不動産を売り出し、売買契約を結ぶと、その後におこなわれるのが残金の決済と引き渡しです。
この2つの手続きは同日におこなわれるのが一般的ですが、具体的に何をするのかわかっていない人も多いのではないでしょうか。
「ただ家の鍵を渡すだけでしょ?」と考えている方は非常に危険です。
意外と準備や当日やるべきことが多いので、事前に確認しておきましょう。
この記事では、不動産売却の最後の手続き。決済の流れを解説します。
不動産売却における「決済」とは?
不動産売却における「決済」とは、売りに出した不動産を購入した買主との間で交わした売買契約の内容に基づいて、売買取引完了させる最終段階です。
決済の場では、主に残代金の授受と物件の引渡しが行われます。
ここでは、不動産売却における「決済」の方法や、決済の場所・時間帯について解説します。
決済の方法
不動産売却における「決済」は、現金と銀行振込のいずれかで行われ、どちらの方法で決済を進めるかは、売主と買主との話し合いを持って決定します。
現金での決済を選択するポイント
不動産の現金決済は、買主が事前に金融機関と連絡を取り、必要な現金を用意することが肝要です。
この方法は即時に大きな金額が動くため、双方がその場で清算を確認できる利点があります。
しかし、多額の現金を持ち運ぶリスクも伴うため、決済後は迅速に金融機関で入金処理をするなどの対策が必要です。
現金決済の選択は、資金の準備と安全性の確保が可能であるときに適しています。
銀行振込での決済を選択するポイント
銀行振込での決済は、現金の取り扱いリスクを避け、安全性が高いというメリットがあります。
決済の際は、オンライン送金または金融機関の窓口を利用でき、振込限度額や手数料の問題に事前に対処することが大切です。
送金後の確認が必要なため、決済日のスケジュール管理が重要です。
銀行振込は、買主と売主が金融機関のセキュリティを信頼しており、トラブルを避けたい場合に適した方法です。
決済を行う時に用意する書類
売主と買主は、決済当日までに以下の書類を手元にそろえておく必要があります。
売主が決済当日までに用意する書類
以下は、売主が決済当日までに用意する書類の一覧表です。
【売主が準備する書類】
書類 | 内容 | 取り扱い |
---|---|---|
登記済証・登記識別情報 | 不動産の権利者・データが詳細に記載 | 司法書士へ提出・預ける |
実印 | 実印登録済みの印鑑 | 登記関係の書類に押印 |
印鑑証明証 | 実印登録を証明する書類 | 司法書士へ提出・預ける |
固定資産税納付書 | 不動産にかかる固定資産税が明記 | 税金精算のため、買主と確認 |
公共料金の領収証 | 自宅に届いた電気・ガス・水道料金などの明細 | 引き渡し日で日割り精算するため、買主と確認 |
管理規約・パンフレット・建築確認通知書など | 物件(特にマンション)のルール・利用方法が書かれたもの | 買主へ渡す |
上記8種類の書類は、いずれも決済の場で必要になる書類になります。
また用意する書類の中には、買主や司法書士に渡すものもあるので、忘れずに用意しましょう。
買主が決済当日までに用意する書類
以下は、買主が決済当日までに用意する書類の一覧表です。
【買主が準備する書類】
書類 | 内容 | 取り扱い |
---|---|---|
実印・銀行印 | それぞれ登録された印鑑 | 住宅ローン・銀行振り込み関係の書類に押印 |
印鑑証明証 | 上の印鑑の登録を証明する書類 | 司法書士へ提出・預ける |
住民票 | 登記変更の手続きなどに必要 | 司法書士へ提出・預ける |
決済を行う時、買主は印鑑や住民票、身分証明書の3点に合わせて、売却代金の残代金や固定資産税の分担金、仲介手数料などの資金も用意しなければなりません。
また不動産を住宅ローンで支払う場合、決済の場に現金を持ち込む必要はありませんが、固定資産税分担金や仲介手数料を住宅ローンから支払えるかどうかは融資を受ける金融機関によって変わってきます。
決済が行われる時間帯
不動産取引の決済は、平日の午前中に実施されるのがほとんどです。
この時間帯に決済を行う主要な理由は、もし何らかの問題が生じた場合に、その日のうちに迅速に対処することができるからです。
銀行の業務時間内であれば、振り込みエラーや他の手続き上のトラブルが発生した際にも、速やかに修正や再振込が行えます。
また午前中にトラブルが発生した場合は、午後までに再処理の時間的余裕があり、必要な対応を取ることができる点が大きな利点です。
特に、資金の振り込みを確認するプロセスでは、売主側が口座に入金されたことを確認してからでないと、取引は正式には完了しません。
そのため、午前に行うことで、仮に振込に何らかの問題があった場合でも、その日のうちに解決を図り、入金を確認できる余裕が生まれます。
また、書類に不備があった場合には、修正し再提出するための時間も確保する必要があります。
午前の決済だと、このような状況でも対応可能な時間が残されています。
これらの理由から、決済を午前中に行うことは、効率的かつリスクを低減する上で、実務上の慣行となっているのです。
決済が行われる場所
不動産売却における決済を行う場所は、決済の方法によって決済を行う場所が決定します。
決済方法 | 決済を行う場所 |
---|---|
現金もしくはネット銀行決済 | 不動産会社や司法書士事務所の事務室 |
銀行振り込み | 銀行の一室 |
ここからは、2種類の決済方法を選んだとき、決済を締結させる場所について解説します。
現金もしくはネット銀行決済による決済を選んだ場合
現金決済やネット銀行を使用した決済が選択された際には、通常、不動産会社や司法書士事務所のオフィスで行われます。
これは、プライバシーが保たれると共にセキュリティ面でのリスクを最小限に抑えるためです。
特に現金決済の際には、大きな金額を扱うため、プライバシーが保護された個室で取引を行うのが適切です。
このような場所であれば、双方にとって安心して金銭のやり取りを行うことが可能です。
売主は決済が完了した後、通常はすぐに近隣の金融機関に移動し、現金を預金することになります。
これは現金の取り扱いリスクを軽減し、安全に資金を移動させるためのステップとなります。
銀行振り込みによる決済を選んだ場合
銀行振り込みを利用する決済では、買主は通常、自身が利用する銀行の個室やブースで振り込みを行います。
この理由としては、振り込みを行った際の確認作業がその場でスムーズにできる点が挙げられます。
また、ローンの最終調整など、銀行との細かな連携が必要な場合も同様にスムーズに進めることができます。
銀行内で決済を行う利点は、金融機関の保証のもと、取引の信頼性を高めることにも繋がります。
これらの手続きの調整は、大抵の場合、買主または売主を代表して不動産会社が行うことが一般的です。
決済を行う時の立会人
不動産の売買取引において、決済プロセスは多くの関係者が立ち会う重要な場面です。
主に売主と買主はもちろんのこと、両者の間を取り持つ不動産会社の担当者が中心となります。
加えて、売買に際しては法的な手続きを確実に行うために司法書士の出席も不可欠です。
司法書士は物件の名義変更などの登記業務を行う専門家であり、取引の法的根拠をしっかりと固める役割を果たします。
また、金融機関の担当者も重要な立会人であり、特に買主側の住宅ローンの実行に関わる銀行担当者は、買主がローンを利用して購入する場合には必ず参加します。
ここでの彼らの役割は、残代金の支払いを確実に行い、必要書類が正確であることを確認することです。
売主がまだ住宅ローンを返済中である場合、その住宅ローンを担当していた金融機関の担当者も立ち会うことがあります。
彼らは売主に代わって残債の清算手続きを行うために必要です。
これらの立会人の手配は、主に不動産会社の責任のもとに行われます。
取引の専門性を考慮しても、売主や買主が個別にこれらの立会人を手配する必要はありません。
したがって、取引にあたっては専門知識がなくても、不動産会社のサポートによりスムーズに進行することが可能です。
各立会人は自分の専門領域において、取引が正確かつ円滑に進行するようサポートします。
これにより、取引の当日には安心して臨むことができるのです。
不動産売却の決済・引き渡し当日の流れ
不動産の決済はたった一日でおこなわれるので、事前に流れを確認し、短期間でスムーズに完了させることがおすすめです。
当日の流れは、以下の通りです。
- 本人確認と書類の確認
- ローン融資を買い手がおこなう
- 税金などの精算
- 売り手から買い手へ領収書の発行
- 仲介手数料の支払い
- 司法書士への報酬支払い
- 売り手のローン返済手続き
- 抵当権の抹消登記完了
- 鍵や重要事項説明書などの引き渡し
複雑な手続きではありませんが、これだけの異なる作業を一日でおこなうのは割と大変です。
この流れを不動産決済の前に学んでおくとスムーズですし、業者の指示通りに動き、後で不安になるということがありませんよ。
1.本人確認と書類の確認
決済をおこなう上で一番初めの手続きです。
まず、契約室に集まった人が売り手本人であるかの確認をおこないます。
同席しているのが顔なじみの業者であっても、必ず本人証明が必要なので注意しましょう。
住民票、印鑑登録証明書を持っていくことをおすすめします。
2.ローン融資を買い手がおこなう
書類の確認などが終わると、次に買い手が融資を受けます。
つなぎ融資、住宅ローンを申し込み、お金が下りれば、売り手に残金を支払い、全代金の振り込みが完了します。
3.税金などの精算
代金の支払いが完了すると、次におこなわれるのが精算です。
不動産売却における精算とは、税金や管理費など、引き渡し日を境に払い手が変わるわけではない費用を日割りなどで計算し、分割負担する作業です。
トラブルになりやすい作業でもあるので、売り手が全額支払いをすることもあります。
4.売り手から買い手へ領収書の発行
精算が終わると、売り手名義で買い手へ領収書を発行します。
この手続きに関しては、業者、銀行担当者にきいておこなうのがおすすめです。
5.仲介手数料の支払い
仲介手数料は、不動産の売買契約が成立した段階から支払いの義務が発生します。
一般的には、契約から決済までの1.5か月で分割返済するのが一般的です。
6.司法書士への報酬支払い
前述の通り、自分が指定した司法書士でなくても、報酬を支払わなければいけません。
司法書士によっては報酬値下げのサービスなどをおこなっているケースもありますが、相場としては10万円ほどとなっています。
7.売り手のローン返済手続き
買い手から代金を全て支払ってもらったら、最後に売り手が残ったローンを完済します。
ローンが残ったままだと買う方も困ってしまうので、必ず支払えるように貯蓄と合わせた資金計算をしっかりおこないましょう。
引き渡し日に支払いができれば問題はありませんが、万全を期すためになるべく早く完済することをおすすめします。
8.抵当権の抹消登記完了
ローンを完済した後に必ずすべきなのが、抵当権の抹消登記です。
抵当権とは、ローンを借りている不動産に対してつけている担保です。
期限内に支払いがおこなわれなかった場合、抵当権を発動し、物件を競売に出すことが可能です。
この抵当権は、ローン完済後も手続きをしないと外れないので注意が必要です。
登記簿謄本に抵当権の有無も記載されているのでチェックしておきましょう。
9.鍵や重要事項説明書などの引き渡し
ここまできて、ようやく鍵と重要書類の引き渡しをおこないます。
ただ、もちろん鍵の引き渡しは自由にやって良いわけではありません。
特にマンションやアパートの場合は、管理会社に連絡をしておく必要があります。
重要事項説明書は、売買契約書や登記簿謄本に記載がないような情報も載っている書類です。
マンションを例に出すと、ポストの暗証番号、管理費の額、ペット飼育の有無、同棲は可能かといった規則が物件ごとに設けられています。
重要事項説明書は、そんな規則の全てが載っている書類です。
売買契約書と同じくらい重要なものなので、必ず引き渡しをおこないましょう。
不動産売却の決済で支払う費用リスト
不動産売却の最後の手続きである決済では、以下の金銭のやり取りがおこなわれます。
【買主→売主へ支払い】
- 代金の残り
- 固定資産税・都市計画税の清算金
売買契約時に、買主は売主へ不動産代金の一部を支払いますが、その残りは最後の決済時に全て支払われます。
また、不動産を1月1日に所有していたものに1年間、固定資産税・都市計画税が課されますが、これは引き渡し日を境に精算されます。
5月1日に引き渡しをおこなった際は、売主が4ヶ月分の税納付を、買主が8ヶ月分の税納付をおこなうということです。
【売主が支払い】
- 住宅ローンの返済金(一括返済)
- 仲介手数料の半金
- 司法書士の報酬
不動産売買における決済・引き渡しにかかる時間
決済・引き渡しは、上記の流れをだいたい1時間程度でこなします。
前述の通り決済をおこなうのは銀行や不動産会社などが主ですが、担当者が本業を優先すれば、その分だけ長い時間がかかるので注意しましょう。
不動産会社は、春先や秋口などの入社・転勤が多い時期が繁忙期となるので、できればこの時期は避けたいところです。
次に銀行ですが、ゴトー日と呼ばれるゴ(5)とトー(10・20・30日)のつく日は季節にかかわらず混雑が予想されます。
平日の早い時間におこなわれるのが一般的
決済・引き渡しは不動産会社や銀行の営業日におこなわれるので、平日が一般的です。
また、全ての手続きを1日で済ませるので、万が一ミスが起きたときも対処できるように午前中など早い時間からはじめることが多いです。
売主本人が仕事で行けない場合は、配偶者などが代理人となって手続きするのも可能ですが、この際には代理の申請や、売主・代理人2人分の身分証明書や実印が必要となります。
意外と時間のかかる作業なので、売主本人が出席するか、誰かに代理を依頼するか早めに決めておくようにしましょう!
不動産売却の決済当日までに売主が済ませておくこと
不動産売却の際、決済当日にスムーズに事を運ぶためには、売主がいくつかの準備を整えておく必要があります。
これらの手続きを怠ると、最悪の場合、決済が延期となるリスクがあります。
ここでは、決済をスムーズに行うため、売主が当日までに済ませておくことを4つ紹介します。
抵当権抹消の準備
決済を前に不動産に設定されている抵当権を抹消するための手続きの準備を済ませましょう。
これは住宅ローンの残債を売却代金で完済するケースにおいて特に重要で、金融機関から必要な書類を受け取るまで数週間を要することもあります。
早めの行動で、書類が決済日までに整うようにしましょう。
所有権移転登記の準備
不動産の所有権を正式に移転するためには、所有権移転登記が必須です。
登記手続きは複雑なため、信頼できる司法書士に依頼するのが一般的です。
登記するためには、売主と買主の合意のもと、必要な書類を集め、手続きを進めなければなりません。
書類は事前に確認し、不備がないように準備しておくことが大切です。
隣地境界線の明確化
土地取引においては、隣接地との境界線の明確化が大切です。
土地家屋調査士に依頼し、「確定測量」を行い、実測図を作成してもらうことで明確になります。
なお、「確定測量」は、調査士と隣地の所有者立ち会いのもと行う必要があり、隣地所有者との日程調整も行う必要があります。
登記を依頼する司法書士の選定
司法書士は不動産売却における登記業務を担当する重要な役割を持っています。
通常、買主や不動産会社が司法書士を指定しますが、売主が指定することもありますので、事前に確認しておくべきです。
新居への引っ越し準備
もし売却物件にまだ居住している場合は、決済日までに引っ越しを完了させておく必要があります。
所有権が移転するため、物件を引き渡せる状態にしておくことが大切です。
また、電気やガスといったライフラインの契約解除も忘れずに行いましょう。
これらの準備は、取引の信頼性を保ち、両当事者間のトラブルを避けるためにも欠かせません。
不動産売却の決済時に気を付けること
不動産決済時には、次の点に気を付けましょう。
- 決済日程の確認
- 必要書類の準備
- 決済代行業者とのコミュニケーション
不動産決済時にはいくつか手順があるので、失敗しないように気を付けましょう。
以下にそれぞれの注意点を解説します。
決済日程の確認
売却決済の日程は、売買契約書に記載されています。
日程を再確認し、自分のスケジュールと合致していることを確認しましょう。
また他の関連する手続き(例えば、新しい住居への引っ越し)との調整も考慮しておくと良いでしょう。
適切な準備と調整を行うことで、スムーズな決済プロセスを進めることができます。
必要書類の準備
売却決済には、登記簿謄本・固定資産税評価証明書・印鑑証明書・身分証明書など、多くの重要な書類が必要です。
決済時の書類は全て揃え、内容が正確かどうか確認する必要があります。
提出期限を遵守し、書類の紛失や遅延を防ぐためにも適切な保管と管理も重要です。
決済代行業者とのコミュニケーション
不動産売却の決済は、専門的な知識を持つ司法書士や弁護士などの決済代行業者が行います。
彼らとの良好なコミュニケーションを保つことが重要で、決済の進行状況を定期的に確認し、不明な点があればすぐに質問することが求められます。
積極的なコミュニケーションは、問題の早期発見と解決に役立つので間違えないように気を付けましょう。
不動産売却の決済で発生するトラブルの対処方法
不動産売却における決済の場では、度々トラブルに見舞われるケースがあります。
ここでは、決済の場で発生するトラブルとその対処方法について解説します。
引き渡しの遅れ・契約内容との相違によるトラブル
不動産売却において、契約内容に基づく引き渡し日の遅れが発生する場合、透明性と予測可能性を確保するため、早急に売り主、買い主、仲介者が連絡を取り合い、状況を共有することが重要です。
登記や境界確定作業が原因で遅れが生じることがあるため、時間に余裕を持たせたスケジューリングが望ましいです。
また、特に住宅ローンの申請と結果待ちの時期は、買い主と密にコミュニケーションを取り、事前に可能な遅れを伝えておくべきです。
振込手数料をどちらが負担するかで発生したトラブル
振込手数料の負担を巡るトラブルは、取引の進め方によって発生し得ます。
現金取引であればこの問題は避けられますが、銀行振込を利用する場合、通常は振込を行う側が手数料を負担するのが一般的です。
ただし、双方の合意が取れていれば、出金伝票と入金伝票を適切に利用することで手数料なしで資金を移動させる方法もあります。
事前に明確な合意を形成することで、このようなトラブルを避けることができます。
登記簿に記入した住所を変更した時のトラブル
所有権移転登記を進める際に、登記簿上の住所が現在の住所と異なっているとトラブルの原因になります。
売却の際には、現在の住所と登記簿上の住所が一致しているかを確認し、異なる場合は事前に住所変更登記を行う必要があります。
このプロセスには司法書士が関わることが多く、事前に関係者に通知して適切な対応を取ることが肝心です。
住所変更が必要な場合は、売却プロセスがスムーズに進むよう、早めに手続きを行うことが推奨されます。
不動産売却における決済に関する質問
ここでは、不動産売却における決済を行う前に解決しておきたいことを質問形式で解説して行きます。
不動産の決済の仕方は?
不動産の決済方法には主に「銀行振込」と「現金手渡し」の二つがあります。
どちらを選択するかは売り主と買い主が事前に話し合って決めます。
セキュリティと便宜を考慮して、多くの場合、銀行で行われる銀行振込が選ばれます。
銀行振込を選択する際は、資金のクリアリングが必要なため、決済日は銀行の営業日に設定されます。
一方、現金手渡しを選んだ場合、通常、銀行の契約室や不動産会社の事務所で行われ、双方の安全性と即時性を確保するための措置が講じられます。
不動産の決済の流れと時間は?
不動産売却の決済プロセスは、通常、売買契約締結後1か月以内に設定されることが多く、手続きは約1時間から2時間程度を見込むと良いでしょう。
決済日は、銀行が開いている平日の営業時間内、特に住宅ローンを利用する場合は午前中に始めるのが一般的です。
この時間内に、双方が必要書類を確認し、お金の受け渡しを行い、所有権移転登記の手続きに必要な書類を交換します。
すべての手続きが無事完了すれば、物件の鍵の引き渡しが行われ、これにて不動産の売買決済は終了します。
各ステップで正確性を期すためにも、経験豊富な司法書士や不動産会社の専門家の立ち合いが必要です。
決済に必要な書類を忘れてしまったら?
不動産取引の決済時に必要な書類は、取引を正式に完了させるために欠かせないものです。
それぞれの書類がない場合、手続きは停滞し、場合によっては再度予定を調整しなければならないこともあります。
実印・印鑑証明書を忘れてしまったら
実印と印鑑証明書は登記手続きに不可欠です。
もしこれらを忘れた場合、自宅まで取りに戻るか、家族に持ってきてもらうようにしましょう。
また、印鑑証明書は発行後3ヶ月以内のものを用意しましょう。
登記識別情報通知・固定資産税等納税通知書を忘れてしまったら
権利証に相当する登記識別情報通知を忘れた場合、同じく手続きを進めることは不可能です。
この書類も印鑑同様、自宅にあるならば、取りに戻るか誰かに取って来てもらうことが必要です。
固定資産税の納税通知書は分担金の計算に必要とされますが、これがなくてもその場で計算は可能ですが、正確な情報に基づく計算のためには持参することが望ましいでしょう。
仲介手数料を忘れてしまったら
仲介手数料に関しては、支払予定の額を忘れた場合、即座に対応が必要です。
支払いの割合やタイミングは不動産会社によって異なるため、決済前にはきちんと確認し、準備しておくべきです。
残代金から支払う計画であれば、特に資金計画を見直す必要があります。
不動産売却は多額のお金が動く!決済こそ慎重におこなうべし
販売活動や内覧も不動産売却においてかなり重要な手続きですが、「絶対にミスをしてはいけない手続き」は、売買契約と決済です。
多額のお金が動く手続きは、結果に関係はありませんが、一歩間違えると大損につながります。
詐欺がおこりやすいのもこの2つの手続き時です。
事前に売買者でルールを決めておけばトラブルが起こるリスクは抑えられますが、それでも小さなトラブルはやはり起きてしまうので、当日にどう振る舞うべきかのシミュレーションはしっかりおこなうようにしましょう。
たとえば、銀行振り込みでかかる振り込み手数料は、数百~数千円程度ですが、どちらが負担をするかで揉めることも少なからずあります。
売り手からすれば、ここまで来て買い手に拒否をされてしまったら利益を得ることができないので、多少の損失は我慢したほうがメリットは大きいですよ。
勢いに呑み込まれず冷静に手続きをしよう
人生の中で、ここまで巨額のお金が動く場に出席したことのある方はほとんどいないでしょう。
だからこそ、慣れない場に出席して緊張をしてしまうかもしれません。
特に決済は立会人も多く、専門用語も多く飛び交う中で手続きが進行していきます。
はじめて不動産売却をする人などは勢いに呑まれ、わからないことがあってもそのままにしてしまうでしょう。
ただ、ここでわからないことを放っておくと、後々トラブルに巻き込まれてしまいます。
いくら初歩的な質問でも恥ずかしがらずに全て聞くようにしましょう。