不動産査定書とは、不動産会社が依頼された査定物件・土地の物件調査や物件評価を実施した結果をまとめた書類となります。
不動産査定書に記載されている内容は大きく分けて、下記の3つになります。
- 査定を依頼した物件や土地の現況
- 査定に関わる各項目(アクセス・周辺環境など)の調査結果や評価
- 査定物件・土地の査定価格と、価格の算出フロー
不動産査定書は一般の方が見ることで自身の査定物件・土地の評価を知り、売却に役立てるといった目的に使われるものですが、初心者が確認する上で少し難しい部分もあるため注意が必要です。
今回は、不動産査定書の詳しい内容と見方について、分かりやすく解説していきます。
不動産査定書の内容
中古の不動産には定価がなく、不動産会社に査定を依頼して見積もりを出してもらう必要があります。査定書は、その細かい見積もり内容が記載されている書類となります。
査定書は不動産会社があくまで依頼者のために算出したものであり、公的な書類ではありません。役所での証明などには利用できないので注意しましょう。
また、査定書の内容やフォーマットは依頼した不動産会社によって異なります。これは査定の算出方法や、参考にする過去のデータが会社ごとに違うからです。
ここからは一般的な不動産査定書を例に、内容を詳しく説明していきます。
内容1】査定不動産の概要・特徴
不動産査定書は最初に、査定を依頼した不動産の概要や特徴が記載されます。
ここで記載される内容は、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている情報や、実際に不動産会社の担当者が現況を調査した内容が含まれます。
内容2】査定条件表
査定で見られる項目の状況と、各項目の評価を評点で表しています。
評点は標準を1.0として、評価に応じて変動する仕組みとなります。評価は一般的な不動産の内容や周辺エリアの平均を標準とした上で、基準よりも良いか、悪いかを評価しています。
査定で見られる項目は、不動産の設備やリフォーム状況などの他にも、下記のようなものが含まれます。
建物の場合 | 土地の場合 |
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内容3】査定結果
最後に、査定結果が記載されます。
最終的な査定価格は、例えば戸建て住宅の場合は、(土地の査定価格+建物の査定価格)×流動性比率で算出されます。
流動性比率とは、前述の評点を元に不動産の流動性(個別評価)を表したもので、100%(1.0)を基準に、85%~110%の範囲があります。
例えば、とある不動産の査定価格が2,000万円だった場合、評点によって1,700万円(0.85)~2,200万円(1.1)の範囲で価格が変化します。
また、査定価格の計算方法は、大きく分けて原価法・取引事例比較法・収益還元法(直接還元法・DCF法)の3種類(4種類)があります。
計算方法 | 方法の概要 | 大まかな計算式 |
---|---|---|
原価法 | 今、同じ条件で再建築した時にかかるコストを元に計算する | 査定額【原価法】=再調達原価(総面積×単価)÷耐用年数×残存年数(耐用年数-築年数) |
取引事例比較法 | 過去の取引事例を元に計算する | 査定額【取引事例比較法】 = 比較事例(過去の取引事例)の価格 × 価格調整率 |
収益還元法 | 不動産投資で得られる利益の見積もりを元に計算する |
|
不動産の査定価格は、上記の計算方法のいずれか(または、複数の計算方法の組み合わせ)によって算出されます。
また、最後に査定結果と合わせて、売り出し価格の提案が記載されていることもあります。売り出し価格の提案は、査定価格を受けて、実際に不動産をいくらで売り出すかのプランの提案になります。

売却プラン | 査定価格 | スタンダート | チャレンジ | スピード |
---|---|---|---|---|
売出提案価格 | 2,184万円 | 2,180万円~2,380万円 | 2,380万円~2,580万円 | 1,980万円~2,180万円 |
査定価格乖離率 | – | 99.8%~108.9% | 108.9%~118.1% | 90.6%~99.8% |
90日以内成約割合 | – | 81% | 72% | 88% |
上記は三井のリハウス(三井不動産リアルティ)が設定した、ある物件(査定価格2,184万円)の3つの売却プランになります。査定価格通りに売り出すプランから、査定価格より高値でじっくり売り出すプラン、査定価格より下げることで早期成約を目指すプランがあります。
不動産査定書の共有方法


不動産査定書は、かつては紙の書類が郵送で届くケースが多かったですが、近年ではWebでデータを共有してくれるケースも増えています。
郵送で会員ページのパスワードのみ共有して、パスワードを入れてログインするとWeb上で不動産査定書が見られるようになるというパターンもあります。
また、簡単な査定の依頼だと不動産査定書を最初は作成してくれないケースもありますが、この場合でもお願いをすれば作成してくれます。
不動産査定書が活用される主なケース
ケース1】売却予定の不動産の価格を把握したい場合
不動産査定書が最も多く活用されるのは、不動産を売却する前に市場価値を把握したいケースです。
不動産の価格は立地や築年数、面積、周辺の取引事例など多くの要素によって決まりますが、一般の売主がこれらを総合的に判断するのは困難です。
不動産会社による査定書では、これらの情報をもとに根拠を明示しながら査定価格が算出されており、売出価格の参考資料として有効です。
また、複数社から査定書を取得することで、価格の相場感をつかむこともできます。
ただし、不動産査定書はあくまで売却見込み価格の提示であり、最終的な成約価格は買主との交渉や市場の動向に左右される点にも注意が必要です。
ケース2】相続・離婚・財産分与などの評価資料として使用
相続時の遺産分割協議や離婚時の財産分与などの際、財産に不動産が含まれる場合は現在の価値を算出する必要があります。
本来、不動産会社が無料でおこなう査定には法的な証明力はありませんが、上記のようなケースでは、双方が合意している場合は無料不動産査定を基準にすることが可能です。
目的・状況 | 無料査定で代替可能 | 不動産鑑定が望ましい |
---|---|---|
自宅の売却予定がある | ◯ 不動産会社による売却査定で十分 | ✕物件価値を評価することは出来るが、市場性の考慮が足りない+売却時は必ず不動産会社の査定が必要 |
離婚による財産分与 | △ 夫婦間で合意できる場合は有効(係争がない場合) | ◯ トラブル回避・証明資料として必要な場合は必須 |
相続財産の分割協議 | △ 相続人全員が納得できる場合は有効(係争がない場合) | ◯ 金銭的公平性・遺産分割調停の証明が必要な場合は必須 |
相続税の申告・節税対策 | ✕ 代替不可 | ◯ 路線価と時価に差がある物件など |
親族・会社間の不動産売買 | ✕ 代替不可 | ◯ 税務署対策・適正価格の立証が必要 |
企業会計・財務報告 | ✕ 代替不可 | ◯ 金融商品会計基準に対応するため |
一方で、企業の財務報告などは、無料不動産査定で代替することはできません。
ケース3】不動産を担保に融資を受ける場合
不動産を担保に融資を受ける際にも、不動産査定書が参考資料として用いられることがあります。
特に事業用資金の借入や、リバースモーゲージ、既存ローンの借換えなどを検討する場面では、担保評価の妥当性を確認する目的で査定書が活用されます。
前述の通り不動産査定書に法的な証明力はありませんが、上記のような融資をする金融機関側も不動産査定書だけを基準に担保評価をおこなう訳ではなく、独自基準で評価する際の参考資料として利用します。
ただし、数千万円以上の高額融資や工場など特殊用途の不動産を担保にする場合など、特定のケースでは鑑定評価が必要な場合もあります。
不動産査定書の種類
不動産査定書は、専門家から不動産査定を受ける際に受け取る書類です。
不動産査定書には大きく分けて2種類あります。
- 不動産会社から貰う不動産査定書
- 不動産鑑定士から貰う不動産査定書(不動産鑑定評価書)
各不動産査定書の特徴が異なる為、状況によって依頼場所を変える必要があります。
不動産会社から貰う不動産査定書
基本的に不動産査定書といえば”不動産会社から貰う不動産査定”のことを指します。
不動産会社が売却予定の物件を査定し、結果が記載されているものが不動産査定書です。
不動産会社が用意する不動産査定書は無料で受け取ることが可能です。
査定を依頼されることは、不動産会社側からすると仲介のチャンスとなる為、営業の一貫で無料で行なってくれます。
不動産鑑定士から貰う不動産査定書(不動産鑑定評価書)
不動産鑑定士から貰う不動産査定書は、公的な効力を持っています。
不動産鑑定資格を持っている人が、公平に不動産を評価してくれる為、信頼性が高く裁判などで証明書として使用することもできます。
離婚の際に財産分与をする時や、親族間で不動産を売買する時などに有効的です。
一方で不動産鑑定士への査定は20万円ほどの費用が発生します。
不動産を売却する予定の人はまず、不動産会社から不動産査定書を貰いましょう。
不動産査定書と不動産鑑定評価書の違い
不動産査定書と不動産鑑定評価書は作成者が異なるという点以外にも、前述の通り役割や効果の違いがあります。
作成目的と利用範囲の違い
不動産査定書の主な目的は、市場価格の目安を提示することです。
不動産の売却を検討する個人や企業に対し、不動産会社が「この条件であれば〇〇万円程度で売れる」といった参考価格を伝えるために使われます。
一方で、不動産鑑定評価書はより厳密かつ法的根拠のある評価を目的としています。
裁判所への提出、税務申告、金融機関による担保評価、公共事業での用地取得など公式な手続きや第三者との利害関係がある場面で利用されます。
法的効力・公的証明性の有無
不動産査定書は不動産会社が独自の知見や取引事例に基づいて作成するものであり、法的な裏付けや第三者機関による認定はありません。
そのため、裁判や税務処理など公的な手続きの場面では証拠資料としての効力は基本的に認められていません。
一方で、不動産鑑定評価書は「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて作成される正式な評価書です。
そのため、裁判所、税務署、金融機関、自治体など公的機関に提出する書類として活用することができます。
ただし、前述の通り離婚時の財産分与や相続などの場面で、かつ係争が起こっていない場合は不動産査定書を基準にするケースもあります。
発行費用やおこなう調査の違い
不動産査定書と不動産鑑定評価書の違いは、発行にかかる費用と価格算定の精度にも表れます。
不動産査定書は不動産会社が営業活動の一環として無料で発行するケースがほとんどです。
短時間で作成可能なうえ、机上査定であれば現地調査を伴わない簡易なものも多くスピーディーに取得できます。
これに対し、不動産鑑定評価書は発行自体に数万円から数十万円の費用がかかります。
現地調査や複数の評価手法を用いた精緻な分析が行われ、作成にも一定の期間が必要です。
不動産査定書を依頼するために必要な書類
不動産会社や鑑定士に査定書の作成を依頼するとき、手元に物件に関する情報がまとめられた書類がなければ作成が難しいです。
ここでは、手元に置いて置くべき書類と手元にあることで査定の精度が飛躍的に上がる書類をそれぞれ紹介します。
なお、必要な書類は不動産会社によって一部異なる場合がありますので、依頼前にどのような書類が必要かを聞いておきましょう。
用意すべき書類
ここで用意する書類は、査定書の依頼を出す際に必ず必要な書類になります。
ものによっては、取り寄せに時間がかかる場合もあるので、他の書類よりも優先して取り揃えておく必要があります。
登記簿謄本
登記簿謄本は、不動産の所有者や抵当権者などの権利関係を明らかにする公的な書類です。
書類上には、物件の所在地や面積など基本的な情報も記載されているものもあります。
いずれも査定を行うときに必要な情報であり、不動産会社や査定士が物件の価値を正確に評価するのに使用します。
公図・所在地がわかる地図
公図や所在地がわかる地図は、物件が位置する地域の特徴や周囲の環境を理解するために必要です。
周囲の施設やアクセス、周辺環境は不動産価値に大きく影響します。
公図は物件の形状や周辺の道路状況も示してくれるため、土地の利用可能性を判断する上で重要な情報源です。
本人確認書類
本人確認書類は、その名の通り、物件の所有者が査定を依頼する本人であることを確認するために必要です。
本人確認が取れる書類として有的なものは、以下の書類です。
- 運転免許証
- パスポート
- 健康保険証
- 住民票
- 印鑑証明書
これにより、不正な取引を防ぐための安全対策になります。
地積測量図・境界確認書
地積測量図や境界確認書は、物件の正確な面積や境界を特定するための重要な書類です。
境界が明確になっているかどうかは、不動産取引においてトラブルを避けるために重要な要素となります。
固定資産税納税通知書
固定資産税納税通知書には、物件の評価額や固定資産税の額が記載されています。
これらの情報は、物件の価値を査定する一つの基準となります。
登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証または登記識別情報は、所有権を証明するための重要な書類です。不動産取引において所有権移転が円滑に行われるためには、これらの書類が不可欠です。
できれば用意したい書類
ここで紹介する書類は、先の書類とは違ってあった方が、査定の精度が上がって評価額が上がる可能性がある書類になります。
建築確認済証・建築設計図書・設計図書
建築確認済証や建築設計図書、設計図書は、建物の構造や設備、間取り等、物件の詳細な情報を提供します。
これらの情報は、物件の価値を詳細に査定するために重要であり、専門の査定士によって詳細な評価が可能となります。
マンションの管理組合規約・管理費や修繕積立金に関する書類
マンションの管理組合規約や管理費、修繕積立金に関する書類は、物件の維持管理状況やコストを理解するために必要です。
これらは長期的な価値保持や将来的な費用負担を考慮する際に重要な情報源となります。
売買契約書・重要事項説明書、間取り図
売買契約書や重要事項説明書、間取り図は、物件の詳細情報や過去の取引条件を提供します。
これらの情報は、物件の価値を正確に評価し、適切な査定額を算出するために有用です。
不動産査定書にかかる費用は無料
不動産会社に査定を依頼する際は、費用は無料となっています。
理由としては、販売活動にかかったコストなどは全て成約時に支払う仲介手数料によって補われるため、個別で発行費を払う必要はないのです。
また、前述の通り査定額はあくまで不動産会社の私見なので、公的な証明力を持ちません。その
ため、依頼者に費用を請求できないルールとなっているのです。
不動産鑑定書は高額の発行費用がかかる
不動産会社ではなく、不動産鑑定士という国家資格を持った人に査定を依頼することもできます。
鑑定価格は査定額とは違い、国に認められた価格なので、報告書の作成には15万~30万円の高額な費用がかかります。
鑑定書は査定書と違い証明力を持ちますが、不動産売却はあくまで市場価格で取引されるので、鑑定を依頼する必要はないでしょう。
不動産査定書の書式ひな形のダウンロード方法
不動産査定書のサンプルは、前述の不動産流通推進センターの公式サイトからダウンロードできます。
トップページの下部に「価格査定マニュアル」というカテゴリがあるので、こちらをクリックしましょう。
すると、ジャンプ先の【サンプル】というところに、不動産タイプ別のひな形と書式のガイドが載っています。
こちらは誰でも無料で利用できるので、一度チェックしてみると良いでしょう。
不動産査定書を売主が自分で準備する必要はない
ほとんどの不動産会社は、不動産流通推進センターのひな形を年3,240円(税込)支払って利用しています。
良く不動産屋の壁に掲げてあるハトのマーク(全国宅地建物取引業協会連合会)やウサギのマーク(全日本不動産協会)のところなら、この書式を使っているところが多いでしょう。
査定依頼者がダウンロードしなくても、向こうでダウンロード・記入をしてくれるので、安心しましょう。
不動産査定書をチェックする際のポイント
不動産を売却する際に、契約する不動産会社をどこにするか迷っている方は、不動産査定書の内容を比較した上で契約先を判断するのが一般的です。
ここからは、不動産査定書をチェックする上で、知っておきたいポイントを整理していきます。
ポイント1】査定価格の計算は客観的におこなわれているか
不動産査定書には不動産会社による査定結果が記載されていますが、これはあくまで客観的な評価に基づくものであることが正しく、各社の営業実績などは影響しません。
「高値査定いたします!」といったメッセージを出す不動産会社もいますが、客観的な査定評価であれば、状態が悪い不動産の査定価格は低くなり、状態が良い不動産の査定価格は高額になるのが当たり前です。
その上で、査定価格より高値の売り出し価格を設定して、成約に持っていくといった部分は各社の営業力が重要になりますが、査定価格に関しては客観的な数値である必要があります。
もし不動産査定書を読んで、客観的な算出をおこなっていないと感じたのであれば注意が必要です。
ポイント2】査定依頼者に読ませることを目的としているか
不動産査定書は前述の通り、不動産会社から依頼者に対して送られる報告書になります。
不動産に関する知識があまり無い方が読むことが多いですが、中には、非常に難しく読みづらい査定書も存在します。
査定書が読みにくいと、中身を理解することができず、結果的に依頼者側が損をしてしまう可能性も高まります。


上記は三井のリハウスのとある戸建住宅の査定結果(査定書)ですが、視覚的にも、各項目の説明も非常に読みやすくなっています。
地方の中小不動産会社の中には、手書きで非常に読みづらい査定書を送ってくるところもあるので注意が必要です。
ポイント3】中身が充実しているか
不動産査定書は上記の内容に加えて写真や独自の参考資料なども場合によっては含めて10ページ以上になることが多いです。
しかし中には1~5ページ程度の査定書を送ってくることもあります。それでも中身が充実していれば良いのですが、中には必要最低限の内容も記載されていないことがあります。
不動産査定書を読むだけで、査定のフローや査定結果に対して100%理解できるのが理想的です。
ポイント4】評点・流動性比率に納得できるか
不動産査定書を読む際に注意したいのが、評点や流動性比率など、査定価格の調整数値となる部分の妥当性です。
「自宅の眺めは良い方だと思っていたのに、マイナス評価だった」といったケースもあり得ます。
評点や流動性比率は不動産会社ごとに主観が入りやすい部分になるので、違和感がある場合は詳しく確認しましょう。
ポイント5】物件のマイナス要素が反映されているか
査定書をチェックする際は、物件のマイナス要素がきちんと考慮されているかどうかも確認が必要です。
不動産の価格は、騒音・日照・接道・用途制限・老朽化などのマイナス要因も重要な評価対象となります。
しかし一部の査定書では、売却を促す意図から相場よりも高めの価格を提示してネガティブな要素に十分触れないケースがあります。
たとえば、隣地との境界が曖昧である、建物に違法増築部分があるといった点が評価に反映されていなければ、後の売却活動でトラブルに発展するおそれもあります。
ポイント5】目的にあった仕様か
たとえば、相続や財産分与などで資産評価としての利用を想定しているのに簡易な売却前提の査定書が提出された場合、必要な情報が不足しており後の手続きで再作成を求められる可能性があります。
逆に、売却目的で依頼したにもかかわらず専門用語や複雑な構成の資料が提示されると、内容を正しく理解できないまま判断を迫られるおそれもあります。
査定書の形式や内容が目的に合致しているかを確認し、用途や提出先(家族・士業・金融機関など)に応じた文書となっているかを意識することが大切です。
不動産査定書は第三者に見せても問題ない?
不動産査定書は不動産見積もりの結果なので、所有者本人でなくても近親者や関係者名義で不動産会社に査定を依頼することは可能です。
書類の内容的にも、他者に不動産査定書を見られてしまうことでプライバシーが侵害されるということは基本的にはありません。
ただし、不動産査定書には査定物件の詳しい情報や権利関係なども記載される場合があるので、不特定多数に見られる状態は避けた方が良いでしょう。
保管時のセキュリティ対策(パスワード・クラウド保存)
不動産査定書をPDFなどの電子データで保管する場合、個人情報や資産情報が含まれるため、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。
特に複数人でデータを共有する場合や、クラウド上に保存する場合は、情報漏洩や不正アクセスのリスクに十分配慮する必要があります。
まず基本として、査定書のPDFファイルには閲覧用パスワードを設定し、関係者以外が開けないようにすることが大切です。
また、保存先としてはGoogleドライブやDropboxなどのクラウドストレージを利用する場合でも、アカウントに強固なパスワードや二段階認証を導入し、アクセス制限を設けることが重要です。
USBメモリやローカルPCに保存する場合は、物理的な紛失や故障への備えとしてバックアップを取り、できる限り暗号化された領域に保管する必要があります。
不動産査定書に関するよくある質問
不動産査定書に関するよくある質問について回答していきます。
不動産査定書とは?
不動産の査定には明確なルールがなく、査定を実施した不動産会社によって査定金額が大きく異なります。
不動産を担保にする際や税務署・裁判所に提出する公的効力を持つものは、不動産鑑定士が作成した不動産査定書です。
不動産会社が作成したものと不動産鑑定士が作成したものでは、効果が違います。
不動産査定はネットでできる!家や土地に対応の15種類のネット査定と査定後の流れ
不動産査定書の発行費用は?
対して、国家資格である不動産鑑定士が作成する不動産査定書には、15万~30万円ほどの費用がかかります。
家の売却目的であれば、不動産鑑定士に不動産査定書を作成してもらう必要はないので、作成してもらう目的によって不動産会社に依頼するか不動産鑑定士に依頼するかを判断するようにしましょう。
不動産一括査定サイトを使って複数社の査定書を比較しよう
複数社に査定を依頼して査定書を比較するには、不動産一括査定サイトを使うのがおすすめです。
60秒程度で 簡単な物件情報を記入・送信するだけで、6社以上の不動産会社に査定を依頼できます。
所在地を記入すれば査定に対応する業者が一覧で出てくるので、優良業者を見逃す確率が減るのが強みです。
数日後に査定書が届くので、見比べて契約先候補を絞り込んでいきましょう。
詳しい一括査定サイトの使い方はこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください。