家を売る際に気になるのが家具・家電の処分についてです。
どこに出せば回収してくれるのか、そのまま残して家を引き渡しても良いのかなど素朴な疑問はこちらの記事にまとめているのでぜひお読みください。
今回は、その中でも片付けが面倒なエアコンの処分について解説していきます。
家を売るときはエアコンを片付ける必要がない
不動産売却を行うとき、各部屋に備え付けられているエアコンを片付けるべき否かで迷われる方がいます。
民法第86条の第1項では、不動産を「土地及びその定着物」として定め、第2項ではそれ以外の動産として定めています。
資産価値 | 定位置から動かせない | 定位置から動かせる |
---|---|---|
高価なもの | 土地や建物 | 船、飛行機、車 |
効果じゃないもの | 電柱、看板、庭木、灯篭 | パソコン、エアコン |
上記表で民法第86条を整理した場合、エアコンは動産に該当し、不動産以外のモノとして処理されます。
つまり、エアコンは不動産取引の対象外になるので、片付ける必要がありません。
また片づける必要がないということは、エアコンを各部屋に備え付けた状態で売却してもいいということにもなります。
まず、エアコンは設備の一部と見なされ、その機能と状態は物件価格に影響を与えます。
そのため、良好な状態のエアコンがあることは、物件価格を高める要素となり得ます。
また、エアコンを取り外すことは専門的な知識と技術が必要で、場合によっては高額な費用が発生することもあります。
エアコンを残すかどうかは家の査定価格に影響する?
古家に設置されているエアコンは、購入後にリフォーム・リノベーションをする時に一緒に交換(買主負担)することが多いです。または、古いエアコンを交換したり修理したりしながら、買主の方でも使い続けるというパターンがあります。
古いエアコンが設置されている家の場合、エアコンの取扱いをどう想定するかによって、査定価格は変化します。
- 価格に影響しないケース:エアコンを売主が引き取るケース、新式のエアコンで買主が引渡しを希望するケースなど
- 価格に影響するケース:買主から強い撤去の希望があるケース、買主側で処分するので費用を差し引いて欲しいと希望があったケースなど
実際の成約時にも、エアコンの撤去費用や改修費用をどうするかは買主の意志次第になります。
エアコンの撤去が早期成約につながるケースも
エアコンの撤去は前述の通り原則必要はありませんが、エアコンが古かったり、汚れていたりする場合は、撤去をすることで早期成約の可能性が高まるという意見もあります。
古いエアコンが設置されていることで部屋の印象が”古い””汚い”といったものになり、内覧から成約に至る確率が下がる可能性があります。
とはいえ、エアコンの撤去やクリーニングは費用がかかるので、事前に不動産会社へ相談して決めるようにしましょう。
家を売却する際のエアコン処分の選択肢
家を売却する際は、設置されているエアコンをどうするかも考える必要があります。
ここからは、エアコン処分の選択肢を紹介します。
1.家電量販店に引き取ってもらう
家電量販店はリサイクル券の発行などを通して、不要なエアコンの処分をサポートしてくれます。
家電リサイクル券を発行してもらったら、リサイクル業者が引き取りに来てくれます。
家電量販店を利用する場合は、新しいエアコンを購入する予定の店舗に依頼するとスムーズです。
2.自治体に引き取ってもらう
自治体がエアコンの処分をおこなっているケースもあります。
この場合も家電量販店と同様に、リサイクル券を発行してもらい、自治体の指定業者に引き取ってもらいます。
この場合、リサイクル券は郵便局などで購入するケースが多いです。
3.引き取り場所に持ち込む
自治体などが指定する不用品の回収センターなどに持ち込むのも一つの手です。
ただし、この場合はエアコンの取り外しが必要になるので、あまりおすすめはできません。
4.不用品回収業者に依頼する
リサイクル業者へ依頼が難しい場合は、より専門的な不用品回収業者に依頼するのも一つの手です。
ここでいう専門業者は、一般廃棄物収集運搬業の許可がある業者となります。
5.エアコンを残して家を売却する
エアコンを設置したまま、家を売却する方法です。
責任の明示や不具合・故障の明記のために、付帯設備表を用意しておくことをおすすめします。
6.エアコンを取り外して移設する
売主が新居にエアコンを持っていく場合は、取り外して移設する必要があります。
専門業者や運送業者、引っ越し業者などの中で、移設に対応している業者を選択する必要があります。
エアコンを処分する際の注意点
家財道具を処分する際に、厄介なのがエアコンの処分です。
そのまま引き継ぐのがおすすめですが、タバコのにおいが染みついていたりすると内覧で断られる原因になります。
こうした場合は処分をしてしまうのも一つの手です。
自分で取り外さず業者へ依頼する
エアコンを取り外す時に業者に頼まず自分でやることでコストを抑えようと思う方もいらっしゃると思います。
しかし、室外機と本体をつなぐ金属のパイプ部分にはガスが溜まっているので、素人が取り外すのは大変危険です。
このガスは、フロンガスのため知識のない人が専門道具も使わず無理に取り外そうとすると、ガスが一気に吹き出してしまいます。
コストを抑え、少しでも高く家を売却したい気持ちはわかりますが、大変危険なので専門業者に依頼するようにしましょう。
有害なガスが発生するリスク
万が一、自分で取り外そうとして失敗したら大量のガスが吹き出します。
このガスは真っ白で人体にも有害とされています。
その為、隣接する家や近所の方に迷惑をかけることになってしまいます。
また、真っ白流すが吹き出す為火事などと勘違いされて通報されてしまう可能性もあります。
売り手の人はもう住むことは無いと思いますが、次に住むことになる買い手の方のことを考えて近所の人とのトラブルは避けるようにしましょう。
撤去するのにかかる費用は1台あたり5,000円から7,000円程度なのでケチらずに業者に依頼しましょう。
片付け・取り外し費用は依頼する業者によって異なる
エアコンの処分は、無料で出来るわけではありません。
家電リサイクル法により、エアコンを処分する際にはリサイクル料金を支払わなければいけません。
これは、各自で取り外して指定の処分場所に持ち込む場合も、業者に依頼する場合も同じです。
リサイクル料金はLGエレクトロニクス・ジャパンだと税込972円、アイリスオーヤマだと税込2,041円となります。
業者に依頼する際は、リサイクル業者と家電量販店のどちらか選びます。
家電量販店は費用が安く、最低2,000円ほどに抑えられます。リサイクル業者に依頼すると7,000円前後なので、家電量販店に依頼したほうがお得です。
ただ、家電量販店は処分場までの運搬費用がかさむことも多く、トータルでリサイクル業者よりも費用がかかることがあるので注意しましょう。
家と一緒にエアコンを高額売却できるかどうかの基準
エアコンをどうせ売るなら、なるべく高値で売却したいですよね!
エアコンが高値で売れるかどうかは、主に以下の7つの要素が影響しています。
- 品番(型番)
- 製造年
- 汚れ
- におい
- 取付状況
- 付属品の状態・有無
- 容量
ここからは、それぞれのポイントを詳しく解説していきます!
品番(型番)
エアコンの本体にはステッカーが貼られています。ここに品番が書かれているので、チェックしましょう。
品番からモデルが人気かどうかを調査すれば、だいたいいくらで売れそうかがわかります。
エアコンは旧世代のモデルでも、オーソドックスなタイプだと安定した需要があり、高値で売れる傾向があります。
製造年
いくら人気のある型番だったとしても、製造年が古いと設備に問題がでてきます。
逆に、あまり人気のない家電メーカーの製品でも製造されてから5年前後なら、高値で売れる可能性もあります。
汚れ
黄ばみ、変色、カビや傷、錆の有無も価格に大きく影響します。室外機なら台風などで傷がつく可能性も高いので、注意しましょう。
目立つ欠陥が少しでもあれば、買取価格は下がってしまいます。
におい
タバコやペットのにおいも、エアコンには付きやすいです。
一度においがつくと自力でとるのはなかなか難しいので、業者に依頼するのがおすすめです。
エアコンのクリーニングは相場1~2万円と比較的高額なので、なるべくなら自力でにおい処理したいところです。
取付状況
取付状況次第では取り外しに特別な手間・費用がかかってしまいます。
取り外しが難しいということは買ってからの取付も難しいということなので、需要も下がります。
室外機が屋根や壁にあったり、配管ホースがついている場合は、買主と話しあってエアコンごと売るのがおすすめです。
付属品
リモコンや保証書の状態も、エアコンの売却価格に影響します。
こうした付属品があるのとないのでは価格が大違いですが、古いタイプだと別途入手するのが困難なこともあります。
これに関しては、大切に保管しておくしか手立てはありません。
容量
取り付けられている部屋が広ければ、それに応じた強力なエアコンを取り付ける必要があります。
どれくらいの広さをどれくらいのスピードで温度調節できるかといった、エアコンの性能を容量と呼びます。
容量の大きさも価格に影響します。容量が大きいほど、高値で売れやすいです。
エアコンの処分を依頼する前に整理すべきポイント
基本的には見積もり、買取から処分まで、依頼すれば全てやってくれます。
なので、依頼者は印鑑や証明書などを用意しておけば、特に何か作業することはありません。
ただ、処分するエアコンの型番など、基本情報は業者からヒヤリングを受けたときに必要です。
特に、エアコンの種類と型番の2つは、しっかり調べておきましょう。
エアコンは大きく分けて4種類
エアコンの種類は、大きく分けて以下の4つです。
エアコンの種類 | 特徴 |
---|---|
壁掛け型 | 最も一般的なタイプ。室内機を高い位置に設置することで、風を部屋全体に行きわたらせる。 |
床置き式 | 床に置いた状態で特定の場所の温度を変えるエアコン。必要に応じて移動可能。 |
壁埋め込み式 | 壁掛け型をすっきり見せるために、壁に埋め込んだタイプ。住宅設計時に埋め込んでいるので、取り外しが原則不可能 |
ビルトイン(天井)タイプ | 天井に埋め込まれているタイプで業務用が多い。こちらは壁埋め込みと違い売却可能 |
業者に連絡する際は、自分のエアコンが上4つのうちどれに当てはまるかくらいは把握しておきましょう。
エアコンの型番
エアコンの型番は、室内機の底面か側面に貼られたステッカーに記載されています。
複数の数字があるとどれが型番か迷いますが、大きく太字で書かれているなど、もっとも強調されているのが型番となります。
型番は、最初はアルファベットから始まることが多いですが、どのアルファベットから始まるかは、メーカーによって違います。
メーカー | 型番の最初のアルファベット |
---|---|
ダイキン | AN、ATA、ATC、ATRなど |
三菱電機 | MSZ、MPKH、MSY、PKAなど |
三菱重工 | SPK、SKM、SKP |
パナソニック | CS |
エアコンを処分する必要は建物の売却・譲渡時は原則なし
冒頭でも紹介したように、エアコンと動産の1つにカテゴライズされるので、売却時の評価額に影響を及ぼすことはありません。
しかし、物件に付帯している設備の1つとして見られるため、可能な限り備え付けた状態で売却してしまうのが最適です。
また、エアコンを売却対象にするかどうかは売主の自由ですが、エアコンを必要する買主は多々います。
売主の意向でエアコンの処遇を決めてしまうと、思わぬトラブルを招く恐れがあります。
売買そのものを円満な形で済ませるためにも、買主と話し合ったうえで処遇を決めるのが最善です。