あなたは、隣との土地の境界を正確に把握できているでしょうか。
土地の境界があいまいなことが原因で引きおこるトラブルは非常に多いのです。
どんなことがトラブルになりやすいのか、またそれを解決するためにはどんな方法が最適なのでしょうか。
今回はトラブルの原因、防止策について紹介していきます。
※土地査定・売却の詳しい内容はこちらにまとめています。
土地境界があいまいなことが近隣トラブルの主な原因
自分の土地の範囲が記されている地積測量図の内容と現在のl土地の利用法・状況が異なっていることでお隣の人とトラブルになってしまうことが多いです。
「フェンスを設置したらお隣にそこはうちの土地だとクレームを言われた」「隣の塀が建っているのはうちの敷地内だった」など、今までいい関係を築いていた人とトラブルになってしまうのはストレスが溜まってしまいますよね。
勝手に使われている土地の税金まで自分が払っていると思うと文句も言いたくなりますよね。
ではどうして土地の境界はあいまいになってしまうのでしょうか。
原因は誤認であることが多い
いままで境界だと思っていたところは実は全く違ったというケースが多いです。
単純に境界を勘違いしてしまっているということです。
勘違いを防ぐために、購入時や売却時には土地の境界ははっきりとして、お隣と一緒に確認しておきましょう。
たったこれだけの行動がトラブルを防ぐことにもつながります。
境界が行方不明なことも
こちらも割と多いケースとなっています。
工事や測量の段階で、または地震や洪水などにより境界標がずれてしまったり、行方不明になってしまうことがあるそうです。
これは人間の力で防ぐことのできる問題ではないかもしれませんが、災害の後に境界を確かめることくらいならできるのではないでしょうか。
お隣との境界があいまいかもしれないと感じた方は確認してみると良いかもしれませんよ。
境界があいまいなのは土地所有者の怠慢に依るところが大きい
自分の土地と、道路やお隣との境界を示す境界標を見たことはあるでしょうか。
土地や道路に埋め込まれている四角い杭のようなものです。
これをつないでできる線が境界となっています。
しかし、これが本来あるべき場所とちがってしまっていることがあるのです。
このようなズレは先にも記したように地震や土砂崩れ、洪水などによって起きてしまうのですが、それより多くのズレを引き起こしてしまっている原因があるようです。
多くは人為的なミス
やはり、コンピューターが境界標を設置しているわけではないので人によるミスが多くのズレの原因なのです。
たとえば、フェンスを設置するために業者が一度境界標を移動したはいいものの、戻した位置が正式な位置でなかったということです。
これは防げることであるし、絶対にやってはいけないミスなのですがよく起きてしまうことなのです。
また、電柱の建て替え作業や、マンホールの修繕工事の際に近くの境界がズレてしまうこともあるそうです。
ズレに気づくことはとても難しいのですが、土地はあなたの大切な財産です。
土地という大切な財産を守るために写真を撮っておいたり、定期的に確認しておくことをおすすめします。
また、道路工事などがある際は現場の担当者に境界標が近くにあるということを伝えておくことが大切です。
万が一ズレてしまったとしてもしっかり戻しておいてくれる可能性が高まりますし、トラブルの防止法にもなりますよ。
公的機関に土地の調査を頼むことがトラブル解決の近道
もし土地の境に関してお隣の方とトラブルになってしまった場合は、どうすればよいのでしょうか。
ここからはトラブルの解決策を紹介していきます。
土地の調査士に頼む
土地の境がはっきりしていないのであれば、土地の調査士に正確な境界を測量してもらいましょう。
その結果、考えていた土地の境が間違っていたのであれば、塀やフェンスを作り直したり、お隣がはみ出して使用していいた土地を買い取ってもらうなどの方法を取りましょう。
当事者同士の穏便な解決が理想ですが、どうしても話がまとまらないという場合は全国各地にある境界問題を解決してくれる機関に相談しましょう。
調査士と弁護士がトラブルの解決に向け動いてくれますので、どうしてもという場合は期間を利用することをおすすめします。
筆界特定制度を使えば近隣と揉めずに境界が確定される!
トラブルを防止するために境界を特定する場合は、筆界制度というものを利用しましょう。
これは、法務局の調査員が土地の境界を特定してくれる制度となっています。
境界標の設置まではおこなってくれないのですが、公的な記録として土地の境界を証明することができるので、トラブルの回避、解決につながりやすいのです。
また、民間の調査士に依頼するより費用が安く済むということもオススメのポイントです。
いまはトラブルに陥っていなくても、この先土地の売却や購入を考えていて、土地の境界について疑問や不安のある方はまず市役所などに相談しに行くことをおすすめします。
筆界特定制度を使えば近隣と話し合わなくて済む!
筆界特定の申請をおこなうと、筆界特定登記官という人が、筆界調査委員という民間の専門家の意見を踏まえて筆界の位置を特定します。
これは過去に定められた筆界を調査で明らかにするというものなので、どちらかの言い分が優先された/されないという話にはなりません。
そのため、話し合いで新たに境界を決め直すよりもトラブルは収めやすいのが魅力です。
土地の筆界を特定する流れ
土地の筆界特定は、以下の流れでおこなわれます。
- 筆界特定の申請
- 筆界特定登記官による審査
- 筆界調査委員による調査
- 筆界調査委員による意見提出
- 筆界特定登記官による筆界特定
このように、筆界特定は調査委員と登記官が交互に確認・調査をしながら進めていきます。
2人が相互チェックをしている分、特定した筆界の証明力は高いです。
筆界特定制度は費用が比較的低額なのも魅力
筆界特定制度は、申請手数料という費用が利用時にかかります。
土地の価格に比例して、申請手数料は以下のように決定します。
土地価格 | 手数料 |
---|---|
0~400万円 | 800円 |
400万1円~800万円 | 1,600円 |
800万1円~1200万円 | 2,400円 |
1200万1円~1600万円 | 3,200円 |
1600万1円~2000万円 | 4,000円 |
2000万1円~2400万円 | 4,800円 |
2400万1円~2800万円 | 5,600円 |
2800万1円~3200万円 | 6,400円 |
3200万1円~3600万円 | 7,200円 |
4000万1円~4800万円 | 8,800円 |
※以下、土地価格が800万円上がるたびに手数料は800円ずつ上昇
こちらが筆界特定をした時にかかる手数料ですが、測量費用よりも大分安いのがわかります。
土地所有権に関する境界トラブルは土地家屋調査士会ADRで解決!
土地の境界が確定された後も、境界トラブルが続くケースがあります。
これは、筆界と所有権界が食い違うケースです。
例えば、料亭を営む土地Aと八百屋を営む土地Bは、営業範囲と筆界が食い違っています。
土地Aのの所有者は、所有権の及ぶ範囲(所有権界)に比べて、筆界で定めた土地境界のほうが明らかに狭くなっています。
こうしたトラブルの解決におすすめなのが、土地家屋調査士会ADRです。
これは土地家屋調査士会によって提供される制度で、土地家屋調査士と弁護士が調停人となり、所有権界に関する問題解決を図ります。
筆界特定制度と土地家屋調査士ADRの内容を比較すると、以下のような違いがあります。
筆界特定制度 | 土地家屋調査士ADR | |
---|---|---|
解決できる問題 | 筆界トラブル | 筆界の確認、所有権界トラブル |
解決方法 | 専門家の調査による決定 | 話し合い |
証明書類 | 筆界特定書 | 和解契約書 |
法的効果 | なし | 契約履行義務あり |
土地家屋調査士会ADRは管轄の法務局に相談すれば斡旋してもらえます。