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マンション売却

アパートを損せず売るには?売却のタイミングやかかる税金・注意点を解説

損せずアパートを売るには?
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アパートの所有者は、長期的な資産活用として保持し続けるか、売却して現金化するかの選択を迫られます。

保持するか・売却するかを判断する基準点
  • 住宅ローンの残債
  • 現在の収益状況

アパートを売る際には、通常、土地も含めた売却が一般的で、個人の戸建て住宅と比較して大きな取引になるケースが多く、適切な判断を下すためにも、売却に関わる知識を身につけることが重要です。

【アパート売却の前に知っておくべきこと】
  • アパート売却の全体像
  • 売却タイミング
  • 売却価格に影響する要素
  • アパート売却相場
  • アパート売却にかかる費用
  • アパートの所有期間
  • 入居者の有無
  • 住宅ローンの残債額

詳細は「アパート売却の前に知っておくべき8つの必須項目」にて解説しています。

この記事を読むことで分かること
  • アパートを損せず高く売るために考えたいポイント
  • アパートの売却方法
  • アパート売却の流れ
  • アパートを高く売るコツ
  • アパート売却にかかる税金・費用・手数料と損しない節税方法
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Contents

アパート売却のポイント

アパート売却を成功させるために、必ず抑えておきたい8つの項目があります。

初心者も上級者も、どんな目的の売主も絶対に知っておきたい8つの項目がこちらです。

知っておきたい8つの項目
  • アパート売却の全体像
  • 売却タイミング
  • 売却価格に影響する要素
  • アパート売却相場
  • アパート売却にかかる費用
  • アパートの所有期間
  • 入居者の有無
  • 住宅ローンの残債額

上記8項目は、アパート売却を進めていく前に確実にチェックしておきましょう。

ポイント1】アパート売却の全体像を知る

アパート売却をおこなう上でまず知っておきたいのが、アパート売却はどんな手続きがあるのか、どのように進んでいくのか、どんなやり方があるのかといった基礎知識です。

アパート売却の流れ【全9ステップ】
  1. 流れ1】売却活動の準備
  2. 流れ2】不動産一括査定サイトで複数社を比較
  3. 流れ3】媒介契約の締結
  4. 流れ4】売却活動・内覧準備
  5. 流れ5】内覧対応
  6. 流れ6】買付(購入申込書)を受け取る
  7. 流れ7】売買契約の締結
  8. 流れ8】引き渡し・決済
  9. 流れ9】確定申告

仲介業者に聞きながら手続きを進めていくこともできますが、最初に全体像を理解しておくことで、アパート売却に取り組みやすくなります。

ポイント2】アパート売却に最適なタイミングを知る

アパートを売却する際は、賃料収入と売却価格のバランスを見て、利益が最大になるタイミングを選択することが求められます。

その他にも、経済状況や周辺環境の変化によっても価格は大きく変わります。

ただ、アパートの売却価格を左右する最も重要な要素は築年数です。

アパートの多くは木造ですが、木造物件の法定耐用年数は22年と決まっています。

実際は築22年以上のアパートでも売買されていますが、値打ちが付く・多くの購入希望者が見込めるタイミングとしてはこれくらいのタイミングを考えておく必要があります。

ポイント3】売却価格に影響する要素を知る

アパートの売却価格に何が影響するのかも事前に知っておきましょう。

売却価格に影響する主な要素は、以下の3項目です。

  1. 入居率
  2. 契約内容等
  3. 立地条件

ただ、これ以外に以下の要素も売却価格に影響してきます。

  • 事件・事故・悪評の有無
  • 床の陥没や水回りの汚れ
  • 日当たり
  • 騒音の有無

逆に、査定時の部屋の散らかり具合などは価格に大きく影響はしません。

影響する要素・しない要素の整理を事前にしておきましょう。

ポイント4】アパートの売却相場を事前に調べておく

アパートの売却相場は、国交省が算出した基準地価や、周辺価格によってある程度決まっています。

都心のアパートと田舎のアパートなら、同じステータスの場合に田舎のアパートのほうが高く売れる見込みはほとんどありません。

事前に売却相場を知っておかなければ、見当違いの価格を目標に定めて追い求めてしまい、結局失敗してしまう恐れがあるので注意が必要です。

ポイント5】入居者の状況を踏まえて売却方法・条件を決める

所有するアパートを売却するとき、アパートをオーナーチェンジ物件として売却するか、全室空室にした状態で売却するかの2方法で売却ができます。

どちらの方法で売却を進めるかは、入居者の有無によって変わります。

例えば、アパートに入居者がいる場合、立ち退きが難しいなどの理由からオーナーチェンジ物件として売却する方法を選択する方が多いです。

また、入居者との賃貸契約の状況や入居者の属性・動向などによっても売り方は変わります。

ポイント6】住宅ローンの残債額を確認する

アパートの売却を含め、不動産売却を行う際は購入時に組んだ住宅ローンの残債額を確認しましょう。

不動産売却を行うときは、住宅ローンを完済して抵当権の抹消がなされていない限り、売却活動が行えません。

抵当権を抹消するには、ローンを完済するか、売却益がローン残債を上回っている状態で売却するかしかなく、仮に下回った状態でも自己資金で不足分を補填できるなら、売却が可能です。

しかし、住宅ローンの有無で、アパートの売却計画が大きく変わってきます。

後悔なく満足いく形で売却を進めていくためにも、ローンの残債確認を含め、他7つの事項も忘れずに確認してから売却活動に乗り出しましょう。

アパートの売却方法

アパートの売却方法は、大きく分けて以下の2種類があります。

  • オーナーチェンジ
  • 入居者を退去させた後に売る

それぞれメリット・デメリットが存在する上、状況によっては売り方が限られるケースも少なくありません。

事前にそれぞれの売却方法を理解しておき、状況に応じて適切な売り方を選択できるようにしておきましょう。

売却方法1】オーナーチェンジ

オーナーチェンジ

オーナーチェンジは、入居者との賃貸借関係はそのままに、オーナー権を売買する方法です。

アパートが完全な空き物件になったタイミングで売るケースはそこまで多くなく、既存の入居者を退去させるのは簡単なことではないので、実際はオーナーチェンジの方法で取引されるケースが多いです。

オーナーチェンジのメリット・デメリットはこちらです。

項目 内容
メリット
  • 入居募集の時間・手間がない
  • 物件運用のデータ・前例が豊富
  • 低コストで運用開始できる
デメリット
  • 部屋の状態が分からない
  • 悪質入居者がいる
  • 前任者の管理が悪い

オーナーチェンジで満室マンションのオーナー権を承継したら、引き渡し日から家賃の受取がすぐに可能なので、入居募集などのコストをかけず、楽に収益化することができます。

また、書籍やコンサル業者の相談だけでなく、実際に同一アパートを過去に運営した事例・データから戦略を決定することが出来るので安心です。

一方で、入居者のいる部屋は内覧で内装の確認が出来ないので、いざ部屋の状態を確認したら劣化が激しかった…という可能性も十分にあります。

また、オーナーチェンジではレントロールという不動産の賃貸借条件一覧表を参考にされるので、この表の見栄えを良くしておくことで、高く売れやすくなります。

アパート査定で重要なレントロール

ただ、最近ではレントロールの内容が実態と異なるケースも多々あります。高く売りたい気持ちはわかりますが、虚偽の内容は見つかれば結果的に大きな損失を被るので注意しましょう。

売却方法2】入居者を退去させた後に売る

空きアパートを売却

2つ目は、アパートの入居者を退去させた後に全て空室のアパートを売却する方法です。

入居者を立ち退きさせた上で売却をする場合は、以下のメリット・デメリットがあります。

項目 内容
メリット
  • 迷惑な住民を排除できる
  • 取引後の建物解体が簡単にできる
  • 幅広い方に売却することができる
デメリット
  • 立ち退き料がかかる
  • 入居トラブルの可能性
  • 立ち退きできない可能性

人気エリアに建設された老朽アパートなどは、建物に魅力がなくても更地にすれば個人・法人を問わず多くの方に購入してもらえる可能性が高くなります。

一方で、アパートの住民の立ち退きには高額な立ち退き料の支払いが必要になる他、立ち退きを要求してもそれが認められる保証はないので注意が必要です。

アパート売却の最適なタイミング

タイミング1】アパートが満室の時期

アパートが満室の時期に売却をすると、新しいオーナーは賃料収入を最大化できるので、大きなメリットはあります。

利益率は各物件の利回りに表示されていますが、実際にその利回りを実現できるかどうかは別の話です。

また、周辺エリアの分析などをいくら行っても、実際に満室であることの説得力は大きいものがあります。

満室であるかどうかは売れ行きに大きく影響するため、売却前に入居者募集を大々的に実施するオーナーも多くいます。

タイミング2】利回りと築年数のバランスが良い時期

利回りは、物件の価値が低く、得られる利益が大きいほど高くなります。

そのため、例えば築年数の古いアパートの賃料が高い場合、高利回り物件となります。

ただ、このような状況は入居者にとっては損なので入居率は下がりがちですし、売り出し時期には入居者がいたとしても、築年数が古いなら退去者の増加や入居者の減少は時間の問題と思われる可能性は高いです。

利回りがそこまで高い訳でなくても、築年数が浅ければ買い手がつく可能性はあります。売るタイミングを見極めるには、両者のバランスを考える必要があります。

物件タイプ 利回りの理想的な数値
区分マンション
  • 【新築】3~4%
  • 【築20年以内】5~6%
  • 【築20年超】7~8%
一棟マンション
  • 【新築】6%
  • 【中古】7~8%
一棟アパート
  • 【新築】8%
  • 【中古】9~10%

タイミング3】賃料を値上げした後

賃料を値上げしたタイミングで退去者が続出してしまうのは、オーナーからすると避けたい事態です。

好条件の物件でも、購入後に新しいオーナーが賃料を上げるのは、上記の点からリスクがあります。

逆に、旧オーナーが賃料を上げた後、一定期間経過しても入居者が定着している場合は、購入需要が高まります。

タイミング4】税金・経済や金利・政策などが有利な時期

税制優遇が利用できる時期やローン金利が低い時期、好景気期などは、不動産の購入需要が増えるタイミングです。

こうした外的要因も、アパートを売るかどうかの判断基準にする必要があります。

アパート売却の流れ

アパートを売る流れは、以下の6ステップとなります。

情報収集・相場調査
査定依頼
媒介契約を結ぶ
販売活動・内覧
売買契約を結ぶ
引き渡し・決済

ここからは、それぞれの手続きの内容を細かく見ていきます。

Step1】情報収集・相場調査

  • アパートを売る方法や流れをざっくり調べて置く
  • 売りたいアパートの相場を調べる
  • 売却をする上での目的・条件などを整理する

アパートを売却する際は、査定依頼などを実施する際に、まずは上記の3点を抑えておきましょう。

アパートの売却相場を調べる方法は、下記の方法などがあります。

  • 総合サイトの売出し物件情報を調査する
  • 収益物件の専門サイトに掲載されている相場情報をチェックする
  • 国土交通省「不動産情報ライブラリ」を使う

事前にざっくり価格のイメージを持っておくことで、査定額の低い不動産会社と契約したり、逆に査定額の高すぎる不動産会社に足元を見られたりするリスクが低くなります。

最後に、下記のような条件を売却前に整理しておきましょう。

売却時に整理しておきたいポイント
  • 売却の目的は何か
  • 売却後の手残りは最低いくら必要か
  • 売却後に最低いくらの資金が必要か
  • 売り出しから成約までは何か月(何年)後まで待てるか
  • 成約価格は最低いくらに設定するか
  • もし、上記条件に合わない場合はどうするか

最初に売却の理由・目的を整理しておくことで、後で後悔してしまう状況を回避することができます。

Step2】査定依頼

いくらで売れるか、ある程度予測が付いて納得できたら、次に不動産会社へ査定依頼をします。

不動産会社への査定依頼は、必ず複数社へ依頼をして、結果を比較することが大切です。

この際、不動産一括査定サイトを使うと、複数社への査定依頼を自宅からスムーズにおこなうことができます。

不動産一括査定サイトを使ってから不動産会社を選ぶまでの流れ

Step3】媒介契約を結ぶ

査定額や対応に納得のいく業者が見つかれば、媒介契約を結びます。これは、不動産会社に販売活動を任せる代わりに、成約時には売上の一部を仲介手数料として支払うという内容です。

前述の通り、契約方法は3種類あるので注意して選びましょう。

契約の種類 契約の有効期間 売り手自身が買い手を見つけること 依頼可能な業者数 仲介業者からの報告
※規定されてい最低限の回数であり、実際の連絡回数は業者によって異なる
専属専任媒介契約 3ヶ月以内 できない 1社のみ 1週間に1回、メールか文書で連絡
専任媒介契約 3ヶ月以内 できる 1社のみ 2週間に1回、メールか文書で連絡
一般媒介契約 3ヶ月以内 できる 複数社と契約可能(契約数の上限なし) なし

契約方法は、1社のみと契約する専任媒介契約・専属専任媒介契約と、複数社と制限なく契約できる一般媒介契約に分かれます。

どちらにもメリット・デメリットはありますが、特別な事情や要望がない場合は、専任媒介契約か専属専任媒介契約をおすすめします。

Step4】販売活動・内覧

不動産会社と契約を結ぶと、販売活動が始まります。

販売活動で行う作業は、主にこちらの4つです。

  1. 指定流通機構へ登録
  2. 宣伝・広告作成
  3. 広告活動
  4. 内覧準備・実施

売主は基本的に業者から販売活動の進捗報告を受ける形になりますが、内覧準備だけは素人でも出来るので積極的に協力していきましょう。

また、内覧を実施する前に、下記の点を整理しておく必要があります。

内覧前に決めたいポイント
  1. 売主は内覧に同席するか
  2. 内覧前に家財道具などを処分するか
  3. 内覧の準備は当日どのように行うか(換気・出迎え・照明の点灯など)
  4. 内覧前にどんな準備をおこなうか(清掃・整頓整理など)

物件広告から問い合わせがあれば、内覧を実施します。内覧で買い手側が好感触の場合、仲介業者経由で購入申込書が送付されます。

不動産購入申込書(国税庁HP)不動産購入申込書(国税庁HP)

購入申込書には、買い手側が希望する購入条件が記載されています。多くの場合で焦点になるのは価格条件で、売り出し価格に対して値下げを要求されることが多いです。

条件が全く合わない場合は契約を見送ることもありますが、改めて話をして、双方の折衷案で合意をすることもあります。

Step5】売買契約を結ぶ

内覧をクリアしたら、次に不動産売買契約を結びます。

不動産売買契約では、主に作成した契約書(不動産売買契約書)の読み合わせをおこないます。契約書のフォーマットは原則自由ですが、こちらの13点はほぼ共通しているので、しっかり確認する必要があります。

番号 項目 内容
売買物件の表示 物件の面積や間取り、権利者などの詳細
売買代金、手付金額、支払い日 売却代金の詳細(金額・ペナルティなど)
所有権の移転・引き渡し日 物件の所有権はいつ移転されるかの明記
公租公課の精算 物件に関わるさまざまな費用を引き渡し日を基点に日払い計算した結果
反社会的勢力の排除
ローン特約 売買契約から引き渡しまでに受ける住宅ローン審査が不通過だった場合、契約を白紙化できる特例
負担の消除 所有権移転までに抵当権などの担保権・賃借権などの用益権などの一切の負担消除を約束
付帯設備等の引き渡し 付帯設備をそのまま物件に付けたまま引き渡すこと、故障等の有無を確認
手付解除 契約キャンセル時の手付金と解除の要件
引き渡し前の物件の滅失・毀損 引き渡し前に災害などが起きた場合どうするかの確認
契約違反による解除 契約内容を違反したときに解除になること、またその際のペナルティの確認
瑕疵担保責任 引き渡し後に欠陥が見つかった場合、何か月(年)以内なら売主に責任を求められるか
特約事項 その他、法的な順守義務のある項目(強行規定)以外に、売買者間で定めた独自の項目(任意規定)

Step6】引き渡し・決済

売買契約を結ぶと、そこから約1.5ヶ月待って決済・引き渡しをおこないます。

売買契約から期間がある理由は、買主の住宅ローン審査を待つ必要があるからです。もし審査が不通過になればローン特約で買主から無条件で契約解除ができます。

この間、売主は引き渡しに必要な書類・費用を準備しておきましょう。

書類 内容 取り扱い
登記済証・登記識別情報 不動産の権利者・データが詳細に記載 司法書士へ提出・預ける
実印 実印登録済みの印鑑 登記関係の書類に押印
印鑑証明証 実印登録を証明する書類 司法書士へ提出・預ける
固定資産税納付書 不動産にかかる固定資産税が明記 税金精算のため、買主と確認
公共料金の領収証 自宅に届いた電気・ガス・水道料金などの明細 引き渡し日で日割り精算するため、買主と確認
その他 物件(特にマンション)のルール・利用方法が書かれたもの 買主へ渡す

引き渡しは、一般的に銀行の1室で営業日に行われます。

当日はまず、司法書士が不動産登記関連の書類を確認し、登記申請書に署名と押印をします。

その後融資を実行して残代金を支払い、諸費用の生産、引き渡し書類の署名、受け渡しをして終了です。

アパート売却の必要書類

アパート売却には5つの書類が必要になります。なるべく早めに集めておくとスムーズに売れますよ。

アパート売却の必要書類5選
  • 権利書
  • 検査済証
  • 固定資産税評価証明書・固定資産税納税通知書
  • レントロール
  • 平面図

ここからは、それぞれの書類の内容を説明していきます。

不動産売却に必要な書類の種類・取得方法を紹介!売却依頼から決済・引き渡しに必要な書類を一覧で紹介

権利書(登記識別情報)

2006年以前に発行したものは登記済権利書、それ以降に発行した書類は登記識別情報をいいますが、一般的には権利書と呼ばれています。

権利書は媒介契約、売買契約の名義変更、住宅ローン審査など様々な局面で提出する重要な書類です。

権利書は建物と土地に1冊ずつあります。棟と敷地を売る際は2冊必要になるので注意しましょう。

権利証はアパート購入時に写しを貰っているはずなので、まずは自宅を探してみましょう。

見当たらない場合は、法務局に問い合わせれば再取得できます。

検査済証

検査済証は、売却前に物件調査を依頼し、その結果を報告してもらった書類です。

プロから安全な物件というお墨付きをもらったようなものなので、これがあるとスムーズに売却が進みます。

検査は大手不動産会社ならプランに組み込まれていることも多いですが、街の中小業者は検査をしてくれないこともあります。5~10万円で検査をしてくれる専門業者があるので、こちらに検査依頼するのをおすすめします。

固定資産税評価証明書・固定資産税納税通知書

不動産を所有していると、毎年固定資産税がかかります。この税金を納めた時に自宅に届くのが固定資産税納税通知書です。

アパートの正当な所有権を証明できるほか、査定の参考に使うこともできます。

固定資産税納税通知書は再発行することができないので、紛失した際は代わりに固定資産税評価通知書を使います。

固定資産税納税通知書は役所、出張所などの窓口で発行してもらえますが、アクセスが悪い方は以下のものを同封して送れば書類を入れて返送してくれます。

  1. 免許証・健康保険証などの写し
  2. 委任状(第三者が取得する場合)
  3. 返信用封筒
  4. 手数料(定額小為替で350~400円程度)

レントロール

レントロールとは賃借条件の一覧表を指します。

アパートを一棟買いする方は、物件の質を見極めるためにレントロールをよく利用します。

レントロールには、各部屋番号の賃料、教育費、預かり敷金、契約の年月日、居住者の属性などが記載されています。

レントロールで良く見られるのは、こちらの4つです。

  • 賃料のバラつき:バラつきが大きいと直近の入居者の賃料をもとに利回りを計算し直せる
  • 敷金の高さ:敷金が高い場合は値下げをすれば入居率を増やせる
  • 入居者の属性:法人や女性は長期間住んでくれやすい
  • 入居年月のバラつき:期間がバラバラなほうが急な利益減のリスクが少ない

レントロールに不利な情報が反映されそうな場合は、事前に改善をしていきましょう。

平面図

一棟ごと取引をする場合は、全ての階の平面図があったほうが良いです。

入居中の部屋は内覧ができないので、満室率が高いほど平面図は重要になってきます。

アパート売却にかかる税金・費用

アパート売却にかかる費用は、以下の通りです。

アパート売却にかかる支出
  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 測量費用
  • 抵当権抹消費用
  • 立ち退き料

加えて、消費税やアパートをそのまま売却する場合は上乗せ分のAD、設備の修繕費用、更地にして売る場合は解体・更地化のコストがかかるようになります。

上で挙げた必須の費用・税金に加えて、状況に応じて適宜費用がかかるようになるので注意しましょう。

仲介手数料

アパートの売却を仲介業者に依頼する際は、仲介手数料がかかります。これは不動産会社がアパートを売ってくれたことに対する報酬のようなもので、売却価格に比例して以下の金額を業者へ支払います。

取引額 仲介手数料(上限額)
200万円以下 売却額×5%
200万円超400万円以下 売却額×4%+2万円
400万円超 売却額×3%+6万円

こちらに記載されている金額は法定の上限価格ですが、慣例でぴったりの金額を請求されることが多いので注意しましょう。

不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法を解説

譲渡所得税

アパートの売却代金が取得費(購入費用など)よりも高ければ、譲渡所得税という税金が発生します。

譲渡所得税は、以下の計算式で求めることができます。

譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(※取得費+売却費用) }

取得費に関しては購入時の金額そのままではなく、築年数に応じて減価償却費が差し引かれるので注意しましょう。

更に、税率はアパートの所有期間に応じて、以下のように変化します。

所得税 住民税 合計税率
5年以内 30% 9% 39%
5年超 15% 5% 20%

巷ではあえて5年以上所有して節税をする方もいるようですが、実際は5年未満で売ったほうが築年数が経過してないので利益は高まります。

譲渡所得税は、引き渡した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をして納付するようになります。

不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】

印紙税

アパートを売る際、必須でかかるのが印紙税です。

これは国や自治体が公平な取引を認めてくれたことに対する謝礼の意味合いが強い税金で、成約価格に応じて以下の金額が課されます。

不動産売却代金 印紙税額
100万円以下 500円
500万円以下 1,000円
1,000万円以下 5,000円

金額に応じた印紙を売買契約書に貼り付けて納付するようになりますが、取引によっては自分が保管する分の契約書(領収書)をコピーで済ませられるケースと、領収書にも印紙が必要、つまり上の表の2倍の額が課税されるケースがあります。

※2024年時点では、「電子契約による不動産売買契約では、印紙税が課されない」ということになっています。

法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

国税庁HP 「第7節 作成者等」((作成等の意義))

測量費用

アパートの売却を含め、不動産の売却を行う際は、土地の境界線や面積などを計測して、結果を証明する「測量図」を提示する必要があります。

境界線が曖昧だったり、登記簿に記載されている境界と実際の境界に違いがありそうな場合は、土地家屋調査士に測量を依頼します。この時、約30~45万円前後の測量費用が発生します。

あくまで約30~45万円前後というのは相場価格であり、実際は、土地の広さやスタッフの人数などによって、報酬費が前後します。

また測量を依頼してから、境界線が確定するまで約3~4ヶ月もの時間を要する場合もあるので、売却する運びになったら、早急に測量の依頼を出しましょう。

抵当権抹消費用

抵当権とは、住宅ローンの返済が困難になったとき債権者が担保とした不動産を持って弁済を受ける権利のことで、その権利は住宅ローンを組んだ金融機関が所有しています。

不動産を売買で引き渡す際は、抵当権を事前に抹消する必要があります。

抵当権を抹消するには、組んでいる住宅ローンを完済するか、売却益がローン残債額を上回っている状態で売却を行うかのいずれかをもって抹消できます。

抵当権の抹消にかかる費用は、不動産1件につき1,000円の出費が発生します。

例えば、戸建て住宅に設定された抵当権を抹消する場合、建物と土地それぞれで1,000円の抹消費用が必要になるので、2,000円の抹消費用を支払わなければなりません。

また抵当権抹消登記や住所変更登記などは、所有者自身で手続きが行えますが、司法書士に依頼した方がスムーズです。この際の依頼費(報酬)は、1件1万円ほどです。

立ち退き料

アパートを売却するとき、オーナー権の売買ではなく、物件そのものを売却する方向で話を進めていく場合、入居者がいないかの確認を済ませてから売却活動へと踏み切りましょう。

もし入居者がいる場合は、立ち退いてもらわなければ売却が行えません。

立ち退きを依頼する際は、一方的に話を進めるのではなく、相手の話を聞き入りながら話を進めていきましょう。

立ち退きの交渉が成立したら、オーナーは入居者に立ち退き料を用意しなければなりません。

立ち退き料の相場額は、家賃の6~10ヶ月分に相当する額を用意するか、新居への入居する際に必要な額分を用意します。

なお、立ち退き料は、入居者の数だけ用意しなければなりません。

アパート売却に関するよくある質問

ここまでアパートを売る方法を詳しく解説しましたが、それでも悩みは尽きないでしょう。

そこでここからは、アパートを売りたい方からよせられた疑問を紹介していきます。売却を検討中の方はぜひ参考にしてください!

売りたいのに管理会社が契約解除に応じない時はどうする?

契約次第ではありますが、一般的には契約期間満了のタイミングであればそのまま解除ができ、契約期間途中であっても所定の手数料を支払えば解約が可能です。

アパートを売るので契約解除したいと申し出たところ、管理会社に「では満期までに入るはずだった賃料を支払ってください」などと言われるケースもあるようです。

こうした要求をされたら、まず契約書を確認して、そんな条項があったかチェックしましょう。

それでも言うことを聞かないのであれば、自治体の住宅管理か宅建業関係の部署に相談しましょう。

問題のある入居者がいるのですが売却可能ですか?

オーナーチェンジであれば、基本的に問題なく売却できます。

ただし、クレームが多い、家賃の未払いが多いといった問題のある入居者がいて、かつ大家(売主)からの対応も直接的におこなっていたという場合であれば、告知義務が発生するケースもあります。

どのような対応をするかについては、仲介業者にも事前に相談しましょう。

アパートで自殺や殺人があった場合は告知が必要?

実際に告知をおこなうかどうかに関しては、仲介業者に判断してもらうことをおすすめします。

売却時の告知義務は下記の通りとなっており、判断にかなり任されている部分があります。

賃貸借契約 売買契約
自然死・日常生活の中での不慮の死 原則:告げなくてよい 原則:告げなくてよい
他殺・自死・特殊清掃等が行われた死 事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間以内は告知義務あり 購入の決定に影響を及ぼすと考えられる場合は告知義務あり
隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した他殺・自死など 原則:告げなくてよい 原則:告げなくてよい

全国宅地建物取引業協会連合会「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン概要」

ただし、売主側が告知しなかった場合、買主が「告知をされていれば、購入を拒否した」ということであれば、裁判をおこなうということになりかねません。

少なくとも、売主は自身の仲介業者へ、状況を正確に伝えておくようにしましょう。

生活保護者を立ち退かせることはできるの?

生活保護受給者の扱いに困っている人は多いですが、引っ越し費用は原則、自治体から支給されるので、オーナー自身が何かを負担する必要はありません。

受給者が基準を満たしていない場合も本人負担となるので売主の方は支払わなくても良いのですが、円滑に立ち退いてもらいたいなら役所の生活支援課に相談してみましょう。

連絡が取れない入居者がいる場合はでもアパートは売れる?

入居者の合意が必要である以上、連絡が取れない場合はアパートを売ることができません。

連絡が取れないならどうにかして見つけ出し、立ち退きに合意してもらう必要があります。

ただし、何らかの事件に巻き込まれた可能性がある・入居者が自らの意志で失踪した可能性があるといった場合は、訴訟手続きで法的な解決が可能です。

完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定