ペットと一緒に暮らすことは、人を豊かにしてくれることでしょう。分譲マンションであっても小型犬や猫を飼える物件は増えています。
しかし、マンション売却の面から見ると、ペットを飼っていたことはマイナスに考えられてしまいます。今回はペットとマンション売却についてまとめてみたいと思います。
※マンションの査定・売却の流れ・コツはこちらに詳しくまとめてあります!
ペットを飼っていたかどうかはマンションの査定額に直接影響しない
良く「ペットを飼っていたマンションは査定額が低い」と言われますが、これは別にペットを飼育していたことが価格低下の理由ではありません。
ペットを飼うと部屋の汚れや傷が増えてしまうので、結果的に査定額が下がってしまうという理屈です。
つまり、ゲージで飼える小型動物を飼育している場合や、傷つかないよう保護をしっかりしていた場合は価格へ影響することはありません。
ペットを飼っていたマンションの査定額が下がる主な原因
ペットを飼っていたマンションの査定額が下がる場合、どんな要素が価格に影響を与えてしまうのでしょうか?
主な原因を紹介していきます。
➀犬・猫のひっかき傷が残ってしまう
壁やフローリングにペットのひっかき傷が残っている場合、価格は下がってしまいます。
動物は普段から爪をむき出しで生活しているので、犬や猫を放し飼いにしていれば自然と傷はついてしまいます。
最初は小さい傷でも、だんだん大きくなってフローリングがめくれたりすることがあります。
②特有の臭いが染みついてしまう
犬や猫が発する独特の臭いは、いくら毎日洗っていても完全に消えることはありません。
壁やクロスに臭いが染みつき、取れなくなると価格が下がってしまいます。
長年ペットと一緒に暮らすと鼻が慣れてきて特に意識しなくなりますが、初めて訪問する内覧希望者はより強く臭いを感じるので、売主が思っているよりも大きな影響があります。
③悪いイメージを与えてしまう
ペットを飼っていたマンションへ持つイメージとして、「ダニやノミが多い」というものがあります。
今だとペットのケアも進化しており、ダニ・ノミが発生するケースは少なくなっていますが、根強いイメージによって需要が下がる可能性は十分あります。
また、動物アレルギーの人がいる世帯だと、症状がでなくても「前に犬・猫が住んでいた」というだけで敬遠される可能性があります。
④物件の需要層の制約
ペットを飼うことができる物件を求める需要層は限定的であるため、ペットを飼うことを許可しない物件よりも需要が制約される場合があります。
その結果、買い手が減少し、売却価格に下がる可能性があります。
ペット可の物件よりもペット禁止の物件が多いのも以上の理由からです。
⑤維持管理費や修繕積立金の増加
ペットを飼うことにより、マンション内での維持管理や清掃に追加の負担が生じる場合があります。
例えば、共用施設やエントランスの清掃や、ペットによる傷や汚れの修繕が必要になるかもしれません。
これにより、維持管理費や修繕積立金が増加し、購入意欲や売却価格に影響を与える可能性があります。
⑥潜在的なトラブルや不快感への懸念
一部の購入希望者は、ペットを飼っている隣人からの騒音や臭いなどに対する懸念を抱くことがあります。
ペットによるトラブルや周囲への不快感を避けるため、購入意欲が低下し、売却価格が下がる可能性があります。
ペット可のマンションとペット共生型マンションの違い
多くの方は、「ペット飼育可」と記載されているマンションでペットを飼っています。
これは簡単に説明すると「基本的は人が暮らすマンションだけど、ペットを飼っても問題ない」という性質のマンションです。
特にペット仕様にはなっていないので、傷がつきやすく、臭いも吸収しやすいです。
一方、ペット共生型マンションとは最初からペットと暮らすことを想定したマンションになります。
床やクロスに傷つきにくい加工がされており、防臭設備も設置されています。
こうしたマンションはペットを長年飼っても価値が下がりにくいですし、購入希望者も理解のある方が多いです。
ペット不可のマンションでこっそり飼っていた場合はどうすれば良い?
管理規約でペット不可になっているマンションで動物を飼っていた場合、いざ売却する際にどう対応すれば良いか迷ってしまいますよね。
大きな声では言えませんが、今はペットを飼っておらず、痕跡も残っていないのであれば特に告知をする人は少ないと思います。
ただ実際は、動物を飼ってしまっていたことは正直に不動産会社へ告知することをお勧めします。
なぜかというと、動物を飼っていないはずのマンションで万が一動物のひっかき傷が見つかったら、害獣の存在を疑われて高いコストのかかる調査が大々的に実施されるかもしれません。
その後に結局ペットを飼っていたことが発覚したら、詐欺罪で賠償請求される可能性があります。
ペットを隠しておくとどんどん大ごとになるリスクがあるので注意しましょう。
ペットを飼っているマンションをスムーズに売るための準備
ペットのいるマンションを高く早く売るには、まず気になる部分の対策をするのがおすすめです。
売る前にやっておきたい準備を、手順に沿って紹介していきます。
➀壁(クロス)を修繕する
壁面のクロス素材に傷がついて剥がれそうな場合は、瞬間接着剤を使って補強していきましょう。
穴が空いている箇所には、同じ素材・色のクロスを切って貼り付けて目立たなくします。
完璧に違和感なく仕上げることはできませんが、空気が入らないように丁寧に貼ることで意外と自然な見映えになります。
②床(フローリング)を修繕する
フローリングの剥がれた部分は、クロスと同様に瞬間接着剤を使って補強します。
傷がむき出しになっている部分は補修用の木目調テープを貼れば、目立たなくなります。
その他にも、空いた穴を埋める補修材を使うケースもあります。
③臭いを除去する
部屋に染みついてしまった臭いは、特にカーペット・ソファ・カーテンなどの布製品に付着しやすいので、内覧前に取り換えることをおすすめします。
消臭クロスに張り替える
壁のクロスを臭いが付きにくいものに張り替えることで、ペットの臭いが染みつくのを防ぐことができます。
マンションの壁紙を張り替える際は、リフォーム業者などに依頼するケースが多いです。
張替え費用は業者によっても異なりますが、一般的な費用は3万3,000円(クロス費)+2万2,200円(工事費)=5万5,200円(税抜き)くらいになります。
張替え費用は部屋が広くなるほど上がっていくので注意が必要です。
面積 | 張替え費用(総額) |
---|---|
6帖/40㎡まで | 47,800円 |
7帖/43㎡まで | 51,800円 |
8帖/48㎡まで | 57,800円 |
9帖/51㎡まで | 62,800円 |
10帖/54㎡まで | 69,800円 |
すでに臭いが染みついてる場合はハウスクリーニングがおすすめ
すでに臭いが染みついてしまってる場合、消臭剤などで臭いが取れたつもりでも、後からジワジワ復活してくることがあります。
個人がどうにかして対応できる範囲じゃないと判断したら、ハウスクリーニング業者に頼んでしまうのがおすすめです。
消臭剤散布・オゾン脱臭・床剥離などによって、臭いを根本的に解消してくれます。
ペット臭の消臭を依頼した場合の料金相場は以下の通りです。
床面積 | 費用(税別) |
---|---|
20㎡(約6畳) | 40,000~140,000円 |
40㎡(約24畳) | 60,000~210,000円 |
80㎡(約50畳) | 100,000~350,000円 |
大規模なリフォームは逆効果なので要注意
大規模なリフォームをおこなえば、ペットの悩みは根本的に解決できます。
ただ、売却のためにリフォームをおこなうのはおすすめできません。
なぜなら、たとえ1,000万円かけてリフォームをしても、価格が1,000万円以上になる訳ではないからです。
また、中古マンションを購入する人は自分で好き勝手にリフォームをする前提でマンションを探しているので、売主がするリフォームは邪魔でしかないのです。
高い費用をかけて逆効果という最悪のケースに陥る可能性があるので、特別な事情がない限りはリフォームを控えましょう。
ペットを飼っているマンションを高く売るコツ
売却前の準備に関して説明しましたが、いざ売却をする際にも抑えておきたいコツが存在します。
ここからは、ペットに悩む売主にぜひ実践して欲しいポイントを紹介します。
同様のケースで実績のある不動産会社へ依頼する
ペットを飼っていたマンションを売るというのは意外と特殊な状況で、特有の問題が発生しがちです。
そのため、過去に同様の物件を売った経験のある不動産会社に依頼をすれば、問題を理解していてスムーズに事が運ぶ可能性が高いです。
ここで重要なのが業者探しですが、1社ずつ相談するよりも不動産一括査定サービスを利用して一気に依頼をするほうが、スピーディに業者を比較できるのでおすすめです。
ペットが飼えることを強調してPRする
ペットの飼えるマンションはデメリットもありますが、これからペットを飼いたい方にとっては大きな魅力です。
通常、物件広告にはペット飼育の有無は小さくしか書かれていないので、より強調してもらっても良いでしょう。
内覧時にもペットの飼育を想定した場合の物件の良さや、近くに良い散歩コースがあることなどを話していきましょう。
内覧前にペットを預ける
マンションを売る際に最大の関門となるのが内覧です。
内覧の前はめいっぱい換気をして、水回りなども丁寧に掃除しておく必要があります。
この時にペットがいると邪魔になりますし、内覧希望者が訪問した時もペットが放し飼いにされていたら集中して見学できません。
内覧前には知り合いや施設に預けておくことをおすすめします。
マンションをいずれ売る可能性も考えてペットを飼おう
最近では「売れる不動産を買え」という言葉があるように、一生住む予定の物件だとしても、売れるものから選ぶのが主流になっています。
生活をする際も同様で、いずれ売る可能性を考慮してペットのケアをしていく必要があります。
現に今、劣化した不要なマンションがいつまで経っても売れず、高額な固定資産税を支払い続けている方は大勢います。
こうした状況に陥らないためにも、日頃から注意をしておきましょう。