紹介サービス名 | フォレスト |
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公式サイトURL | https://forest.openrm.jp/ |
株式会社オープンルームは2017年に設立された、IT技術で不動産業界の最適化をめざす企業です。
現在は不動産会社の面倒な帯替え作業のAI自動化を実現するオンラインソフト「Forest」(フォレスト)を提供し、人気を博しています。
今回はフォレストの特徴・強みから今後の見通しまで、代表取締役の田沼氏に話を伺いました。
※この記事はWebインタビューの内容を再構成したものです。
株式会社オープンルームの基本情報
社名 | 株式会社オープンルーム / Open Room Inc. |
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代表者 | 代表取締役 田沼 豊寿 |
オフィス | 東京都渋谷区渋谷2−2−17 トランスワークス青山3階 |
設立 | 2017年9月 |
資本金 | 25,500,807円 |
オープンルーム設立の経緯・問題意識
―オープンルームの設立経緯と問題意識についてお聞かせください。
株式会社オープンルーム(以下、「オープンルーム」)は、不動産仲介会社向けのオンライン業務効率化サービス「フォレスト」を手掛ける不動産テックベンチャーです。
もともと私は長年、金融機関で不動産に携わり、不動産仲介での起業も経験しました。
そこでわかったのは、仲介業が常に時間との勝負だということです。
しかし、日々の事務作業やデスクワークに追われ、肝心のお客さんとの接客やフォローに時間を裂きにくいのが実情です。
この課題を最新のI T技術を活かすことによって解決できないかと考えたのが、起業のきっかけです。
渋谷を拠点に活動しており、現在の正社員は私含めて5名ですが、そのうち3名がヨーロッパやアメリカ出身の外国人というのも、弊社が業界の中でユニークな点の一つです。
オープンルームが提供するサービス「フォレスト」について
―オープンルームが提供する「フォレスト」のサービスについてお聞かせください。
フォレストは、従来アナログな手法で行われてきた仲介業務を“デジタル化によって10倍効率化させる”ことを目標にした業務効率型オンラインソフトです。
具体的には、1)AIによるマイソクの帯替えの完全自動化、2) OCRを使った契約書面の文字起こしの自動化、3)お客さん毎にオンライン上でURLを発行して物件紹介を行えるクラウド物件提案などの機能が含まれます。
まずAIによる自動帯替え機能です。
そもそも帯(オビ)とは、業界で一般的にマイソクと呼ばれる物件広告の下部に記載される不動産会社の住所や連絡先情報などの記載部分のことです。
お客さんの窓口に立って物件紹介する客付けの不動産会社は、通常レインズで他社発信の物件情報を検索し、広告の帯を自社のものに変更してから顧客に提供しています。
この作業は、通常「帯替え」と呼ばれます。
この帯替え作業で多くの業者は、一度広告を印刷した後に帯部分を折り返した後、自社の帯を貼り付けてあるクリアファイルなどに挟んで印刷し、またそこからスキャンしてPDF形式で保存するといった非常に面倒なフローを踏んでいて、多くの手間とコストが掛かっています。
ちなみに不動産店舗あたりの帯替えにかかる作業時間は、月に約40時間とも言われています。
オープンルームは、この面倒な帯替え作業をAIが自動で行なってくれる技術開発に成功し、2020年4月に同サービスをリリースしました。
フォレストを利用すれば業者は図面広告のデータをオンライン上に簡単に入稿するだけで、自社の帯へ自動に変更できます。
インターフェースの使いやすさに拘ったアプリケーションのため、Web初心者も簡単に編集作業をすることができ、作成したデータはオンライン上に蓄積されるので管理が楽です。
また読み込んだマイソクや契約書などのイメージファイルに記載されている文字をOCRが自動で認識して文字データ化するため、これまで手入力して行なっていた文字起こしの作業がコピペ一つで済む他、含まれるテキストをキーワード検索することでスムーズにチェックしたい物件情報や契約書を参照することができます。
さらに、これまでの物件紹介は顧客毎にマイソクを一枚ずつ紙で印刷し、後日メールで共有する際も一旦紙で印刷をしたのちに複数枚まとめてPDF形式で保存してからメールに添付するという手順で行なわれてきました。
これに対しフォレストでは、メール登録されている顧客毎にオンライン上にお客様専用ページと呼ばれる個別URLを作成し、そこに紹介したい物件データを追加・削除することで自由に管理できます。
ページにはメールチャット機能もついており、お互いに連絡を見失うことなく、スムーズなコミュニケーションが可能となります。
このように、フォレストは仲介会社が日々行う帯替えから物件提案までをワンストップサポートすることで営業効率を10倍高めることができます。
オープンルーム・フォレストの今後の見通しについて
―オープンルーム様の今後の見通しについてお聞かせください。
弊社の理念は、アプリケーションツールの提供を通じて不動産業界の業務を”10倍楽にする”ことです。
もし今までに100時間かかっている作業なら10時間、10時間なら1時間です。
なぜならそれぐらい効率化しないと、お客様に本当の違いを実感して頂けないと考えるからです。
そして最先端のIT技術は実際にそれを可能にします。
我々の役割は、あくまでも公正中立的な立場で不動産会社にI Tツールという有益な武器を提供することです。
弊社が宅建業の免許を有していないのもそのためです。
業務が効率化されることで、街の不動産屋の競争力が促進され、業界全体の底上げに繋がればと考えています。
健全な市場競争は、サービスの質の向上にも繋がり結果、最終的に一般消費者への利益にもなります。
今後も不動産会社のIT黒子に徹してB-to-B SaaSにフォーカスし、不動産購入・消費をサポートして参ります。
―ある不動産会社から「不動産管理は本来、資産管理のはずなのに、物件管理に徹してしまっている」という話を聞きました。
ITによる業務効率化が導入されることで、不動産によって人々の資産を提供・管理するという本来の働き・魅力がブラッシュアップしていく可能性を感じます。
一言に不動産会社といっても様々です。
中には昔ながらの営業スタイルを続けている老舗業者もいれば、データなどを駆使した効率的運営を行なう新興企業もいます。
それぞれの業者が個々の強みを持っているはずなのに、差別化しづらいのが不動産業界です。
鍵は、不動産エージェントにおける顧客へのマインドシェアにあると考えます。
日々の雑務に時間を取られ過ぎて、顧客への細かいフォローに気が回らないケースが多いと聞きます。
これの課題をIT導入によって雑務時間を減らし、開いた時間を接客に回すことで解決できると考えます。
―フォレストに関しては今後、機能拡充などの見通しはありますか?
マイソクなどのイメージデータをAI-OCRで自動認識して文字データ化することは既にできていますが、今後はそれらを物件名、所在地、金額などによって分類し、データベース化に挑戦していきます。
もともと「フォレスト」のサービス名は、デスクの上などに堆く積み上がった物件資料をデジタル化することで紙の山を「データの”森(forest)”」に変えるという目標に起因します。
これまでは紙やPDFなどバラバラに管理されていた物件情報をフォレストで一元的に保存、編集、管理することで、捨てられて機会損失でしかなかった物件情報が個々の不動産会社における固有のデータ資産へと生まれ変わります。
仮に不動産営業マン1人につき1日あたり5物件の情報を紙で取り扱っていたとしたら、1年で1,000物件もの物件情報をデータとして蓄積することが可能です。
また素晴らしいのは、データベース化を実現する上で何一つ新しい工程を必要としないことです。
単純にこれまでオフラインで分散して行われてきた作業をクラウド上のフォレストに置き換えるだけで、業務効率化とデータベース化の両方を実現することができます。
―データが一元化されれば自社資料としての価値が生まれるだけでなく、顧客への提案の質も高まりますね。
従来はエリアごとに資料をファイリングして、それを提案時に引っ張りだしてPDF資料を作るという作業をしていましたが、これでは情報を一つの視点でしかグループ分けできません。
一方、フォレストを使って情報をデータベース化していけば、情報の分類方法を変えてマップやグラフ化した上での提案が容易になります。
―余談ですが、不動産会社が未だ「胡散臭い」「不透明」というイメージを持たれる理由って、提案時に何だかよく分からない資料を奧のほうから引っ張りだしてくるイメージと非常に相関性があると思うんです(笑)
人々に少なからずWeb・IT=進歩的、透明性が高いという認識があることを考えると、情報のデータベース化は単なる管理の簡略化以外にも多数のメリットがありそうですね。
以前、クライアントの不動産会社様が仰っていて印象的だったのが、「IT導入レベルの高さがお客様からの信頼に繋がる」という言葉です。
トレンドなIT技術やサービスを使いこなせているかどうかという視点は、顧客が業者を選ぶ上で確実にあるようです。
そういった意味では、フォレストをご利用される不動産会社に付加価値を十分に提供できると感じています。
―最後に、会社全体の展望・見通しについてお聞かせください。
まずは、全国の不動産会社様に弊社サービスをより多く知って頂くことを目指しています。
そのために、どなたでも簡単に登録してご利用頂ける完全無料の帯替えアプリ「フォレスト」を展開しています。
ぜひ一度手に取って頂き、ソフトウェアの魅力を感じて頂きたいです。
弊社は、今後も不動産×ITを切り口に様々な課題解決に挑んで参ります。
ゆくゆくは不動産テックのリーディング・カンパニーとして、市場を牽引していく存在を目指しています。
―不動産テックの企業は多数ありますが、大手で製品が幅広く導入されているのに、業者側が使い方を理解できず別途で使い方セミナーを開催しているようなところも少なくありません。
それが悪い訳では決してないですが、御社のフォレストは業者が1日の業務を送る上で誰もが感じる不満点へピンポイントに効果を発揮する、業務にそのままハマるという点に違いを感じました。
昨今の不動産テックにおける盛り上がりは素晴らしいことだと感じます。
多くの企業が市場の異なる課題に着目して取り組まれているのはもちろんのこと、市場における適度な競争は歓迎されるべきです。
これは不動産業界に限らずだと思いますが、IT化・デジタル化が進むことでマーケットはより細分化されていくと感じています。
弊社は、裾野の広い不動産業界の中にあって、あくまでも不動産仲介などの流通分野における課題にフォーカスして業務効率化を促進していきたいと考えています。
<インタビューは以上です。>