最近、大手不動産会社を中心に提供されている買取保証サービスは、仲介売却と業者買取のいいところ取りの仕組みになっており人気を集めています。
ただ、買取保証サービスを選んだからといって必ず得をするわけではなく、慎重に選ばなければいけません。
買取保証サービスを上手に活用するためにも、今回はその詳しい内容をわかりやすく紹介していきます。
【免許登録】
宅地建物取引業免許:国土交通大臣(4)第7845号
一級建築士事務所登録:東京都知事 第62093号(東京本社)
特定建設業許可:東京都知事 (特-2) 第135078号(東京本社)
不動産特定共同事業許可:東京都知事 第134号(東京本社)
賃貸住宅管理業登録:国土交通大臣(1)第1722号(東京本社)
マンションの買取保証(買取保証付き仲介)とは?【図解】
まず、マンションを売る際には仲介売却と買取という2つの方法のうち、どちらかを選ぶのが一般的です。
売却方法 | 仲介売却 | 不動産買取 |
---|---|---|
買主 | 個人 | 不動産会社 |
売却活動の期間 | 購入希望者が現れるまで ※平均3~6ヶ月前後 |
買取条件が合えば、短期間で売却可能 ※平均1~2ヶ月前後 |
売却価格(相場) | 市場価格の90%~110% | 市場価格の70%前後 |
契約不適合責任の有無 | 原則免除 ※適用される場合がある |
あり |
仲介手数料の有無 | なし | あり |
おすすめの方 | ・不動産を短期間で売却したい方 ・築古ゆえ仲介売却を断られてしまった方 |
・不動産を高値で売却したい方 ・抵当権付きの不動産を売却したい方 |
仲介売却は不動産会社の仲介によって広告活動や販売活動をおこない、個人・法人などの第三者へ売却をおこなう方法です。
この方法は市場価格前後で高く売ることが可能ですが、広告を見た購入希望者が内覧を希望し、そこから売買契約を希望するまでの期間が分からず、場合によってはいつまで経っても売れ残る可能性があります。
一方、買取は不動産会社が買主となり、不動産を直接買い取ってもらう方法です。不動産会社は中古物件などを買い取った上でリノベーションなど手を施し、再販して利益を得るため、物件を仕入れているケースが多いです。※
※自社で再販事業をおこなっておらず、他社のリノベーション業者と連携して買取をおこなうケースもあります。
買取は販売活動をおこなわず、引き渡しもスムーズにおこなえますが、再販にかかる費用が代金から引かれるなどの理由で、売主が受け取れる代金が市場価格より安くなります。
この、仲介売却と買取のそれぞれのメリットを組み合わせた制度が、買取保証(買取保証付き仲介)となります。
買取保証(買取保証付き仲介)の流れ

買取保証(買取保証付き仲介)は、最初の期間は仲介売却をおこない、期限を過ぎても売れ残ってしまっていた場合、仲介業者に直接買い取ってもらうという制度です。
この制度は現時点で一般的に普及しているものではなく、東急リバブルなど一部の不動産会社が独自の仕組みで提供しているものとなります。
「売却保証システム」
この制度を利用することで、事情があって早く売らなければいけないが、高額売却にもチャレンジをしたいという方でも売れ残る心配がなくなります。
マンションの買取保証(買取保証付き仲介)のメリット
メリット1】引き渡しや引っ越しのスケジュールを決められる
買取保証を利用する場合は、「売り出しから3ヵ月までは仲介売却をおこない、売れ残ったら買取をする」といった条件を事前に設定します。
買取の契約や引き渡し・決済のタイミングは不動産会社との調整次第になるので、例えば3ヵ月間売れ残ってしまった場合、それから最大1ヵ月までの間に決済まで行うという条件を取り決められれば、売り出しから最大4ヵ月後までに新居の用意や引っ越し準備が必要になることがわかります。
引越しなどは準備に時間がかかる作業なので、スケジュールを決めておいた方が失敗が少なく、スムーズに進められます。
メリット2】住み替えスケジュールの調整が可能
持ち物件を売って新たに居住用物件を購入するケースでは、今の持ち物件(住まい)の売却と新居の購入を同時に進めていかなければいけません。
売却と購入のタイミングがずれると、売却代金を購入資金のあてにしていたのになかなか売れなかったり、引き渡し日が決まった後も新居が決まらなかったりするリスクがあります。
一方、買取保証制度を使えば仲介売却にチャレンジができる上で、引き渡しまでの期間の目星も付けられます。
メリット3】売れ残るリスクや精神的な不安がない
条件の悪いマンションを一旦売り出しても、「売れ残っちゃうんじゃないか…」という懸念が常に付きまとってしまいます。
売れないまま3ヶ月を過ぎたころからストレスがたまり、最終的に心身に異常をきたす人もいるほどです。
買取保証サービスは必ず最後に買い取ってもらえるので、売れ残りの心配がありません。
売主の気が楽というのも、意外と大きな魅力です。
マンションの買取保証(買取保証付き仲介)のデメリット
デメリット1】仲介と買取それぞれでベストな選択とは限らない
買取保証は1つの不動産会社に依頼をすれば仲介売却から買取までワンストップで依頼できるという強みがありますが、買取保証制度を実施している仲介業者が必ずしも売却価格を最大化できる訳ではありません。
不動産一括査定サイトなどを使って複数社の査定価格を比較したら、仲介売却でも買取でもより高値をつけてくれる不動産会社は他にいる可能性があります。
デメリット2】仲介売却をストップして買い取ってもらうことは制度がなくても可能
買取保証は3~6ヵ月程度仲介売却をおこない、売れ残ったら買い取ってもらうという制度ですが、買取保証制度を提供していない不動産会社でも、最初に仲介売却をして、その後にストップをしての自社買取は実施できる可能性があります。
もし仲介業者が上記の対応をしてくれない場合も、一般的な媒介契約の更新期限である3ヵ月目に契約を解除して、別の不動産会社に買い取ってもらうことは可能です。
契約解除や業者変更が面倒なことや、最低保証価格などの条件が無いというデメリットはありますが、前述の通りできるだけ高い査定額の不動産会社に依頼したいということであれば、買取保証を使わないのも一つの手です。
デメリット3】売却プランや仲介業者変更などの柔軟な対応がしにくい
買取保証の場合は売り出しから買取までの道筋が経った状態で売り出します。また、この制度を利用する場合は基本的に専属専任媒介契約・専任媒介契約という拘束力の強い契約を結ぶため、自由に契約を解除するのが難しくなります。
このような背景から、通常の仲介売却よりも途中で売却プランを変更したり、売り出し価格を調整したりするのが難しい可能性があります。
デメリット4】仲介売却期間中の担当者のモチベーションが気になる
通常の仲介売却の場合、仲介業者は成約価格の一部を仲介手数料として受け取ります。
仲介売却は実際に成約できるか分からないため、仲介手数料を得るためには仲介業者も販売活動へのコミットが必要となることが多いです。
一方、買取保証の場合は仲介手数料を得られなくても中古物件を仕入れて再販利益を得ることができるため、仲介売却へのモチベーションが下がるのではないかという懸念もあります。
マンション売却で買取保証を利用する際の注意点
所在地 | 対象者 | 対象不動産 | 当社購入期日 | 媒介条件 | 不動産基準 | 売却保証額の上限 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東急リバブル「売却保証システム」![]() |
東京 神奈川 埼玉 千葉 札幌 仙台 名古屋 大阪 京都 兵庫 福岡) |
個人・法人(宅建業者除く) | 個人の居住用の土地・一戸建・マンション | (3ヶ月以上6ヶ月以内)終了後 | 専属専任・専任媒介契約を締結 | 【土地】敷地面積40㎡以上 【一戸建】敷地面積40㎡以上、築30年以内 【マンション】1982年以降、専有面積30㎡以上 |
首都圏:1憶5千万円以下 地方:1億円以下かつ査定価格の90% |
住友不動産ステップ(旧 住友不動産販売)「売却保証」![]() |
営業エリア内 | 個人・法人(宅建業者除く) | 土地・一戸建・マンション※居住用の不動産 | 3か月 | 専属専任媒介契約を締結 | 【土地】敷地面積40㎡以上 【一戸建】敷地面積40㎡以上 【マンション】1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認取得物件、専有面積40㎡以上 |
1億円以下かつ査定価格の90% |
野村の仲介+「買換保証」![]() |
野村の仲介の営業エリア内 | 個人・法人(宅建業者除く) | 個人の居住用の土地・一戸建・マンション | 最長1年 | 専属専任媒介契約を締結 | 【土地】敷地面積40㎡以上 【一戸建】敷地面積40㎡以上 【マンション】築30年以内、専有面積30㎡以上 |
1億円以下かつ査定価格の90% |
三井のリハウス「売却保証」![]() |
首都圏・関西圏・中部圏の営業エリア | 個人・法人(宅建業者除く) | 土地・一戸建・マンション | 3か月 | 専属専任媒介契約を締結 | 【土地】敷地面積40㎡以上 【一戸建】敷地面積40㎡以上 【マンション】1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認取得物件、専有面積40㎡以上 |
1億円以下かつ査定価格の90% |
買取保証の条件は、提供している不動産会社によって異なります。
前提として、買取保証制度を利用できる不動産の条件も設定されているので、売りたいマンションが条件を満たしているかどうかをチェックしましょう。
また、保証価格や仲介売却の期間設定なども異なるため、しっかり比較をする必要があります。
買取保証に適していないマンションもあるので注意
買取保証サービスは立地が悪い、築年数が経っている…などの条件が悪いマンションに適しています。
また、近々転勤があるなど、売却に期限がある場合も買取保証サービスは向いているでしょう。
ただ、築浅で高く売れる可能性が十分あるマンションは、買取保証はむしろ付けずに売ったほうが高利益を見込むことができます。
買取保証サービスは万能ではないので、ご利用の際は注意しましょう。