現在契約している住宅ローンを別の銀行に一括返済してもらい、その銀行と同額のローン残高で新規借入をする作業を借り換えと言います。
住宅ローンを借り換えることによって適用金利などの条件も見直しされ、返済総額が数百万円軽減されるケースも珍しくありません。
特に2024年3月に日銀がマイナス金利政策の解除を発表したことで、今後の住宅ローン金利値上がりの懸念から、借り換えを検討する方も増加しています。

- 調査日:2025/2/15~2/18
- 調査方法:インターネットリサーチ
- アンケート対象:30歳~55歳の住宅ローンを現在利用している方+直近で組む予定のある方(世帯代表) 男女734名抽出してアンケートを実施
ただ、住宅ローンの借り換えは、借り換え先ごとに小さく見える年利差でも、いざ借り換えを行うと総返済額が大きく異なるケースもあります。
こうしたことから、借り換えのタイミング選びに慎重になり過ぎたり、借り換えが失敗しないか悩んでしまったりする方も少なくありません。
今回は、住宅ローンの借り換えで失敗してしまう具体的な事例や対処法を紹介していきます。
保証会社手数料 | 事務手数料 |
---|---|
無料 | 2.2% |
繰上返済手数料 | 団体信用生命保険料 |
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【免許登録】
宅地建物取引業免許:国土交通大臣(4)第7845号
一級建築士事務所登録:東京都知事 第62093号(東京本社)
特定建設業許可:東京都知事 (特-2) 第135078号(東京本社)
不動産特定共同事業許可:東京都知事 第134号(東京本社)
賃貸住宅管理業登録:国土交通大臣(1)第1722号(東京本社)
住宅ローンの借り換えで失敗・後悔するケース
ケース1】借り換えでかかる諸費用を把握していない
住宅ローンを借り換える際にはいくつかの諸費用が発生します。
- 融資事務手数料
- 保証料
- 印紙税(収入印紙代)
- 登記関連費用
- 繰上返済手数料(借り換え前の銀行に支払う)
- 団体信用生命保険(団信)の金利上乗せ
諸費用の総額は借り換え額の2%~5%程度と言われています。
費用 | 内容 | 費用の目安(円) |
---|---|---|
融資事務手数料 | 借り換え先の銀行に支払う手数料 | 3万円〜借入額の2%程度 |
保証料 | 借り換え先の保証会社に支払う手数料 | 0円~借入額の2%程度 |
印紙税(収入印紙代) | 住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)に貼る収入印紙の代金 | 2万円程度 |
登記関連費用(司法書士の報酬+免許登録税) | 抵当権抹消と抵当権設定にかかる費用 | 3万円〜10万円 |
繰上返済手数料(借り換え前の銀行に支払う) | 借り換え前の銀行で一括返済をする際にかかる手数料(借主負担) | 0円~5万円程度 |
団体信用生命保険(団信)の金利上乗せ | 一定以上の内容の団信を契約する際にかかる費用 | 適用金利に上乗せ(年率0.1~2.0%程度) |
残高1,500万円、適用金利1.5%(年率)、返済期間15年(180か月)で借りている住宅ローンを借り換える場合、借り換え後の金利が約1.06%(年率)以上であれば、借り換え時の費用を含めた総返済額が借り換え前と同じかそれ以上になる可能性が高まります。
残高1,500万円、適用金利1.5%(年率)、返済期間15年(180か月)を下記条件で借り換えた場合の損得をシミュレーション※返済期間は変わらず15年とする
借り換え後の金利(年率) | 毎月の返済額 | 諸費用込みの返済総額 | 借り換え前との差 |
---|---|---|---|
年0.80% | 8万8,461円 | 159,2万2,989円~166,7万2,989円 | 約53万円~約8.7万円ほど得 |
年1.00% | 8万9,774円 | 161,5万9,352円~169,0万9,352円 | 約30万円の得 ~約15万円の損 |
年1.06% | 9万0,171円 | 165,3万0,698円~169,8万0,698円 | 約22万円の節約 ~約22万円の損 |
年1.20% | 9万1,100円 | 166,9万7,957円~171,4万7,957円 | 約6万円の節約~ 約39万円の損 |
上記条件の場合、借り換え前より年0.5%適用金利が減少したとしても、諸費用込みで損をする可能性がある
※元利均等返済、繰り上げ返済なしと仮定した場合
※諸費用の総額は借り換え額の2%~5%程度で計算
ケース2】金利タイプの選択に失敗した
現在の国内の金利状況や、ローン完済までの期間によっても、選択すべき金利タイプは異なります。
金利タイプ | 返済期間 | 金利状況 |
---|---|---|
変動金利 | 短い | 低金利 |
固定期間選択型(3~10年) | 短い~長い | 金利が上がる可能性がある |
全期間固定金利 | 長い | 高金利 |
例えば完済までの期間が短く、かつ現在が低金利の場合は、変動金利が最もお得となります。ただ、低金利でも返済期間の残りが長い場合は、将来的な金利上昇のリスクも考慮して、固定金利選択型がおすすめです。
借り換え時から金利が継続的に上昇する予兆があり、かつ低金利に戻る見込みが現状ないという場合は、全期間固定金利を選択することをおすすめします。
2016年~2023年のマイナス金利政策が施行されていた期間は超低金利が続いていたこともあり、7割以上の方が低金利のメリットを享受しやすい変動金利を返済期間に限らず選んでいました。
今後は、金利上昇リスクや返済期間も考慮しての選択が重要となります。

- 調査日:2025/2/15~2/18
- 調査方法:インターネットリサーチ
- アンケート対象:30歳~55歳の住宅ローンを現在利用している方(世帯代表) 男女646名抽出してアンケートを実施
ケース3】適用金利を考慮した選択を性急にしてしまった
国内の金利状況の変化と各銀行の住宅ローン金利の変化には一定の関係がありますが、どの銀行も金利状況に合わせてリアルタイムに適用金利が変化する訳ではありません。
例えば、2025年1月のニュースではマイナス金利政策の解除によって全体的には金利上昇の雰囲気があるものの、三菱UFJ銀行が率先して変動型ローンで最優遇金利据え置きをしており、他の銀行でも金利上昇は抑えめ傾向にあると分析されています。
利上げのタイミングを勝負どころとみて、「お得感」で攻めに転じたのが最大手の三菱UFJ銀行だ。これまではネット銀行の攻勢の影に隠れていたが、10月に新規契約者向けの優遇幅を拡大。ネット銀行や他の大手行が引き上げるタイミングで金利を据え置き、全国約320カ所の店頭などで一斉にアピールを始めた。
出典:47NEWS「薄利の住宅ローン、主戦場の〝変動型〟巡り我慢比べ続く 「業界の盟主」が攻めの一手、やまぬ恨み節」-2025/01/13 09:30
こうした状況の中で住宅ローン金利を上げるかどうかは各銀行の判断によりますが、逆に言えば上記のような業界全体の流れがある場合、安易に各銀行の金利を比較するだけだと損をする可能性があります。
例えば、前述のニュースのように全体的には金利上昇傾向があるものの銀行業界では金利の据え置きが起こっている状況の中で、銀行A、銀行BのうちBが先に金利上昇したとしても、銀行Aが数ヶ月後により高い金利を適用させたとしたら、結果的にBを選んでいた方が得をする可能性があります。
ケース4】借入期間を延ばしたら総返済額が増えた
住宅ローン審査では、前年度の年収に対して、借入時の適用金利を基準とする年間の見込み返済額が何%を占めるかを見られるのが基本的です。
【返済比率(返済負担率)(%)=年間返済額÷年収×100】
年収 | 返済比率(返済負担率)の基準 |
---|---|
100万円~299万円 | 20%以下 |
300万円~449万円 | 30%以下 |
450万円~599万円 | 35%以下 |
600万円以上 | 40%以下 |
そのため、返済完了時の年齢などに問題がなければ、返済期間が長く、月ごとの返済負担が少ないほうが審査には通りやすい傾向にあります。
ただし、返済期間が長引くと元金にかかる利息が大きくなり、総返済額が高額になる可能性があります。
残高1,500万円、適用金利1.5%(年率)、返済期間15年(180か月)で借りている住宅ローンを適用金利1.0%(年率)に借り換えた場合も、返済期間を約22.57年(約271か月)以上に設定すると総返済額が借り換え前より大きくなります。
- 金利1.5%(年率)/返済期間15年(180か月): 約1,676万円
- 金利1.0%(年率)/約22.57年 (271か月):約1,680万円
※元利均等返済、繰り上げ返済なしと仮定した場合
ケース5】団信プランが以前より不利な内容になった
住宅ローンごとに無料付帯の団信プランの内容や、より保証が手厚いプランを利用する際に金利が年何%上乗せされるかなどの条件は銀行ごとに異なります。
借り換えで金利をよりお得にしようと思ったら、団信プランが以前よりも手薄い内容になってしまう可能性もあります。
団信は傷病による就業不能などの万が一の時に残債を0にできるなどの内容のものもあるので、結果的に借り換えで損をするリスクもあります。
ケース6】住宅ローン控除の対象から外れてしまった
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、一定要件を満たす住宅を取得した場合、年末のローン残高の一定割合(年0.7%※)を所得税・住民税から控除することができるという制度です。(控除期間:10年~13年)
※控除の割合は時期によって変わる可能性があります。
住宅ローン控除を利用している場合、借り換えで下記の条件にあてはまると控除から外れる可能性があります。
- 借り換え後のローン返済期間が10年未満になるケース
- 借り換え時に住宅取得ではない目的のローンもまとめるケース
住宅ローン控除を外れる場合は、借り換えによって本当に返済がお得になるか確認する必要があります。
住宅ローンの借り換えで失敗するリスクが大きいのはなぜ?【借り換え後の返済シミュレーション】
住宅ローンの借り換えで失敗するリスクが大きい主な理由は、借り換え後の諸費用などを踏まえると借り換えて返済負担を下げるのは予想以上に難しいためです。
- 借り換え額の2%~5%程度の諸費用が発生する
- 借り換えの内容次第では、住宅ローン控除が外れてしまう(年0.7%)
まず、残高1,500万円、適用金利1.5%(年率)、返済期間15年(180か月)で借りている住宅ローンを借り換える場合、今の借入よりも総返済額を100万円以上お得にしようと思ったら、金利1.5%(年)から金利0.05%まで下がらないと難しいです。
借入額や適用金利などの条件にもよりますが、借り換えで目に見えるほど返済をお得にするというのはかなり難しいことが分かります。
残高1,500万円、金利1.5%、返済期間15年の住宅ローンを毎月の返済額:9万3,111円、総返済額:1,676万円とすると、借り換え費用も含めた効果は下記の通りです。
借り換え後の金利(年) | 新しい毎月の返済額 | 借り換え前との差 |
---|---|---|
1.25%(-年0.25%) | 9万1,433円 | -22万2,896円(損失) |
1.00%(-年0.50%) | 8万9,774円 | 7万5,710円 |
0.75%(-年0.75%) | 8万8,135円 | 37万0,813円 |
0.50%(-年1.00%) | 8万6,515円 | 66万2,408円 |
0.05%(-年0.25%) | 8万3,648円 | 117万8,429円 |
金利が年1.0%安くなる場合は約66万円の負担減となるので借り換えた方がお得ですが、総返済額1,676万円に対する66万円減なので思った通り大きくないことが分かります。
また、借り換えによって住宅ローン控除を外れた場合、毎年の年末の残高×年0.7%が無くなるので、年1.0%金利が安くなってもトータルで損をする可能性があります。
こう考えると、単純に適用金利を安くするという目標だけでお得にするのは難しいことが分かります。
ただ、金利差だけでなく現状の金利状況と合った金利プランを選ぶことで、返済負担を大きく減らすことは可能です。
金利傾向に適したプラン選びも加味すれば借り換えでお得になる可能性は高い
住宅ローンを借り換えたら、借り換え時の金利差のまま完済まで続く訳ではありません。
例えば金利が上昇推移の場合は、変動金利であれば上昇に合わせて適用金利がどんどん上がってくリスクがありますが、固定金利は契約時のままを維持するのでリスクを回避できます。
例えば、変動金利で年1.0%、ローン残高1,500万円、返済残り期間15年(180か月)を、固定金利で年1.8%・同じ返済期間に借り換えた場合、金利が上昇傾向だとしたら下記のような変化が起こります。
将来の変動金利 | 変動金利の毎月の返済額 | 変動金利の総返済額 | 固定金利の総返済額 | 借り換え諸費用 | 固定金利の総コスト | 固定金利の方がお得な額 |
---|---|---|---|---|---|---|
年1.50% | 93,111円 | 1,676万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | -89万円(損失) |
年2.00% | 96,526円 | 1,737万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | -28万円(損失) |
年2.50% | 100,018円 | 1,800万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | +35万円(固定が得) |
年3.00% | 103,587円 | 1,865万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | +99万円(固定が得) |
年4.00% | 110,953円 | 1,997万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | +232万円(固定が得) |
年5.00% | 118,624円 | 2,135万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | +370万円(固定が得) |
年6.00% | 126,600円 | 2,278万円 | 1,713万円 | 52.5万円 | 1,765万円 | +513万円(固定が得) |
上記のように、今後の金利の大きな変化を考慮して金利プランを変更した場合、変動金利から固定金利へ早めに変更しておくことで返済負担を大きく減らせます。
住宅ローンの借り換えで失敗・後悔しないポイント
ポイント1】借り換え先の適用金利決定の仕組みを把握する
適用金利は住宅ローンの契約時や融資実行時など、いつのものが適用されるのか、金利の引き下げキャンペーンなどはどのような条件で適用されるのかなど、適用金利が決定する仕組みを詳しく把握しておくことをおすすめします。
金利決定のタイミングに関して曖昧なところが多いと、借り換え先選びで損をする可能性が高いです。
ポイント2】借り換え先ごとにかかる費用を把握する
借り換えにかかる費用は借り換え額の2%~5%程度と言われますが、費用の金額や条件も各銀行によって異なる傾向にあります。
それぞれの条件を比較して、損をしない選択をするようにしましょう。
ポイント3】団信の内容を慎重に比較する
無料付帯している団信の内容や、金利上乗せで利用できる団信の内容、上乗せが必要な金利の大きさなど、それぞれの条件は銀行によって異なります。
銀行ごとの団信の違いや条件などを慎重に比較することをおすすめします。
住宅ローンの借り換えで後悔しないように慎重に進めよう
説明をした通り、住宅ローンの借り換えはどんな場合も大きな効果が見込める訳ではなく、場合によっては損をする可能性も十分あります。
「今、住宅ローンの借り換えがお得らしい」という曖昧な情報だけで手続きを進めてしまうと、大きな損を被るリスクがあるので注意が必要です。