不動産を売却する際は、所有権移転登記という手続きをしなければいけません。
ただ、ほとんどの方が所有権移転登記というものの実態を知らないはず。
それって難しいの?お金がかかるの?など、不安な点も多々あることでしょう。
今回は、不動産売却で必要な所有権移転登記とは一体なんなのか。その内容と手続きの流れを説明していきます。
所有権移転登記とは?
不動産を売ると、所有権が売主から買主へと移ることになります。
この時、登記簿謄本を管理している法務局(登記所)に、キチンと移転したことを申請しなければ、所有権が移転したと公的には認められません。
登記所に所有権移転を申請する一連の手続きを、所有権移転登記と呼びます。
2020年のオリンピックまでは不動産取引の需要が高まっており、政府発表の統計を見てもその数は年々高まっています。
所有権移転登記の意義
所有権移転登記をする意味は、不動産の所有関係を明確にするためです。
ただ、親から物件を相続した際などに、必ず所有権移転登記をする必要はありません。
登記上の更新が何十年も途絶えていたことから、地面師が容易に詐欺を働きやすくなり、巨額事件が起こった事例もあります。
ただ、相続時に手続きをしなくても、特別ペナルティのようなものは発生しません。
一方、不動産売却では必ず登記上の所有者が主体となって取引をしなければいけません。
正式な所有者以外の人が勝手に売却できることが認められれば、皆が好き勝手に他人の家を売れることになってしまうためです。
そのため、不動産売却の前は、必ず所有権移転登記が必要になります。
所有権移転登記をおこなうタイミング
不動産を売り出していき、購入希望者が見つかると、売買契約を結んでいきます。
売買契約を結んでから、実際に物件を引き渡すまでには約1.5か月の期間が空くのが一般的です。
これは買主の住宅ローン審査が終わるのを待つ期間ですが、この間に所有権移転登記などの手続きも進めていきます。
不動産取引時に所有権移転登記が必要なケース
売買時
不動産売買を行う際は、売主と買主で所有権の移転登記が必要となります。
所有権移転登記をおこなうことで、正式に所有者の移転が完了します。
一般的には、司法書士に依頼をして登記作業をおこなってもらうことで、トラブルを回避できます。
贈与時
不動産を生前贈与する際も、所有権移転登記は必要となります。
贈与時に所有権移転登記をおこなわないと、将来的に関係が証明できず、トラブルになる恐れがあります。
相続時
相続時も、所有権の移転(相続登記)が必要です。ただし、相続登記は相続後すぐにおこなう義務はないため、相続人によって放置されているケースも少なくありません。
こうした状況を防ぐために、2024年4月1日からは相続を知った日から3年以内に登記をおこなうことが義務化されます。
離婚時
離婚によって夫婦の共有名義を片方の名義に整理する場合も、所有権移転登記が必要になります。
片方が物件を所有し続ける場合、所有権を放棄する方は持分の割合×現在の資産価値分の現金を受け取るのが一般的です。(財産分与)
不動産売却時の所有権移転登記の流れ
所有権移転登記はどのように進んでいくのでしょうか?
意外と知らない人が多い所有権移転登記の流れを、手順に沿って詳しく解説していきます。
【Step1】必要書類・費用を準備する
所有権移転登記は一般的に司法書士に主な手続きを依頼するようになります。
ただ、この時に依頼料・報酬と提出書類の準備をしていかなければいけません。
直前で一式揃えようとするとミスが起こるので、売却中から少しずつ集めておくようにしましょう。
【Step2】司法書士に依頼をする
所有権移転登記の手続きを、司法書士に依頼します。
依頼する司法書士は仲介業者に紹介してもらうことも、自分で複数の司法書士を比較して選ぶこともできます。
多くの方は紹介された司法書士にそのまま依頼をしていますが、これだと実はお得な司法書士事務所を見逃してしまっている可能性が高いです。
少しでもお得に依頼をしたい場合は、手間がかかっても自分で司法書士事務所を探して回ることをおすすめします。
【Step3】司法書士に相談する
依頼する司法書士が見つかったら、実際に来所をして所有権移転登記について相談をします。
短期間の相談なら無料で対応してくれる司法書士も多いですが、相談時間が長引くと相談料が請求されるケースもあるので注意しましょう。
【Step4】所有権移転登記の実施・報酬の支払い
契約をしたら、実際に司法書士へ所有権移転登記の手続きをしてもらいます。
手続きが完了するまでには結構時間がかかることも多いので注意しましょう。
手続きが完了したら、報酬を支払って完了となります。
所有権移転登記にかかる費用
登録免許税
所有権移転登記にかかる費用として代表的なのが、登録免許税です。
登録免許税は、土地の場合と建物の場合で異なる計算が使用されます。
土地の場合は、下記のようにケースに応じて計算式が変わります。
- 売買の場合:固定資産税評価額×2%(軽減税率1.5%は2023年3月31日まで)
- 相続、法人の合併、共有分割の場合:固定資産税評価額×0.4%
- 贈与、遺贈、競売などの場合:固定資産税評価額×2%
建物の場合は、固定資産税評価額×税率(0.4%)で登録免許税を計算します。
書類の準備費用
所有権移転登記に必要な書類を用意する上で発生する費用もあります。
必要な書類は状況によって異なりますが、相続の場合は相続人の小関謄本や除籍謄本、住民票の除票など、合わせて1,000円~2,000円程度の費用が発生します。
司法書士への依頼料
所有権移転登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、依頼料がかかります。
依頼料は司法書士事務所ごとに設定されていますが、一般的には2万円~4万円ほどが相場です。
所有権移転登記の必要書類
所有権移転登記では、売買時の売主と買主、または相続時でそれぞれ必要になる書類がことなります。
ここからは、所有権移転登記で提出が必要になる書類の内容と、取得にかかる費用を紹介していきます。
不動産売買時に売主が用意する書類
書類名 | 取得費用 |
---|---|
不動産売買契約書 | – |
登記識別契約書・登記済証 | – |
印鑑証明書 | 約300円 |
資格証明書 | 約500円 |
固定資産税評価証明書 | 約400円 |
不動産売買時に買主が用意する書類
書類名 | 取得費用 |
---|---|
住民票 | 約300円 |
資格証明書 | 約500円 |
相続時に被相続人が用意する書類
書類名 | 取得費用 |
---|---|
登記原因証明情報 | – |
住民票 | 相続人1人につき約300円 |
戸籍等 | 数千円 |
固定資産評価証明書 | 約400円 |
所有権移転登記は事前に仲介業者に相談しよう
所有権移転登記を成功させるには、不動産会社選びが大切になります。
不動産会社との契約の中には、販売営業を代行するというものの他に、登記などの相談にしっかり乗ってくれるかどうかというのも含まれてきます。
ただ、どの不動産会社も所有権移転登記に関して詳しい知識がある訳ではありません。
不動産売却のスキルがある他、税金・権利関係の知識もあり、トータルサポートをしてくれるというのが良い不動産会社の特徴になります。