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不動産売却

不動産売却時の税金は5年で課税額が大きく減少する?短期譲渡所得の仕組みと譲渡所得税の計算方法

不動産売却 税金 5年
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売却する不動産の保有年数が5年を超えるかどうかによって土地や建物を売ったときの譲渡所得にかかる税金の額が変化するということは知っているでしょうか。

この税金は譲渡所得税と呼ばれるものであり、不動産を売却して利益が発生したときに課される税金となっています。

不動産がいつ頃に、いくらで売却されるかを完璧に予測することは不可能ですが、譲渡所得税の仕組みを知っていればおおよその課税額を算出できます。

特に特に国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している方は、不動産売却によって翌年の健康保険料が上がる可能性があります。

加入している健康保険の種類によっては保険料にも影響することを理解し、不動産売却は計画的に進めましょう。

この記事の監修者
水野 崇
監修者
水野総合FP事務所 代表
水野 崇さん

宅地建物取引士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者。

相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活動する独立系ファイナンシャルプランナー。

全国1000名以上から日本FP協会に寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。
年300本の執筆・監修を手掛けながら、学校法人専門学校では非常勤講師として金融リテラシー講義を毎週行っている。

●大水野総合FP事務所のホームページ
(https://mizunotakashi.com/)

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5年を過ぎると不動産売却でかかる税金が安くなる理由

不動産売却した際の譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引き計算されます。

最終的にはこの額に税率をかけて、譲渡所得税を算出します。

税率は、売り手が何年ほど不動産を所有しているかで変わり、5年を5年を超えると下がります。

わかりやすく表示すると、以下のようになります。

【短期譲渡所得】 【長期譲渡所得】
所得税 30% 15%
住民税 19% 5%

所有期間が5年を超えることで、税率が39%から20%に変わります。

急いで売却する必要がなければ、譲渡所得税の税率の違いを考慮し、なるべく5年超経過してからの売却を目指しましょう。

【補足】不動産所有期間の算出方法

税金が安くなるかどうかの目安としては所有期間が5年超か5年以下かがポイントです。

ただし、この期間は不動産の取得日から買い手に引き渡す日までではなく、売却した年の1月1日が基準日でとなります。

そのため、引き渡し日までを計算していて、5年経った段階で売却しても、実際には1月1日時点での所有期間は5年以下で、税率の高い短期譲渡所得に該当する場合があります。

また、不動産売却にかかる期間は、一般的に売り出しから6ヶ月程度かかると言われますので、市況を見据えタイミングを考慮する必要があるでしょう。

不動産売却を5年以内でおこなった場合と5年超でおこなった場合のシミュレーション

物件情報
  • マンションの売却価格:1億円
  • マンションの構造:RC造
  • 譲渡費用:400万円
  • 取得費:8,000万円(内訳:建物部分の取得費:6,000万円)

上記のマンションを売却するとして、所有期間5年以下で売る場合と、5年超で売る場合の概算課税額を、税率の違いを踏まえて比較してみましょう。

売却時期 適用される譲渡所得税の区分 譲渡所得税の税率
5年以下での売却の場合 短期譲渡所得税率 39.63%
5年を超えての売却の場合 長期譲渡所得税率 20.315%

まず、減価償却費を計算します。

減価償却費=建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数

=6,000万円×0.9×0.015×5=450万円

次に、譲渡所得を計算します。

譲渡所得=売却価格-(譲渡費用+取得費-減価償却費)

=1億円-(400万円+8,000万円-405万円)

=2,005万円

5年以下での売却の場合、短期譲渡所得税を計算します。

短期譲渡所得税=譲渡所得×短期譲渡所得税率

=2,005万円×39.63%

794万5,800円(100円未満は切り捨て)

5年を超えての売却の場合、長期譲渡所得税を計算します:

長期譲渡所得税=譲渡所得×長期譲渡所得税率

=2,005万円×20.315%

407万3,100円(100円未満は切り捨て)

所有期間が5年を超えるかどうかで、課税額が約387万円も変わる計算になります。

※建物部分の減価償却費は経過年数により変動します

所有期間5年超で利用できる不動産売却の特例控除

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は、所有期間5年超(売却したの年の1月1日時点)の場合に利用できます。

この特例では、マイホームの買い替えをするために購入時よりも安く売却して譲渡損失が発生した場合、一定の要件を満たせば給与所得や事業所得などから譲渡損失を控除(損益通算)できます。

売却した年の他の所得で控除しきれない譲渡損失があれば、翌年以降の最長3年間にわたって損失額の繰り越し控除が可能です。

所得税や住民税が軽減される制度ですので、損益通算して年間所得0円になった場合、源泉徴収税額も税金還付の対象となります。

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除について、所有期間5年超(売却した年の1月1日時点)で利用できる特例には、マイホーム売却で住宅ローンが残っている場合に譲渡損失を控除(損益通算)できる制度があります。

これを「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と呼びます。

この特例を使って損益通算できる損失額は、「マイホームの売却による譲渡損失分」か「住宅ローン残高から売却価格を差し引いた金額(オーバーローン部分)」のいずれか小さい金額までです。

所有期間以外にも様々な適用要件を満たす必要がありますので、譲渡損失が発生した場合は税務署に確認してみましょう。

不動産売却と所有期間の関係性をおさらい

所有期間5年を超えると税金はどのように安くなる?

所有期間が5年以下は、短期譲渡所得に該当し、税率は所得税と住民税の合計で約39%となります。

一方、所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得となり、税率は所得税と住民税の合計で約20%です。

単純な課税額だけを見ると、所有期間5年超(売却した年の1月1日時点)で売ったほうがお得となります。

所有期間5年超で売ったほうがお得?

所有期間5年超で税率が下がり、課税額を減らすことができます。

しかしながら、5年超で売却をしたほうが必ずしもお得という訳ではありません。

基本的に建物部分に関しては、築年数の経過とともに資産価値が下落し、築年数が浅いうちに売ったほうが売却益は大きくなることが期待できます。

資産価値の下落スピードは立地や構造にもよっても変わりますが、売却のタイミングは税率の違いだけで判断せず、不動産市況や適用できる特例などを踏まえ総合的に判断しましょう。

結局は5年以内で売却するほうがお得?

前述の通り、不動産は所有期間5年を過ぎれば課される税金は一気にお得になります。

ただ、その分だけ築年数が経過していることを考えると、節税目的で売却時期を後ろ倒しにするのが得策とは言えないでしょう。

築年数 ㎡単価 価値減少率 平均価格 平均面積
~5年 112.55万円 100% 7,077万円 62.87㎡
6~10年 100.54万円 89.3% 6,655万円 66.19㎡
11~15年 86.99万円 77.3% 5,932万円 68.19㎡
16~20年 78.15万円 69.4% 5,509万円 70.49㎡
21~25年 69.23万円 61.5% 4,887万円 70.60㎡
26~30年 51.48万円 45.7% 3,344万円 64.94㎡
31~35年 39.94万円 35.5% 2,303万円 57.66㎡

【出典】「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」東日本不動産流通機構

上記は首都圏の中古マンションの成約状況を築年数ごとにまとめた表ですが、築年数25年程度までは5年経過するごとに約500万円前後、成約価格が下がっているのがわかります。

築年数の経過に伴い㎡単価の下落は避けられないため、高く売りたいのであれば、早期売却のほうがお得と言えるでしょう。

なお、物件の築年数・アクセスは成約率・成約価格と密接な関係性があり、こちらの記事にまとめられています。

不動産は買い手と売り手の話し合いによって、お互いが合意した市場価格で取引されます。

売り手が最初に提示する売却価格は、近隣取引事例など市場価格をもとに算出されるケースが一般的です。

一方、複数の買い手が現れれば競争原理が働きますので、どのような不動産であっても売れないことはまずありません。

相場価格から乖離の大きい価格では、買い手を見つけることが困難となり、売却活動は長期化してしまいます。

そのため、不動産取引の専門家から査定を受けて、売却価格を決めることが早期売却の鍵です。

査定を受ける際の注意点などは、こちらの記事にまとめられています。

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