土地の売却では、建物が上に建っているかどうかで価格が変化します。
物件の築年数が20年以上経ち、評価が0になってしまった場合があります。
この際、建物を取壊してしまった方が、新築住宅の建築を希望している購入希望者にとっては買いやすいです。
建物を取り壊すときには売却する土地を更地にする方法と、整地にする方法がありますが、どちらを選択するとよいのでしょうか。
土地の整地と更地・造成は何が違う?
整地とは、建物の立て壊しをした後に、コンクリート、石、ガラスなどを手や機械で除去し、その後重機で踏み固めた土地のことです。この踏み固めのことは転圧作業と呼ばれます。
業者によっては、その後に清掃を行う場合もあります。
一方の更地とは、建物のないまっさらな宅地のことです。更地という言葉の中には整地された土地も含まれますが、不動産業者が整地と更地を区別して使う場合は、転圧作業を行っていないまっさらな宅地という意味で使われます。
整地の方が高く売れやすい
更地にするだけよりは、転圧作業をして整地にしてしまった方が土地は高く売れやすいです。
売却に出している土地が整地済みであれば、宣伝広告にその旨を記述することを勧められるでしょう。
転圧によって、土地の乱れた地盤が圧縮され、締め固められます。
転圧を行っていないと、地震の際の倒壊や地盤沈下の可能性があるので、特に新居を建てることを想定している購入者には整地が行われているか否かは重要です。
もし、整地を行われていないことが原因で売却が遅れているのであれば、「引き渡し前に転圧作業を行います」という旨を希望者に伝えるようにしましょう。
整地と造成の違いはどこ?
更地や整地と共によくきく言葉が造成です。
造成も整地も、土地を宅地化するという意味では大差がないですが、造成は「土地を新たに作り上げる」という意味であり、整地は「土地を整える」という意味なので規模に大きな違いがあります。
造成は個人が土地を売却する際に使うような規模ではなく、不動産会社が宅地開発をする際におこなうような作業となります。
整地のあとは化粧砂を敷くのがおすすめ!
整地のあとは、化粧砂を敷くのがおすすめです。
これをすることで、土地の見映えが良くなり、第一印象がアップします。
化粧砂の種類は真砂土(山砂)など、花崗岩が風化した砂がおすすめです。
真砂土が良く取れる地域の解体業者ならサービスで引いてくれますが、こうした一部のケースを除けば、真砂土を敷くには解体費の5%ほどの追加費用がかかります。
自分で買えば1立方メートルあたり3,500~4,000円ほどなので、場合によっては自分でやるほうがお得です。
解体業者は真砂土を敷いてくれるのか、自分で買って敷くのとどっちが安いのかなどを事前にチェックしておきましょう。
土地の整地方法は4つ
土地の整地には以下4つの方法があります。
- 粗整地
- 砕石舗装
- 真砂土舗装
- コンクリート・アスファルト舗装
それぞれ、わかりやすく紹介していきます!
粗整地
粗整地(粗仕上げ)は、建物を解体した後にコンクリートやガラスの破片、木くず、石などを撤去して、その後に重機の踏み固めや転圧作業をする方法です。
最もシンプルな整地方法で低コストの依頼ができますが、その分業者によって出来に大きく違いがでます。
砕石舗装
砕石舗装(マカダム舗装)は、砕石を敷き詰めた土地をローラーで圧縮する施工法です。
砕石は表面が粗く互いに噛み合うので、耐久性にも定評があります。
何より仕上がりが粗仕上げより良いのが魅力です。
真砂土舗装
真砂土舗装は、真砂土を敷いた土地を重機、ランマーなどで圧し固める施行法です。
コンクリート・アスファルト舗装
砕石舗装をした後、型枠などにコンクリートを流し込んで舗装をします。
古い家を必ず解体する必要はない!そのままのほうが高く売れることも!
土地の整地作業には、まず建っている物件の撤去が不可欠ですが、そもそも建物が古いからといって必ずしも解体が必要なわけではありません。
建物が建っているままの土地を売るメリットは、以下のようなものがあります。
- 築20年以上の家なら瑕疵担保責任が免責に
- 土地のみより住宅ローンが借りやすい
- 固定資産税が6分の1に減税
- 新築後のイメージ(日当たり、周りの建物の高さ)が付きやすい
確かに、計算上は築20年超の物件は価値がほぼ0となってしまいます。
ただ、計算上は0だからと言って、売却できないわけではありません。むしろ市場に出回っている物件は築10~20年くらいがメインなので、多少古くても十分売れます。
整地した土地と家付き土地のどちらが高く売れるかは業者からアドバイスをもらえますが、最終的に決めるのは売主自身です。
こちらの記事などを読み、最低限の知識は吸収しておきましょう。
整地と言っても作業内容は広範囲!何を実施するかはっきりさせよう
整地作業は、範囲がかなり広いです。
石の撤去やトンボ掛けも整地作業と呼ぶこともありますし、重機で踏み固める転圧作業も整地作業に含まれます。
ただ業者に「整地をお願いします!」と依頼したところで、「具体的に何をするんですか?」と返されて終わってしまいます。
解体業者にまずは作業内容を確認
家の解体を業者に頼むと、少なくとも取り壊した建物の残骸撤去まではやってくれます。
ただ、そこから埋没物の撤去や転圧作業をしてくれるかは業者によって異なります。解体業者が埋没物撤去を解体のついでにやってくれるのに、他の業者に埋没物撤去を依頼したら二度手間ですよね?
費用を節約し、かつ整地作業を効率よく進めるには、どの作業までが基本料金で、どこからが追加料金がかかるのかをしっかり把握しておきましょう。
安価な下請け業者に注意!優良解体業者の見極め方
土地売却をする際に更地化、整地化を行うには、解体業者への依頼を最初に行います。
この際、ほとんどの人がインターネットで適した業者を探すことになるでしょうが、じっくり考慮して選ばないと、想定外のトラブルが起きかねません。
質の悪い解体業者に依頼すると土地価格は低下
土地を高く売るために整地をおこなったはずが、信頼できない解体業者のせいで逆に価値が下がるケースがあります。
解体作業で手抜きをされると、土地の中に建材が埋め込まれてしまいます。
本来、家の敷地は土がギッシリ詰まった頑強な土地が理想ですが、中に建材があると空洞が生まれてしまうので、耐震性の低下や地盤沈下のリスクが増えてしまいます。
中には故意に建材を埋め込む業者も存在します。撤去費用削減のためこうした行為をするわけですが、引き渡し後に買主から抗議されれば、撤去費用を全額自腹で支払わなければいけません。解体業者選びは注意が必要です!
売主自身が解体業者の提供サービス・仕事の質をしっかりチェックしよう
解体業者は、外国人を多く働かせている安価な下請け業者から、熟練の腕を持つベテランが多く在籍する老舗業者まで幅が広く、腕や仕事の質に大きな違いがあります。
解体業者に解体から清掃を一括で依頼しても、質の低い清掃業者だと、表面的にゴミを取り除いただけで、残りが地中に埋まっているということが良く起こります。
このまま引き渡しを行ってしまうと、ゴミは長い時間をかけて腐敗していき、土地に穴を空けて地盤沈下を引き起こします。
不動産業者の中には、関係が良い解体業者を割引で限定紹介してくれることがあります。
ただし、この業者の質が良くないという場合もあるので、無条件に依頼するのは辞めておきましょう。
解体業者の絞り込みも一括査定サイトが使える
多くの不動産業者が掲載されており、一括で査定を受けることができる「一括査定サイト」ですが、所によっては解体業者も掲載されています。
優良不動産業者しか載せないという厳しい基準を設けているサイトもありますが、そうした所では解体業者の掲載審査も、それなりに厳格になっています。
厳選された中には、一定の値段がかかる業者も多いですが、安い業者に依頼をしてゴミの撤去し忘れがあった場合、解体費用の2倍以上の支払いを自分で行わなくてはなりません。
一括査定サイトを一つの基準として、優良業者に依頼をしましょう。
整地作業はなるべく契約間近に行おう
土地売却時にこうした作業を行う事で、購入率がアップすると一般的には言われています。
しかし、買い手が特に希望していない時から立て壊しを行う事は、得策だとは言えません。
今は建築技術が進展したこともあり、古家の需要が伸びているます。
また、購入希望者が家の日当たりなどを確かめたい時は、家付きの土地の方が参考になります。
こうした理由から、解体をしない方が人が集まる場合もあります。
また、物件が立っている事で、固定資産が6分の1、都市計画税が3分の1に抑えられているので、無計画な立て壊しは、課税額を上げてしまうことに繋がります。
家付き土地物件として売り出せば節税もできる
前述の様に、物件付きだと税を抑えることができます。
解体も平均で100万円以上の費用がかかってしまうので、無闇にできるものではありません。
仲介業者と話し合い、「家付き土地物件※整地化にも柔軟に対応します」というような宣伝文句を付けてもらうといった工夫をしていきましょう。
もし、こちらが支払いに不安があるにも関わらず、相手が解体を希望するのであれば、費用を分担することも可能です。
事前に解体してしまうと、それは物件所有者の独断でやったとなり、分担費用を請求する事は難しくなります。
整地・更地がなくても売れるケースも!買主のニーズに合わせ柔軟に対応
土地売却時の更地化、整地化のどちらが良いかに関しては、整地化してしまったほうがいいのが多くのケースで出される結論です。
売り手にその気がなくても、買い手側から依頼される場合も多いです。
一方で、こうした作業を早めに行う事が常に正しいわけではありません。
出費と需要拡大のバランスを考慮して、作業のタイミングを見計らいましょう。
※土地査定・売却の方法・流れ・コツはこちらにより詳しくまとめてあります。