日本では多くの空き家処分に困っている人が居ます。
空き家問題は一つの大きな社会問題になりつつあり「空き家を売ろうとしても売れない!」と困っている人が増え続けています。
そこで今回は、空き家が売れない理由を紹介し売れない時の対策や解決法を解説します。
「空き家処分を検討している」「空き家を売ろうとしたけど売れなくて困っている」という人は参考にしてください。
→空き家を売る方法!売る流れとかかる費用や税金・注意点を解説
空き家が売れない理由
空き家が売れない理由はさまざまありますが、大きくまとめると下記3つです。
- 建物が古い
- 買主が見つかりにくい地域
- 不動産会社が買い取らない
空き家の売れない状況は建物の状態や立地条件によって異なる為、それぞれの理由をしっかり理解していきましょう。
建物が古い
建物が古すぎて売れない状態は、空き家が売れない理由で一番多いです。
1981年建築基準法が改正されている為、1981年以前に立てられた建物はほぼ無価値の状態になります。
空き家で売れていない物件は1981年以前の建物が多く、耐震基準などが満たしていない為、物件を解体する必要があります。
場合によっては解体せずに残しておいた方が良い物件もあるので、まずは目視で建物がどのような状態か確かめましょう。
買主が見つかりにくい地域
買主が見つかりにくい地域は過疎地と言って、その地域にそもそも住もうとしている人が少ない状態です。
人口が減り続けている地域は高齢化と過疎化が進んでおり、空き家を活用すると言っても非常に難しい状況です。
特に田舎の空き地は都会の空き地と違い、空き地を活用する方法が限られているので「空き家が売れない!」という人が多いです。
不動産会社が買い取ってくれない
空き家はマンションや一戸建てと違って、不動産に入ってくる売上が少なく、不動産が買い取ってくれない場合もあります。
空き地は買主が見つかりにくい上に売る価格が一戸建て・マンションに比べて低く、条件をみても不動産会社が買いたがらない物件です。
不動産会社が仮に依頼を受けたとしても、何年も買主が見つからない状況になっていることもあります。
売れない空き家を売却する為の対策・解決法
売れない空き家でも対策することによって、売却できる可能性があります。
売れない理由を理解した上で、売る為の対策を実行していきましょう。
建物のメンテナンスをする
まずは空き家の状況を確認してメンテナンスをしましょう。
空き家の周辺に雑草が生い茂っていたり、室内の腐食がすすんでいたりしている場合、リフォーム業者に見積を依頼してみましょう。
空き家は解体して売る方法もありますが、解体する場合も費用はかかります。
リフォームすることによって、更地より高い値段で売れる可能性もあるので、まずはどちらが最適かリフォーム業者に相談してみましょう。
賃貸でお試ししてもらう
過疎地の空き家は、不動産会社が積極的に取り扱ってくれない場合が多いので、まずは賃貸に出して住んでくれる人を探してみましょう。
実際に住んでもらうと家の良さがわかり、馬脚希望してくれる可能性もあります。
賃貸に出して借りる人を探すには、個人だけでなく地域全体を巻き込むチャレンジになりますが、意外に需要と供給がマッチするケースもあります。
更地で売る
どうしても空き家が修復不可能である場合は、解体して更地にする方法があります。
ただし更地にして物件を手放すと固定資産税が6倍以上に跳ね上がり、結果損してしまう可能性があります。
リフォームやリノベーションは補助金を活用することで、自己投資資金を抑えて物件を生まれ変わらせることも可能です。
町が過疎地であっても、ゲストハウスや民泊などにリフォームして付加価値をつけることもできるので、更地にする手段は最終手段と思っておきましょう。
売れない空き家を売却する方法
売れない空き家は、様々な手法を使うことによって売却することができます。
近隣にある不動産会社に頼むだけでは、売却出来ない可能性がでてくるので、さまざまな方法を考えましょう。
不動産一括査定サービスを活用する
不動産会社に一括査定を依頼できるサービスを活用しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼すると、売りたい物件の相場が大まかに理解できます。
売る時に価格が相場価格と大きく乖離していると、買主が見つからない原因にもなります。
まずは複数の不動産会社の査定価格をみて、物件の価値を把握しましょう。
また高値で査定してくれた不動産会社に相談してみるのもありです。
マッチングサイトを活用する
近年、”家いちば”と言う、さまざまな物件の売買マッチングをおこなっているサービスがあります。
家いちばは空き家だけでなく、学校や宿泊施設も取り扱っており、査定価格も0円~1億円と幅広いです。
どうしても空き家を売却したい人は家いちばのサービスを利用して買い取ってくれる人をさがしましょう。
売れない空き家を寄付処分する方法
空き家がどうしても売れない場合、寄付という方法を用いて処分する方法があります。
その名の通り利益は一切発生しませんが、いらない空き家の維持費コストを抑えるという意味では有効な方法です。
寄付する相手は以下の4通りあり、それぞれ流れが違います。
- 自治体
- 個人
- 法人
- 自治会・町内会
ここからは、それぞれの方法を1つずつ解説していきます。
自治体に空き家を寄付する
まず考えられるのが、自治体に空き家を寄付する方法です。
自治体に寄付をすることで、公益のために利用してくれるならこれほど嬉しいことはないですが、全ての空き家が受け入れてもらえる訳ではありません。
特に近年は自治体の財政状況が軒並み悪くなっており、空き家の寄付を受け入れても維持できない可能性が高いです。
小規模の地方自治体だと財源の半数近くが固定資産税というところも多く、寄付することでこの財源が0になるのは大きなリスクです。
自治体への寄付を希望する際は、まず寄付が可能かの確認を取りましょう。
空き家を自治体に寄付する流れ・必要書類
空き家を自治体へ寄付するためには、まず以下のステップを踏む必要があります。
- 自治体の担当窓口に相談する
- 空き家の調査を受ける
- 必要書類を提出する
自治体から調査を受けてOKがもらえったら、以下の書類を提出するようになります。
- 寄付申出書
- 公図
- 登記簿謄本
- 所有権移転登記の承諾書
- 現況の写真
- その他の権利の承諾書
自治体によっては追加の必要書類がある可能性もあるので、必ず事前に確認をおこないましょう。
個人に空き家を寄付(贈与)する
個人に対して空き家を贈与することもできます。
特に、近隣住民は敷地を拡大できるメリットなどもあるので、贈与を受けてもらえる可能性が十分あります。
「敷地だけ欲しい」「建物部分は解体して欲しい」などの希望を言われることも多いので、柔軟に対応する必要があります。
贈与税に要注意
贈与では前の所有者に利益は一切入りませんが、受け取った側に贈与税が発生します。
売れ残った価値の低い空き家ならそこまで高額な贈与税が発生する見込みは低いですが、受諾者が贈与税について一切知らないまま受け取ってしまうと大きなトラブルになりかねないため、相手の知識が0だったら騙そうとせず、事前に教えてあげたほうが良いでしょう。
法人に空き家を寄付する
法人は経費・事業・保養目的などで売れない空き家を受諾するメリットが大きいので、相手から依頼してくる事例も0ではありません。
ただ、空き家問題解決を図る公益法人などでない限り、個人が法人に寄付を申し込むことはないでしょう。
法人から寄付募集の連絡を受けるためには立地の良さや状態の良さなども重要になってきます。
自治会・町内会に空き家を寄付する
自治会・町内会に空き家を寄付するのも一つの手です。
集会所などに空き家を利用してもらえる可能性が高く、需要も大きいです。
ただ、これらの団体に寄付をする際は、地縁団体の認可を受けているかどうかを確認する必要があります。
認可地縁団体ではない自治会・町内会は法人格も有していないため、団体名義で登記ができず、寄付を受け入れることもできないので注意しましょう。
売れない空き家は相続を放棄すべき?
立地が悪い、築年数が古いなど、不動産の初心者でも明らかに売れない空き家だな、、、と判断することは可能でしょう。
親が亡くなった場合、実家の空き家などを相続するかどうかの決断に迫られます。
明らかにいらない空き家でも相続すべきなのか、それとも相続を放棄すべきなのか、悩む方は多いです。
売れないと感じる空き家は相続と放棄のどちらが良いのでしょうか?
いらない空き家を相続するかどうかは売れそうかで決める
いらない空き家を相続して放置をしても、維持コストが毎年かかり続けるので全くお得ではありません。
使い道のない空き家は、取得後に売れるかどうかで取得を判断することをおすすめします。
売れるかどうかの判断はシビアにおこなうことをおすすめします。
2020年現在は空き家が売れにくい上に寄付をするのも難しくなっているので、売れ残った場合はそのまま相続した人の負債になる可能性が高いです。
空き家だけ相続放棄することはできないので注意
注意したいのは、複数ある遺産のうち、空き家など特定のものだけを相続放棄することはできないということです。
遺産は全て相続するか、全て放棄をするかしか方法はありません。
売れない空き家のみが遺産なら相続放棄しても問題はないですが、その他に数百~数千万円の資産を残している場合は、果たして空き家ごと相続すべきか悩むところです。
遺産に占める空き家の価値が2割超なら放棄してもOK
維持でかかるコストも考慮すると、遺産に占める売れない空き家の価値が2割以下なら、空き家を放棄したいがために他の遺産も放棄してしまうのは勿体ないので、丸ごと相続することをおすすめします。
一方、空き家の価値が2割を超える場合は、放棄してしまうのも一つの手でしょう。
空き家の売れ残りを防ぐには相続前から動く必要がある
空き家を売りたいと思っても、相続した兄弟などからの反対があれば売ることはできません。
また、遺言書で売却に反対する旨が書かれていれば手続きをすることができません。
そのため、親が生前のうちから空き家の処分について話し合っておき、他の相続人とも意見の一致を取ることが大切です。
また、相続の方法もいくつかあるのですが、売却を前提にする場合は、遺産を売って得た資金を分割する換価分割という方式で最初から相続をするのがおすすめです。
空き家が売れない時は賃貸経営や土地活用も考えていこう
空き家がどうしても売れ残ってしまう場合は、売却以外の選択肢も検討していきましょう。例えば誰かに住んでもらう、違う用途で利用するといった方法です。
空き家が売れ残った時に最もだめなのが、そのまま放置することです。
放っておいても固定資産税はかかり続けてしまうので、空き家を使って何かしらの利益を生み出し、コストを軽減する必要があります。
築年数が浅いなら賃貸に出すもの一つの手
空き家の築年数が浅くてきれいなら、賃貸経営を始めてみるのも一つの手です。
入居者がついたり、店舗として利用したい事業者がついたりすれば、毎月安定した賃貸収入を得ることができます。
ただ賃貸経営が上手くいくかどうかはアクセスが大きく関係してきますし、頃合いを見ていつかは家を処分する必要があります。
賃貸経営は初心者にとっては難しいので、覚悟してのぞみましょう。
更地のほうが多くの活用法がある
古い空き家は立て壊して更地にしてしまえば、駐車場利用、太陽光発電、トランクルーム設置…といった様々な方法で活用できるようになります。
土地信託のように、用途や管理を相手に任せてしまう事もできるので、管理も楽になりますよ!
→土地活用の方法を厳選31種類紹介!収益性・初期費用やデメリットを徹底比較
空き家をスムーズに売るには売主の働きかけも大切
空き家が売れない原因は、あなたがあまりにも業者任せだからかも知れません。
確かに不動産仲介売却は実質的な販売活動をほぼすべて業者に委任できますが、それでも掃除や整理整頓など、売主は成約のために重要な作業をおこなうことができます。
売れにくい空き家を無事に売るためには、売主が積極的に協力していくことも必要ですよ!
売れない空き家を放置しておくと起こりうる問題
空き家が売れないからといって、放置しておくと問題が発生します。
費用面だけではなく、その後の処理も面倒になるのでできるだけ対応するようにしましょう。
以下にそれぞれの問題を解説します。
土地の固定資産税が上がる可能性がある
放置された空き家は固定資産税が上がる可能性があります。
空き家が街の景観を損なうと見なされると、固定資産税が大幅に上がる可能性もあるので注意しましょう。
また長期間放置された空き家は、土地や建物の価値が下がり、売却しようとした場合には期待する金額を得られない可能性もあります。
さらに空き家は資産であり、相続税の対象となるため、空き家を放置すると所有者や相続人は固定資産税や相続税の増加という経済的な負担を負うことになります。
売却するか賃貸するかなど、できるだけ対応した方が費用面でお得です。
空き家だけ相続放棄することはできない
日本の法律では、遺産相続については「一括相続」が原則とされています。
一括相続とは、特定の遺産だけを相続放棄し、他の遺産を受け継ぐことができないという原則です。
そのため、空き家だけを放棄し、他の財産を受け継ぐことは法律上認められていません。
相続人が面倒な空き家を避け、貴重な遺産だけを選び取ることを防ぐための制度です。
したがって、空き家を所有すると、その管理責任や固定資産税の負担など、空き家に伴う様々な問題を引き受けることを強いられます。
建物が残っていると寄付できない
空き家の土地だけでも寄付しようと考えても、建物が残っている場合にはそのプロセスが複雑になります。
多くの場合、受け取り側(特に公的機関)は土地だけを受け取ることを望みます。
建物の取り壊しや維持管理にコストがかかるためです。
したがって、建物が残っていると、その取り壊しや撤去に関わる費用を所有者が負担することが求められる場合があります。
また建物が残っている場合、土地の評価額が下がり、寄付による税制上の優遇が得られない場合もあります。
空き家ごと処分するのが一般的な対策です。
名義変更と土地の境界確定をしなければならない
空き家の所有者が変わる場合、不動産の登記を行い、名義変更が必要となります。
この手続きには専門的な知識が必要であり、登記申請には費用が発生します。
また土地の境界確定も必要となる場合があります。
土地の境界が不明確な場合、隣地とのトラブルの原因になることもあります。
境界確定の手続きは専門的な測量が必要であり、その費用も所有者が負担する必要があります。
上記の手続きは時間と労力を要するため、空き家の所有はそれなりの負担となります。
売れない空き家を売却しようとする時の注意点
売れない空き家を売却する際に注意しておくべきポイントをまとめました。
売れない空き家を単純にリフォームしても、買主がみつからないままということもあるので、注意点を把握しつつ売却できる最善の方法を考えましょう。
空き家の権利関係を把握しておく
空き家が共同名義になっている場合は、売却する際に権利者に確認する必要があります。
空き家を売る以前の問題になるので、権利関係を把握した上で対策を取って空き家を売却しましょう。
固定資産税が決定した後に更地にしよう
空き家を更地にして売却しようと考えている人は、固定資産税が決定した後に更地にしましょう。
固定資産税は毎年1月1日に決定する為、更地は1月2日以降にしましょう。
固定資産税を抑えることによって買主の負担を減らすこともできるので、買主が見つかりやすい効果もあります。
相続された空き家は相続人全員に確認しよう
複数人で空き家を相続している人は、相続人全員に売ることを同意してもらわなければなりません。
一度全員で話あって同意を得たうえで売却するようにしましょう。
特別控除を適用できる期間に売却しよう
空き家の売却は特別控除を適用することができます。
ただし、空き家になって3年以内に売却しなければいけない条件があります。
空き家を売却して利益が出そうな人は、空き家になってから3年以内に売却して特別控除を得られるようにしましょう。
空き家の処分はどうする?素早く手放す方法や得する処分方法を解説
売れない空き家は対策次第で売却できる
売れない空き家でも、リノベーション・リフォームしたり更地にしたりすることによって売却できる可能性があります。
マッチングアプリを活用することによって、利益は出ない状態でも譲渡できる可能性もあります。
売れないからといって空き家を放置していると固定資産税が上がり、持ち主の損失ばかり増えてしまします。
「取り敢えず売却価格がいくらなのか知りたい」という人は一括査定サービスで、空き家の価格相場を把握してみましょう。