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不動産売却

不動産の売却相場はいくら?価格の調べ方や相場の推移・変動要因について解説【2024年最新】

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不動産を売却したいけれど、いったいいくらで売却できるのかわからないと悩んでいる人も多いでしょう。

また、不動産売却の査定を不動産会社に依頼したけれど、提示された査定額が本当に正しいのかわからないと悩んでいる人もいるはずです。

そこでこの記事では、不動産の売却相場の基本から、マンション、戸建て、土地ごとに分けて、個人でも簡単に行える「相場調査の方法」を紹介します。

また、不動産売却をする際には、建物の築年数で査定額が変化しやすいことにも注意しなければなりません。

築年数別の不動産売却価格
中古マンション 中古戸建て住宅
~築5年 8,170万円 5,236万円
~築10年 7,279万円 5,067万円
~築15年 6,702万円 4,678万円
~築20年 5,965万円 4,429万円
~築25年 5,348万円 4,232万円
~築30年 4,140万円 3,421万円
築30年~ 2,439万円 2,572万円

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

以上より、築年数が5年経つごとに徐々に価格が下落し、30年以降で当初の1/2以下に落ちることから、なるべく早く不動産売却をスタートすることが大切です。

記事のなかでは、不動産買取における相場の傾向や相場より高く売却する方法も解説しているので、スムーズに不動産を売却する参考としてチェックしてみてください。

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Contents

【2024年最新】不動産売却相場の価格推移

2024年11月現在、不動産売却の価格相場のグラフを掲載しました。

見てわかる通り、戸建て・マンションの価格は年々上昇しており、2020年のコロナショックで一時的に価格が落ちたものの、すぐに回復しました。

今後も価格の上昇が続くと予想されるので、売却価格も上がる可能性は高いです。

また、全国の不動産売却相場をまとめたデータが、以下となります。(2024年11月時点)

都道府県 マンション売却相場(万円) 家売却相場(万円) 土地売却相場(万円)
北海道 2,312 1,689 1,766
青森県 1,276 630
岩手県 1,416 1,624 787
宮城県 2,676 1,952 2,469
秋田県 945 1,400 997
山形県 1,287 755
福島県 1,604 1,422 1,084
茨城県 2,746 1,367 1,266
栃木県 1,902 1,730 1,237
群馬県 1,413 1,381 966
埼玉県 3,036 2,532 2,594
千葉県 3,061 2,502 2,178
東京都 6,253 5,699 6,056
神奈川県 3,804 4,216 3,577
新潟県 1,734 1,757 1,043
山梨県 1,313 1,459 610
長野県 4,881 2,738 2,243
富山県 2,551 1,317 1,261
石川県 2,178 1,832 1,307
福井県 2,032 1,548 617
岐阜県 1,947 1,315 1,105
静岡県 2,137 1,914 1,732
愛知県 2,344 2,748 2,608
三重県 2,286 1,748 1,510
滋賀県 2,281 1,844 1,846
京都府 2,778 2,416 3,024
大阪府 3,415 2,324 3,121
兵庫県 2,571 2,440 2,480
奈良県 1,788 1,981 1,813
和歌山県 961 1,088 1,203
鳥取県 2,073 884 802
島根県 2,064 1,387 3,605
岡山県 2,278 1,596 1,324
広島県 2,691 1,715 2,435
山口県 1,268 1,346 919
徳島県 1,230 1,199 631
香川県 1,746 1,235 889
愛媛県 2,252 1,788 1,234
高知県 1,600 2,511 937
福岡県 2,673 2,394 1,986
佐賀県 2,093 1,936 1,157
長崎県 2,215 1,483 1,240
熊本県 2,094 2,137 1,791
大分県 2,560 1,588 1,135
宮崎県 2,189 1,714 1,125
鹿児島県 2,631 1,707 1,104
沖縄県 2,850 4,296 2,962

参照:「月例速報Market Watch 2024(令和6年)年9月度」 より

ただし、上記の不動産売却相場はあくまで目安です。

次項から、より詳しく自身が所有するマンション・戸建て住宅・土地の調べ方を解説しているので、具体的な金額を知りたい人は、ぜひチェックしてみてください。

不動産売却では築年数により価格相場が変化

土地だけでなく建物も含めて不動産売却をする際には、建物の経年劣化で売却相場が変化することに気を付けなければなりません。

本項では、東日本不動産流通機構が公開している「首都圏中古マンション・中古戸建住宅
地域別・築年帯別成約状況」のデータをもとに、築年数と価格相場の関係をまとめています。

築5年未満の売却相場

築5年未満は築浅物件は、外観や構造が新築と近い状態であることから、購入時から大きく価格が下落することがありません。

参考として、首都圏エリア4県における築5年未満の不動産の売却相場を以下にまとめました。

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 9,940 6,828
神奈川県 5,803 4,943
埼玉県 5,604 3,407
千葉県 5,327 4,363

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

土地の条件やニーズにもよりますが、東京都、神奈川の物件が高い傾向にあります。

また、場合によっては土地のニーズの変化により、購入時よりも高く売却できる物件があるかもしれません。

口コミ・体験談
32歳 男性 管理職
築年数別の不動産売却価格
家を購入したものの、急な転勤のせいで売却する必要がでました。最初はかなり損をするのかなと思っていたのですが、実際には購入したときの値段から少し下がるだけで、大きく損をすることはありませんでしたね。
そう思うと、転勤が早めの段階で決まってよかったです。

築5年~10年の売却相場

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 8,472 6,590
神奈川県 5,955 4,781
埼玉県 4,688 3,584
千葉県 4,694 3,691

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

築5年~10年の不動産の価格相場は、前項の築5年未満の不動産と大きく変わりません。

これは建物の構造上、10年程度では劣化が起きにくいためです。

なお、国税庁が公開している「主な減価償却資産の耐用年数表」において、建物設備の耐用年数は15年程度のものが多いことから、今後少しずつ劣化が進んでいくと考えられます。

築10年~15年の売却相場

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 7,797 5,751
神奈川県 5,319 4,597
埼玉県 4,518 3,283
千葉県 4,482 3,737

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

不動産の築年数が10年~15年を迎えると、徐々に価格の下落が始まります。

なかには数百万円の下落が起きているエリアもあることから、売却の利益を減らしたくない人は、このタイミングが売り時かもしれません。

口コミ・体験談
40歳 女性 経営者
築年数別の不動産売却価格
家を建てて12年ほど経ち、家族と同居する話が出るようになり、今の家だと手狭になるため、一度家を売って新しく購入をしようと考えました。できれば家を建てたときの費用の半分くらいが戻ってくればいいなと思っていたのですが、意外と7割くらいの費用で売却できました!少しは安くなりましたが、これなら生活にも影響しないので非常に助かりました。

築15年~20年の売却相場

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 6,973 5,874
神奈川県 5,454 4,098
埼玉県 3,594 3,009
千葉県 3,862 3,018

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

不動産の築年数が15年~20年を迎えると、価格が下落するエリア、価格の下落が留まっているエリアに分かれだしました。

地域によっては前項よりもさらに数百万円も価格が下落しているため、売却のタイミングに注意しなければなりません。

築20年~25年の売却相場

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 6,217 6,081
神奈川県 4,466 3,932
埼玉県 3,787 2,644
千葉県 3,741 2,591

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

不動産の築年数が20年~25年になると、築5年未満のときよりも2/3程度でしか売却できないようになります。

また今回整理しているデータのうち戸建て住宅は、首都圏エリアであるため価格の下落がゆっくりですが、その他エリアの場合には、おおよそ築20年を超えると建物の価値がゼロになると言われてます。

地域によっては、このタイミングから価格の急落が始まる場合があるので、十分に注意してください。

築25年~30年の売却相場

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 5,246 4,791
神奈川県 3,429 4,140
埼玉県 2,722 2,001
千葉県 2,376 2,200

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

不動産の築年数が25年を超えると、マンションと戸建て住宅の売却価格がほどんど同程度に近づいてきます。

マンションの下落スピードが速まっていることに気を付けましょう。

口コミ・体験談
45歳 男性 経営者
築年数別の不動産売却価格
29年くらい住んできたマンションを売却して、いっそのこと引越しでもしようと考えて不動産売却を相談しました。結構年季が入っているマンションなので、値段も落ちるのかなと思っていたのですが、不動産のスタッフが魅力的な点などを見つけてくれたおかげで、相場よりも100万円くらい高く売れました。

築30年以降の売却相場

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
東京都 3,296 4,151
神奈川県 2,010 3,328
埼玉県 1,306 1,439
千葉県 1,346 1,451

出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年04~06月】」

築30年を超えると、新築の状態と比べてマンション・戸建て住宅の売却価格が大きいもので1/4程度になりました。

中古マンション(万円) 中古一戸建て住宅(万円)
築5年未満 築30年以降 築5年未満 築30年以降
東京都 9,940 3,296 6,828 4,151
神奈川県 5,803 2,010 4,943 3,328
埼玉県 5,604 1,306 3,407 1,439
千葉県 5,327 1,346 4,363 1,451

以上より、築年数が経過するたびに売却益を出しにくくなることがわかりました。

自身が所有する不動産の築年数と比較しながら、売却相場を検討する参考にしてみてください。

不動産の売却相場を初心者が調べる方法

不動産の売却相場を調べる方法は、大きく以下の3つに分かれます。

不動産の売却相場を調べる方法
  1. レインズ(REINS Market Information)を利用する
  2. 不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)を利用する
  3. 不動産ポータルサイトを利用する

ここからは、方法をより詳しくみていきましょう。

レインズ(REINS Market Information)を利用する

レインズ(REINS Market Information)は全国のマンション、戸建て売却事例情報を過去1年分提供している情報提供サイトです。

不動産会社が情報を集める際に利用することが多いですが、取引の透明化促進のため、一般人でもアクセスすることができます。

レインズ・マーケット・インフォメーション

こちらがレインズ・マーケットインフォメーションのトップページです。

マンション・戸建ての所在地を指定して、下の「検索する」をクリックしましょう。

今回は例として、東京港区六本木のマンション売却相場を調べていきます。まず、トップページのフォームに東京都の都心5区と記入すると、上のようなグラフが表示されます。

あとは、「追加検索条件」でより細かい項目を指定していきましょう。

地域詳細に「港区六本木」を追加すると、六本木の取引情報が緑色で表示されるようになりました。このように絞りこんでいけば、より詳しく相場をチェックできます。

ただ、レインズは該当する物件が10件以上ないと表示してくれないので、地域によってはアバウトな情報しか取得できないのがデメリットです。

不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)を利用する

不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)

レインズは地域によって見られる情報に限りがありますし、見たい物件の間取り・築年数・アクセスなどもアバウトにしか絞り込めません。

より詳しい情報を知りたい方は、不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)の利用をおすすめします。

こちらは国土交通省が提供している不動産情報サイトで、マンション、戸建て、土地の3タイプの以下の項目を閲覧することができます。

  1. 所在地
  2. 地域(商業地か住宅地かなど)
  3. 最寄り駅と距離
  4. 取引総額
  5. 坪単価
  6. 土地面積
  7. ㎡単価
  8. 土地の形状
  9. 今後の利用目的
  10. 前面道路の幅・種類・方位
  11. 都市計画
  12. 建ぺい率
  13. 容積率
  14. 取引時期

成約した物件の情報をかなり詳しく見ることができるので、相場を調べる精度が上がります。

ただ、難点としては、不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)はレインズのように細かく絞り込みをすることができません。

自分で調べる際は、大量に掲載されているデータを自分で集計しなければならないので、時間が少しかかることは覚悟しておきましょう。

不動産ポータルサイトを利用する

不動産情報サイトの中でもアットホームライフルホームズSUUMOのような、コンテンツの充実している大規模サイトは不動産ポータルサイトと呼ばれています。

不動産情報サイト

こちらはSUUMOの売出物件ページですが、地域や沿線、間取りなどを指定すれば簡単に物件情報を絞り込むことができ、周辺エリアの類似物件がいくらで売られているのかが一発でわかります。

ただ、ポータルサイトは物件の売出時期を表示していないところも多いので、価格が売り出し直後のものなのか、値下げをした結果なのかがわかりづらくなっています。

上のページでも触れていますが、売り出し価格は査定額に売り手の希望も反映して、比較的高めに設定されがちです。

ただ、それでも長いこと成約がとれない場合は、適正価格へとどんどん値下げをしなければいけません。

ポータルサイトで物件価格を調べると「こんなに高額で売れるんだ!」と驚いてしまいますが、最終的な成約額はもっと低い可能性も十分あります。

レインズや土地総合システムと合わせてチェックし、明らかな過去の売却額との乖離は参考にしないようにしましょう。

不動産売却相場を評価額から調べる方法

上で紹介した方法も不動産売却相場を調べるのに効果的ですが、それ以外にも不動産の価値を調べる方法はあります。

初心者が個人で相場調査をする際は、できるだけ多くの方法を試してみて、算出価格のダブルチェック・トリプルチェックをおこなうことが重要になってきます。

ここからは、上記以外の方法を紹介していきます。

不動産の売却相場を調べる方法
  1. 公示地価を調べる
  2. 路線価を利用する
  3. 固定資産税評価額を利用する

【方法1】公示地価を調べる

地価公示・地価調査検索システム不動産売却相場は、国土交通省が発表する基準地価がベースになっています。

基準地価はネットで公開されており、個人も無料で閲覧することが可能です。

国交省が運営しているデータベース「地価公示・地価調査検索システム」にアクセスをすれば、簡単に地域の公示地価をチェックすることができます。

ただ公示地価は不動産売却相場と必ずしもイコールではないので、注意が必要ではあります。

【方法2】路線価を利用する

路線価図

国土交通省が発表しているデータは他に、路線価図があります。

路線価図は道路の価値を表したもので、これが読めるようになれば、道路に接している土地の価値を求めることができます。

全国地価マップ」というデータベースにネットからアクセスすれば、調べたいエリアの固定資産税路線価と相続税路線価を調べることができます。

固定資産税路線価なら×10分の7、相続税路線価なら×10分の8で計算することで、ある程度の相場を求めることができます。

計算例

【固定資産税路線価が15万6,000円/㎡の場合】

15万6,000円×7/10=10万9,200円/㎡

【相続税路線価が15万6,000円/㎡の場合】

15万6,000円×8/10=12万4,800円/㎡

【方法3】固定資産税評価額を利用する

不動産を所有している方には毎年、固定資産税の明細が届きます。

この明細をチェックすると、不動産の【価格】という欄に数字が記載されているのが分かります。

この価格は固定資産税評価額といって、実勢価格を参考にして固定資産税を割り出すために算出されたものなので、逆算をすれば不動産の実勢価格(時価)がある程度分かります。

不動産相場を求める際は、以下の計算をおこないましょう。

不動産売却相場=固定資産税評価額×0.7

これによって、ある程度相場のイメージをつかむことができます。

計算例

【土地の固定資産税評価額が1,000万円の場合】

1,000万円×0.7=700万円

【建物の固定資産税評価額が700万円の場合】

700万円×0.7=490万円

不動産売却相場を左右する要素

それぞれの不動産の売却相場は、外的要因と内的要因の総合評価によって決まります。

物件の状態が良くても立地が悪ければ価格が低くなる傾向にありますし、その逆も然りです。

それでは、ここから売却相場に影響する項目を具体的に見ていきましょう。

築年数

不動産の売却相場は、その物件の築年数に大きく影響されます。

一般的に、新築時から時間が経つにつれて物件の価格は下がり、築23年前後で建物部分の価値がほぼ0になります。(木造住宅の場合)

しかし、その価格低下の度合いは、物件の維持管理状況やリノベーションの有無などにより異なります。

特に、重要な設備の更新やリフォームを行っている場合、築年数が古くても高値で売却できる可能性があります。

築年数だけでなく、これらの要素も売却価格に影響を及ぼすため、物件を売却する際には、築年数だけでなく物件の全体的な状況を評価しましょう。

物件の劣化状況

物件の劣化状況もまた、不動産の売却相場に大きく影響します。

例えば、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準のなかでは、減価修正の方法として劣化に関する項目が用意されています。

不動産鑑定評価基準で定められている項目

【物理的要因】

物理的要因としては、不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損、時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷があげられる。

【耐用年数に基づく原価修正の方法】

耐用年数に基づく方法は、対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する方法である。

経済的残存耐用年数とは、価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用が十分に持続すると考えられる期間をいい、この方法の適用に当たり特に重視されるべきものである。

引用:国土交通省「不動産鑑定評価基準」

特に大規模な修繕が必要な状況では、その費用が売却価格から引かれる形になることが一般的です。

一方、定期的なメンテナンスと適切なリフォームにより劣化を最小限に抑えている物件は、同じ築年数の物件と比較しても高値で売却できる可能性を高めてくれます。

このように、物件の劣化状況を管理し続けることは、売却時の価格維持や向上につながる重要な要素です。

不動産価格が高くなりやすい条件
不動産価格が低くなりやすい条件
・損傷や劣化がほとんど見られない(少ない)
・外観や構造がともに良好である
・損傷や劣化が進行していて修繕が必要である
・外観や構造に問題が起きている

公共交通機関へのアクセスのしやすさ

公共交通機関へのアクセスのしやすさも、不動産売却相場に重要な影響を与えます。

一般的に、駅やバス停などの公共交通機関から近い場所にある物件は、通勤や通学の利便性が高いという理由から、買い手からの需要が高いため売却価格も高くなりやすいです。

特に都心部では、駅徒歩5分以内の物件は販売価格や売却価格ともにプレミアがつくことがあります。

そのため、売却を考える際には、物件が公共交通機関からどの程度の距離にあるかを評価基準にしてみましょう。

不動産価格が高くなりやすい条件
不動産価格が低くなりやすい条件
・駅からの距離が近い
・駅まで自動車を使わなければアクセスできない

周辺環境

物件の周辺環境も売却相場に影響を与えます。

例えば、次のような生活施設が近くにあると、生活利便性が向上し価格が上昇します。

生活施設の例
  • 商業施設
  • 公園
  • 学校
  • 病院

また、静かな住宅街や緑豊かなエリアは、生活環境として好まれ売却価格にプラスとなります。

一方、騒音や汚染の問題があるエリアだと、価格が落ちる可能性が高いです。

なお国土交通省の調査によると、マンションといった共同住宅では、騒音トラブルを受けやすいことがわかりました。

クレームの多い物件ほど価格が下がりやす傾向にあるので、十分に注意してください。

したがって、物件の周辺環境を詳しく把握し、売却相場を適切に評価することが重要です。

日当たり・眺め

日当たりの良さと眺めの良さもまた、不動産の売却価格に影響を与えます。

良好な日当たりは、物件が明るく感じられ、暮らしやすさに直結します。

また、眺めが良い物件は、開放感や豊かな自然を楽しめます。

特に高層マンションは、価格向上の要因となりますが、これらの要素は、あくまで物件自体の特性だけでなく、周囲の建物の高さや窓の位置など、多岐に渡る要素によって左右されがちです。

実際に国土交通省が定める「不動産鑑定評価基準」でも、日照に関する評価項目が用意されていることから、日照時間などの違いで価格が変化しやすいことに注意しなければなりません。

日照の評価出典:国土交通省「不動産鑑定評価基準」

物件を売却する際には、日当たりや眺めを十分に考慮した上で価格を設定しましょう。

修繕履歴

物件の修繕履歴は、売却相場に大きく影響を与えます。

建物の設備や構造体への修繕や更新は、その物件の価値を維持、または向上させる重要な要素です。

例えば、古い建物でも大規模なリノベーションが行われている場合、その物件の価値は新築に近いものと評価されます。

一方、長期間修繕が行われていない物件は、将来の修繕費用が想定され、その分売却価格が下がる可能性があります。

したがって、売却に先立ち、修繕履歴の確認と必要に応じた修繕が重要です。

不動産価格が高くなりやすい条件
不動産価格が低くなりやすい条件
・リフォームやリノベーションにより古さを感じさせない
・定期的な補修により長寿命化を実施している
・何も対策をしておらず建物が劣化している
・見た目からして状態が悪いと判断できる

接道状況

接道道路接道状況もまた、不動産の売却価格に影響を及ぼします。

公道に面しているか、その幅員や形状、接道方向などが物件の利便性や開発可能性を決定付ける要素になります。

例えば、以下のような物件は、アクセスの良さや建替えの際の建築制限の少なさから、価格が上昇する傾向があります。

価格が向上しやすい物件
  • 広い公道に面している物件
  • 二方向以上に接道している物件

逆に、道幅が狭い、または死角道路に接している場合などは、その分価格が下がる場合があります。

なかでも、建築基準法のルールを満していない古い土地にある建物などの場合も、価格がマイナスの影響を受けやすい傾向です。

また、国土交通省では、幅員が不足している場合に、道路中心から2mのセットバック(後退)しなければならないと定めています。

セットバック分だけ土地が狭くなることから、不動産の価格が安くなりやすいことに気を付けましょう。

周辺物件の取引価格

周辺物件の取引価格

周辺の同類型物件の最近の取引価格も、物件の売却価格を決定する重要な要素です。

近隣の取引実績は、その地域の不動産市場の動向を反映します。

同様の物件が高値で取引されていれば、その流れに乗じて物件の売却価格を高く設定できます。

逆に、近隣物件の売却価格が低い場合、それを無視して価格を高く設定すると、売却が難しくなります。

現行の社会情勢

現行の社会情勢もまた、不動産の売却価格に影響を与える要素になります。

以下の要素などは、不動産市場の需給バランスを変動させ、結果として物件の売却価格に影響を与えます。

不動産価格に影響が出る要素
  • 経済の好不調
  • 金利動向
  • 人口動態
  • 地域の開発計画

特に、地域の再開発計画や公共交通の新設・延長などは、その地域の不動産価格を大きく上昇させます。

よって、物件を売却する際には、現行の社会情勢を踏まえた市場分析を徹底的に行いましょう。

不動産売却相場を調べる時のポイント

不動産売却相場を正確に計算しようとすると、手続きが複雑になってしまいます。

ここからは、初心者が相場を調べる際に抑えておきたいポイントを紹介します。

【ポイント1】エリア・築年数が類似している物件をチェック

不動産売却相場を調べる際は、多数の情報から絞り込みをおこないます。

情報の取得自体は素人でも簡単にできますが、どの情報をピックアップするかどうかが難しいところではあります。

絞り込みが難しい場合は、まずエリアと築年数の2項目で情報を絞り、どんな競合物件があるのか、だいたいのイメージを掴むことをおすすめします。

最初から絞り込みすぎても参考情報が的外れになることがあるので注意が必要です。

【ポイント2】価格に影響する外的要因をチェック

不動産売却相場は常に一定ではありません。

様々な要因から細かく変動しているのが相場で、売却の際は相場の高いタイミングで売る、購入の際は相場の低いタイミングで買うといった行動が必要です。

なお、建物がある場合は、通常は建物が新しいほど価格が上がります。

不動産売却相場が高いのは、例えば以下のようなタイミングです。

不動産を高く売却できるタイミング
  • 景気が好調なタイミング
  • 新駅の開通やスーパーの開店などのタイミング
  • 住宅ローンの金利が低いタイミング
  • 税率が軽減されるタイミング

例えば、近年東京都内に新しくできた高輪ゲートウェイ駅の周辺は、駅ができたことに伴い、次のように土地価格が上昇しています。

令和2年 129万円(駅完成)
令和3年 130万円
令和4年 134万円
令和5年 139万円
令和6年 149万円

出典:全国地価マップ「地価公示価格(標準値番号 港-24)」

相場を調査した時期と売却時期がズレて上記の要素に変動があれば、価格が変化するケースも十分考えられます。

【ポイント3】周辺の不動産会社の売却実績をチェックする

相場は平均の価格帯なので、売却力が高い不動産会社に依頼をすれば、相場以上で高く売れる可能性も十分あります。

不動産一括査定サイトなどを使い、査定額が高く実績十分な不動産会社に依頼をすることが不動産売却成功の近道です。

不動産一括査定サイトを使ってから不動産会社を選ぶまでの流れ

相場以上の価格で不動産が売却できるケース

不動産売却では、不動産会社の査定価格を参考に売主が売り出し価格を設定し、最後に買主との話し合いなどで価格を調整し、成約価格(売却価格)を決めるという流れが一般的です。

  1. 不動産会社によって査定がおこなわれる(査定価格の提案)
  2. 売主が最終的に売り出し価格を決定(または不動産会社の提案を承認)する
  3. 買主と合意した成約価格を決定する

買主が売り出し価格より高値の成約価格を希望するケースはまずないので、基本的には売り出し価格は売主優位な金額になっており、買主は値下げ交渉をおこなう場合が多いです。

ただし、売り出し価格を高値で設定したとしても、その金額に買主が納得さえしてくれれば、高値で成約することができます。

売り出し中の物件の間取りや立地・特徴がある買い手の希望に対してこれまでにないほど合致しており、「多少高くても絶対この物件が欲しい」と思って貰える場合が上記のケースにあたります。

ただし、売り出し価格を割高に設定するほど成約率は下がり、売り出し期間が長くなるほど価格を途中で下げるケースが増えます。

売出~成約期間 売出価格(万円) 取引価格(万円) 価格乖離率(%) 割合(%)
1ヵ月以内 4,889 4,761 ⁻2.61% 31.7%
2ヵ月以内 5,102 4,874 ⁻4.47% 13.8%
3ヵ月以内 5,085 4,783 ⁻5.93% 11.9%
4ヵ月以内 5,241 4,866 ⁻7.16% 8.7%
5ヵ月以内 5,020 4,603 ⁻8.30% 6.1%
6ヵ月以内 5,224 4,680 ⁻8.50% 5.6%
7ヵ月以内 5,204 4,713 ⁻9.45% 4.7%
8ヵ月以内 5,272 4,696 ⁻10.93% 3.5%
9ヵ月以内 4,833 4,265 ⁻11.74% 2.9%
10ヵ月以内 5,079 4,521 ⁻10.98% 2.7%
11ヵ月以内 4,921 4,243 ⁻13.77% 2.0%
12ヵ月以内 4,542 4,027 ⁻11.36% 6.4%

この方法で高値売却を目指すのであれば、売り出し期間が長引くことも考慮して、スケジュールに余裕を持つ必要があります。

不動産売却相場をチェックする時の注意点

以降の記事の監修者
不動産鑑定士・公認会計士・税理士 冨田建
監修者
キャリアアドバイザー
冨田建さん

大学在学中に当時の不動産鑑定士2次試験合格、卒業後に当時の公認会計士2次試験合格。大手監査法人・ 不動産鑑定業者を経て、独立。

全国43都道府県で不動産鑑定業務を経験する傍ら、相続税関連や固定資産税還付請求等の不動産関連の税務業務などをおこなう。

著書「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)

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不動産を売る際はまず相場を調べるというのがセオリーではあります。

ただ、相場を100%参考にして売却を進めることはおすすめしません。

不動産は築年数やアクセスによって非常にばらつきがあるので、相場とかけ離れた価格であるケースも十分あるからです。

不動産は1つとして同じものはないので、ある物件が類似していたとしても、100%参考に出来る訳ではありません。

また、同じエリアの物件でも、ゴミ捨て場に近い・接している道路が違うといった差で価格は変わってしまうので、隣・向いの物件ですら必ずしも参考に出来る訳ではないのです。

【注意点1】都市部では不動産の価格差が大きい場合もある

都市部では、同一エリアでも価格差の大きい場合もあります。

なぜなら、都市部の特に人気がある高級住宅地などでは、それだけ人気があるので、「多少高い価格を払ってでも、なんとしてでもその土地が欲しい」という人が現れる場合もあるからです。

一方で、例えば特に人気のある地域だと、相続税なども高くなるため、資金繰りのために二束三文で売る人も出てきます。

このように色々な事情を抱えた売買での中央値が相場となるので、あなたの物件の売却価値を相場とイコールで考えるのは損する場合が考えられるのです。

【注意点2】類似物件の取引事例が100%参考になる訳ではない

不動産売却相場は不動産の価格を決める大きな指標になりますが、必ずしもその通りになる訳ではありません。

不動産売却相場はそのエリアの売り出し状況や過去の成約事例をもとに算出しますが、それ以外にも価格を決める要素は存在するからです。

不動産は個別性と言って、それぞれに個性があります。面積やアクセス、築年数などを考えると、1つとして同じ物件は存在しません。

上記の要素以外にも、マンションなら備え付け設備やコンシェルジュの有無、土地なら形状など、相場だけでない構成要素は多数存在します。

こうした要素がある以上、相場を調べても100%信用することは出来ず、必ずプロの見積もりが必要なのです。

【注意点3】売り出し価格と成約価格は異なるケースが多い

不動産売却相場を調べるにあたって知っておきたいのが、売り出し価格(レインズ新規登録価格)と、成約価格(売却価格)の違いです。

売り出し価格・成約価格の違い
  • 売り出し価格(レインズ新規登録価格):その不動産を売り出す際に設定した価格
  • 成約価格(売却価格):最終的に売主と買主が合意して、取引された価格

不動産のポータルサイトなどで確認できる、現在売り出し中の物件についている価格は売り出し価格であり、国土交通省のデータベースなど過去の事例検索で確認できる価格は成約価格になります。

中古マンション-成約m²単価(万円) 中古マンション-新規登録m²単価(万円)
2021年4~6月 59.04 63.55
2021年7~9月 60.78 65.49
2021年10~12月 61.73 67.76
2022年1~3月 64.06 70.88
2022年4~6月 67.14 71.08
2022年7~9月 68.38 72.54
2022年10~12月 69.67 72.94
2023年1~3月 69.02 73.56
2023年4~6月 71.15 72.83
2023年7~9月 72.69 72.07
2023年10~12月 74.78 72.95
2024年1~3月 75.78 73.99
2024年4~6月 77.50 74.35

上記は首都圏の中古マンションの成約価格と、レインズへの新規登録時の価格(売り出し価格)を比較したものですが、上記のように両者は乖離があるのが一般的になります。

どちらの価格を調査するかは目的について異なるため、使い分けができるようにしておきましょう。

【注意点4】不動産会社の営業力も成約価格に影響する

売却相場が低いエリアの物件でも、営業力の高い不動産会社に仲介を依頼すれば高値で成約する可能性があります。

そのため、売却相場がいくらであったとしても、実際に売却をするにあたっては、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが大切になります。

不動産売却価格の大まかなイメージを事前調査で掴んでおこう

不動産の売却価格がいくらになるのかを、査定へ出す前に把握しておくことをおすすめします。

不動産売買は大きな金額が動くので、事前に価格の大まかなイメージを知っておくことがリスクを回避する重要なポイントになります。

まずは自分で売却価格を大まかに調べておき、その上で各社の査定価格を比較することをお勧めします。

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