不動産売却は、適正価格でしっかり売り出された場合は、およそ3ヶ月以内の短期間で売れるというのが一般的です。
とはいえ、その時々の不動産マーケットの状況によって期間が変わってくるので、注意が必要です。
また、なかなか売れないからといって必ずしも物件に問題があるわけではありません。
タイミングによって売れるまでの期間は変わるものですし、売れるまで長くかかったからといって必ず損をするともいえません。
余裕を持って売却スケジュールを立てておきましょう。
不動産売却期間の目安は3ヶ月から6ヶ月
冒頭でも触れたように、売り出しから売買契約が成立するまでにかかる売却期間の平均は、3ヶ月~6ヶ月前後の時間を様子と言われています。
また物件種別や地域等、売り出す場所・物件種別によって売り出しから売買契約成立までにかかる時間は前後します。
物件種別 | 売却に要する平均期間 |
---|---|
マンション | 3ヶ月前後 |
戸建て住宅 | 6ヶ月前後 |
ただし、売り出す物件の状態や条件次第では、6ヶ月以上もの時間(1~2年以上)を要する事例もあります。
そのデータというのが、以下のものになります。
上記データは、複数の不動産ポータルサイトが成約までにかかる時間を調査した結果を基に独自に作成したデータになります。
先のデータ全体では、2~3ヶ月以内に成約できたという数値が高い一方、6ヶ月以内に成約が取れたという割合が76%も占めています。
売りに出した不動産が早々に売れるのは非常にいい傾向にあるといってもいいです。
しかし、売り急ぎは以下のようなリスクを招く原点になります。
- 安売りの原因
- 買主との間でトラブルを招く原因
とはいえ、物件の価値は、購入希望者の個人的感覚に左右される部分が大きいので、無闇に相場より安い価格設定をするのがいいとも限りません。
損を防ぎながら、利益が出る不動産売却を行うなら、3~6ヶ月ほど希望者の出入りを見ておくのが理想的です。
それを見越して、売却計画を立てるなら、以下のような時間を目安に計画立てを行うのがいいでしょう。
手続き | 売却検討開始からかかる時間の目安 |
---|---|
【STEP1】業者に相談・査定依頼 | ~約1.2週間 |
【STEP2】査定結果で絞込み | ~約2週間から1か月 |
【STEP3】媒介契約 | ~約1か月から2か月 |
【STEP4】販売活動・内覧 | ~約2か月から5か月 |
【STEP5】契約・引き渡し | ~約3か月から6か月 |
不動産売却にかかる期間と成約価格への影響
売出~成約期間 | 売出価格(万円) | 取引価格(万円) | 価格乖離率(%) | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
1ヵ月以内 | 4,889 | 4,761 | ⁻2.61% | 31.7% |
2ヵ月以内 | 5,102 | 4,874 | ⁻4.47% | 13.8% |
3ヵ月以内 | 5,085 | 4,783 | ⁻5.93% | 11.9% |
4ヵ月以内 | 5,241 | 4,866 | ⁻7.16% | 8.7% |
5ヵ月以内 | 5,020 | 4,603 | ⁻8.30% | 6.1% |
6ヵ月以内 | 5,224 | 4,680 | ⁻8.50% | 5.6% |
7ヵ月以内 | 5,204 | 4,713 | ⁻9.45% | 4.7% |
8ヵ月以内 | 5,272 | 4,696 | ⁻10.93% | 3.5% |
9ヵ月以内 | 4,833 | 4,265 | ⁻11.74% | 2.9% |
10ヵ月以内 | 5,079 | 4,521 | ⁻10.98% | 2.7% |
11ヵ月以内 | 4,921 | 4,243 | ⁻13.77% | 2.0% |
12ヵ月以内 | 4,542 | 4,027 | ⁻11.36% | 6.4% |
上記は、首都圏における2023年の中古マンションの価格乖離率を、成約までにかかった期間ごとに分類したものです。
データを見ると、成約までにかかる期間が長引くのに比例して、売り出し価格と成約価格の乖離はマイナス方向に引き下がっているのが分かります。
こうなる理由としては、下記の3点が考えられます。
- 1】不人気で資産価値の低い低価格物件ほど売れ残っている
- 2】売れ残りが長引くと、売主(売主側仲介業者)が売り出し価格を自発的に引き下げることが多い
- 3】売れ残る物件には何かしらの欠陥があり、そこを理由に買主から値下げ要求をされている
不動産売却が完了するまでかかる期間と流れ
不動産売却は、以下のような手順に沿って活動を行います。
また、プロセスごとに膨大な時間を準備と売却活動に費やします。
プロセス | 活動に要する時間 |
---|---|
売却活動の準備・不動産会社への相談 | 2週間~1ヶ月程度 |
不動産一括査定サイトで複数社を比較 | 1週間~3週間前後 |
媒介契約の締結 | 3~5日前後(※連絡を入れてから) |
売却活動・内覧準備 | 3ヶ月から売買契約を締結するまで |
内覧対応 | 同上 |
売買契約 | 1~3週間前後 |
引き渡し・決済 | 1~2ヶ月前後 |
確定申告の提出 | ― |
どの工程も不動産売却を成功させるために必要な工程です。
中でも、媒介契約を結ぶ前に行う準備にどれだけの時間を割いてきたかで今後の展開が変わってきます。
ここからは、各工程について解説すると同時に、各プロセスに要する時間について解説します。
なお、不動産売却については、下記記事にて詳しく解説しています。
売却活動の準備・不動産会社への相談
不動産売却を考えた際の第一歩は、適切な不動産会社への相談から始めていきます。
このプロセスは、後述する内容に大きく関わってくるポイントです。
そのため、事前準備が完了するまで、約2週間~1ヶ月前後の時間を目安に準備を進めていきます。
その期間内で、以下のようなことを不動産会社に相談しましょう。
- 売却に適した時期
- 物件の相場価格
- 販売戦略など
また、物件の特徴や条件、周辺環境を伝えることで、最も適した販売方法を導き出してもらえます。
この段階で、不動産会社の専門家としっかりとコミュニケーションを取ることにより、スムーズな売却活動への道筋が立てられます。
また相談しに行く際は、手ぶらでも問題ありませんが、以下のような書類を持参すると、売却に関する相談がスムーズに進みます。
- 所有不動産の物件概要書
- 登記事項証明書(登記情報)、もしくは固定資産税納税通知書
- 間取り図および敷地測量図
不動産一括査定サイトで複数社を比較
不動産一括査定サイトは、複数の不動産会社から一度に査定が受けられる査定サイトです。
自宅の情報を入力するだけで、複数の業者から査定価格や業者の売買実績・提供しているサービスの内容など、多岐に渡る情報が得られます。
ここで得た情報は、最も高い価格での売却を望む場合や、自身の要望に合ったサービスを提供する業者を選ぶ際の参考として利用できます。
最も一括査定サイトを介して得た情報は、この後行う訪問査定を依頼する業者を選ぶ時の判断材料になります。
一括査定サイトを活用しての業者選びには1~5日前後の時間を要する一方、訪問査定は、実際に査定担当者が現地に赴いて精査します。
仮に2~3社に訪問査定を依頼した場合、結果が出そろうまで約1~2週間近い時間を要します。
媒介契約の締結
適切な不動産会社を選定した後は、媒介契約の締結に進みます。
不動産の売却を代理で行ってもらうための契約
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の中から目的に合ったものを選びます。
契約の種類 | 契約の有効期間 | 売り手自身が買い手を見つけること | 依頼可能な業者数 | 仲介業者からの報告 |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | 3ヶ月以内 | 可能 | 複数社と契約可能(契約数の上限なし) | なし |
専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に一度、メールか文書で連絡 |
属専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に一度、メールか文書で連絡 |
なお、契約形態によってできること、できないことがあるので、どの契約形態で売却活動に臨むかは、売主が抱えている事情や売却ニーズを第一に考えたうえで選択しましょう。
売却活動・内覧準備
媒介契約を結んだあとは、売却活動・内覧の準備に取り掛かります。
- 水回り・各部屋の清掃、不用品の廃棄
- 広告用に掲載する物件の写真撮影など
現代の家探しは、新聞折り込みなどのチラシよりも、ネット広告を主流に不特定さ数の方に見てもらえるよう活動している会社が多いです。
そのため、後の内覧対応に備えて、このプロセスで、物件を綺麗に清掃したり、無駄なものの片付けに着手しましょう。
また内覧は、買い手が物件の雰囲気を直接感じる重要な機会であるため、細部にわたる配慮が求められます。
内覧対応
前述したように内覧は、物件の魅力や実際の状態を直接的に買い手に伝える重要なステップです。
- 定期的に物件を掃除して清潔な状態をキープする
- 物件に見られる欠陥や魅力をまとめておく
内覧対応は、購入希望者と売買契約を締結するまでの間、ずっと行う活動です。
そのため、人によっては3ヶ月程度で契約を結ぶことができる一方、なかなか買い手が見つからない場合は半年以上の時間を要する可能性があります。
- 掲載している広告用の写真を更新する
- 掲載する情報をより詳細なものに置換する
- 値下げ交渉を視野に入れる
上記工夫に合わせて、媒介契約を結んだ会社の活動状況も内覧対応に大きく関わってきます。
あまり協力的じゃないと感じたら、会社の乗り換えを検討しましょう。
売買契約
内覧後、買い手との間で価格や条件が合意されたら、正式な売買契約の手続きに進みます。
- 契約内容の確認
- 重要事項説明書の交付
- 手付金の受領など
この際、契約内容に関する疑問や不明点がある場合には、その都度確認・質問を行うことが重要です。
確実な売買契約を締結するために、不動産専門家や司法書士と連携しながら手続きを進めることも考慮すべきです。
また、売買契約締結後、媒介契約を結んでいる仲介会社に成功報酬として仲介手数料を支払います。
なお、支払い額は、売却価格に応じて決定します。
売却価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円超~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
引き渡し・決済
売買契約後、指定された日に物件の引き渡しと決済が行われます。
- 物件内にある家具・私物をすべて新居に移動させる
- 引っ越し作業時に出たゴミや不用品を片付ける
また、決済には、残金の支払いや物件の鍵の引き渡しなどが行われます。
それらと並行して、関連する公的手続きや各種の移転登記もこの時期に進められるため、適切に手続きを進めるための情報収集や専門家との連携が必要になります。
確定申告の提出
不動産の売却に伴い、所得税や住民税の申告が必要となる場合があります。
特に、不動産を売却して利益が出た場合や、一定の条件を満たす物件の売却には、税金が発生する可能性が高くなります。
このような場合、翌年の確定申告時に所得税や住民税の申告を行う必要があります。
不動産売却に関する税務の手続きは複雑なため、税理士などの専門家と連携し、適切な申告を行うことが大切です。
不動産売却の期間が長引く原因
当然ですが、立地が良くきれいな物件は短期間で売れやすく、アクセスの悪い築古物件は売れ残りやすいです。
しかし、売りに出す物件周辺が好条件下にある状態でも、売却期間が長引いてしまうケースがあります。
- 売却実績が低い会社に依頼した
- 売却活動が受け身姿勢の会社に依頼した
- 売出価格が高すぎる
- 担当者の能力・モチベーションが低い
- 売り出し時期を見誤った
- 住宅ローン返済が滞っている
- 同じ建物・エリア内で類似する物件が同時期に売買されている
予期せず売却が長期化するのは最もストレスが溜まるので、まずは外的要因に目を向けましょう。
ここでは、売却期間が長引いてしまう原因について1つずつ解説して行きます。
売却実績が低い会社に依頼した
不動産の取引において、売却実績は業者の能力を示す重要な指標の一つと言えます。
経験が少ない、売却実績の乏しい会社に仲介を依頼した場合、マーケティング戦略の立案や交渉技術の力不足から以下のような問題を招く恐れがあります。
- 物件ニーズに適った購入希望者に情報が届かない
- 物件の価格設定や売り出しのタイミングにミスが起き、損失を生む恐れがある
- 売買契約がスムーズに進行しない
これらの問題は、取引過程が滞るリスクを高めるだけじゃなく、物件の資産価値を貶める行為になります。
売却活動が受け身姿勢の会社に依頼した
不動産売却では、積極的なマーケティング活動が求められます。
不動産売却における積極的なマーケティング活動は、売却物件を可能な限り広い範囲の潜在的な買い手に対して効果的にアピールし、その結果として最適な条件での取引を実現するために必要です。
活動内容
- インターネットをはじめとするデジタルメディアの活用
- オープンハウスの開催
- プロフェッショナルな写真やビデオでの物件紹介
積極的なマーケティング活動は、物件に対する高い関心を喚起し、販売機会を最大化させます。
しかし、受け身姿勢の会社に依頼した場合、自らの取り組みを待っているだけで、効果的な宣伝や販売促進策を講じない可能性があります。
このような事態に遭遇すると、物件情報が適切に広まらず、売却のチャンスを逃してしまう原因になります。
また、顧客とのコミュニケーションが不足するため、売却の意向や希望を正確に伝えられない原因にも繋がります。
売出価格が高すぎる
不動産の売出価格は、売却を成功させる上で極めて重要な要素です。
しかし、売出価格が適切じゃない場合、以下のような浮上時を招く恐れがあります。
- 購入希望者からの問い合わせが減る
- 購入希望者を集めるために何度も値下げ処置を施し問題がある物件として認知される
- 物件の資産価値を損ね、最終的に相場以下の価格で売買が成立する恐れがある
特に、市場価格よりも高く設定されている場合、物件に対する興味を持っても、その価格では購入をためらう人が増えるでしょう。
このような状況下では、長期間売れ残るリスクを高めます。
価格を適正に設定することで、売却速度を向上させることが可能となり、また、適切な価格帯での競合との差別化も図れるため、売主にとっても有利な取引が期待できます。
担当者の能力・モチベーションが低い
不動産の売却を成功させるためには、担当者の専門知識と経験、さらにモチベーションが不可欠です。
能力やモチベーションが低い担当者では、適切な価格の提案や売り手・買い手とのスムーズなコミュニケーションが難しくなります。
その結果、売却チャンスを逃す原因になります。
また、以下のような特徴を持つ担当者に当たると、疑問や不快感を買主に与えてしまい、いつまでも成約に結びつきません。
- 話に根拠がない
- 難しい専門用語ばかり使う
モチベーションが低い担当者は、売却のための積極的なアクションを取らない傾向があり、これが売却期間の延長を招く可能性が高まります。
顧客の要望を正確に理解し、迅速に対応するための意欲や熱意が求められるため、担当者の選定は非常に重要です。
仲介業者の取り組み方次第で売却期間が延びるケースもある
営業担当者のモチベーションや能力を含め、会社の取り組み方も売却期間の長さに関係しています。
例えば、売りに出す不動産情報は、SUUMOやアットホームなどのポータルサイトを介して購入希望者を募っていますが、業者の中には、これらと提携を組んでいない硬派な会社もいます。
そのような会社と媒介契約を結ぶと、限られた範囲でしか物件情報を公表できず、いつまでも購入希望者から問い合わせが来ない原因になります。
売り出し時期を見誤った
不動産の売却成功のためには、市場の動向を正確に読むことが重要です。
売り出し時期を誤ってしまうと、物件の魅力があっても需要が低い期間に売り出されることになり、売却に時間がかかることが考えられます。
経済的な不況や季節的な要因など、市場が冷え込んでいる時期に物件を売り出すと、適切な買い手を見つけるのが困難となる可能性があります。
最適な売り出し時期の選定は、不動産市場の深い理解と経験が求められます。
住宅ローン返済が滞っている
住宅ローンが残っている不動産でも売却は可能ですが、売却額と貯蓄を合わせてローンを完済した後に引き渡すのが条件になります。
不動産売却の平均期間は早くて3ヶ月程度なので、自分の給与と合わせて3ヶ月で完済できるタイミングで売り出すとスムーズです。
しかし、住宅ローンの返済が滞っていたり、当初の資金計画が間違っていたり、住み替え費用がかさんだりすると、売却の際にその残債を完済する必要があります。
そのため、物件の売却価格が低くなってしまうリスクが高まります。
買い手側も、物件の売却理由や返済滞納の事実を知ることで、交渉を有利に進めようとすることが考えられます。
また、売主側としては、返済のための資金を確保するプレッシャーから、早期の売却を求める場合が多いですが、その結果として適切な価格設定が難しくなります。
残債のある物件を売る任意売却という方法もあるにはありますが、特殊なケースでない限り、期間を延ばすのが最善の策です。
同じ建物・エリア内で類似する物件が同時期に売買されている
同じ建物やエリア内で類似する物件が同時期に多数売り出されると、競争が激化します。
これにより、買い手が多くの選択肢から比較検討することが可能となり、一つの物件に対する需要が分散されるため、売却に時間がかかる可能性が高まります。
さらに、同じエリアの物件同士で価格競争が生じることで、売却価格が下落するリスクも考えられます。
このような状況下では、物件の特徴や魅力をしっかりとアピールすること、適切な価格設定とマーケティング戦略の検討が重要となります。
不動産の売却期間を短縮する方法
ここまで、不動産の売却期間が長引くデメリットを解説しました。
何度も言うように期間が長くなるか短くなるかは運も大きく関係していますが、売主と仲介会社の売却戦略次第では、短期間売却を果たすことができます。
以下は、不動産の売却期間短縮に効果的な方法です
- 売り出し価格を下げる
- 不動産が売れやすい時期に合わせて不動産を売る
- 売却相場を調査しておく
- 適切な媒介契約を選択して売りに出す
- 買取保証サービスの利用を検討しておく
ここからは、上記5つの方法について解説して行きます。
売り出し価格を下げる
価格は、不動産取引における最も重要な要因の一つです。
市場価格よりも高く設定された物件は、購入希望者を見つけるのが難しく、売却に時間がかかることが多いです。
逆に、適正な価格、あるいは市場平均よりやや低めに設定すると、多くの購入希望者の目を引くきっかけになります。
この方法は、迅速な売却を希望する場合に特に有効で、短期間での取引を実現する可能性が高まります。
ただし、価格設定は適切に行うことが重要であり、過度な下げは不利益を招く可能性もあります。
不動産が売れやすい時期に合わせて不動産を売る
不動産市場は季節や経済状況により変動するため、売却を検討する際のタイミングは非常に重要です。
例えば、春や初夏は新生活のスタートや転勤のシーズンと重なり、物件の需要が増加する傾向があります。
このような売れ筋の時期に売り出すことで、多くの買い手からの関心を引きつけ、売却期間を短縮することが期待できます。
また、経済的な好況期には、投資や自宅購入の動きが活発となり、売却のチャンスも増加します。
売却相場を調査しておく
不動産の売却を検討する際、その地域や物件タイプの現在の市場価格を前もって調査しておきましょう。
売却相場を事前に調査することで、適切な価格帯での売り出しを実現でき、早期の取引完了が期待できます。
また、相場情報を元に適切な価格設定を行うことで、価格交渉時の自信や根拠となり、スムーズな取引を進められます。
適切な媒介契約を選択して売りに出す
不動産の売却を進める際、独占媒介契約や一般媒介契約など、いくつかの契約形態があります。
例えば、専属媒介契約では、一つの業者だけが販売活動を行い、その業者が集中的にマーケティングを行います。
一方、一般媒介契約では、複数の業者が同時に販売活動を行うため、広範囲に物件情報が広まります。
契約形態により、売却期間や成功確率が変わるため、自身の状況や目的に合った契約を選ぶことが重要です。
買取保証サービスの利用を検討しておく
買取保証サービスは、一定の期間内に物件が売却できない場合、不動産業者が事前に定めた価格で買取を行うサービスです。
これにより、確実に売却を完了させることができ、売却のリスクを低減することが可能となります。
もし、迅速な売却や確実な取引を希望する場合は、このようなサービスの利用を検討することで、売却期間の短縮が期待できます。
不動産買取は仲介で売れた価格の約2割減となるので損ではありますが、保証サービスを提供しているような大手業者は仲介手数料の値引き特典なども提供しているので、合わせて使えばそこまで損はしませんよ。
買取保証サービスに対応している業者は、こちらで詳しく紹介しています!
不動産売却の期間が長引いた時に取る行動
前節で紹介した方法を活用しても、購入希望者のニーズに適わないなど、様々な理由で売却期間が長引いてしまうケースがあります。
売却期間にゆとりをもって始めたが、活動に割ける時間が限られている場合や、活動にまだある程度のゆとりが残されているなら、以下のようなアクションを起こしてみましょう。
- 不動産買取に切り替える
- 時間に余裕があるときは次の繁忙期に合わせて売却を仕切り直す
- 媒介契約を結んでいる会社を変える
ここからは、上記3つの行動について解説して行きます。
不動産買取に切り替える
不動産売却が期待通り進まない場合、買取サービスの利用も検討しましょう。
不動産買取は、業者が直接買い取る形となるため、確実かつ迅速に物件売却を完了させられます。
特に、急な転勤や資金調達の必要から早期売却を希望する場合には有効です。
ただし、市場価格よりも低く設定されることが多いため、買取価格と市場価格のバランスをよく検討することが重要です。
時間に余裕があるときは次の繁忙期に合わせて売却を仕切り直す
不動産の取引は季節や経済の動向に影響を受けやすく、売れ筋の時期には多くの買い手が市場に出てくることがあります。
特に、春や初夏には新しい生活をスタートさせる方々が多く、物件の需要が上昇します。
もし、売却活動が進まない場合には、次の繁忙期を狙って再度、売却活動を開始することで、より多くの買い手に物件をアピールするチャンスが増える可能性があります。
媒介契約を結んでいる会社を変える
長期間にわたり不動産の売却が進まない場合、その原因の一つとして媒介している不動産会社の販売活動や提案内容に問題がある可能性も考えられます。
新しい視点やアプローチで物件を売り出すため、契約を結んでいる会社を変更することを検討しましょう。
新しい不動産会社は、過去の販売活動を踏まえた上で、新たなマーケティング戦略や価格提案を行ってくれることが期待でき、これにより売却が進展する可能性が高まります。
長期間の不動産売却は計画と根気が大事
不動産売却にかかる期間は、査定から契約まで短ければ3~4ヶ月、長いと半年から1年以上もかかります。
長期間に渡って細かい手順を踏まなければならないので、あらかじめ手続きや費用についてしっかり計画を立てておくことが肝心です。
また売却期間が伸びていくなかで自分が満足する金額で不動産を売るためには、根気が必要になります。あらかじめ早く高く売れるタイミングで、査定申し込みをする計画を立てることをおすすめします。