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戸建て売却

家を売るときにかかる税金はいくら?計算方法・節税対策を紹介

家を売るときにかかる税金はいくら?計算方法・節税対策を紹介
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家を売ると、今までかからなかった税金が課されてしまいます。

課税額は一律決まっているのでなく、売却価格によって税金の種類や総コストが変わってきます。

ここからは、ケースごとに家を売る際にかかる税金を徹底解説していきます。

この記事の監修者
水野 崇
監修者
水野総合FP事務所 代表
水野 崇さん

宅地建物取引士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者。

相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活動する独立系ファイナンシャルプランナー。

全国1000名以上から日本FP協会に寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。
年300本の執筆・監修を手掛けながら、学校法人専門学校では非常勤講師として金融リテラシー講義を毎週行っている。

●大水野総合FP事務所のホームページ
(https://mizunotakashi.com/)

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家売却時の税金は「分離課税」

家売却にかかる税金は分離課税となります。

給与所得や事業所得などは、課税所得の計算においてすべての所得を合算する総合課税です。

一方、分離課税は売主自身が確定申告をおこなって、総合課税とは分離して税額を計算します。

不動産会社と契約を結べば税金に関するアドバイスをもらえますが、売却した翌年に納めるものもあるので、手続きはやはり自分でおこなわなければなりません。

個人事業主の方であれば、自分で申告・納税したことがあるでしょうが、会社員は戸惑う部分も多いです。

ここからは、初めて分離課税の確定申告をおこなう方にもわかりやすく、家を売るときにかかる税金について解説していきましょう。

家売却でかかる税金の種類

日本で家や土地を売却する際には、いくつかの税金や手数料が必ず発生します。

家を売却した時にかかる税金は、売却をした時に確実にかかるものと、特定の条件下でかかるものの2種類に分かれます。

家売却で必ず発生する税金
  • 印紙税
  • 消費税※仲介手数料に課される
特定の条件下で発生する税金
  • 登録免許税
  • 所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税

それぞれの税金の内容を簡単にまとめると、以下の通りになります。

税金の種類 内容
印紙税 売買契約書に貼り付ける収入印紙代
消費税 仲介手数料などに課される税金
登録免許税 不動産や抵当権の登記にかかる税金
所得税 家売却で利益が発生した時に上乗せされる
住民税 同上
復興特別所得税 同上

中でも、家を売却する際には印紙税と、関連する手数料にかかる消費税は、戸建て住宅やマンションなどの不動産を売買すれば必ず負担しなければならない税金です。

また、不動産を売却する際、ある特定の条件下でのみ発生する税金や手数料があります。

加えて、これらの税金は全ての取引に一律で発生するわけではなく、取引の内容や状況によって変わります。

税金について理解を深めておけば、不動産取引をスムーズに進められるでしょう。

ここからは、各税金の税率や納税の目的について解説していきます。

印紙税

印紙税は、印紙税法の課税物件表に掲げられている、商取引で使う20種類の文書に課税されます。

経済取引等に伴って作成された契約書などの文書が対象であり、不動産の売買契約書にも印紙税が課されます。

不動産売買契約書の印紙税額は、不動産の売却価格によって変動します。

契約金額 税額 軽減税率適用時の税額
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上・10万円以下 200円 200円
10万円以上・50万円以下 400円 200円
50万円以上・100万円以下 1000円 500円
100万円以上・500万円以下 2000円 1000円
500万円以上・1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円以上・5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円以上・1億円以下 60,000円 30,000円
1億円以上・5億円以下 100,000円 60,000円
5億円以上・10億円以下 200,000円 160,000円

参照:国税庁|印紙税額の一覧表より

印紙税の納付は、契約書を作成した後に、所定の収入印紙を購入し、契約書に印紙を貼付し消印しておこないます。

手数料等にかかる消費税

不動産の売却に関連する手数料には消費税が課されます。

以下は、居住用の家を売却した時に発生する手数料で消費税がかかるものです。

消費税が発生する手数料
  • 不動産会社へ支払う仲介手数料
  • 司法書士に支払う報酬
  • 融資手続きで支払う手数料

たとえば、不動産会社に仲介を依頼して家を売却する場合、その取引に伴う仲介手数料に消費税が加算されます。

消費税率は、現行の消費税率である10%が適用されます。

また、売却に関連する書類作成や登記などの手続きに伴う手数料にも消費税がかかる場合があります。

これらの手数料は、売却価格や取引の内容などによって変わります。

登録免許税

登録免許税は、不動産の売買において名義変更の登記を行う際や、金融機関が設定した抵当権を抹消するときに発生する税金です。

例えば、土地や建物の所有者が変わる場合、法的にその変更を公示するための手続きが必要となります。

この手続きにかかる費用が登録免許税です。

また住宅ローンを利用して家を購入した際、金融機関が設定した抵当権を抹消し、家を売却できる状態にするにも必要な税金です。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税の税額は、不動産一つあたり1,000円と定められており、一戸建ての場合は建物と土地をそれぞれ別の不動産として数えるので、計2,000円の登録免許税が発生します。

登記上の土地が複数筆に分かれている場合は、それ以上かかる場合もあります。

その他、家の売買をおこなった後に所有者が変わったことを申請する所有権移転登記にも登録免許税が発生します。

所有権移転登記の費用は、一般的には買主が負担します。

以下は、土地の所有権を移転した時にかかる登録免許税です。

移転内容 課税標準 税率 軽減税率
売買 不動産の価額※ 20/1,000 令和8年(2026年)3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15
相続、法人の合併または共有物の分割 不動産の価額※ 4/1,000
贈与・交換・収用・競売等 不動産の価額※ 20/1,000

参照:国税庁|登録免許税の税額表より

また以下は、建物に関する登録免許税です。

移転内容 課税標準 税率 軽減税率
所有権の保存 不動産の価額※ 4/1,000 個人が、住宅用家屋を新築または取得し自己の居住の用に供した場合は「住宅用家屋の軽減税率」に準ずる
売買または競売による所有権の移転 不動産の価額※ 20/1,000 同上
相続または法人の合併による所有権の移転 不動産の価額※ 4/1,000
贈与・交換・収用・競売等 不動産の価額※ 20/1,000

参照:国税庁|登録免許税の税額表より

※不動産の価額は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格に準じ、未登録の場合は登記官認定の価格が適用

住宅用家屋の登録免許税には、以下のような軽減税率が設けられています。

項目 内容 軽減税率 備考
住宅用家屋の所有権の保存登記
(措法72の2)
個人が、令和9年(2027年)3月31日までの間に住宅用家屋を新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合の保存登記 1.5/1,000 登記申請における家屋の所在する市町村等の証明書が必要。
なお、登記後の提出は認められない
住宅用家屋の所有権の移転登記
(措法73)
個人が、令和9年(2027年)3月31日までの間に住宅用家屋を売買・競売のいずれかで取得し、自己の居住の用に供した場合の移転登記 3/1,000 同上
特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等
(措法74)
個人が、令和9年(2027年)3月31日までの間に認定長期優良住宅で住宅用家屋に当たる新築または建築後使用されたことのない特定認定長期優良住宅の取得をし、自己の居住の用に供した場合の移転登記 1/1,000 同上
認定低炭素住宅の所有権の保存登記等
(措法74の2)
個人が、令和9年(2027年)3月31日までの間に低炭素建築物で住宅用家屋に該当するものを新築または建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をし、自己の居住の用に供した場合の保存または移転登記 1/1,000 同上
特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記
(措法74の3)
個人が、令和9年(2027年)3月31日までの間に、宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合の移転登記 1/1,000 同上
住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記
(措法75)
個人が、令和9年(2027年)3月31日までの間に住宅用家屋の新築・増築、または住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築または取得をするための資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記 1/1,000 同上

参照:国税庁|登録免許税の税額表より

譲渡所得税(所得税・住民税)

不動産を売却して得た利益にかかる税金が譲渡所得税です。

具体的には所得税と住民税の2つが該当します。

家を購入してから売却するまでの期間や売却価格と購入価格の差額などが税額の計算の基準となります。

税区分 不動産の所有期間 所得税※ 住民税
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9%
長期譲渡所得 5年超 15.315% 5%

※所得税に復興特別所得税2.1%を上乗せ

短期間での売却や大きな利益が出た場合、高額な税金が発生する可能性があります。

また、10年超所有した家の売却で一定の要件を満たす場合は軽減税率が適用され、以下の税率で譲渡所得税が計算されます。

税区分 不動産の所有期間 課税譲渡所得 所得税※ 住民税
長期譲渡所得 10年超 6,000万円以下 10.21% 4%
6,000万円以上 15.315% 5%

※所得税に復興特別所得税2.1%を上乗せ

所有期間は売却した年の1月1日時点で判定する

所有期間は、取得した日から売却した年の1月1日までとなるので注意しましょう。

例えば2019年2月1日に取得した家を2024年3月1日に売却すれば、そのままの計算では所有期間は5年1ヵ月ですが、実際は2019年2月1日~2024年1月1日と4年11か月しか経っていないので、短期譲渡所得の税率で計算されます。

復興特別所得税

2011年の東日本大震災を受けて、復興支援のための資金確保を目的として導入された税金が復興特別所得税です。

この税金は所得税の一部として徴収され、所得税の税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされる形になっています。

不動産の譲渡所得に対して所得税が発生する場合、この復興特別所得税も併せて考慮する必要があります。

譲渡所得税の計算方法

冒頭でも紹介したように、家を売却すれば、6種類の税金を納付することになります。

中でも、所得税・住民税・復興特別所得税は、譲渡所得税という形で税金を納めます。

譲渡所得税は、売却した翌年の確定申告で納付税額が決まります。

大きな金額の負担となり、納付時期は確定申告を提出した後になるため、事前に税額不足したという事態にもなりかねません。

そんな譲渡所得税は、以下の計算式で税額を算出できます。

譲渡所得税の計算式

譲渡所得税=税率×{売却価格-(取得費+譲渡費用) }

ここからは、譲渡所得税を求めるために必要な「売却価格」「取得費」「譲渡費用」の算出方法について解説します。

売却価格(譲渡価額)

売却価格(譲渡価額)は、戸建て住宅やマンション、土地等の資産を売却した時に得られた収入を指し、買主から受け取る固定資産税の精算金も売却価格譲渡価格に含まれます。

一般的な譲渡価額とは、市場の需給関係や商品の品質、その時点の経済状況など、多岐にわたる要因によって決まるものです。

不動産の場合であれば、立地や築年数、周辺環境などが売却価格に影響を与える要因となります。

最終的な売却価格は、売主と買主が双方合意に達した成約価格です。

取得費

取得費用は、家を取得する際に発生する費用の総額、つまり購入費を指します。

取得費には、不動産を購入した時にかかった費用のみならず、以下のような支出も含めて計算します。

取得費に計上できる費用一覧
  • 設計変更費用
  • 建築費や購入価格
  • 増改築リフォーム費用
  • 購入時の仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 免許登録税や登記手数料
  • 契約書の印紙代
  • ローン事務手数料
  • ローン保証事務手数料
  • 固定資産税・都市計画税の精算金
  • 抵当権設定の登録免許税や登記手数料
  • 建物に付属する設備費
  • 建築工事にかかった諸費用
  • ローン借入日~所有開始までにかかったローン金利
  • ローン借入日~所有開始までにかかったローン保証料
  • ローン借入日~所有開始までにかかった団体信用生命保険料

取得費を正確に把握し適切に計上することは、譲渡所得を抑えるためにとても重要な意味を持ちます。

また、それぞれの状況によっては取得費に含められるイレギュラーの費用も存在するので、不動産会社に相談をしながら整理する必要があります。

取得費の計算方法

取得費を求めるときは、不動産の購入価格から減価償却費を差し引くことで計上できます。

減価償却とは、建物の経年劣化を反映させるために使用する計算で、以下の計算式を用いることで算出できます。

減価償却費の求め方
減価償却費=建物の購入価格×0.9×償却率×経過年数※

※経過年数の6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は端数切り捨てで計算する

償却率は建物の構造などによって数値が異なります。

建物の構造など 法的耐用年数 法的耐用年数×1.5 償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47 70 0.015
れんが造・石造・ブロック造 38 57 0.018
金属造
※骨格材の肉厚が4mm超
34 51 0.020
金属造
※骨格材の肉厚が3mm超4mm以下
27 40 0.025
金属造
※骨格材の肉厚が3mm以下
19 28 0.036
木造・合成樹脂造 22 33 0.031
木骨モルタル造 20 30 0.034

取得費が不明な時は売却価格の5%(概算取得費)で計算する

相続で取得した古い家などは、購入当時の金額が分からず、取得費が算出できないケースも多々あります。

この時に用いられるのが、概算取得費(売却価格×5%)です。

例えば、親から相続して購入当時の契約書も見当たらない家の売却価格が1000万円の場合、取得費は50万円で計算されます。

特に多いのが、建物の建築費は自分で建てたので覚えているものの、土地は親から譲り受けたので当時の購入価格が不明といったケースです。

譲渡費用

譲渡費用は、土地や建物を売るときに発生した費用のことです。

譲渡費用にできる6つの費用
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 立ち退き料(※貸家の売却時)
  • 立て壊し費用
  • 違約金(他の買主との売買契約の解除時)
  • 借地権を売る際に支払った名義書換料

特に家を売却する際は、仲介を行なった不動産会社に支払う仲介手数料が最も大きな費用となるケースが多いです。

仲介手数料を計算

ここでは、売却価格3,000万円の場合に、仲介手数料がいくらかかるか確認してみましょう。

仲介手数料は不動産会社に仲介売却を依頼して成約した際、報酬として支払う費用のことで、売却価格に応じて以下のように決まっています。

取引額 仲介手数料(法定の上限額)
200万円以下 売却価格(税抜)×5%
200万円超400万円以下 売却価格(税抜)×4%+2万円
400万円超 売却価格(税抜)×3%+6万円

今回の売却価格は3,000万円なので、400万円超の式にあてはめて計算します。

3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜)

以上が仲介手数料になります。

相続をした家の譲渡所得税を計算する際の注意点

相続した家を売る際にも、一般的な家売却と同じ税金がかかります。

売却益が出た場合に譲渡所得税がかかるのも一緒ですが、自身が購入した家を売る際とは異なる部分もあります。

取得費は被相続人が家を取得した際の費用

まず取得費に関してですが、これは相続人が取得した時にかかった費用ではなく、被相続人親がその家を購入した時にかかった費用となります。

ただ、相続した家の取得費なんてわからないという方がほとんどだと思います。

この場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算します。

取得費加算の特例で課税額を減らすことができる

家を相続した際に相続税を納めていれば、特別に取得費に加算することもできます。

取得費加算の特例と呼ばれ、課税額を減らすことができます。

ちなみに、取得費に加算する相続税額は、以下の式で求めることができます。

取得費に加算する相続税額の計算式

取得費に加算する相続税額=譲渡した人の納付すべき相続税額×(譲渡資産の相続税の課税価格÷債務控除前のその人の相続税の課税価格)

所有期間は被相続人が取得した日から計算

相続した不動産の取得日は、相続の所有権移転登記を行なった日ではなく、被相続人の取得時点までさかのぼることができます。

所有期間の計算は、被相続人が取得した日からです。

所有期間が長いほど譲渡所得税の税率は低くなりますから、相続不動産にかかる譲渡所得税は、一般的な家よりも安くなる傾向にあります。

家売却で発生する譲渡所得税の早見表

家売却で発生する譲渡所得税の金額は、譲渡所得がいくらか分かれば、ある程度の目星をつけることができます。

まずは、長期譲渡所得で発生する税金をまとめました。

長期譲渡所得

譲渡所得 所得税額 住民税額 特別復興所得税額 合計税額
100万円 15万円 5万円 3,150円 20万3,150円
500万円 75万円 25万円 15,750円 101万5,750円
1000万円 150万円 50万円 31,500円 203万1,500円
5000万円 750万円 250万円 157,500円 1,015万7,500円
1億円 1500万円 500万円 315,000円 2031万5,000円

一方で、短期譲渡所得の場合の課税額は以下のようになります。

短期譲渡所得

譲渡所得 所得税額 住民税額 特別復興所得税額 合計税額
100万円 30万円 9万円 6,300円 39万6,300円
500万円 150万円 45万円 31,500円 198万1,500円
1000万円 300万円 90万円 63,000円 396万3,000円
5000万円 1,000万円 450万円 315,000円 1,981万5,000円
1億円 3,000万円 900万円 630,000円 3,963万円

譲渡所得税が発生した時の確定申告の流れ

家の売却で譲渡所得が発生したら、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに管轄の税務署に確定申告をおこないます。これは個人事業主だけでなく会社員の方も必要です。

家売却で税金が発生した時の確定申告の流れ
  1. 国税庁HPから書類をダウンロード
  2. 譲渡所得の内訳書を作成
  3. 申告書第一表の左半分を記入
  4. 申告書第二表を作成
  5. 申告書第三表に内訳書の記載を転記
  6. 第三表の右上に算出した税額を記入
  7. 申告書第一表の右側を記入して完成

この時に、まず所得税を納付します。

その後、同年の5月以降に住民税納付書が自宅に届くので、記載された金額を1年で4分割払いしていきます。

譲渡所得税に関する住民税の納付期限は、6月(第1期)、8月(第2期)、10月(第3期)、翌年1月(第4期)の末日となっています。

※末日が土日祝日の場合は、翌営業日が支払い期限となる。

分割払いが面倒なら、6月(第1期)に一括払いをすることもできます。

家売却時の税金計算の注意点

家売却時の税金計算の注意点

家の売却で利益が発生した時に注意したいのが、建物部分と土地(敷地)部分を分けて譲渡所得を計算する必要があることです。

「一緒に計算しても、分けて計算しても税額は一緒では?」と思うかもしれませんが、建物と土地ではそれぞれ譲渡所得税を計算する際の金額が異なります。

建物と土地では使える特別控除が違う

建物と土地では、譲渡所得税の算出時に適用を受けられる特別控除が異なります。

ただ、マイホームを売却する場合は、建物+土地のセットで利用できる控除が対象ですので、違いについてはそこまで気にする必要はないでしょう。

家を売却した時の特例・控除

家(建物+土地)を売って譲渡所得税が発生した時には、主に次の3つの特例・控除を利用できます。

  • 3000万円の特別控除
  • 軽減税率の特例
  • 買い換え(交換)の特例

特例や控除を使って譲渡所得を計算することで、譲渡所得税を非課税にすることもできます。

それぞれの控除の内容を見ていきましょう。

3000万円の特別控除

家を売る時に使える最も便利な特例控除が、3000万円の特別控除(マイホーム特例)です。

これは、今まで住んできた家(マイホーム)を売る時にのみ適用することができます。

別荘や投資物件は対象外ですので注意しましょう。

特例条件を整理すると、以下4つが挙げられます。

  • 長年住んでいた家を売るか、住まなくなってから3年経過するまでに引き渡すこと※
  • 親子・親族間の取引ではないこと
  • 引き渡し前の2年間で同じ特別控除を受けていないこと
  • 他の特例を受けていないこと

※この場合の3年は、3年を経過する年の12月31日までとなります。例えば、2020年1月1日に引っ越した空き家を2023年12月1日に売却したとしても、この特別控除を利用することができます。

また、共有名義の不動産については、名義人それぞれが3,000万特別控除の対象です。

 

相続物件に3,000万円特別控除を使う時の注意点

相続した家を売却する際も、3,000万円特別控除を利用することは可能です。

一人暮らしの親の空き家を相続して売却した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除できます。

相続空き家の特別控除を利用する際には、以下の条件に全てあてはまっていなければいけません。

  1. 1981年5月31日以前に建てられた家屋
  2. 区分所有登記がされていない
  3. 相続直前には親が一人暮らしをしてきた
  4. 相続時から譲渡時まで事業用、貸付用、居住用に供されていない
  5. 売却価格が1億円以下であること

老人ホーム等に入所していたことで居住しなくなった場合は、一定要件を満たしていれば被相続人が居住していたとみなされます。

相続空き家の特別控除の適用を受けるには、更に売却した翌年の確定申告で「被相続人居住用家屋等確認書」を合わせて提出する必要があります。

この書類は市区町村の役所で発行できるもので、親が一人暮らししていたことを証明するものです。

軽減税率の特例

譲渡所得が発生し、マイホームの所有期間が10年を超える場合は、譲渡所得税の計算で軽減税率が適用できます。

譲渡所得(円) 所得税の税率 住民税の税率
6,000万円以下 10.21% 4%
6,000万円超 15.315% 5%

軽減された税率はわずかにも感じますが、課税額が大きくなるほど税額低減効果が高くなります。

また、3,000万円特別控除の併用も可能です。

買い換え(交換)の特例

3,000万円の特別控除の要件に加え、以下の条件を満たしていれば、買い換え特例「居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を利用することができます。

  • 売却した年の1月1日における所有期間が10年超
  • 居住期間が10年以上
  • 売却価格が1億円以下
  • 買い換えた住宅が床面積50㎡以上・敷地面積500㎡以下
  • 買い換えがマンションなら築25年以内であること
  • 売却した年の前年1月1日~翌年12月31日の3年間で買い換えること
  • マイホーム売却に関する他の特例を受けていないこと
  • (売却した年・その前年に取得)売却した年の翌年12月31日までに居住
  • (売却した年の翌年に取得)取得した年の翌年12月31日までに居住

この特例では、購入価格が売却価格よりも高いと譲渡所得税が非課税になります。

一方で、売却価格が購入価格よりも高いケースでは、差額は譲渡所得税を計算する際の収入金額に加えられます。

つまり、買い換えたマイホームを将来売却したときまで、譲渡益の課税が繰り延べされる制度です。

家の売却損が出た場合は損益通算をおこなう

買い換え(交換)の特例は、売却益が出た時だけでなく、売却損の場合にも利用することができます。

売却損となった際の確定申告は必須ではありませんが、特例を利用して損益通算や繰越控除をおこなう場合には、必ず確定申告しましょう。

譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

家を売却する際、購入時よりも価格が下がってしまうと売却損(譲渡損失)が発生します。

家の売却損を給与所得や事業所得などの他の所得と損益通算できる特例が、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」です。

損益通算することで全体の課税所得を抑えられ、所得税額を減らせます。

1年分の所得で損益通算しきれない譲渡損失があれば、翌年以降の3年間にわたって他の所得と相殺(繰越控除)できます。

ただし、損益通算および繰越控除の対象となる金額は、住宅ローン残高から売却価格を差し引いた残額が上限となります。

売却した家の譲渡損失がそのまま損益通算されるわけではありませんので、注意しましょう。

家売却で発生する税金の注意点

家を売却する際には税金が発生しますが、次のような注意点があります。

  • 買い換え時の3,000万円特別控除と住宅ローン控除は併用できない
  • 税金の納付時期は一律ではない
  • 控除や特例の適用を受けるには確定申告が必要
  • 税金以外にも費用がかかる
  • 譲渡損失が発生した場合は税金の還付が受けられる

知らないことで不利になることもありますので、必ず確認しておきましょう。

以下にそれぞれの注意点を解説します。

買い換え時の3,000万円特別控除と住宅ローン控除は併用できない

家を売却し譲渡所得が発生した場合、3,000万円特別控除によって譲渡所得を抑えることができます。

しかし、住宅ローン控除とは併用できないので注意しましょう。

特に住み替えを検討している人は、家の売却と家の購入を同時に行うので、どちらの控除を利用するか選択することになります。

税金の納付時期は一律ではない

家を売却した際には税金の支払いが発生しますが、納付する時期は一律ではありません。

例えば印紙税は売買契約を結ぶタイミングで発生しますが、登録免許税は家の引き渡しのタイミングです。

譲渡所得税に関しては、売却した年の翌年の確定申告後に納税します。

売却後にまとまった支払いが発生する場合もありますので、それぞれのタイミングを確認して、忘れることのないようにしておきましょう。

控除や特例の適用を受けるには確定申告が必要

譲渡所得税に関する控除や特例を利用する場合、確定申告が必要です。

確定申告は、家を売却した年の翌年2月16日~3月15日までにおこないます。

家を売却した時期によっては確定申告までに期間があきますので、売却時の書類などは紛失しないよう保管しておきます。

確定申告が不慣れであれば、税務署に確認しながら申告書作成などの準備を進めていきましょう。

税金以外にも費用がかかる

家を売却する際には税金が発生しますが、税金以外にも費用が掛かります。

特に不動産会社への仲介手数料は売却価格の約3%かかり、不動産が高額であるほど負担も大きくなります。

家の売却でかかる費用を事前に確認しておけば、予想外の出費があっても対応しやすいでしょう。

譲渡損失が発生した場合は税金の還付が受けられる

家の売却価格によっては、購入価格と比べ売却損となるケースもあります。

その場合、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受けることで、税金が戻ってくる場合があります。

損益通算とは、ある所得で損失が出た場合に、他の黒字の所得から損失分を差し引くことで、所得税を減額することができる仕組みです。

家の売却で損益通算が使えるのは、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えており、次の要件にあてはまる場合です。

  • 売却相手が配偶者や親族ではないこと
  • 売却年の前々年までに他の特例を利用していないこと
  • 売却時に返済期間10年以上の住宅ローンが残っていること
  • その年の合計所得金額が3000万円以下であること など

その年の他の所得から差し引けなかった損失金額があれば、翌年以降に最長3年間繰り越すこともできます。

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