運営:株式会社グローベルス [国土交通大臣免許 (04)第007845号]
マンション売却

マンションを売る時にかかる税金はいくら?売却利益への課税額と計算方法・特例控除

マンション 売る 税金
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

マンションを売ると気になるのが、税金や費用がいくらかかるかですよね。

マンション売却は利益も大きいですが、その分発生する費用も高額になりがちです。

マンションを売る前に、どんな費用がいくらかかって、それぞれいつ頃支払う必要があるのかはチェックしておきたいものです。

今回は、マンションを売る時にかかる税金・費用・手数料の内容を徹底解説!後半に節税のコツや特例控除もまとめているので、参考にしてください。

この記事の監修者
水野 崇
監修者
水野総合FP事務所 代表
水野 崇さん

宅地建物取引士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者。

相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活動する独立系ファイナンシャルプランナー。

全国1000名以上から日本FP協会に寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。
年300本の執筆・監修を手掛けながら、学校法人専門学校では非常勤講師として金融リテラシー講義を毎週行っている。

●大水野総合FP事務所のホームページ
(https://mizunotakashi.com/)

続きを見る
閉じる
完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定
Contents

マンション売却で利益が出ても税金で引かれてしまうので注意

マンション売却で利益が出ても、売却価格がそのまま手元に残る訳ではありません。

マンション売却では、購入価格よりも売却価格が上回った場合の利益を譲渡所得といい、譲渡所得から取得費や譲渡費用などを差し引いて譲渡所得税を算出します。

譲渡所得税を求める際の税率は、マンションの所有期間によっても変わります。

マンション売却で手取りを増やすためにも、譲渡所得税や譲渡時の費用・手数料・税金について正しく理解しておきましょう。

課される税金の意味合いがそれぞれ違う

「マンション売却で利益が出た時に税金が発生する」と表現されますが、実際には利益が出なくても課税はされます。

これはなぜかというと、マンション売却にかかる税金・費用はそれぞれ意味合いが異なるからです。

課税・費用発生の理由 あてはまる税金・費用
売却益が発生した時に課される 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
住宅ローンの抵当権抹消に対して課される 登録免許税
売買契約書に貼り付ける印紙代 印紙税
仲介した不動産会社への成約報酬 仲介手数料(消費税を含む)

売却損であっても、売却価格からは税金の負担を伴うと理解しておけば、手元に残る金額について、後で後悔するような事態は避けられることでしょう。

マンション売却では税金を必要以上に恐れなくてOK

マンションを高く売ると税金も高くなるということを強く言われたら、利益を調整しなければいけないのでは?と思う方も多いでしょう。

しかし、その心配はありません。たとえ税金が発生したとしても、マンションは少しでも高く売却したほうが絶対にお得です。

それもそのはず、譲渡所得税の計算式を見ると、以下の通りとなっています。

譲渡所得税=税率×{売却価額-(取得費+譲渡費用)}

例えば購入価格が1,500万円のマンションを2,000万円で売った場合、売却価格から購入価格+購入時の費用+売却時の費用を差し引きます。

費用にいくらかかったかは購入・売却時の状況にもよりますが、2回の取引で支払った仲介手数料が合わせて100万円超。

その他にも費用がトータルで100万円弱かかったとすると、短期譲渡所得税を算出する場合で30%×{2,000万-(1,500万+100万超+100万弱)}で課税額は、100万円弱にしかなりません。

100万円以上高い成約価格を目指すなど、あえて税金の損得を考えずにまずは高く売ることに集中することをおすすめします。

巷では一括査定サイトを使ったり、内覧準備を徹底的におこなったりして、査定額よりも高く売れたという方は多くいます。

出来るだけ高い金額での売却を目指していきましょう。

マンション売却にかかる税金・費用のまとめ

マンション売却にかかる税金や費用の支払い時期と方法をまとめたものが、こちらになります。

税金・費用・手数料 納付・支払い時期 納税方法
譲渡所得税
(所得税・復興特別所得税)
売却した年の翌年の2月16日~3月15日 確定申告後に納付
住民税 売却した年の翌年の6月以降 住民税に上乗せされ分割納付
※一括納付も可能
仲介手数料 売買契約時と引き渡し時 売買契約時に半金、引き渡し時に半金払い
登録免許税 引き渡し時 ローン完済後に抵当権抹消手続き
※司法書士に依頼
印紙税 売買契約時 契約書に印紙を貼付

こうしてみると、マンション売却でかかる税金・費用の支払いはそれぞれバラバラであることが分かります。

また、全ての税金・費用が売却代金を受け取ってから支払われるものではないということにも注意しなければいけません。

マンション売却にかかる税金は主に4種類!計算方法・内容を解説

マンション売却を行うと、売主は以下の税金を所定の期日までに納付しなければなりません。

マンション売却で発生する税金
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税含む)
  • 消費税(仲介手数料・司法書士への報酬などで発生)

ここからは、各税金の特徴や納税時期、税率について詳しく解説していきます。

印紙税

印紙税は、印紙税法の課税物件表に掲げられている20種類の文書に課税され、経済取引等に伴って作成された売買契約書や請負契約書などが対象です。

不動産の売買契約書にも印紙税が課されます。

印紙税額は、売却価格に応じて以下のように決まっています。

契約金額 税額 軽減税率適用時の税額
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上・10万円以下 200円 200円
10万円超・50万円以下 400円 200円
50万円超・100万円以下 1000円 500円
100万円超・500万円以下 2000円 1000円
500万円超・1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超・5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超・1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超・5億円以下 100,000円 60,000円
5億円超・10億円以下 200,000円 160,000円

参照:国税庁|印紙税額の一覧表より

また、印紙税は以下の場所で購入できます。

印紙税が購入できる場所
  • 郵便局
  • コンビニ
  • 金券ショップ
  • ネットオークション
  • 法務局・市役所・区役所

不動産売買のように、高額印紙は、コンビニなどでは取り扱っていないケースが多いので郵便局や法務局、市役所、区役所で収入印紙を購入しましょう。

登録免許税

登録免許税は、住宅ローンを融資した金融機関が、マンションに設定された抵当権を抹消するときに発生する税金です。

抵当権を抹消するときにかかる登録免許税は、不動産1件につき1,000円の税金が発生します。

マンションの場合は建物部分、敷地部分がそれぞれ別に抵当権が設定されており、敷地部分は登記上では複数筆に別れているケースも多いです。

そのため、抵当権抹消登記に関わる登録免許税は、最低でも2,000円以上発生します。

また抵当権の抹消手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、司法書士に報酬を支払うタイミングで税金を納めます。

不動産の所有権変更登記でも登録免許税が発生しますが、マンションを購入した買主が負担するため売主の負担はありません。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、マンション売却で発生した利益(譲渡所得)に対してかけられる税金を指します。

譲渡所得税の中には、所得税と住民税、復興特別所得税の3つの税金が含まれています。

また、譲渡所得税は、以下の計算式を用いることで税額を算出します。

譲渡所得税の求め方

譲渡所得税=税率×{売却価格-(取得費+譲渡費用)}

上記式中で求められる用語について、簡単に説明すると以下のようになります。

譲渡所得税を計上するために必要な費用
  • 売却価格(譲渡価額):マンションの売却代金
  • 取得費:マンションの購入代金・購入にかかった諸費用
  • 譲渡費用:売却にかかった費用

ここからは、譲渡所得税を算出するために必要な3つの費用について1つずつ解説します。

売却価格(譲渡価額)

売却価格(譲渡価額)とは、資産や物件を売却する際に得られる収入のことを指します。

たとえば、不動産や株式、車や家電製品など、さまざまな資産を売却する際の取引価格がこれに当たります。

不動産の場合は、市場の需給状況、物件の状態、時期、立地条件など多くの要因によって価格が決まります。

最終的な売却価格は、売主と買主が双方合意に達した成約価格です。

取得費

取得費とは、不動産を取得する際にかかった費用の合計額のことを指します。

これには、マンションの本体価格だけでなく、以下の費用を総計して算出します。

取得費にできる費用一覧
  • 設計変更費用
  • 建築費や購入価格
  • 増改築リフォーム費用
  • 購入時の仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登録免許税や登記手数料
  • 契約書の印紙代
  • ローン事務手数料
  • ローン保証事務手数料
  • 固定資産税・都市計画税の精算金
  • 抵当権設定の登録免許税や登記手数料
  • 建物に付属する設備費
  • 建築費や工事にかかった諸費用
  • ローン借入日~所有開始までにかかったローン金利
  • ローン借入日~所有開始までにかかったローン保証料
  • ローン借入日~所有開始までにかかった団体信用生命保険料

一方、こちらの費用は取得費として計上することができません。

取得費にできない費用一覧
  • 町会費
  • 引っ越しにかかった費用
  • つなぎローンの金利
  • つなぎローンの事務手数料
  • 家電・家具・カーテン代など
  • 管理準備金・管理費・修繕積立金など
  • 火災保険料
  • インターネット加入料・CATV利用料

建物部分の取得費は、購入当時のそのままの金額で計算するのではなく、築年数に応じて減価償却をおこないます。

減価償却:不動産のうち、建物の価値を経過数に応じて減らしていくこと

減価償却費は、以下の計算式で求めることができます。

減価償却費の求め方

減価償却費=購入価格×0.9×償却率×経過年数(築年数)

※経過年数6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は端数切り捨てで計算

償却率は建物の構造等によって以下のように決まっています。

構造等 法的耐用年数 法的耐用年数×1.5 償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47 70 0.015
れんが造・石造・ブロック造 38 57 0.018
金属造
※骨格材の肉厚が4mm超
34 51 0.02
金属造
※骨格材の肉厚が3mm超4mm以下
27 40 0.025
金属造
※骨格材の肉厚が3mm以下
19 28 0.036
木造・合成樹脂造 22 33 0.031
木骨モルタル造 20 30 0.034

譲渡費用

譲渡費用は、土地や建物を売るときに発生した費用のことです。

譲渡費用に該当するもの
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 建物の価値を向上させる修繕費
  • 違約金(他の買主との売買契約の解除時)

譲渡費用は、譲渡所得を計算する際に引かれるものであり、計上できる費用が多いほど譲渡所得を抑えられます。

譲渡所得税の税率はマンションの所有期間が5年を超えると下がる

譲渡所得税の税率は、売却するマンションの所有期間の長さによって変わってきます。

税率は、マンションの所有期間に準じ、マンションの取得日から売却した年の1月1日までを基準に、所有期間が5年以下か5年以上かどうかで適用される税率が決まってきます。

税区分 不動産の所有期間 所得税※ 住民税
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9%
長期譲渡所得 5年超 15.315% 5%

※所得税に復興特別所得税2.1%を上乗せ

ただし、注意してほしいのが、所有期間については注意が必要で、マンションの取得日から売却した年の1月1日までで計算するということです。

例えば2013年2月1日に買ったマンションを2024年3月1日に売却する場合、住んでいた期間は5年1ヵ月ですが、譲渡所得の計算時の所有期間は2019年2月1日~2024年1月1日なので4年11か月となり、税率は軽減されません。

売却タイミングによる税率の違いは、事前に知っておきたい知識です。

譲渡所得が発生したら確定申告が必要

マンションの売却益である譲渡所得が発生する場合は、売った翌年の2月16日から3月15日までに管轄の税務署で確定申告をおこなう必要があります。

不動産売却後の確定申告を忘れた場合は、ペナルティとして無申告加算税や延滞税が課される場合があるため注意しましょう。

会社員・公務員の方も確定申告は必要ですが、普段は確定申告の機会が少ないため、手間取ることが多いと思います。

確定申告書の書き方はこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください。

住民税は売却後1年間増税される

不動産を売却すると、所得税の他に住民税にも課税額が上乗せされます。

確定申告をした後、5月以降に住民税納付書が家に届きます。

ここに納付日と納付額が書かれているのでチェックしましょう。

譲渡所得税に関する住民税は、1年分の課税額を4期に分けて支払います。

住民税を納付するタイミング
  • 6月末日
  • 8月末日
  • 10月末日
  • 翌1月末日

※末日が土日祝日の時は、翌営業日が納付期限

一部自治体では住民税の期限が異なる場合があります。必ずチェックしましょう。

また、4期に分けて納めるのが面倒な方は、最初の6月(第1期)に一括で納付することもできます。

マンション売却を行って利益が出た時に課せられる譲渡所得税の概算シミュレーション

ここでは、前節で紹介した「譲渡所得税」の計算方法に則って、譲渡所得税がいくらになるのかをシミュレーションしていきます。

今回は、以下の条件でマンション売却を行ったと仮定し、発生する税金を算出していきます。

売却するマンションの情報
  • 築年数:20年
  • マンションの構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
  • 購入価格:3,850万円(建物:2,000万円/土地:1,850万円)
  • 固定資産税清算金:7万円
  • 成約価格:3,850万円
  • 諸経費:150万円
  • 所有年数:20年

また今回、売却するマンションは所有期間が10年を超えているので、以下の税率で譲渡所得税を計算していきます。

税区分 不動産の所有期間 課税譲渡所得 所得税※ 住民税
長期譲渡所得 10年超 6,000万円以下 10.21% 4%
6,000万円超 15.315% 5%

※所得税に復興特別所得税2.1%を上乗せ

売却価格(譲渡価額)の計算方法

売却価格(譲渡価額)は、今回売却するマンションの成約価格と、買主が負担した固定資産税精算金を合計した金額になります。

今回のシミュレーションでは、マンションの成約価格が3,850万円、固定資産税清算金が7万円になっているので、売却価格(譲渡価額)は、3,857万円になります。

減価償却費・取得費の計算方法

次に取得費を求めていきます。

取得費を算出するには、減価償却費を求める必要があります。

以下のものとなっており、この式に従って減価償却費と取得費を計算していきます。

減価償却費の求め方

減価償却費=購入価額×0.9×償却率×経過年数※

2,000万円×0.9×0.015×20=540万円

減価償却費が540万円であることが分かったら、取得費を求める計算式に当てはめて計算していきます。

取得費の求め方

取得費=土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)

1,850万円+(2,000万円-540万円)=3,310万円

譲渡所得の計算方法

ここまでの計算で、譲渡所得を求めるために必要な売却価格と取得費、譲渡費用の3点が判明しました。

これら3つの金額を、譲渡所得を求めるために使用する計算式にあてはめます。

なお、ここでは一度税率を外して計算していきます。

譲渡所得税の求め方

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡所得=3,857万円-(3,310万円-150万円)=397万円

譲渡所得税の計算方法

ここまでの計算で、譲渡所得税を求めるために必要な譲渡所得の金額が確認できました

ここからは、譲渡所得税を所得税(復興特別所得税を含む)・住民税の2つに振り分け、それぞれの税金がいくらになるのかを計算していきます。

なお、譲渡所得税は、所得税・住民税・復興特別所得税を合計した税額になります。

所得税の計算方法

所得税は、売却したマンションの所有期間の長さによって税率が変わります。

今回のシミュレーションでは、所有期間20年を経ての売却になるので、所得税の税率は10.21%になります。

397万円×10.21%=40.5万円(※端数切捨て)

住民税の計算方法

住民税もまた、所得税同様、所有期間の長さによって税率が変わってきます。

今回は所有期間20年を経た状態で売却しているので、4.0%が住民税に相当します。

397万円×4.0%=15.88万円

以上の計算結果から、最終的に納める譲渡所得税は、56.38万円になります。

ただし、土地や建物を売却した時の譲渡所得は、要件を満たせば特例・控除の適用を受けられるので、3,000万円の特別控除(マイホーム特例)を利用すれば、譲渡所得税を0円にすることができます。

譲渡所得税は高額になりがち!特例・控除を使って節税しよう

譲渡所得税の計算式を見ると、取得費や譲渡費用が高額になるほど課税額が減る仕組みとなっています。

取得費に計上できる費用は意外に多いので、細かい費用も経費にすることでトータルの課税額を大きく減らせます。

また、要件を満たせば以下3つの特例控除を利用することができます。

  • 軽減税率の特例
  • 3000万円の特別控除
  • 買い換え特例

これらの特例・控除によって、高額な譲渡所得税を非課税にすることもできるので、必ず利用することをおすすめします。

では、それぞれの内容を見ていきましょう。

3,000万円の特別控除は居住用マンションを売る際に使える

住まいとして利用していた分譲マンションを売る際に利用できるのが、3000万円の特別控除(マイホーム特例)です。

この特例は売主が実際に住んでいたマンションを売る際に利用できます。

別荘、投資物件を売る際は利用できないので注意しましょう。

マイホーム特例の適用を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 自分の住まいとして利用している自宅の売却
  • 住まなくなってから3年経過するまでの引き渡し家主が名義人が単身赴任している場合は配偶者が住んでいる(いた)
  • 親子・親族間の取引ではないこと
  • 他の特例を受けていないこと

この特例を使うと、譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。

共有マンションにも利用できる

夫婦がペアローンを組んで購入したマンションを売る際にも、夫婦2人ともにマイホーム特例を利用することができます。

マンションの売却益は、持分割合に応じて名義人に分配されますが、この時それぞれの名義人がマイホーム特例の対象となります。

所有期間が10年を超えると軽減税率の特例で税率が更に下がる

所有期間が5年を過ぎていると譲渡所得税の税率が下がりますが、10年を超えたタイミングでは税率が更に下がります。

【所有期間10年超のマンションを売った時の税率】

譲渡所得 所得税の税率 住民税の税率
6,000万円以下 10.21% 4%
6,000万円超 15.315% 5%

3,000万円の特別控除を併用することも可能です。

譲渡所得税の税率は、所有期間によって変わることを理解しておきましょう。

特定居住用財産の買換え特例を使えば納税を後回しにできる!

住まいとして利用しているマンションを売り、新居を購入して引っ越すことを住み替え(買い換え)と言います。

売却したマンションよりも高い金額の住宅に住み替える場合、マンションにかかる譲渡所得税を後回し(先送り)できるという、買い換え特例があります。

買い換え時点では課税されず、新たに購入した住宅を売るときまで譲渡所得税の課税が先送りされます。

買い換え特例は、3,000万円特別控除の要件に加えて、以下の条件を満たしていることが必要になります。

  • 売却した年の1月1日における所有期間が10年超
  • 居住期間が10年以上
  • 売却価格が1億円以下
  • 買い換えた住宅が床面積50㎡以上・敷地面積500㎡以下
  • 築25年以内に買い換えをおこなっていること(マンションに限る)
  • 売却した年の前年1月1日~翌年12月31日の3年間で買い換え.こと
  • マイホーム売却に関する他の特例を受けていないこと
    (売却した年・その前年に取得)売却した年の翌年12月31日までに居住
    (売却した年の翌年に取得)取得した年の翌年12月31日までに居住

マンション売却でかかる費用・手数料は大きく分けて4つ

マンション売却にかかる税金以外の費用は、大きく分けて以下の4つです。

マンション売却でかかる費用・手数料は大きく分けて4つ
  • 仲介手数料
  • 抵当権抹消登記費用
  • 司法書士への報酬
  • 住宅ローンの全額繰上返済手数料

ここからは、それぞれの費用について解説していきます。

仲介手数料は売却損が出た時も負担が必要

仲介手数料は、販売活動を不動産会社に任せる(仲介)代わりに、成約時の成功報酬として支払う手数料のことです。

仲介手数料は売却益が出たか売却損が出たかに関わらず、原則として必ず支払う義務があるので注意しましょう。

仲介手数料は、マンションの売却価格に応じて以下のように決まっています。

取引額 仲介手数料(法定の上限額)
200万円以下 売却額(税抜)×5%
200万円超400万円以下 売却額(税抜)×4%+2万円
400万円超 売却額(税抜)×3%+6万円

例えば、マンションを1,000万円で売った時、仲介手数料は1,000万円×3%+6万円=36万円(税抜)となります。

不動産取引の慣例では、法定の上限額をそのまま請求されることが多いです。

仲介手数料は不動産会社の収益ですので、値下げを求めることは難しいでしょう。

抵当権抹消登記費用(登録免許税)は住宅ローンの完済時に支払う

マンションを売る時は、住宅ローン残高を完済する必要があります。

住宅ローンは物件を担保に購入資金の融資を受けますが、この時に金融機関は物件に対して抵当権を設定します。

これは、ローンが期間内に返済できなかった時に、担保物件を差し押さえて競売にかけることができるという権利です。

抵当権はローンを完済しない限り残りますので、抵当権付きの物件は買い手が見つかりません。

売却前に取り外す手続きが必要です。

抵当権抹消にかかる費用は、不動産1件につき1,000円かかります。

マンションの敷地部分と建物部分は別々に抵当権が設定されており、通常であれば抵当権抹消登記の登録免許税として2,000円を支払います。

登記上の敷地が複数筆に別れている場合は、その分だけ費用が発生します。

登記手続きは司法書士に依頼する

抵当権抹消のような複雑な登記手続きは、基本的に司法書士に依頼します。

司法書士は自分で探すこともできますが、不動産会社もしくは金融機関が指定する司法書士に依頼するのが一般的です。

この時、司法書士に支払う報酬としては、手数料は1万5,000円ほどが相場となっています。

住宅ローン残高の一括返済にも手数料がかかる

住宅ローンの残っているマンションを売る際は、売却代金から残債を一括返済します。

金融機関に対して住宅ローンを一括返済をする時は、別途で全額繰上返済手数料がかかります。

金融機関によっても手数料は異なります。

【主要銀行住宅ローンの一括返済にかかる手数料】

金融機関 全額繰上返済手数料
ARUHI(フラット25) 0円
イオン銀行 55,000円
auじぶん銀行 0円(固定金利:33,000円)
SBI新生銀行 0円
住信SBIネット銀行 0円(固定金利:33,000円)
ソニー銀行 0円
楽天銀行 0円
みずほ銀行 33,000円
三井住友銀行 5,500円(窓口:11,000円)
三菱UFJ銀行 16,500円(窓口:33,000円)
りそな銀行 11,000円(窓口:33,000円)
三井住友信託銀行 22,000円
PayPay銀行 33,000円
横浜銀行 33,000円(固定金利:44,000円)

住宅ローン残債のあるマンションを売る際は、必ず銀行に連絡をして手数料なども確認しましょう。

固定資産税と管理費・修繕積立金は日割りで精算することができる

マンションを所有している限り、固定資産税がかかります。

固定資産税は1月1日時点の不動産所有者に対して、翌年度分が1年間課税されます。

そのため、年の途中で売却して所有権が移転しても、その年の固定資産税の納税義務は売主のままです。

では、売買契約が成立した後、固定資産税の負担をどのように分けるかというと、引き渡し日を起点として日割り精算するのが一般的です。

引き渡し時に買主が売主に負担額(固定資産税精算金)を支払い、売主が納税をおこないます。

詳しい方法はこちらにまとめているので参考にしてください。

引き渡し月の管理費・修繕積立金も精算対象

分譲マンションの管理費や修繕積立金は先払いが基本で毎月支払うものです。

月半ばにマンションが引き渡しされた場合などは、管理費や修繕積立金も日割り精算の対象となります。

ただし、マンション管理組合から返金されるわけではありません。

売主と買主の間で精算手続きをおこないます。

スムーズな不動産取引優先して売主が全額負担するケースも考えられますが、一般的には売買契約後の残金決済の場で、買主から売主に清算金が支払われます。

火災保険料・住宅ローン保証料は売却で戻ってくる

マンション売却時は、これまで支払った費用の一部に戻ってくるものもあります。

基本的に自ら手続きをしなければ返金されませんので、知らないと損をしてしまいます。

一度払っても戻ってくるものとして代表的なのは、以下の2つです。

  1. 火災保険料(地震保険料)
  2. 住宅ローン保証料

これらの他にも、マンション売却後も契約したままとなっている会員サービスなども解約手続きをおこないます。

火災保険料(地震保険料)は、金融機関での住宅ローン利用条件で加入必須となっている場合があります。

長期の火災保険を契約していれば、契約途中のマンション売却によって、残りの期間に相当する火災保険料の返金を受けられます。

保険会社にマンション売却したことを直接伝え、解約手続きをおこなわなければ返金されませんので注意しましょう。

また、住宅ローン借り入れ時に保証会社を利用するため、金融機関に支払った住宅ローン戻ってきます。

マンション売却後に、金融機関に対して保証料の返金を受けたいと伝えれば、手続きは完了します。

税金・費用・手数料のポイントを押さえてお得にマンション売却をしよう

マンションを売る際は必ず査定をおこない、査定結果からだいたいの売却価格をイメージします。

この時、事前の想定より高額な査定結果が提示されても、安易に喜んではいけません。

査定額で必ずしも売却できるとは限らず、売却代金からはさまざまな費用が引かれ、手元に残る金額はもっと下がってしまう可能性が高いのです。

「マンション売却を成功させたい!」と思ったら、諸費用についてはポイントを押さえ事前の対策も重要です。

こちらの記事を参考にして、売却を成功させましょう。