マンションを売るとき、「売却にはどれくらい時間がかかるのか」「いつ頃から準備すべきか」と不安に感じる方は多いはずです。
実際の売却期間は、物件の立地や価格設定、売却時期などさまざまな要因で変動しますが、平均として3〜6ヶ月前後を見ておく必要があります。
この記事では、マンション売却の平均期間を契約・引き渡しまでのプロセスごとに分解し、早く売れる物件の特徴や期間を短縮するための具体策まで詳しく解説します。
【免許登録】
宅地建物取引業免許:国土交通大臣(4)第7845号
一級建築士事務所登録:東京都知事 第62093号(東京本社)
特定建設業許可:東京都知事 (特-2) 第135078号(東京本社)
不動産特定共同事業許可:東京都知事 第134号(東京本社)
賃貸住宅管理業登録:国土交通大臣(1)第1722号(東京本社)
マンション売却にかかる平均期間【全国・地域別】
マンションの売却期間は、物件条件や地域の需給バランスによって大きく異なります。
以下は東京カンテイが公開している平均データです。
地域 | 平均売却期間 | 出典 |
---|---|---|
首都圏 | 約4.15ヶ月 | 東京カンテイ |
近畿圏 | 約5.13ヶ月 | 東京カンテイ |
名古屋圏 | 約4.92ヶ月 | 東京カンテイ |
平均で見ると、都市部のマンションは売出から成約までに約5ヶ月前後が一般的です。
ただし、これは成約(契約締結)までの期間であり、実際に物件の引き渡しが完了するまでにはさらに約1ヶ月が必要になるため、売却完了までの全体期間は5~6ヶ月と見ておくのが現実的です。
上記が平均的なマンション売却の期間ですが、2025年現在は引き続き都市部のマンションの人気が高騰しており、よりスピーディな売却が期待できます。
売出~成約までの期間 | 全体の割合(%)※ |
---|---|
1ヵ月以内 | 31.7% |
2ヵ月以内 | 13.8% |
3ヵ月以内 | 11.9% |
4ヵ月以内 | 8.7% |
5ヵ月以内 | 6.1% |
6ヵ月以内 | 5.6% |
7ヵ月以内 | 4.7% |
8ヵ月以内 | 3.5% |
9ヵ月以内 | 2.9% |
10ヵ月以内 | 2.7% |
11ヵ月以内 | 2.0% |
12ヵ月以内 | 6.4% |
東京カンテイ プレスリリース 「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏) 」2024年7月31日
※2023年の首都圏での中古マンション取引において、各[売出~成約までの期間]の取引件数/全体の取引件数で算出
マンション売却の売り出しから引き渡しまでの期間内訳
マンションの売却は、以下のように2段階に分かれます。
- 売出開始〜買主との契約締結:約1.5〜3ヶ月
- 契約締結〜物件の引渡し完了:約1ヶ月
とくに契約後は、買主側の住宅ローン審査・残代金の準備・引越し手続きなどが絡むため、即日で引渡しできるわけではありません。
また、売主がまだ居住中の場合は、引渡しまでの調整にさらに時間がかかることもあります。
売却ステップ | 目安期間 |
---|---|
不動産会社へ査定依頼 | 約1週間 |
媒介契約締結 | 数日〜1週間 |
売出〜買主との契約 | 1.5〜3ヶ月 |
契約〜引渡し(決済) | 約1ヶ月 |
マンション売却期間に影響する要因
要因1】売り出し価格が相場に合っているか(適正価格か)
マンションの売却価格は必ず仲介業者の査定価格とイコールになる訳ではなく、査定価格をベースにしつつ、売主の意向も踏まえて設定されます。
- 不動産会社によって査定がおこなわれる
- 売主が最終的に売り出し価格を決定する
- 買主と合意した成約価格を決定する
この際、より高く売るために売り出し価格を査定価格の1割増し前後に設定するケースが良くあります。
逆に、あまり多いケースではないですが「少しでもマンションを早く売りたい」という方は査定価格の9割~8割ほどまで下げて売り出すケースもあります。
売り出し価格を高く設定して、そのまま成約できれば利益は大きくなりますが、一方で買い手に割高な物件だと思われやすく、売却期間が長引きやすい傾向にあります。
一方、売り出し価格を低く設定すると、割安だとみなされて早く売れやすくなります。
要因2】築年数
築年数が浅く、室内の劣化が少ないマンションは早く売れる傾向があります。
一方で築30年超の物件は、リフォーム費用の見込みが必要となるため、売却期間が長くなりやすい傾向があります。

年/(成約件数/新規登録件数) | 築0~5年 | 築6~10年 | 築11~15年 | 築16~20年 | 築21~25年 | 築26~30年 | 築31~35年 | 築36~40年 | 築41年~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2013年 | 105 | 128 | 122 | 103 | 74 | 83 | 80 | 90 | 88 |
2014年 | 129 | 123 | 129 | 99 | 78 | 77 | 80 | 82 | 86 |
2015年 | 124 | 110 | 136 | 109 | 82 | 72 | 83 | 84 | 87 |
2016年 | 117 | 109 | 137 | 111 | 95 | 72 | 80 | 76 | 85 |
2017年 | 120 | 119 | 132 | 115 | 94 | 72 | 76 | 75 | 83 |
2018年 | 125 | 146 | 133 | 127 | 94 | 70 | 71 | 68 | 74 |
2019年 | 124 | 169 | 138 | 137 | 99 | 71 | 63 | 64 | 71 |
2020年 | 133 | 185 | 141 | 143 | 104 | 72 | 57 | 60 | 68 |
2021年 | 123 | 165 | 143 | 141 | 114 | 80 | 63 | 65 | 68 |
2022年 | 138 | 169 | 148 | 135 | 106 | 84 | 62 | 68 | 68 |
2023年 | 166 | 176 | 171 | 136 | 112 | 82 | 60 | 64 | 65 |
2024年 | 163 | 184 | 187 | 138 | 120 | 85 | 59 | 57 | 67 |
※単位:%(小数点1位以下は切り捨て)
上記は、各年の中古マンション(首都圏)の成約件数とレインズ新規登録件数(売り出し物件数)をパーセンテージで表したもので、値が高い(成約件数の方が多い)ほど売り手市場で売却しやすく、値が低い(売り出し件数の方が多い)ほど買い手市場で成約しにくいと考えられます。
これを見ると、築年数の浅いマンションほど買い手はつきやすい上、築古が近年より売れ残りやすくなっていることが分かります。
要因3】駅までの距離・周辺環境の評価
駅からの距離は購入希望者にとって重要な指標です。駅徒歩5分以内の物件と徒歩15分以上の物件では、売却期間が2週間〜1ヶ月程度違うケースもあります。
また、買い物施設・公園・学校など周辺の利便性も評価されやすく、特にファミリー層にとっては大きな判断材料になります。
要因4】専有面積と間取り
一般的に需要が高いのは2LDK〜3LDK・専有面積60〜70㎡台といったファミリー向けの標準的な間取りであり、このサイズは最も売却期間が短い傾向にあります。
逆に、1R・1Kなど投資用に多い狭小物件は売却に時間がかかる傾向があります。また、平均より広すぎる物件も価格が高い上、マッチする買い手を選ぶ傾向にあるので時間がかかりがちです。
要因5】マンションの管理状態
マンションの築年数は成約までの期間に影響を及ぼしますが、管理の状態によっても変わる可能性があります。
例えば、マンションの築年数が古くても維持管理が行き届いていて定期的にリフォームを実施している状況であれば、通常の築古物件より早く売れる可能性があります。
逆に、築年数が比較的浅いマンションでも管理が行き届いていないと、売れ残る可能性があります。
要因6】仲介業者の営業力
マンション売却を仲介業者に依頼する場合、実際の広告作成などの販売活動は契約した不動産会社によっておこなわれます。
そのため、実績のある不動産会社を選べるかどうかでも、成約までにかかる期間は変わってきます。
営業力の有無が売却期間に影響するのはもちろんですが、モチベーションの低い仲介業者に依頼をしてしまい、裏で販売活動を後回しされたたり、面倒くさがられたりしていたというケースも珍しくありません。
要因7】市況・景気など
中古マンションの売買市場が盛り上がっている時期は早く売れやすい傾向にあります。
売買市場が盛り上がるのは、景気が良くて平均給与が高く、住み替え需要が高まっているケースなどが挙げられます。

上記はとあるエリアの平均成約価格ですが、下記の要素によって価格が変動していることがわかります。
- 消費税増税(5%→8%):2014年1Q
- マイナス金利導入決定:2015年4Q
- 米中貿易摩擦激化:2018年2Q
- 消費税増税(8%~10%):2019年3Q
- 緊急事態宣言(第一次):2020年1Q
- ロシアのウクライナ侵攻:2021年4Q
- 円安 1ドル=150円超:2022年3Q
また、マンション価格の高騰が続いている時期だと、「結局マンションを売ることになっても値崩れしないから損しない」といった論調が広まり、購買意欲が維持されやすくなります。
マンションの売却期間を短縮するためにできること
売り出し価格を適正価格に設定する
売却期間を短縮する最大のポイントは、初期の売出価格を相場に合った水準で設定することです。
公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS)の調査では、売出価格と成約価格の乖離が小さいほど成約までの期間が短い傾向にあります。
相場より5〜10%高い価格でスタートすると、内見件数が減り、結果的に値下げ→売却期間の長期化という悪循環に陥るリスクがあります。
売出~成約期間 | 売出価格(万円) | 取引価格(万円) | 価格乖離率(%) | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
1ヵ月以内 | 4,889 | 4,761 | ⁻2.61% | 31.7% |
2ヵ月以内 | 5,102 | 4,874 | ⁻4.47% | 13.8% |
3ヵ月以内 | 5,085 | 4,783 | ⁻5.93% | 11.9% |
4ヵ月以内 | 5,241 | 4,866 | ⁻7.16% | 8.7% |
5ヵ月以内 | 5,020 | 4,603 | ⁻8.30% | 6.1% |
6ヵ月以内 | 5,224 | 4,680 | ⁻8.50% | 5.6% |
7ヵ月以内 | 5,204 | 4,713 | ⁻9.45% | 4.7% |
8ヵ月以内 | 5,272 | 4,696 | ⁻10.93% | 3.5% |
9ヵ月以内 | 4,833 | 4,265 | ⁻11.74% | 2.9% |
10ヵ月以内 | 5,079 | 4,521 | ⁻10.98% | 2.7% |
11ヵ月以内 | 4,921 | 4,243 | ⁻13.77% | 2.0% |
12ヵ月以内 | 4,542 | 4,027 | ⁻11.36% | 6.4% |
上記のデータでは中古マンションの売却期間が長引くほど、成約価格が売り出し価格より下がることが分かりますが、これこそまさに、売れ残り→値下げの負の循環の結果だと言えます。
近隣の売出事例や成約価格を確認したうえで、不動産会社と相談して根拠ある価格を設定することが重要です。
マンションの第一印象を良くする(クリーニング・修繕)
第一印象が悪いと内見からの成約率が下がります。
実際、内見者の印象で「その場で購入を決めた」ケースも多く、室内の清潔感やメンテナンス状態が与える影響は大きいです。
よくある改善ポイントは以下の通りです。
対策内容 | 費用目安 |
---|---|
水まわり・床・壁のハウスクリーニング | 2〜5万円 |
クロス(壁紙)の部分補修 | 1㎡あたり1,000〜1,500円 |
設備の軽微な修繕 | 1〜3万円 |
大がかりなリフォームは不要ですが、最低限のクリーニングや補修は売却期間の短縮に効果的です。
契約する不動産会社を見直す
マンションが売れ残ってしまう要因が仲介業者にあると思ったら、契約を解除して他の仲介業者と契約するのも一つの手です。
ただし、契約時の条件によっては契約満了のタイミングを待たずに契約解除しようとすると手付金が発生することがあるので注意が必要です。
また、仲介業者に対して不満に思っていることは、伝えてみると意外にすんなり改善してもらえる可能性もあります。いきなり解除を言い渡すのではなく、前もって懸念点を伝えて、それでも改善が無かったら解除を決断するのがおすすめです。
マンション売却にかかる期間ごとの流れ
マンション売却は、単に「売却する」といっても複数のステップに分かれており、それぞれに必要な期間と注意点があります。
ここでは、実際の売却プロセスを時系列で段階的に整理し、売主として何を準備すべきかを明確に解説します。
売却準備(情報収集・査定・媒介契約)|目安:1〜2週間
売却活動の最初のステップは「準備段階」です。ここでは以下のような作業を行います。
- 売却の目的・希望価格・期限の整理
- 不動産会社へ査定依頼(複数社に依頼するのが一般的)
- 媒介契約の締結(専任 or 一般)
この段階で情報収集を怠ると、売出価格を誤る・業者選びに失敗するなど、後々の売却活動に悪影響を与えるため、慎重に進めることが重要です。
売出・販売活動(広告・内覧・交渉)|目安:1〜3ヶ月
売却の公開(広告掲載)から内覧、買主との価格交渉までの期間です。ここが最も期間に差が出やすいポイントでもあります。
- ポータルサイト・チラシなどによる広告展開
- 購入希望者からの内覧対応
- 価格交渉・条件交渉の実施
この期間を短くするためには、価格設定と内覧対応の柔軟性が特に重要です。初動から反響が得られない場合は、早めに価格見直しを検討する必要があります。
売買契約・決済・引き渡し|目安:1〜1.5ヶ月
買主が決まり、契約締結から決済・引渡しまでの最終ステップです。
この期間では次のような流れで手続きが進みます。
- 売買契約の締結
- 住宅ローン審査(買主)
- 決済・登記・引渡し
とくに住宅ローンの審査は平均2〜3週間程度かかるため、引渡しまでのスケジュールは1ヶ月前後を見込むのが一般的です。
また、引渡し時には「固定資産税・管理費の精算」「抵当権抹消登記」などの手続きが必要になるため、司法書士や仲介会社との連携をしっかり取っておくことが求められます。
マンション売却期間に関する注意点
マンション売却に関しては、インターネットや周囲の話から誤った情報や過度な期待を持ってしまうケースも少なくありません。
ここでは、売却期間に関して特に多い誤解と注意点を整理しておきます。
注意点1】条件の良い中古マンションなら必ずすぐ売れる訳ではない
中古マンション市場の中で築浅マンションは高く早く売れやすいと言われますが、これはあくまで中古マンションの中での話であり、売れ残る可能性も十分にあります。
年度(年) | 新規登録件数(件)※ | 成約件数(件) | 成約件数の割合(%) ※小数点2位以下切り捨て |
---|---|---|---|
2013 | 162,085 | 36,762 | 22.6% |
2014 | 162,845 | 33,265 | 20.4% |
2015 | 184,760 | 35,100 | 18.9% |
2016 | 193,520 | 37,446 | 19.3% |
2017 | 197,207 | 37,172 | 18.8% |
2018 | 208,786 | 37,601 | 18.0% |
2019 | 201,966 | 37,912 | 18.7% |
2020 | 170,388 | 37,049 | 21.7% |
2021 | 160,554 | 37,828 | 23.5% |
2022 | 181,149 | 35,381 | 19.5% |
※同年度に、レインズへ新規登録された物件の件数
上記は首都圏の中古マンションの、年度ごとのレインズ新規登録(売り出し)件数と成約件数を比較したものですが、こちらのデータに拠ると、年度ごとの成約物件の割合は20%前後となります。
つまり、約80%のマンションは年を跨いで販売活動をしているか、売却を諦めてしまったということになります。
中古マンションの中でも築浅のマンションの方が早く売れますが、それでも売れ残るリスクは十分にあります。
注意点2】値下げをする可能性を事前に考慮すべき
前述の通り、多くの方がマンション売却では高く売ることを最も重視するため、売り出し価格を相場より高めに設定するケースがあります。
株式会社グローベルスが不動産売却をした134名を対象に実施した独自アンケートによると、不動産売却をした人たちは「金額の高さ>売却の早さ」を優先していることがわかりました。
多少時間がかかっても(+6ヵ月程度)、相場と同じやそれ以上に高く売りたい | 105名(78.4%) |
---|---|
多少価格が下がっても(相場の2割減程度)、できるだけ早く(依頼から換金まで2週間程度で)売りたい | 29名(21.6%) |

ただ、明らかにマンションの売り出し価格が相場より高い場合は、売買契約前に購入希望者から値下げの要望を出されることが多いです。
値下げ要求を拒否して契約を結ばず再び売り出しを続けることもできますが、明らかに割高の場合はいつまで経っても成約が取れないということになってしまいがちです。
そもそも、売り出し価格の段階では売主側の希望しか入っていないので、実際に取引するにあたっては買主側の希望も聞いた上で双方納得いく価格で取引するのが公平だと言えます。
こうしたケースも踏まえて、値下げ要求を受けたらどう対応するのか、もし値下げをギリギリまで拒否したい場合は十分なスケジュールの確保ができているかなども重要なポイントになります。
マンション売却期間のポイントをおさらい
マンションの売却には、一般的に3〜6ヶ月の期間がかかるとされています。
この期間は「すぐ売れる物件」もあれば、「数ヶ月かかる物件」もあるように、物件条件・売出戦略・市場動向によって大きく左右されます。
フェーズ | 期間目安 | 主な内容 |
---|---|---|
準備期間 | 1〜2週間 | 相場確認・査定・不動産会社選定 |
売出〜契約 | 1〜3ヶ月 | 広告・内覧・価格交渉・売買契約 |
契約〜引き渡し | 1〜1.5ヶ月 | ローン審査・決済・登記・引渡し |
上記を踏まえると、マンション売却には早くても2ヶ月、平均して4ヶ月前後が必要と考えられます。
まずは、複数社からの査定を比較し、価格・戦略・担当者の相性を見極めることが、納得のいく売却への第一歩となります。