国土交通省住宅局令和5年12月「空き家所有者情報の外部提供等に関するガイドライン」によると使用目的のない空き家は約349万戸となっています。
今後見込まれる人口減少に伴って空き家の数は増加することが懸念されています。
空き家を放置してしまうと、トラブルになった際の責任などが発生してしまうため放置している物件は売却がおすすめです。
空き家を売却する際は、査定が必要です。
しかし、実際に売却する際は査定がどんなものなのかどんな情報が必要なのかを事前に把握しておく必要があります。
例えば、立ち会いの必要はあるのか、どんな準備をすべきなのか、どうすれば査定額を上げられるのかなどです。
今回は、空き家査定の注意点を分かりやすく紹介!特に相続した空き家を査定に出す予定の方は、ぜひ参考にしてください!
※空き家を売る方法については、こちらに詳しくまとめています!
- 空き家査定の方法は机上査定と訪問査定の2種類
- 最初に机上査定をしてから訪問査定を依頼するのがおすすめ
→空き家を売る方法!売る流れとかかる費用や税金・注意点を解説
空き家査定の2種類の方法
空き家査定を依頼する際に「机上査定と訪問査定のどちらが良いですか?」と言われます。
机上(簡易)査定は申込内容や業者のデータベースを通じて簡単に査定額を算出する方法で、訪問査定は実際に担当者が物件を訪問調査して価格を算出する方法です。
一般的に時間のない人には机上査定を、正確な価格を知りたい人には訪問査定をおすすめされますが、それ以外にも注意するポイントがあります。
不動産査定とは?売却査定の種類と流れ・査定額相場の計算方法を解説
机上(簡易)査定
空き家査定で用いられるのは依頼者が自己申告した物件の種類、所在地、築年数、面積、間取りといった情報の他、不動産会社が各自で所有しているデータや市況などになります。
こうしたデータをもとに金額を算出するのが、机上査定になります。
手間がかからずスピーディに依頼ができる一方で、建物のコンディションや住宅設備の状態、内部の傷・凹みなどは机上査定で評価することができません。
放置が長い空き家ほどこうした項目の評価が低いので、空き家の実際の価値は机上査定の算出額よりもずっと低いと考えておいたほうが良いです。
複数社の机上査定を比較することで、スピーディに高く売れる業者がどこか把握することができます。
ただ、依頼をする業者が3社、4社となっていくにつれて、取得した書類が増えていくと共に、把握している物件の内容も更新される可能性があります。
机上査定は依頼者が申告する情報をもとにおこなわれるので、共有する情報が変わってしまうと、客観的に業者を比較することができなくなってしまいます。
手順としては、最初に査定で必要な情報を全て揃えた後で、1社目の査定依頼をすることをおすすめします。
訪問査定
一方で、訪問査定は物件内部の欠陥調査から、周辺環境がどうなっているかまでチェックしてくれます。
日当たりや風通し、眺め、騒音などもプロがしっかりと調査して、評価をしていきます。
机上査定の内容が省かれるということではなく、イメージ的には机上査定の内容に加えて、担当者が調査をおこなうのが訪問査定だと考えておけばよいでしょう。
訪問査定は2時間程度スケジュールを空ける必要がある
訪問査定が実施されるタイミングは基本的に売主の好きな日時で設定することができます。
ただ、2時間程度の空き時間を用意する必要があるので、スケジュールの確認を忘れないようにしてください。
部屋の散らかり具合などは査定評価に含まれませんが、見られて嫌なものは出来るだけ奧のほうにしまっておくことも大切です。
空き家の査定額の計算方法
空き家査定には主に取引事例法、原価法という2種類の方法が用いられます。
どのようにして価格が決まるかを知っていると対策がしやすく、業者選びにも役立ちます。
取引事例比較法
取引事例比較法は、その名の通り過去の取引事例と比較をして査定額を算出する方法です。
この方法は、特に住まいとして売る空き家の査定に用いられます。
住まいの価値は「住みやすさ」という曖昧な概念がもとになるので、計算がしにくいです。そのため、過去の価格を用いることが多いのです。
取引事例比較法では、周辺地域であった類似物件の取引事例をもとに価格を算出し、時代の変化に応じて修正していきます。
分かりやすく言うと、築20年の空き家を査定したい時、その2年前に同じ面積・アクセスの空き家A(築15年)、B(築25年)が成約したことが分かったとします。
空き家Aの成約価格が1500万円、空き家Bが2500万円だとすると、査定したい物件は約2000万円だと分かります。
もし地域全体の相場が2年前に比べて1割ほど上がっていれば、修正して2200万円となります。
取引事例比較法の基本的な考え方は上記の通りですが、実際の不動産会社はもっと多くのデータを使って複雑な計算をしていきます。
原価法
空き家査定で良く用いられるのが原価法です。これは、中古物件を今建て壊し、全く同じものを立て直したとしていくらかかるかを計算し、そこから逆算して今の価値を算出する方法です。
注文住宅に全く同じものは一つとしてないので、取引事例比較法で査定をするのには限界があります。そのため、原価法は戸建て住宅で用いられることが多いのです。
原価法では、以下の式で査定額を計算します。
査定価格=再調達価格×延床面積×(耐用年数の残り÷構造ごとの法定耐用年数)
空き家の査定準備のポイント
空き家の査定をするということで、身構えている方も多いと思います。
ただ、査定に出す際は何か特別な準備をする必要はありません。
査定はほとんどの不動産会社が無料でやってくれますし、ネットで簡単な申込情報を入力するだけでスムーズに査定依頼をすることができます。
ただ、注意してほしいのは、家を査定に出す時点で空き家売却は始まっているということです。
不動産会社も「日本に数万ある業者の中でウチに査定を依頼してくれたということは、契約の可能性があるかも…」と思うでしょうから、話し合いやプランの説明を進めようとしてきます。
ただ試しに査定したい方は断れば良いですが、売却を検討している方は査定依頼と合わせて、売る準備も進めていく必要があります。
ここからは、空き家を査定へ出す前にやっておくべきことを紹介していきます。
空き家の詳細を調べる
まずは、査定に出す予定の空き家について詳しく調べていきましょう。
まず確認すべきは、査定に出す空き家の詳しい内容でしょう。
確実にチェックしたいのは、登記簿謄本です。
現在はネットでも閲覧することができるので、まずはチェックしておきましょう。
特に確認しておきたいのは、登記簿謄本に記載されている所有者の名前です。
自分が空き家の持ち主だったはずが、親や、全く知らない人の名義になっていたりします。
自分が名義人になってなくても査定依頼はできますが、売ることはできないので注意しましょう。
必要書類を揃える
もし、空き家を買った際の契約書や見取り図を保管しているなら、査定に出す前に確認しましょう。
最初の価格がいくらで、どんな契約内容だったのかが分かれば、そこから減価償却をしてかなり正確な査定額を求めることができます。
家で保管していなかったとしても、当時対応した業者なら書類をとっているかも知れないので、調べて電話してみましょう。
不動産会社の情報を集める
空き家の査定は、どこに依頼しても良いわけではありません。
戸建て住宅を扱っていない業者も多いですし、検査・保証の有無もしっかり調べておかないといけません。
また、前述の通り査定依頼は売却の第一段階という意味もあるので、様々なことを慎重に調べなければいけません。
3~6か月を二人三脚でやっていくことも考えれば、担当者とのフィーリングも重要になります。
査定を依頼する段階で、出来るだけ業者について調べ、絞り込んでおくようにしましょう。
→【2024年】大手不動産会社ランキング!売上高・売却仲介件数・評判を比較!信頼できるのはどこ?
空き家査定の前に売却相場を調べる方法
不動産会社に空き家の査定を依頼する前に、だいたい査定額はいくらかのイメージを持つため、調査しておくことをおすすめします。
不動産会社によって査定額にズレが生じるため、事前に相場を知っておかないと依頼した不動産会社の査定額が高いのか、低いのか一切分からないのです。
ここからは、初心者でも簡単にできる査定相場の調べ方を紹介します。
家の売却相場はいくら?相場の調べ方と築年数・立地の関係を詳しく解説
不動産ポータルサイトを活用する
一番簡単なのが、SUUMOなどに掲載されている物件情報をチェックし、周辺の物件がいくらで売られているか確かめる方法です。
売り出し物件の詳細情報もしっかり掲載されているので、自分の空き家と比較することができます。
不動産ジャパンを活用する
現在売り出し中の物件情報は、レインズというデータベースに全て登録されています。
しかし、レインズのデータは不動産会社以外がログインしてチェックすることはできません。
そこでおすすめなのが、不動産ジャパンと言うサイトです。
こちらは、一般の方も問題なく無料でデータを閲覧することができます。
SUUMOなどは全てのデータが記載されている訳ではないので、こちらを使うことでより正確な相場をチェックできますよ!
土地総合情報システムを活用する
国土交通省が運営しているデータベース「土地総合情報システム」には、直近5年分の成約事例をチェックすることができます。
上で紹介したデータベースは現在売り出し中の価格しか分かりませんが、売買契約の中で買主の要求で金額を下げる可能性もあります。
土地総合情報システムは成約ベースなので、金額はより正確と言えます。
空き家査定を成功させるコツ
空き家を売却処分したい方には、遠方の空き家の実家を相続して、持て余しているケースも多いと思います。
遠方にある空き家を査定に出す際は、より多くの疑問が思い浮かぶことでしょう。
そもそも、どの地域の不動産会社に査定依頼すれば良いのか、一度も現地に行かずに査定・売却はできるのか…。
ここからは、住まいから離れたところにある空き家を査定に出す際の注意点を解説していきます。
現地の不動産屋に査定を依頼する
不動産会社は基本的に、店舗のある地域周辺の査定・売却に対応しています。
そのため、遠方の空き家を査定に出す際は、現地の不動産会社に依頼するようになります。
現地に支店があるお近くの不動産会社に依頼しても査定してくれるかも知れませんが、地域の知見の深さを考えれば、やはり向こうの会社に依頼することをおすすめします。
空き家の現状を確認する
まずは、空き家の現状がどうなっているか確認しましょう。
たった数か月間空き家を放置しているだけで、大量のごみが不法投棄されていたり、下水が蒸発して悪臭を漂わせたりしていて。大変驚くケースも多いです。
皆さんは空き家でなかった時の思い出がありますが、購入希望者にとっては、今の姿が第一印象になります。
高く売れないのはもちろんのこと、内見に来た人のがっかりする顔を見ると、売主としても精神的なショックを受けてしまいます。
半年~1年前に1度訪れている場合も、それから大きな変化を経ている可能性があるので、必ず現況確認することをおすすめします。
整理整頓や庭の草むしりをしておく
査定とは直接関係ないですが、物件内の整理整頓や、庭の草むしりもやっておきましょう。
査定が完了すると、契約→売り出し→内見とバタバタ手続きが進んでしまいます。
内見前に準備時間をとれるかが分からないので、事前に整備をしておきましょう。
周辺環境の雰囲気や市況をチェックしておく
最後に、空き家の周辺環境についても調べておきましょう。
人通りは多いか、スーパーやショッピングモールはあるかなどを調べておけば、成約までにだいたい何か月かかるかが分かります。
人の往来が盛んで、なおかつ住みやすそうな雰囲気なら、3~6か月ほどで成約が取れます。
一方、あまり人通りが少なく、アクセスも悪い地域なら成約まで半年以上はかかってしまいがちです。
今後のスケジュールをイメージするためにも、周辺調査をやっておきましょう。
第一印象を良くする
空き家に高値が付きにくい理由に、中が整理整頓されておらず、内覧希望者に断られやすいということがあります。
買い手は新生活に期待を抱いて物件選びをしているので、第一印象が悪ければ買ってはくれません。
遠方の空き家だから手が回らない…という言い訳も、買い手からしたら知ったことではありません。
大掃除や庭の草むしりなどを、売却中に最低1回は大々的におこないましょう。
第一印象は査定評価にはあまり影響しませんが、実際の成約率は初見のイメージが大きく影響します。
相見積もりをおこなう
査定額より高く売るテクニックの一つが相見積もりです。
これは、他社の査定結果を持ち寄って、「御社の査定額は低くないですか?」と相談し、金額を上げてもらう方法です。
他社と比較することで、その会社の査定額の根拠なども明確になるので、業者選びに役立ちます。
「うちのほうが査定額は低いですが、その代わりお得なプランを提案させていただきます…」となる可能性も高いでしょう。
ただ注意してほしいのは、査定額はあくまで査定額ということです。
実際に高く売れることが何より重要であり、そのためにはあなたが空き家に赴いて状況を改善するのが不可欠ということは知っておきましょう。
空き家査定の注意点
空き家を査定に出す際は、いくつか注意するポイントがあります。
遠方の実家が空き家になり、売りたい人が多いと言いましたが、近年では神奈川、埼玉、千葉などの首都圏でも空き家は拡大しています。
ここからは、空き家査定を検討している人全員が、事前に注意しておきたいポイントを紹介していきます。
査定額は実際の売却価格と異なる
査定額と実際の売却価格はイコールにならないことも多いです。
特に、ネットで査定を依頼する場合は実際の価格とズレが生じやすいので注意しましょう。
戸建て住宅は1か月空けるだけで急速に劣化すると言われています。何年も放置した空き家なら、中を見るのも怖いほど荒れ果てているでしょう。
しかし、ネット査定は築年数や面積、アクセスで価格を決めるので、内部の状況は考慮されません。
荒れた空き家はたとえ査定額が高かったとしても、売れ残る確率が非常に高いので注意しましょう。
査定額は業者によって異なる
査定額はどの業者も一定ではありません。
不動産会社によって査定額は違うので、必ず複数社に査定を依頼し、金額を比較する必要があります。
比較をすることではじめて、どの会社と契約すれば高く売れるかが分かります。
また、査定額を比較することで相場が分かりますし、相場とズレてる危険な業者をあぶりだすこともできます。
空き家の査定時にリフォームは不要
中古の空き家を買う人は、自分でリフォームすることを前提に物件探しをしています。
そのため、空き家査定の段階で売主がリフォームをするのは損ですし、逆に買主の趣味・嗜好に合わなくなり、売れなくなる可能性もあります。
リフォーム効果で査定額が高まることもありますが、古い空き家の全面リフォームは新築費用並みにかかるので、売れたとしてもトータルで大損になります。
査定前の掃除・整理整頓は大事ですが、リフォームまでする必要はありません。
査定を依頼する中で業者選びもおこなう
空き家を売る際は、まず査定に出して価格に納得したら契約するという流れになります。
つまり、空き家の査定に出す先はどこでも良い訳でなく、将来売却を頼む候補に依頼するのがベストです。
そのため、査定前に実績や規模、検査・保証サービスなどをちゃんと確認してから依頼するようにしましょう。
また、数十社へ機械的に査定を依頼するのは危険です。
不動産会社はちゃんと、査定依頼は契約・売却の第一段階という認識を持っているので、何とか契約を結ぼうと営業をかけてくる可能性があります。
複数社を比較したほうが良いのは確かですが、最初にしっかり精査してから依頼しましょう。
空き家査定でよくある質問
空き家査定でよくある質問について回答していきます。
急な相続などで空き家を受け継ぎ持っていても税金がかかるため売却の足掛かりとして査定を依頼する人も多くいます。
よくある質問をしっかりと把握して自分に当てはまるかどうか確認をしてみてください。
空き家の売却にかかる時間はどれくらいですか?
空き家の売却方法によってもかかる時間は異なりますが、不動産買取では2~3ヶ月程度、不動産仲介の場合は半年~1年程の期間がかかります。
ただし物件の規模と価格によって、売却までにかかる期間は異なります。
早く売却したい場合は不動産一括査定サイトを利用するようにしましょう。
不動産の査定にかかる期間はどれくらい?
簡易査定では最短で即日、長くても1週間以内には査定金額が判明します。
不動産鑑定士の依頼・訪問査定の場合は、物件の情報や周囲環境などを考慮して不動産の資産価値を算出するので2週間程の期間が必要です。
空き家の規模によって不動産価値の算出に要する期間は異なります。
早く・高く売却したい場合どうすればいい?
不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社に一度の依頼で査定を行ってもらうことが出来ます。
複数の不動産会社を合い見積もりすることで、高額売却できる不動産会社を見つけ出すことが出来ます。
不動産買取であれば、不動産仲介よりも早く買取をしてもらうことが可能です。
空き家査定は不動産一括査定サイトを活用するのがおすすめ
放置している空き家は、どうしても査定額が低くなりがちです。
こうした空き家をお得に売るためには、出来るだけ多くの業者の査定額を比較し、出来るだけ高く査定してくれた業者と契約するのが近道です。
ただ、1社1社に電話をかけて査定を依頼していたら、時間と手間がかかってしまいます。
そこでおすすめなのが、一括査定サイトの活用です。
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