近年、地本各地で空き家問題が発生し社会問題に発展しています。
相続した人が住まない場合、空き家をなんらかの形で処分しなければなりません。
しかし「面倒くさいから」と思っている人や「処分したくてもできない!」という人が多いです。
空き家は放置しておけば相続人が損する事態になりますし、近隣住民にも迷惑がかかります。
今回は空き家の処分方法について分かりやすく解説します。
空き家の状態によって最適の処分方法は異なるので「空き家処分に困っている!」という人は参考にしてください。
空き家を処分する方法
空き家を処分する方法は、大きく分けて売却・無償譲渡・有効活用です。
物件の状態によって適している方法が異なるので、メリット・デメリットを見て最適の方法で処分しましょう。
空き家を売却する
空き家を売却して処分する方法は4パターンあります。
- 買取業者に買取ってもらう
- 更地にして仲介売却
- リノベーション・リフォームして売却
- そのままの状態で売る
空き家の状態がキレイな状態であればそのまま仲介にだしても売ることができます。
しかし空き家が劣化していてリフォーム・リノベーションが必要な場合は買取業者をおすすめします。
買取業者に依頼すると、個人で解体したりリノベーションしたりする必要が無く全て買取業者に任せることができます。
個人で更地にしたりリノベーションしたりして仲介で売る事も可能ですが、売れ残るリスクもあるので不動産会社に相談してから行動しましょう。
空き家を無償で譲渡する
空き家を売るのではなく無償で譲渡する方法があります。
立地が悪く空き家の状態が良くない場合は、買取業者でも断られるケースがあります。
しかし訳あり物件でも対応してくれる買取業者があるので、できるだけ無償譲渡は避けましょう。
管理負担や固定資産税の支払いを早急になくしたい人は買取業者に相談してから決めましょう。
有効活用する
空き家を賃貸物件としてかしだしたり駐車場・コインランドリーなどに転用したりして、有効活用する方法があります。
賃貸物件として活用する場合は空き家のリフォームが必要になる可能性があり、空き家になると費用を回収できなくなるのでリスクを把握しておきましょう。
駐車場やコインランドリーに転用する場合も経営のノウハウが必要になるので、土地活用に強い業者に相談しましょう。
空き家を更地にして処分するメリット・デメリット
空き家を更地にして処分するメリット・デメリットをまとめました。
【メリット】買手が付きやすい
更地は買手が見つかりやすく、不動産会社や新築購入を検討している人達が購入してくれます。
家が残っている状態より需要が高い為、スムーズに売却することも可能です。
また契約不適合責任に問われるリスクも無いので、安心して売却できます。
【デメリット】解体費用が発生する
売りやすい一面がある一方で、解体費用は自分で出す必要があります。
大体木造の家を解体した場合1坪あたり4~5万円かかる為、広い空き家であれば解体費用が高くなります。
また解体費用は家の状態によって費用が上乗せされる場合もあるので、売った金額以上に費用が高くなってしまう恐れもあります。
【デメリット】固定資産税が高くなる
空き家を更地にすると、固定資産税が高くなります。
空き家の場合、控除されている税金分が更地になることによって上乗せされる為、更地が売れるまで高額な固定資産税を払い続ける必要があります。
更地にする場合は、買手が早く見つかる状態にしておくことが好ましいです。
空き家の家を残したまま処分するメリット・デメリット
空き家の家を残したまま処分するメリット・デメリットをまとめました。
【メリット】解体費用がかからない
空き家をそのまま残して処分すると、家を解体する必要がありません。
解体費用がかからない分、売却益をもらえるのでお得です。
ただし契約不適合責任を負う必要があるので、家に欠陥が無いか事前に調べておきましょう。
【デメリット】リフォーム費用がかかる
空き家を残して売ろうとしても、場合によってはリフォームする必要があります。
またリノベーションをして付加価値をつけないと買手が生まれないケースもあります。
解体費用はかからない状態でも、他の費用が発生するリスクがあります。
【デメリット】契約不適合責任を問われるリスクあり
契約不適合責任は、納品された目的物に契約内容と異なる点があることが判明すると売主が負担します。
空き家に万が一問題が発生すると、売主が責任を負うことになるので注意しましょう。
空き家の状態をまずチェックしてもらい、家を残したまま売った方が良いのか不動産会社と相談しましょう。
各空き家によっておすすめの処分方法を紹介
空き家の状態によっておすすめの処分方法は異なります。
これから各空き家によっておすすめの処分方法を紹介するので、参考にしてください。
更地にして処分する方法がおすすめのケース
更地にして空き家を処分した方が良いケースは下記の通りです。
- 空き家が劣化している
- 短期間で買手が見つかりそう
- 土地活用しやすい立地
空き家を更地にすると固定資産税が高くなる為、買手が短期間で見つかりそうな立地であることが条件です。
また空き家の劣化が進んでいる場合、家を残したままでは売れない可能性が高いので更地にすることをおすすめします。
家を残したまま処分する方がおすすめのケース
空き家を残したまま処分する方がおすすめのケースは下記の通りです。
- 立地条件が良い
- 建物に価値がある
- 築年数がそれほど経っていない
空き家をのこして処分する場合は、のこす家に価値があればおすすめです。
また立地条件の良い場所だと買手が見つかりやすく、解体費用やリフォームを払わずそのまま入居者が住むことになる可能性が高いです。
空き家を処分する流れ
空き家を処分する流れをまとめました。
空き家の処分を不動産会社に依頼する場合、まずは空き家の査定を依頼しましょう。
一括査定サービスだと、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるので便利です。
【STEP1】一括査定サービスを利用する
空き家を処分する場合、処分する人が一番得する仲介売却を選択しましょう。
買取や譲渡の場合、売却価値を下げて損してしまう可能性があります。
また、最初から査定してもらう不動産会社を決めてしまうと、後に他の不動産会社のほうが高く買い取ってくれた事に気づき損をしてしまうパターンがあります。
よって、空き家の処分を検討している人は一括査定サービスがおすすめです。
一括査定サービスで、各不動産会社の査定額をみて、最適の不動産会社を選びましょう。
【STEP2】売却依頼する不動産を選ぶ
一括査定サービスに登録すると、複数の不動産会社から査定結果が届きます。
一番高額で提示してくれる所をピックアップし、その不動産会社が信頼できる不動産会社か調べましょう。
信頼性や実績をみて問題なければ、依頼しましょう。
【STEP3】売却活動
選んだ不動産会社と媒介契約を結ぶと、売却活動に移ります。
不動産会社から買手が見つからない可能性があると言われた場合も、一定期間買手が現れるのを待ちましょう。
買手が見つからない場合は、買取・譲渡の検討も同時に進めましょう。
【STEP4】売買契約を結び処分
買手が見つかった場合は、売買契約を結びます。
空き家の処分は、空き家になって3年居ないに処分すると特別控除を利用できます。
なるべく早めに処分する計画を立てましょう。
空き家処分で利用できる補助金・助成金制度
「空き家を更地にしたいけどお金が無い」と困っている人は、補助金・助成金制度を活用しましょう。
今回は補助金・助成金制度を設けている市町村をピックアップしました。
空き家の地域が提供している補助金・助成金を利用するとお得に処分できます。
笠間市空き家解体除去補助金
笠間市は空き家の解体費用の1/3(補助金上限額30万円)を支援してくれる補助金制度を提供しています。
補助制度の対象となる建物と条件は下記の通りです。
補助の対象となる建物 | 補助条件 |
---|---|
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|
引用元:笠間市公式ホームページ
居住で使われていた建物のみとなっているので注意しましょう。
多賀町空き家住宅等除去支援
多賀町は空き家状況に応じた支援制度を設けています。
補助対象となる空き家 | 補助対象者 | 補助対象となる除却工事 |
---|---|---|
①除却を実施しようとする際に現に使用されておらず、かつ、今後も居住の用に使用される見込みがない住宅であって、除却後の跡地を地元自治会などに10年間以上寄付されるもの。 ②住宅地区改良法施行規則(昭和35年建設省令第10号)第1条の規定に基づき、町長が住宅の不良度を判定し、その評点が100以上と判定された不良住宅(※その構造および設備が著しく不良で、居住の用に供することが著しく不適当な住宅。) ※②に該当する場合は、除却後の跡地利用については制限ありません。 |
①補助対象となる空き家の登記事項証明書(未登記の場合は固定資産税家屋台帳または固定資産税納税通知書)に所有者として記録されている者(法人を除く。) ②①に規定する者の相続人 ③①②に規定する者から補助対象となる空き家除却について、委任を受けた者(※委任状が必要) ※複数の共有名義である住宅や所有権以外の物件が設定されている住宅については、共有者や権利者の同意が得られないときは対象となりません。 ※町税その他使用料等に滞納があるときは対象となりません。 |
補助対象者が町内業者(建設業法に掲げる土木工事業、建築工事業もしくはとび・土木工事業に係る同法第3条第1項の許可を受けた者、または建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律第21条第1項による登録を受けた者)に請け負わせる補助対象空き家の除却工事。 ※ただし、次に該当する場合は対象となりません (1)補助金の交付決定前に着手した除却工事 (2)本町の他の制度に基づく補助金の交付を受けようとする除却工事 (3)空き家の一部を除却する工事 |
上記の対象となっている空き家は支援を受けることができます。
補助基本額 | 補助金の額 |
---|---|
下記の額を比較して少ないほうの額に8割を乗じた額とします。 A:実際の空き家住宅除却工事費用 B:国土交通大臣が定める標準建設費等のうちの除却工事費 ・木造:床面積×21,000円/平米 ・非木造:床面積×30,000円/平米 |
補助基本額に2分の1を乗じて得た額以内とし、500,000円を上限とします。1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額を補助金の額とします。 |
引用元:多賀町公式ホームページ
過疎化が進んでいる地域は空き家が大きな問題となっており、手厚い補助制度を施している場合もあります。
空き家処分はスピーディーに行うべき理由
空き家の処分はなるべく早く行いましょう。
逆に空き家を放置してしまうと、持ち主にデメリットが増え最悪の場合、行政から指導を受けてしまいます。
コストがかかるから
空き家は保有しているだけで費用が発生します。
- 固定資産税
- 光熱費
- メンテナンス費
- 保険
- 交通費
上記の様に空き家を持っているだけで支払いが発生する為、空き家になった時点で処分方法を検討しましょう。
劣化スピードが早いから
空き家になると家の老朽化スピードは早くなり、放置すればするほど酷い状態になります。
管理を行っている場合は更に老朽化が進み害虫や害獣による被害が発生し、近隣住民からクレームが来る可能性もあります。
空き家を高く売りたいと思っている人は、なるべく早く売ることを心がけましょう。
損害賠償を請求されるリスクがあるから
空き家の老朽化によって、近隣住民に被害が及ぶ可能性があります。
空き家の庭の雑草が生い茂って害獣や害虫が発生したり、不法投棄が増えたりして近隣住民が被害にあうと、持ち主が損害賠償を支払わなければなりません。
また空き家は損害賠償のリスクを回避する保険に加入できない可能性が高く、まめに空き家状況を管理出来ない人は不利です。
余分なお金を支払わない為にも、空き家は早急に処分しましょう。