地震大国である日本に住んでいる以上、いつ巨大地震が起きても大丈夫という安心感を得ておくという意味合いを込めて耐震性能を重視して、物件購入を検討される方が多いです。
特に中高層建築物に当たるマンションを、購入するときはこの項目に要注目して購入を検討されています。
そんな中で旧耐震のマンションを売却したくても、買い手がつかないのではないかと不安に思われる売り手が多かれ少なかれいらっしゃいますが、条件や工夫次第で、新築同然の高値で売却することは可能です。
そこで今回は、旧耐震のマンションが売れにくい理由と所有し続けるリスク、高値で売却するコツをご紹介します。
旧耐震基準と新耐震基準の違い
旧耐震基準は、現行の耐震基準が施行される以前に施行された耐震基準の名称です。
それぞれの違いは、耐震性能にあります。
旧耐震基準は、中地震に該当する震度5程度の地震に見舞われても、建物そのものに損傷がなく倒壊の危険性がないことを想定して定められています。
ただし、それ以上の規模の地震に耐えられることを、想定していないため、建物の至る所で損傷が見られるほか、倒壊の危険性があります。
一方の新耐震基準は、震度5程度の地震では損傷がなく、震度6,7の大地震が発生しても倒壊や崩壊しない建物であることとしています。
ただしあくまで基準であり、当時の建築士の考えによっては旧耐震基準の物件でも震度6,7規模のものに耐えられる想定で建てられている可能性がありますので、1度耐震診断を受けておくといいでしょう。
旧耐震基準のマンションが売れにくい理由
マンションを購入する上で、耐震性を気にされる方は多く、「旧耐震基準」というだけで安く買い叩かれたり、買い手が全くつきません。
ここでは、旧耐震のマンションが売れにくい理由を、4つご紹介します。
理由1】築年数が古い
買い手が付きにくい理由として一番大きいのは、築年数が古いということです。
物件購入に対して新築志向が強い日本において、安く購入できる中古物件も「古い」という理由だけで買い手がつかず、数ヶ月売れ残ってしまうことが多々あります。
加えて、築年巣が古いマンションともなれば、コンクリートの劣化や専用・共有部分の設備の劣化、故障が危惧されています。
コンクリートの劣化
頑丈なコンクリートも雨風にさらされれば、風化してひび割れが生じます。
そこから骨組みの役割を果たしている鉄筋が腐って、建物の強度に影響を及ぼします。
たとえ、新耐震基準のものであっても、築年数が古いという理由だけで買い手がつかないことが多々あります。
専用・共有部分の設備の劣化、故障
共有部分の設備は、定期的にメンテナンスを施していますが、15年単位で改修工事や交換工事を行う必要があります。
定期的なメンテナンスが施されているとはいえ、故障や異常が発生することを頭に入れておきましょう。
専用設備も同様です。
入居前に管理者が設備に異常がないことを確認してくれますが、年数がすでに立っている状態なのでいつ故障や不具合を起こすかわからない状態です。
理由2】住宅ローン控除対象外
住宅ローンを組んでマンションを購入される方が大多数を占める中、ローンを組んだ方には、年末残高の1.0%を所得税と住民税から控除できる制度があります。
それが住宅ローン控除という制度ですが、利用できるのが築年数25年以内の物件という条件が付いているため、築年数次第では利用できないことが多いです。
また旧耐震基準のマンションも同様です。
住宅ローン控除が利用できれば、買い手にかかる負担軽減につながるため、利用することを前提にしている買い手が多いです。
理由3】すまい給付金が対象外
住まい給付金は、消費税が10%に引き上げられたタイミングで施行された住宅購入の負担軽減を目的にした給付金です。
買い手の収入額に応じて、最大50万円までの給付金が出ますが、利用するには、耐震等級1以上の物件に限られています。
耐震等級1級以上は、新耐震基準を満たしていることと同義なので、旧耐震の物件にはまず適用されません。
理由4】購入資金の贈与税の適用外
物件を購入するとき、親族から購入資金を援助してもらえ方がいます。
本来であれば、援助資金の金額に応じて贈与税が課せられますが、物件購入に対する援助金であれば、一定額までなら免税対象となっています
ただし免税が適用されるのが、新耐震基準の物件に限られるため、安く購入できる旧耐震の物件への援助資金を出せば、贈与税が適用されてしまいます。
旧耐震基準のマンションを売らず保有し続けるリスク
旧耐震のマンションは、築年数が古いうえ負担軽減につながる制度利用ができないなどの理由から買い手がつかず、市場に出しても売れ残ってしまう確率が高いです。
それならいっそのこと、所有し続けるのが妥当と考える売主もいますが、長期間の所有はハイリスクです。
リスク1】耐震診断の義務・改修費用の発生
2013年に施行された耐震改修促進法により、地震発生時の避難路として幹線道路に面したマンションには耐震診断が義務化されました。
耐震診断の費用は戸数規模に応じて、料金が変わってくるほか、結果次第では耐震改修工事を実施しなければならないため、多額な費用が発生します。
リスク2】修繕積立金の負担
築年数を経るごとに修繕積立金が割高になっていくので、所有し続けている以上は売り手負担で支払いをしていかなければなりません。
加えて、固定資産税や都市計画税などの税金もかかってくるため、ランニングコストだけで計算するとかなりの費用を捻出する結果になります。
リスク3】エリア需要がなくなる
建物の需要は、建っているエリア状況や環境なども作用しています。
今ある環境や状況が未来永劫続くということはなく、人口減少が激しい地域ほどエリア需要が低落しているため、いざマンションを市場に出しても買い手がつかずそのまま売れ残ってしまう状態が続きます。
リスク4】地震による倒壊の危険性
築年数を経れば、コンクリートの劣化が進んでいつかは、マンションそのものが倒壊する危険性があります。
マンションも人の手入れが入ることで、劣化そのものを遅くすることができますが、誰も使っていない状態が長く続くだけで、物件の至る所が劣化して買い手がますますつかない状態になります。
そのタイミングで大地震が来れば、倒壊や崩落を招く危険性があります。
旧耐震のマンションを高値で売るための工夫
築年数が古く様々な制度利用ができない旧耐震のマンションも、売り方に工夫を凝らせば、売却価格は安くとも買い手がついて資金が得られます。
ここでは、旧耐震のマンションを高値で売却するための工夫を4つご紹介します。
工夫1】リフォームプランをセットして売却
築年数が古いマンションや戸建て住宅を売却するとき、リフォームして売却する方がいますが、その時にかかった費用を売却価格に上乗せすることができません。
とはいえ、リフォームできるだけの資金があるなら、リフォームプランをセットにしてマンションを売却する方法がおすすめです。
プランを付けるだけで、買い手の購入意欲を刺激できるほか、業者佐賀市の手間が省けたり、管理組合とのやり取りをサポートして頂けるなど買い手にとって得となることが多々あります。
工夫2】耐震基準適合証明書の取得
2つは、耐震基準適合証明書の取得です。
耐震基準適合証明書を得るためには、耐震診断を受けなければならず、戸数が少なければ高額ですが、逆に多ければ診断は安く済みます。
また多くの自治体が補助金を出してくれるので、ある程度の負担軽減にはなります。
証明証を取得できれば、買い手は住宅ローン控除、贈与税なしで援助金が受け取れるなど様々な制度を心置きなく利用できます。
工夫3】瑕疵担保保険を付保して売却
築年数が25年を超えるマンションを売却するときは、瑕疵担保保険を付保して市場に出すと買い手が付きやすいです。
瑕疵とは、取引目的にある物件に造成不良や設備の故障などの欠陥があることを指します。
瑕疵担保保険の加入は義務ではありませんが、加入することで買い手には住宅ローン控除の利用が可能になるメリットがあります。
買い手の目に留まりやすい物件としてのアピールポイントになるため、加入を検討してみてはいかがでしょうか。
工夫4】買取保証・直接買取を視野に入れる
ここまで3つの工夫をご紹介してきましたが、高確率で買い手が付くということはありません。
周辺環境の状態や需要が作用して売れないということも、考えられます。
仲介売却を利用して売却する方が高値で売れるのは間違いありません。
しかし買い手がつかなければ、意味を成しません。
そんな問題を解決するために、仲介売却を締結するときに買い取り保証を会社側と結んだり、直接業者買取を依頼することを視野に入れておきましょう。
買取保証
買取保証は、仲介売却を結ぶ手前、市場に出す期間を定めて、その間に買い手が現れなければ業者に物件を買い取ってもらう保証です。
仲介売却と業者買取の2方法が利用できる方法になりますが、定めた期間内に買い手がつかなければ、業者買取で売却価格が仲介売却時よりも少なくなってしまうデメリットが付いてきます。
業者買取
業者買取は、買い手を探す手間を省いて直接業者と物件売買を行う方法です。
売却価格は、買い取り保証同様、仲介売却で売れた時の価格の6~8割ほどになってしまいますが、即日現金化できるうえ、どんな物件も手放せます。
旧耐震のマンションも周辺環境・条件が好条件ならそのまま売却可能
旧耐震のマンションも、周辺環境や条件が良好でエリア需要があるなら、そのままの状態で市場に出しても問題ありません。
物件購入を検討されている方の中には、耐震基準を気にされている方もいますが、優先順位では、最寄り駅まで近いことや商業施設が充実しているなどの利便性を第一に考えて購入される方が多いです。
また住居用として購入される方の他に、投資物件として安い中古マンションを購入される方もいます。
旧耐震のマンションを売却する前に無料査定を実施する
ここまで、旧耐震のマンションが売れにくい理由と所有し続けるリスク、高値で売却するコツをご紹介してきました。
築年数が古いなどの理由から安く買い叩かれることが多い、旧耐震基準のマンションも工夫次第では買い手の目に留まりやすい物件に早変わりします。
またマンションが建っている周辺環境や状況に需要があるなら、そのままの状態で市場に出しても買い手が付く可能性があります。
購入者の意図としては、住居用として購入される方が大半を占めますが、安く購入できるということをメリットに投資物件として購入を検討されている買い手も存在します。