「不動産を売るか決めていないけれど、とりあえず査定だけ依頼したい」と考える方も多いのではないでしょうか。
不動産査定は無料で依頼できるケースがほとんどですが、査定を依頼することで売却を強く勧められることもあります。
この記事では、不動産査定だけを依頼することが可能なのか、注意すべきポイントや査定方法の種類について詳しく解説します。
また、売却の意思がない場合でも査定額を知る方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
査定の種類 | 特徴 | 精度 | 所要時間 |
---|---|---|---|
不動産一括査定 | 不動産情報の一度の入力で複数の不動産会社に査定依頼ができる | 高い | 1~7日 |
匿名査定・AI査定 | メールアドレス以外の個人情報は不要で、AIが過去の取引データや市場動向を基に査定額を算出する | 低い | 1~3日 |
不動産鑑定 | 不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に則り、現地調査を行ったうえで評価する | 高い | 1週間以上 |
【免許登録】
宅地建物取引業免許:国土交通大臣(4)第7845号
一級建築士事務所登録:東京都知事 第62093号(東京本社)
特定建設業許可:東京都知事 (特-2) 第135078号(東京本社)
不動産特定共同事業許可:東京都知事 第134号(東京本社)
賃貸住宅管理業登録:国土交通大臣(1)第1722号(東京本社)
不動産の査定だけを依頼することは可能
不動産会社に売却の依頼をしなくても、不動産査定だけを依頼することは可能です。
査定を受けた結果、想定よりも査定額が低かった場合は市場の動向を見ながら売却タイミングを見直すことができます。
また、複数社に査定を依頼し、提示された査定額や対応を比較したうえで信頼できる会社に売却を依頼する方法も一般的であるため、査定を受けたからといって必ずしも売却する必要はありません。
不動産会社が無料査定を行う理由

不動産会社が無料で査定を行うのは査定をきっかけに顧客と信頼関係を築き、最終的に売却依頼を受けるためです。
そのため、基本的に不動産会社は売却や契約の意思がある方が査定を申し込んでくれることを想定しています。
ただ、売却の意思がない方の査定申込でも不動産会社は積極的に受け入れていることが多いです。
そもそも不動産の査定を依頼するケースは一般的ではないため、査定を依頼する時点で多かれ少なかれ売却の可能性はあるとも考えられます。
そのため、不動産会社はこのような方を顧客リストに追加して、メルマガやポスティングなどを通して数ヶ月~数年後の契約を目指すといったパターンもあります。
査定だけをして売却をしないことは全く問題ない
結論から言えば、不動産会社に査定だけを依頼して売却をしないことは全く問題ありません。
そもそも査定を依頼して査定結果を確認する段階では単純に見積もりを依頼して確認しているだけなので、売却をおこなう義務などは全く発生していません。
不動産会社のほうも「迷っているなら、まず査定依頼はどうですか?」というスタンスで申込を促進しているので、売主が査定結果を見た上で「やはり売却はしないことになった」と言っても無理に売らせることはできません。
- 流れ1】売却活動の準備
- 流れ2】不動産一括査定サイトで複数社を比較
- 流れ3】媒介契約の締結
- 流れ4】売却活動・内覧準備
- 流れ5】内覧対応
- 流れ6】買付(購入申込書)を受け取る
- 流れ7】売買契約の締結
- 流れ8】引き渡し・決済
- 流れ9】確定申告
査定を依頼した後、査定結果に問題がなければ媒介契約を結びます。
この契約を結ぶまでなら、不動産を売らないという選択をしても法的な問題はありません。
不動産の査定だけを希望することは不動産会社に伝えるべき?
不動産会社が無料で査定をする理由は主に、査定を依頼してきた売却希望者と契約をして成約時に仲介手数料を貰うためです。
そのため、「不動産を売ることは検討していない(査定だけ依頼したい)ということを事前に言えば査定を断られたり、キチンと査定してくれなかったりするのではないか」と不安に思う方も多いです。
結論から言えば、依頼者側の売却の意思にかかわらず、基本的に不動産会社は無料で査定を実施してくれます。
実際に査定価格を算出したら売却希望者の意思が変わるケースも珍しくないので、不動産会社にとってもメリットがあります。
訪問査定は渋られる可能性がある
不動産査定には机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類がありますが、最初に「不動産の査定だけを考えていて、売却は検討していない」と伝えた場合、訪問査定は対応を渋られる可能性があります。
訪問査定は実際に担当者が現地に訪問をして物件の外観や敷地周辺なども含めて調査をするので、時間や手間・費用がかかります。
どのような対応になるかは不動産会社によって異なるので注意が必要です。
不動産の査定だけを依頼する際の注意点
ここでは、不動産の査定だけを依頼する際の注意点を紹介します。
注意点1】査定額=「売出価格」「成約価格」ではない

不動産の査定額はあくまで目安であり、実際の売出価格や成約価格とは異なる傾向があります。
査定額は市場相場や過去の取引データ、物件の状態などをもとに算出されますが、最終的な売出価格は売主の判断、成約価格は買主との交渉によって決まるためです。
不動産会社から査定額を提示してもらってすぐに売却しないのであれば、他の方法で大まかな資産価値を調べたほうがよいでしょう。
注意点2】不動産の売却を促される可能性がある

不動産の査定を依頼すると多くの場合、不動産会社から売却を提案されることがあります。
これは、不動産会社が査定を依頼された時点で「売却を前向きに検討している」と判断するためです。
もし売却の予定がない場合は、「今回は売却を見送ることにしたので、今後のご連絡は不要です」と意思を伝えましょう。
曖昧な返答をすると「売却のご予定はいかがでしょうか?」といったフォローの連絡が続く可能性があるため、不要な営業を避けるためにも明確な対応を心がけることが大切です。
注意点3】不動産を売る際は改めて査定が必要になる
不動産の査定額は、市場の変動や物件の状態の変化によって変わります。
そのため、査定を受けた後にしばらく売却せず、数ヶ月や数年経過してから売却を決めた場合は改めて依頼する必要があります。
特に、不動産市場は経済状況や金利、周辺環境の変化などの影響を受けやすいため、最新の情報をもとに査定を受けることが重要です。
不動産査定だけ依頼するはずが強引な営業を受けた時の対処法
前述の通り、不動産査定を依頼する段階では契約などは発生していないため、売却しないという判断をしても法的な問題は発生しません。
ただ、売却のために契約を結ぶことが不動産会社にとってはメリットになるので、場合によっては売却をするように勧誘してきたり、強引に契約しようとしたりされる可能性もあります。
強引な営業を受けた時の対処法を解説します。
対処法1】国や自治体の行政機関窓口に相談
国や自治体には不動産会社や、不動産系を含めた様々なトラブルを相談する窓口があります。
- 都道府県の不動産業(宅建業)に関する相談窓口
- 国民生活センター
- 消費生活センター(消費者ホットライン「188」)
例えば東京都だと、都庁にある東京都住宅政策本部の中の民間住宅部 不動産業課が相談を請け負っています。
対処法2】不動産会社の上位団体や加盟団体に相談

不動産会社はハトのマークの(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)かウサギのマークの(一社)全国不動産協会のいずれかに所属していることが多いです。
これらの団体は加盟している不動産会社を監督する立場にあるので、相談をして対応してもらうことが可能です。
その他、レインズを提供している不動産流通推進センターでも、個人向けの住宅相談を請け負っている部署があります。
対処法3】弁護士に相談
問題の範囲が大きかったり、恐喝や脅しなどの度を超えた対応をされている場合などは、弁護士に相談をするのも一つの手です。
場合によっては、裁判を実施して問題を解決するケースもあります。
不動産を売却する予定がなくても査定額を知る方法
不動産を売却する予定がなくても、現在の資産価値を把握したいと考える方は少なくありません。
その場合、不動産会社に正式な査定を依頼すると営業を受ける可能性があるため、査定額だけを知る方法を活用するのが得策です。
ここでは、売却を前提とせずに不動産の相場や査定額を把握する方法を紹介します。
- 自分で相場を調べる
- 匿名査定(AI査定)を利用する
自分で相場を調べる
不動産の相場を知る方法として、まずは自分で市場価格を調べることが挙げられます。
自分で相場を調べる方法は、主に以下のとおりです。
- 不動産ポータルサイト(SUUMO、アットホームなど)を活用する
- 「レインズマーケットインフォメーション」や「不動産情報ライブラリ」をチェックする
これらの情報を活用すれば相場の目安を把握できますが、不動産ポータルサイトに関しては実際の成約価格は販売価格と変わることが多いため、あくまで参考値として考えましょう。
匿名査定(AI査定)を利用する
匿名査定(AI査定)とは、不動産の基本情報を入力するだけでAI(人工知能)が過去の取引データや市場動向を基に査定額を算出するサービスです。
個人情報の入力は必要ありません。
匿名査定ではすぐに査定結果を確認できるほか、不動産会社から営業連絡を受ける心配がないことがメリットです。
売却を検討していなくても気軽に利用できるため、参考情報として活用しやすいでしょう。
ただし、AI査定はあくまで統計データに基づいた概算であり、実際の売却価格とは異なる可能性がある点に注意が必要です。
また、対象エリアや対応物件が限られている場合もあるため、すべての不動産に適用できるわけではありません。
匿名査定を利用する際はあくまで目安として捉え、本格的に売却を検討する場合は不動産会社に相談しましょう。
売却も視野に入れるなら「不動産一括査定」がおすすめ

売却も視野に入れている場合は「不動産一括査定」の活用がおすすめです。
不動産一括査定とは、所定のフォームに物件情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に査定を一括で依頼できるウェブサービスです。
このサービスを利用することで各社の査定額を比較できるだけでなく、売却を希望する場合の相場感もつかみやすくなります。
また、仲介手数料や売却戦略など会社ごとの違いも事前に把握できるため、最適な売却プランを検討する際に役立ちます。
不動産一括査定のメリット
ここでは、不動産一括査定のメリットを紹介します。
- 不動産の適正額を把握できる
- 手軽に複数社に査定を依頼できる
- 不動産会社の比較が簡単にできる
不動産の適正額を把握できる
不動産一括査定を利用することで、現在の市場価格を正確に把握できます。
不動産の価値は立地や築年数、間取り、周辺環境などの要因によって大きく異なるほか、同じエリアの物件でも不動産会社によって査定額は異なることがあるため、一括査定で複数社に査定を依頼しましょう。
手軽に複数社に査定を依頼できる
従来、不動産の査定を依頼する場合は個別に不動産会社へ連絡し、スケジュールを調整する必要がありました。
しかし、不動産一括査定を利用すれば一度の入力で複数社に査定依頼ができるため、手間が大幅に削減されます。
例えば5社に査定を依頼した場合、個別に問い合わせると1社あたり30分程度のやり取りが必要ですが、一括査定なら数分で完了します。
特に仕事や家事で忙しい方にとっては、大幅な時間短縮につながる便利なサービスです。
不動産会社の比較が簡単にできる
不動産会社ごとに得意とするエリアや物件の種別(土地・一戸建て・マンションなど)は異なるため、適切な不動産会社を選ぶことがスムーズな売却につながる鍵です。
不動産一括査定を利用すれば複数の不動産会社の査定額や販売実績、対応の丁寧さを簡単に比較できます。
売却の希望度合いに合った査定方法を選ぼう
不動産会社に査定だけを依頼することは可能ですが、売却の希望度合いに応じた方法を選ぶことが重要です。
売却の予定がない場合は自分で相場を調べたり、匿名査定(AI査定)を利用したりする方法が手軽です。
一方、具体的に売却を検討している場合は不動産一括査定を活用すると複数の不動産会社の査定額を比較でき、適正価格での売却がしやすくなります。
自分の状況に合った査定方法を選び、賢く不動産の価値を把握しましょう。