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マンション売却

一棟アパート売却の価格相場はいくら?適正価格の求め方と高く売るための不動産会社の選び方

一棟アパート売却の価格相場はいくら
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収益が見込めない一棟アパートを売りたいと思っても、いくらで売れるのか検討が付かない…という方は多いです。

更に、ネットを見ると「今売ると絶対損」「アパートを売る人はバカ」なんて、信用すべきか無視すべきかわからない情報が氾濫していて、余計わからなくなってきます。

今回はそんな人のために、アパートの売却相場はいくらなのか、高く売るにはどうしたら良いのかという情報を正確に、わかりやすく解説していきます!

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Contents

中古アパートには定価がないため売却時には相場のチェックが必須

中古の1棟アパートは1億円以上で売れるものから、1,000万円も満たないものまであります。

状態や間取り、部屋数、立地によって価格は大きく変わります。更に世界情勢や金融状況、周囲の都市開発などによっても上がり下がりします。

そのため「築○○年のアパートは△千万円で売れる!」と断定することはできないのです。

そもそもアパートは売り物ではないので、定価というものがありません。自分で相場を調べて、購入希望者と交渉していく中で価格は決まっていきます。

アパートの売却相場の決め手となるポイント

アパートの売却相場は何も適当に決定されている訳ではありません。

中古アパートには定価がありませんが、それでも価格設定の上でチェックされるポイントは、どの業者も共通して存在します。

ここからは、アパートの売却相場の決め手となるポイントを紹介していきます。

ポイント➀入居率

アパートの売却相場を算出する大きな指標となる収益還元法は、それぞれのアパートの利回りがベースになります。

つまり、投資をすることで儲けの出るアパートほど、売却相場は高いのです。

アパートの部屋が埋まりやすいかどうかは、そのエリアのトレンドや日当たり、眺めの良さなど数値化しきれない要素も多々関係しているので、実際の入居率の高さは大きな評価の根拠になるのです。

高額売却を目指すなら、空室を早めに埋めておくことをおすすめします。

ポイント②家賃滞納者の有無

アパート売却は基本的にオーナーチェンジ(入居者のいるアパートを売買)でおこなわれます。

すでに多数の入居者がいるアパートならコンスタントに利益が得られることを想定して購入されますが、その中で家賃滞納者がいれば、計算が狂ってしまいます。

また、家賃滞納者やクレーマーが居住していると近隣住民にも悪影響を及ぼし、早期の退去につながりかねないので注意が必要です。

ポイント③立地条件

アパートの売却相場は立地条件によっても大きく変わります。

都心のアパートと田舎のアパートなら、グレードや築年数がどうであれ、都心のアパートのほうが高くつく可能性は高いです。

街の規模や中心部へのアクセスの良さの他にも、スーパー・コンビニや医療施設が周辺にあるかどうかというのも大きなポイントになります。

1棟アパートの売却相場を計算する方法「収益還元法」の仕組み

1棟アパートの売却相場は、収益還元法によって算出されます。

これは、将来的な投資利益を算出し、そこから現在のアパートの定める方法です。

この方法では、以下の式を使って価格を求めます。

(1年間の賃料収入-1年間の運用コスト)÷還元利回り

還元利回りは、収益の総計÷アパートの価格で求められます。

例えば、100万円のアパートの部屋5つが埋まっており、家賃を月6万円で貸し出しているなら、月の総収益は5×6=30万円、年間では360万円となります。

この際、還元利回りは360万円÷100万円=3.6%です。

更に1年間の運用費が10万円かかったとすると、売却相場は以下のようになります。

(100万円-10万円)÷3.6%=2,500万円

ただ、都市開発の状況などで、今後更なる入居者が見込めない場合などは、査定価格を下方修正します。

また、満室の部屋数が同じでも大きなアパートならその分本体価格・コストが大きくなるので売れにくくなります。

計算で相場を算出できますが、必ずしもその価格で売れるわけではないのです。

収益還元法の計算方法は直接還元法とDCF法の2種類

上で紹介した方法は直接還元法と呼ばれる計算の仕方です。

その他にも、収益還元法にはDCF法というやり方があります。

Discounted Cash-Flowの略で、アパートに価値が付く間、投資をして得られる純利益と、期間満了後に売ることで得られる利益を予測し、今の価格に割り戻して合計するという方法です。

直接還元法より査定の精度は高いですが、内容が複雑すぎるので一般の方が相場を調べるのには向いていません。

DCF法で価格を知りたいという方は、不動産会社に問い合わせてみることをおすすめします。

収益還元法以外にも2種類の相場計算方法がある

アパートの相場計算は収益還元法だけでなく、その他に以下の2種類があります。

  • 原価法
  • 取引事例比較法

それぞれの手法の内容を、ここから詳しく見ていきます。

原価法

原価法は、アパートの売却相場を調べる上でのベースとなります。

原価法は、売りたいアパートを建て壊し、同じアパートを新築するといくらかかるかをまず予測します。この価格を再調達価格と言います。

再調達価格は、アパートが築一年以内の時の価値とほぼ同じ意味と考えられます。

その後、売りたいアパートの築年数に応じて減価修正をおこないます。

こちらの計算は(耐用年数の残り÷耐用年数)で求められますが、構造ごとの耐用年数はすでに以下の通り決まっています。

法定耐用年数まとめ

例えば、築20年の木造アパートの減価修正率は(22-20)÷20=0.1と求めることができます。

その後、以下の式で相場を求めるようになります。

価格=再調達価格×延床面積×(耐用年数の残り÷構造ごとの法定耐用年数)

取引事例比較法

取引事例比較法は収益還元法とは違い、居住目的でアパートを売却する際に用いられる手法です。

近隣の類似物件がいくらで取引されたかのデータを大量に集め、それをもとに価格を算出します。

例えば、ここでは直近1年前に木造、築20年のアパートA、Bが取引されたとして、その事例をもとに価格を求めます。

ちなみに、プラザ荘とアパートA、Bの成約価格、面積は以下の通りとします。

面積 成約価格
プラザ荘 50㎡
アパートA 40㎡ 3800万円
アパートB 100㎡ 7500万円

この時、プラザ荘の概算値はこちらの計算式で求めることができます。

(3800万円÷40+7500万円÷100)×50÷2=(95万円+75万円)×50÷2=4250万円

上で紹介した相場の調べ方に近いやり方ですが、大手や実績のある業者は出回っていない自社独自のデータを多数保管しているので、更に詳しい相場を算出できます。

相場の計算法を理解したら査定額を上げられる?

どのように査定額が算出されるかを理解したところで、それを利用して査定額を上げるのは難しいでしょう。

査定額通りに売れるとも限らないので、逆に査定対策などはせず、ありのままの相場を出してもらった上でどうするか考えていくことをおすすめします。

それよりも、複数社の査定額を比較して、高く評価してくれるところを探す努力をしたほうが、ずっと高額売却の可能性は高くなりますよ。

アパート売却相場を簡単・正確に調べる方法

収益還元法を使えば相場を計算できますが、実際は周囲の状況やタイミングによって価格を修正します。

そこまで個人で正確に求めるのは難しいですが、近い値を求めることはできます。

ここからは、初心者でも簡単にできる相場の調べ方を紹介していきます。

売り出し中のアパート情報を見る

周辺地域で売り出されているアパート情報を、掲載するサイトから確認するのも一つの手です。

売り出し中の投資用アパートなら、「楽待」というサイトにまとめてあります。

ここで地域・築年数・間合いなどが近しいものを調べれば、自分のアパートがいくら位で売れるかもすぐ分かります。

実際に楽待でアパートの売却相場を調べてみた

まず、楽待の公式サイトにアクセスしましょう。

楽待

すると、トップページ上部に「収益物件を探す」という部分があるので、こちらをクリックします。

すると、楽待に登録されている収益物件を絞り込み検索できる機能が横についています。試しに「一棟アパート」「東京」で検索してみましょう。

楽待_収益物件を探す

するとこのように、東京の売りに出されている収益アパートの情報が出てきました。

楽待_収益物件

気になる物件をクリックすると、このようにより詳しい情報を閲覧することができます。

周辺地域の似たような間取りのアパート情報を集めれば、自分のアパートがどれくらいで売れるかの予測をある程度付けることができます。

REINSはピンポイントな情報が手に入る

REINS Market Informationは、国土交通省の指定を受けている不動産流通機構によって運営されている不動産情報サイトです。

このサイトでは、マンションやアパートの実際の売却額を、直近1年間の事例のみ閲覧することができます。

また、地域や駅までの距離、築年数、間取りといった条件を決めて、かなり詳細な絞り込みをおこなうことも可能です。

マンションの買い手の方が知っておきたいサイトではありますが、自分の物件の情報を入れて検索する事で、売り手も売却額を予想できるといったメリットがありますよ。

情報量が必要なら土地総合情報システム

REINSは、細かい条件設定をして、ピンポイントな情報を取得できますが、情報量が1年間と限られています。

「REINSを利用しても情報がない」という場合は、土地総合情報システムを利用してみましょう。

このサイトでは、国土交通省のアンケート調査に基づく、過去5年間のマンションやアパートの売却額(成約価格)を公開しています。

REINSとは違い、長期間の価格を見る事ができるので、現在が増額傾向なのかどうかも予測する事が可能です。

一方、絞り込み検索がを詳細には出来ないので、両サイトを兼用していくのがおすすめです。

不動産情報ライブラリからアパート売却相場を調べてみた

不動産情報ライブラリ

まずは「不動産情報ライブラリ」のサイトを開き、不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロードというところをクリックします。

不動産情報ライブラリ_不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード

すると、このような検索画面に飛びます。

ややこしいのですが、左の「種類を選ぶ」というカテゴリにはアパートの区分がありません。

アパートを検索したい時は「中古マンション等」というところをチェックしましょう。

不動産情報ライブラリ_不動産価格_検索結果

すると、このように指定した期間中に成約した中古マンションの情報が多数出来ます。

ここで確認できる情報は、以下の通りです。

  • アパートの所在地
  • 最寄り駅(名称・距離)
  • 取引総額
  • 間取り
  • 面積
  • 用途
  • 改装の有無
  • 今後の利用目的
  • 建築年
  • 構造
  • 都市計画
  • 建ぺい率
  • 容積率
  • 取引時期

ただ、このままではアパートなのかマンションなのかの区別が付きません。

アパートに絞るには、「構造」という部分をクリックしてください。

不動産情報ライブラリ_不動産価格_構造

するとこのように、構造別に絞り込み検索することができます。

一般的には木造、木造モルタル造、軽量鉄骨造(LGS造)がアパートで、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)がマンションですから、ここでアパートを絞り込めるはずです。

不動産情報ライブラリ_不動産価格_構造_検索結果

2017年第2四半期~2018年第1四半期で東京の軽量鉄骨造アパートを絞り込み検索すると、こちらの2件が出てきました。

2件だけでは相場のサンプルとしては少ないので、更に期間を広げたり、地域を絞ったりして、自分のアパートに似た事例を探していきます。

これでだいたいいくらで売れるかがわかります。

アパートの利回りが分からない場合の売却相場の求め方

アパートの利回りが分からなかったり、周辺に賃貸アパートが少なくて相場がわからなかったりした時に利用されるのが原価法です。

原価法なら周辺エリアに関わらず売却相場を算出できるので、幅広いケースで利用することが可能です。

原価法で求める金額は、積算価格と呼ばれます。

積算価格は建物のみ、土地のみで計算することが出来ず、建物と土地の総和で算出されます。

そのため、既成市街地に建てられたアパートなど、土地の造成費用などが分からない場合は原価法を用いることが出来ません。

この場合、過去の成約事例が豊富な場合は取引事例比較法が使われます。

また、土地価格を路線価額から求めた上で、原価法で算出するというケースもあります。

アパートの積算価格は、銀行が融資を決める上での指標にもなります。つまり、利回りとは別に積算価格が高くて融資が受けやすければ、その分だけ評価を受けて価格が高まる可能性も十分あるのです。

そのため、アパートの売却相場を調べる際は収益還元法で算出した価格と積算価格のどちらも重要になってきます。

アパート売却の流れ

アパート売却相場を調べるとともに、売却活動の大まかな流れを把握していきましょう。

アパート売却の流れは、以下の7ステップで進んでいきます。

  1. アパートの売却相場を把握する
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 売却方法を決定する
  4. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  5. 販売活動・内覧
  6. 売買契約
  7. 決済・引き渡し

ここからは、それぞれの手続きを流れに沿って紹介していきます。

【Step1】アパートの売却相場を把握する

まずは、アパートの売却相場を把握することから始めましょう。

アパートがだいたいいくらで売れるかを把握していないと、果たして売るべきかどうかを確かめることすらできません。

特にローンを借りている場合は残債を完済してからでないと売却できないので、最新の住宅ローン残高と売却相場の比較は必ずおこないましょう。

【Step2】不動産会社に査定を依頼する

アパートの売却相場がだいたいわかったら、実際に不動産会社へ査定を依頼しましょう。

不動産会社の査定額は、大きな外的要因がなく、通常の期間で売却できた時に見込める金額を、自社ベースで算出するのが一般的です。

そのため、業者の規模や実績・保有しているデータの質によって、価格に差が生じるのです。

高額でアパートを売却したいなら、できるだけ複数社の査定額を比較し、高値を付けてくれた業者と契約することをおすすめします。

【Step3】売却方法を決定する

アパートの売却方法は、住民を退去させて空室を売る方法と、入居者をそのままにして売却するオーナーチェンジの2通りがあります。

空室にして売る方法とオーナーチェンジには、どちらもメリット・デメリットが存在するので一概にどちらが良いとは言えません。

立ち退き後に売却 オーナーチェンジ
メリット
  • 購入用途が豊富になって売れやすい
  • 迷惑な住民を追い出せる
  • リフォーム・修繕が容易になる
  • 入居募集の時間・手間がかからない
  • 物件運用のデータ・前例が豊富にある
  • ローンを利用すれば低コストで運用開始できる
デメリット
  • 高額の立ち退き料・慰謝料が必要
  • 買主は1から入居者を募集しなければいけない
  • 部屋の状態が分からない
  • 悪質な入居者にあたる恐れがある
  • 前オーナーの管理状況が悪い場合もある

賃貸借契約は基本的に借主の意思で契約更新ができるので、一旦期限が切れたから契約を更新せず退去してくれと言っても、住民は納得しません。

オーナーが立ち退きを要求する際はよっぽどの正当性(正当な事由)がないと難しく、高額の立ち退き料を支払ったとしても退去してくれないケースはあります。

そのため、ほとんどの場合でアパートの売却方法はオーナーチェンジが採用されます。

【Step3】不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定額・売却プランに納得したら、いよいよ不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約は、レインズの登録や進捗報告の頻度、仲介手数料の価額などを決定していきます。

この媒介契約には3種類の契約方法があり、それぞれ長所・短所があるので注意しましょう。

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
メリット
  • 契約から5日以内に業者はレインズへの登録が必須
  • 不動産会社の販売活動へのモチベーションが高くなる
  • 自己発見取引が可能
  • 1週間に1回以上は進捗報告の義務がある
複数の不動産会社と契約できる
デメリット
  • 1社としか契約できない
  • 自己発見取引ができない
  • 業者変更が難しい
  • 業者によってはモチベーションが落ちる
  • 自己発見をしても仲介手数料の支払い義務が発生する
  • レインズ登録が義務ではない
  • 業者のモチベーションが上がりにくい

【Step4】販売活動・内覧

仲介業者と契約を結んだら、販売活動を実施していきます。

この際、仲介業者が広告作成や販売営業をおこなっていき、売主は定期的に進捗の報告を受けます。

ただ、この時に売主は何もしなくて良い訳ではなく、内覧準備の清掃・整理整頓をどんどん進めていく必要があります。

特に第一印象に大きく関わる玄関や水回りは力を入れて清掃しましょう。

老朽化したアパートで売主自身が清掃するのに限界がある場合は、ハウスクリーニング業者に依頼するのも一つの手です。

【Step5】売買契約

内覧が上手くいくと、購入希望者から購入の申付けが送られます。

こちらが送られたら、売買契約を結ぶようになります。

売買契約書は自由なフォーマットで作成できますが、以下の13項目は確実に記載しておくことをおすすめします。

番号 項目 内容
売買物件の表示 物件の面積や間取り、権利者などの詳細
売買代金、手付金額、支払い日 売却代金の詳細(金額・ペナルティなど)
所有権の移転・引き渡し日 物件の所有権はいつ移転されるかの明記
公租公課の精算 物件に関わるさまざまな費用を引き渡し日を基点に日払い計算した結果
反社会的勢力の排除
ローン特約 売買契約から引き渡しまでに受ける住宅ローン審査が不通過だった場合、契約を白紙化できる特例
負担の消除 所有権移転までに抵当権などの担保権・賃借権などの用益権などの一切の負担消除を約束
付帯設備等の引き渡し 付帯設備をそのまま物件に付けたまま引き渡すこと、故障等の有無を確認
手付解除 契約キャンセル時の手付金と解除の要件
引き渡し前の物件の滅失・毀損 引き渡し前に災害などが起きた場合どうするかの確認
契約違反による解除 契約内容を違反したときに解除になること、またその際のペナルティの確認
瑕疵担保責任 引き渡し後に欠陥が見つかった場合、何か月(年)以内なら売主に責任を求められるか
特約事項 その他、法的な順守義務のある項目(強行規定)以外に、売買者間で定めた独自の項目(任意規定)

その他、売買契約までに話し合った諸条件は、確実に契約書へ記載があるようにしておきましょう。

契約不適合責任制度での契約の注意点

2020年4月1日に民法が改正され、契約不適合責任制度に変更されました。

これまでの瑕疵担保責任と異なり、売買契約の重要性は増したと言えます。

  • 瑕疵担保責任:“社会通念上”、生活を妨げるような欠陥を告知しておかないと売主に責任が生じる
  • 契約不適合責任:契約書に違反する内容が発覚すると、売主に責任が生じる

瑕疵担保責任よりも過失が生じる範囲が明確化しましたが、一方で売主側は契約書を注意して作成する必要が出てきました。

契約不適合責任制度ではこれまでの告知不足という意味ではなく、明確な契約違反として処理されるので、請求の中身も重くなっています。

項目 瑕疵担保責任 契約不適合責任
修理・代替物等の請求 ×
損害賠償
契約解除
代金減額 ×

契約不適合責任制度では、特に以下の2点を確実におこないましょう。

  • 特約・容認事項を詳細に書く
  • 設備に関する免責事項を明記する

※契約不適合責任の詳しい解説はこちらにまとめています。

【Step6】決済・引き渡し

売買契約を結んだら、最後に代金の決済と物件の引き渡しをおこないます。

この際、ローン残債があれば代金を使って一括返済した後、抵当権の抹消登記をおこないます。

アパート売却にかかる時間は平均3~6ヶ月!タイミング次第で期間短縮も可能

不動産会社にアパートの仲介売却を依頼すると、そこから成約が結ばれるまで平均3~6ヶ月かかります。

売却までの流れとかかる時間は、以下の通りです。

手順 手続きの内容 かかる期間の目安
仲介業者決定 1週間
売り出し・内覧の準備
販売活動 約1~3か月
売買契約
引き渡し準備 約1.5か月
引き渡し・決済

ただ、買主が欲しいといわなければ売れないので、運・タイミング次第で期間は大きく前後します。

すぐ売れると言われていた物件が成約まで1年近くかかった例もあるので、なるべく期間を長めに設定しておきましょう。

どのタイミングで売り出すとアパートが早く売れる?

アパートを早く高く売りたいなら、売り出すタイミングが重要です。

例えば以下の4つが、おすすめの売却ポイントに挙げられます。

  • 転職・転勤の多い2、3月に売り出す
  • 満室になっている時に売る
  • 地価が上昇したタイミングで売る
  • 減価償却期間が終わったタイミングで売る

売り出す時期を決めてそこまで我慢をするのは面倒ですが、周りが誰もやっていない分、ライバルを出し抜ける確率が高いですよ!

競合が少ないと相場の1割増で売れる?流動性比率について

上のような条件を満たすタイミングで売ると、ただ競合を出し抜けるというだけでなく、査定評価も高くなります。

不動産会社が物件の査定をする際は、収益還元法や取引事例比較法などで一旦ベースの金額を算出し、そこから流動性比率を使って修正します。

【流動性比率】

市場の流動性に対する査定物件の優劣。わかりやすく言えば、現在売られている競合と比較してどれくらい優れている(売れそう)かを示す。基準を100%とし、上限が110%、下限が85%となる。

良いタイミングで売り出せば、相場の最大1割増で売れます。一方、タイミングが悪いと価格は相場の1.5割低くなります。

高く売るためには、タイミングが非常に重要なのです。

アパート売却相場を調べる際の注意点!成約価格が相場より低いケースに注意

一括査定サイトを含めてアパートの相場を調べる方法を紹介してきましたが、かならずしも相場通りに売れるわけではありません。

現状としては、相場通りに売れたケースが5割で、残りの5割が相場以上に売れた人と相場以下で売れた人が半々です。

相場以下で売れたケースの多くは長期売れ残りの打開策として、売主と業者が話し合い、自らの意思で値下げをするケースが多いです。

不動産売却の平均期間が3~6か月なので、6か月を過ぎた頃に値下げを考えていくのがセオリーです。

いざ値下げをする場合は、まず50万円を下げ、それから数か月経っても売れなかったらもう50万円下げるのがおすすめです。

値下げ幅が小さすぎると効果はないですし、大きすぎると損です。

自分の利益も見込める範囲内で値下げはしていくようにしましょう。

価格交渉で更に下げられることもある

値段を下げて内覧をクリアできたからといって、気を緩めてはいけません。その後の価格交渉で、買主から更なる値下げを提案されることもあるからです。

向こうも素人なので無茶な値下げを要求されることも多いですが、価格の1割程度までなら応じる売主も少なくありません。

広告から問い合わせをもらい、内覧を通過するまでにも時間がかかりますし、高額を払ってくれる買主がどうしても優位になるので、相手が冷めないうちに契約を結びたいと思う人が多いからです。

ただ、手取りいくら必要かというのはそれぞれの目的によって違いますから、自分の中で「値下げは○○万円まで。それ以上はどんな理由があっても絶対だめ!」という線引きをしておく必要があります。

アパート売却相場から税金・手数料を引いた価格(手残り)も考えよう

アパートを売ると以下のような費用がかかります。相場通りに売れたとしても、こちらの費用総額100万円ほどが差し引かれることになるのです。

  • 印紙税
  • 譲渡所得税
  • 消費税
  • 仲介手数料
  • 賃料の一部
  • 立ち退き料
  • その他、売却にかかる費用

かかる税金・費用を計算する方法はこちらにまとめています。ぜひ参考にしてください!

アパートの売却相場が分かったらすべき2つのこと

アパートの売却相場を詳しく知ることができれば、今後の販売活動をかなり有利に進めることができます。

では、相場がわかったら次に何をすれば良いのでしょうか?

①相場を理解している知見の広い営業マンを探す

売却相場をしっかり理解していると、不動産屋に査定を依頼した時、その価格の根拠がしっかりしているかどうかを見抜くことができます。

有能な営業マンなら、なぜこの査定額になったのか、物件のプラス面とマイナス面を挙げた上で、現在の相場も鑑みて、どう価格をつけたのかを詳しく説明してくれます。

もしあなたが相場を調べていないと、営業マンの話の半分も理解できないでしょう。

悪徳業者ならあなたのアタフタする様子を見て、相場を無視した価格を付けて騙すこともあります。

詐欺に合わないためにも、事前に相場をしっかり調べて、査定額が常識の範囲内かをチェックする必要があるのです。

②相場を踏まえていくらで売るか考える

アパートは相場通りに売らなければいけないわけではありません。

実は、中古物件は売主の意思で、いくらで売っても良いのです。

ただ、相場よりも1000万円以上高く売れば、当然買い手は付きませんし、逆に相場より安く売りだしたら損をしてしまいます。

売り出し価格を決める際は今まで調べておいた売却相場がかなり使えます。

相場感を踏まえた上で各社の査定額も参考にし、相場よりは少し高いけど買い手が付きそうな価格のギリギリを狙っていくのが、高く売るためには重要ですよ。

アパートを高く売るには不動産会社選びが重要!大手と中小どちらがおすすめ?

アパートを売ると言っても、持ち主自身が宣伝をして交渉をする…というわけではありません。

個人でアパートを売るには限界があるので、販売活動のほとんどはプロの不動産会社にお願いするようになります。

「アパートを高く売る」ということは、「高く売ってくれる不動産会社と契約する」ということとほぼイコールなのです。

全国展開の大手と地域密着の中小・どちらと契約すべき?

不動産会社には三井のリハウスに代表されるような大手仲介業者と、長年地元で営業している街の不動産屋がいます。

どちらにもメリット・デメリットがあるので、依頼する際は注意が必要です。

売却活動のコスト高い低い

【比較項目】 大手 地元中小
おすすめエリア 都市部・住宅地 地方・郊外
おすすめエリア 都市部・住宅地 地方・郊外
売却活動のコスト 高い 低い
集客力 高い 低い
ネットを使った宣伝 不得意 得意
不動産タイプごとの実績 タイプに関わらず平均的 得意・不得意がはっきりしている
地域の情報 持っていない 独自情報を持っている
担当者の対応 比較的ドライ 親身になってくれる
囲い込みの危険性
最新の市場動向 対応 未対応なことも多い
検査・保証 しっかりしている 対応が不十分な場合もある

一見すると大手のほうがサービスが良さそうですが、アパートを売る際は注意が必要です。

大手の担当者は1人で多くの案件を抱えており、利益が高そうな案件から取り組んでいきます。

アパートはマンションや戸建てよりも売れにくいので、契約しても後回しにされる可能性が高いのです。

一方、街の不動産屋は一つ一つの案件にじっくり取り組んでくれますが、保証サービスやネットを使った宣伝に弱いというデメリットもあります。

どちらがお得とは必ずしも言えないので、両方に査定を依頼し、比較してみることをおすすめします。

アパートを何件仲介売却したか聞いてみよう

査定額が高く、対応も良い業者が見つかったとしても、まだ信頼してはいけません。

「実績十分!」とPRしていても、その実績のうちアパートの売却実績が何%を占めているかわからないからです。

契約前に直接、「直近のアパートの成約って何件ですか?」と聞いてみましょう。

1年間の仲介実績が1,000件でも、アパートがそのうち10件未満なら、信頼はできません。

しっかり何件か答えてくれるならまだ信頼できますが、「えーと、そうですねー…」と言葉を濁すようであれば不安が残ります。

過去の実績は包み隠さず教える義務があるので、隠しているようなら契約後も重要な情報を告知してくれないかもしれません。

こうした相手とは契約しないようにしましょう。

アパートを売却する時に不動産会社を選ぶポイント

アパートを売却する時は、業者の規模に捉われず不動産会社を比較していくのが重要だということが分かりました。

では、最終的に不動産会社を決定する際は、どこを見て選ぶのが良いのでしょうか?

最も大きな目安になるのが、不動産会社が算出する査定額です。

ただ、査定額だけを見て業者を決めるのはリスクでもあります。

その査定額が正確で、緻密な計算をして算出した数字とは限らないからです。

そのため、まずは査定額を比較し、その上で高い査定額通りに売れるかどうかを、不動産会社の実績や規模などからチェックしていく必要があります。

ここからは、アパート売却で不動産会社を選ぶポイントを紹介していきます。

ポイント➀アパートの売却実績の多さをチェックする

いくら評判が良くて査定額が高くても、戸建ての取り扱いが99%の不動産会社に依頼をするのは少なからずリスクがあります。

アパートを高く売るためには、物件の状況や経済情勢などに合った売り方をしなければいけないので、アパート売却の経験が豊富な不動産会社に依頼したほうが良いのです。

不動産会社の公式HPには「昨年の販売実績が累計○○万件!」というように、ざっくりした数字しか記載していないケースが多いですが、できるだけアパートのみの売却実績を聞いて確かめるようにしましょう。

②売却戦略の質をチェックする

不動産会社にただ仲介売却を依頼するといっても、マニュアル通りに売るのか、それとも物件にあった売り方で高額売却を目指すのかでは大きな差があります。

プロモーション・広告・契約方法・検査の有無など、どれだけ細かい内容を業者が考えてくれているかは契約の大きな決め手になります。

不動産会社は閉鎖的な業界と言われており、「このアパートなら普通○○万円でしか売れない」というように、詳しい根拠を提示せず価格を決めつける業者も多くいますが、こうした業者は販売活動に柔軟性がないので、景気の下落などが起こった時に対応してくれにくいという側面があります。

③査定額の根拠をチェックする

査定額が高くても、その価格を算出した根拠が曖昧では、契約するのにリスクが生じます。

複数社の査定額をチェックする際は、金額だけでなく、その根拠も必ずチェックすることをおすすめします。

査定額の根拠がしっかりしているということは、逆に言えば査定額以上で売る方法・リスクも知っている可能性が高く、相場以上で売れやすいです。

④担当者の人柄・コミュニケーション力をチェックする

不動産会社を選ぶ際は、担当者の人柄やコミュニケーション力もしっかりチェックしましょう。

その辺は関係ないことも多いですが、長い期間を2人3脚でゴールに向けて進んでいくことを考えると、人としての相性も意外と重要になります。

また、あなた疑問・不快に思うことがあるなら、販売営業先や購入希望者もそう思う可能性が高いので、注意が必要です。

コミュニケーション力・髪型・服装・口調などもしっかりチェックしておきましょう。

人を見た目で決めつけるのは良くないですし、しっかりした印象でなくても優秀な営業マンは存在しますが、彼らは所詮、例外です。

アパートという重要な資産の行方を任せると考えれば、業者選びはこだわり過ぎるくらいが丁度良いと思っておきましょう。

アパート売却は複数社の査定を比較するのが大切!不動産一括査定サイトを活用しよう

不動産査定

アパートを売る際は最初に査定を依頼しますが、これは不動産会社が「これくらいの金額で売ります」という意思表示でもあります。

そのため、比較して高値査定のところと契約すれば、高額売却できる可能性は格段に上がります。

査定を複数社に依頼するときにおすすめなのが、一括査定サイトというサービスです。

物件の簡単な情報を入れるだけで複数の業者に査定を依頼することが可能になります。

通常、査定というのはそれぞれの業者に依頼するものですが、このサービスでは一括で簡単に申し込めますし、データを集めやすいです。

不動産売却では査定する業者によって利益が300万円ほど変わってしまうといわれていますが、このように複数業者の査定額を確認できれば、大きく損をするということはありませんし、市場全体のイメージもしやすくなるでしょう。

一括査定サイトの詳しい使い方はこちらに掲載しています。ぜひ参考にしてください!

アパートは相場以上で高く売るのが比較的容易!その理由とポイント

不動産の売却相場は築年数やアクセス、構造などの項目によってほぼ決まるケースが多く、売主が努力をしても上げられる金額はそこまで高くないのが普通です。

一方、アパートのような収益物件は、物件の収益性が評価されるので、上記のような居住用物件よりも相場以上で高く売りやすいのです。

アパートを相場以上で売りたいなら、賃貸物件としての価値を高めた上で売りに出すのがおすすめです。

ここからは、賃貸物件の価値を高めるポイントを紹介します。

ポイント➀できるだけアパートを満室にしておく

アパート売却ではオーナーチェンジの方法が一般的ですが、この方法では引き渡し日から入居者の家賃が引き継がれるので、空室が少ないほど買い手にメリットが多く、収益性も高くなります。

また、実態はどうであれアパートが満室であれば評価は高くなるので、契約内容を変更したり、募集広告に力を入れたりして一気に入居者を増やすのも一つの手です。

空室を解消するためによく利用されるのがフリーレントです。

フリーレントとは入居後1~3か月の家賃を無料にする契約形態で、これにすることで入居率が高くなりやすいです。

ポイント②家賃の金額をキープする

アパートが劣化していくと、家賃が低くなっていきます。

入居者数を維持しても家賃が下げれば意味がないので、家賃の維持にも力を入れる必要があります。

家賃を維持するためには、適切なリフォームをおこなうことができます。

費用はかかってしまいますが、長い目で見るとプラスの収益になりやすいです。

ポイント③家賃滞納などのトラブルは解消しておく

賃貸アパートが家賃滞納などのトラブルを抱えている場合、早めに解消することで売却価格は高まりますし、売却後のトラブルも防止できます。

賃貸借契約では入居者の権利が強く守られているので、迷惑な入居者を追い出すのは難しく、更なるトラブルに巻き込まれかねません。

そうしたリスクを売主が負うことで、相場以上で高く売ることが出来るようになります。

ポイント④内覧前には部屋・共用部分の掃除をしよう

いくらアクセスが悪く、築古のアパートだとしても、それが欲しいという買主がいれば取引は成立します。

内覧ではフローリングのキズや設備の調子もじっくり見ますが、エントランスに入った段階で「あ!このアパート良いな!」と直感で思わせることができれば、取引の成功率はかなり上がります。

内覧を成功させるには掃除をしっかりやって、第一印象をアップさせるのが重要です。

特に水回りは水垢が取れにくいので、重点的に掃除をしましょう。また、エアコンから出る嫌なにおいも住んでいると気づきにくくなるので、客観的に厳しくチェックしていきましょう。

その他にも内覧には抑えておきたいポイントが16こあります。こちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください!

ポイント⑤高く売れるタイミングの見極めも重要

アパートは売るタイミングが良ければ過去の類似物件取引事例の2倍以上で売れることも良くあります。

地価が上昇しており、住宅ローンの金利が低い場合は中古物件が売りやすいですが、2020年までは東京オリンピックで地価がバブル期以上に高騰していますし、マイナス金利政策でローン金利も10年前より2%前後低くなっています。

そう考えると、まさに今が売り時といって良いでしょう。

個別の状況からアパートの売り時を見極める場合は、以下の3つに当てはまるタイミングが売り時と言えます。

  • 設定した投資期限を満たしたタイミング
  • ポートフォリオ割合を見直すタイミング
  • まとまったお金が必要なタイミング

売り時の見極め方はこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてください!

ポイント⑥スルガ銀行不正融資問題で難化したアパートローン審査の対策をする

スルガ銀行のアパートローン不正融資が2018年に見つかり、大きな問題となっています。

「他社で落ちてもスルガなら通してくれる!」と評判だった審査の甘いスルガ銀行でしたが、不祥事を機に融資引き締めに動いています。

この動きが業界全体に広がってローン審査が厳しくなれば、金利は安いのに審査に落ちるのが怖いから購入をやめておこうと考える投資家が少なからず出てきます。

こうなると中古アパートは売れにくくなってしまうので、需要の高い今のうちに売ってしまうのがおすすめです。

アパートを売る際は柔軟な発想と広い視野を持とう

不要なアパートを売らずに賃貸に出している人も少なからずいます。

また、古くなったアパートの建物部分を立て壊し、更地にして売ったり、駐車場にしてお金をもらっている人もいます。

いらないアパートは売るものだと勝手に思っていたが、賃料相場を調べてみたら意外に高かったので売るのをやめたという人は多いです。

売るだけでなく、様々な可能性を考えていくことをおすすめします。

また、売り出せばすぐ売れるはずだったのに、半年経っても成約が取れず悩む人は多いです。この場合は今までやってきた売り方を疑い、変えていく必要があります。

アパートは事前に調べた相場通りに売れるとは限りませんし、思わぬチャンスを見逃してしまうこともあります。柔軟な発想と広い視野を持っていきましょう。

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