土地の価格をあらわすものの中に、路線価と実勢価格があります。
ただ、どちらも土地の価格なのにも関わらず、同一の土地の路線価と実勢価格は同じ金額にならないという注意点があります。
今回は、路線価と実勢価格の違いと計算方法などを、詳しく紹介していきます。
路線価と実勢価格の違いとは?
路線価と実勢価格は、不動産評価において重要な二つの異なる概念です。
路線価は、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額を示す指標で、特に税金計算に使用されます。
相続税路線価は、公示価格の8割程度を目安に設定されるとされています。
相続税路線価は、主に相続税・贈与税の土地評価で使われます
一方で、実勢価格は土地の実際の成約価格を指し、市場における需要と供給のバランスによって決定されます。
実勢価格は、その土地の特性や周辺環境、さらには市場トレンドなどによって左右されるため、路線価とは異なります。
例えば、日当たりや近隣の建物の影響など、一時的な要因によっても変動することがあります。
相続税・贈与税の土地評価では、評価の公平性を保つために路線価などの評価基準が用いられます。
もし実勢価格に基づいて税金を計算すれば、変動が激しく、不公平が生じる可能性があります。
路線価は比較的安定しており、計算における公平性を保つために使用されています。
しかし、路線価が公示価格の80%であるとしても、実勢価格との間にはしばしば乖離が生じることがあります。
これは、公示価格が理論上の時価相当額であっても、実際の市場価値とは一致しないためです。
また、税収の変動や納税者の反応を考慮すると、公示価格を時価に合わせて調整することは難しいため、路線価と実勢価格の差異は維持される傾向にあります。
不動産の土地価格を決める「一物五価」とは
一般的に土地価格は、一物五価という表現で言い表します。
一物五価には、前節で紹介した「実勢価格」と「路線価」が含まれており、それ以外にも、「公示価格」と「基準地価」、「固定資産税評価額」といった公的評価額が含まれています。
以下は、「一物五価」の概要と評価基準日、そして調査を行っている機関についてまとめた表になります。
| 指標 | 概要 | 調査機関 | 評価基準日 |
|---|---|---|---|
| 実勢価格 | 時価のことを指します。需要と供給の市場原理で決定されます。 | 買主様、不動産会社、不動産鑑定士 | 取引時点または査定時点 |
| 路線価 | 相続、遺贈または贈与の財産の相続税および贈与税の財産の評価を求めるときに使用する指標 | 国税庁 | 毎年1月1日 |
| 公示地価 | 土地取引や公共事業用地の取得価格、不動産鑑定の場で使用する指標 | 国土交通省 | 毎年1月1日 |
| 基準地価 | 土地取引規制の価格審査や公共用地の買収を行う時に使用する指標 | 都道府県 | 毎年7月1日 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税を求めるときに使用する指標 | 市町村 例:東京23区は東京都 |
基準年(3年ごと)の1月1日 |
なお、上記5つの公的評価額は全て土地の価格を表すものであり、マンション価格を示すものではありません。
マンションの価格を調べる際は、土地価格に加えて、建物の価格を調べる必要があります。
公示地価とは、国土交通省が発表する土地価格のことで、一般の土地取引や公共用地取得、不動産鑑定評価などの指標となります。
似たようなものに基準地価がありますが、こちらは都道府県が調査・発表すること、調査が7月1日・公表が9月下旬になること以外は公示地価との大きな目的の違いはありません。
ただ、次の公示地価が発表される間の推移を見る目的などに利用されることが多いです。
最後に固定資産税評価額ですが、これは市区町村が固定資産税を計算するための不動産評価額となります。
路線価から実勢価格を求める方法
路線価は、国税庁が管理・運営している「路線価図・評価倍率表」から求めることができます。
対象の路線価を調べた後は、実勢価格を求める計算式に当てはめて計算することでおおよその実勢価格を知ることができます。
ここでは、「路線価の調べ方」と「実勢価格の計算方法」についてそれぞれ解説します。
路線価図から路線価を調べる方法
冒頭でも触れたように、路線価は、国税庁が管理・運営している「路線価図・評価倍率表」から調べられます。
以下は、路線価図から路線価を調べる手順になります。
- 「路線価図・評価倍率表」にアクセスして調べたい都道府県を選ぶ
- 「路線価図」を選ぶ
- 調べたい市区町村を選ぶ
- 調べたい地名(町・大字)を選んで路線価図ページの番号を選ぶ
- 確認したい地点を見つけて土地が隣接している道路上の路線価を調べる
上記5つの手順に沿って、路線価を調べていきます。
手順①:「路線価図・評価倍率表」にアクセスして調べたい都道府県を選ぶ
手始めに「路線価図・評価倍率表」にアクセスして、路線価を調べたい都道府県を選びます。
例として、今回は、東京都を選択します。
手順②:「路線価図」を選ぶ
ページが遷移したら、上部にある路線価図を選びます。
手順③:調べたい市区町村を選ぶ
次に、調べたい市区町村を選んでいきます。
例として今回は、品川区を選びます。
手順④:調べたい地名(町・大字)を選んで路線価図ページの番号を選ぶ
次に調べたい地名(町・大字)の路線価図ページの番号を選んでいきます。
調べたい場所がどのページ番号にあるかは開いてみないとわかりません。
例えば、「大井6」のように、複数のページに分けられているものがあれば、「大崎2」のように1ページのみのものもあります。
手順⑤:確認したい地点を見つけて土地が隣接している道路上の路線価を調べる
路線価を調べたい土地が見つかると、以下のような形で路線価図が表示されます。
図中の道路上に「640C」や「860C」などの表記があります。
これが今回調べたい路線価になります。
これらの記号は、その道路に面している土地の1㎡当たりの価格(1,000円単位)を示しています。
例えば調べたい土地が「620C」の道路に接している場合、その土地の1㎡当たりの価格は、62万円となります。
なお、計算式は以下のようになります。
そして土地面積が50㎡あった場合、62万円×50㎡=3,100万円となります。
路線価から実勢価格を求める方法
路線価図から路線価を調べたら、いよいよ実勢価格の算出に進みます。
公示価格とそれぞれの価格の目安は、以下の通りです。
- 実勢価格:公示地価の1.1~1.2倍
- 路線価:公示地価の0.8倍
つまり、路線価から以下の計算式で実勢価格を求めることができます。
路線価30万円/㎡・土地面積100㎡の場合、1㎡当たりの目安は30万円÷0.8×1.1=41.25万円、土地全体では約4,125万円です。
ただ、これはあくまで目安であり、実勢価格はその他の要素によって変化する可能性があります。
- 実勢価格が目安より高くなる要素:立地やエリアのブランドが高い。大規模な都市開発が予想されているなど
- 実勢価格が目安より低くなる要素:事故・事件などの心理的要因、人口減少、需要の弱さ、接道条件や形状の悪さなど
人気エリアでは、公示地価を上回る価格で取引されるケースもあります。
実勢価格は取引時の最終的な価格
実勢価格は不動産を売買する際の、最終的な取引価格のことを指します。
良くSUUMOなどのポータルサイトに中古物件の価格が掲載されていますが、これはあくまで売り出し価格であり、最終的な売買契約で決定される取引価格とは異なるケースが多いです。
また、中古不動産の売買では、物件の状態や市況によって価格交渉が入る場合があります。
路線価を利用して実勢価格を計算する際の注意点
路線価を利用して実勢価格を計算する際は、上記の計算式にただ当てはめるだけではズレが生じるケースも多々あります。
ここからは、計算する際に注意しておきたい点を紹介します。
注意点①路線価は土地の実際の状況が加味されていない
実際の土地売買では、整備されていない荒れ果てた土地は売れにくくなります。
路線価は道路ごとに設定される価額であり、個別の土地評価では奥行価格補正や不整形地補正などを考慮はされます。
ただし、土地の表面の状態などについては、路線価には反映されません。
注意点②実勢価格は面積に比例して高くなるとは限らない
路線価を使った評価額は、基本的に路線価に土地面積を掛けて計算します。
しかし、実勢価格は土地面積が大きくなるほど高くなる訳ではありません。
大きすぎる土地は逆に使い勝手が悪いとみなされて、売れにくいケースも多々あります。
この際は、分筆といって土地を複数に分けて別々に売り出す方法が効果的です。
路線価と実勢価格に関する質問
土地の評価額は路線価で計算できる?
計算式は「評価額 = 路線価 × 土地の面積」となります。※実際の評価では奥行価格補正や不整形地補正などを考慮
例えば、路線価図上に「150A」と表示されている場合、これは「1平方メートルあたり15万円」という意味であり、この価格に土地の面積を掛けることで、その土地の評価額を導出できます。
この計算方法は、特に税金の算出において重要な役割を果たします。
土地の売り時を調べる方法は?
これらのデータは市場の需給バランスや経済環境、人口動態など、不動産価格に影響を与える多くの要素を反映しています。
これらの情報を活用することで、市場の傾向を把握し、適切な売り時を予測することが可能になります。
路線価の調査を行っている機関はどこ?
路線価はいつ頃公表される?
路線価が公示価格の約8割に当たるのはなぜ?
これは、1992年の評価から決定されたもので、相続税や贈与税における土地評価のゆがみを解消するための措置です。
以前は路線価が公示価格の7割で評価されていましたが、これによって実勢価格との乖離が大きくなっていたため、8割への引き上げが行われました。
![GRO-BELラボ[株式会社グローベルス]](http://gro-bels.co.jp/labo/wp-content/uploads/2024/08/ラボ ロゴ-02-1.jpg)







