これから土地を手放す、購入するという方は、地盤についても確認できているでしょうか。
地盤は建物を建てる際に重要な要素の一つですので、無視するわけにはいきません。
地盤調査の結果は、買主の購入判断や、建築・地盤改良費用を踏まえた条件交渉に影響する場合があります。ただし、調査を実施しただけで売却価格が上がるとは限りません。
ここでは、土地の売却・購入の際に地盤調査がどれほど大切であるのかを紹介していきます。
※土地売却検討の方はこちらも参考にしてみてください。
地盤に関する情報を確認して土地売買のトラブルを防ごう
土地を売却するにあたり、地盤の状態や過去の土地利用に関する情報を確認しなかった場合、取引成立後のトラブルにつながる可能性があります。
引き渡した土地が契約で合意した品質や用途に適合していない場合や、売主が把握していた重要な事実を説明していなかった場合は、契約不適合責任や説明義務違反が問題になる可能性があります。
土地売却時に売主が必ず地盤調査を行う必要があるとは限りません。土地の履歴や状態、既存資料、買主の建築計画などを確認し、不動産会社や専門家と相談して調査の必要性を判断しましょう。
地盤調査や既存資料の確認によって、土地の状態を把握しやすくなり、取引後のトラブルを防ぐ材料になります。
ただし、調査結果が土地全体の状態や、あらゆる建築計画への適合性を保証するわけではありません。
調査結果や既存資料を提示することで、買主が建築費用や地盤改良の可能性を検討しやすくなる場合があります。
ここから、地盤に関する説明や契約条件が不十分だった場合に、どのような問題が起こり得るかを紹介します。
地盤に関する説明不足がトラブルにつながる場合がある
土地の地盤に関する情報や契約条件が不十分だったことで、地盤改良費用などをめぐるトラブルになることがあります。
これから土地の売却を考えている方は、このような事態に巻き込まれないように対策を取りましょう。
土地売却後に地盤の問題が見つかった場合
売却側が、土地を売る際に「購入後に地盤改良が必要になる可能性があります」と伝えたうえで、取引が成立することがあります。
その後、購入者が地盤調査を行った結果、土地が軟弱で、予定する建物を建築するには地盤改良が必要と判断される場合があります。
地盤改良の可能性を事前に説明していたとしても、契約書の内容や説明の具体性、買主が予定していた建物、土地の通常の品質などによって、責任の判断が異なることがあります。
契約内容によって売主の責任が問題になる
現在の民法では、引き渡された土地が契約内容に適合しない場合、売主の契約不適合責任が問題になることがあります。
古い裁判例では「瑕疵担保責任」という用語が使われている場合があります。
ただし、地盤改良が必要であることだけで、直ちに売主が費用を負担するとは限りません。
契約目的、契約書の記載、売主の説明内容、買主の建築計画などによって判断が異なります。
大きな金額が動く土地の取引でトラブルが起きると、後から解決に時間や費用がかかる場合があります。
事前に地盤の状態を確認し、調査結果や地盤改良の可能性を契約条件へ明確に反映することで、争いを防げる可能性があります。
地盤調査の代表的な調査方法3つを紹介
土地の地盤調査は、すべて同じ方法で行われているわけではありません。
地盤調査にはさまざまな方法があります。
ここでは、住宅や建築計画で利用される代表的な3つの方法を紹介します。
- スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)
- ボーリング調査
- 表面波探査法
ここからは、それぞれの調査方法の内容を紹介していきます。
スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)
一戸建てを建てる前に行われることの多い地盤調査で、土地売却前に用いられる場合もある方法です。
先端にスクリューポイントを取り付けたロッドへ荷重を加え、回転させながら地中へ貫入させます。
荷重、回転数、貫入状況などから、地盤の硬さや土層の変化を推定します。
比較的浅い地盤の調査に利用されることが多い方法ですが、調査可能な深さは地盤や使用する装置によって異なります。
コストを比較的抑えやすいのも特徴です。
建物がある土地でも、庭や通路など調査機器を設置できる場所で実施できる場合があります。
ただし、建物直下の地盤を直接確認できるとは限りません。
ボーリング調査
ボーリング調査とは、高層マンションなどの大規模な建物を建築する前に行われることが多い調査方法です。
ボーリングによって地層を確認し、採取した試料や標準貫入試験の結果などから、土質や地盤の硬さ、地下水位などを調べます。
ボーリング調査では、深い地層の確認や土質試料の採取、標準貫入試験などを行えます。
建物の規模や調査目的によって、ほかの調査方法と組み合わせることもあります。
ボーリングマシンを設置するスペースや搬入経路が必要になり、費用も比較的高額になる傾向があります。
戸建住宅ではスクリューウエイト貫入試験などが選ばれることが多い一方、地盤条件や建築計画によってはボーリング調査が必要になる場合もあります。
表面波探査法
表面波探査法は、地表で人工的な振動を発生させ、地盤を伝わる表面波の速度を測定して、地盤の硬さや地層の状態を推定する方法です。
前述の2つと異なり、地面を大きく掘削せずに調査できるのが特徴です。
敷地条件や調査目的に応じて利用されます。
ただし、埋設物や周辺の振動などの影響を受ける場合があります。
地盤調査の費用は調査方法や敷地条件によって異なる
地盤調査の費用は、前述の3つの方法のうちどれを利用するかによっても変わります。
また、調査地点数、調査深度、敷地条件、報告書の内容、交通費などによっても異なります。
戸建住宅向けの簡易な調査で数万円程度からとなる場合がありますが、ボーリング調査などでは数十万円以上かかることもあります。
決して一律の費用ではないため、複数社から見積もりを取り、調査範囲や報告書の内容を確認しましょう。
地盤調査の実施者や費用負担に一律の決まりはない
土地の買主が決まり、売買契約を結ぶ段階で「地盤調査をしてほしい」と言われた場合、売主・買主のどちらが手続きをし、費用を負担するのかが問題になることがあります。
これに関しては一律の決まりはありません。
売主が売却資料として実施する場合もあれば、買主が建築計画に合わせて契約前後に実施する場合もあります。
売買条件、土地の状況、買主の建築計画などを踏まえて、実施時期や費用負担を契約前に話し合いましょう。
裁判例の判断も、契約内容、売主の説明、土地の利用目的などによって異なります。
特定の裁判例だけを根拠に、すべての売主が調査費用や地盤改良費用を負担すると考えることはできません。
買主が住宅建築を予定している場合は、建築計画に応じた地盤調査や地盤改良費用を重視することがあります。
土地売却前に調査を行うかどうかは、不動産会社や専門家と相談して判断しましょう。
地盤調査の現地作業は数時間で終わる場合もある
戸建住宅向けの地盤調査では、現地作業が数時間から1日程度で終わる場合があります。
ただし、解析や報告書の作成には数日程度かかることがあり、依頼先や調査内容によって異なります。
地盤調査の流れは、以下の通りです。
- 現地調査
- 解析・報告書作成
- 納品
ボーリング調査は、現地作業、試料試験、解析、報告書作成などを含め、数週間以上かかることがあります。
期間は調査深度や地点数によって異なります。
土地の見学前に調査資料を用意するか検討しよう
土地の場合は戸建て売却時のような建物内部の内覧はありませんが、広告を見た買主が現地を見学・確認に来ることがあります。
このとき、周辺地域の特徴や土地の説明に加えて地盤調査報告書を提示できれば、調査地点の地盤状況や、想定する建物について地盤改良が必要と判断されたかなどを説明できます。
ただし、調査報告書は土地に一切問題がないことを証明するものではありません。
また、買主が予定する建物の構造や配置が、売主の調査時に想定した条件と異なる場合は、追加の調査が必要になることがあります。
地盤調査は、媒介契約から引き渡しまでの期間に実施することもできます。
売却前に実施するかどうかは、土地の状態、既存資料、買主層、費用などを踏まえて判断しましょう。
実施する場合は、調査条件や想定建物を明確にしておくことが重要です。
地盤調査は買主の判断材料になる
戸建住宅向けの地盤調査では、現地作業が数時間程度で終わる場合がありますが、報告書の完成時期や費用は調査会社や敷地条件によって異なります。
地盤調査を行っても、地盤改良工事が不要になるわけではありません。
調査によって、地盤改良の必要性や想定費用を事前に検討しやすくなる場合があります。
また、トラブル回避のほかにも、地盤調査結果を提示することには一定のメリットがあります。
買主が土地の状態を検討しやすくなる
調査結果を提示することで、買主が購入後の建築費用や地盤改良の可能性を検討しやすくなる場合があります。
購入を考えている方は、購入後にかかる費用や必要な工事を具体的に検討できます。
売主にとって不利になる内容も含めて、把握している情報を正確に提示することは、取引上の信頼につながる場合があります。
地盤の状態は、土地の外観だけでは判断しにくいものです。
過去の土地利用、ハザードマップ、地形、既存の地盤資料なども確認することが重要です。
これから土地の売却を考えている方は、地盤のことに限らず、把握している情報を正確に提示することを意識しましょう。
調査資料がそろっていることで買主が検討しやすくなる場合がありますが、売却価格が上がるとは限りません。
購入を検討している方は、地盤に関する既存資料や土地の履歴についても確認しましょう。
地盤は目に見えにくいため、調査条件や資料の作成時期も確認することが、スムーズな購入につながります。
こんな土地は地盤に関する確認を検討しよう
地盤調査が必要かどうかは、土地の履歴、地形、既存資料、買主の建築計画などによって異なります。
土地売却時は、測量や境界確認など、それ以外に優先すべき作業がある場合もあります。
地盤上の懸念がある場合や、買主から希望がある場合は、不動産会社や専門家へ相談しましょう。
特に以下のような土地では、過去の土地利用や地盤資料、ハザードマップなどを確認し、必要に応じて地盤調査を検討します。
- 埋立地や旧河道など、過去に水域だった土地
- 周辺より低く、排水や浸水が懸念される土地
- 周辺で建物の傾きや大きなひび割れが複数見られる土地
それぞれのケースについて、ここからは詳しく解説していきます。
埋立地
旧河道、池、沼、海岸部などを埋め立てた土地では、軟弱層や液状化などに注意が必要な場合があります。
ただし、実際の地盤状態は、埋立方法や年代、地層、地盤改良の状況によって異なります。
更地を購入して新居を建てたいという人が現れた場合は、土地の履歴や既存資料を確認し、必要に応じて地盤調査を検討しましょう。
埋め立てから長期間が経過していても、土地の履歴だけでは現在の地盤状態を判断できません。
過去に土地がどのように利用されていたかは、自治体や図書館にある古地図、地形図、航空写真などで確認できる場合があります。
周辺より低い土地
周辺より低い場所にある土地では、雨水が集まりやすい、地下水位が高い、浸水しやすいといった可能性があります。
特に周辺が舗装されている場合は、土地への雨水の流れや排水状況も確認する必要があります。
ただし、土地が周辺より低いという理由だけで、地盤が軟弱であると判断することはできません。
排水状況、ハザードマップ、地盤資料などを確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
近隣住宅にひびが見つかった場合
近隣建物の傾きや大きなひび割れが複数見られる場合は、周辺地盤の状態を確認する参考になることがあります。
ただし、ひび割れだけで軟弱地盤と判断することはできません。
建物のひび割れには、以下のような原因もあります。
- 乾燥収縮
- 気温変化
- 地震被害
- 施工不良
- コンクリートの中性化
- 不同沈下
周辺の地盤や災害履歴が気になる場合は、自治体の地盤資料、ハザードマップ、古地図などを確認し、必要に応じて地盤調査会社へ相談しましょう。
地盤調査を行うかは費用と必要性を比較して判断しよう
土地の地盤調査を売主が行う場合、調査費用を売主が負担することがあります。
ただし、地盤調査を行えば必ず取引上のトラブルを避けられるわけではなく、短期間で高額売却できるとも限りません。
地盤調査を行う場合は、調査費を売主が負担するのか、買主と分担するのかを事前に話し合いましょう。
売出価格は調査費を単純に上乗せするのではなく、周辺相場や土地条件を基に決めます。
地盤上の懸念を把握している場合は、その内容を不動産会社へ正確に伝え、調査や契約条件への反映を検討しましょう。
以上のような可能性も考え、土地の売却・購入を検討してください。
複数の不動産会社へ査定を依頼して比較する
一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社へまとめて査定を依頼できる場合があります。
入力項目や査定を依頼できる会社数は、利用するサービスや物件所在地によって異なります。
参加している不動産会社もサービスごとに異なるため、対象地域の会社や土地売却に強い会社が登録されているか確認しましょう。
査定額の高さだけで依頼先を決めず、査定の根拠、成約実績、販売計画、担当者の対応などを比較することが重要です。
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