アパートの所有者は、長期的な資産活用として保持し続けるか、売却して現金化するかの選択を迫られます。
- 住宅ローンの残債
- 現在の収益状況
アパートを売る際には、通常、土地も含めた売却が一般的で、個人の戸建て住宅と比較して大きな取引になるケースが多く、適切な判断を下すためにも、売却に関わる知識を身につけることが重要です。
【アパート売却の前に知っておくべきこと】
- アパート売却の全体像
- 売却タイミング
- 売却価格に影響する要素
- アパート売却相場
- アパート売却にかかる費用
- アパートの所有期間
- 入居者の有無
- 住宅ローンの残債額
詳細は「アパート売却の前に知っておくべき8つの必須項目」にて解説しています。
今回は、本文では、アパート売却を検討している方向けに、判断基準、売却のコツ、プロセスについて詳しく説明します。
- アパートを損せず高く売るために!最初に考えたい3つのポイント
- アパートの売却方法
- アパート売却の流れ
- アパートを高く売るコツ
- アパート売却にかかる税金・費用・手数料と損しない節税方法
- アパート売却の前に知っておくべき8つの必須項目
- アパートを損せず高く売るために!最初に考えたい3つのポイント
- アパートの売却方法は大きく分けて2種類
- アパートの売却理由によっても高く売る方法は異なる
- アパート売却の流れ
- アパート売却の必要書類5選
- アパートを高く売るコツ23選
- ①全ての業者がアパートを扱ってはいない!アパート売却実績をチェック
- ②マンション・戸建ての売却を優先されてしまう可能性も…業者選びは慎重に!
- ③不動産一括査定サイトを活用する
- ④業者の広告は紙媒体(ポスティング・折り込み)が主体かネットが主体かチェックする
- ⑤不動産会社との契約方法は専任媒介契約が最も高く売れやすい
- ⑥立ち退いてもらえそうなら退去後に売却するほうが良い
- ⑦立ち退き不可能なら満室を目指す
- ⑧入居率だけでなく住人の質もアピールしよう
- ⑨将来的な需要の高まりも上手くアピールする
- ⑩想定利回りが高いアパートが高額で売れるとは限らないので注意!
- ⑪コストや収益などの”数字”をアピールしすぎるのはNG
- ⑫欠陥があっても飛びぬけた特徴があると高く売れやすい
- ⑬高く売れるタイミング(売り時)を見極めて売る
- ⑭水回りだけでもハウスクリーニングでキレイにしておく
- ⑮立地や周辺環境をとにかく積極的にアピール
- ⑯防犯カメラの設置などでセキュリティを強化する
- ⑰長期戦を見込んで時間的余裕を持っておく
- ⑱改修・改装を検討する
- ⑲エネルギー効率の向上
- ⑳専門家の意見を取り入れる
- ㉑駐車場の有無をアピールする
- ㉒法律に詳しい専門家に相談する
- ㉓周辺の開発計画をリサーチする
- アパートの賢い売却戦略とは?損せず高く売るための方程式・心構え
- 売却したいアパートの魅力・PRポイントは買主の気持ちになって考えよう
- アパート売却前に空室を減らしておくのは本当に効果がある?
- アパート売却時の設備はどう取り扱うのが正解?
- アパート売却にかかる税金・費用・手数料と損しない節税方法
- アパート売却で譲渡所得税が発生したら「特定事業用資産の買換え特例」を利用しよう
- アパート売却のよくある質問集
- アパート売却は様々な観点から慎重に行うこと
アパート売却の前に知っておくべき8つの必須項目
アパート売却を成功させるために、必ず抑えておきたい8つの項目があります。
初心者も上級者も、どんな目的の売主も絶対に知っておきたい8つの項目がこちらです。
- アパート売却の全体像
- 売却タイミング
- 売却価格に影響する要素
- アパート売却相場
- アパート売却にかかる費用
- アパートの所有期間
- 入居者の有無
- 住宅ローンの残債額
上記8項目は、アパート売却を進めていく前に確実にチェックしておきましょう。
必須項目➀アパート売却の全体像
アパート売却をおこなう上でまず知っておきたいのが、アパート売却はどんな手続きがあるのか、どのように進んでいくのか、どんなやり方があるのかといった基礎知識です。
仲介業者に聞きながら手続きを進めていくこともできますが、最初に全体像を理解しておくことで、アパート売却に取り組みやすくなります。
必須項目②売却タイミング
アパートを売却する際は、賃料収入と売却価格のバランスを見て、利益が最大になるタイミングを選択することが求められます。
その他にも、経済状況や周辺環境の変化によっても価格は大きく変わります。
ただ、アパートの売却価格を左右する最も重要な要素は築年数です。
アパートの多くは木造ですが、木造物件の法定耐用年数は22年と決まっています。
実際は築22年以上のアパートでも売買されていますが、値打ちが付く・多くの購入希望者が見込めるタイミングとしてはこれくらいのタイミングを考えておく必要があります。
必須項目③売却価格に影響する要素
アパートの売却価格に何が影響するのかも事前に知っておきましょう。
売却価格に影響する主な要素は、以下の3項目です。
- 入居率
- 契約内容等
- 立地条件
ただ、これ以外に以下の要素も売却価格に影響してきます。
- 事件・事故・悪評の有無
- 床の陥没や水回りの汚れ
- 日当たり
- 騒音の有無
逆に、査定時の部屋の散らかり具合などは価格に大きく影響はしません。
影響する要素・しない要素の整理を事前にしておきましょう。
必須項目④アパート売却相場
アパートの売却相場は、国交省が算出した基準地価や、周辺価格によってある程度決まっています。
都心のアパートと田舎のアパートなら、同じステータスの場合に田舎のアパートのほうが高く売れる見込みはほとんどありません。
事前に売却相場を知っておかなければ、見当違いの価格を目標に定めて追い求めてしまい、結局失敗してしまう恐れがあるので注意が必要です。
必須項目⑤アパート売却にかかる費用
アパート売却の際は税金・費用が発生しますが、このコストがいくらかかるのかも事前に知っておくことをおすすめします。
アパートを売却した時の利益は売却代金-諸費用の手残りなので、いくら引かれるか知っておかないと、目標価格に達することが出来ず、大事な固定資産まで手放さなければいけなくなってしまいます。
不動産会社に査定を依頼する際は、諸費用のシミュレーションまでしっかりおこないましょう。
必須項目⑥アパートの所有期間
アパートや戸建て住宅などの不動産を売却して得た金額には、譲渡所得税という税金が課せられます。
譲渡所得税は、売却した不動産の所有期間に応じて、税率が変動するので、売却前に所有期間の確認を行いましょう。
税率は、不動産の所有期間が売った年の1月1日現在から数えて、5年を超えているか否かで変わります。
「譲渡所得税」に関する詳しい解説は、「アパート売却にかかる税金・費用・手数料と損しない節税方法」にて解説しています。
必須項目⑦入居者の有無
所有するアパートを売却するとき、アパートをオーナーチェンジ物件として売却するか、全室空室にした状態で売却するかの2方法で売却ができます。
どちらの方法で売却を進めるかは、入居者の有無によって変わります。
例えば、アパートに入居者がいる場合、立ち退きが難しいなどの理由からオーナーチェンジ物件として売却する方法を選択する方が多いですが、専有部分の内覧ができないなどの理由から買い手が見つからないこともあります。
対して入居者がいない場合、投資用物件として売却するか居住用物件として売却するかによって、査定方法が変わってきます。
またこの方法で売りに出すには、入居者全員の完全退去が必須条件となります。
もし1人でも入居者がいる場合は、立退料の支払いを前提に交渉を行わなければなりません。
必須項目⑧住宅ローンの残債額
アパートの売却を含め、不動産売却を行う際は購入時に組んだ住宅ローンの残債額を確認しましょう。
不動産売却を行うときは、住宅ローンを完済して抵当権の抹消がなされていない限り、売却活動が行えません。
抵当権を抹消するには、ローンを完済するか、売却益がローン残債を上回っている状態で売却するかの2方法しかなく、仮に下回った状態でも自己資金で不足分を補填できるなら、売却が可能です。
しかし、住宅ローンの有無で、アパートの売却計画が大きく変わってきます。
後悔なく満足いく形で売却を進めていくためにも、ローンの残債確認を含め、他7つの事項も忘れずに確認してから売却活動に乗り出しましょう。
アパートを損せず高く売るために!最初に考えたい3つのポイント
アパート売却の基本的な事柄が分かったら、次はこちらの3点をじっくり考えておきたいです。
- アパートを何のために売るのか
- 現実的にいくらで売れそうか
- 得するために売るのか・損しないために売るのか
最初にアパートを何のために売るのか、どうやって売るのかしっかり考えておくと、売却中に考えがブレることがなくなります。
アパートを売っていくと、なかなか買い手が付かず値下げをするか一旦売却をストップするか悩むケースが多々あります。
こうしたピンチの時にも、最初に軸をしっかり作っておけば迷うことが少なくなります。
①アパートを何のために売るのか
詳しくは後述しますが、相続物件を処理したいのか、資産ポートフォリオを組み替えたいのかなど、売る理由・目的によって、いつまでにいくらで売るという目標が大きく変わってきます。
目標が変わればベストの売り方も変わってくるので、最初のうちに目標をしっかり立てておきましょう。
これがないと、もっと高額利益が必要だったのに業者に買取を依頼するというような、ちぐはぐな売り方をしてしまいます。
②現実的にいくらで売れそうか
都心の中古物件と、日本で最も相場の低い秋田県の物件を比較すると、成約価格が平均で6000万円近く変わります。
高く売るための具体的な施策はページ後半で解説しますが、それをやったところで秋田のアパートを都心並みの価格で売ることはほぼ不可能です。
地域の相場を調べた上で、現実的にいくらまで利益を伸ばせそうかを考えておかないと、競合と比べてかなり高値で売出してしまい、結局売れ残るという事態になり兼ねません。
③得するために売るのか・損しないために売るのか
あなたがアパートを売る目的は住み替え資金、事業資金を手に入れたいというところにあるのか、これ以上古いアパートを所有したくない、税金を払いたくないという処分に重きを置いているのかによっても、売り方は変わります。
利益目的でアパートを売る場合は、なるべく高値で売ることを念頭に置くべきでしょうが、処分目的なら利益は最低限でスピーディに売ることが優先されます。
「いらないアパートを処分したいけど、せっかく売るなら高く売りたい…」みたいな中途半端な考えだと、失敗してしまう可能性が高いので注意しましょう。
アパートの売却方法は大きく分けて2種類
アパートの売却方法は、大きく分けて以下の2種類があります。
- オーナーチェンジ
- 入居者を退去させた後に売る
それぞれメリット・デメリットが存在する上、状況によっては売り方が限られるケースも少なくありません。
事前にそれぞれの売却方法を理解しておき、状況に応じて適切な売り方を選択できるようにしておきましょう。
売却方法➀オーナーチェンジ
オーナーチェンジは、入居者との賃貸借関係はそのままに、オーナー権を売買する方法です。
アパートが完全な空き物件になったタイミングで売るケースはそこまで多くなく、既存の入居者を退去させるのは簡単なことではないので、実際はオーナーチェンジの方法で取引されるケースが多いです。
オーナーチェンジのメリット・デメリットはこちらです。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット |
|
デメリット |
|
オーナーチェンジで満室マンションのオーナー権を承継したら、引き渡し日から家賃の受取がすぐに可能なので、入居募集などのコストをかけず、楽に収益化することができます。
また、書籍やコンサル業者の相談だけでなく、実際に同一アパートを過去に運営した事例・データから戦略を決定することが出来るので安心です。
一方で、入居者のいる部屋は内覧で内装の確認が出来ないので、いざ部屋の状態を確認したら劣化が激しかった…という可能性も十分にあります。
また、オーナーチェンジではレントロールという不動産の賃貸借条件一覧表を参考にされるので、この表の見栄えを良くしておくことで、高く売れやすくなります。
ただ、最近ではレントロールの内容が実態と異なるケースも多々あります。高く売りたい気持ちはわかりますが、虚偽の内容は見つかれば結果的に大きな損失を被るので注意しましょう。
売却方法②入居者を退去させた後に売る
2つ目は、アパートの入居者を退去させた後に全て空室のアパートを売却する方法です。
入居者を立ち退きさせた上で売却をする場合は、以下のメリット・デメリットがあります。
項目 | 内容 |
---|---|
メリット |
|
デメリット |
|
人気エリアに建設された老朽アパートなどは、建物に魅力がなくても更地にすれば個人・法人を問わず多くの方に購入してもらえる可能性が高くなります。
一方で、アパートの住民の立ち退きには高額な立ち退き料の支払いが必要になる他、立ち退きを要求してもそれが認められる保証はないので注意が必要です。
アパートの売却理由によっても高く売る方法は異なる
アパートを売る理由・目的によっても高く売る方法は異なってきます。
ここからは、アパートを売る主な理由ごとに、高く売るにはどうすれば良いか紹介していきます。
相続アパートを高く売りたいなら分割相続人の協力が不可欠
個人がアパートを売る理由で多いものの一つが、「アパートを相続したが使い道がない」というものです。
親がアパートを持っている場合、子どもたちが1棟を分割相続するのが基本です。
分割相続したアパートを売る場合、満場一致で売ることに賛成していること、代表者(売主)の意向を周りも支持すること、必要な書類(身分証明書など)は、分割相続人全員が準備することなどが条件になります。
つまり、相続アパートを高く売りたいのなら、他の相続人の協力が不可欠なのです。
アパートなどの不動産は遺産の中でも高額なので、その扱いによっては遺産トラブルが容易に起こります。
あなたは売った方が良いと思っていても、その意見を無理強いすることなく、売却のメリットを冷静に伝えましょう。
→相続した不動産の査定はどうやる?3つの依頼方法と4つの計算方法を解説
アパート売却の流れ
アパートを売る流れは、以下の6ステップとなります。
ここからは、それぞれの手続きの内容を細かく見ていきます。
①情報収集・相場調査
アパートを売りたいなら、まずはネットの記事や書籍で売る流れや税金など、最低限の知識に触れておきましょう。これだけで、売却結果は大きく違ってきます。
不動産会社の従業員レベルの知識は必要ありませんが、基本的な知識があるだけで思わぬ税金・手数料に戸惑ったり、悪徳業者に引っかかったりする確率が減ります。
買主にとって新居購入は重要なイベントなので、売主に比べて知識量・熱量は高いことが多いです。
あなたにとっては「いらないアパートを処分するだけ」かも知れませんが、買い手の心情を考えると誠意を持つという意味でも知識習得はしていきたいですね。
ネットを使って売却相場を調べよう
自分のアパートがいくらで売れるか、最初に調べておきましょう。
住み替えを希望する方は、売却額の予測がつかないと新居を選ぶこともできません。売った後に「目標額に全然足りない!」と思っても後の祭り。無駄にアパートを手放してしまっただけです。
売却相場はネットから無料で、個人情報の公開もせず簡単に調べることができます。
②査定依頼
いくらで売れるか、ある程度予測が付いて納得できたら、次に不動産会社へ査定依頼をします。
この時、机上(簡易)査定と訪問査定という2種類の査定方法から選ぶようになります。
机上査定は、査定したい物件の情報と周辺地域に過去で起こった成約事例、最近の市況など複数のデータを鑑みて査定額を算出する方法です。
対して訪問査定は、実際に担当者が物件を訪問して内部をチェックし、より精度の高い査定額を算出する方法となります。
机上査定は時間のない方に、訪問査定は詳しい価格が知りたいおすすめと言われていますが、媒介契約前には必ず訪問査定をする必要があるので、どちらか一方を選ぶというわけではありません。訪問査定→媒介契約かの違いしかないのです。
査定を依頼された業者は依頼者と契約したがる
仲介売却では、業者は必ず査定から契約へと進むことになっています。
こっちはただ物件の価格が知りたいだけなのに、査定を依頼したら「うちと契約しませんか?」としつこく言われることも多いです。
こうした事態を防ぐには、「まだ検討段階で売却の意思はない」と申込時にはっきり伝えておく必要があります。
※あまりにしつこい営業に対しては厳正に処置を取る必要があります。
③媒介契約を結ぶ
査定額や対応に納得のいく業者が見つかれば、媒介契約を結びます。これは、不動産会社に販売活動を任せる代わりに、成約時には売上の一部を仲介手数料として業者に支払うという内容です。
前述の通り、契約方法は3種類あるので注意してえらびましょう。
④販売活動
不動産会社と契約を結ぶと、販売活動が始まります。
販売活動で行う作業は、主にこちらの4つです。
- 指定流通機構へ登録
- 宣伝・広告作成
- 広告活動
- 内覧準備・実施
売主は基本的に業者から販売活動の進捗報告を受ける形になりますが、内覧準備だけは素人でも出来るので積極的に協力していきましょう。
まずは、部屋の掃除・整理整頓から取り掛かりましょう。相手は初めてこの物件を訪問すると考えて、いつもは気付かないにおいも厳しくチェックしていきます。
水回りは汚れが目立ちやすいので、専門のクリーニング業者に依頼するのも一つの手です。
売主は内覧に同席するの?
必ずしも内覧に売主が同席する必要はありません。
売主が同席しているとゆっくり物件を見られないという方も多いので、むしろ席を外したほうが喜ばれる傾向にあります。
タイミングや担当者の意向によっても異なるので一概に言えませんが、同席する際は身だしなみ・言葉遣いにも気を付けるようにしましょう。
内覧前は空き家にしておくほうが良いの?
内覧前に家具を全て異動し、空にするほうが成功しやすいという声を聞きます。
ただ部屋を空にする際は仮住まいに引っ越す必要があるので、家賃と運搬費用が無駄にかかってしまい損です。
実際は、しっかり整理整頓されていれば空にしなくても問題ありません。大型家具・家電の配置を見て参考になったという方も多いので、無理に撤去する必要はないでしょう。
⑤売買契約を結ぶ
内覧をクリアしたら、次に売買契約を結びます。
売買契約では、主に作成した契約書の読み合わせをおこないます。契約書のフォーマットは原則自由ですが、こちらの13点はほぼ共通しているので、しっかり確認する必要があります。
番号 | 項目 | 内容 |
---|---|---|
① | 売買物件の表示 | 物件の面積や間取り、権利者などの詳細 |
② | 売買代金、手付金額、支払い日 | 売却代金の詳細(金額・ペナルティなど) |
③ | 所有権の移転・引き渡し日 | 物件の所有権はいつ移転されるかの明記 |
④ | 公租公課の精算 | 物件に関わるさまざまな費用を引き渡し日を基点に日払い計算した結果 |
⑤ | 反社会的勢力の排除 | - |
⑥ | ローン特約 | 売買契約から引き渡しまでに受ける住宅ローン審査が不通過だった場合、契約を白紙化できる特例 |
⑦ | 負担の消除 | 所有権移転までに抵当権などの担保権・賃借権などの用益権などの一切の負担消除を約束 |
⑧ | 付帯設備等の引き渡し | 付帯設備をそのまま物件に付けたまま引き渡すこと、故障等の有無を確認 |
⑨ | 手付解除 | 契約キャンセル時の手付金と解除の要件 |
⑩ | 引き渡し前の物件の滅失・毀損 | 引き渡し前に災害などが起きた場合どうするかの確認 |
⑪ | 契約違反による解除 | 契約内容を違反したときに解除になること、またその際のペナルティの確認 |
⑫ | 瑕疵担保責任 | 引き渡し後に欠陥が見つかった場合、何か月(年)以内なら売主に責任を求められるか |
⑬ | 特約事項 | その他、法的な順守義務のある項目(強行規定)以外に、売買者間で定めた独自の項目(任意規定) |
⑥引き渡し・決済
売買契約を結ぶと、そこから約1.5ヶ月待って決済・引き渡しをおこないます。
売買契約から期間がある理由は、買主の住宅ローン審査を待つ必要があるからです。もし審査が不通過になればローン特約で買主から無条件で契約解除ができます。
この間、売主は引き渡しに必要な書類・費用を準備しておきましょう。
【売主が準備する書類】
書類 | 内容 | 取り扱い |
---|---|---|
登記済証・登記識別情報 | 不動産の権利者・データが詳細に記載 | 司法書士へ提出・預ける |
実印 | 実印登録済みの印鑑 | 登記関係の書類に押印 |
印鑑証明証 | 実印登録を証明する書類 | 司法書士へ提出・預ける |
固定資産税納付書 | 不動産にかかる固定資産税が明記 | 税金精算のため、買主と確認 |
公共料金の領収証 | 自宅に届いた電気・ガス・水道料金などの明細 | 引き渡し日で日割り精算するため、買主と確認 |
その他 | 物件(特にマンション)のルール・利用方法が書かれたもの | 買主へ渡す |
引き渡しは、一般的に銀行の1室で営業日に行われます。
当日はまず、司法書士が不動産登記関連の書類を確認し、登記申請書に署名と押印をします。
その後融資を実行して残代金を支払い、諸費用の生産、引き渡し書類の署名、受け渡しをして終了です。
アパート売却の必要書類5選
アパート売却には5つの書類が必要になります。なるべく早めに集めておくとスムーズに売れますよ。
- 権利書
- 検査済証
- 固定資産税評価証明書・固定資産税納税通知書
- レントロール
- 平面図
ここからは、それぞれの書類の内容を説明していきます。
→不動産売却に必要な書類の種類・取得方法を紹介!売却依頼から決済・引き渡しに必要な書類を一覧で紹介
権利書(登記識別情報)
2006年以前に発行したものは登記済権利書、それ以降に発行した書類は登記識別情報をいいますが、一般的には権利書と呼ばれています。
権利書は媒介契約、売買契約の名義変更、住宅ローン審査など様々な局面で提出する重要な書類です。
権利書は建物と土地に1冊ずつあります。棟と敷地を売る際は2冊必要になるので注意しましょう。
権利証はアパート購入時に写しを貰っているはずなので、まずは自宅を探してみましょう。
見当たらない場合は、法務局に問い合わせれば再取得できます。
検査済証
検査済証は、売却前に物件調査を依頼し、その結果を報告してもらった書類です。
プロから安全な物件というお墨付きをもらったようなものなので、これがあるとスムーズに売却が進みます。
検査は大手不動産会社ならプランに組み込まれていることも多いですが、街の中小業者は検査をしてくれないこともあります。5~10万円で検査をしてくれる専門業者があるので、こちらに検査依頼するのをおすすめします。
固定資産税評価証明書・固定資産税納税通知書
不動産を所有していると、毎年固定資産税がかかります。この税金を納めた時に自宅に届くのが固定資産税納税通知書です。
アパートの正当な所有権を証明できるほか、査定の参考に使うこともできます。
固定資産税納税通知書は再発行することができないので、紛失した際は代わりに固定資産税評価通知書を使います。
固定資産税納税通知書は役所、出張所などの窓口で発行してもらえますが、アクセスが悪い方は以下のものを同封して送れば書類を入れて返送してくれます。
- 免許証・健康保険証などの写し
- 委任状(第三者が取得する場合)
- 返信用封筒
- 手数料(定額小為替で350~400円程度)
レントロール
レントロールとは賃借条件の一覧表を指します。
アパートを一棟買いする方は、物件の質を見極めるためにレントロールをよく利用します。
レントロールには、各部屋番号の賃料、教育費、預かり敷金、契約の年月日、居住者の属性などが記載されています。
レントロールで良く見られるのは、こちらの4つです。
- 賃料のバラつき:バラつきが大きいと直近の入居者の賃料をもとに利回りを計算し直せる
- 敷金の高さ:敷金が高い場合は値下げをすれば入居率を増やせる
- 入居者の属性:法人や女性は長期間住んでくれやすい
- 入居年月のバラつき:期間がバラバラなほうが急な利益減のリスクが少ない
レントロールに不利な情報が反映されそうな場合は、事前に改善をしていきましょう。
平面図
一棟ごと取引をする場合は、全ての階の平面図があったほうが良いです。
入居中の部屋は内覧ができないので、満室率が高いほど平面図は重要になってきます。
アパートを高く売るコツ23選
アパートの価格は、築年数や面積、駅までの距離など努力ではどうしようもない部分でほぼ決まってしまいます。
ただ、売主の努力によっても売却価格を上げることは可能です。
今回は、アパートを高く売るために抑えておきたい23のポイントを解説していきます!
①全ての業者がアパートを扱ってはいない!アパート売却実績をチェック
不動産業者が物件の売却を仲介したときに得られる報酬が、仲介手数料です。
仲介手数料は、物件がいくらで売れたかに応じて額が決まってくるので、労力と費用をかけても安くしか売れない物件は仲介を避けられがちです。
特にアパートはどんなに状態が良くても安くなってしまいがちなので、最初から対象外にしている業者も多いです。
また、たとえ仲介の対象であっても、同時に扱っている家やマンションを優先的に売り込むことも良くあります。
多くの不動産会社は、「昨年の売却件数10万件!」というように、物件の種類を一緒くたにして宣伝してきます。
しかし、内訳を見ればアパートの成約数は10件に満たないかも知れません。
ネットで調べる業者の評判も、件数の多い戸建て・マンションの売主が口コミ投稿していることが多いので、アパートを売る際はあてにならないことも多いです。
契約をする際は、必ずアパートの売却件数と平均成約価格を聞くようにしましょう。
同じ収益物件でもアパートと1Rマンションでは売り方が異なる
収益物件専門業者の中にも、アパートの売却実績が多いところとワンルームマンションの売却実績が多いところがあります。
アパートを売るのであれば、やはりアパートの売却実績がある業者に依頼するのが手です。
アパートとワンルームマンションでは、構造が異なります。
- アパート:木造・軽量鉄骨など
- ワンルームマンション:重量鉄骨・鉄筋コンクリートなど
中古のマンション・アパートが良く売り出されるのは築15~20年ですが、これはアパートからすればギリギリ売れるかどうかの年数である一方、マンションならまだまだ買い手が付く状態です。
同じ築年数でもアパートとマンションなら売り方が違うので、マンション売却が得意な業者に依頼しても、ちぐはぐな売り方をされる可能性があるので注意しましょう。
②マンション・戸建ての売却を優先されてしまう可能性も…業者選びは慎重に!
アパートが安くなりがちなのは仕方がありませんが、業者のモチベーションが低ければ売れるものも売れません。
そのため、まずは業者の見極めが肝心になります。
このときにおすすめなのが、媒介契約時に一般媒介契約という、複数契約できる方法をとることです。
この方法は、契約できる業者の数に制限がないにも関わらず、仲介手数料を取得できるのは成約にいたった一社のみなので、業者のモチベーションは低くなりがちです。
逆に言えば、一般媒介契約であっても、また、アパートであっても一生懸命売ってくれる業者は信用ができるということです。
最初から不利な状況なのを挽回するためには、こうした業者に依頼をすることが何よりも重要です!
→【2024年】大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較!信頼できるのはどこ?
駅前のベンチャー系不動産屋は後回しにされる可能性大
近年増えているのが、都市部の駅前など好立地に店舗を構える若い不動産屋です。
従業員が若いので同年代の利用者が多い、老舗に比べてネット集客に長けているという特徴がありますが、築古アパートの売却を依頼する時は注意が必要です。
まずこうした会社は、売上によって歩合が出る給与体系になっていることが多いです。
一人一人がとにかく売上(仲介手数料)にコミットしているので、売れそうにないアパートは後回しにされる可能性が高いです。
また、急成長中のベンチャー系は営業1人あたりが抱える案件がとにかく多く、相談がある時に連絡してもなかなか繋がらないです。
ネットや雑誌で特集されている不動産屋に惹かれがちですが、堅実な老舗業者を選ぶのも一つの手ですよ。
担当者の知見・人柄もしっかりチェック
評判の良い不動産屋でも、担当者によって根拠のないアドバイスをしてきたり、相談しても曖昧な回答しか返ってこなかったりします。
こうした癖は当然買主の前でも出るわけですから、売主が「あれ?」と思ったところは担当者の営業能力の欠点と言い換えることができます。
営業力の高い人は、とにかく発言に根拠があります。
査定額の根拠、売却方法の根拠、保証を付けるべき根拠などをどんどん聞いていきましょう。
専門用語を使わず、初心者にも分かりやすく回答してくれるなら、その人の営業スキルは相当なものと考えて良いでしょう。
担当者とはアパートが売れない時期も二人三脚でやっていかないといけませんから、素直な第一印象や人として信頼できるかも重要になります。
③不動産一括査定サイトを活用する
一括査定サイトの利用です。
これを使えば、カンタンな物件情報を入力するだけで複数社へカンタンに査定を依頼することができます。
前述の通り、アパートの仲介売却に対応する業者を探すのは面倒ですが、こちらのように、不動産タイプを「アパート」と指定すれば、対応業者を一発で絞り込むことができます。
複数社の査定額を比較することで、どこと契約すれば最高値で売れるかが瞬時にわかりますよ!
一括査定サイトの詳しい使い方はこちらにまとめてあるので、ぜひお読みください!
→【2024年8月】不動産一括査定サイトおすすめ比較ランキング!不動産売却におすすめの人気16社を厳選紹介
地元の中小と大手の査定額を比較しよう
地方には地域密着型で営業している街の不動産屋と、全国展開している大手不動産会社の支店があります。
これらはどちらが良いということではなく、それぞれメリット・デメリットがあります。
比較項目 | 大手 | 地元中小 |
---|---|---|
おすすめエリア | 都市部・住宅地 | 地方・郊外 |
おすすめエリア | 都市部・住宅地 | 地方・郊外 |
売却活動のコスト | 高い | 低い |
集客力 | 高い | 低い |
ネットを使った宣伝 | 不得意 | 得意 |
得意分野 | タイプに関わらず平均的 | 得意・不得意がはっきりしている |
地域の情報 | 持っていない | 独自情報を持っている |
担当者の対応 | 比較的ドライ | 親身になってくれる |
囲い込みの危険性 | 大 | 小 |
最新の市場動向 | 対応 | 未対応なことも多い |
検査・保証 | しっかりしている | 対応が不十分な場合もある |
保証サービスやネットによる大規模な宣伝は大手のほうが得意ですが、その地域の本当の魅力は地元の中小にしかわかりません。
また、上の表はあくまで傾向であり、特徴は1つ1つの会社で異なります。
一括査定サイトで複数社に査定依頼する場合は、必ず地元と大手を比較するようにしましょう。
→不動産売却を依頼するならどこがいい?大手・地元中小の良さや違い・売却実績が高い不動産会社を10社紹介
④業者の広告は紙媒体(ポスティング・折り込み)が主体かネットが主体かチェックする
不動産会社がおこなうアパートの宣伝方法としては、ネット上への広告掲載の他に店頭広告の掲載、新聞への折り込みチラシ、周辺地域へチラシのポスティングなどが挙げられます。
ただ、アパートのような収益物件は主に他県在住の投資家が購入するので、紙媒体の宣伝はあまり意味がありません。
アパートを高く売るなら、ネット広告の作成が得意で、SUUMOやアットホームなどのポータルサイトと提携している。あるいは自社運営のサイトが高い集客力を誇るような会社と契約すべきでしょう。
⑤不動産会社との契約方法は専任媒介契約が最も高く売れやすい
査定額を比較して業者を絞り込んだら、媒介契約を結びます。これは、不動産会社に販売を任せる代わりに、成約したら報酬として仲介手数料を支払うという契約です。
媒介契約には3種類の方法があり、それぞれ内容が異なります。
項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
有効期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
直接営業 | できない | できない | 複数社と契約可能(契約数の上限なし) |
経過報告※ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 | 1週間に1回、メールか文書で連絡 | 義務なし |
※報告頻度は法律で決まっている最低限の回数です。
一般的には、専任媒介契約が最もおすすめです。
一般媒介契約は複数社と契約できますが、仲介手数料を支払うのは成約が取れた1社にのみです。業者からすれば販売コストを回収できる保証がないので、売り方がどうしても消極的になってしまいます。
専任媒介契約は1社のみと契約するので、成約が取れれば仲介手数料が払われることが確定しています。そのため、業者のモチベーションも高くなりやすいのです。
専任専属媒介契約も1社と契約する方法ですが、こちらは制限がより強いため、契約を解除する際にやりにくいです。
万が一のことを考えると、やはり専任媒介契約がおすすめです。
※立地の良いアパートやデザイン性に優れているアパートなどは、一般媒介契約のほうが高く売れやすいこともあります。
⑥立ち退いてもらえそうなら退去後に売却するほうが良い
アパートは入居者がいても売れますが、空のほうが売却価格は高くなります。
もし、立ち退きのための正当事由があるなら、間違いなく退去してもらってから売るほうがお得です。
ただ、「売りたいから立ち退いてほしい」という理由では、住人は立ち退いてくれません。
立ち退き料で揉めに揉める可能性もあるので、無理に立ち退き勧告をするのだけはやめておきましょう。
⑦立ち退き不可能なら満室を目指す
アパートを高く売るなら入居者を立ち退かせたほうが良いのですが、それができないなら満室を目指したほうが良いです。そのほうが、高額の賃貸収益を期待できるからです。
売出し広告に現況満室と書いてあるのとないのでは成約率が異なります。
ただ、満室にするために家賃を下げるのはNGです。
家賃を下げるとその分だけアパートの価値が下がるので満室にする意味がありません。
そこでおすすめなのが、以下の3つの方法です。
- 内装を現状復旧する
- 敷金・礼金を値下げする
- 入居祝い金をはじめる
家賃は下げず、何とかして入居率を上げていきましょう。
⑧入居率だけでなく住人の質もアピールしよう
アパートを高く売るためには、入居率だけでなく住人が問題を起こさず、部屋の利用も丁寧で家賃の支払い遅れもないという質の高さも重要になります。
逆に住人にクレーマーや家賃滞納者が多かったりすると、入居率が高くても買い手が付かないことが多いです。
これまで一度も家賃滞納などがない場合は、それを積極的にアピールしていきましょう!
⑨将来的な需要の高まりも上手くアピールする
将来的に道路が開通したり、ショッピングモールが出来たりするのであれば、今後を見越して高く買ってくれる可能性があります。
ただ、将来的な市場拡大などは売主が言うよりも、専門家(不動産会社)に言ってもらうほうが効果は高いです。
今後の市場動向を業者と話し合い、上手にPRするようにしましょう。
⑩想定利回りが高いアパートが高額で売れるとは限らないので注意!
アパートは利回りを参考にして価格を付けます。
ただ、中古アパートは設備の劣化などにより想定利回りがあてにならないケースも多々あります。
実際、楽待などには高利回りでも1年以上売れ残っているアパートの広告が多く掲載されています。
こちらが利回りを提示しても、資産家は需要や地価、築年数などを参考に自分なりに厳しめの想定利回りを別に算出している可能性が高いです。
買主はあなたの予想より厳しい目でアパートを選んでくるので、あなたも気を引き締めて売っていく必要があります。
⑪コストや収益などの”数字”をアピールしすぎるのはNG
「このアパートはリフォームしたばかりなので、コストが○○万円安いです!」「今、入居率が80%なので今後だいたい△△万円の収益は見込めますかね」など、投資の数字の部分ばかりPRしてしまう売主もいますが、これはNGです。
なぜなら、それぞれの投資家はそれぞれの基準を持っているので、あなたの収益予測を言っても仕方ないのです。
また、あまり言いすぎるとこっちが知識をひけらかしていると思われる可能性もあります。
初心者なら売主が知識で言いくるめることもできるでしょうが、「だったら、そんな良い物件をなぜ売ったんだよ」とも思われかねません。
良いアパートかどうかの判断は買主に任せ、こっちは設備や共有部分、住みやすさなどの長所をアピールするに留めることをおすすめします。
⑫欠陥があっても飛びぬけた特徴があると高く売れやすい
部屋が広い、設備が良い、駅徒歩1分以内など、周辺のアパートと比較して明らかに優れているメリットが一つあれば、それを中心にPRをしていきましょう。
特に設備が優れていれば、交換費用もかかりませんし築年数の経過で入居率が落ちにくいので高く買ってもらいやすいです。
他のデメリットの印象を薄くする効果もあるので、上手く活用していきましょう!
⑬高く売れるタイミング(売り時)を見極めて売る
同じアパートでも、高く売れる時期に売るのと売れない時期に売るのでは大きな価格差が生じます。
売り時の見極めは非常に重要なので、細心の注意を払っていきましょう。
また、売り時には単純に高く売れる時期の他に、賃貸収益を最大化するための出口戦略としての売り時の2種類があります。
この2つのタイミングが重なった時期に売るのが理想的ですね。
売り時を見極めるポイントは、以下の11つが代表的です。
- 設定した投資期限を満たしているか
- ポートフォリオ割合を見直すタイミング
- まとまったお金が必要なタイミング
- 市況が悪化するタイミング
- 取引コストの増加(消費税増税など)
- 維持コストの増加(固定資産税増税など)
- アパートの満室状態が解消されそうなタイミング
- 地価が見直しされたタイミング
- 減価償却費期間が満了したタイミング
- 購入費用+見込収益よりも売ってしまったほうがお得なケース
- 2、3月の転居者が多いタイミング
⑭水回りだけでもハウスクリーニングでキレイにしておく
アパートを売る際は建物全体を点検して、徹底的に掃除するのが理想的ですが、全ての部屋となるとなかなかそうもいきません。
そのため、短い時間で効率よく清掃をすることが求められます。
特に力を入れたいのが、浴室やキッチンなどの水回りです。水垢が付くと第一印象が一気に悪くなるので注意しましょう。
自力で掃除するには限界があるので、専門のクリーニング業者に依頼するのも一つの手です。水回り全体のクリーニングを依頼しても、費用は7~8万円程度で済みます。
場所 | 料金相場 |
---|---|
浴室 | 10,000~20,000円 |
洗面所 | 6,000~10,000円 |
トイレ | 6,000~13,000円 |
キッチン | 10,000~24,000円 |
レンジフード | 10,000~20,000円 |
第一印象がアップすれば高値で売れるので、クリーニング費用は十分回収できます。
細かく出費を抑えるよりもアパートを高く売るほうがずっとお得なので、こうした出費を出し惜しみしないことも売却を成功させるためには大切です。
⑮立地や周辺環境をとにかく積極的にアピール
アパートを高く売る際にとにかく重要なのが立地です。
アクセスの良い駅から近ければ、何もしなくても高く売れる可能性があります。
ちなみに「アクセスが良い」の基準ですが、駅まで徒歩6分以内なら高評価、15分以内ならまあまあの評価、それ以上かかると評価されないです。
アクセスの悪いアパートは、それを逆手にとって住みやすさをアピールしましょう。
- 閑静で住みやすい
- 人通りが少ない
- 治安がいい
駅が遠いことを、このように言い換えれば良いアピールになりますよ。
⑯防犯カメラの設置などでセキュリティを強化する
アパートの住人は戸建てやマンションに比べて防犯に対する意識が低い傾向にあります。
ただ、防犯設備が整っていればアパートの価値が増すので、廊下に防犯カメラを設置するなどの施策をとりましょう。
100万~200万画素のものなら1台5000円前後で購入できるのでお得ですよ。
⑰長期戦を見込んで時間的余裕を持っておく
アパートを損せず高く売るということは、言い換えれば高く売り出したアパートに買い手が付くまで、いかに価格を下げず粘るかということでもあります。
相場以上の高値で売り出せば成約率は下がりますが、その分長期間粘って売り続ければいつか成約する可能性は出てきます。
逆に「3ヶ月後に転勤があるので、それまでに売りたい」というような場合、早く売るために値下げをするしかなくなります。
このように、売却の期間と売却価格には大きな関係性があるのです。
⑱改修・改装を検討する
アパートの価値を向上させる一つの方法として、改修や改装を行う方法があります。
例えば古い設備を最新のものに更新したり、流行の内装に変更することで購入者に対するアピールできます。
また必要な修繕を済ませることで、購入者が修繕費用を心配することなく心地よく入居できる状態を作り出すことができます。
ただし、改修・改装はコストがかかるため、予算と効果をしっかりと考慮する必要があります。
⑲エネルギー効率の向上
エコフレンドリーな設備やエネルギー効率の高い設備を導入することで、将来的な運用コストを削減できるポイントとなります。
例えば、LED照明や省エネ型エアコン、太陽光パネルなどを設置すると、電力消費を抑えることができます。
環境に優しいだけでなく、長期的に見て運用コストの削減につながるため、購入者にとっても大きな魅力となります。
⑳専門家の意見を取り入れる
不動産仲介業者だけでなく、建築家やインテリアデザイナーなどの専門家の意見も参考にすると良いです。
専門家に聞くことで、アパートの価値を最大限に引き出すための提案をしてくれる可能性が高いです。
第三者の視点からアパートを見ることで、自分では気づかなかった改善点やアピールポイントを発見することができます。
㉑駐車場の有無をアピールする
駐車場がある場合はアピールしましょう。
駐車場は都市部では非常に価値のある資源であり、アパートに駐車場が付随しているのは大きな魅力となります。
特に、駅から離れた場所や都心部では駐車場が必要な家庭が多いため、賃料アップの要素ともなります。
ただし、駐車場がない場合でも、近隣の駐車場情報を提供することで解決策を示すことも重要です。
㉒法律に詳しい専門家に相談する
不動産の売却には様々な法律や規則が関与します。
不動産取引に関する法律や税法、建築基準法など、多岐にわたる規制を理解することは難しいです。
そのため、法律に詳しい専門家に相談することで、適切な手続きを経て売却を進めることができます。
また、契約書の作成や確認も重要なタスクです。
適切な専門家の助けを借りることで、法的トラブルを防ぐことができます。
㉓周辺の開発計画をリサーチする
近くに新たな商業施設や公共施設の建設計画がある場合、その情報を売却の際にアピールすることで価値を高めることができます。
新しい商業施設や公共施設は、地域の利便性を向上させ、生活環境を良くする要素となります。
開発情報は市町村の開発計画や地元新聞などをチェックすることで入手することができます。
この情報を提供することで、購入者にとってのアパートの将来価値を見せることも可能です。
アパートの賢い売却戦略とは?損せず高く売るための方程式・心構え
アパートを損せず高く売るためには、どう売るか、誰をターゲットに売るかという戦略の部分も重要になってきます。
ここでは、どんな宣伝方法やターゲット設定をすると効果的なのかをじっくり解説していきます。
高く売るターゲットは初心者投資家や中小規模の法人
正直に言えば、立地も良くて築年数も浅いアパートなら何もしなくても高く売れます。
こうしたハイスペックではないアパートを高く売るには、言い方は悪いですが適正価格以上で買ってもらうしかありません。
でも、ベテランの投資家は適正価格以上で売っていることをすぐに見抜けます。何の変哲もないアパートを高く買ってくれるのは、主にこちらの2種類でしょう。
- はじめて不動産投資に挑戦する人
- 節税目的で物件を購入する一般法人
法人は資金力があるので、高値でも買ってくれます。ただ、そもそもの数が少ないので、やはり個人の投資家がメインターゲットになるでしょう。
投資初心者が集まるのは東京の不動産投資セミナー
投資初心者が最も多く集まるのは東京です。
投資をはじめるには資金力が必要なので、平均年収の高さを考えると当然でしょう。
また、右も左も分からない初心者は、不動産会社が主催する投資セミナーに集まってきます。業者はこれを見計らって出席者を会員サービスなどに登録させ、自社仲介の物件情報などをメールで告知します。
つまり、東京のセミナーを主催している、かつ会員サービスを提供している不動産会社と契約すれば、高く売れる可能性が高いということです。
投資する物件は家の近くにないといけない決まりはないので、東京の投資家は全国各地の物件を狙っています。つまり、地方のアパートを売る際も東京の不動産屋に相談したほうが高く売るほうが良いのです。
これは意外と見落としがちなポイントなので注意しましょう。
広告は楽待や健美家にも掲載する
居住用物件なら自社のホームページやSUUMO、ライフルホームズなどに広告掲載しておけば十分ですが、アパートを売る際は楽待や健美家といった収益物件専門サイトにも広告を掲載すべきでしょう。
広告の掲載自体は仲介業者が全ておこないます。アパートを売る際は間違いなく上記2サイトに広告を掲載してくれるでしょうが、自分でチェックして掲載されていなかったら、業者にお願いしましょう。
売却したいアパートの魅力・PRポイントは買主の気持ちになって考えよう
アパートを売る際は、そのアパートの良さはどこなのか、そもそも売れるのかといったところを整理しておくことが大切です。
売主が売却予定のアパートの魅力を業者に伝えれば、そこを魅力と感じた業者がPRに盛り込んでくれる可能性も高いです。
売りたいアパートの魅力は、自分が投資家(買主)の視点で物件を見つめ直すことで、客観的に分析することが可能になります。
なぜかというと、アパートの売買は、投資家から投資家へおこなわれるケースが非常に多いからです。
同じエリアに目を付けた投資家として、現在のアパートは購入に値するか、どこが魅力か、改善の余地はあるかなどをチェックしていくことをおすすめします。
アパート売却前に空室を減らしておくのは本当に効果がある?
空室の多いアパートは収益性が低いので、投資家は購入してくれにくいです。
そのため、アパートを高く売るために管理会社へお金を払い、入居率を改善する方法もあります。
入居者が増えればオーナーが得られる利益が増えるので、売れ行きへはダイレクトに影響します。
そういった意味で、アパートを売る前に入居者を募集するのは効果が高いです。
フリーレントや家賃を下げても効果はあるのか
単純にアパートの空室を減らそうと思ったら、家賃を下げてしまうのも一つの手です。
家賃を下げれば、入居してくれる人の数は当然増えていきます。その他には、フリーレントという方法もあります。
フリーレントは入居後1~3か月の家賃を無料にするという契約形態で、お得にマンションを借りることができます。
ただ、家賃を引き下げればその分だけ収益性は落ちるので、満室でも魅力のないアパートと思われてしまう可能性があります。
また、売却前に来た入居者だけフリーレントで契約したら、元々いた住民からクレームが来る可能性も高いので注意が必要です。
見かけではフリーレントなどを駆使して空室率を下げることができますが、腕のある投資家なら実情と違う点をすぐに見抜くので意味がありません。
それでもレントロールの内容に騙されて購入する方は多いですが、瑕疵担保責任から契約不適合責任に制度が変わってからは、契約時に嘘をつくと従来より強い権限で責任を追及される可能性があるので、気を付けたほうが良いでしょう。
アパート売却時の設備はどう取り扱うのが正解?
アパートの売却が成功するかどうかは、備え付け設備の状態も大きく関わってきます。
エアコンや水回りが故障していたり、旧型のものだったりすればアパートは売れにくいので、修繕や交換をするか考える必要があります。
設備の修繕がおこなわれないアパートは、購入後に費用が支払われるので初期投資が高くついてしまいます。
初期投資が高ければ高いほど購入されにくくなるので、売却前に修繕しておくのも一つの手です。
しかし、売却前に売主が設備費用の支払いに大きな負担を割いてしまった場合、売却して収益が得られたとしても手残りはわずかになってしまいます。
中古アパートは必ずしも万全の状態で売らなければいけない訳ではなく、買主も中古であることを前提に物件選びをしているので、欠陥を全て完璧に修繕しなければいけない訳ではありません。
どうしても手直しが必要な部分を簡易修繕で対応するのがおすすめです。
アパート設備の故障を請求されないようにしよう
瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わり、契約時に取り決めた内容と異なる点が発覚すると賠償等を受けるルールに変更されました。
建物の欠陥(傷・凹みなど)に関しては契約書に細かく記載があると思いますが、備え付け設備に関して取り決めをしていないケースも多いので注意が必要です。
設備の故障による責任を回避するためには、売買契約書に「設備の故障に関しての責任は一切負わない」という旨の免責事項を明記する必要があります。
アパート売却にかかる税金・費用・手数料と損しない節税方法
アパート売却にかかる費用は、以下の通りです。
- 仲介手数料
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 測量費用
- 抵当権抹消費用
- 立ち退き料
加えて、消費税やアパートをそのまま売却する場合は上乗せ分のAD、設備の修繕費用、更地にして売る場合は解体・更地化のコストがかかるようになります。
上で挙げた必須の費用・税金に加えて、状況に応じて適宜費用がかかるようになるので注意しましょう。
仲介手数料
アパートの売却を仲介業者に依頼する際は、仲介手数料がかかります。これは不動産会社がアパートを売ってくれたことに対する報酬のようなもので、売却価格に比例して以下の金額を業者へ支払います。
取引額 | 仲介手数料(上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
こちらに記載されている金額は法定の上限価格ですが、慣例でぴったりの金額を請求されることが多いので注意しましょう。
→不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法を解説
仲介手数料の値引きには3通りの方法がある
仲介手数料は根拠があいまいな割に高額な費用なので、なるべくなら支払いたくないですよね。
仲介手数料を値引きする方法は、以下3通りあります。
- 直接交渉をする
- 大手の割引特典を使う
- 季節ごとのキャンペーンを代用する
譲渡所得税
アパートの売却代金が取得費(購入費用など)よりも高ければ、譲渡所得税という税金が発生します。
譲渡所得税は、以下の計算式で求めることができます。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(※取得費+売却費用) }
取得費に関しては購入時の金額そのままではなく、築年数に応じて減価償却費が差し引かれるので注意しましょう。
更に、税率はアパートの所有期間に応じて、以下のように変化します。
所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|
5年以内 | 30% | 9% | 39% |
5年超 | 15% | 5% | 20% |
巷ではあえて5年以上所有して節税をする方もいるようですが、実際は5年未満で売ったほうが築年数が経過してないので利益は高まります。
譲渡所得税が発生したら確定申告を忘れずに!
譲渡所得税は、引き渡した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をして納付するようになります。
これをしないと延滞金がかかるので注意したいところですが、不動産の確定申告は初めての方にとっては極めて難しい作業になります。
こちらに詳しいやり方が載っているので、参考にしながら進めるようにしてください!
→不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】
印紙税
アパートを売る際、必須でかかるのが印紙税です。
これは国や自治体が公平な取引を認めてくれたことに対する謝礼の意味合いが強い税金で、成約価格に応じて以下の金額が課されます。
不動産売却代金 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
金額に応じた印紙を売買契約書に貼り付けて納付するようになりますが、取引によっては自分が保管する分の契約書(領収書)をコピーで済ませられるケースと、領収書にも印紙が必要、つまり上の表の2倍の額が課税されるケースがあります。
コピーで済まされるのは個人が居住目的でアパートを売買するケースです。
一方、賃貸経営しているアパートや法人・個人事業主がアパートを売却する場合は営利目的とみなされるため領収書に印紙貼り付けが必要になります。
この違いに注意しましょう。
測量費用
アパートの売却を含め、不動産の売却を行う際は、土地の境界線や面積などを計測して、結果を証明する「測量図」を提示する必要があります。
土地の測量を行うには、土地家屋調査士に依頼するしか方法がなく、測量の報酬費用は相場にして、約30~45万円前後といわれています。
あくまで約30~45万円前後というのは相場価格であり、実際は、土地の広さやスタッフの人数などによって、報酬費が前後します。
また測量を依頼してから、境界線が確定するまで約3~4ヶ月もの時間を要する場合もあるので、売却する運びになったら、早急に測量の依頼を出しましょう。
抵当権抹消費用
抵当権とは、住宅ローンの返済が困難になったとき債権者が担保とした不動産を持って弁済を受ける権利のことで、その権利は住宅ローンを組んだ金融機関が所有しています。
こと不動産の売買を行うとき、この抵当権を抹消しなければ売却が行えない仕様となっています。
抵当権を抹消するには、組んでいる住宅ローンを完済するか、売却益がローン残債額を上回っている状態で売却を行うかのいずれかをもって抹消できます。
抵当権の抹消にかかる費用は、不動産1件につき1,000円の出費が発生します。
例えば、戸建て住宅に設定された抵当権を抹消する場合、建物と土地それぞれで1,000円の抹消費用が必要になるので、2,000円の抹消費用を支払わなければなりません。
また抵当権抹消登記や住所変更登記などは、所有者自身で手続きが行えますが、司法書士に依頼した方がスムーズに進みます。
司法省氏に依頼すれば、依頼報酬費が発生しますが、1万円前後で引き受けてくれるので、痛手となる出費にはなりません。
立ち退き料
アパートを売却するとき、オーナー権の売買ではなく、物件そのものを売却する方向で話を進めていく場合、入居者がいないかの確認を済ませてから売却活動へと踏み切りましょう。
もし入居者がいる場合は、立ち退いてもらわなければ売却が行えません。
立ち退きを依頼する際は、一方的に話を進めるのではなく、相手の話を聞き入りながら話を進めていきましょう。
立ち退きの交渉が成立したら、オーナーは入居者に立ち退き料を用意しなければなりません。
立ち退き料の相場額は、家賃の6~10ヶ月分に相当する額を用意するか、新居への入居する際に必要な額分を用意します。
なお、立ち退き料は、入居者の数だけ用意しなければなりません。
アパート売却で譲渡所得税が発生したら「特定事業用資産の買換え特例」を利用しよう
どれだけ損をせず売ろうと思っていても、結果的に売却損になるケースは多いです。
いくら高く売れたとしても、売却益に対して譲渡所得税がかかってしまうからです。
高額の譲渡所得税が出た時、アパート(収益物件)にはアパート独自の「特定事業用資産の買換え特例制度」があり、直接、税金を差し引くことができます。
ただ、この特例の内容は売却代金が買換え費用よりも高いか低いかによって異なるので、注意が必要です。
ここからは、それぞれの内容の違いをみていきましょう。
①売却価格が買換え費用を下回る場合の特例内容
売却価格が買換え費用を下回る場合、つまりアパートを売ったお金+自己資金で新しい物件を購入した場合は、買換え特例の内容は以下のようになります。
- ①譲渡価格…売却代金×20%
- ②取得費・譲渡費用…(取得費+譲渡費用)×20%
- ③譲渡所得…①-②
- ④かかる税金…税率×譲渡所得
たとえば、以下のような物件を売却し、譲渡所得税が発生したとします。
譲渡価格(売却額) | 1000万円 |
---|---|
譲渡費用 | 100万円 |
取得価格 | 300万円 |
取得にかかった諸経費 | 100万円 |
所有期間 | 5年以下 |
買換え特例を利用しないと、譲渡所得税は以下の通りになります。
1,000万円 - ( 100万円 + 300万円 + 100万円 )= 課税譲渡所得 500万円 × 39% = 195万円
これを、買換え特例を使って減税していきます。
1,000万円×20% - ( 100万円 + 300万円 + 100万円 )×20%= 課税譲渡所得 100万円 × 39% = 39万円
買換え特例を使って、課税額を195万円-39万円=156万円減らすことができました。
②売却価格が買換え費用を上回る場合の特例内容
売却価格が買換え費用を上回る場合、つまり買換え費用を全て売却価格から捻出できる場合は、計算がより複雑になります。
- ①譲渡価格…(譲渡代金-買換え代金)+(買換え代金×20%)
- ②取得費・譲渡費用…(取得費+譲渡費用)×(①÷譲渡代金)
- ③譲渡所得…①-②
- ④かかる税金…税率×譲渡所得
上で例に挙げたアパートから、800万円の物件に買い換えたとして特例利用時の税金を計算していきましょう。
{ (1,000万円-800万円)+(800万円×20%)}- {( 100万円 + 300万円 + 100万円 )×(①÷1,000万円)}=360万円-(500万円×0.36)=課税譲渡所得 180万円 × 39%=70万2000円
上のケースほどではありませんが、それでも大幅に課税額を減らすことができました。
売りアパートと買い換えた物件の組み合わせ次第では特例が使えない
この特例を利用するためには、売った物件と買換えた物件がどちらも事業用でなければいけません。
その他にも、例えば所有期間が10年を超える事業用不動産を売ったら、面積300㎡以上の不動産に買い換えないと特例が利用できないという条件もあります。
これに関しては不動産会社よりも税務署・税理士の方が詳しいので、一度相談してみるとよいでしょう。
アパート売却のよくある質問集
ここまでアパートを売る方法を詳しく解説しましたが、それでも悩みは尽きないでしょう。
そこでここからは、アパートを売りたい方からよせられた疑問を紹介していきます。売却を検討中の方はぜひ参考にしてください!
今すぐ売りたいのに管理会社が契約解除に応じない…
アパートを売るので契約解除したいと申し出たところ、管理会社に「では満期までに入るはずだった賃料を支払ってください」など、滅茶苦茶なことを言われるケースもあるようです。
こうした要求をされたら、まず契約書を確認して、そんな条項があったかチェックしましょう。
それでも言うことを聞かないのであれば、自治体の住宅管理か宅建業関係の部署に相談しましょう。
相続したアパートに問題入居者が住み着いていても売れる?
相続したアパートに長年住んでいる入居者が、親との関係の良さを背景に増長しているということも良くあります。
新米大家ということで立場が逆転し、「先代の大家は毎週掃除してくれた」なんて嫌味を言われることもあり、ストレスが溜まります。
更に厄介なのが、こうした入居者は管理人と勝手な口約束を交わしており、書類で立ち退き要求などをしても応じないケースです。
一度管理方法を整理する必要があるので、管理会社に相談・依頼をしてみると良いでしょう。
地盤の弱いアパートでも売れる?
地盤の状態は、仲介売却時に「重要事項」として購入希望者にも見てもらいます。
もし地盤が弱くても、それに買主が納得すれば、売買は成立しますし、後に責任追及されることもありませんので安心してください。
過去に1室で自殺が…買主には告知すべき?
事件当時から住み替えや立て壊しをしていないなら、事情を買主に告知しないといけません。
構造に欠陥があるわけではないですが、自殺や殺人など、入居者の安定した生活を脅かすような情報は心理的瑕疵といって、告知をしないと損害賠償を要求されます。
自殺を隠した結果1億円以上の賠償を求める判決が出たこともあるので、十分注意しましょう。
借り換えではアパートローンと住宅ローンどちらがお得?
そもそもアパートローンは収益物件を購入するための商品で、住宅ローンは居住用物件を購入するための商品なので、その目的に違いがあります。
審査も、住宅ローンは主に申し込み者の属性をチェックするのに対し、アパートローンは物件の収益性も審査されます。
生活保護者を立ち退かせる場合は補助を自腹負担するの?
生活保護受給者の扱いに困っている人は多いですが、引っ越し費用は原則、自治体から支給されるので自腹負担は必要ありません。
受給者が基準を満たしていない場合も本人負担となるので売主の方は支払わなくても良いのですが、円滑に立ち退いてもらいたいなら役所の生活支援課に相談してみましょう。
アパートを売りたいのに居住者の1人と連絡が取れない…
人権の観点上、連絡が取れないから勝手に売ることはできません。
連絡が取れないならどうにかして見つけ出し、立ち退きに合意してもらうしかありません。
自力ではどうしても見つけられそうにないなら、探偵などに相談してみましょう。
「古いから売りたい」って理由だけでは立ち退かせられないの?
立ち退かせること自体は可能ですが、居住者に全く非がない理由なので、合意を得られるのは難しいと思います。
仮に合意を得られたとしても、立ち退き料は自腹負担で、かつ高額になると考えられます。
それでも売ったほうが良いのか、再度シミュレーションすることをおすすめします。
コスト0で円満に立ち退いてもらう裏ワザを教えて!
前提として、立ち退きというのは貸主の都合でしかないということを覚えておきましょう。
人によっては「立ち退き料はいらない」と言うかもしれませんが、お詫びと誠意の印でいくらか支払うのが一般的です。
こちらが唐突に立ち退き要求をすれば、大抵の人は怒ります。それでもなるべく穏便に済ませたいなら、立ち退き料を支払うのと、引っ越し先を探してあげて、そこの仲介業者とも話し合っておくのがおすすめです。
アパート売却は様々な観点から慎重に行うこと
ここまで、所有するアパートを売却する前に知っておきたいことや、アパートの売却方法など、後悔せず円満な形でアパートの売却を行うための基礎知識を解説してきました。
このままアパート経営を継続するか、それとも売却してしまうかについては、返済中のローンの残高や、月々の家賃収益、アパートの所有期間など、様々な要素を吟味して判断しましょう。
仮に、所有し続けるよりも売却してしまう方が得策という結論に至ったら、フパートの売買に特化した不動産会社に相談し、専門家のアドバイスを参考にして行動に移してみましょう。
また売却を行う際は、現在の資産価値と相場価格を把握するため、複数の動産会社に査定の依頼を送りましょう。
資産価値と相場価格が明らかになれば、具体的な売買計画や経営計画が立てられます。