が入ります。

【Step2】訪問査定の日時を決める

次に、訪問査定の日時を決定します。

これは所有者と不動産会社の間で調整が行われます。

訪問査定では、不動産業者が物件を直接見て詳細な査定を行います。

この日時は、可能な限り物件を詳細に見てもらえるよう、日中や天候の良い日を選ぶとよいでしょう。

訪問査定の日時を決めたら、物件の清掃や整理を行い、不動産業者が詳細な査定を行える状態にしておきます。

【Step3】訪問査定を実施する

訪問査定の日になると、不動産業者が物件を訪問します。

ここでは、不動産業者が物件の内外を詳細にチェックし、状態を確認します。

査定で確認される部分
  • 建物の構造
  • 築年数
  • 建築材料の状態
  • リフォームの状況
  • 設備の状態

また、近隣環境や交通アクセス、周辺施設なども評価の対象となります。

これらの情報から不動産業者は物件の価値を評価します。

【Step4】必要書類を確認する

訪問査定後、不動産会社は必要書類の確認を行います。

これには、固定資産税評価証明書、登記簿謄本、地図、建築設計図、リフォーム履歴等があります。

これらの書類は物件の法的な状態や、具体的な物件情報を把握するために必要です。

書類に不備がある場合や、新たな情報が明らかになった場合は、査定額が変動します。

【Step5】査定結果の報告

不動産会社が物件の評価を完了すると、査定結果の報告が行われます。

これは通常、書面またはメールで送られ、物件の価値と、その理由が詳細に記載されています。

査定結果に納得がいかない場合は、評価について詳しく説明を求めることが可能です。

また、査定結果に基づき、物件の売却や賃貸を進めるか、改善点を元にリフォームを検討するなどの次のステップを考えることができます。

不動産査定時に評価されるポイント

不動産の査定を依頼すると、不動産会社の営業マンが実際に現地に赴いて査定を行うのが通常です。

自宅について査定を依頼する場合「査定される前に家を綺麗にしておかなきゃ!」「できるだけきれいな方が高く売れそうだからハウスクリーニングしたほうがいいの?」

このように考える方は少なくないと思います。ただ、ハウスクリーニングの有無で査定額が変動することは基本的にありませんので、せいぜい常識的な範囲で部屋を片づけて、綺麗にしておくだけでよいでしょう。

不動産を査定するときに業者がみているポイントを、ここから詳しく説明していきます。

築年数・間取・構造

築年数や間取りや構造は不動産の価値に直結する重要なチェックポイントです。

築年数はどうすることもできないですが、リフォームをした・定期的なメンテナンスを行っているなど住宅の価値に繋がる場合はは具体的なリフォーム時期やリフォーム内容を伝えましょう。

構造は木造か鉄骨でできているかだけでなく、耐震構造や防火性能などもチェックされます。

また、その他に以下の点も見られます。

  • 部屋数がいくつあるか
  • 各部屋の広さ
  • 家事がしやすいか
  • 収納が充実しているか

日当たりや風通し

日当たりがいい・風通しがいいことは住宅の査定額に影響し得る大切なポイントです。

  • 方角が南向きである
  • 近くに高いマンションやビルなどがなく、日当たりがよい
  • 天窓があり風通しがよい

このように風通しがよい住宅は湿気がこもりにくく、カビが繁殖しにくい・建物が傷みにくいなどのメリットがあります。

また、窓が多い・吹き抜けがある・空気の流れを意識した間取りであるなど居住環境に影響する事柄も査定に影響する可能性があります。

土地の形状

土地を売却する場合や、築古の建物付きの土地(敷地)を売却する場合、ほとんどの購入希望者は更地に新居を建てることを想定していると考えて良いでしょう。

この時、同じ面積の土地でも形状によって建てられる家屋が制限される可能性があります。

例えば、同じ100㎡の土地でも、縦×横の長さはそれぞれ異なります。

  • 土地A:10m×10m
  • 土地B:2.5m×40m

土地Bの場合、建築基準法により建築可能な建物は相当に制限されてしまう可能性が高いです。

こうした細長の土地の他にも、一部しか道路に接していない旗竿地や三角形の三角地など、特殊の形状の土地は査定額が下がる傾向にあります。

周辺環境

不動産自体の評価の他にも、周辺環境の評価も査定に影響する可能性があります。

例えば、駅近の物件であるかどうかといった交通の利便性は不動産の評価額にそれなりに影響する可能性があります。

また、近くに公園や緑はないか、買い物はしやすいか、学校や病院が近くにあるかなどの住環境に関わる周辺状況も交通の利便性ほどではないにしろ、査定時に影響する可能性があります。

不動産の管理状況

不動産の管理状況は査定額に影響します。

  • 電気/水道が使えない
  • 排水管の不具合
  • 雨漏り
  • シロアリの有無

修繕したほうが良い場合は事前に行いましょう。

またリフォームを行っている不動産は加点評価されるケースもあるので、事前に不動産会社に伝えましょう。

耐震対策

建物の場合、耐震性が査定額に大きく影響する可能性があります。

特に1982年までに建てられた物件は旧耐震構造となっているので、震度7といった地震へのリスクが相対的に高いといえます。

このような事情は建物の査定にマイナスに影響する可能性があります。

なお、耐震性とは異なりますが、土地の場合も土壌汚染があったり、液状化のリスクが有るという特殊な事情がある場合、これが査定に大きく影響する可能性があります。

その他の安定生活を脅かす要素

周辺に住環境を悪化させる事情がある場合、これが査定にマイナスとなる可能性は否定できません。

後者のケースについては、事故情報を告知事項とするべきか否か判断に迷うこともあると思いますので、不動産会社には事前に相談したほうが良いと思います。

訪問査定で確認されるポイント

不動産査定の1方法の訪問査定では、他の査定訪問よりも物件の状態を詳しく調査して正確な査定価格を算出してくれます。

評価額を算出するときは、「不動産査定時に評価されるポイント」にて取り上げた7つのポイントを中心に調べていきます。

しかし、この7つのポイント、評価額を算出するときの1要素にすぎません。

ここでは、訪問査定を依頼したときに評価される他の要素について解説します。

売却理由

売却理由は、物件価格や取引条件を設定する際の重要な要素です。

たとえば、急な転勤や生活環境の変化により急ぎで売却をしなければならない場合、それが価格交渉に影響を及ぼす可能性があります。

また、売却理由が物件自体の問題、例えば維持費が高すぎる、立地が不便などである場合、それが物件の魅力を減じ、価格を下げる要因となる可能性もあります。

査定者は、これらの情報を基に、適切な価格と売却戦略を立案してくれます。

物件の状態・状況・ローンの残債有無

物件の状態は、価格に大きく影響を与えます。

物件の構造、築年数、設備の状態などを査定者が詳細にチェックします。

また、現在進行中の修繕や改装の有無に加えて、ローンの残債がある場合、その分売却価格が上乗せされます。

売主と買主双方が納得のいく取引を行うために、これらの詳細な情報の開示は欠かせません。

物件周辺の立地・接道

物件の価値を評価する上で、立地条件は重要な要素です。

中でも、商業施設、学校、公共交通機関へのアクセス性、周囲の環境などは、物件の位置関係が生活の利便性に影響します。

また、接道状況も重要で、道路への面積や道路からの出入りのしやすさなどは、物件の使いやすさや価値を左右します。

隣家との境界線

隣家との境界線は、不動産取引で問題になることがしばしあります。

境界線の位置が明確でない、あるいは境界線を越えて隣家との間でトラブルが発生している場合、それが物件価格にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

査定者は、このような問題がないかをチェックし、境界線が明確に設定され、隣家との関係が良好であることを確認しています。

周辺環境の調査

周辺環境の調査は物件の魅力や価値を評価する上で重要な要素です。

公園、学校、病院、商業施設などの周辺施設の存在や、近隣の騒音レベル、治安の良さなどが含まれます。

また、将来的な地域の開発計画も物件価格に影響を及ぼす可能性があるため、これらの情報を収集し評価することが重要です。

不動産査定の所要時間

不動産査定は、査定方法や依頼する不動産会社によって異なります。

査定する不動産が大きければ1時間以上かかることもありますが、大体の査定は1時間以内で終了します。

訪問査定でない場合は依頼者が時間を調整して立ち会う必要がないので、査定してもらっている間別の用事をこなすこともできます。

訪問査定の場合、不動産会社が査定しやすいように依頼者が手の込んだ掃除をする必要はありません。

しかしスムーズに査定してもらえるように最低限の整理整頓は行っておきましょう。

ちなみに査定結果は、当日~1週間後に知ることができます。

最短で当日に価格を知ることができるので、急ぎの人は不動産会社と相談するのも一つの手段です。

訪問査定は30~1時間かかる

不動産会社が直接物件に訪問して査定する”訪問査定”は30~1時間かかります。

査定を希望している不動産の大きさによって査定する時間が異なりますが、1時間以上かけて査定をすることはほとんどありません。

売却予定の物件が更地の場合は訪問せずに査定するケースもあります。

長時間査定してもらうことはありませんが、事前に清掃をしておくと不動産会社が査定しやすくなるので、不要な家具家電の整理や部屋の掃除はしておきましょう。

査定結果は当日~1週間かかる

訪問査定をしてから査定価格の結果が分かるのは、当日から1週間後です。

机上査定の場合、査定を依頼したタイミングが良ければ即日分かることもあります。

依頼した不動産会社によって査定結果が分かるまでの期間が異なるので机上査定は3日程かかると把握しておきましょう。

また訪問査定は、約1週間程度で査定結果がわかります。

傾向として、マンション査定は一戸建ての査定より早く分かります。

不動産査定に必要な費用

「不動産査定っていくらくらいかかるの?」と不安になる人もいますよね。

不動産査定はほとんどが無料で実施してくれるサービスです。

不動産会社側からすると不動産査定は営業の一部であり、不動産を売る時に仲介業務をすると不動産会社の利益になります。

売主が不動産会社に仲介業務を依頼するときに媒介契約を結びます。

不動産会社は媒介契約が利益に繋がる為、不動産査定を行い売却しようと考えている売主とコミュニケーションをとります。

ほとんどの不動産会社は査定が営業の一貫だったとしても、真面目に査定してくれます。

媒介契約を結んだだけでは不動産会社の利益にならず、売る必要があるのでしっかり査定してくれます。

しかし査定額を高めに設定して提出し、媒介契約を獲得しようとする不動産会社もいるので不動産査定は複数の不動産会社に査定してもらいましょう。

基本的に無料で査定してくれる

不動産会社が行う査定は、原則すべて無料で行われます。

しかし場合によっては不動産鑑定士に依頼して有料査定を行う場面もあります。

不動産鑑定士に有料で査定してもらうと、無料査定に比べて正確な査定価格を算出できるのがメリットです。

不動産鑑定士に依頼した場合、相場が15万円~30万円と高額なので状況によって使い分けましょう。

不動産査定を依頼する方法

無料の査定を頼む際の選択肢は主に3つです。

  • 大手不動産会社に査定を直接依頼
  • 地域密着型不動産会社に査定を直接依頼
  • 不動産一括査定サイトで依頼する

それぞれ特徴についてご紹介していきます。

大手不動産会社に査定を直接依頼

大手不動産会社は広い情報網と取引実績を持っていて、買う側も大手不動産に集まりやすいです。

広い情報網を持っていますが、地域に密着した査定ではありません。

大手不動産会社には無料のフォームを用意しているところもあるので、とりあえず価格のイメージを知りたい方におすすめです。

地域密着型不動産会社に査定を直接依頼

地域に密着した不動産会社は、問い合わせを前提に査定しています。

査定用のフォームが設定されていなかったり、問い合わせに時間がかかったりと手間はかかりますが、大手不動産が見逃しやすい地域ならではの人気を考慮して査定してくれる可能性もあります。

不動産売却は大手業者か中小業者どちらがいい?徹底比較

不動産一括査定サイトで依頼する

どの不動産会社に査定を依頼するか迷ったときは、1社ずつ回るのは説明する手間も時間も面倒ですよね。

WEB上の一括査定サイトなら情報入力が1度で済み最も簡単に査定を行うことができます。しかし全国にあるすべての不動産が対象なわけではないため、地方には対応していないケースもあります。

査定額を比較するためには簡単で便利な方法なので、ぜひ利用しましょう!

不動産査定をネットで依頼する方法

不動産査定は自宅にいながらネットで依頼することもできます。

この時、査定の方法は大きく分けて2種類に分かります。

  • ネットを仲介して不動産会社に依頼する
  • 人口知能(AI)に自動で価格を算出してもらう

それぞれの内容を解説します。

ネットを仲介して不動産会社に依頼する

いわゆる一括査定サイトと呼ばれるもので、ネットで査定を依頼できるサービスのほとんどがこのタイプになっています。

サイト自体が価格を算出するのではなく、サイトが仲介をして複数社への査定依頼を代行するという仕組みです。

複数社の価格を比較できるメリットがありますが、一方で情報が広く知れ渡ってしまうというデメリットがあります。

人口知能(AI)に自動で価格を算出してもらう

最近出てきたのが、HowMaなど搭載している人口知能が自動で査定額を算出してくれるタイプです。

不動産会社へ仲介の役割を担うのではなく、サイトで査定が完結するので情報が知れ渡ってしまう心配が少ないと思われます。

ただ、AIの情報処理能力は非常に優れている一方で、内装の傷・凹みや日当たり、騒音といった部分は評価しきれないので、まだまだ性能は限定的という声も多いです。

参考程度に査定額を知りたい方にはおすすめのツールです。

不動産査定前にしておくべき事前準備

不動産査定を実施する際は、現状のまま業者へ丸投げするのではなく、事前に準備をしておいたほうが売却成功につなげることができます。

不動産査定前に準備すべきポイントを説明するので、参考にしてください。

必要書類を準備する

不動産査定を依頼する際は、必要書類を提出するようになります。

本来であれば、1社目の査定に申し込む前から全ての書類を揃えておくことをおすすめします。

不動産査定を成功させようと思ったら複数社に査定を依頼する必要がありますが、徐々に書類を揃えていくと依頼の度に必要書類が増えていく(同一の条件で査定が依頼できない)ので、客観性をもって査定額を比較することができなくなってしまいます。

以下で必要書類と取得方法をまとめておくので、ダブルチェックの時間をとるためにも早めに取得しておきましょう。

必要書類 取得方法
登記事項証明書 役所から取得
間取り図・測量図 登記所から取得
固定資産税納税通知書 役所から取得
購入時の概要書 当時利用した不動産会社から取得
管理規約 管理会社から取得
メンテナンス証明書 役所から取得

周辺の相場を調べておく

不動産査定前に周辺の相場価格を調べておくと、不動産会社が提示する査定価格が妥当な価格か判断できます。

国土交通省のWebサイトは過去の取引実績から土地や戸建て・マンションの売却価格を調べられるのでおすすめです。

査定してもらう土地の魅力を理解する

査定して貰う前に、査定予定の不動産の魅力を理解しておきましょう。

例えばリフォームしている場合は加点評価になる可能性があるので、不動産会社にアピールした方が良いです。

また、マンションの場合は大規模修繕を行っているケースはアピールポイントになります。

直近で外壁塗装を終えた場合もアピールに繋がるので、事前に調べてまとめておきましょう。

欠陥している場合リフォームが必要

不動産を査定する際は大規模なリフォームをする必要はありません。

ただ、窓の立て付けやドアノブの故障などは内覧準備も兼ねて早めに修理したほうが売却の成功につながります。

ネジの締め直しなどは自分でも意外と出来るので、まずは自分でやってみて、それでもダメなら業者に依頼しましょう。

不動産査定の相場を事前に調べる方法

不動産ポータルサイトを活用する

不動産ポータルサイト

SUUMOなどのポータルサイトには売り出し物件の情報が多数掲載されています。

エリアや築年数などで絞り込めば、だいたいの売り出し価格が分かります。

ただ、売り出し価格しか分からないので、最終的な売却価格(成約価格)と異なるケースもあります。十分注意しましょう。

土地総合情報システムを活用する

土地総合情報システム

土地総合情報システムは国土交通省が提供するデータベースで、直近5年間の全国の不動産取引をチェックすることができます。

成約価格を一覧で見られるのが魅力ですが、取引価格は業者のアンケートにゆだねているので、100%正確ではないことを把握しておきましょう。

レインズ・マーケット・インフォメーションを活用する

レインズ・マーケット・インフォメーション

レインズは正規の不動産会社しか利用できないデータベースですが、レインズ・マーケット・インフォメーションはネットで無料利用することができます。

マンションと戸建ての成約価格が検索でき、価格の分布グラフで視覚的にチェックすることもできます。

このデータベースは公益法人不動産流通機構が運営しており、宅地建物取引業者から集約されたデータが掲載されています。

東京カンテイ 価格天気図を活用する

東京カンテイ 価格天気図

株式会社東京カンテイは全国のマンション市況を集積しています。

価格天気図はマンションの価格傾向を天気図に模して紹介しており、中古マンションを売りたい場合はかなり参考になります。

国土交通省の地価公示を活用する

国土交通省の地価公示

国土交通省は毎年、公示地価を発表しています。

取引価格と100%イコールではないですが、価値の基準になる価格なので相場観を知る際の参考になります。

路線価図を活用する

路線価図

路線価とは道路に付けられた価格のことであり、路線価図で道路と接している土地の価格を算出することができます。

路線価図を用いて算出された価格は相続税評価額と呼ばれ、実勢価格の8割程度に落ち着くので逆算する必要があります。

不動産会社の査定結果がバラバラになった時の対処法

不動産の一括査定を6社に依頼した場合、以下のようなイメージで査定価格が共有されます。

不動産会社 査定結果
A社 3500万円
B社 3200万円
C社 3400万円
D社 3000万円
E社 3800万円
F社 4200万円

単純比較をすればF社と契約するのが最も良いように感じますが、必ずしも最高額で査定してくれた不動産会社と契約するのが正解ではありません。

ここからは、より上級者向けの不動産会社選びのコツを紹介します。

不動産査定の定義は統一されていないことを把握する

以前、新興の不動産会社のインタビューで「ほとんどの不動産会社は平均的な価格で査定をしますが、うちは努力して売れる最高の金額で査定させていただきます!」という内容のものがありました。

努力してくれるときけば聞こえは良いですが、そのことを知らない利用者からすれば、勝手に査定額の定義を変えているので混乱する可能性が高いです。

不動産の査定額は3か月程度で不動産が売れるとした場合の予想価格というアバウトな定義はありますが、何も法律などで明文化されている訳ではありません。

前述の例でいえば、査定額が高いF社だけが「最高額=査定額」という考えで計算をしているかもしれません。

どんな考え方で査定をしているのか、しっかり確認しましょう。

他社より2割近く査定額が高い場合は注意

複数社の査定額を比較して、高値を付けてくれた業者と媒介契約をしたほうが良いのと思われるかもしれません。

ただ、高値といっても他と比べて常識の範囲内に収まっているところと契約したほうが良いです。

他と比べて2割前後も査定額が高い業者は、ワザと査定額を吊り上げて契約を取ろうとしている可能性があります。

特に一括査定は複数社の査定額を比較される前提のサービスです。査定額が飛びぬけて高いとユーザーの注目が集まり、契約率も高まることを不動産会社は知っているのです。

こうした業者と契約しても、販売活動中に金額を下げられる可能性は高いです。不動産会社が得る仲介手数料は成約価格が下がってもそこまで変化はないので、不動産会社にとってデメリットは少ないのです。

査定額を吊り上げる悪徳業者を排除するためには、できるだけ多くの業者に査定を依頼すること、事前に相場をチェックすることを徹底しましょう。

根拠のある価格で査定してくれる業者と契約する

結論から言えば、根拠のある適正価格で査定してくれる不動産会社と契約するのが最もおすすめです。

査定価格は、その会社が物件をどう評価しているのかの指標でもあるので、高くても低くても、適正なところからズレている業者は今後の販売活動に不安が残ります。

適正価格で査定した業者と契約しても、それとは別に売主の希望で売り出し価格を決めることはできます。査定価格より高値で売ることは可能なのです。

ただこれも、最初から物件を高値で売れると思い込む業者Aと、適正価格を知った上で高く売る戦略を立てる業者Bでは、絶対に後者と契約するほうが成功率は高いです。

査定価格の高さも重要ですが、やはり最後は信頼できるかどうかで業者選びをすることをおすすめします。

査定額の根拠となるポイント

不動産査定を依頼すれば、依頼した数だけ、査定額が提示されます。

無論、どれ1つとして、同じ額を提示する会社はなく、誤差200~500万円前後の差で提示されるケースが多いです。

また中には、相場以上の金額を提示してくる会社もいます。

もっとも、査定依頼やその先の売却に繋げるためにも、会社選びが重要なポイントになってくるわけですが、会社選びの肝になってくるのが、何を根拠に査定額を提示したのかという点です。

ここでは、査定額の根拠となるポイントを3つ紹介します。

類似点がある物件の取引事例(取引事例比較法)

取引事例比較法は、不動産査定で最も一般的に使用される方法であり、類似物件の過去の取引価格を参考にします。

査定する物件と同じエリア、同じ築年数、同じ面積など、特性が似ている物件の最近の取引価格や取引事例を収集し、比較します。

これにより、現在の市場価格を把握できます。

物件の特徴や周辺環境、物件の状態なども詳細に比較し、適切な査定価格を導き出します。

この方法は客観性が高く、市場価格の動向を反映できるため信頼性が高いです。

同種・同条件下の物件を立てた時の価格(原価法)

原価法は、土地と建物の原価(新築時の価格)から経年劣化分を差し引いた価格を査定価格とする方法です。

つまり、同じ条件で新たに物件を建てた場合にかかる費用を元に査定額を算出します。

原価法では、建物の価格と土地の価格を別々に評価します。

建物の価格は、新築時の建設費用から経年による減価償却を差し引き、土地価格は土地の面積と地域の地価を元に算出します。

しかし、この方法は新築価格や減価償却の評価が主観的になりやすいため、取引事例比較法や収益還元法と組み合わせて用いられます。

売却すればどれだけの利益が見込めるのか(収益還元法)

収益還元法は、物件から得られる収益を基に査定価格を算出する方法です。

具体的には、物件を賃貸した場合の将来予想収益を現在価値に換算して評価します。

投資物件の査定や、ビジネスホテルやマンションなどの運用物件の評価に適しています。

将来の収益を評価するため、賃料の見込み、空室率、運用コストなど、多くの要素を考慮に入れます。

しかし、収益予測は市場環境や経済情勢に大きく影響され、不確実性が高いため、他の評価方法と併用されます。

不動産査定の注意点

予想外の出来事で査定価格が下がる恐れがある

2021年1月に、大阪ミナミの路線価が史上初の減額補正を受けました。

これは、新型コロナウィルスの流行によって観光客が0になり、インバウンド事業が大打撃を被ったのが原因です。

このように、自身ではコントロールできない要因で査定額が下がるケースもあります。

居住区も、近くで殺人事件や自殺が起こったりすれば価格は下方修正されることがあります。

売りたい物件をいくら大切に管理していたとしても、査定の依頼時期によっては低値しかつかない可能性があります。

査定額=売却額(成約価格)ではない

不動産査定で不動産の適正価格を知ることは重要であり、不動産を今売るべきか住宅ローンの完済は可能か、大枠の判断が可能になります。

また不動産を売り出す時は、売り主が売却価格を設定する際の指標になります。

しかし、不動産の査定額が必ずしも売却額になるというわけでありません。

無料査定による査定額は仲介の契約をとるための営業的側面が強く、査定額での売却を約束するものではありません。

混同しやすい見積もり額・買い取り額の違いについてみていきます。

見積もり額とは査定してもらって提示された金額に条件が加わった金額のことです。

金額の有効期限のほかに「最低でも○○日なら50万も保証はできます」という保証金額もあります。

見積もり額は書面で残ることはないので、変更になる可能性があります。

買取額とは、査定をしてもらって買取り会社が買い取る金額のことです。

ある程度の条件が出そろった段階で出される金額のことで、契約書を前にして買い取り額出されることも多いです。

契約書に記載されている金額なので契約金額とも言われます。

ここで注意したいのが、買取り金額=振込額とは限らないことです。もろもろの手数料などが引かれた額が最終的に受け取れる金額になります。

査定時の担当者を見極めよう

訪問査定をしてもらう場合、不動産会社だけでなく担当者もチェックする必要があります。

不動産会社の担当者は、不動産を売却する時も関わってきます。

買い手を探してくれたり、価格交渉をするのは担当者なので、査定してもらう担当者がどのような人物なのか見極める必要があります。

不動産査定は媒介契約を結ぶ前に担当者を見極めるチャンスです。

不動産査定に関する質問を柔軟に対応してくれるか、対応はスムーズに行われているか確認しましょう。

匿名査定の査定結果は信用しない

匿名査定は個人情報を入れずに査定できる為、不要な営業電話を受け取ることなく利用できます。

しかし匿名査定は、査定価格の精度が低く過信してしまうと失敗する恐れがあります。

匿名査定はおおよその価格と認識して、売却や住み替えを考えている人は机上査定や訪問査定を行いましょう。

また匿名査定は個人情報を入力しない為、不動産会社側が売却意欲が低めと判断し大雑把に査定している可能性もあります。

査定額を水増しする悪徳業者に注意

「査定額の高い業者は高く売ってくれる」という認識が広く知れ渡っていますが、それを逆手にとって査定額を水増しする悪徳業者も多くいます。

そもそも査定額とは何か?という明確な基準はなく、査定額を水増しされても「うちは査定額=適正価格ではなく、目標価格と認識しているので…」などと言い逃れしてくる可能性があります。

どちらにせよ、なぜ査定額がこの金額なのかを必ず聞くようにしましょう。

優良業者なら査定額の根拠を素人にも分かりやすく説明できるはずです。逆に金額の根拠を説明するのを拒否する業者なら、契約しないほうが良いです。

また、相手が悪徳業者か見抜くためには、大まかな相場を調べておくことが大切です。

はじめて不動産売却をする場合、仲介業者の担当者が言うことを何でも信じてしまいがちです。

ただ、売却査定のアドバイスなどは業者によって全く違いますし、「相手は素人だから」と甘く見て適当なことを言っている可能性もあります。

事前に相場を調べ、ある程度知識を付けてから査定を依頼することで、悪徳業者に騙されるのを避けられます。

また、HPで掲載されている過去の実績も本当に正しい数字なのかチェックしましょう。

過去数年間の仲介実績を公式サイトに記載している業者は目を引きますが、対面時には「市内の一戸建ては10年で何件成約しましたか?」などより具体的に実績を聞いてみましょう。

ちゃんとした業者であれば過去のデータをしっかり保管しているので正確に答えられるはずです。

逆に過去の実績がわからない業者は信用できませんし、過去のデータを査定額に反映していない(金額の根拠があいまい)可能性が高いです。

実績を聞くことで、査定額の正確さを確かめられるだけでなく、業者の得意・不得意を知ることができます。

不動産査定のよくある質問

査定に出す時期や理由、不動産の状況もそれぞれ異なり、手続きを進めていく中で疑問は尽きないです。

ここからは、不動産査定をする方が抱きがちな、良くある質問を解決していきます。

査定前にリフォーム・クリーニングは必要?

不動産の査定額は時間の経過によって下がっていくのが普通ですが、途中でリフォームをすることで価値の減少を緩やかにしたり、プラスに転じさせたりすることが可能です。

ただし、査定額を高めるためにリフォームをおこなうのはNGです。

なぜなら、1,000万円のリフォームによって査定額が1,000万円以上高くなるケースは基本的にないからです。

物件の査定額は築年数や面積、立地などによって決まる側面が大きいので、リフォームにお金をかけても評価額の増加が費用を上回ることはなく、損をしてしまいます。

ハウスクリーニングも見映えは良くなりますが、物件の中身が根本的に良くなっている訳ではないので査定額には影響しません。

中古住宅を購入する方は引き渡し後にフルリノベを希望していることも多いので、売主の趣味嗜好に合わせてリフォームをしてしまうと買主の需要から離れてしまうリスクがあります。

ただ、査定額に影響がなくても、実際に内覧に来た購入希望者はあまりにもボロボロな物件や散らかった物件は買おうと思いません。

内覧前に最低限の整理整頓や、壊れた部分の簡易リフォームはやっておきましょう。

不動産の査定額に納得いかない時はどうすればいい?

査定額がいくらになるか過度な期待はせず、相場が低くても、その中でも高値を付けてくれる不動産会社を探していきましょう。

戸建て住宅は築20年を超えるタイミングで建物の価値がほぼ0になります。

実際は築20年前後でも問題なく暮らしている方は多いので、基本的に売主のイメージする価格よりも査定額は低くなります。

査定額に納得できなければ、売り出し価格を査定額以上に設定して売却することもできます。

ただ、購入希望者にとっては割高感を感じやすい価格になってしまうので、需要も考えてバランスを見ながら値下げ調整をすることも必要になります。

不動産会社が無料で査定するのはなぜ?

不動産会社が無料で査定をおこなうのは、顧客獲得のためというのが大きな理由です。

不動産会社は無料で物件を査定してくれますが、「無料なんておかしい。何か裏があるのでは?」と不安に思う方も多いです。

仲介売買は契約した売主・買主が成約した時に、代金の一部を仲介手数料として支払ってもらって初めて収益を得られます。

査定は契約の第一歩なので、出来るだけ査定依頼のハードルを下げるために無料にしている側面もあります。

査定後に契約に繋がらなかったとしても、顧客リストに登録をしておき、メルマガを配信して将来的な契約締結を目指すケースもあります。

ネットで不動産査定を依頼しても大丈夫?

今はネットから一括で査定依頼できる不動産一括査定サイトを利用する方が多いですが、これは査定額を比較してより高額で売ってくれる不動産会社を見つけられる、かなり有効なツールです。

不動産一括査定サイトは、個人情報や物件情報を入力して、複数の不動産会社へ送信するシステムになるので、その間に情報が漏洩するリスクを不安視する方も少なくないです。

不動産一括査定サイトといっても中身はピンキリなので一口に断定はできませんが、HOME4Uのような大手サイトならプライバシーマークの取得など、個人情報保護に力を入れているので安心です。

査定額が低くても高値で不動産を売却できる?

不動産査定はあくまで目安・予想であり、必ずしもその金額で売れるとは限りません。戦略次第で、査定額よりも高値で売ることは可能です。

不動産の査定額を気にして、過剰に下準備をしたり、査定額が低いことに落ち込んだりする方は多いです。

しかし、実際に不動産売却の仕組みを知っていると、不動産査定の結果を過剰に気にする必要はありません。

査定額に納得いかなければどうすれば良い?

査定額に納得がいかない理由によって、対応方法は異なります。

査定額に納得いかないのは、主に以下の2ケースです。

  • 査定額が思ったより安い
  • 査定額の根拠が不明

査定額が不服なら、無理に契約をする必要はありません。より高い金額を提示してくれる業者を探し、契約を結ぶようにしましょう。

査定額が不服な場合は交渉をおこなうこともできますが、条件を依頼者の有利なほうに覆すのは簡単なことではありません。

前提として、様々な業者を比較しなければどこが良いか分からないので、必ず複数社に見積もりを依頼しましょう。

不動産査定の方法を理解して売却をスムーズに行おう

正確な不動産の価格を知る為にも、複数の不動産業者に価格査定を依頼することは重要です。

各不動産会社の価格を比較して、どのくらいの価格で売却できるのか理解して一番信頼できる不動産会社に売却を依頼しましょう。

不動産一括査定サイトは様々な不動産会社から一括査定することが可能で、優良不動産会社を厳選しているので安心して不動産査定できます。

またネットで24時間いつでも無料で一括査定できるので、手軽に利用してみてください。