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不動産売却

いらない不動産はどう処分する?寄贈・売却などの処分方法をケース別に解説

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不動産を売り出したは良いものの、いつまで経っても売れ残ってしまうケースがあります。

できれば売れるまで待ちたいものですが、販売中も固定資産税などの維持コストがかかってしまうのが難点です。

売れ残った不動産をリスクなく処分する方法は5つあります。

こちらの記事で、詳しく解説していきます。

この記事の監修者
中西諒太_プロフィール
監修者
城都不動産株式会社 代表取締役
中西諒太さん

宅地建物取引士/2級FP/住宅ローンアドバイザー

賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社の勤務を経て独立。2022年に法人設立。

現在は都心で不動産事業を営むかたわら、WEBメディアで監修や執筆に従事している。

●城都不動産株式会社公式ホームページ
(https://ryoestate.com/)

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いらない不動産を処分する方法

「要らない不動産ってどう処理すればいいの…?」と困っている人も多いですよね。

基本的に不動産は不動産会社が仲介に入って買主を見つけて売却しますが、不動産の環境によっては売残ってしまうリスクもあります。

これから要らない不動産を処分する方法を分かりやすく説明するので、どのように処分するか迷っている人は参考にしてください。

不動産仲介で売却

仲介売却
仲介売却のメリット
仲介売却のデメリット
時価とほぼ同じ金額で売れる
  • 売れるまでに時間がかかる
  • 仲介業者によって当たりはずれがある
  • 仲介手数料の支払いが必要

基本的に不動産は不動産会社に仲介を依頼して売却します。

不動産会社に査定を依頼して、査定価格に納得すれば媒介契約を締結すれば不動産会社が売却活動を始めます。

いらない不動産が需要のある物件であれば買主が見つかりやすくスムーズに売却をすすめることが出来ますが、立地が悪かったり物件環境が悪かったりすると買主が見つからず売れ残ってしまうケースもあります。

売れ残りの心配がある人は、買取保証サービスを利用して売却する方法もあります。

買取保証サービスは、一定期間売却活動を行い売れ残ってしまった場合は不動産会社が買い取ってくれます。

いらない不動産を処分できないリスクを減らすことができるので、検討してみてください。

不動産買取で売却

買取
不動産買取のメリット
不動産買取のデメリット
  • いくらで売れるかすぐにわかる
  • 換金までがスピーディ
  • 状態が悪くても成約しやすい
価格が時価よりも低くなる

不動産買取は不動産仲介と似ている売却方法ですが、不動産を買い取る相手が不動産会社になります。

不動産会社は買い取った不動産はリノベーションして顧客に転売する方法で利益を得る為、買取は仲介に比べて低めの売却価格で設定されます。

ただし売主が家を解体したりリノベーションしたりする必要が無いのでコストを抑えて売れます。

また不動産買取は買主を見つける必要が無いので売却スピードが早く、最短1週間で現金化できる所もあるので「とにかく早く要らない不動産を処分したい!」という人におすすめです。

相続を放棄する

相続放棄のメリット
相続放棄のデメリット
遺産の管理・処分の手間が省ける
遺産を全て放棄する必要がある

要らない不動産を相続していないタイミングであれば、相続破棄することによって所有権を破棄できます。

相続を放棄する最大のメリットは、相続によって受け取る負債を避けることができる点にあります。

例えば、負債を多く抱えた遺産や、修繕費用がかさむ不動産を受け継ぐことで、相続人が金銭的な負担を背負うことを避けることができます。

また、相続の手続きは時間と手間を要します。相続を放棄すれば、これらの手続きを省くこともできます。

一方で、相続放棄をすると、不動産以外の遺産の相続も放棄をしなければいけなくなります。

管理や手続きが面倒だからといって安易に相続を放棄すると、結果的に損をする可能性があるので注意が必要です。

空き家バンクに登録する

空き家バンクのメリット
空き家バンクのデメリット
空き家を探している人を見つけやすい
  • 相場より高値が付くケースは少ない
  • 早期に成約が見込める訳ではない

空き家バンクは、地方自治体が運営している空き家物件の情報サイトです。

不動産会社で仲介や買取を断られた物件でも掲載することができるので、問題のある物件でも掲載できます。

また空き家バンクの運営は地方自治体ですが、仲介するのは不動産会社です。そのため、成約のあかつきには、仲介手数料の支払いが必要となります。

空き家バンクは自治体によって運営されているので信頼度も高く、空き家を探している方も安心して利用ができます。

一方で、空き家バンクは購入希望者に対して積極的な営業活動を行う訳ではないので、早期かつ高額での売却が期待できる訳ではありません。

土地活用をする

土地活用のメリット
土地活用のデメリット
  • 土地を所有したまま収益化が可能
  • 将来的に自分たちで利用することも出来る
  • 初期投資に費用がかかる
  • 運用・経営にコスト・労力がかかる

要らない不動産が売れない場合は、状況を逆手に取って土地活用する方法もあります。

土地活用は、駐車場経営やアパート経営やマンション経営など様々な方法で活用できます。

土地活用に長けている不動産会社に相談すれば、要らない不動産の条件に最適な土地活用を提案してくれます。

「収益化を検討してみようかな?」と考えている人は土地活用の業者に相談してみてください。

国・自治体に寄付をする

寄付のメリット
寄付のデメリット
  • スムーズに処分ができる
  • 社会貢献につながる
  • 寄付・寄贈が成立するケースはほとんどない
  • 所有者に利益が発生しない

国や自治体に、不要な土地を寄付するというケースもあります。

私有地を国・自治体所有にすることで、公共事業に役立てるというアイディアです。

ただし、公共事業に活用できる土地は限られている上、地方自治体は財政難のところが多く土地を運営する余裕がないということもあり、寄付が成立するケースは稀です。

国・自治体の他にも企業やNPO法人が寄付を受け入れるケースもあります。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度のメリット
相続土地国庫帰属制度のデメリット
相続・遺贈対象の土地をスムーズに処分できる
制度を利用できる状況が限定的

相続土地国庫帰属制度は、相続・遺贈対象の土地を国に引き取ってもらう制度です。

この制度は2023(令和5)年4月27日から開始された新しいもので、使い道のない土地の処分をスムーズにおこなうことができます。

この制度は名称の通り、活用できるケースは限定的です。

いらない不動産を処分して発生する費用

仲介手数料

仲介業者に依頼して不動産を売却した場合、売却価格の一部を仲介手数料として、業者に支払わなければいけません。

仲介手数料は、売却価格に比例して以下のように上限額が決定します。

取引額(不動産の売買価格) 仲介手数料(法定の上限額)
200万円以下 (売買価格(税抜き)× 5.0%) + 消費税(10%)
200万円超400万円以下 (売却額(税抜き)× 4.0%+2万円) + 消費税(10%)
400万円超 (売却額(税抜き)× 3.0% + 6万円) + 消費税(10%)

仲介手数料は売買契約を結ぶタイミングで半金を支払い、決済・引き渡しのタイミングでもう半分を支払うのが一般的です。

譲渡所得税

不動産を売却した時に出た利益を譲渡所得といい、譲渡所得にかかる費用を譲渡所得税といいます。

譲渡所得税の仕組みと計算式

譲渡所得は簡単に言うと、売却で得た価額(売却のコスト含む)が、購入時に支払った費用(諸費用含む)より上回っている場合の差額分を指します。

譲渡所得にかける税率は、不動産を取得してから何年経過しているかによって異なります。

税区分 不動産の所有期間 所得税※ 住民税
短期譲渡所得 5年未満 30.63% 9%
長期譲渡所得 5年以上 15.315% 5%

解体費用

土地に築古の建物(戸建て住宅など)が建っている場合、ほとんどの買い手は購入後に建物を解体し、更地化して再利用することを目的とします。

不動産売買の原則は現物有姿(そのままの状態で引き渡し)なので、基本的に解体費用は買主側の負担ですが、費用が高額になるため買い手がつかなそうな場合は売主が事前に対応するケースもあります。

建物の解体費用の価格相場
木造建築 鉄骨造建築 RC・SRC造建築
20坪 60万円~100万円 80万円~120万円 120万円~160万円
30坪 90万円~150万円 120万円~180万円 180万円~240万円
50坪 150万円~250万円 200万円~300万円 300万円~400万円
60坪 180万円~300万円 240万円~360万円 360万円~480万円
100坪 300万円~500万円 400万円~600万円 600万円~800万円

上記の通り、解体費用は建物の構造や面積によって変化します。安い出費ではないので、実施が必要かどうかは不動産会社に相談して決めることをおすすめします。

測量費用

土地の境界線が未確定だったり、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている境界と実状が異なっていたりする場合は、測量を実施する必要があります。

土地の測量費用は、一般的に35万円~45万円程度が相場となります。

ただし、以下のようなケースだと、官民立ち会いでの測量となり、費用は平均60万円~80万円になります。

官民立ち会い測量が必要なケース
  • 土地が市有地・国有地に面している
  • 印鑑証明書の取得が必要
  • 土地の形が複雑
  • 近隣トラブルを抱えている

いらない不動産を処分せずに所有しておくリスク

いらない不動産を所有し続けると、いくつかリスクがあります。以下にそれぞれのリスクを解説していきます。

維持費用がかかる

いらない不動産を使い道がなく放置していたとしても、所有者である以上は固定資産税が発生します。

固定資産税額の計算式
固定資産税評価額(不動産の時価の約7割)×標準税率(年1.4%)

また、放置の期間が長引けば、設備の故障や水道・ガスといった生活インフラの不具合が発生しやすくなります。

こうした状況が起こらないようにするためには、維持費を継続的に支払う必要があります。

資産価値が低下する

不動産は築年数が経過するのに比例して、資産価値が低下していきます。

不要になった不動産もすぐ売却をせず、放置を続けるほど売却価格は下がっていきます。

特に、物件は空き家として放置する場合、住まいとして活用し続けるより早く劣化すると言われています。

そのため、空き家として放置した物件は、築年数の経過以上にマイナスの査定評価を受ける可能性が高いです。

売れにくくなる

築年数が経過した不動産ほど買い手がつきにくいため、いらない不動産を放置していると、どんどん売れにくくなってしまいます。

また前述の通り、不動産を放置すると内観・外観が急速に劣化するため、築年数・立地などが好条件にも関わらず、第一印象で買主から敬遠される可能性は高くなります。

法律的なリスクが発生する

不動産に対して何かしらの契約や権利が発生している場合、それを無視して放置しつづければ、当然法的な問題が生じます。

また、空き家として放置する期間が長引くと、公共料金の支払い催促の投函など、重要な書類を見逃す可能性は高くなります。

悪臭が発生して近隣に迷惑をかける

放置していた建物の劣化が原因で、近隣に迷惑をかける事例も考えられます。特に多いのが、悪臭が発生するリスクです。

古い家の下水は、S字の太い管がつながっています。

古い家の下水のS字管
下から匂いやネズミなどが登ってくるのを防ぐためにこうした構造になっているのですが、1ヶ月下水を放置していると、上の図のようにS字部分に溜まった汚水が蒸発して悪臭が発生します。

公衆便所のような臭いが外にも蔓延し、近隣に迷惑をかけてしまいます。

犯罪の温床になりやすくなる

空き家は、放火などの犯罪の舞台になりやすいです。また、犯罪組織のアジトとなってしまう可能性もあります。

長年放置された家であることは、ポストにチラシが溢れかえった様子を見れば一目瞭然です。

悪い人がそれを見れば、出来心で侵入したり放火したりするのも十分想定できます。

相続人に迷惑がかかる

「自分には妻も子どももいないので、誰にも迷惑かからない」と思い、不動産を放置している人が多いですが、これは間違いです。

もし親、兄弟、子どもがいない時は、空き家は甥や姪に相続されます。相続税や維持コストは彼らにかかってしまうのです。

結婚しておらず、子どもがいないから放置してもOKという考えは捨てたほうが良いでしょう。

不動産の処分に関するよくある質問

いらない土地を国に返すことはできる?

国・自治体に土地の寄贈を打診することは可能ですが、実際に寄贈が受け入れられるケースは多くありません。

2023(令和5)年4月27日から開始された相続土地国庫帰属制度を利用すれば、相続・遺贈対象の土地を国に引き取ってもらうことが可能です。

売れない不動産の引き取り先はどこがある?

どうしても売れ残ってしまう不動産などを、必ず引き取ってくれる機関というものは存在しません。

そのため、不動産の所有者は資産価値が0になる前に、売る判断をする必要があります。

自治体に連絡したら不動産は必ず引き取ってくれる?

自治体が不動産を引き取ってくれるケースは、寄贈(無償贈与)という形であっても多くありません。

これは、公共事業などで活用できる土地は立地や面積的に限られていること、自治体自体に土地を維持管理する余裕がないことなどが主な理由です。

道路沿いの土地など、利便性がある程度高いものであれば、引き取ってくれる可能性は高くなります。

いらない不動産の処分の仕方に悩んだら不動産会社に一度相談しよう

確かに、今まで売れる気配すらなかった不動産でも明日になれば急に買い手が殺到する可能性はあります。

ただ、その可能性は非常に低く、将来のコストを考えれば売れ残った不動産は早く処分してしまったほうがお得です。

家・マンションなどの建物は築年数が経つほど売れにくくなるのは有名ですが、処分する際も同じで、古くなるほど処分方法の幅が狭くなっていきます。

税金・管理だけでなく、円滑に処分するためにも早めの対応が大切です。

完了まで60秒!大手不動産会社の売却価格をスピード査定