家を売る理由は、所有者によって大きく異なります。
- 転勤や住み替えなどで地元を離れなければならないため
- 離婚をきっかけに家を現金化して財産分与するため
- 親族から家を相続したが、管理が難しいため
また売却を考えている方の中には、近隣住人に売却のことを知られたくないなど、個人的な事情を抱えている方もいます。
しかし、いかなる理由や事情があっても、家の売却を考えている方の中には、高値で売りたいや早く売りたいといった目的も絡んでいます。
これらを踏まえて売却を行うなら、その目的に適った売却方法を選ぶと同時に家を売りに出すタイミングも見定める必要があります。
家を売るタイミング | タイミングを見定めるポイント |
---|---|
市場の状況 | ・売り手市場:物件の需要が供給を上回っている場合、価格が高騰しやすく、早期に売却できる可能性が高まります。 ・買い手市場:市場に物件が溢れている場合、買い手がより多くの選択肢を持ち、価格交渉の余地が増えるため、売却に時間がかかるか、価格を下げる必要が出てくることがあります。 |
経済的状況 | ・低金利環境:低金利は、住宅ローンの借入コストが低いことを意味し、購入希望者にとって魅力的です。このような時期は売却に適していると言えます。 ・経済成長:経済が成長している時期は、人々の購買力が高まり、不動産市場にも好影響を与えることが多いです。 |
季節性 | ・春:一般に不動産市場が最も活発になるのは春です。新学期や新年度の開始に合わせて引っ越しを考える家族が多く、売り出しに最適な時期とされています。 ・秋:春に次いで活発になるのが秋の市場です。夏休みが終わり、人々が再び日常に戻るこの時期は、新しい住まいを探す動きが活発になります。 |
物件の状態 | リノベーション工事の後:物件をリノベーションした後は、その改善点をアピールして売り出すのに適した時期かもしれません。 |
ライフスタイルの変化 | ・家族構成の変化:家族が増えたり減ったりした場合、住まいのサイズが適切でなくなることがあります。このようなライフステージの変化は、売却を検討する良いタイミングです。 ・転職や転勤:仕事の変更や転勤により、住む場所を変える必要がある場合、売却を考える時期かもしれません。 ・資産状況の変化:投資目的で不動産を持っていたり、経済的な理由で資産を整理したい場合も、市場の状況を見ながら売却のタイミングを検討します。 |
これらのタイミングを鑑みた状態で家を売りに出せば、高値で家が売れるだけじゃなく、今後の資産計画が組みやすくなるなどの状況を作り出せます。
この記事では、家を売却するのに適したタイミングについて解説すると同時に、各タイミングで売りに出すときに押さえておきたいポイントをそれぞれ紹介します。
- 家を売るタイミングを見極める基準
- 築年数から見た家売却のタイミング
- 税制から見た家売却のタイミング
- 住宅ローン金利から見た家売却のタイミング
- 季節から見た家売却のタイミング
- エリアの売り出し市場から見た家売却のタイミング
- 家を売るタイミングを見極める時の注意点
- 家を売却すべきでないタイミング
家を売るタイミングを見極める基準
所有する家を売却するとなれば、高値で取引したいと考える方が多いです。
しかし、家の価値は常に一定ではなく、その時の経済状況や金融政策、物件の状態等様々な要素が複雑に絡み合って物件の価値が決定します。
もっとも、家を高値で売却するとなれば、以下の6つの視点を総合的に見定めることで家を高値で売るベストなタイミングが導き出せます。
- 季節
- 物件の築年数
- 税金
- ローン金利の変化
- 不動産の価格相場の変化
- ライフスタイルの変化
ここからは、上記で挙げた6つの視点について解説して行きます。
Point1.季節
家を売る最適なタイミングの一つに、季節があります。
不動産の売買市場は季節によって波があり、特に春と秋は引越しの多い時期であるため需要が高まります。
売却する際には、購入者が家の魅力を最大限に感じられるような季節を選ぶことも重要です。
例えば、庭が美しい家は春に、素晴らしい雪景色が見られる家は冬に売り出すと良いでしょう。
Point2.物件の築年数
物件の築年数も売却タイミングの重要なポイントです。
一般的に、新築後10年を過ぎると物件価格は下がり始め、築20年を超えると価格が大幅に落ちる傾向があります。
なので、家を高値で売却するなら、築10年以内、もしくは大規模なリノベーション工事を施した後など、物件がまだ新鮮で価値が高いタイミングで売却すると良いでしょう。
Point3.税金
税金に関連しても売却のタイミングを考える必要があります。
例えば、所有する家を売却して、利益が出た場合、翌年の確定申告の提出に伴って譲渡所得税が課せられます。
この譲渡所得税は、売却した物件を所有していた期間によって変わるので、築年数との兼ね合いを見ながら売却タイミングを見極める必要があります。
たとえば、住宅を5年以内に売却すると短期売却とみなされ、所得税が高くなります。
対して、所有から5年以上が経過したタイミングで売却すると、5年以内に売却した時よりも税率が抑えられます。
そのほかにも、物件の所有期間や売却した物件の事情次第で節税効果がある特例の利用ができるなどもあるので、売却前に確認してみましょう。
Point4.ローン金利の変化
ローン金利の変動も家を売るタイミングを決める要素の一つです。
例えば、金利が低い時期は、借入れが容易になり不動産の購買意欲が高まります。
また金利が低ければ低いほど、返済時にかかる利息額が少なくなり、返済負担の軽減にもつながります。
そのため、低金利の時期に売却することで、多くの買い手を引きつけ、良い条件での売却が期待できます。
Point5.不動産の価格相場の変化
不動産の価格相場の動向も重要な指標です。地域や物件の種類、経済状況などにより価格は大きく変動します。不動産価格が上昇傾向にあるときに売却することで、最大限の利益を得ることが可能です。市場動向を理解し、価格のピークを見極めることが大切です。
Point6.ライフスタイルの変化
ライフスタイルの変化も売却のタイミングを考える一つの基準です。
例えば、子供が家を出て一人暮らしを始めた時、退職を迎えて生活スタイルが変わった時、新しい家族が増えた時など、生活状況の変化は新たな住まいを求める大きな動機となります。
こうしたライフイベントが起きた時が、新しいステップを踏み出す良い機会になります。
築年数から見た家売却のタイミング
家を売る絶好のタイミングは、築10年~20年の間と言われています。
実際の中古住宅市場をみても、この築年数の物件が最も多く売り出されており、人気も高くなっています。
戸建て物件は築20年を過ぎると価値がほぼ0になってしまうと言われているので、年数がかさまないうちになるべく早く売ってしまいましょう。
築3年以内の家
離婚などで新築後すぐに家がいらなくなった場合も、築5年までは賃貸に住み替えずに住み続けたほうがお得です。
なぜなら新築後3年間は固定資産税がかなり安くなっているからです。
放置しておいてもコストがあまりかからないので、たまに泊まるだけだとしても家を取っておき、3年を過ぎたら売り払うのがお得です。
築15年以内の家
築15年以内の家は中古物件市場の中ではある程度築浅ではありますが、購入時と比較するとところどころ劣化も見られる状態かと思います。
これくらいの築年数も、中古物件市場の中では築浅として扱われます。
年次 | 築0~5年 | 築6~10年 | 築11~15年 | 築16~20年 | 築21~25年 | 築26~30年 | 築31年~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2011年 | 8.4% | 15.5% | 17.1% | 16.9% | 14.2% | 10.4% | 17.5% |
2012年 | 8.2% | 15.1% | 16.6% | 16.9% | 14.4% | 10.3% | 18.5% |
2013年 | 7.6% | 15.3% | 16.0% | 16.9% | 14.1% | 10.5% | 19.6% |
2014年 | 7.2% | 14.8% | 15.4% | 18.2% | 13.6% | 10.6% | 20.2% |
2015年 | 9.0% | 13.4% | 15.5% | 16.1% | 13.9% | 11.5% | 20.6% |
2016年 | 9.3% | 13.3% | 14.4% | 16.0% | 14.0% | 11.6% | 21.5% |
2017年 | 9.2% | 13.1% | 14.8% | 15.2% | 14.3% | 12.0% | 21.4% |
2018年 | 9.6% | 12.7% | 15.0% | 14.4% | 14.9% | 11.9% | 21.5% |
2019年 | 8.4% | 13.5% | 14.2% | 15.5% | 15.2% | 11.3% | 21.9% |
2020年 | 9.4% | 14.1% | 13.2% | 14.1% | 14.3% | 11.2% | 23.8% |
2021年 | 11.3% | 14.9% | 12.8% | 13.7% | 12.8% | 10.5% | 24.0% |
出典:REINS「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」
ただし、上記のデータから見ても分かるように、実際の取引は築20年超の物件がメインでおこなわれます。
築20年以内の物件だからといって、すぐに売れる訳では無い点は抑えておきましょう。
築20年超の家
正直に言えば、築20年を超える物件も高値で売れる可能性は十分あります。
【東京都の戸建て成約事例】
所在地 | 種類 | 築年数 | 最寄り駅 | 取引総額 | 面積 | 買い手の利用目的 |
---|---|---|---|---|---|---|
千代田区 岩本町 | RC造・商業地・1972年建築 | 築45年 | 神保町駅徒歩4分 | 33,000万円 | 150m² | 事務所 |
中央区 八丁堀 | 木造・商業地・1970年建築 | 築43年 | 新富町駅徒歩4分 | 7,600万円 | 70m² | その他 |
港区 白金台 | 鉄骨造・住宅地・1995年建築 | 築22年 | 白金台駅徒歩9分 | 8,100万円 | 65m² | 住宅 |
新宿区 北新宿 | 木造・商業地・1971年建築 | 築44年 | 大久保駅徒歩5分 | 1,000万円 | 40m² | その他 |
こちらは2017年7~9月の間に成約した東京都内の中古物件売買事例ですが、成約当時の築年数を見ると20年超の物件も数多くあることがわかります。
そもそも戸建て住宅は一生住み続けることを想定して建てるものなので、すぐに売るケースは稀です。
離婚などの特別な事情がない限り、20年前後の物件の売出がほとんどになると考えて良いでしょう。
税制から見た家売却のタイミング
家を売った際に売却価格>購入費用となると譲渡所得税という税金が発生します。
譲渡所得税は、以下の計算式で求めることができます。
(売却代金―取得費※購入費用―売却費用)×税率
この税率は、売った物件の所有期間が5年を超えるかどうかで、以下のように変化します。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得(所有期間5年以内) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※短期譲渡所得と長期譲渡所得の部分で所得税と住民税について税率が記載されておりますが、より正確には、復興特別所得税の2.1%が2037年まで所得税に上乗せして支払う必要があります。
※2013年から2037年までの税額については、算出された所得税を課税標準として復興特別所得税2.1%分が加算されます。
所有期間の計算は、取得日から引き渡し年の1月1日までとなっているので注意しましょう。
上の表を見ればわかる通り、所有期間が5年をこえると税率が計19%も安くなってかなりお得ですね!
減価償却の仕組み
確かに所有期間が5年を過ぎると税率はお得になりますが、それ目的で売り出し時期を遅くすることが果たしてお得かと言われると疑問です。
戸建て価格は築10年で購入時の5割、築15年で2割まで下がり、築20年で0になると言われています。
例えば所有期間が3年の物件を節税目的であと2年保有しておけば、税金が安くなる代わりに不動産価値が1割ほど減少してしまうのです。
中古住宅の平均売却相場は2,000~3,000万円ほどなので、税金が高くついても早く売るほうが明らかにお得です。
やはり前述の通り、早期売却するのが一番お得だと考えて良いでしょう。
相続物件の税制度
ここまで紹介した事例と少し異なるのが、実家などの相続物件です。
不動産を相続すると、相続開始から10か月以内に申告をする必要があります。
その後、申告をしてから3年以内に相続物件を売れば相続税の一部を家の取得費(購入にかかった費用)に加算することができます。(取得費加算の特例)
家の売却で利益が出ると、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税=(売却代金―取得費※購入費用―売却費用)×税率
上の計算式を見てもらうとわかるように、取得費をなるべく多く計上することができれば、譲渡所得税を減らすことができます。
つまり、相続を受けてから最大3年10か月以内に家を売ることができれば、相続税と譲渡所得税どちらも減税することができるのです。
この特例は使ったほうが絶対お得なので、相続した不要物件はできるだけ早く売ることを心がけましょう。
3,000万円の特別控除
冒頭でも紹介したように、不動産を売却した際の利益は、原則として所得税と住民税の課税対象となり、譲渡所得を納めなければなりません。
しかし、特定の条件を満たした場合、最大3,000万円までの特別控除が適用されます。
- 自分が住んでいる家屋、もしくは家屋とともにその敷地や借地権を売ること
- 売った年の前年および前々年に当特例、もしくはマイホームの譲渡損失における損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
- 家を売却した年や前年度・前々年度に自宅の買い換えや自宅の交換の特例を受けていないこと
- 売却した家屋や敷地等が、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
- 自然災害で滅失した家屋の場合、そこに住まなくなった日から3年が経過する日の属する年の12月31日までに売却していること
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
上記6つの条件を満たしていれば、3,000万円の特別控除が利用でき、譲渡所得から3,000万円分の差し引きが行えます。
最終的に納税する譲渡所得税の税負担が軽減されます。
さらに、6つの条件を満たしていながら、譲渡所得が3,000万円いかであれば、所得税の納税が免除されます。
また、3,000万円の特別控除利用するには、今住んでいる家を売却することが絶対です。
仮に誰も住んでいない家を売る場合は、空き家になってから3年が経過する年の12月31日までに売却する必要があります。
マイホームの軽減税率の特例
新築のマイホームを購入する際の消費税率について、特例が適用されることがあります。
これは、一定の条件を満たすと新築住宅の購入に係る消費税率が軽減される制度です。
具体的には、自己の住宅として使用するために新築住宅を取得する場合、一定の価格までは消費税率が軽減されます。
課税長期譲渡所得金額 | 所得税 | 所得税 |
---|---|---|
6,000万円までの部分 | 10% | 4% |
6,000万円を超える部分 | 15% | 5% |
この制度を利用するためには、既存の住宅を売却し、新築のマイホームを購入するタイミングをよく考える必要があります。
売却と購入のタイミングをうまく調整することで、税制上のメリットを最大限に活用できます。
住宅ローン金利から見た家売却のタイミング
家を売る方の半数ほどが、今の家を売ったお金で新しい家に住み替えることを目的としています。
上手に住み替えをおこなうためには、最適な売り時だけでなく、最適な買い時も考えていかなければいけません。
新居をお得に購入するには、以下2つのタイミングがおすすめです。
- 不動産相場が低い時に家を買う
- 住宅ローン金利が低い時に家を買う
ただ、不動産相場が低いと中古が高く売れないので、買い時ではあるけど売り時ではないという矛盾が生じてしまいます。
そのため、不動産の相場が高く、かつ住宅ローンの金利が低い時が絶好の住み替え時と言えます。
金利政策の状況
2016年のマイナス金利政策の影響で、住宅ローンは現在かなり低金利で借りられます。
例えば、人気の固定金利住宅ローン「フラット35」は、2008年の金利(年4.00%~3.05%)と2018年の金利(2.01%~1.37%)を比較すると、10年で金利が年2%下がっています。
金利が年2%低ければ、3000万円のローンを30年で組んだ時にトータルの返済額が1000万円以上安くなります。
2022年現在は、住宅ローンの金利が低く、かつ不動産相場が高いという絶好の住み替えタイミングなのです。
住宅ローン金利の推移状況
2016年から超低金利が続く住宅ローンですが、2020年前後に上昇するのではないかとも言われています。
理由は、同じく低金利で推移していたアメリカで金利と株が上昇し始めたことです。
経済的に関係の深いアメリカの影響を受ければ、日本も再び2%前後の金利上昇が起こる可能性は高いです。
アメリカでは、すでに金利が大幅上昇していることを考えると、金利上昇は思いのほか早めに起きると考えています。
新居の購入も売却と同じく2023年の春までにやってしまうことをおすすめします。
季節から見た家売却のタイミング
一般的な繁忙期は4月・9月
一戸建てを引っ越しの度に購入するような人はまずいません。
一戸建てを買うのは、以下のような条件が整った場合に限ります。
- 安定した収入がある
- 十分な貯蓄がある
- 一定数の家族を抱えている
- その地域に今後定住する予定がある…
こうした条件を考えて絞り込めば、家を買う人は30~40代である程度のキャリアがあり、かつ転勤・転職などのタイミングを迎えた方と想定できるでしょう。
転勤・転職で人口が大きく流動するのは転勤・転職のタイミングである4・9月前後が最も多いので、この時期に合わせて売り出せば売れる可能性は高くなります。
現在は4月・9月以外も取引が増えている
ただ、マイホームという経済的にも人生的にも重要な資産を転勤・転職の直前に即決して購入する方はまずいないでしょう。
事前に異動を告げられた方は半年~1年前から家を探すでしょうし、1、2ヶ月前に転勤を告げられたとしてもまずは賃貸マンションに入居して、それからゆっくり購入物件を探すのが一般的です。
特に今はSUUMOやライフルホームといった不動産サイトの出現により、全国のあらゆる売り出し物件をどこからでもチェックできるようになりました。
引っ越し先の不動産屋に駆け込んで、提示されたおすすめ物件から選ぶような時代は終わったので、最近は昔ほど季節と成約率の相関性はなくなってきています。
エリアの売り出し市場から見た家売却のタイミング
ここまで、家を売るベストタイミングについて解説しましたが、これはあくまで成約時期の話です。
家を売り出しはじめてから成約が取れるまで平均3~6ヶ月はかかるので、春頃に「今がベストタイミング!」と思って売り出したら成約は夏頃になってしまいます。
つまり、春に売ろうとしたら冬前には準備を始めて、人が集まってくる時期にはすでに広告掲載や販売営業が活発におこなわれている必要があります。
地域によるマーケット規模の差
人の転入が最も多い東京・首都圏は平均売却期間が3ヶ月弱、大阪や名古屋など地方の都市部なら平均3~4ヶ月ほど、その他の地方だと平均5~6ヶ月超かかる傾向にあります。
まず、地域によって企業の数や転入者数が異なるので、中古の家を買いたい人の絶対数も地域によって大きく変わります。
地方に住んでいる方は、都市部に住んでいる方より長めの計画で家を売っていく必要があります。
不動産会社に「この地域ではだいたい成約まで何か月かかるのか」をしっかり聞いておきましょう。
不動産会社の戦略・実績によってもタイミングは変わる
家を早く売れるかどうかには、契約した不動産会社の働きぶりも大きく影響します。
業者が一生けん命営業をしてくれれば平均より早く売れますし、逆に手を抜いて営業されればいつまで経っても成約は取れません。
1社のみを見ても質が高いか低いかは分からないので、出来るだけ多くの不動産会社に足を運び、査定額や担当者の人柄を比較するようにしましょう。
- 「なぜこの査定額か」の根拠がしっかりしている
- 物事の説明が専門用語を多用せず、わかりやすい
- 担当者の話が論理的
- 今売るデメリットもしっかり教えてくれる
- 相続や税金にも詳しい
- 過去の売上・実績を躊躇せず教えてくれる
- 過去の実績のうち、戸建て・マンションといったタイプ別の成約件数も快く教えてくれる
家は売るタイミングの違いだけで価格が85%~110%変動する
家の価格査定は、築年数や面積、内部の状態などから総合的に判断されます。
こうして決定した査定額は、売り出し時期に応じて修正されます。これを流動性比率と言います。
これは市場の流動性に対する物件の優劣を比率化したものです。カンタンに言えば「今売り出されている他の物件に比べて、当物件は売れやすいか売れにくいか」をパーセンテージで表したものだということですね。
流動性比率は基準を100%とし、上限(売りやすい)が110%、下限(売れにくい)が85%となります。
かなり競合が弱く、売りやすい時期に売れば相場の1割増で売ることができますが、逆に競合物件が強い時期に売り出すと相場より1.5割安くなってしまうという可能性もあるということです。
家の売却価格が1,000万円とすると、売る時期が違うだけで100万円得することも150万円損することもあります。以下に売るタイミングが大切かわかりますね。
2023年以降は家を売るのに適している?
2022年以前から現在にかけて、戸建て住宅やマンション等を売却される方が軒並み上昇している傾向がみられます。
昨年、2022年には、生産緑地法の効力切れに伴う不動産相場が暴落する事態から売却を進める方が増えている状況が続いています。
昨年に続き、2023年も家を売るには適している年になる可能性は高いです。
その理由として考えられるのが、2022年12月に日銀が金利の利上げを公表したことによって起きる物価下落問題です。
金利が情勝すれば、買い控えをされる方がちらほら現れ、今まで以上に物が売れない状況になってしまう可能性が高いです。
そのような状況を打開する方法として、モノの値段を下げて消費者を募るところが増えていきます。
物価が下がれば、物件の売却価格も減額するので、高値で売れる時に売ってしまおうとする方が、今後も増えていきます。
当然、売り手が増えれば、供給量が増え、売却価格を下げてしまう状況を作り出します。
よって、2023年も2022年同様、高値で家が売れる年にはなりますが、売却を検討しているなら、早急に結論を出すのがいいでしょう。
2023年度以降の家の売り時はいつ?
前節で解説したように、2022年12月に日銀が金利の利上げを公表したことにより、今まで上昇傾向にあった価格指数が、2023年度以降下落する可能性があります。
仮に不動産価格が下落すれば、売り手市場が買い手市場へと切り替わり、本来であれば高値で取引される見込みがあった物件が安値で取引される可能性が出てきます。
しかし、金利の利上げ以外にも、不動産の価格市場動向に影響をもたらす事情が控えています。
ここでは、2023年度以降、危惧すべき不動産の価格市場動向に影響をもたらす事情を2つ紹介します。
2025年開催の大阪万博
1つ目は、2025年に開催される大阪万博がもたらす影響です。
昨今の東京五輪が開催された際にも、都市インフラの整備や不動産開発が行われたことから、大阪万博の開催に合わせて、都市インフラ整備や不動産開発が実施される可能性があります。
整備・開発が実施されれば、不動産価格が東京五輪のとき同様、右肩上がり場称します。
世界情勢の影響
ご存じの通り、不動産の市場動向は、その時の経済状況の影響から常に価格が増減しています。
例えば、昨今のウクライナ侵攻の影響によって、建築に必要な建材の値が高騰し、その影響で新築物件の購入価格が跳ね上がりました。
この価格高騰を受け、新築物件への需要が落ち込み、手ごろな価格で購入できる中古物件の需要が高まり、結果として、中古不動産の価格が上がりました。
この事例から察しがつくように、不動産に欠かせない要素(建材など)が世界情勢の影響を受ければ、玉突きで売買価格に多大なる影響をもたらします。
つまり、納得がいく形で不動産の売買を行うには、不動産会社選びも大切ですが、市場動向に影響をもたらす経済の動きにも着目しなければなりません。
家を売却すべきでないタイミング
家を売却したいと考えている方の多くが、得した形で売却を済ませたいと思っている一方、100%売却が成功するという保障はなく、低確率で売却損を被ることもあります。
また、売却損につながる要因の1つとして、売却時期を見誤った結果が売却損を招いた可能性があります。
ここでは、売却が不利になるタイミングを2つ紹介します。
相場価格の上昇または上昇の兆しがある時期
一般的に、不動産の価格は、市場の需給バランスの状態で決定します。
例えば、市場全体の価格が上昇している場合、購入者の数が売却者の数を上回っていることを示している可能性があります。
この状況では、家を売却するという決定は、将来的には更なる価格上昇を逃す可能性があるという点で不利な状況に陥る可能性があります。
つまり、待ち続けて価格がさらに上昇するのを見ることができれば、更に高い価格で家の売却ができる可能性があります。
税制優遇措置が適用されない時期
不動産を売却する際の税制は、売却者にとって重要な考慮事項です。
いくつかの国や地域では、一定期間所有していた不動産を売却した場合に税制上の優遇措置が適用されるケースがあります。
例えば、所有期間が長いほど低くなる長期所有税や、一定の条件下での譲渡所得の非課税などです。
このような税制優遇措置が適用されない時期に家を売却すると、売却後の手取り金額が減少し、結果的に売却者にとって不利な状況を招きます。
税制は、複雑で変動するものなので、売却を検討している人は税務専門家と相談しましょう。
家を売るタイミングは実際どれくらい重要?
売り時を気にして売却する人は少ない
ここまで、家を売るタイミングを見極めるポイントについて解説しましたが、実際に売り時はどれくらい重要なのでしょうか?
順位 | 家を売る理由 |
---|---|
1位 | 住替え |
2位 | 資産整理 |
3位 | 相続 |
4位 | 転勤・転職 |
5位 | 離婚 |
6位 | 家族との同居 |
7位 | 介護の為 |
8位 | 結婚 |
9位 | 通勤・通学の為 |
10位 | 要らない物件の処分 |
実際に人々が家を売る理由として多いものを見てみると、多くの方がライフイベントを理由として売却していることが分かります。
そのため、多くの方は経済情勢を見極めて売り時を決めるようなことは実施していないことが分かります。
裏を返せば、ライフイベントが発生した時に初めて家を売るために動く人が多いため、売り時で損をしている人も多いということになります。
賃貸経営において売り時はかなり重要
上記は居住用物件(住まい)を売る理由について紹介したものですが、一方で物件を賃貸経営する場合、売り時はかなり重要となります。
不動産投資では、賃料収入などのインカムゲインと、物件を売却して得られるインカムゲインがあります。
このうち、インカムゲインを最大化するためには、物件を安く仕入れて高く売ることが重要になります。
家を売るタイミングを見極める時の注意点
売り時を待つことで損するケースもある
戸建ては築年数の経過によって価値が下がっていくため、売り時を待つことが必ずしも良い結果に繋がる訳ではありません。
売り時を待って後ろ倒しにすることで成約価格が下がるケースもあり得るので、十分に注意する必要があります。
売り時の見極めは不動産会社に相談する
ここまで紹介した家の売り時を見極めるポイントは、実際に正確な分析をしようと思ったら専門的な知識やデータが必要になります。
初心者は自分で判断せず、必ず不動産会社に相談して決めることをおすすめします。
家を売却する時期に関する良くあるQ&A
ここでは、家を売却する時期に関する疑問や知っておきたいことを質問形式で解説していきます。
Q.2~3月に家が売れている傾向にある理由とは?
新生活が始まる4月に先立って、2~3月は新生活の準備期間として利用される方が多く、人の流入も非常に激しい時期でもあります。
この時期に物件が売れやすいというのには、進学や転勤などの事情が大きく絡んでいるため、他の時期よりも物件の売買が頻繁に行われるのです。
築年数の観点から家を売る最適なタイミングは?
高値で売りたいなら築20年以内で売却するのが理想ですが、実際は築30年以上の物件も取引されています。
築年数が古くなるにつれて、物件の資産価値が下落の一途をたどります。
物件を高値で売買するなら、築10年を目安に、戸建ての場合は築5年を目安に売却を検討するのが理想です。
税金の観点から家を売る最適なタイミングは?
住宅の所有期間が5年目を超えたあたりから売却時にかかる税率が大きく下がります。
税金の観点から売却を進めるときは、所有期間が5年もしくは10年を超えたタイミングで検討するのがいいでしょう。
住宅ローン金利の観点から家を売る最適なタイミングは?
住宅ローン金利が低く推移しているうちに売却するのがおすすめです。
住宅購入を検討されている方の多くが、住宅ローンの利用を前提に購入を進めています。
そのため、住宅ローンを利用した際にかかる金利が低い時期ほど、購入者の購買意欲が高く、金利が高いときほど、買い控えをされる方が多いです。
先ども申したように、2023年は2022年に引き続き高値で取引される傾向が強いですが、2022年12月に日銀が金利の利上げを公表したため、徐々に買い控えをされる方が増えます。
よって、売却を検討している方は、高値で取引されている時期に査定依頼を出して結論を出すのがいいでしょう。
家を売るタイミングを見極めて高値で売却しよう
家を売る最適のタイミングは、季節や築年数・相場状況から見ることができます。
2022年は不動産価格が全体的に上昇しており、最適の売却タイミングです。
住替え需要が高まるタイミングに合わせて、不動産会社に査定を依頼しましょう。