火災保険に加入すると契約から一定期間は保険料を前払いするようになります。
しかし、離婚・相続・住み替えなど予期せぬ事情で家を売る場合、火災保険の解約や契約内容の見直しが必要になります。
今回は家の売却時の火災保険の取扱いやポイント・注意点について、詳しく解説していきます。
- 家の売却や住み替えで火災保険はどうなる?
- 火災保険を解約する方法は?
- 火災保険の解約タイミングを知りたい
家売却時に解約すれば火災保険料は返ってくる
火災保険契約中に家を売却すると、未経過分の保険料が返ってきます。※返戻金が必ずあるとは限りません
払い戻しを受け取るためには、しっかりと解約手続きを行いましょう。
解約したからと言って、自動的に保険料が戻ってくるわけではありません。
返還される金額は保険会社によって異なる
中途解約で戻ってくる金額は、保険会社のプランによって異なります。
しかし残りの保険料が全て返還されるわけではありません。
返戻金は単純な日割りではなく、保険会社所定の未経過料率などで計算されることもあります。
残り期間によっては返金が無いケースもある
保険の残り期間があまりに短すぎると、保険料が返ってこないこともあります。
特に月払い・年払いなどの分割払いに設定している場合は、残額が少なくなりすぎるので返還されない可能性もあります。
返戻金の有無や計算方法は、保険証券・約款・保険会社への問い合わせで確認しましょう。
火災保険料の解約払戻金の計算方法
不動産を売却して戻ってくる保険料は、以下の式で計算できます。
返金額=保険料×未経過料率係数(%)
未経過料率係数は保険会社によって異なるので、個別に確認をする必要があります。
大手保険会社の損保ジャパンは、保険始期が2024(令和6)年10月1日〜の場合の個人分野火災保険の未経過料率を以下のように定めています。
| 保険期間 | 2年契約 | 3年契約 | 4年契約 | 5年契約 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 経過月数/経過年数 | 0年 | 1年 | 0年 | 1年 | 2年 | 0年 | 1年 | 2年 | 3年 | 0年 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 |
| 1か月まで | 87 | 44 | 91 | 62 | 30 | 93 | 71 | 47 | 22 | 95 | 77 | 57 | 38 | 18 |
| 2か月 | 82 | 40 | 88 | 59 | 27 | 91 | 69 | 45 | 20 | 92 | 75 | 56 | 36 | 16 |
| 3か月 | 76 | 36 | 84 | 56 | 24 | 88 | 67 | 43 | 18 | 90 | 74 | 54 | 35 | 15 |
| 4か月 | 71 | 32 | 80 | 54 | 22 | 85 | 65 | 41 | 16 | 88 | 72 | 52 | 33 | 13 |
| 5か月 | 66 | 28 | 77 | 51 | 19 | 83 | 63 | 39 | 14 | 86 | 70 | 51 | 31 | 12 |
| 6か月 | 63 | 24 | 75 | 48 | 16 | 81 | 61 | 37 | 12 | 85 | 69 | 49 | 30 | 10 |
| 7か月 | 61 | 20 | 73 | 46 | 13 | 80 | 59 | 35 | 10 | 84 | 67 | 48 | 28 | 8 |
| 8か月 | 58 | 16 | 72 | 43 | 11 | 79 | 57 | 33 | 8 | 83 | 66 | 46 | 26 | 7 |
| 9か月 | 55 | 12 | 70 | 40 | 8 | 77 | 55 | 31 | 6 | 82 | 64 | 44 | 25 | 5 |
| 10か月 | 53 | 8 | 68 | 38 | 5 | 76 | 53 | 29 | 4 | 81 | 62 | 43 | 23 | 3 |
| 11か月 | 50 | 4 | 66 | 35 | 3 | 75 | 51 | 27 | 2 | 80 | 61 | 41 | 21 | 2 |
| 12か月 | 48 | 0 | 64 | 32 | 0 | 73 | 49 | 25 | 0 | 78 | 59 | 39 | 20 | 0 |
家の売却で火災保険を解約するタイミング
家を売る際は、火災保険をいつ解約するかも重要になります。
火災保険は契約期間中でも解約手続きができます。解約可能日や返戻金の有無は保険会社に確認しましょう。
解約した場合、その日にちから未経過分を計算して保険料が還付される仕組みです。
早く解約すれば返戻金が多くなる場合がありますが、引き渡し前に補償が切れるリスクがあるため注意が必要です。
引き渡し日以降を解約日にするのが一般的
早めに解約をすると引き渡しまでに火災が起こった時、売主が修繕費や契約上の責任を負う可能性があります。
引き渡し前に家が火災を受けたら、買主から契約解除や条件変更を求められる可能性があります。
その場合、被害を負った建物だけが残り、保険も下りないという最悪のケースに陥ってしまいます。
こうした状況を防ぐためには、決済・引き渡しが完了するまで補償を残しておくことをおすすめします。
住み替えのため、引き渡しの前に家を空にしているケースも多いです。
この場合でも決済・引き渡し前までは、通常、売主側に管理責任が残ります。
引っ越しのタイミングで火災保険を解約するのも、場合によっては危険なので覚えておきましょう。
家を売却したときの火災保険の解約手続き
- 【Step1】保険会社・代理店に解約日を連絡する
- 【Step2】引き渡し時に解約をおこなう
火災保険を解約する方法を具体的に紹介します。
大まかに分けて2つのステップになるのでチェックしましょう。
申し込み後は損保会社の指示に従うだけなので、難しいことはありません。
【Step1】保険会社・代理店に解約日を連絡する
火災保険を解約する際は、解約手続きが必要になります。
手続きは電話・Web・書面など、保険会社所定の方法で手続きを行います。
「面倒くさいなぁ」と思うかも知れませんが、火災保険は所有者が変わっても自動では引き継がれません。契約者変更などが可能かは保険会社に確認が必要です。
忘れずに手続きをしていきましょう。
【Step2】引き渡し時に解約をおこなう
売買契約時に解約しようとする人もいますが、リスクがあるので注意が必要です。
売買契約から決済・引き渡しまで一定期間空くことが一般的です。
買主の住宅ローン審査のため期間を空けているのですが、万が一この期間中に火災などで欠損が起こった場合、解除や協議の対象になる可能性があります。
そうなれば保険金も受け取れず、ボロボロの家が手元に残るだけなので売主にとっては大損です。
いつ災害が起こるか分からないので、決済・引き渡し完了後に補償が終了するよう解約日を設定するようにしましょう。
全ての手続きが終わると、未経過分の保険料が銀行口座に振り込まれます。
この段階で、火災保険の解約が終了します。
住み替える場合の火災保険加入のタイミング
新居の火災保険は、引き渡し日から補償が始まるように契約するのが一般的です。
スタート日は物件の引き渡し日にして、火災保険に申し込みましょう。
1ヶ月前には損保会社を検討し、申し込みをしておけば安心ですね。
住宅を住み替える場合、火災保険加入のタイミングも気になるでしょう。
火災保険は所有者を定めてから契約してください。
所有権移転前から補償を開始する必要があるかは、契約内容や引き渡し日を踏まえて保険会社に確認しましょう。
家売却時に戻ってくる火災保険以外のお金
家を売って戻ってくるのは火災保険だけではありません。
その他の事例を紹介していきます。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税は、売買契約の慣習として引き渡し日を基準に清算することが一般的です。
売主にとっては非常に大きなメリットですが、法的に清算が義務付けられている訳ではないので必ず売買契約書で清算方法を確認することをおすすめします。
管理費用・修繕積立金
マンションの場合は毎月管理費用や修繕積立金を支払っています。
これも月途中で売却をする場合は日割り清算ができます。
住宅ローン保証料
不動産を売却する段階で未経過の分は、保証料を一括前払いしている場合、繰上完済により戻ることがあります。
返金額の計算は銀行によって異なるので必ず確認しましょう。
家売却時の火災保険に関するポイント
家売却時の火災保険に関するポイントをまとめました。
火災保険の契約内容を確認し、有利になるように動きましょう。
補償について不明な部分は、損保会社に尋ねてください。
ポイント1】買主へ火災保険を引き継ぐことも可能
火災保険は不動産名義が変更されても自動的に引き継がれません。
ただ、申請さえすれば買主に名義変更して引き継ぐことが出来ます。※保険会社や契約内容によっては買主に引き継げない場合もあります
引き継いだほうが煩雑な手続きを避けられて楽と思われがちですが、不動産を売る理由や保険の種類によっては手続きがより複雑になってしまいます。
結論を言えば、買主が新規で火災保険を契約する方が手続きが分かりやすい場合が多いです。
ポイント2】売却前に火災保険を利用して修繕することも可能
台風・落雷・漏水など、保険の補償対象となる損害に気付かないまま引き渡してしまうのは売主にとって大きなリスクです。
修繕費が払えないので隠して売る方もいますが、火災保険に加入していれば水漏れや台風などによる被害は適用対象になります。
修繕をしても還付が減ることはないので、積極的に活用していきましょう。
欠陥が後に発覚した場合、数百万円の賠償金を請求されたり、最悪、裁判に発展する可能性があるので注意しましょう。
ポイント3】相続物件の火災保険が残っているケースもある
火災保険の解約は、保険会社の指示に従えばすんなり進めることができます。
ただ、前述のように相続物件の場合は保険に入っているのかも分からないことが多いです。
いざ家を売る時に保険証券が見当たらず慌てることのないよう、日頃から書類の管理には気をつけましょう。
家の売却をすると火災保険料は戻ってくる
家の売却に伴って火災保険を解約すると、契約内容によっては解約返戻金が戻ってきます。
ただし、返戻金の有無や金額は、保険会社に連絡して確認するようにしましょう。
火災保険の解約については、加入している損保会社への連絡が必要です。書類などに不備がないよう、余裕を持って解約を進めましょう。
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