急な引っ越しなどで、今まで住んでいた自宅が不要になることがあります。
賃貸のように解約をして終わりというわけにはいきません。放置しておくと毎年固定資産税がかかるので、処分をする必要があります。
今回は数ある自宅の処分方法の中でも、売却に焦点を当てて解説していきます!
自宅を高く売って、新居購入代や引っ越し費用の足しにしましょう!
→家を売るならどこがいい?高く売ってくれる優良業者を選ぶコツ
自宅を売却できるケース
自宅の売却を検討している人の中に「住みながら売ることってできるの?」「住宅ローンがのこっているけど売れる?」と様々な疑問が生まれている人もいますよね。
住宅ローン残債が残っている状態での売却や住みながら自宅を売却する事は可能です。
これからケース別に詳しく解説していくので「売却できるか心配…!」という人は参考にしてください。
アンダーローンの状態
住宅ローン残債が残っている人でも、自宅を売却することができます。
実は住宅ローンを残したまま自宅を売る人が多く、自宅を売却したあとに売却益で住宅ローンを完済します。
ただし、売却益で住宅ローンを完済出来ない場合は自己資金から補填する必要があるので注意しましょう。
自宅の売却は家の抵当権を抹消する必要があり、住宅ローンを完済しないと抵当権を抹消することができません。
住宅ローンが残っている状態でも売却は可能ですが、売った時点で完全に返済できる見込みがないと売却出来ないので注意しましょう。
リースバックできる
「自宅を一旦売りたいけど、住み続けたい…!」と考えている人もいますよね。
リースバックサービスを利用すると、自宅を売ってなおかつ住み続けることができます。
自宅をリースバック業者に査定してもらい売却した後、賃貸契約を結ぶ事によって自宅に住み続けられます。
ただし売却価格が市場相場に比べて安めだったり家賃が高めになったりするデメリットもあるので、リースバックを検討している人はリスクを抑えてくれる最適のリースバック業者を選びましょう。
自宅に住みながら売却
リースバックとは別に「売却前に引っ越しを行いたくないから自宅に住みながら売却したい!」というひとも居ます。
住み替え希望の人に上記のような考えを持つ人が多く、売却が先か新居の購入が先化悩みますよね。
自宅の売却は上記どちらも可能です。
売却完了後に引っ越しする方法は、売り先行という方法で自宅に住みながら売却ができます。
売却計画を立てやすい点がメリットで、買主が内覧する際に生活イメージを膨らませられるのでおすすめです。
自宅を売却する方法
自宅を売却する方法は大きく分けて3つあります。
- 不動産仲介
- 不動産買取
- リースバック
各方法を説明していくので、最適の売却方法で自宅を売りましょう。
不動産仲介
不動産仲介は名前の通り、不動産会社が買主と売主の仲介に入って自宅を売却します。
自宅を売りたい人は、まず不動産会社に査定を依頼してどのくらいで売ることができるか査定してもらいます。
査定価格や担当者の対応に納得すれば媒介契約を締結し、不動産会社に売却活動を行ってもらいます。
買主がみつかれば内覧や条件交渉をして売買契約に移ります。
不動産仲介は、市場の相場価格で売れる可能性が高く「どんなに時間がかかっても良いから高く売りたい!」という人におすすめです。
不動産買取
不動産買取は仲介と違い、自宅を購入する人が不動産会社になります。
買取は不動産会社が不動産を買い取って、リノベーション・リフォームを行った後に顧客に買い取ってもらいます。
一旦物件を担保するリスクやリノベーションするコストがかかる為、仲介に比べて売却価格が安くなりますが、家具が残ったままでも買い取ってくれる所やゴミや設備欠陥も全て不動産会社が無料で行ってくれる所などあるので、自宅の環境によっては買取の方がおすすめのケースがあります。
リースバック
リースバックは自宅を売って自宅に住み続けられるサービスです。
サービス内容によって異なりますが、一般的にリースバックで自宅を売って買い戻しをする人や賃貸契約を締結して無期限で住み続ける人が多いです。
リースバックは業者によってプランが異なるので、利用する前にしっかり相談しておきましょう。
自宅を売却するべきか判断するポイント
不要な建物を処分するには、売るか貸し出すかのどちらかを選ぶのがおすすめです。
どちらがお得か考えるには、まず自宅の状態をしっかり調べておきましょう。
まず考えておきたいのは、以下の5項目です。
- 築年数
- ローンの内容(残り年数、金額、金利など)
- 相場感(周辺の物件はいくらで売れているか)
- 売却でかかる税金
- 売却後の人生設計
まずはこれらの項目を調べた上で、売却をしても利益が出そうか考えます。
もし利益が出そうなら売る方針で手続きを進めていきますが、築年数が経ちすぎている場合などは賃貸に切り替えていきます。
今後のコストを計算する
自宅の処分方法でまず売却を優先すべき理由は、今後のコストを削減できるからです。
前述の通り、全ての不動産所有者には固定資産税が課されます。
固定資産税の納付額は、固定資産税評価額×標準税率(1.4%)となります。
固定資産税評価額は、自宅の購入価格の7割程度と考えておけばよいでしょう。
賃貸に出しても所有者は変わりません。課税から逃れるには売却をして買主に権利をうつしましょう。
→不動産売却した年の固定資産税は誰が支払う?どう精算する?精算の方法・注意点を解説
更に、購入から築20年もたてば、設備修繕やリフォームの必要が出てきます。
これらの費用は高額になりがちですが、特に空き家は放っておくと劣化が進み、倒壊して近隣に迷惑をかける可能性も出てきます。
引っ越しから数年経っていても倒壊などがあれば、所有者に責任が及びます。
こうした責任から逃れるためにも、早期に売却してしまうのがおすすめですよ。
今後得られる利益を計算する
戸建て物件は築年数が経過するごとに価値が大きく下がり、築20年を過ぎれば価値は0になると言われています。
これは賃貸に出した場合も同じで、築年数が経過すれば賃料は値下げをしなければいけませんし、空室もどんどん増えてしまいます。
加えて築年数が経過すれば維持費も増えていくので、コストがかさんでいきます。
一方、売却なら築年数がまだ浅い時期に換金できますし、仲介手数料などを除いて売却後にコストがかかりません。
将来必要になるかどうかを考える
不要な自宅は賃貸に出すよりも売却してしまうことをおすすめします。
その理由は、まず一戸建て住宅は築年数の経過によって急速に劣化するからです。
建物部分の価値は築25年ほどでゼロになるので、賃貸に出した後に売ろうと思っても価格がつかない可能性があります。
また、自宅を賃貸に出しても必ず入居者が来る訳ではないという不確実性も考えなければいけません。
賃貸に出しても正式な所有者は貸主のままですから、固定資産税の納付や維持費の支払いは続けていかなければいく必要があります。
一方、自宅を売却すればキッパリと所有権も移転できるため、劣化した後の修繕・リフォーム費用を支払わなくて済みます。
また、売却は築年数の浅いうちに市場に出すので、高額利益を得られる可能性が高いです。
上記から、賃貸と売却どちらが良いか悩む方には基本的に売却のほうをおすすめします。
ただ、賃貸経営の場合は自宅の所有権を手放さなくて良いというメリットがあります。
例えば2年間の海外赴任で留守になる期間を貸家利用し、戻ってきたら再び住むということも、2年間の定期借家契約を結べば可能です。
家を取り戻したい、取り戻す予定があるのなら、賃貸に出すのも一つの手でしょう。
住宅市場の状況
市場の状況次第で、自宅がいくらで売却できるか、また売却が完了するまでどれくらいの時間が変わってきます。
住宅市場は、経済状況に応じて、買い手市場と売り手市場のいずれかに分けられます。
例えば、市場状況が買い手市場の場合、販売物件数が多く、買い手が選び放題の状況にあります。
つまるところ、不動産市場に大量の物件で溢れている状態で供給量が多く、物件の需要が下がっている状況でもあります。
この状況では、買い手の交渉力が強くなり、物件価格は下がりやすく、場合によっては、売却損を引き起こす可能性手があります。
一方、売り手市場は、買い手が多く、販売物件が少ない状況を指します。
つまるところ、物件の供給量が少なく、物件に対する需要が高まっている状況でもあります。
買い手市場とは異なり、売り手側の交渉力が増し、物件価格は上がりやすい状況でもあります。
現在の市場がどっちになっているかは、一般的な経済状況、利子率、雇用状況、地域の人口動態などで判断できます。
また、不動産業者や不動産価格情報サイトなどを利用して、自宅周辺の最近の不動産取引の動向を調べることもおすすめです。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルの変化も、自宅を売却するか否かを決定する際に考慮すべき重要な要素の一つです。
時価の流れとともに、現在の住まいが自分の生活スタイルやニーズに適合しなくなることがあります。
たとえば、子供たちが巣立って、家が広すぎるように感じる「空巣症候群」の場合、ダウンサイジングを考える必要があります。
ダウンサイジングを考えることによって、メンテナンスや税金の負担を軽減し、リタイアメントライフを楽しむことが可能になります。
逆に、家族が増え、現在の住まいが手狭になった場合、より広い家を求めましょう。
また、仕事や学校の関係で通勤時間を短縮したい、もしくはリモートワークがメインになり、自然豊かな地域への移住を考えるのも売却を検討する動機になります。
今回触れたライフスタイルの変化は、いずれも不動産売却を考える際の重要なファクターになります。
自宅売却の流れ
自宅を売却する流れは、以下の8ステップに分けられます。
この流れを把握しておけば、スムーズに売却をすすめることができますよ!
ここからは、それぞれの手続きを詳しく解説していきます!
→【図解付】不動産売却の流れ全9ステップを手順に沿って解説!全体図から必要事項まで完全網羅
①不動産会社への相談・査定依頼
まずは不動産会社へ相談をしたり、査定依頼をしたりするところから始めます。
最寄りの不動産屋1社にしか相談しない人も多いですが、なるべく3社以上に相談をしておくようにしましょう。
不動産会社ごとに考え方も違いますし、査定額を比較することでどこが高く売ってくれるかがわかります。
このとき軸となるのが「なぜ売るのか」という理由・目的です。
これがなければ向こうは最適な提案ができませんし、こちらも不動産会社に様々なプランを提案される度に二転三転してしまいます。
売る理由をしっかり固めた上で相談・査定依頼をするようにしましょう。
②査定・業者選び
査定結果が出たら、比較をした上でどこと契約するかを決めていきます。
方法としては、一括査定サイトなどを使って査定額を比較し、3社ほどに絞り込んだところで訪問査定を依頼します。
訪問査定は担当者が実際に自宅に赴き物件内部などを詳しく調べる方法で、簡易査定よりも正確です。
また、訪問査定をすると担当者が自宅に来て直接話をする機会もあるので、人柄・対応も同時に比較していきましょう。
③媒介契約
契約先が決まったら、媒介契約を結びます。
これは、自宅の販売活動を業者に依頼する代わりに、成約時は売上の一部を仲介手数料として支払うことを約束するものです。
媒介契約には以下の3種類の方法があります。
契約の種類 | 契約の有効期間 | 売り手自身が買い手を見つけること | 依頼可能な業者数 | 仲介業者からの報告※ |
---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
一般媒介契約 | 3ヶ月以内 | 可能 | 複数社と契約可能(契約数の上限なし) | なし |
普通の物件なら専任媒介契約がおすすめですが、立地が良い物件などは、一般媒介契約のほうが高く売れるケースもあります。
④売却活動・部屋のクリーニング
媒介契約を交わすと、不動産会社が売却活動(販売活動)をおこなっていきます。
この活動では、他社への広告掲載依頼や、周辺地域へのポスティングなどを担当者がおこないます。
売主はそれと並行して、自宅の清掃・整理整頓をしていきましょう。
これをしっかりやっておくことで、内覧で結果が出やすくなります。
自力でキレイにならない場合は、ハウスクリーニングを業者に依頼するのも一つの手です。
⑤内覧対応
業者が撒いた広告から、購入希望者が問い合わせの連絡をしてきます。
希望者とスケジュールを合わせて、自宅の内覧をしていきましょう。
内覧が自宅売却の最後の関門で、これが上手くいけば家を高く早く売ることができます。
⑥買付(購入申込書)をもらう
内覧の印象が良ければ、購入希望者から買付というものをもらいます。
買付をもらったら次は売買契約なので、どんな契約をいつするか少しずつ話を進めていきましょう。
ただ、買付には法的拘束力がないので、他に良い物件が見つかれば契約を拒否されることも良くあります。買付をもらったからといって気を緩めることのないようにしましょう。
⑦売買契約
売買契約では、主に作成した売買契約書の確認をおこないます。
売買契約書に記載されているのは、こちらの13項目であることが多いです。
番号 | 項目 | 内容 |
---|---|---|
① | 売買物件の表示 | 物件の面積や間取り、権利者などの詳細 |
② | 売買代金、手付金額、支払い日 | 売却代金の詳細(金額・ペナルティなど) |
③ | 所有権の移転・引き渡し日 | 物件の所有権はいつ移転されるかの明記 |
④ | 公租公課の精算 | 物件に関わるさまざまな費用を引き渡し日を基点に日払い計算した結果 |
⑤ | 反社会的勢力の排除 | - |
⑥ | ローン特約 | 売買契約から引き渡しまでに受ける住宅ローン審査が不通過だった場合、契約を白紙化できる特例 |
⑦ | 負担の消除 | 所有権移転までに抵当権などの担保権・賃借権などの用益権などの一切の負担消除を約束 |
⑧ | 付帯設備等の引き渡し | 付帯設備をそのまま物件に付けたまま引き渡すこと、故障等の有無を確認 |
⑨ | 手付解除 | 契約キャンセル時の手付金と解除の要件 |
⑩ | 引き渡し前の物件の滅失・毀損 | 引き渡し前に災害などが起きた場合どうするかの確認 |
⑪ | 契約違反による解除 | 契約内容を違反したときに解除になること、またその際のペナルティの確認 |
⑫ | 瑕疵担保責任 | 引き渡し後に欠陥が見つかった場合、何か月(年)以内なら売主に責任を求められるか |
⑬ | 特約事項 | その他、法的な順守義務のある項目(強行規定)以外に、売買者間で定めた独自の項目(任意規定) |
気を付けてほしいのが、2者間で話した内容が契約書に記載されていない場合です。
契約書に記載がないと影響力がないので、重要な事柄は全て契約書に載っているようにしましょう!
⑧引き渡し・決済
売買契約を終えてから1.5か月ほど後に自宅の引き渡しと諸費用の決済をおこないます。
期間が中途半端に空いていますが、これは買主の住宅ローン審査を加味したものです。
引き渡しは平日の午前中に銀行の一室などを借りておこなわれます。ちなみに当日の流れは以下の通りです。
- 本人確認と書類の確認
- ローン融資を買い手がおこなう
- 税金などの精算
- 売り手から買い手へ領収書の発行
- 仲介手数料の支払い
- 司法書士への報酬支払い
- 売り手のローン返済手続き
- 抵当権の抹消登記完了
- 鍵や重要事項説明書などの引き渡し
更に、以下の書類が必要となります。
書類 | 内容 | 取り扱い |
---|---|---|
登記済証・登記識別情報 | 不動産の権利者・データが詳細に記載 | 司法書士へ提出・預ける |
実印 | 実印登録済みの印鑑 | 登記関係の書類に押印 |
印鑑証明証 | 実印登録を証明する書類 | 司法書士へ提出・預ける |
固定資産税納付書 | 不動産にかかる固定資産税が明記 | 税金精算のため、買主と確認 |
公共料金の領収証 | 自宅に届いた電気・ガス・水道料金などの明細 | 引き渡し日で日割り精算するため、買主と確認 |
管理規約・パンフレット・建築確認通知書など | 物件(特にマンション)のルール・利用方法が書かれたもの | 買主へ渡す |
自宅売却でかかる税金・費用
自宅の売却でかかる費用は、以下の8つがメインとなります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消登記費用
- 譲渡所得税
- 測量費用
- 不用品の処分費用
- 各種書類の発行費用
- ハウスクリーニング費
更に、状況に応じて適宜さまざまな費用がかかるようになります。
不動産売却でかかる費用・税金はこちらに全てまとめているので、ぜひお読みください!
→不動産売却の費用・手数料を一覧で紹介!諸費用の金額相場・計算方法
仲介手数料
媒介契約時に売主が業者へ支払いを約束するのが、仲介手数料です。
仲介手数料は仲介業者に対する報酬という意味合いが強く、物件価格に比例して以下の金額を支払います。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
→不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法を解説
支払いのタイミングは、売買契約時に一部を支払い、引き渡し時に残りを支払うことが多いです。
高額な仲介手数料ですが、知られざる値下げの方法もいくつか存在します。
譲渡所得税
自宅を売って売却益(売却価格>購入費用)が出たら、譲渡所得税を支払います。
ちなみに譲渡所得税は以下の計算式で求めます。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(※取得費+売却費用) }
税率は、自宅の所有期間に応じて以下のようになります。
所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得(所有期間5年以内) | 30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 15% | 5% | 20% |
注意点として、所有期間は取得日から売却した年の1月1日までで計算します。
勘違いをして節税をした気にならないようにしましょう。
譲渡所得税は、引き渡しの翌年2~3月に確定申告をして収めるようになります。
確定申告を忘れると延滞金がかかってしまうので注意しましょう。
不動産の確定申告は難しく、特に経験のないサラリーマンは手こずる傾向にあります。
→不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】
自宅売却の注意点
売却価格は購入価格に比べて下がりがち
自宅を売却する際は、購入時よりも利益が大きく下がってしまいます。
購入時と同じか、それ以上で売れる可能性はほぼないと考えて良いでしょう。
特に建物を売る際は減価償却というものが適用されます。
減価償却は、建物の価値は時間が経つごとに減少するという考え方で、査定時にも築年数に応じた減価償却費が差し引かれるようになります。
この計算は査定時に必ず適用されるので、一部の例外を除いて査定額は購入時の価格より下がるようになっているのです。
ローン残債がある場合は完済が必要
自宅のローンがまだ残っている方も多いでしょうが、結論から言えば残債がある家も売却はできます。
ただ、売却額+貯蓄を含めて、しっかり完済ができることが条件となります。
もし予想外に低額で売れてしまった場合は、金融機関が提供するつなぎ融資などを使って処理をするようになります。
ただ、離婚などの事情であまりに多額のローンを残した家を処分しないといけない場合は、任意売却という方法を取るのがおすすめです。
自宅売却にかかる税金・費用
自宅の売却には、税金や費用が発生します。
今回は発生する税金・費用の中でもしっかり理解しておいた方が良い内容を紹介します。
仲介手数料
仲介手数料は自宅の売却が完了した時に仲介した不動産会社に支払う報酬です。
仲介手数料は宅地建物取引業法によって定められており、売却価格によって上限が決まっています。
また消費税が手数料にかかってくるので、事前に把握しておきましょう。
譲渡所得税
譲渡所得税は、売却した時にもらったお金が自宅を購入した価格を上回って売却益が発生した時に課せられます。
譲渡税と住民税をあわせた税金になっているので”譲渡所得税=売却価格-住宅取得費-諸費用”という計算式になります。
自宅売却を成功させるコツ
ポータルサイトで事前に相場をチェック
自宅の査定で良くおこなわれるのは取引事例比較法ですが、これを自分なりに簡易におこなうこともできます。
SUUMOやライフルホームズのようなポータルサイトには、売り出し中の物件が多数掲載しています。
これを地域で絞り込めば、周辺で売り出されている物件はどんなもので、だいたいいくらで売られているかがすぐにわかります。
この方法を使えば、手軽に売却相場がチェックできますよ!
ただ注意点として、サイトごとに掲載されている情報の傾向が違うので、なるべく複数サイトを併用するようにしましょう!
売却のタイミングを見極める
意外と知られていませんが、自宅の査定額は売る時期によっても変化します。
このベースとなる考え方が、流動性比率です。
流動性比率とは、市場の流動性に対する物件の優劣を比率化したもので、要は競合と比較して売れやすいか、売れにくいかを比率化したものとなります。
基準は1.00(100%)で、売りやすい物件なら上限110%まで増加し、売れにくければ下限85%まで減少します。
査定額を上げるには、売り出し時期の見定めが重要なのです。
住宅評価を取得しておく
近年では、国・自治体や専門業者が優良住宅を認定し、税金の優遇などを受けられる制度が整備されてきています。
優良住宅に認定されるのは生活する上で嬉しいメリットですが、売却する際も業者や購入希望者から評価され、高く早く売れるようになります。
ここからは売却の際、特に認定を受けておきたい評価制度の紹介をしていきます。
長期優良住宅
長期優良住宅とは、その名の通り長期にわたって良好な状態を維持できるような措置がとられた住宅のことを指します。
長期住宅を受けるためには、以下のような性能項目を一定基準以上満たしている必要があります。
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新(修理)の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 省エネルギー性
- 住居環境
- 住戸面積
裏を返せば、多くの項目をクリアする必要があるからこそ、認定された時に高いPR力を発揮します。
これらの条件を満たして長期優良住宅と認定されると、住宅ローンや取得税、固定資産税などが優遇されます。
低炭素住宅
低炭素住宅は2012年9月に公布された「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)に基づき、エネルギー消費量を一定レベル削減した省エネ性の高い住宅のことを指します。
ただ、エネルギー消費量を実現した場合は省エネ基準と同等以上の断熱性能の確保が必要となります。
更に低炭素住宅と認定されるには、上記の条件をクリアした上で、更に以下の条件を満たす必要があります。
- 節水設備が設置されている
- 雨水を貯水・再利用する設備が設置されている
- HEMS・BEMSを採用している
- ヒートアイランド対策を取っている
- 築年数による劣化の軽減策を採用している
- 木造住宅である
- 高炉セメントなどを使用している
新居の購入を売却と同時に進める
自宅を引き渡す前に、新居を見つけて契約をしておかなければ住むところがありません。
新居選びから購入契約までは、売買契約~自宅引き渡しまでの1.5か月でおこなうのがセオリーです。
ただ、自宅を高く売りたい方は、最初に新居を購入して引っ越しを済ませ、空の家をじっくり売っていく方法(買い先行)もあります。
自分の目的に合った方法を選ぶようにしましょう。
新居購入が引き渡しまでに間に合わず、引っ越し先がない場合もあります。
こうした場合におすすめなのが、先行引き渡しと引き渡し猶予です。
先行引き渡しは売買契約を早めに済ませて引き渡し日を先延ばしてもらう方法で、引き渡し猶予は決済後も売主が住み続けて良いと許可を貰う方法です。
これらの方法をつかえば最長2週間は引き延ばせるので、その間に新居を用意しましょう!
内覧準備を忘れずおこなう
引っ越し先の物件を探していて、広告写真も間取りも希望通りの物件を見つけた。それなのに実際に中を見学すると、「あれ、なんか違う…」と感じた。
こんな思いをしたことのある引っ越し経験者も多いのではないでしょうか。
光の入り方や壁の色味などによって、外からは魅力的に見えていた物件が急に魅力を失うということは良くあります。
ケースによってこうなってしまう理由は異なりますが、一つに”生活感”が考えられます。
既に人が出払っている物件でも、引っ越しから間もないと何となく生活感を感じることができます。
柱に少し傷がついていたり、戸棚の開け閉めが緩くなっていたりと、明らかに人が住んでいたことで起こる欠損は、中古の家なら1つや2つはあるでしょう。
ある程度仕方がない部分もありますが、買い手は決してそうは思いません。
多くの買い手が中古物件を希望する理由は価格が安いからであって、人が住んでいたことに趣きを感じるからではありません。
そのため、内覧に来る買い手はモデルルームのように生活感のない家を想像して来訪します。
近くにモデルルームがある場合は、一度参考に見にいくことをおすすめします。
自宅を売却する際のよくある質問
自宅を売却する際によくある質問について回答していきます。
人生の中で自宅を売却する事は数が限られています。
疑問や不明点をしっかりと確認することで自宅売却を成功させましょう。
自宅を売却する際にかかる費用はいくらですか?
自宅を売却する際に発生する費用は以下の2つです。
- 仲介手数料
- 抵当権抹消費用
仲介手数料は、自宅を売却する際に利用した不動産会社に払う報酬です。
自宅を売却した価格によって手数料の金額は異なります。
売却予定の自宅が抵当に入っていた場合は、抵当権抹消費用がかかります。
住宅ローンを完済している場合は、抵当県抹消費用を支払う必要なく自宅を売却することが可能です。
売却査定後に売るのを辞めても良い?
売却査定を出したからと言って、必ずしも自宅を売却しなければいけないわけではありません。
複数の不動産会社に査定を出すことで、一番高額な不動産会社に自宅を売却することが出来ます。
様々な不動産会社に査定を出す際は、一括査定を利用することで一度の申請で複数の不動産会社から見積もりを出してもらうことが出来ます。
また、シミュレーションの利用であれば匿名で個人情報の入力を一切せずに自宅の査定をすることも可能です。
ただし、シミュレーション査定の場合は建物の劣化具合などを考慮していないため、正確な査定をしたい場合は一括査定などを利用するようにしましょう。
時間をかけずに売却する方法は?
自宅を時間をかけずに売却したい場合は、不動産仲介業者ではなく不動産買取業者を利用しましょう。
不動産仲介業者では、不動産買取業者よりも高額に自宅を売却することができますが売却を確定するまでに価格の交渉や時期の交渉などがあり、早く売却することが出来ません。
そのため、不動産仲介業者は売却に時間がかかってしまいます。
共同名義の自宅は売却できますか?
共同名義の自宅でも売却は可能です。
ただし、売却をする際は共同名義の方の実印や印鑑証明などを複数用意する必要があります。
代理人ではなく原則として本人が手続きを行う必要があるので利用する際は注意指定下さい。
住み替えの場合は売却と購入どちらが優先?
状況によってどちらを優先するかは異なりますが、住宅ローンの完済が済んでいない場合は、自宅の売却が優先です。
自宅を先に売却することで、住み替え先の予算やその後の計画を練りやすいためです。
また、住宅ローンが残った状態で新規の住宅ローンを組むのは難しく、抵当権を外すために一時的に多額の費用が必要です。
そのため買い先行ではなく売り先行で自宅を売却するようにしましょう。
自宅売却では不動産一括査定サイトを活用すべし
自宅を高く売りたい方におすすめのツールが一括査定サイトです。
自宅のカンタンな情報を入力するだけで複数社に査定を一括で依頼できる優れもので、査定額を比較すればどこが高く売ってくれるかすぐにわかります。
不動産会社に1社ずつ査定依頼をする手間も省けるので、忙しい方にもおすすめですよ。
「しつこい営業電話が心配…」という方のために、連絡先を記入せず匿名で査定依頼ができるサイトもあります。
フェーズに応じて、最適なツールを活用していきましょう。