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マンション売却

住宅ローン残債があるマンションも売却できる?ローン途中に売る流れ・注意点を解説【ケース別】

マンション 売却 ローン
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離婚や引っ越し、転勤などで今まで住んでいたマンションの売却を検討することがあります。

この場合、まず注意したいのが、マンションの住宅ローンの残債の有無です。

マンションに住宅ローンが残っている場合、売却には注意が必要となります。

ここからは、住宅ローンが残るマンションを売却する際のポイントを解説していきます。

 

この記事の監修者
監修者
価値生活研究室代表 CFP、福祉住環境コーディネーター
井上信一さん

10年強に渡りFP事業会社等での経験を経て2010年に独立。

依頼、「誰でもライフプランに基づくキャッシュフローを自分でつくれる世の中へ。FPの仕事はその先」をモットーに、企業や労組の福利厚生支援をはじめ、企業・自治体・金融機関等向けのセミナー・個別相談・各種コラム執筆や監修にも多数従事。

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Contents

住宅ローン返済途中でもマンションを売ることは可能

住宅ローンの返済途中で、まだ残債があるマンションでも売却をすることは可能です。

前述の通り、購入当初は予期していない理由でマンションを売る方が多いため、住宅ローンが残る状態で売却をおこなうケースが過半数を占めます。

つまり、住宅ローン残債がある状態でマンションを売却するのは、全く珍しいことではありません。

マンションの引き渡し前にローンを完済する必要がある

住宅ローンが残るマンションを売却する際は、引き渡しの前に残債を完済する必要があります。

住宅ローンの融資を受ける際に、物件に抵当権を設定します。これはいわゆる担保であり、住宅ローンが返済不能に陥った時に、金融機関(債権者)が物件を差し押さえて競売にかけられる権利です。

抵当権の仕組み

抵当権が設定されたままの状態で物件を他者に譲渡することは原則ありません。

抵当権は登記をおこなうことで解除(抹消)することができますが、抵当権抹消登記をおこなうには、住宅ローンが完済されている必要があります。

これが、住宅ローン残債があるマンションは売却時に完済が必要な理由です。

住宅ローンの残るマンションを売却する3パターン

パターン1】売却価格がローン残債を上回る(アンダーローン)

売却代金がローン残債を上回る場合、引き渡し時に受け取った売却代金でローンを完済し、抵当権抹消登記によって設定されている抵当権を取り外した後に引き渡しをおこないます。

この場合は特に問題なく、マンションの売却が可能です。

住宅ローンが残るマンションを売却する場合はアンダーローンが理想の状態ですが、残債額によっては、売却代金の大半をローン返済に充てる必要があります。

パターン2】売却代金がローン残債を下回る(オーバーローン)

ローン残債が2,000万円なのに売却して1,500万円にしかならなかったというように、売却代金が残債を下回るケースもあります。

この場合は、売却代金と自己資金(返済に充てられる貯金)を用いて完済できるかどうかがポイントになります。

売却代金+自己資金でローン残債を完済できるかどうかで、対応方法は分かれます。

売却代金+自己資金でローン残債を処理できるケース

そもそもローンの残るマンションを売る際は、売却代金でローンを完済しなければならないという決まりはありません。

売却代金が足りなくても、自身の貯蓄から不足分を補填できるのであれば何の問題もないのです。

ただ、引っ越し・新居購入を伴う売却の場合、予想外に自己資金を支払ってしまうことで全ての計画が台無しになる恐れもあるので注意が必要です。

売却代金+自己資金でローン残債を処理できないケース

マンションの売却代金が残債に届かず、加えて自己資金を合わせても完済できない場合、売買は原則不成立となってしまいます。

ただ、不動産会社もいくらで売れればローンを完済できるかは把握しているので、売買契約の段階でようやく売買不成立に気付くというよりも、最初から完済できる価格で売り出すので、買い手が全くつかないケースのほうが多くなります。

住み替えの場合は住み替えローンを利用し、残ってしまったローンを新居のローンに組み込むことで、完済した扱いにすることもできます。

ただ、あまりに高額の住宅ローンを組み込むと後々の負担が大きくなるだけなので、実施の際は注意が必要です。

パターン3】ローン返済が滞り差し押さえられそうなケース(任意売却)

ローン返済の滞納が続くと、抵当権の行使により物件が差し押さえられてしまいます。

この際に実施できる方法が、任意売却です。

任意売却

任意売却は、ローン返済不能に陥った場合に仲介業者(任意売却業者)に金融機関(債権者)と交渉をしてもらい、残債を調整してもらった上、最低価格条件などの制限付きで仲介売却をする方法です。

結果的にはマンションを手放すことにはなってしまいますが、差し押さえられて競売にかけられる場合よりも成約価格はずっと高額で、かつプライバシーも保護された状態での売却が可能です。

任意売却 競売
所有者の権限 価格や売却のタイミングなど、ほぼ全てのケースで所有者(売主)の意思が反映される 所有者の意思は反映されない
売出価格の設定 所有者(売主)が決定権を持つ 裁判所が決定権を持つ
成約価格の相場 時価(実勢価格)の7~9割程度 時価(実勢価格)の2~3割程度

任意売却をおこなった後もローン残債が残る場合は、債権回収業者に支払いを続けていきます。

住宅ローンの残るマンションを売る流れ【全8ステップ】

ローンの残るマンションの売る流れを簡単にまとめると、以下のようになります。

  1. 住宅ローン残高・一括返済条件の確認
  2. マンション売却相場の確認
  3. 不動産会社への査定依頼
  4. 媒介契約
  5. 販売活動・内覧
  6. 不動産売買契約
  7. 銀行へ連絡
  8. 決済・抵当権抹消・引き渡し

【Step1】住宅ローン残高・一括返済条件の確認

まずは、マンションに現在、住宅ローンがいくら残っているかを確認しましょう。

残高を証明するものが手元にない場合は、金融機関に連絡をすれば教えてもらえます。

併せて確認をしておきたいのが一括返済の条件です。ローン残債があるマンションは引き渡し時には受領した売却代金などを使って一括返済する必要があります。

一括返済の条件は繰り上げ返済と異なることも多く、一括返済手数料が設定されていることもあります。

何よりイレギュラーな手続きなので、実施を検討している段階で早めに連絡しておく必要があります。

【Step2】マンション売却相場の確認

マンションの住宅ローン残高が分かったら、次に過去実績や他の売り出し事例から、マンションを売却したら大体いくらになりそうかの目星をつけておきましょう。

市場調査の方法

マンションの見積もり価格は不動産会社に査定を依頼したら算出してもらえますが、査定額が相場に則ったものかどうか判断するには、相場の調査結果との比較が必要です。

査定額が相場より低いと契約して損をしてしまいますし、逆に査定額が高すぎる業者も悪徳業者のリスクがあるので注意が必要です。

【Step3】不動産会社への査定依頼

マンションの売却相場が分かったら、実際に不動産会社へ査定を依頼して、複数社の査定額を比較していきます。

不動産一括査定サイトの仕組み

この際に、最も手っ取り早く査定依頼できるのが不動産一括査定サイトを活用する方法です。

査定したい物件の簡単な情報を記入・送信すれば、最大6社以上の対応業者に査定を依頼することができます。

不動産一括査定サイトおすすめ比較ランキング!不動産売却におすすめの人気16社を厳選紹介

不動産売却時の不動産会社選びで重視することは何ですか?(株式会社グローベルス調べ)不動産売却時の不動産会社選びで重視することは何ですか?(株式会社グローベルス調べ)
  • アンケート方法:インターネットによる無作為調査
  • アンケート実施日:2024年10月1日~10月8日
  • アンケート実施人数:1201人(男性:600人 女性:601人)
  • 回答者年齢:30代:213人、40代:438人、50代:511人、60代:39人

株式会社グローベルスが実施したアンケート調査によると、不動産売却時にどの不動産会社と契約するかの判断基準として、査定価格を挙げる方が最も多い(33.3%)という結果になっています。

上記の通り、複数社の査定価格を比較して最も高い不動産会社と契約すれば高く売れる可能性は高まりますが、あくまで査定額は言い値なので、本当にその値で売れるかどうかは不動産会社の実績や口コミ評価も併せてチェックしておく必要があります。

【Step4】媒介契約

契約する業者が決定したら、媒介契約を結びます。

これは、不動産の広告作成や販売営業を業者に依頼する代わりに、成約時に売り上げの一部を仲介手数料として支払うことを約束するものです。

この媒介契約には3種類の方法があり、それぞれ契約内容が異なります。

契約の種類 契約の有効期間 売り手自身が買い手を見つけること 依頼可能な業者数 仲介業者からの報告※ 業者からの拘束力
専属専任媒介契約 3ヶ月以内 できない 1社のみ 1週間に1回以上、メールか文書で連絡 非常に強い
専任媒介契約 3ヶ月以内 可能 1社のみ 2週間に1回以上、メールか文書で連絡 強い
一般媒介契約 原則、3ヶ月以内 可能 複数社と契約可能(契約数の上限なし) なし 弱い

契約方法は大きく分けて、1社のみと契約する専属専任媒介契約・専任媒介契約と、複数社と契約ができる一般媒介契約の2種類に分かれます。

特定の事情がない場合は、(専属)専任媒介契約を結ぶのが一般的です。

【Step5】販売活動・内覧

媒介契約を結んだら、仲介業者が下記のような販売活動を実施していきます。

  • レインズへの登録
  • マンションの物件広告の作成
  • 広告のWeb掲載・ポスティング

売主は仲介業者からの進捗報告を待つことになりますが、この間に必要書類を取り揃えたり、内覧準備のために掃除や荷物の整頓などをおこなったりするケースも多いです。

広告から問い合わせが来たら、スケジュールを調整して内覧を実施します。

内覧で決めたいポイントは、下記の4点です。

内覧前に決めたいポイント
  1. 売主は内覧に同席するか
  2. 内覧前に家財道具などを処分するか
  3. 内覧の準備は当日どのように行うか(換気・出迎え・照明の点灯など)
  4. 内覧前にどんな準備をおこなうか(清掃・整頓整理など)

内覧を実際におこない、購入希望者が購入を希望する場合、購入申込書が仲介業者経由で送られます。

不動産購入申込書(国税庁HP)不動産購入申込書(国税庁HP)

購入申込書には、「価格を○○万円値下げして欲しい」といった、価格の値下げ希望を含めた売買の希望条件が記載されています。

売主が条件を呑まない場合は基本的に破談となりますが、その前に売主と買主双方で相談をして、折衷案で取り決めることも可能です。

【Step5】販売活動│掃除をして内覧に備える

契約が済めば、いよいよ販売活動が始まります。

広告作成や他店への営業は仲介業者がおこない、売主は報告を待つ形となります。

ただ、その間売主はボーっとしているのではなく、やるべきことがあります。

それは、部屋の掃除・整理整頓です。「そんなこと?」と思うかもしれませんが、マンションを高く早く売るためには非常に重要な作業です。

査定額は築年数や立地などである程度決まってしまいますが、買主は素人なので部屋の第一印象が良ければ多少古い部屋でも心を動かされます。

部屋を清掃する際は、「生活感を消す」ことを意識しましょう。いくら中古といえ、買い手は新生活の期待をしながら新居を選んでいます。

売主は、広告写真を見て膨らんだ期待を裏切ることのないように、積極的に部屋を綺麗にしていきましょう。

特に、キッチンや洗面所などの水回りは、水垢などの汚れが目立ちやすいので重点的に掃除していきましょう。

【Step6】不動産売買契約

条件の調整などが完了したら、次に売買契約がおこなわれます。

売買契約は、買い手と売り手が集まり、契約書を読み上げて最終確認をします。

確認する内容は主に以下の項目です。

契約前に確認する項目
  1. 売買物件の表示
  2. 代金や手付金などの支払い日
  3. 土地の実測・土地代金の精算
  4. 所有権の移転・引き渡し
  5. 付帯設備の引継ぎについて(例:エアコン等の処分)
  6. 税金の精算
  7. 手付の解除
  8. 引き渡し後に天災等があった場合の取り決め
  9. 契約違反時のペナルティ
  10. ローン特約
  11. 瑕疵担保責任

また、売買契約には以下の必要物を持参していきます。忘れがないようにしましょう。

手付金など 代金の2割程度を領収書とともに持参するのが一般的。契約解除が起きた際の処理に使う
印紙 売買契約書に貼る。
印鑑 なるべく実印を持参
仲介手数料 現金・振込・小切手のいづれかが一般的
本人確認書類 運転免許証か健康保険証などが一般的

【Step7】銀行へ連絡

売買契約が済むと、引き渡し日をいつにするか決定します。

引き渡し日が決まったら、住宅ローンを借りている金融機関へ一括返済の申し込みをします。

【Step8】決済・抵当権抹消・引き渡し

最後に、税金・手数料の決済、住宅ローンの返済、物件の引き渡しを1日でおこないます。

決済は、ローンを借りている金融機関の一室で1~2時間程度でおこなわれます。当日の詳しい流れは、このようになっています。

  1. 本人確認と書類の確認
  2. ローン融資を買い手がおこなう
  3. 税金などの精算
  4. 売り手から買い手へ領収書の発行
  5. 仲介手数料の支払い
  6. 司法書士への報酬支払い
  7. 売り手のローン返済手続き
  8. 抵当権の抹消登記完了
  9. 鍵や重要事項説明書などの引き渡し

住宅ローン残債があるマンションを売却する注意点

注意点1】住み替えの場合はダブルローン(二重ローン)に注意

住み替えなどで、住宅ローンの残るマンションを売却する前に、ローン融資を受けて新居を購入する場合、1世帯で2つのローンを借りるダブルローン(二重ローン)状態となります。

ダブルローンをどう判断するかは、金融機関に拠ります。二重でローンを借りる場合は絶対に審査に落とすというところもあれば、「住み替えの中で一時的にそうなっているだけで、審査には影響ない」と考えるところもあります。

いずれにしても、通常の状態と比べて審査落ちのリスクは高まりますし、単純に返済負担が大きくなるので注意が必要です。

注意点2】相場価格を踏まえて売却すべきか判断する

中古マンションの価格は上昇傾向を続けています。築古マンションも価格を上昇させており、売り出しマンションの平均築年数は年々上昇をしています。

年度 件数(件) ㎡単価(万円) 価格(万円) 面積(㎡) 築年数(年)
2013年 163,637 43.55 2,612 59.97 20.96
2014年 161,185 44.82 2,665 59.47 21.77
2015年 177,296 50.16 2,886 57.54 22.05
2016年 194,336 54.80 3,095 56.48 22.32
2017年 193,988 55.18 3,151 57.10 23.13
2018年 206,901 56.32 3,213 57.04 24.58
2019年 204,891 57.43 3,297 57.40 25.84
2020年 181,750 57.76 3,296 57.08 26.83
2021年 161,474 64.48 3,554 55.11 27.23
2022年 170,388 71.90 4,003 55.66 28.16
2023年 196,490 72.86 4,132 56.71 29.41

首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況 【2024年07~09月】

上記はレインズが発表している中古マンションの売り出し件数・売り出し価格のデータを整理したものですが、平均価格・平均築年数は上向きに推移していることが分かります。

従来、「築年数の経過したマンションは資産価値がなくなるので、早めに売るべき」という意見が一般的でしたが、上記の傾向を踏まえれば、値上げが続くうちはマンションを所有して残債を減らし、価格が横ばい・下落に転じたタイミングで売るといったことも考えられます。

注意点3】金利動向を踏まえて売却すべきか判断する

住宅ローン残債の金額によっては、金利の値上げが大きな負担になる可能性も十分にあります。

2024年3月19日にマイナス金利政策が解除となり、10月から大手を中心に金利上昇を見せています。

三菱UFJ銀行など大手5銀行は10月から、変動型の住宅ローンの基準金利を引き上げる。既存の契約者らが対象で、各行の上げ幅は0.15%が軸となる。7月の日銀の追加利上げに伴って各行が短期融資の指標となる短期プライムレート(短プラ)を引き上げていたのを反映する。

三井住友、みずほ、三井住友信託、りそなを含めた大手5行は変動型住宅ローンの基準金利を2.475%に設定している。住宅ローンを借り入れる場合、基準金利から借り手の信用力に応じて優遇を実施して適用する金利を決める。既存の契約者は一定の期間を経て現在よりも高い金利が適用される。

住宅ローン変動金利上げ、大手行が0.15%程度 10月から
日本経済新聞 2024年9月26日

住宅ローンの残債額が大きい場合、金利が上昇すると一括返済で支払う金額が大きく変わります。

上記の点も踏まえて、マンション売却のタイミングはしっかり考えておきましょう。

住宅ローン残債があるマンションを売却する際のポイントをおさらい

ローンが残っていてもマンション売却はできる?

ローンが残っていてもマンションは売却することができます。

ただし、ローン残債がマンションの売却が上回っている場合は、抵当権を外すために差額の支払いが必須です。

差額の準備が出来ない場合は、抵当権を外すことができず、マンションを売却することができません。

ローンの残ってる家を売る方法!残債のある戸建てを売却するコツと完済できない時の注意点

ローンが残っているマンションを高く売るコツは?

様々な方法がありますが、必ずやるべきなのは、マンションの査定依頼を複数の不動産会社に依頼して、その金額を比較することです。

1社のみの査定で売却を進めていると、他の不動産会社の方が高く売ることができて損をしてしまうリスクが発生します。

また、複数の不動産会社に査定を依頼すると売りたい物件の市場相場がわかるので、売却をスムーズに進めて行くこともできます。

完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定