都心にそびえるタワーマンション。そこは出世街道の先にある憧れの住み処。
しかし、タワーマンションを購入して後悔をしたという話をよく耳にしませんか。
タワマンとは高さが60メートル超、または階数が20階超の住居建築物を指します。並みのマンションと違い、高層であるが故のタワマン独自の悩みがあるわけです。
ここではタワマン購入後して後悔したデメリットを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
タワマン購入を後悔させる8つのデメリットを住民ブログから分析
タワーマンションに住むことに何となく憧れる人も多いでしょうが、実際に住んでみるとまた別の問題が生まれます。
実際、「タワマンに引っ越してよかったですか?」という問いに対しては、かなりの数の人が「後悔している」と答えています。
ここからは、後悔する要因になる主な理由8つを紹介します。
①高層であるがゆえの不便
高さ60mを超えるタワマンはその高さが最大のメリットであり、そしてまたデメリットとも言えます。その絶景の裏で何がデメリットになるのでしょうか。
ベランダに物が干せない
タワーマンションの高層階は安全のため洗濯物の外干しが禁止されています。またそもそもベランダが設置されていないことも珍しくありません。
ベランダを除き、全面ガラスにすること解放感ある眺望を住人に提供してくれます。
しかし全面窓になった場合、開放することはできません。景色と実用性の両立は難しいのかもしれません。
強烈な日差し
圧倒的な高さを誇るタワマンには遮蔽物がない。まさに誰にも邪魔されない解放的な景色が眼下に広がるでしょう。と聞こえはいいですが、遮蔽物がないがために生じる問題の1つが「日光問題」です。
遮るものがないため強い日差しを太陽に近い距離で一日中浴びることになります。カーテンを引けば日差しを遮ることはもちろん可能ですが、日中からカーテンを引いて晴天が見えなくなってしまうは寂しいですよね。
そしてマンション自体が熱を帯びるので特に夏場は一日中エアコンをつけっぱなしにすることも珍しくありません。
強風がもたらす恐怖
遮蔽物がないことによって生じる問題がもう一つ。それは「強風問題」です。
強風がマンションに当たった時に生じる「音」と「揺れ」は避けられないストレスになります。
制振装置がしっかり設置されているので生活に支障をきたすほど揺れることはありませんが、それでも微かに体感できる振動に気持ち悪さや恐怖を感じる方もいます。
また海が近いタワマンは、風で運ばれてくる塩が原因で生じる塩害も気になるポイントです。
塩が付着することで腐食しやすくなり、その箇所から雨漏りが起こってしまうこともあります。
②エレベーター問題
高層階まで快適かつ安全に住人を運んでくれるエレベーター。
もちろんタワマンのエレベーターの速度は速く、複数台設置してあるので利便性は間違いなく高いはず。
では、果たしてなにが問題なのでしょうか。
朝は通勤・通学で渋滞が発生
一番の問題は通勤時間や帰宅時間になると大変混雑することです。
その場合、外に出ようとエレベーターを読んでもほぼ全ての階で停止して、やっと到着しても満員で搭乗できないこともあります。
帰りはエレベーターに乗るまで行列ができ、ぎゅうぎゅうに詰め込まれる形で上まで運ばれていく…これは大きなタイムロスとストレスになります。
売り文句で使われている「駅から徒歩〇分!」が実現する機会は少なそうです。
また定期的にエレベーターの点検が行われるので、利用できるエレベーターが少なっている日は降りるだけでも大変です。
宅配物の受け取りが面倒
宅配ロッカーたるものが誕生して配達問題は解決したかのように思えますが、そうではありません。
重量がある荷物が投函されると必然的に自分で上まで運ばなくてはなりません。
また生鮮食品などは宅配ロッカーに入れることはできないため、こちらの階に運んでもらうことになりますが、ロック解除のために二重三重のインターホンチェックが必要になるため少々億劫な気持ちになります。
タワマンはセキュリティ面がかなり強化されているため、今話題のUBER EATSなどの派遣型宅配サービスは入館に面倒な手続きを求められることがあります。
③地震問題
タワーマンションの購入を考えている人が一番心配する問題と言っても過言ない地震問題。タワーマンション自体は震度7程度でも倒壊しない構造基準を満たしているため、災害に強い建物と言えます。
しかし、あえて建物を揺らせることで崩壊を防ぐ免震構造になっているので高層階の振れ幅が大きくなり、揺れを大きく感じてしまいます。
そして地震の影響で電気が止まってしまうとエレベーターの利用ができなくなってしまうので外に避難するのにも一苦労です。
④タワマンカースト・ヒエラルキー
タワマンヒエラルキーという言葉を聞いたことはありませんか?
事実、階層を一つの基準として年収、家長の職業などでそのマンション内の立ち位置が決まるという話があります。
マンション内の見栄を気にしてしまい、子供の教育に熱が入り過ぎたり、普段からハイブランドで着飾ったり、お茶会に参加した帰りのエレベーターで自分の階数を押すことが恥ずかしくなったといった経験まで見受けられました。
またマンション内での付き合いにもお金がかかり、多くの出費をしてストレスを抱えてしまった住人もいます。
そういった派閥に子供が巻き込まれることもあり、子育てではさらに慎重なご近所付き合いが必要になってきます。
➄タワマンの周辺エリアで起こる問題
タワマンの乱立によって大きな影響を受けるのは周囲の環境です。平成19年ごろから再開発が進められてきた武蔵小杉駅周辺は急速な人口の流入によって様々な問題を引き起こしています。
最寄り駅である武蔵小杉駅の通勤ラッシュの時間帯は改札に大行列ができるほど混んでいます。人口に比例するように周辺エリアの平均物価が上昇し、さらには待機児童問題も顕在化してきました。
⑥管理費問題
タワーマンションの特徴ともいえる多彩な共用施設。それらは住居者による多額の管理費によって賄われます。
豪華なプールやジム、最上階のラウンジ、ゲストルームなど目を引くものが多いですが、使用の有無を問わず管理費としてしっかり請求されます。
使ってないのに請求されるなんてとても損をした気持ちになりますよね。いざ使ってみようにも、共用施設の利用には予約が必要で、いつまで経っても予約が取れないなんてことも…。
管理費のほかにも外壁や窓ガラスの清掃などの維持管理費を別途で請求されることもあります。
⑦修繕積立金問題
2000年前後から急増したタワーマンションは今や大規模修繕が必要になる時期になってきました。
タワマンの住民たちには修繕積立金というものを毎月払い、その大規模修繕のための資金を備えています。
ちなみにこの積立金はマンションを売却しても返金されることはないので注意が必要です。
修繕時期が近づくにつれて当初の予想費用を大きく超えてくることが判明してくることがあります。
すると、いきなり修繕積立金の額が値上げされます。その値上げ幅も2倍、3倍と大きく値上げされることもあるため、家計に大きなダメージを与えるでしょう。
実際、タワマンの大規模な修繕作業はこれまで行われていないため、正確な見積もりは不可能とも言えます。
作業自体が始まってから足りない分をあとから住民に請求されることも十分あり得るでしょう。
⑧タワマンの価値は今後下がる?
タワーマンションには資産価値がある。と聞きますが果たして本当にそうでしょうか。固定資産税も戸建ての住宅と比べて税額が高く、上記で述べた通り資産価値を維持するためのランニングコストが異常に高くなることは明らかです。
さらにタワーマンション乱立は結果として住宅供給過多を起こしたと言われています。
それによる価値の下落も懸念されているため、安定が確約された資産とは言い難いでしょう。
体験者が語るタワマンを買って後悔した様々な理由
ここではタワーマンションに住んでいた方の体験談をまとめてみました。それぞれが抱える身近な悩みが見えてきます。
子育て向きの環境とはいえない
タワマンの高層階は子供の成長を妨げるという話があることをご存じでしょうか。
外で遊ぶことも少なくなり、実体験を通しての物事のイメージができなくなると言われています。
確かに窓は閉め切られ、適温が保たれ続ける高層環境は季節感や五感が育まれやすい環境とは言えません。
周りからの嫉妬がつらい
タワマンに住むことで旧友と距離を置かれることがあるそうです。
冒頭でも述べた通り、タワーマンションは他の住み処と比べても格別です。
そのために「タワマン」という単語を聞いただけで構えてします人も少なからずいるでしょう。
その方は旧友に何気なく、タワマンに引っ越したことを伝えると心配を装った嫌味を言われ、その後露骨に距離を置かれるようになったらしいです。
騒音トラブルはタワマンでも変わらず起こる
タワマンに限らずマンションに騒音問題は付きものです。いくら天井が高く、壁が厚く作られているタワマンでも、激しい動きをすればその振動は騒音となって真下の階に響いてしまいます。
また壁の素材によっては隣の部屋もの音がダイレクトに聞こえてくる、隣の家で物を引きずる振動が床から伝わってくるなどの悩みも聞かれました。
騒音トラブルはタワマンに限ったことではありませんが、住む前にしっかりと騒音チェックをしておくことが大切です。
タワーマンション購入で後悔した人の多いエリアと理由
タワーマンション購入で後悔した人には様々な理由があって一概に何が原因か仮定することはできません。
ただ、都内タワマンを購入して後悔した人は、割と住んでいたエリアや理由が偏る傾向にあります。
特に「後悔した」という口コミの多い2エリアと、その理由を紹介していきます。
武蔵小杉のタワーマンションを購入して後悔した理由
買って失敗したエリアとして良くあげられるのが武蔵小杉です。
神奈川県川崎市中原区に位置し、首都圏の中では一定の規模を誇る工業地帯でもあります。
武蔵小杉の中にタワーマンションは乱立しており、全国でも屈指の棟数を誇ります。
武蔵小杉のタワマンに住むメリットとしては、以下が挙げられるでしょう。
- 交通アクセスが抜群
- 高いセキュリティ機能
- 周辺施設が充実
タワマンの棟数が多い故に入居経験者の数も多い訳ですが、その上で住んで後悔した人はどんな理由があるのでしょうか?
地盤が悪いので心配
武蔵小杉は地盤に不安があるエリアで、水害や液状化のリスクがあります。
東日本大震災で地盤沈下が起こった例から、新浦安や海浜幕張のマンション価格が下落した事例もありましたが、武蔵小杉も台風による浸水被害がニュースで大々的に報道されるなど、これらのエリアと同じ道を歩む可能性が十分にあります。
電気系統・排水設備がダメージを負いやすい
地盤の弱さと関係して、地下に設置されている電気系統や排水設備が災害でダメージを受けて停止するリスクが他のエリアよりも高いです。
タワマンの場合、1棟まるごと電気や排水が止まってしまうと、高層階に暮らす人ほど外への出入りが難しくなり大変です。
免震構造のタワマンが多く強風で揺れやすい
武蔵小杉のタワマンは、敢えて物件が揺れて地震エネルギーを吸収する構造であることが多いです。
この構造は大地震以外でも物件が揺れやすく、強風・台風などでかなり揺れて怖いという意見も多くあります。
豊洲のタワーマンションを購入して後悔した理由
武蔵小杉と同じくらいタワマンが多いのが、豊洲を中心とした湾岸エリアです。
武蔵小杉にタワマンが多く竣工されたのは比較的最近の話ですが、長い間タワマンの数が最も多かったのが湾岸エリアです。
築地市場の移転や選手村マンションの竣工などで再注目される豊洲ですが、どんなデメリットがあるのでしょうか?
無理してタワマンに住む人が多い
豊洲周辺は日本で最もタワマンが多いエリアで、暮らす人のかなりの割合がタワマンに暮らしている計算となります。
もちろん、高収入者が湾岸エリアに集まってくるという側面もありますが、豊洲周辺に勤務先がある人が無理をして高い家賃を支払っているケースも良くあります。
いわゆるタワマン貧乏は豊洲周辺に多いと言われており、その分後悔する人も多いと考えられます。
生活にかかる費用が高額
タワマン入居者の数が多い豊洲周辺は、住民の平均収入が高く、様々なサービスの単価が高めな傾向にあります。
よく言われるのがピアノや塾などの習いごとで集団指導をする例は少なく、高い費用を支払って個別指導を依頼するのがスタンダードという話です。
高い家賃を支払い無理をしてタワマンに住むと、生活費が高くなるのも相まってどんどん負担が膨らんでいってしまいます。
後悔しないタワマンの選び方
タワマンは高価な買い物なので、適当に選んでしまうと大失敗する恐れがあります。
ここからは、失敗しないためのポイントを解説していきます。
資産価値の落ちにくさで選ぶ
タワマンの資産価値は、立地や眺め、築年数などで変わります。
都心から近いなどプラスの外的要因があると、築年数が経過しても資産価値が落ちにくくなります。
特に立地が良くなくても、管理が行き届いていて修繕をおこなっているマンションは資産価値が高い傾向にあります。
どんなに遠方でも内覧をおこなう
「タワマンなら内覧しなくても買って損はしない」と考える方は多いでしょう。
ただ、実際は広告写真とギャップのある高級物件はいくつもあります。
どんなに遠方でも一度は物件をチェックし、自分の理想と違いはないか確認しましょう。
共用部分をしっかり確認・精査する
マンションの暮らしやすさや資産価値は共用部分の充実度や管理の状況にかなり左右されます。
特にタワマンは共用部分が豪華で物件の目玉と言えますが、設備やサービスを詰め込みすぎていると教育費が値上がりするリスクが高いので注意しましょう。
将来を考えた階層選びをする
最上階で眺めの良い暮らしに最初は憧れていても、子どもが生まれたり年老いたりするとエントランスへの乗り降りが大変で苦労してしまうことが多いです。
「結局低層階のほうが良かったなあ…」と思っても下の階に住み替えることは中々できないので、一生タワマンに住む予定の方は良く考えた上で選びましょう。
複数の物件を必ず比較する
タワマンはどの物件にも必ずメリット・デメリットが存在します。
1件だけを見ても、他と比較しなければどこがメリットなのかデメリットなのか分かりません。
希望のエリアにタワマンが少ない場合も、低層マンションを含めて必ず比較しましょう。
エレベーターの設置基数を把握する
タワマンは一つの棟に多くの方が暮らしています。
朝の通勤時などは一斉にエレベーターに人が殺到することで、大変な混雑となる可能性があります。
特にインフルエンザが流行している時期などに、エレベーターで多くの人と乗り合わせるのは極力避けたいですよね。
多くの人が殺到しても問題ないくらいの設置基数があるのか確認しておきましょう。
修繕積立金の現状と値上がり後を資産する
タワマン入居者の支払いのうち、修繕積立金は数年後に値上がりする可能性があるので注意しましょう。
修繕積立金の額は、長期修繕計画によって決められています。
どんな工事をいつおこなうか長期的に計画したもので、だいたい5年ごとに見直しがおこなわれます。
防災設備をチェック
最近問題になっているのが、火災・水害によってタワマンが被害を負うケースです。
下層階が火災の場合は屋上のヘリポートから脱出できるのがタワマンというイメージを持つ方も多いですが、ヘリポートの整備が出来ていない物件も多く、本当に空から逃げられるかどうかは自分で確かめる必要があります。
高い防犯・セキュリティ設備があることの多いタワマンですが、自然災害の被害は多く報告されているので注意が必要です。
タワマン購入は慎重に!後悔しないように準備しよう
安住の地に見えるタワマンも様々なデメリットを抱えているわけです。
タワマンが持つ「高い」という特徴は良くも悪くも生活に深く影響してきます。
都心にそびえたつタワーマンション群。自分が住むところに求めている「住みやすさ」「快適さ」「これからの生活」は見上げたところにあるのか、それとも今の目線の高さに位置しているか。
もう一度じっくり考えてみてもいかもしれません。