マンションの売却が成功するかどうかに大きく関係するのが築年数です。
あまりにも古いと設備の劣化や耐震性が心配ですし、逆に新しすぎると「何か売り出さなければならない事情があったのではないか」と心配されてしまいます。
マンションが古すぎても新しすぎてもデメリットがあるので、築10年前後の物件が最もバランスが良いといわれていますが、その分ライバルも多いので注意をしましょう。
この記事では、築10年前後のマンションを売却するためのコツ・注意点を解説します!
※マンションの査定・売却の方法・コツに関しては、こちらでも詳しく解説しています!
売却に出されているマンションの多くは築10年前後
前述の通り、ネット検索をしてみると築10年前後のマンションはかなり多いです。
このように感じる理由は2つあり、1つは価値が下がり切る前に売り出したいという人が多いからです。
マンションの場合、築10年経った段階で20~25%、20年経つと50%ほど価値が減少すると言われているので、利益を得たいと考えた売り手は最低でも10年以内に売却しています。
もう1つの理由は、不動産業者が10年以内のマンション情報を優先的に公開しているからです。
特に自社のホームページで物件情報を公開している業者は、売れそうな物件から広告を打っている可能性が高いです。
築年数別のマンション売却価格の推移
マンションの売却価格は、築年数の経過によって落ちていきます。
築年数 | ㎡単価 | 価値減少率 | 平均価格 | 平均面積 |
---|---|---|---|---|
~5年 | 7437万円 | 100% | 4895万円 | 65.81㎡ |
6~10年 | 6117万円 | 82.2% | 4243万円 | 69.37㎡ |
11~15年 | 5646万円 | 75.9% | 3159万円 | 67.61㎡ |
16~20年 | 4673万円 | 62.8% | 3159万円 | 67.61㎡ |
21~25年 | 3155万円 | 42.4% | 1899万円 | 60.19㎡ |
26~30年 | 2997万円 | 40.3% | 1670万円 | 55.74㎡ |
31年以上 | 2979万円 | 40.1% | 1678万円 | 56.33㎡ |
【出典】「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」東日本不動産流通機構(2016)
成約したマンションの平均価格を見れば、築30年前後で売却価格が3,000万円ほど下がっていることが分かります。
築年数別のマンション売却のコツ
必ずしも築年数が浅いうちに売却すれば良い訳ではありません。
中古マンションの中でも築年数によってニーズが異なるので、売却前にチェックをしておきましょう。
築5年までのマンション
築5年までのマンションは新築に近い価格で売却が可能です。
売り出し価格を高めに設定しても、人気のエリアなら2か月ほどの早期で売り切れる可能性が高いです。
ただ、相場価格が高くても満足のいく結果を見込めるかどうかは別問題です。
より良い結果を見込みたいのであれば、不動産会社選びから徹底しておこなう必要があります。
築10年までのマンション
築10年までのマンションも状態はまだまだ良いですが、築5年前後に比べると価値は落ちてしまいます。
ただ、中古マンションを探す人は新築よりリーズナブルな物件を探していることが多く、築10年くらいのほうが需要の高いケースもあります。
不要なマンションでも損しないためには10年くらい住み続けるのが良いとされており、そういった意味でもおすすめの築年数です。
築15年までのマンション
築15年くらいのマンションは大規模修繕の有無によって価格が変化しやすいです。
- 修繕前の場合:価格が低い
- 修繕後の場合:価格が高い
大規模修繕前に引き渡すと、修繕積立金の支払いは買主がおこなわなければいけなくなります。
一方、修繕後に引き渡せば次の修繕まで時間がありますし、コストも安くて済むので買主に喜ばれます。
築20年までのマンション
築20年くらいになると、メンテナンスの有無や使い方の違いで結構な状態の差が生まれます。
また、特例控除もだんだん利用できなくなるので、できるだけ早期に売ることをおすすめします。
築30年までのマンション
築30年くらいのマンションは、たとえ状態が良くても敬遠されることが多くなってきます。
特に旧耐震基準で建築されている場合は、売れる望みはかなり薄いと考えて良いでしょう。
こうしたマンションの仲介売却は難しいので、不動産会社に直接買い取ってもらうといった対応が求められます。
2021年こそ築10年のマンションを売るべき理由
新型コロナウィルスの感染拡大が大きなニュースになっている2021年ですが、実は築10年のマンションを売却するには最適なタイミングと言えます。
上の表を見てわかるように、10年前の2011年はちょうど東日本大震災によってマンション価格が下落したタイミングと重なります。
つまり、この時期にマンションを購入した方はかなりの安値で購入できている可能性が高いのです。
その後、五輪特需や景気回復、震災復興などが重なって相場は右肩上がりで上昇しており、2021年もかつてほどではありませんが上昇基調となっています。
こうしたケースの場合、築年数が10年経過して価値を落としている分を総合しても、購入価格より売れる可能性は高いです。
また、金融緩和の影響で住宅ローン金利が最低レベルを更新し続けており、購入需要が高いタイミングでもあります。
これらを総合すれば、2021年は売却のチャンスと見ることができます。
築10年のマンションをPRするコツ
前述のように、業者の中では優先的に扱ってくれるかもしれない築10年前後のマンションですが、最終的には他業者の仲介物件との競争となるので、必ず早期に売れるというわけではありません。
また、売却市場には築10年前後の物件が非常に多いので、5年以内などの超・築浅マンションでなければ築年数をアピールしても効果がありません。
付帯している特典や、地域の利点などの付加価値を見つけ、積極的にPRしていくことが必要となります。
耐震性が高いマンションの需要が増加
東北や熊本で大地震がおきたことを受け、耐震性の高い物件の需要は最近、特に増加しています。
建物の耐震基準は大地震がおこる度に改正されており、2017年時点で築10年のマンションであれば新潟中越地震後の改正が適応されています。
東日本大震災(2011)や熊本地震(2016)の時も、こうした築浅のマンションが揺れにより倒壊した事例(津波の被害を除く)は極めて少なかったので、かなり大規模な地震が将来おこったとしても、ある程度は安心ですよ。
首都圏や東海地方など、今後、地震の発生が予測されている地域の物件なら、耐震性をPRすることはより効果的です。
壁紙や庭先の汚れが勝負をわける
とはいえ、マンションは家などに比べてそこまで個性的な物件というものは少ないですし、サービスや保証なども似たりよったりになりがちです。
そのため、売却するマンションを他よりも良く見せる努力をすることが必要となるのですが、最も手っ取り早い方法が清掃の徹底です。
特に壁紙の黄ばみなどは、早めに改善しておいた方が良いでしょう。
小さい部分に思えるかもしれませんが、意外と物件選びの決定打になり得る要素なので、長年住んでいて気付かないようなところも、客観的に見て汚いと思ったらしっかり清掃しておきましょう。
築10年のマンションを売却する際の注意点
築10年前後ならまだ大きな価値の下落は起こっておらず、高く売れる見込みがあります。
ただ、マンション売却の結果は築年数だけで決まるのではありません。
ここからは、築10年のマンションを売却する前に抑えたいポイントを解説します。
特殊な間取り・様式は売れにくい
マンションの様式はだいたい10年スパンでガラッと変わることが多いです。
例えば一昔前のマンションによくあった押し入れ・ロフト・和室などは2021年現在のトレンドとは全く違ってしまっています。
こうしたトレンドのズレがあると、状態の良いマンションでも売れにくくなるので注意が必要です。
設備の移り変わりに注意
ここ10年で住宅設備は大きな進化を遂げました。
そのため、たとえ内装をキレイに保てていても設備が古ければ敬遠されてしまいます。
浴室乾燥機や食器洗い乾燥機、ドラム式洗濯機などが備え付けの場合は、最新式と差があるかどうかもチェックしておきましょう。
売却を検討中のマンションは早めに売り始めるのがおすすめ
新築してから10年経つまでどんな形でも保有していたということは、今後も利用できる可能性が高いでしょうが、一度売却を検討したら、その段階で売ってしまった方が良いです。
マンション売却は、手続き自体で半年ほどはかかりますし、引っ越し準備なども含めれば1年は必要です。
そのため、早めに手続きをしていかなければ、築年数がどんどん経ち、価値が下がっていきます。
マンションの価値は築20年までは1年ごとに急落していき、それ以降は緩やかに低下していくので、築10年で売却するか11年で売却するかの差は非常に大きいです。
マンション売却の成功は不動産会社選びにかかっている
築10年のマンションは需要が高く、普通に売却をすれば問題なく売れるでしょう。
しかし、不動産売却を申し込む人の多くは初心者なので、重要な手続きを知らず、損をしてしまう可能性だってあります。
仲介を依頼すれば多くの作業を担当者がおこなってくれますが、任せっきりにしてしまうとトラブルの原因になります。
重要な手続きの前は、業者から言われなくても必ず確認・相談をするようにしておきましょう。そのために、業者選びは慎重に行わなければなりません。
不動産一括査定サイトを利用しよう
前述の通り、築10年ほどのマンションを売却に出すのは割と一般的ですが、それを受けて「一般的なら売却に出しても得しないからやめた」と考えてはいけません。
そもそも査定額というのは業者によって大きく異なり、300万円ほど違う場合もあります。
そのため、一般的な不動産でも最適な業者に仲介を依頼すれば、高額な代金を取得できるのです。
最適な業者を選ぶのは初心者には難しいですが、無料一括査定サービスを利用すれば簡単に査定を比較できますし、それぞれの担当者と話して、対応をチェックすることもできます!