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不動産売却

不動産売却で発生するトラブルの事例とは?トラブルの理由や相談先・対処方法について徹底解説

不動産売却で発生するトラブルの事例
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不動産売却は高額な金銭が動くため、トラブルが発生しやすい取引のひとつです。

とくに中古住宅の売却では、建物の状態や設備の不具合、境界の不明瞭さなど、さまざまな要素が絡むため、事前の対策が不十分だと後々のトラブルに発展するリスクがあります。

本記事では、不動産売却で起こりやすいトラブルの具体例とその対処方法について解説します。

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Contents

不動産売却で発生するトラブル事例【建物】

ここからは、不動産の中でも建物(戸建て・マンションなど)を売却する際に発生しやすい主なトラブルについて解説します。

物理的瑕疵(雨漏り・シロアリなど)を告知・共有していない

建物に構造的な欠陥や劣化があるにもかかわらず、売主が告知・契約書に明記しなかった場合、買主から契約不適合責任を問われる可能性があります。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 雨漏りや外壁のひび割れ
  • シロアリ被害による土台や柱の腐食
  • 不同沈下や建物の傾き

これらの瑕疵が判明した場合、買主から契約解除や損害賠償請求を受けるリスクがあります。

こうしたトラブルの対処法として、売却前に建物のインスペクション(建物状況調査)を実施し、瑕疵がある場合は告知書・売買契約書に明記しておくことが重要です。

また、告知内容を補完する意味でも、既存住宅売買瑕疵保険を活用することで、売主・買主双方の不安を軽減できます。

残留予定物・付帯設備に関する齟齬が発生した

売買契約後に「エアコンや照明器具は残ると思っていた」「撤去されると思っていた残置物がそのままだった」など、付帯設備や残留物に関するトラブルも多く発生します。

このような齟齬を防ぐため、あらかじめ付帯設備表を作成し、どの設備を引き渡すか、撤去するかを明確にしておきましょう。

付帯設備表の例【公益社団法人 全日本不動産協会HP】

また、劣化や不具合がある場合は現状を正直に伝え、契約書にしっかりと「現状有姿で引き渡す」などの免責条項を記載するようにしましょう。

設備の故障や劣化の見落としを告知・共有していない

給湯器・換気扇・インターホンなどの設備に不具合があるにもかかわらず、事前の説明がなかった場合、売主に説明義務違反を問われる可能性があります。

見た目には分かりにくい設備の不具合は、引渡し後に発覚してトラブルになりやすいため注意が必要です。

設備についても事前に作動確認を行い、不具合があれば修繕またはその旨を買主に伝えましょう。

不動産売却で発生するトラブル事例【土地・周辺環境】

境界線が曖昧なことで起こるトラブル

戸建てや土地の売却でよくあるのが隣地との境界線をめぐるトラブルです。

境界標が埋設されていなかったり、過去の登記情報と現況が一致していなかったりすると、買主が不安を感じたり、購入後に隣地との権利関係でもめる原因になります。

売却前に境界確認書筆界確認書の取得、または土地家屋調査士による測量を実施し、隣地所有者と境界立会いを済ませておくと安心です。

測量図や境界に関する書面も契約時に添付しておきましょう。

地下埋設物(ガラ・廃材など)がある

売却後に買主が土地の造成や建物の基礎工事を進めていく中で、地下から廃材・古い基礎・浄化槽などが出てきてトラブルになるケースがあります。

特に廃材などの埋没物は地中で風化・腐食して、耐震による被害リスクや災害時の倒壊リスクを著しく上げます。

これらは契約不適合責任の対象になる可能性があり、売主が処理費用や損害賠償を請求されることもあります。

売却前に土地の履歴(工場跡地など)を把握し、必要に応じて簡易的な地盤調査や掘削調査を行っておきましょう。

また、過去に何か埋まっていたことを知っている場合は、必ず告知書契約書の容認事項欄にその旨を記載してください。

環境的瑕疵(騒音・近隣施設)に関するトラブル

物件自体に問題がなくても、「近隣に暴力団事務所がある」「昼夜問わず工事騒音がある」「悪臭が漂う工場が近い」など、周辺環境の問題によってトラブルが発生することがあります。

これらは心理的瑕疵や環境的瑕疵として、契約後に買主から解除や損害賠償を求められるケースもあるため注意が必要です。

こうした環境的リスクについても、「買主の生活に影響を及ぼす可能性がある」と判断したら、告知書に記載しておくことが重要です。

迷った場合は不動産会社と相談し、透明性のある説明を心がけましょう。

不動産売却で発生するトラブル事例【業者・契約】

不動産一括査定サイト利用時のトラブル

不動産一括査定サイトの仕組み

複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる不動産一括査定サイトは便利ですが、利用後に過剰な営業電話がかかってきたり、現実離れした高額査定で囲い込もうとする業者に遭遇したりと、トラブルに発展することがあります。

まずは、利用前に下記の点を確認しましょう。

一括査定サイトのチェックポイント
  • そのサイトが提携業者の審査基準を設けているか
  • 運用会社が信頼できる、実績のある会社か
  • 悪徳業者と繋がった場合はサイト運営会社も責任を負うか
  • 査定を依頼する不動産会社は申込前に確認ができるか

不動産一括査定サイトは基本的には不動産会社と依頼者の仲立ちをしているだけで、実際のトラブルは不動産会社と依頼者の間で起こる可能性のほうが高いです。

一括で査定ができるからといって全ての業者へすぐ依頼をせず、申込前に1社ずつホームページや口コミなどを確認することをおすすめします。

囲い込みに関するトラブル

囲い込み

囲い込みとは、両手仲介(売主・買主双方の仲介業者が同一の会社)の状態を実現するために、物件情報をレインズに登録しない、ポータルサイトなどに情報を掲載しない、他社からの問い合わせを後回しにするなどの行為をおこなうことを指します。

相場より売却価格が下がりやすく、かつ成約までにかかる期間も長くなりやすいので、売主にとってはデメリットの大きい状況だと言えます。

巷には両手仲介自体を問題とする言説もありますが、両手仲介の取引で必ずしもトラブルが起こる訳ではないので、囲い込みをされているかどうかは分かりにくいというデメリットもあります。

レインズの情報は正規の不動産会社以外は確認できないので、囲い込みが疑わしいと思ったら他の不動産会社に確認してもらうといった対応も有効です。

契約書・管理規約の説明不足によるトラブル

マンションなどでよくあるのが、「ペット飼育不可」「DIY不可」などの管理規約を事前に確認していなかったため、購入後にトラブルとなるケースです。

また、売買契約書の内容についても、口頭説明だけで十分に理解しないまま契約してしまい、後に誤解が生じることがあります。

売主としては、最新の管理規約を買主に提示し、重要な条文については口頭だけでなく契約書の容認事項にも明記しておくことが重要です。

契約書や重要事項説明書についても、必ず仲介業者とともに丁寧に確認しましょう。

契約解除・ローン不成立によるトラブル

買主がローン審査に落ちたことを理由に契約解除を申し出てきた場合、解除理由や手続きが明確になっていないとトラブルになります。

あらかじめローン特約(融資利用の特約)を売買契約書に盛り込んでおくことで、買主がローン不成立となった場合でも契約解除の条件が明確になり、トラブルを防げます。

契約前に特約の内容を必ず確認しておくべきです。

不動産売却でトラブルが多い理由

理由1】一度の取引で大きな金額が動くため

不動産売却では、数百万円から数千万円という大金が一度に動くため、売主・買主の双方が非常に慎重になります。

少しの認識違い説明不足でも、後に重大なトラブルへと発展するリスクがあります。

たとえば、支払期日のずれや売買価格に含まれる費用の認識違いなど、事前の確認を怠ると、契約不履行や損害賠償請求の可能性も出てきます。

理由2】多様な専門知識が必要となるため

不動産売却には、建築・法律・税務・登記・ローン・環境など幅広い分野の専門知識が求められます。

売主・買主ともにすべてを把握するのは困難で、説明や理解が不十分だと情報格差によってトラブルが起こります。

特に売却益の税務申告や、契約不適合責任、容認事項の定義など、事前に知っておくべき制度やルールを知らずに進めると、損失を招く結果にもなりかねません。

理由3】自社利益を優先する業者も存在するため

不動産業界には優良な業者が多く存在する一方で、手数料目的の囲い込みや、不利な契約への誘導など、売主の利益よりも自社の利益を優先する業者も一部に存在します。

「高く売れる」と過度な期待を煽って媒介契約を結ばせた後に値下げを迫るなどのケースなどがその典型です。

仲介業者への報酬である仲介手数料は不動産を高値で売却するほど比例して高くなりますが、仲介手数料は売却価格の3%+6万円(+消費税)となるため、売却価格が数十万円増えたとしても、仲介手数料にはほとんど反映されません。

そのため、少しでも高く売るために時間とコストをかけるより、相場より低値で売り出して早期成約をはかり、回転率の向上を目指す業者も少なくありません。

契約前に業者の評判・実績を確認し、複数社を比較することがトラブル回避には不可欠です。

不動産売却のトラブルを避けるポイント

不動産売却においてトラブルを完全に防ぐことは難しいですが、事前の準備と確認によって、ほとんどのリスクは低減できます。

特に、売主としての責任や契約内容を正しく理解しておくことが重要です。

契約不適合責任について理解しておく

契約不適合責任とは、売買契約で約束された内容に物件が適合していない場合に、売主が負う責任です。

たとえば、雨漏りやシロアリ被害などの不具合を告知せずに売却した場合、買主からの請求リスクが生じます。

トラブル防止のためには、契約書・告知書の内容を具体的に記載するとともに、必要に応じて契約不適合責任の免責条項を盛り込むことが効果的です。

売買契約書の内容を細部まで確認する

売買契約書は、不動産取引のすべてを規定する法的書類です。

価格・引渡時期・手付金・違約金・契約解除条項など、すべての条件を読み込んでおく必要があります。

また、特約・容認事項の欄には、物件に関する注意点(例:旧耐震、騒音など)を詳細に記載しておくことで、起こりうるトラブルを予防できます。

設備に関する免責事項を記載する

給湯器・エアコン・照明などの設備については、現状有姿で引き渡す旨の記載や、故障時の免責規定を入れておくと、売主の責任を限定できます。

設備表により、どの設備を引き渡すかを明示し、「引渡し後の不具合は保証しない」と記載することがトラブル防止の基本です。

物件の欠陥を正直に告知する

雨漏り・地盤の問題・近隣トラブルなど、買主が購入判断に影響を受ける内容はすべて正直に開示する必要があります。

虚偽や隠蔽があった場合、契約解除・損害賠償の対象になるリスクがあります。

たとえ「些細なこと」と思っても、売主にとっての当たり前は買主にとっての瑕疵になる可能性がある点に留意が必要です。

契約解除時の条項を盛り込む

万が一、住宅ローンの審査に落ちた場合や、買主都合で契約を破棄したい場合などを想定し、契約解除の条件を明文化しておくことが重要です。

「ローン特約」や「違約金の定め」を明記することで、予期せぬトラブルにも適切に対応できます。

売買にかかる費用について詳しく説明する

仲介手数料・登記費用・契約書の印紙税・固定資産税精算など、売却にかかるすべての費用について、買主・売主間で丁寧に説明・確認を行うことが大切です。

費用の負担割合を明確にしておかないと、引渡し時にトラブルとなる可能性があります。

契約違反時のペナルティを決めておく

契約不履行が起きた場合の対応として、違約金や損害賠償請求の条件を契約書に明記しておきましょう。

双方が認識を共有しておくことで、万一のトラブルも円満に処理できます。

不動産売却でトラブルが起きた場合の相談先

不動産売却におけるトラブルは、売主個人の力では解決が難しい場合もあります。

特に法的責任や損害賠償が関わるケースでは、専門機関や専門家のサポートが不可欠です。

以下に、不動産売却時にトラブルが発生した際に相談できる窓口や専門家を紹介します。

契約先の担当者・営業責任者

まずは契約した不動産会社の担当者に連絡するのが第一歩です。

契約内容・経緯を理解しているため、トラブルの背景を把握しやすく、迅速に対応してもらえる可能性があります。

もし解決が難しいと感じた場合は、その上司や営業責任者へ引き上げて相談することで、対応の質が改善するケースもあります。

大手不動産会社の相談窓口

多くの大手不動産会社では、トラブルやクレーム対応のための専用相談窓口を設けています。

自社サービスのトラブルだけでなく、他社との取引に関する一般的な相談を受け付けている場合もあります。

不動産業界団体(社団法人等)の相談窓口

例えば以下のような団体では、売却時のトラブル相談を無料で受け付けています。

  • 公益社団法人 全日本不動産協会
  • 公益社団法人 不動産保証協会
  • 各都道府県宅建協会 など

トラブルの内容によっては、指導・調停・仲裁といった対応をしてくれるケースもあります。

弁護士・司法書士・税理士などの専門家

相談相手 対応できるトラブルの例
弁護士 契約トラブル、損害賠償、契約解除など法的紛争全般
司法書士 登記手続き・所有権移転・相続不動産の名義変更
税理士 売却益の課税・譲渡所得税・相続税・贈与税の相談
土地家屋調査士 土地境界・面積測量・境界確定トラブル

自治体の消費生活センター

全国の市区町村には、消費生活センターが設置されており、不動産売却に関する相談も対応範囲内です。

無料で相談できるため、初期段階のトラブル相談先として有効です。

国土交通省・地方整備局

不動産業者による重大な違反(囲い込み、虚偽説明など)があった場合は、宅建業者を監督する機関である国土交通省の各地方整備局へ報告することで、業者への指導・行政処分が検討されます。

国民生活センター(消費者ホットライン)

不動産に限らず、生活全般の消費トラブルに対応する公的機関です。

中立的な立場でアドバイスやあっせんを行ってくれるため、契約の内容に疑義がある場合などは活用価値があります。

トラブルなく不動産売却を任せられる会社の特徴

不動産売却においてトラブルを未然に防ぐためには、信頼できる不動産会社の選定が最も重要なポイントです。

売主と購入希望者の間での齟齬を避けるには、業者の説明力や対応姿勢、そして透明性が問われます。

以下に、トラブルなく売却を進められる会社の特徴を解説します。

特徴1】売却実績が豊富

売却実績が豊富な会社は、多様な物件・地域・価格帯に対応してきた経験があります。

市場価格の把握、スムーズな進行ノウハウ、トラブル発生時の対処能力など、実績を積んだ企業ならではの強みが売主の安心につながります。

特徴2】営業担当者の対応が丁寧で信頼できる

不動産売却は売主と営業担当者との密なやり取りが発生するため、担当者との相性や信頼関係は非常に重要です。

質問に丁寧に答えてくれる、報連相がしっかりしているなど、顧客視点で対応してくれるかを確認しましょう。

特徴3】囲い込みを行わない

「囲い込み」とは、自社の利益のために他社からの購入希望を断る行為です。

これにより売却が遅れたり、売却価格が下がるといったデメリットが生じます。

レインズへの登録状況や広告活動の透明性などを確認し、囲い込みを行わない健全な会社を選ぶことが大切です。

特徴4】査定価格に根拠がある

査定額が高いだけで不動産会社を選ぶのは危険です。

査定根拠として「周辺の取引事例」「物件の強み・弱み」「市況データ」などの説明があるかをチェックしましょう。

根拠ある価格提示ができる会社は、信頼性の高い対応が期待できます。

不動産売却のトラブルは発生原因と対処法を理解しておくことで阻止できる

不動産売却におけるトラブルは、高額な金額が動くことや、複雑な契約・制度が関係していることから、完全に避けることが難しい側面があります。

しかし、発生しやすいトラブルのパターンとその予防策を理解し、信頼できる不動産会社と正しい契約を結ぶことができれば、リスクを大幅に減らすことが可能です。

特に注意すべきポイントとしては、以下のような点が挙げられます。

トラブルを避けるポイント
  • 契約不適合責任の内容を理解する
  • 告知書・契約書を正確に記載する
  • 業者の対応姿勢・情報開示に注意する
  • 問題が起きたら専門機関へ早めに相談する

売主にとって不利な条件での契約や、後から法的責任を問われるような取引を避けるには、「備え」と「信頼」が不可欠です。

正しい情報と準備をもとに、安全で納得のいく不動産売却を実現させましょう。

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