運営:株式会社グローベルス [国土交通大臣免許 (04)第007845号]
不動産売却

不動産査定とは?売却査定の種類と流れ・査定額相場の計算方法を解説

不動産 査定
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この記事の監修者
梅澤康二
監修者
プラム綜合法律事務所 弁護士
梅澤康二
東京大学法学部卒業。
2014年7月にプラム綜合法律事務所設立。
労務全般の対応、紛争等の対応、その他、不動産業を含む企業法務全般のご相談などに広く対応。
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不動産査定は不動産の価値を知るために重要な準備であり、家やマンションといった不動産を満足のいく価格で売却したいなら、絶対に実施が必要な行動です。

不動産売却時の不動産会社選びで重視することは何ですか?(株式会社グローベルス調べ)不動産売却時の不動産会社選びで重視することは何ですか?(株式会社グローベルス調べ)
  • アンケート方法:インターネットによる無作為調査
  • アンケート実施日:2024年10月1日~10月8日
  • アンケート実施人数:1201人(男性:600人 女性:601人)
  • 回答者年齢:30代:213人、40代:438人、50代:511人、60代:39人

株式会社グローベルスが実施したアンケート調査によると、不動産売却時にどの不動産会社と契約するかの判断基準として、査定価格を挙げる方が最も多い(33.3%)という結果になりました。

実際に、不動産会社の目線から見ても、不動産査定をどのように依頼するか、査定結果を受けて、それをどう不動産会社選びなどに結びつけるかは、不動産売却を成功させる上でかなり重要です。

そこで今回は、不動産の売却を考えている方に向けて、不動産査定の方法や一連の流れ、査定を依頼する前にやるべきことを詳しく解説します。

完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定
Contents

不動産査定とは

不動産査定は、一戸建てやマンションなどの不動産を売却する際に、その物件の価格を見積もることです。

国土交通省が公開中の「不動産鑑定評価基準」に示されている以下の基準をもとに適正価格を算出されます。

不動産の価格は、一般に、

  • その不動産に対してわれわれが認める効用
  • その不動産の相対的稀少性
  • その不動産に対する有効需要

の三者の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を、貨幣額をもって表示したもの
である。

引用:国土交通省「不動産鑑定評価基準

不動産会社によって実施される不動産査定(売却査定)は、その不動産会社に仲介売却を依頼したらいくらで売れるのかを判断する基準となります。

そもそも不動産を売却して利益を出せるのかどうかを知る基準になるのはもちろん、不動産会社によって異なる査定額を比較し、もっとも高く売却できる会社を見つける参考になります。

また、実際に不動産会社による仲介売却をする際は、契約前に訪問調査(訪問査定)が必要になるため、原則、不動産売却時に不動産査定は必ずおこなう必要があります。

不動産会社による査定=実際に取引される見積もり額の算出

不動産会社による査定とは
  • 第三者との売買における成約価格の見積もりである
  • 成約価格は公示地価などの公的な評価と必ずしもイコールではない

注意したいのは、不動産会社による査定は「不動産を探している人が、この不動産ならいくらで買ってくれるか(売れるか)」を見積もるものであり、公示地価などの公的な不動産の評価とは別物であるという点です。

そのため、不動産会社による査定では、公的な評価ではない「物件の間取りが今人気のタイプか」「進学実績が高い学区内か」といった要素も評価に含まれます。

また、他の商品などとも同じく中古物件の売り出し市場では価格帯が形成されるため、周囲の中古物件が高値を付けているなら高値に、低値なら低値に査定される傾向にあります。

不動産会社の査定額は売却時にどれくらい重要か

  1. 不動産会社によって査定がおこなわれる(査定価格の提案)
  2. 売主が最終的に売り出し価格を決定(または不動産会社の提案を承認)する
  3. 買主と合意した成約価格を決定する

不動産会社の査定額はあくまで見積もり価格であり、実際に不動産をいくらで売るかの判断は売主がおこなうことができます。

そのため、査定額を全く無視して、売り出し価格を売主がつけることも実際は可能です。

ただし、査定額は現在の他の売り出し物件の価格帯も考慮した金額で算出されるので、査定額を無視すると他の物件と比較して割高とみられ、買い手がつかないということが起こります。

また、査定額は各社が「うちならこれくらいで売れる」という考えで算出した金額でもあるので、かけ離れた売り出し価格をつけても、それを実現する販売活動ができないことがほとんどです。

こうした理由から、ほとんどの不動産は契約している不動産会社の査定額とイコールか、査定額とほとんど差がない金額で売り出されています。

不動産の査定方法

不動産の査定方法
査定依頼の方法 内容 メリット デメリット
机上査定 申込データ+業者の所有データで簡易査定
  • 結果がスピーディに算出できる
  • 複数社を比較しやすい
  • 査定も簡易でおこなわれるので精度が不足しがち
  • 現況を見た場合の査定評価と異なる場合も多い
訪問査定 机上査定に加えて、担当者が物件を実際に訪問して調査
  • 査定額の精度が高い
  • 担当者に対面相談できる
  • 机上査定より時間がかかる上、訪問日時のアポイントが必要

不動産査定を業者に依頼する際、机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類から選ぶようになります。

どちらにすれば良いか分からない初心者のために、それぞれの特徴を比較していきます。

机上査定(簡易査定)

机上査定(簡易査定)は、次のような「情報のみ」を参考にしながら査定額を算出する方法です。

机上査定で用いる項目
  • 依頼者自身の自己申告(Webフォームへの入力内容など)
  • 書類に記載されている情報
  • 各不動産会社が持ち合わせているデータベース

担当者がオフィス内で実施できる査定方法なので、自宅まで訪問される心配がありません。

また、すでに計算の仕組みが整っている場合も多く、依頼してすぐに価格を算出してもらえます。

ただ、机上査定では物件内の傷・凹みや騒音といった詳しい内容までチェックすることはできません。

そのため、査定の精度という面では疑問の残るやり方になります。

机上査定のメリット・デメリット

メリット
デメリット
・自宅まで訪問される心配がない
・短時間で売却の相場がわかる
・詳細部分まで評価してもらえない
・査定後に売却価格が変動する場合がある

まず机上査定は、不動産会社の担当者が机上で査定するため、PCでおこなうシミュレーション査定より精度が高くなります。

「不動産を売却しようか悩んでいるけど、取り敢えず価格を知っておきたい!」という人におすすめの方法です。

なお、机上査定は手軽さがメリットになりますが、訪問査定よりも精度が劣るデメリットも存在します。

不動産は管理状態の違いや周辺環境の良し悪しによって価格が変わることもあります。

机上査定は訪問査定のように実際に不動産を見て査定する訳ではないので、売出し価格が変わってしまう恐れもあります。

訪問査定

訪問査定は、実際に担当者が所有する不動産を訪問して調査し、査定額を算出する方法です。

調査は査定対象の不動産はもちろんのこと、境界や接している道路、周辺環境なども含まれます。

訪問日時の設定が面倒ですが、査定の精度は机上査定よりずっと高くなります。

訪問査定のメリット・デメリット

メリット
デメリット
・高い精度で査定額を算出できる
・売り出し価格の変動が起きにくい
・営業の電話がかかってきやすい
・売却に迷っている人には不向き

訪問査定は不動産会社の担当者が直接訪問して査定してくれることから、精度の高い査定を行えます。

また机上査定では判断できない細かな部分まで見てくれることから、一番信頼性のある価格を算出してくれるのが魅力です。

不動産を売ると決めている人に有効的なメリットなので、売却することを決めている人におすすめです。

一方で、不動産会社から営業電話が頻繁にかかってくるデメリットがあります。

不動産を売却するか迷っている人が利用すると、営業電話を迷惑に感じてしまう恐れがあります。

「不動産の価格だけ知りたい!」という人は、不動産査定ではなく不動産鑑定で鑑定評価を利用することがおすすめです。

その他査定方法

不動産査定は一般的に机上査定と訪問査定のどちらかを選びますが、2つの査定方法以外でも不動産査定を行うこともできます。

  • 不動産鑑定(有料)
  • 匿名査定(無料)
  • アプリやAIでの査定(無料)

まず不動産鑑定は、公益社団法人「日本不動産鑑定士協会連合会」などが相談所を提供しているサービスであり、客観的な立場から金額についての情報を算出してもらえます。

つぎに匿名査定は、インターネットを通じて行う査定方法で、気軽に不動産価格を知りたい人におすすめの方法です。

また近年では、アプリやAIで気軽に査定するサービスも登場しています。

「なんとなく不動産の価値を知りたい!」という人は、机上審査の前に気軽にダウンロードしてみて下さい。

不動産会社以外が行う不動産査定

不動産査定は、売却に関する専門知識を持つ不動産会社に依頼するのが一般的です。

しかし、査定依頼を引き受けているところは、不動産会社以外にも存在します。

ここでは、特殊な事情で不動産会社以外の機関に査定依頼を出したとき、どのような査定を行ってくれるのかについて解説します。

不動産鑑定士が行う不動産査定

不動産鑑定士は、国家資格を有する専門家で、その査定は非常に複雑です。

彼らは単に市場価格を評価するだけでなく、物件の使用価値やその他の要素も総合的に考慮します。

不動産鑑定を利用するときは、主に一般的に相続・贈与・財産分与の場面です。

例えば離婚や生前贈与で財産分与する時や、相続財産を複数の相続人で分割する時など、正確な不動産価格を知ってトラブル回避をしたいときに不動産鑑定士を利用します。

そのため、裁判所などの公的な場での評価において、彼らの鑑定が重視されます。

不動産鑑定士と不動産査定は、不動産の価格を出す事自体は同じですが提示する背景が異なるので理解しておきましょう。

ただし、この方法は費用が高く時間もかかります。

一般的に、不動産鑑定士による査定は数万円から数十万円の範囲で行われ、1週間から1ヶ月程度の時間が必要です。

金融機関が行う不動産査定

金融機関、特に銀行は住宅ローンの提供に際して、不動産の価値を査定する必要があります。

彼らの主な方法は「再調達価額法」と呼ばれ、これは建物を新築する場合の建築費用の平米単価を基に算出します。

当該建物に係る保険金額をもとに金額を算出する方法であり、建物の再調達価額及び開始時簿価は、以下の計算式を用います。

  • 再調達価額=延べ床面積×構造・用途別単価(円/㎡)
  • 開始時簿価=再調達価額-減価償却累計額

引用:総務省「資産評価及び固定資産台帳整備の手引き」

銀行はこの方法を使って、ローンの担保となる不動産の価値を見極めます。

これにより、ローンが返済不能になった際のリスクを抑えることができます。

しかし、この査定方法は銀行ごとに異なる基準を持つため、一様ではありません。

不動産査定額の算出方法


不動産の査定で見られるポイントをチェックしたら、次に不動産会社は実際の査定額を算出していきます。

この時、査定額を算出する方法は不動産のタイプや周辺環境に応じて、以下の3つの方法から選択されます。

ここからは、それぞれの査定方法を詳しく解説していきます。

なお国土交通省では、3つの手法をそれぞれ実施し、最終的な評価を出すものだと取りまとめられています。

ぜひ3種類の計算方法を理解し、査定チェックに役立ててみてください。

原価法

原価法

原価法は土地・戸建ての査定に良く用いられる方法です。

同じ不動産を今、もう一度建築・造成したらいくらかかるのかを算出し、それを修正しながら査定額を算出していきます。

手順としては、はじめに再調達原価という、再取得に必要な費用を算出します。

その後、建物の場合は築年数の経過による価値の低下を減価修正して、査定額を算出します。

原価法を用いた査定額の計算例

【計算式】
査定額【原価法】=再調達原価(総面積×単価)÷耐用年数×残存年数(耐用年数-築年数)

【条件】
建物の総面積:100㎡
建物の単価:20万円/㎡
耐用年数:40年(国税庁の耐用年数表を参考
築年数:10年

【計算例】
再調達原価:100㎡×20万円/㎡=2,000万円
残存年数:耐用年数40年-築年数10年=30年
査定額の計算:2,000万円×30年÷40年=1,500万円

以上より、査定額は1,500万円と計算されます。

取引事例比較法

取引事例比較法

取引事例比較法は原価法よりも幅広い物件で利用される査定方法で、過去の取引事例を参考にし、査定額を計算していきます。

過去の取引事例は周辺エリアの類似物件を参考にすることが多いですが、周辺に十分な事例がない場合は、条件の似ている他の地域を参考にすることもあります。

取引事例比較法を非常に分かりやすく説明すると、面積60㎡の物件を査定したい場合、他の条件が全く同じ2つの取引事例が同一エリア内で過去にあったとします。

  • 物件A:2,000万円(80㎡)
  • 物件B:1,500万円(40㎡)

この時、査定物件の金額はA、Bを考慮して1,750円となります。※あくまで他の要因を全く考慮しない場合

ただ、実際に査定額を算出する場合は、このような単純計算で算出するとは限りません。

以下の4つの要因を参考にして、価格を修正するケースもあります。

要因 詳細
事情補正 離婚や転勤、借金など、早期に売却が必要な理由がある場合など
時点修正 周辺環境が大きく変化しているケースや、経済状況の変化など
地域要因 過去の取引事例の時期に比べて、そのエリアがどう変化しているか
個別的要因 不動産そのもののキズ・凹みなどの劣化状況やリフォーム状況など
取引事例比較法を用いた査定額の計算例

【計算式】
査定額【取引事例比較法】 = 比較事例の価格 × 価格調整率

【調整項目】
地域要因:駅からの距離、周辺の環境など
事情補正:築年数が古い物件は減価される、離婚といった条件も影響する
個別的要因:リフォームやメンテナンスの状況による違い
時点修正:市場変動にあわせ、過去の取引事例の価格を現在の相場を調整

【比較例】
対象物件:築15年、駅から徒歩10分、3LDK(70㎡)
比較事例1:築10年、駅から徒歩8分、3LDK(70㎡)、価格4,000万円
比較事例2:築20年、駅から徒歩12分、3LDK(70㎡)、価格3,500万円

【計算例】
まず「比較事例1の調整後の価格」について築年数が5年古いため、価格を5%減額すると仮定し、駅までの距離は対象物件が比較事例より遠いため、さらに3%減額と仮定する。(総減額=-5%-3%=-8%)

以上より「4,000万円×(1-0.08)=3,680万円」

つづいて「比較事例2の調整後の価格」について築年数が5年新しいため、価格を5%増額すると仮定し、駅までの距離は対象物件が比較事例より近いので、さらに3%増額と仮定する。(総減額=5%+3%=8%)

以上より「3,500万円×(1+0.08)=3,780万円」

これらの計算より、最終的な査定額は「(3,680万円+3,780万円)÷2=3,730万円」となり、査定額は3,730万円だと算出されます。

収益還元法

収益還元法

収益還元法は、投資用の不動産が今後生み出す収益から逆算をして査定額を算出する方法です。

利益額が直接査定額の根拠になるので精度の高い方法ではありますが、同時に計算の根拠も重要になります。

収益還元法は大きく分けて、直接還元法とDCF法の2種類に分かれます。

直接還元法

直接還元法では、一定期間の純利益を還元利回りで割り、不動産価格を算出します。

直接還元法を用いた査定額の計算例

【計算式】
査定額【直接還元法】=一定期間の純利益(家賃収入-かかった費用)÷還元利回り

【条件】
年間賃料収入:300万円
運営経費:50万円(管理費や修繕費、税金など)
還元利回り:5%(想定)

【計算例】
純収益(NOI)の計算:年間賃料収入300万円-運営経費50万円=250万円
査定額の計算:純収益250万円÷還元利回り0.05(5%)=5,000万円

以上より、査定額は5,000万円と計算されます。

DCF法

DCF法は、所有期間全体の純利益と売却予想額を割り戻して算出します。

収益不動産は築年数の経過によって劣化するため、頃合いを見て売却をする必要があります。そのため、DCF法のほうが直接還元法よりも実情に即した方法だと言えます。

この時に重要となるのが割引率です。

投資家にとって1年後にもらえる100万円と2年後にもらえる100万円は、投資を拡大できるという意味で価値が全く異なります。

つまり、査定額算出のために割り戻した金額(価値)は、前者のほうが大きいのです。

DCF法による査定額の計算式の基本は、以下の通りです。

DCF法を用いた査定額の計算例

【計算式】
査定額【DCF法】=各年の純収益(NOI)÷(1 + 割引率)^年数+最終売却価格÷(1+割引率)^保有年数

【条件】
年間賃料収入:1年目300万円、2年目320万円、3年目340万円
運営経費:50万円/年(固定)
割引率:5%
保有期間:3年
最終売却価格:5,000万円

【計算例】
各年の純収益:1年目:300万円-50万円=250万円
       2年目:320万円50万円=270万円
3年目:340万円50万円=290万円
各年のキャッシュフローの現在価値:1年目:250万円 ÷ (1 + 0.05)^1=238万円
2年目:270万円 ÷ (1 + 0.05)^2=245万円
3年目:290万円 ÷ (1 + 0.05)^3=250万円
最終売却価格の現在価値:5,000万円÷(1+0.05)^3=4,319万円
査定額の計算:238万円+245万円+250万円+4,319万円=5,052万円

以上より、査定額は5,052万円と計算されます。

不動産査定の流れ

不動産査定の流れ

不動産査定の流れは、以下の5ステップで進んでいきます。

  1. 査定を依頼する
  2. 訪問査定の日時を決める
  3. 訪問査定を実施する
  4. 必要書類を確認する
  5. 査定結果の報告

最初に大まかな流れを把握し、スムーズに査定を進めていきましょう。

【Step1】査定を依頼する

不動産査定の最初のステップは、査定を依頼することです。

これは、地元の不動産会社やオンラインの不動産査定サイトを利用することで、査定依頼が出せます。

査定依頼時に必要な情報
  • 物件の所在地(住所)
  • 築年数
  • 建物の種類
  • 建物の面積 など

また、近隣の環境や設備、リフォームの有無なども詳しく説明すると、より正確な査定結果が得られます。

依頼後、不動産会社からは訪問査定の日程調整等の連絡が入ります。

【Step2】訪問査定の日時を決める

次に、訪問査定の日時を決定します。

これは所有者と不動産会社の間で調整が行われます。

訪問査定では、不動産業者が物件を直接見て詳細な査定を行います。

この日時は、可能な限り物件を詳細に見てもらえるよう、日中や天候の良い日を選ぶとよいでしょう。

訪問査定の日時を決めたら、物件の清掃や整理を行い、不動産業者が詳細な査定を行える状態にしておきます。

【Step3】訪問査定を実施する

訪問査定の日になると、不動産業者が物件を訪問します。

ここでは、不動産業者が物件の内外を詳細にチェックし、状態を確認します。

査定で確認される部分
  • 建物の構造
  • 築年数
  • 建築材料の状態
  • リフォームの状況
  • 設備の状態

また、近隣環境や交通アクセス、周辺施設なども評価の対象となります。

これらの情報から不動産業者は物件の価値を評価します。

【Step4】必要書類を確認する

訪問査定後、不動産会社は必要書類の確認を行います。

これには、固定資産税評価証明書、登記簿謄本、地図、建築設計図、リフォーム履歴等があります。

これらの書類は物件の法的な状態や、具体的な物件情報を把握するために必要です。

書類に不備がある場合や、新たな情報が明らかになった場合は、査定額が変動します。

【Step5】査定結果の報告

不動産会社が物件の評価を完了すると、査定結果の報告が行われます。

これは通常、書面またはメールで送られ、物件の価値と、その理由が詳細に記載されています。

査定結果に納得がいかない場合は、評価について詳しく説明を求めることが可能です。

また、査定結果に基づき、物件の売却や賃貸を進めるか、改善点を元にリフォームを検討するなどの次のステップを考えることができます。

不動産査定時に評価されるポイント

不動産の査定を依頼すると、不動産会社の営業マンが実際に現地に赴いて査定を行うのが通常です。

自宅について査定を依頼する場合「査定される前に家を綺麗にしておかなきゃ!」「できるだけきれいな方が高く売れそうだからハウスクリーニングしたほうがいいの?」などと考える方は少なくないと思います。

ただ、ハウスクリーニングの有無で査定額が変動することは基本的にありませんので、せいぜい常識的な範囲で部屋を片づけて、綺麗にしておくだけでよいでしょう。

とはいえ、自分でチェックポイントを判別するのは困難です。

そこで、不動産を査定するときに業者がみているポイントを、ここから詳しく説明していきます。

築年数・間取・構造

築年数や間取りや構造は不動産の価値に直結する重要なチェックポイントです。

一戸建ての築年数と価値低下の関係一戸建ての築年数と価値低下の関係(出典 国土交通省資料]

特に築年数は、木造建築の場合は築22年前後まで急激に資産価値が低下し、そこからは緩やかな下降となります。

築年数はどうすることもできないですが、リフォームをした・定期的なメンテナンスを行っているなど住宅の価値に繋がる場合は具体的なリフォーム時期やリフォーム内容を伝えましょう。

構造は木造か鉄骨でできているかだけでなく、耐震構造や防火性能などもチェックされます。

また、その他に以下の点も見られます。

  • 部屋数がいくつあるか
  • 各部屋の広さ
  • 家事がしやすいか
  • 収納が充実しているか

なお、築年数・間取り・構造などは「登記簿謄本・全部事項証明書」「確認済証」「確認通知書」などで確認できます。

所持していない方は、お住まいの地域にある法務局で取得しておくとよいでしょう。

また、家を建てた際の契約書類や図面を保管しているのであれば、事前にコピーを手渡しておくと安心です。

日当たりや風通し

日当たりがいい・風通しがいいことは住宅の査定額に影響し得る大切なポイントです。

  • 方角が南向きである
  • 近くに高いマンションやビルなどがなく、日当たりがよい
  • 天窓があり風通しがよい

このように風通しがよい住宅は湿気がこもりにくく、カビが繁殖しにくい・建物が傷みにくいなどのメリットがあります。

また、窓が多い・吹き抜けがある・空気の流れを意識した間取りであるなど居住環境に影響する事柄も査定に影響する可能性があります。

国土交通省でも上記のポイントを不動産鑑定の評価項目に挙げています。

シロアリ被害などを受ける条件にもなるので、入念にチェックされるでしょう。

土地の形状

土地を売却する場合や、築古の建物付きの土地(敷地)を売却する場合、ほとんどの購入希望者は更地に新居を建てることを想定していると考えて良いでしょう。

この時、同じ面積の土地でも形状によって建てられる家屋が制限される可能性があります。

例えば、同じ100㎡の土地でも、縦×横の長さはそれぞれ異なります。

  • 土地A:10m×10m
  • 土地B:2.5m×40m

土地Bの場合、建築基準法により建築可能な建物は相当に制限されてしまう可能性が高いです。

こうした細長の土地の他にも、一部しか道路に接していない旗竿地や三角形の三角地など、特殊の形状の土地は査定額が下がる傾向にあります。

売れやすい土地と売れにくい土地の形状

周辺環境

不動産自体の評価の他にも、周辺環境の評価も査定に影響する可能性があります。

例えば、駅近の物件であるかどうかといった交通の利便性は不動産の評価額にそれなりに影響する可能性があります。

また、近くに公園や緑はないか、買い物はしやすいか、学校や病院が近くにあるかなどの住環境に関わる周辺状況も交通の利便性ほどではないにしろ、査定時に影響する可能性があります。

不動産の管理状況

不動産の管理状況は査定額に影響します。

  • 電気/水道が使えない
  • 排水管の不具合
  • 雨漏り
  • シロアリの有無

修繕したほうが良い場合は事前に行いましょう。

またリフォームを行っている不動産は加点評価されるケースもあるので、事前に不動産会社に伝えましょう。

耐震対策

建物の場合、耐震性が査定額に大きく影響する可能性があります。

特に1982年までに建てられた物件は旧耐震構造となっているので、震度7といった地震へのリスクが相対的に高いといえます。

このような事情は国土交通省でも問題視されており、建物の査定にマイナスに影響する可能性があります。

昭和56年以前に建築された建物は、建築基準法に定める耐震基準が強化される前の、いわゆる「旧耐震基準」によって建築され、耐震性が不十分なものが多く存在します。
そのため、まずは、耐震診断を実施し、自らの建物の耐震性を把握しましょう。そして、耐震診断の結果、耐震性が不十分であった場合は、耐震改修や建替えを検討しましょう。

引用:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」

なお、耐震性とは異なりますが、土地の場合も土壌汚染があったり、液状化のリスクが有るという特殊な事情がある場合、これが査定に大きく影響する可能性があります。

その他の安定生活を脅かす要素

周辺に住環境を悪化させる事情がある場合、これが査定にマイナスとなる可能性は否定できません。

後者のケースについては、事故情報を告知事項とするべきか否か判断に迷うこともあると思いますので、不動産会社には事前に相談したほうが良いと思います。

訪問査定で確認されるポイント

不動産査定の1方法である訪問査定では、他の査定方法よりも物件の状態を詳しく調査して正確な査定価格を算出してくれます。

評価額を算出するときは、「不動産査定時に評価されるポイント」にて取り上げた7つのポイントを中心に調べていきます。

しかし、この7つのポイント、評価額を算出するときの1要素にすぎません。

ここでは、訪問査定を依頼したときに評価される他の要素について解説します。

売却理由

売却理由は、物件価格や取引条件を設定する際の重要な要素です。

たとえば、急な転勤や生活環境の変化により急ぎで売却をしなければならない場合、それが価格交渉に影響を及ぼす可能性があります。

また、売却理由が物件自体の問題、例えば維持費が高すぎる、立地が不便などである場合、それが物件の魅力を減じ、価格を下げる要因となる可能性もあります。

加えて、転勤や離婚が原因での売却だと早期に成約をする必要があるため、売り出し価格を下げる必要性が出てきます。

【アンケート結果】不動産売却をした理由とは?

株式会社グローベルスが実際に不動産売却をした134名を対象に実施した独自アンケートによると「住み替え」「相続物件の処分」「使い道を失う」「ローン返済に悩む」という理由で売却する傾向が強いとわかりました。

より良い住まいに住み替えるため 40名(29.9%)
相続物件を処分するため 37名(27.6%)
物件の使い道が無くなったため 17名(12.7%)
ローンの返済が困難なため 12名(9.0%)
資金調達のため 10名(7.5%)
転勤のため 6名(4.5%)
離婚したため 4名(3.0%)
通勤・通学のため 4名(3.0%)
家族と同居するため 2名(1.5%)
結婚したため 2名(1.5%)
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物件の状態・状況・ローンの残債有無

物件の状態は、価格に大きく影響を与えます。

物件の構造、築年数、設備の状態などを査定者が詳細にチェックします。

また、現在進行中の修繕や改装の有無に加えて、ローンの残債がある場合、その分売却価格が上乗せされます。

売主と買主双方が納得のいく取引を行うために、これらの詳細な情報の開示は欠かせません。

物件周辺の立地・接道

物件の価値を評価する上で、立地条件は重要な要素です。

中でも、商業施設、学校、公共交通機関へのアクセス性、周囲の環境などは、物件の位置関係が生活の利便性に影響します。

接道義務

また、接道状況も重要で、道路への面積や道路からの出入りのしやすさなどは、物件の使いやすさや価値を左右します。

隣家との境界線

隣家との境界線は、不動産取引で問題になることがしばしあります。

境界線の位置が明確でない、あるいは境界線を越えて隣家との間でトラブルが発生している場合、それが物件価格にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

境界線の確認方法
  • 物件購入時に受け取った敷地境界線の図面を探す
  • 法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)や地積測量図を取得する
  • お住まいの市役所で道路との境界を確認する
  • 土地家屋調査士に測量を依頼する

査定者は、このような問題がないかをチェックし、境界線が明確に設定され、隣家との関係が良好であることを確認しています。

もし、登記上でも境界が曖昧な場合や、登記上の境界と現況が異なる場合は、土地家屋調査士などに測量を依頼する必要があります。

周辺環境の調査

周辺環境の調査は、物件の魅力や価値を評価する上で重要な要素です。

公園、学校、病院、商業施設などの周辺施設の存在や、近隣の騒音レベル、治安の良さなどが含まれます。

また、将来的な地域の開発計画も物件価格に影響を及ぼす可能性があるため、これらの情報を収集し評価することが重要です。

不動産査定にかかる時間

不動産査定は、査定方法や依頼する不動産会社によって異なります。

査定する不動産が大きければ1時間以上かかることもありますが、大体の査定は1時間以内で終了します。

訪問査定でない場合は依頼者が時間を調整して立ち会う必要がないので、査定してもらっている間別の用事をこなすこともできます。

訪問査定の場合、不動産会社が査定しやすいように依頼者が手の込んだ掃除をする必要はありません。

しかしスムーズに査定してもらえるように最低限の整理整頓は行っておきましょう。

ちなみに査定結果は、当日~1週間後に知ることができます。

最短で当日に価格を知ることができるので、急ぎの人は不動産会社と相談するのも一つの手段です。

訪問査定の現地調査は30分~1時間かかる

不動産会社が直接物件に訪問して査定する”訪問査定”は30分~1時間かかります。

査定を希望している不動産の大きさによって査定する時間が異なりますが、1時間以上かけて査定をすることはほとんどありません。

売却予定の物件が更地の場合は訪問せずに査定するケースもあります。

長時間査定してもらうことはありませんが、事前に清掃をしておくと不動産会社が査定しやすくなるので、不要な家具家電の整理や部屋の掃除はしておきましょう。

査定結果は届くまで当日~1週間かかる

訪問査定をしてから査定価格の結果が分かるのは、当日から1週間後です。

机上査定の場合、査定を依頼したタイミングが良ければ即日分かることもあります。

依頼した不動産会社によって査定結果が分かるまでの期間が異なるので机上査定は3日程かかると把握しておきましょう。

また訪問査定は、約1週間程度で査定結果がわかります。

傾向として、マンション査定は一戸建ての査定より早く分かります。

不動産査定に必要な費用

「不動産査定っていくらくらいかかるの?」と不安になる人もいますよね。

不動産査定はほとんどが無料で実施してくれるサービスです。

不動産会社側からすると不動産査定は営業の一部であり、不動産を売る時に仲介業務をすると不動産会社の利益になります。

しかし場合によっては不動産鑑定士に依頼して有料査定を行う場面もあります。

不動産鑑定士に有料で査定してもらうと、無料査定に比べて正確な査定価格を算出できるのがメリットです。

不動産鑑定士に依頼した場合、相場が15万円~30万円と高額なので状況によって使い分けましょう。

不動産査定を依頼する方法

無料の査定を頼む際の選択肢は主に3つです。

それぞれ特徴についてご紹介していきます。

大手不動産会社に査定を直接依頼

大手不動産会社は広い情報網と取引実績を持っていて、買う側も大手不動産に集まりやすいです。

広い情報網を持っていますが、地域に密着した査定ではありません。

大手不動産会社には無料のフォームを用意しているところもあるので、とりあえず価格のイメージを知りたい方におすすめです。

地域密着型不動産会社に査定を直接依頼

地域に密着した不動産会社は、問い合わせを前提に査定しています。

査定用のフォームが設定されていなかったり、問い合わせに時間がかかったりと手間はかかりますが、大手不動産が見逃しやすい地域ならではの人気を考慮して査定してくれる可能性もあります。

不動産一括査定サイトで依頼する

不動産一括査定サイトの仕組み

どの不動産会社に査定を依頼するか迷ったときは、1社ずつ回るのは説明する手間も時間も面倒ですよね。

WEB上の不動産一括査定サイトなら情報入力が1度で済み最も簡単に査定を行うことができます。

不動産一括査定サイトを使ってから不動産会社を選ぶまでの流れ

しかし全国にあるすべての不動産が対象なわけではないため、地方には対応していないケースもある点は注意が必要です。

査定額を比較するためには簡単で便利な方法なので、ぜひ利用しましょう。

不動産査定をネットで依頼する方法

不動産査定は自宅にいながらネットで依頼することもできます。

この時、査定の方法は大きく分けて2種類に分かれます。

それぞれの内容を解説します。

ネットを仲介して不動産会社に依頼する

いわゆる一括査定サイトと呼ばれるもので、ネットで査定を依頼できるサービスのほとんどがこのタイプになっています。

サイト自体が価格を算出するのではなく、サイトが仲介をして複数社への査定依頼を代行するという仕組みです。

複数社の価格を比較できるメリットがありますが、一方で情報が広く知れ渡ってしまうというデメリットがあります。

人口知能(AI)に自動で価格を算出してもらう

最近出てきたのが、HowMaおうちクラベルなど、搭載している人口知能が自動で査定額を算出してくれるタイプです。

不動産会社へ仲介の役割を担うのではなく、サイトで査定が完結するので情報が知れ渡ってしまう心配が少ないと思われます。

ただ、AIの情報処理能力は非常に優れている一方で、内装の傷・凹みや日当たり、騒音といった部分は評価しきれないので、まだまだ性能は限定的という声も多いです。

参考程度に査定額を知りたい方にはおすすめのツールです。

不動産査定前にしておくべき事前準備

不動産査定を実施する際は、現状のまま業者へ丸投げするのではなく、事前に準備をしておいたほうが売却成功につなげることができます。

不動産査定前に準備すべきポイントを説明するので、参考にしてください。

必要書類を準備する

不動産査定を依頼する際は、必要書類を提出するようになります。

本来であれば、1社目の査定に申し込む前から全ての書類を揃えておくことをおすすめします。

不動産査定を成功させようと思ったら複数社に査定を依頼する必要がありますが、徐々に書類を揃えていくと依頼の度に必要書類が増えていく(同一の条件で査定が依頼できない)ので、客観性をもって査定額を比較することができなくなってしまいます。

以下で必要書類と取得方法をまとめておくので、ダブルチェックの時間をとるためにも早めに取得しておきましょう。

必要書類 取得方法
登記事項証明書 役所から取得
間取り図・測量図 登記所から取得
固定資産税納税通知書 役所から取得
購入時の概要書 当時利用した不動産会社から取得
管理規約 管理会社から取得
メンテナンス証明書 役所から取得

周辺の売却相場を調べておく

不動産査定前に周辺の相場価格を調べておくと、不動産会社が提示する査定価格が妥当な価格か判断できます。

国土交通省が運営している「不動産情報ライブラリ」を活用すれば、過去の取引実績から土地や戸建て・マンションの売却価格を調べられるのでおすすめです。

不動産査定の相場を事前に調べる方法

不動産会社などに査定を依頼する前に、自分でも売却の相場を把握しておきたいという方もいるでしょう。

ユーザーが不動産会社を探す方法

株式会社グローベルスが1201名に独自に実施したアンケートによると、ユーザーの6割程度がインターネット検索で不動産会社を探しているという結果がわかりました。

第1位
インターネット検索
58.9%(707名)
第2位
その他のきっかけ
14.9%(179名)
第3位
店頭
12.7%(152名)
第4位
知り合い・家族の紹介
7.9%(95名)
第5位
新聞・雑誌
1.6%(19名)
ユーザーが不動産会社を探す方法
  • アンケート方法:インターネットによる無作為調査
  • アンケート実施日:2024年10月1日~10月8日
  • アンケート実施人数:1201人(男性:600人 女性:601人)
  • 回答者年齢:30代:213人、40代:438人、50代:511人、60代:39人

そこでよく使われているインターネット検索の参考として、ネットで不動産査定の相場を調べる方法を6つ紹介します。

不動産ポータルサイト エリアや築年数などで絞り込めば、おおよその売り出し価格がわかる
不動産情報ライブラリ 直近5年間の全国の不動産取引をチェックできる
レインズ・マーケット・インフォメーション マンションと戸建ての成約価格が検索できる
東京カンテイ 価格天気図 中古マンションを売りたい場合の参考になる
国土交通省の地価公示 価値の基準になる「地価公示」から相場観を把握できる
路線価図 道路と接している土地の価格から相場を逆算できる

不動産ポータルサイトを活用する

不動産ポータルサイト

SUUMOなどのポータルサイトには売り出し物件の情報が多数掲載されています。

エリアや築年数などで絞り込めば、だいたいの売り出し価格が分かります。

ただ、売り出し価格しか分からないので、最終的な売却価格(成約価格)と異なるケースもあります。十分注意しましょう。

不動産情報ライブラリを活用する

不動産情報ライブラリ

不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)は国土交通省が提供するデータベースで、直近5年間の全国の不動産取引をチェックすることができます。

成約価格を一覧で見られるのが魅力ですが、取引価格は業者のアンケートにゆだねているので、100%正確ではないことを把握しておきましょう。

レインズ・マーケット・インフォメーションを活用する

レインズ・マーケット・インフォメーション

レインズは正規の不動産会社しか利用できないデータベースですが、レインズ・マーケット・インフォメーションネットで無料利用することができます。

マンションと戸建ての成約価格が検索でき、価格の分布グラフで視覚的にチェックすることもできます。

このデータベースは公益法人不動産流通機構が運営しており、宅地建物取引業者から集約されたデータが掲載されています。

東京カンテイ 価格天気図を活用する

東京カンテイ 価格天気図

株式会社東京カンテイは全国のマンション市況を集積しています。

価格天気図はマンションの価格傾向を天気図に模して紹介しており、中古マンションを売りたい場合はかなり参考になります。

国土交通省の地価公示を活用する

国土交通省の地価公示

国土交通省は毎年、公示地価を発表しています。

取引価格と100%イコールではないですが、価値の基準になる価格なので相場観を知る際の参考になります。

路線価図を活用する

路線価図

路線価とは道路に付けられた価格のことであり、路線価図で道路と接している土地の価格を算出することができます。

路線価図を用いて算出された価格は相続税評価額と呼ばれ、実勢価格の8割程度に落ち着くので逆算する必要があります。

不動産会社の査定結果がバラバラな場合の考え方

不動産の一括査定を6社に依頼した場合、以下のようなイメージでばらばらの査定価格が共有されます。

不動産会社 査定結果
A社 3500万円
B社 3200万円
C社 3400万円
D社 3000万円
E社 3800万円
F社 4200万円

単純比較をすればF社と契約するのが最も良いように感じますが、必ずしも最高額で査定してくれた不動産会社と契約するのが正解ではありません。

ここからは、より上級者向けの不動産会社選びのコツを紹介します。

不動産査定の定義は統一されていない

以前、新興の不動産会社のインタビューで「ほとんどの不動産会社は平均的な価格で査定をしますが、うちは努力して売れる最高の金額で査定させていただきます」という内容のものがありました。

聞こえは良いですが、そのことを知らない利用者からすれば、勝手に査定額の定義を変えているので混乱する可能性が高いです。

不動産査定の一般的な考え方
ある不動産を、大きな外的要因がなく、予想したスケジュールで売却した場合の成約価格の見積もり額

不動産査定は上記の考え方でおこなわれることが多いですが、何も法律などで明文化されている訳ではありません。

前述の例でいえば、査定額が高いF社だけが「最高額=査定額」という考えで計算をしているかもしれません。

どんな考え方で査定をしているのか、しっかり確認しましょう。

他社平均より2割近く査定額が高い場合は注意

複数社の査定額を比較して、高値を付けてくれた業者と媒介契約をしたほうが良いのと思われるかもしれません。

ただ、高値といっても他と比べて常識の範囲内に収まっているところと契約したほうが良いです。

他と比べて2割前後も査定額が高い業者は、わざと査定額を吊り上げて契約を取ろうとしている可能性があります。

特に不動産一括査定は複数社の査定額を比較される前提のサービスです。査定額が飛びぬけて高いとユーザーの注目が集まり、契約率も高まることを不動産会社は知っているのです。

こうした業者と契約しても、販売活動中や売買契約時に金額を下げられる可能性は高いです。不動産会社が得る仲介手数料は成約価格が下がってもそこまで変化はないので、不動産会社にとってデメリットは少ないのです。

悪徳業者の探し方

悪徳業者を避けたいなら、過去に行政処分を受けたことがある業者を判別することが大切です。

国土交通省が公開している「ネガティブ情報等検索サイト」では、過去の行政処分履歴をチェックできます。

不動産会社の情報も掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

根拠のある価格で査定してくれる業者と契約する

結論から言えば、根拠のある適正価格で査定してくれる不動産会社と契約するのが最もおすすめです。

査定価格は、その会社が物件をどう評価しているのかの指標でもあるので、高くても低くても、適正なところからズレている業者は今後の販売活動に不安が残ります。

適正価格で査定した業者と契約しても、それとは別に売主の希望で売り出し価格を決めることはできます。査定価格より高値で売ることは可能なのです。

ただこれも、最初から物件を高値で売れると思い込む業者Aと、適正価格を知った上で高く売る戦略を立てる業者Bでは、後者と契約するほうが成功率は高いと言えます。

査定価格の高さも重要ですが、やはり最後は信頼できるかどうかで業者選びをすることをおすすめします。

不動産査定の注意点

注意点1】予想外の出来事で査定価格が下がる恐れがある

2021年1月に、大阪ミナミの路線価が史上初の減額補正を受けました。

これは、新型コロナウィルスの流行によって観光客が0になり、インバウンド事業が大打撃を被ったのが原因です。

このように、自身ではコントロールできない要因で査定額が下がるケースもあります。

居住区も、近くで殺人事件や自殺が起こったりすれば価格は下方修正されることがあります。

売りたい物件をいくら大切に管理していたとしても、査定の依頼時期によっては低値しかつかない可能性があります。

注意点2】査定額=売却額(成約価格)ではない

不動産査定で不動産の適正価格を知ることは重要であり、不動産を今売るべきか住宅ローンの完済は可能か、大枠の判断が可能になります。

また不動産を売り出す時は、売り主が売却価格を設定する際の指標になります。しかし、不動産の査定額が必ずしも売却額(成約価格)になるというわけでありません。

  1. 不動産会社によって査定がおこなわれる
  2. 売主が最終的に売り出し価格を決定する
  3. 買主と合意した成約価格を決定する

上記の通り、まず不動産会社によって査定がおこなわれ、その査定額に基づいて売主が売り出し価格を決定(承認)します。最終的には、売り出し価格を元に買主と交渉をおこない、双方が合意できる価格が成約価格(売却額)となります。

ただし、不動産売買はあくまで言い値に基づき、双方の合意で金額を決める取引なので、査定額が1,000万円の不動産を3,000万円で売り出すことも可能ですし、3,000万円の不動産に対して買主が50%減額の交渉をおこなうことも可能です。

公益財団法人 東日本不動産流通機構「季報マーケットウォッチ 2024年4~6月期」より抜粋公益財団法人 東日本不動産流通機構「季報マーケットウォッチ 2024年4~6月期」より抜粋

一般的には、売り出し価格を設定する際には売主のバイアスがかかりやすいので、成約価格は売り出し価格より下がることが多いです。

注意点3】売却を考えている時は各社の見極めも必要

訪問査定をしてもらう場合、不動産会社だけでなく担当者もチェックする必要があります。

独自アンケートによる担当者のチェックポイント

株式会社グローベルスが1201名に独自に実施したアンケートによると、不動産会社を利用したユーザーの多くは、担当者の次のポイントをチェックしているそうです。

第1位
しっかりしているかどうか
(まじめか)
34.1%(410名)
第2位
言葉遣い・対応の丁寧さ
30.2%(363名)
第3位
実績
25.4%(305名)
第4位
見た目の清潔感
5.8%(70%)
第5位
頭の回転の速さ
4.4%(53名)
担当者の見極めに関するアンケート
  • アンケート方法:インターネットによる無作為調査
  • アンケート実施日:2024年10月1日~10月8日
  • アンケート実施人数:1201人(男性:600人 女性:601人)
  • 回答者年齢:30代:213人、40代:438人、50代:511人、60代:39人

不動産会社の担当者は、不動産を売却する時も関わってきます。

買い手を探してくれたり、価格交渉をするのは担当者なので、査定してもらう担当者がどのような人物なのか見極める必要があります。

不動産査定は媒介契約を結ぶ前に担当者を見極めるチャンスです。

不動産査定に関する質問を柔軟に対応してくれるか、対応はスムーズに行われているか確認しましょう。

不動産査定のよくある質問

査定に出す時期や理由、不動産の状況もそれぞれ異なり、手続きを進めていく中で疑問は尽きないです。

ここからは、不動産査定をする方が抱きがちな、良くある質問を解決していきます。

不動産査定前にリフォーム・クリーニングは必要?

不動産の査定額は時間の経過によって下がっていくのが普通ですが、途中でリフォームをすることで価値の減少を緩やかにしたり、プラスに転じさせたりすることが可能です。

ただし、査定額を高めるためにリフォームをおこなうのはNGです。

なぜなら、1,000万円のリフォームによって査定額が1,000万円以上高くなるケースは基本的にないからです。

物件の査定額は築年数や面積、立地などによって決まる側面が大きいので、リフォームにお金をかけても評価額の増加が費用を上回ることはなく、損をしてしまいます。

ハウスクリーニングも見映えは良くなりますが、物件の中身が根本的に良くなっている訳ではないので査定額には影響しません。

中古住宅を購入する方は引き渡し後にフルリノベを希望していることも多いので、売主の趣味嗜好に合わせてリフォームをしてしまうと買主の需要から離れてしまうリスクがあります。

ただ、査定額に影響がなくても、実際に内覧に来た購入希望者はあまりにもボロボロな物件や散らかった物件は買おうと思いません。

内覧前に最低限の整理整頓や、壊れた部分の簡易リフォームはやっておきましょう。

不動産の査定額に納得いかない時はどうすればいい?

査定額がいくらになるか過度な期待はせず、相場が低くても、その中でも高値を付けてくれる不動産会社を探していきましょう。

まず、国税庁が公開している耐用年数表より、戸建て住宅は築20年を超えるタイミングで建物の価値がほぼ0になります。

実際は築20年前後でも問題なく暮らしている方は多いので、基本的に売主のイメージする価格よりも査定額は低くなります。

査定額に納得できなければ、売り出し価格を査定額以上に設定して売却することもできます。

ただ、購入希望者にとっては割高感を感じやすい価格になってしまうので、需要も考えてバランスを見ながら値下げ調整をすることも必要になります。

不動産会社が無料で査定するのはなぜ?

不動産会社が無料で査定をおこなうのは、顧客獲得のためというのが大きな理由です。

不動産会社は無料で物件を査定してくれますが、「無料なんておかしい。何か裏があるのでは?」と不安に思う方も多いです。

仲介売買は契約した売主・買主が成約した時に、代金の一部を仲介手数料として支払ってもらって初めて収益を得られます。

査定は契約の第一歩なので、出来るだけ査定依頼のハードルを下げるために無料にしている側面もあります。

査定後に契約に繋がらなかったとしても、顧客リストに登録をしておき、メルマガを配信して将来的な契約締結を目指すケースもあります。

ネットで不動産査定を依頼しても大丈夫?

今はネットから一括で査定依頼できる不動産一括査定サイトを利用する方が多いですが、これは査定額を比較してより高額で売ってくれる不動産会社を見つけられる、かなり有効なツールです。

不動産一括査定サイトは、個人情報や物件情報を入力して、複数の不動産会社へ送信するシステムになるので、その間に情報が漏洩するリスクを不安視する方も少なくないです。

不動産一括査定サイトといっても中身はピンキリなので一口に断定はできませんが、HOME4Uのような大手サイトならプライバシーマークの取得など、個人情報保護に力を入れているので安心です。

査定額が低くても高値で不動産を売却できる?

不動産査定はあくまで目安・予想であり、必ずしもその金額で売れるとは限りません。戦略次第で、査定額よりも高値で売ることは可能です。

不動産の査定額を気にして、過剰に下準備をしたり、査定額が低いことに落ち込んだりする方は多いです。

しかし、実際に不動産売却の仕組みを知っていると、不動産査定の結果を過剰に気にする必要はありません。

査定額に納得いかなければどうすれば良い?

査定額に納得がいかない理由によって、対応方法は異なります。

査定額に納得いかないのは、主に以下の2ケースです。

  • 査定額が思ったより安い
  • 査定額の根拠が不明

査定額が不服なら、無理に契約をする必要はありません。より高い金額を提示してくれる業者を探し、契約を結ぶようにしましょう。

査定額が不服な場合は交渉をおこなうこともできますが、条件を依頼者の有利なほうに覆すのは簡単なことではありません。

前提として、様々な業者を比較しなければどこが良いか分からないので、必ず複数社に見積もりを依頼しましょう。

不動産査定の方法を理解して売却をスムーズに行おう

正確な不動産の価格を知る為にも、複数の不動産業者に価格査定を依頼することは重要です。

各不動産会社の価格を比較して、どのくらいの価格で売却できるのか理解して一番信頼できる不動産会社に売却を依頼しましょう。

不動産一括査定サイトは様々な不動産会社から一括査定することが可能で、優良不動産会社を厳選しているので安心して不動産査定できます。

またネットで24時間いつでも無料で一括査定できるので、手軽に利用してみてください。

完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定