戸建住宅の購入は人生の中でも大きな買い物ですが、事情によっては購入してすぐに売らざるを得ないケースもあります。
家を売却せざるを得なくなった場合、最も気になる人が多いのが価格の部分です。大金をかけて購入した家ですから、できるだけ買った当時の価格で売りたいと多くの方が思うのは当然のことでしょう。
新築・築浅の家は、中古戸建住宅の中では状態が良いので、売却時も高値がつきます。
ただし、これらの物件はあくまで中古住宅であり、メーカー等に提供されている新築物件とは扱いが異なります。
今回は、新築・築浅の家を売却する際のポイントや注意点を詳しく解説していきます。
【免許登録】
宅地建物取引業免許:国土交通大臣(4)第7845号
一級建築士事務所登録:東京都知事 第62093号(東京本社)
特定建設業許可:東京都知事 (特-2) 第135078号(東京本社)
不動産特定共同事業許可:東京都知事 第134号(東京本社)
賃貸住宅管理業登録:国土交通大臣(1)第1722号(東京本社)
新築・築浅の家を売却する理由
株式会社グローベルスが実際に不動産売却をした134名を対象に実施した独自アンケートによると「住み替え」「相続物件の処分」「使い道を失う」「ローン返済に悩む」という理由で売却する傾向が強いとわかりました。
より良い住まいに住み替えるため | 40名(29.9%) |
---|---|
相続物件を処分するため | 37名(27.6%) |
物件の使い道が無くなったため | 17名(12.7%) |
ローンの返済が困難なため | 12名(9.0%) |
資金調達のため | 10名(7.5%) |
転勤のため | 6名(4.5%) |
離婚したため | 4名(3.0%) |
通勤・通学のため | 4名(3.0%) |
家族と同居するため | 2名(1.5%) |
結婚したため | 2名(1.5%) |

上記は、株式会社グローベルスがおこなったアンケートの結果となります。
新築・築浅の家を売却する理由は、異動・転勤や離婚など急な理由で売らざるを得なくなったケースや、経済的に困窮するような出来事があって売らざるを得ないケースなどが比較的多いようです。
家を売却する理由に関しては、建てた家が事故物件だったなど、建物自体に問題がある場合を除き、価格へダイレクトに影響することはほとんどありません。
ただ、理由によっては「今から3ヵ月以内に売却が必要」など、早期の対応が必要なものもあります。早く売らなければいけない理由がある場合は成約価格が下がってしまいがちです。
新築・築浅の家は早期に売却すべき理由
新築・築浅の家が不要になった時、「まだ築年数が浅いので、一旦そのまま所有し続けてみる」「せっかく購入したのだから、すぐ手放すのはもったいない」という考えの方も多いです。
上記のような考えも一理はありますが、今所有している家に見切りをつけるのであれば、不要な家は早期に売ってしまうことをおすすめします。
新築・築浅の家を早く売るべき理由はどこにあるのでしょうか。
理由1】築年数が経過するほど売却価格は下がる
建物には構造別に法定耐用年数が定められています。

戸建住宅のほとんどは木造となりますが、木造住宅の法定耐用年数は22年とされており、22年を経過すると資産価値は理論上ほとんど0になります。

実際は戸建住宅は建物部分と敷地部分の価値の合算となるので、築古の物件でも利益は発生します。
ただし、直近の首都圏の中古戸建のエリア別成約価格を見ても、基本的には築年数の経過に合わせて、成約価格は減少しています。
築年数 | 東京都 | 東京都 (都区部) |
東京都 (多摩) |
埼玉県 | 千葉県 | 神奈川県 | 横浜・川崎 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
~築5年 | 6,828万円 | 7,665万円 | 5,133万円 | 3,407万円 | 4,363万円 | 4,943万円 | 5,226万円 |
~築10年 | 6,590万円 | 7,753万円 | 4,314万円 | 3,584万円 | 3,691万円 | 4,781万円 | 4,599万円 |
~築15年 | 5,751万円 | 6,574万円 | 4,361万円 | 3,283万円 | 3,737万円 | 4,597万円 | 4,996万円 |
~築20年 | 5,874万円 | 7,130万円 | 4,108万円 | 3,009万円 | 3,018万円 | 4,098万円 | 4,449万円 |
~築25年 | 6,081万円 | 8,146万円 | 3,787万円 | 2,644万円 | 2,591万円 | 3,932万円 | 4,604万円 |
~築30年 | 4,791万円 | 5,991万円 | 3,491万円 | 2,001万円 | 2,200万円 | 4,140万円 | 5,098万円 |
築30年~ | 4,151万円 | 5,231万円 | 2,874万円 | 1,439万円 | 1,451万円 | 3,328万円 | 4,011万円 |
出典:レインズ: 首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2024年4~6月】より
建物部分の価格が2,000万円~3,000万円だとすると、築22年までの間に価格は200万円前後(1年につき)減少することになります。
つまり、損をしないためには出来るだけ早いタイミングで売却することが求められます。
理由2】築年数が経過するほどトータルの維持費は増大する
固定資産税の支払いをはじめ、物件を維持するために支払う費用のトータル出費は、購入から年数が経過するごとにかさんでいきます。
また、劣化した建物の修繕費用など、家が古くなるほどかさんでくる費用も多くあります。
費用の支払いをなくすためには、早めに家を売却して手放してしまうのが有効です。
理由3】住宅設備も年数の経過によって劣化する
住宅の購入コストは、建物だけでなく、水回り設備や空調設備などの設備機能やガレージなども合わせた金額となります。
こうした設備分の金額も含めて売買できるかどうかは、買主が状態なども見た上で、合わせて引き渡しをすることに合意を得られるかどうかが重要です。
設備機能に不調があったり、新型の設備と比較して大きく機能が下がったりする場合は、住宅設備の引継ぎを断られる可能性が高いです。
一般的には家財道具は引き渡し時に全て処分をするか、売主が新居に持っていくのが原則です。また、据え置きの設備が故障している場合は、どちらが修繕費用を負担するかも決める必要があります。
上記の状況を考えると、結果的に不要な家をすぐに要らないことで、法定耐用年数から算出できる減価償却率以上に利益は下がるとも考えられます。
新築・築浅の家を売却する際の注意点
注意点1】住宅ローン残債を完済できるか確認する
新築・築浅の家を売却する際は、購入時に融資を受けた住宅ローンの残高がまだまだ残っている点に注意しなければいけません。
住宅ローン残債のある家を売る場合は、売却代金を使って残債を一括完済した上で、抵当権(物件担保)を取り外して引き渡しをする必要があります。
つまり、住宅ローン残債がある場合は、売却代金から住宅ローン残債(+税金など)を引いたものが手残りになります。
万が一、住宅ローン残債が家の売却価格を上回る(オーバーローン)場合は、任意売却をおこない、銀行(ローンの債権者)の承認のもと、家を売却していきます。
注意点2】売却のスケジュールに余裕を持たせることが必要
新築・築浅物件であれば、売り出してすぐに成約がとれる訳では必ずしもありません。
物件購入時は築年数以外にも周辺エリアの状況やアクセス、間取りなどの要素が見られるので、成約まで半年以上かかることも十分あり得ます。

売却プラン | 査定価格 | スタンダート | チャレンジ | スピード |
---|---|---|---|---|
売出提案価格 | 2,184万円 | 2,180万円~2,380万円 | 2,380万円~2,580万円 | 1,980万円~2,180万円 |
査定価格乖離率 | – | 99.8%~108.9% | 108.9%~118.1% | 90.6%~99.8% |
90日以内成約割合 | – | 81% | 72% | 88% |
上記の三井のリハウス(三井不動産リアルティ)からの売却プランの提案にもありますが、不動産会社に査定を依頼した後に売り出し価格を決める際は、査定額通りに売り出すか、査定額より高値で売り出すか、査定額より低値で売り出すかの3通りの方法からいずれかを選びます。
早期の売却が必要な場合は売却価格を下げて売り出すのが有効で、「お買い得」と考えた購入希望者が集まりやすく、早期成約が可能です。
ただ、この方法は売主の得られる利益が下がってしまうため、おすすめはできません。
売り出し時に限らず、期限が迫っている場合は価格を下げるのが一般的なので、スケジュールに余裕がない時ほど損をするようになってしまいます。
注意点3】新築・築浅の家をそのまま使ってくれる人を探す
中古の戸建住宅を探している購入希望者は、人によって様々な要望を持っています。
築古の戸建であれば購入後にリノベーションをして住もうとしている方もいますし、解体・更地化をした後で商業利用などをしようと考えている方も少なくありません。
ただ、新築・築浅物件は建物部分に大きな価値があるので、変わった条件をつけて売買をするよりは、そのままの状態で売却できる相手を探すべきでしょう。
新築・築浅の家を売る際は不動産会社を比較して選ぶ
新築・築浅の家の売却を成功させるには、最適な不動産会社を選ぶことが何よりも重要です。
実際の広告活動などは不動産会社が担うので、査定額や各社の実績を比較した上で、最適な1社を選ぶ必要があります。

不動産一括査定サイトを使えば、60秒ほどの入力で平均最大6社へ査定を依頼でき、スムーズに各社の比較ができるので、不動産会社選びで使うのがおすすめです。