不動産一括査定サイトは簡単な物件情報や個人情報を入力することで、査定に対応する登録業へ一括で査定依頼ができるサービスです。
このサービスの登場によって、これまで1社ずつ連絡をして書類提出や訪問相談などをしなければいけなかった査定依頼が、非常にスムーズになりました。
また、不動産会社と契約する際に多くの方が気にする査定価格も、一目で比較することができ、どの不動産会社と契約すれば利益が大きくなりそうかがすぐにわかるようになりました。
- アンケート方法:インターネットによる無作為調査
- アンケート実施日:2024年10月1日~10月8日
- アンケート実施人数:1201人(男性:600人 女性:601人)
- 回答者年齢:30代:213人、40代:438人、50代:511人、60代:39人
しかし一方で、不動産一括査定サイトを利用する際は、注意しなければいけないポイントもいくつかあります。
今回は、不動産一括査定サイトのデメリットや、トラブルに巻き込まれないコツを解説していきます。
サイト名 | 運営会社 | 登録会社数 | 同時依頼件数 | 対応地域 | 入力時間の目安 | 査定可能な種類 | 査定実績 | 利用満足度 | IR活動 営業利益 |
IR活動 株価 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HOME4U |
公式HP | NTTデータ・スマートソーシング | 約2,300社 | 最大6社 | 全国 | 約1分 | 8種 | 査定数累計55万件以上 | 9割 | 58,302百万円 | 19.73円 |
すまいValue |
公式HP | 合同6社 | 6社 | 最大6社 | 全国 | 約1分 | 7種 | 87万人以上 | 95.5% | 98,124百万円 | 157.28 円 |
リビンマッチ |
公式HP | リビン・テクノロジーズ | 約1,700社 | 最大6社 | 全国 | 約45秒 | 11種 | 約440万件 | 82% | 172百万円 | 75.55円 |
公式HP | SREホールディングス株式会社 | 約1,500社 | 最大15社 | 全国 | 約1分 | 5種 | 非公開 | 記載なし | 2,212百万円 | 85.83円 | |
いえカツLIFE |
公式HP | リビン・テクノロジーズ | 約800社 | 最大6社 | 関東エリア | 約1分 | 5種 | 年間50万人以上 | 96.3% | 921百万円 | 25.07円 |
イエウール |
公式HP | 株式会社Speee | 約2,300社 | 最大6社 | 全国 | 約1分 | 7種 | 年間20万人以上 | 記載なし | 90百万円 | -2.61円 |
不動産一括査定サイトのデメリット
デメリット1】エリア・不動産タイプによって査定業者に偏りがある
不動産一括査定サイトは一般的に郊外より都市部の方が登録業者数が多く、また農地や工場などの取扱いが少ない不動産に対応できる登録業者は少ない傾向があります。
不動産一括査定サイトは登録業者から支払われる契約料(広告費)で運営されていることが多いですが、この契約料が一定の場合※、不動産取引が多い都市部の不動産会社の方がお得となる傾向にあります。
※サイトによっては、登録業者の広告料支払いを完全成果型(査定申込1件あたりの金額を支払う)に設定しているケースもあります。
逆に、郊外などの不動産会社は元々数は少ないものの、上記の背景から更に登録が少なくなっている可能性もあります。
デメリット2】登録されていない優良業者を逃している可能性がある
不動産一括査定サイトの登録社数は1サイトあたり1,000社~2,500社ほどが平均で、登録されている不動産会社がサイト同士で重複しているケースも多くあります。
国土交通省の発表によると、令和5年度末(令和6年3月末)の宅地建物取引業者の数は全国で13万583業者(大臣免許: 3,047業者、知事免許: 127,536業者)となっているので、単純計算だと全国の1~2%ほどしかサイトに登録されていないことが分かります。
不動産一括査定サイトへの登録をおこなっていない業者の中には、すまいValueのように、不動産会社が独自にオンライン査定のプラットフォームや経路を持っているケースもあります。
デメリット3】高めの査定額をわざと提示される可能性がある
不動産一括査定サイトは、上記のように各社の査定価格を比較した上で、最も査定額が高い不動産会社と契約する、、という使い方が一般的です。
しかし、これは例えば不動産会社からすると、1度に4社に一括査定依頼をした時、査定額の最も高い1社だけが契約を結べて、それ以外の3社は利益を得られないケースが多いということになります。
登録業者の中にはこうした状況を逆手にとって、査定価格をわざと吊り上げて契約をとろうとする不動産会社も少なからずいると言われています。
不動産査定はあくまで見積もりなので、上記のような意図を持っておこなわれたとしても依頼者は気づきにくく、不動産会社のほうも厳格に取り締まられる訳ではありません。
デメリット4】不動産会社の顧客リストに登録される
特に売却の意思がなくても、査定を依頼して価格をチェックすることは悪いことではありません。
ただ、その場で契約を結ばなかったとしても、その後、定期的に不動産会社から連絡が来たり、セミナーなどのイベントに誘われたりする可能性があります。
不動産会社の営業手法として、無料査定に申し込んだ顧客なども含めてメルマガなどを使ったPRを行い、長期的な目線で契約を獲得しようとする方法も一般的です。
人によってはこのような連絡を迷惑に感じるケースもあるので注意が必要です。
デメリット5】連絡しない旨を希望しても連絡が来ることがある
不動産一括査定サイトを使って査定を依頼する際、電話連絡はしないでほしいと伝えたとしても、連絡が来るケースがあります。
不動産一括査定サイトを使うと不動産会社からしつこい勧誘が来るといった噂もあり警戒してしまいますが、必ずしも勧誘のために連絡が来る訳ではありません。
- 契約の勧誘をおこなうため
- 口頭での連絡がその会社のやり方だから
- 査定をおこなうために必要な情報のヒアリングをするため
例えば、利用したサイトの申込項目が不足しており、共有された情報だけで査定が実施できないと不動産会社が判断した場合は、より詳しい情報をヒアリングするために連絡をしてくる可能性もあります。
不動産一括査定サイトを使って起こりうるトラブル
上記で説明したデメリットは不動産一括査定サイトを利用する上で把握しておくべきものですが、場合によっては、不動産一括査定サイトを使うことで実害が発生する可能性もあります。
不動産一括査定サイトを使う上で絶対に避けたいトラブル事例を紹介します。
トラブル1】査定額だけが高い不動産会社と契約して失敗した
前述の通り、不動産一括査定サイトに登録している不動産会社の中には、査定額を高く吊り上げるグレーな会社も存在すると言われています。
こうした不動産会社の査定価格を信じて売り出し価格を高めに設定しても、買い手から敬遠されていつまで経っても売れない、、という状況に陥る可能性が高いです。
売出~成約期間 | 売出価格(万円) | 取引価格(万円) | 価格乖離率(%) | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
1ヵ月以内 | 4,889 | 4,761 | ⁻2.61% | 31.7% |
2ヵ月以内 | 5,102 | 4,874 | ⁻4.47% | 13.8% |
3ヵ月以内 | 5,085 | 4,783 | ⁻5.93% | 11.9% |
4ヵ月以内 | 5,241 | 4,866 | ⁻7.16% | 8.7% |
5ヵ月以内 | 5,020 | 4,603 | ⁻8.30% | 6.1% |
6ヵ月以内 | 5,224 | 4,680 | ⁻8.50% | 5.6% |
7ヵ月以内 | 5,204 | 4,713 | ⁻9.45% | 4.7% |
8ヵ月以内 | 5,272 | 4,696 | ⁻10.93% | 3.5% |
9ヵ月以内 | 4,833 | 4,265 | ⁻11.74% | 2.9% |
10ヵ月以内 | 5,079 | 4,521 | ⁻10.98% | 2.7% |
11ヵ月以内 | 4,921 | 4,243 | ⁻13.77% | 2.0% |
12ヵ月以内 | 4,542 | 4,027 | ⁻11.36% | 6.4% |
上記は、首都圏における2023年の中古マンションの価格乖離率のデータですが、成約までにかかる期間が長引くのに比例して、売り出し価格と成約価格の乖離はマイナス方向に大きくなる(売り出し期間が長引くほど成約価格が下がる)ことが分かります。
つまり、相場より査定価格が高い不動産会社と契約すると、逆に損をする可能性が高いと言えます。
トラブル2】悪徳業者と契約してしまい被害にあった
不動産一括査定サイトは登録業者に対して審査をおこなっていますが、審査基準が甘かった場合、サイト経由で悪徳業者・詐欺業者と契約してしまう可能性も0ではありません。
最悪の場合、偽装された書類などを用いてお金を騙し取られる…などのケースもあり得ない話ではありません。
トラブル3】サイトに登録した個人情報が漏洩した
不動産一括査定サイトで申込をすると、上記のように一旦、サイトの運営会社に情報がストックされて、そこから不動産会社へ査定依頼されるケースが多いです。
この際、サイトやサイト運営会社の管理システムが脆弱だと、個人情報が漏洩する恐れがあります。
個人情報が一度漏洩してしまうと、大きなトラブルに発展してしまいます。
不動産一括査定サイトの利用トラブルを避けるコツ
コツ1】迷惑を被ったら必ずサイト運営会社や第三者機関に伝える
査定を依頼した不動産会社からしつこい連絡が来たとしても、その会社に対して「もう迷惑なので止めてください!」と伝えるだけでは根本的な対策にはなりません。
逆上したその会社が更に悪質なアプローチを仕掛けてくる可能性もありますし、不動産会社は結果的に野放しになるので新たな被害者が生まれかねません。
悪徳業者だと感じたら、不動産一括査定サイトの運営会社や、下記のような機関に相談をしましょう。
機関名 | 相談窓口の連絡先 | 受付時間 |
---|---|---|
公共財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター) | 03-5843-2081 | 9:30〜16:00(土日祝、年末年始除く) |
宅地建物取引業協会 | 各都道府県ごとに異なる | – |
公益社団法人 全日本不動産協会 | 03-5338-0370 | 13:00〜16:00(土日祝、年末年始除く) |
消費生活センター・国民生活センター | 0570-064-370 | 各都道府県ごとに異なる |
法テラス(日本司法支援センター) | 0570-078374 | 【平日】9:00〜21:00 【土曜】9:00〜17:00 |
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル) | 0570-016-100 | 10:00~17:00(平日のみ) |
コツ2】サイトのセキュリティ対策を確認する
不動産一括査定サイトを利用する場合は、各サイトが実施している個人情報漏洩防止などのセキュリティ対策を確認しましょう。
HOME4Uなどの不動産一括査定サイトは、SSLサーバ証明書やプライバシーマークなど、プライバシー保護が高い水準であることを証明する制度や仕組みを持っています。
コツ3】依頼する不動産会社は個別でも調べておく
不動産一括査定サイトでは、下記のように申込情報を入力して不動産会社が表示されたら、一括で依頼する会社をチェックして申し込む形になっています。
この時に、全く下調べをせず、知らない不動産会社へ査定依頼をするのはリスクがあります。
査定を依頼する不動産会社は、必ず個別にも調べておきましょう。