中古マンションの売却を考える際、その価格は市場の需給バランスや物件の状態などによって変動するため、正確な価格を知るためには不動産会社による見積もりが必要です。
見積もり額は、依頼する不動産会社によって異なります。
そのため、より適正な価格を把握するためには複数の業者から見積もりを取る必要があります。
また最も高い見積もり額を提示した業者に即座に契約するのではなく、その業者が提供するサービスの質や実績、販売戦略なども考慮に入れる必要があります。
見積もり額だけでなく、販売計画の具体性やアフターサポート、手数料の明確さなど、総合的な観点から業者を選ぶことが大切です。
この記事では、中古マンションの見積もりを依頼する際の注意点と、適切な不動産業者の選び方について詳しく解説します。
→マンション査定の方法とは?4種類の査定方法と計算方法・査定の流れ
- マンションの見積もりとは?
- マンションの見積もり額=約3か月で売れた時の予想額
- マンションの見積もりが売却前に必要な2つの理由
- マンション見積もりには2つの依頼方法がある!どちらを選ぶのがおすすめ?
- 不動産会社が無料でマンション見積もりを実施する理由
- マンション見積もりの注意点
- マンション見積もりの流れは大きく3ステップで分けるべし
- マンションの見積もりだけして売らないのもOK
- 見積もりに出す前にマンションの売却相場をチェック
- マンションの見積もり額を計算する方法は3種類
- マンションの見積もりを成功させる4つのポイント
- マンションの見積もりは必ず複数社に依頼しよう
- マンション見積もりにおすすめの不動産一括見積もりサイト5選
- マンションを見積もり額より高く売る方法
- 見積もり額の低いマンションをどうするかが重要
マンションの見積もりとは?
マンションの見積もりと一口に言っても、どの用途で見積もりを取るのかによって内容や金額は変わってきます。
マンション売却の場合、見積もりすべきケース・費用は以下の2つです。
- マンションの売却予想額(査定額)
- マンション売却で発生する費用の予想額
前者の査定額の見積もりとは、簡単に言えばマンションがいくらになるのかの値段を算出するということです。
一方、費用の見積もりに関しては、仲介手数料や登記費用、その他リフォーム費用などが該当します。
ただ、マンションを売却すると価格に応じて税金が発生します。
税金に関しては売却価格が決定した段階にならないと正確に分からないので、見積もりの段階では省かれるケースも多いです。
マンション見積もりはどこに依頼するの?
マンションの査定額は、不動産会社に依頼するのが一般的です。
仲介業をおこなっている不動産会社なら、ほぼ全社が無料で査定を請け負っています。
利用者は少ないですが、不動産鑑定士に有料の鑑定を依頼するケースもあります。
次に諸費用の見積もりですが、これは訪問査定の段階で不動産会社が提示してくれることが多いです。
机上査定の段階で諸費用の算出が出来ない理由は、多くの費用が売却価格に基づいて計算されるので、精度の高い査定額を算出できていない段階で費用を算出しても意味がないからです。
マンションの見積もり額=約3か月で売れた時の予想額
そもそも、マンションの見積もりとは何を指しているのでしょうか。
たまに見積もり額のことを不動産の価値と表現することがありますが、これは間違いです。
資産価値が高くても、住みにくいマンションだったら購入希望者からの人気は低くなってしまいます。
見積もり額というのは、それぞれの不動産会社が仲介をした結果、約3か月で成約した時の売却予想価格のことです。
かなり条件が付いた数字ですし、そもそも予想額なので外れる可能性は多々あります。
また、運・タイミング次第ではどんなに良いマンションでも売れ残る可能性があります。
売れ残りを解消するには価格を下げるしかなく、どんどん見積もり額よりも実際の売却額が低くなっていきます。
良く「不動産会社はプロだから言ってることにウソはない!」というくらいの勢いの人がいますが、見積もり額はあくまで私見なので、信用しすぎないようにしましょう。
マンションの見積もりが売却前に必要な2つの理由
そもそも、なぜマンションを売る時に見積もりへ出す必要があるのでしょうか?
中には「買った当時の価格は覚えているから、そこから減価償却すればいくらか分かるのでは?」と思う人もいます。
しかし、利益にこだわりがなく、とにかく早く処分したい方も見積もりを依頼する必要があります。
ここからは、なぜマンション見積もりが必要なのか解説していきます。
理由①ローン残高が完済できそうかチェックする
まず、見積もり額をローン残高と比較する必要があります。
ほとんどの分譲マンションは、住宅ローンが残った状態で売りに出されます。
住宅ローンは30年などの長いスパンで組むのが一般的ですが、中古マンションが売りに出されるのは築10~20年が最も多いため、どうしても残債が余ってしまうのです。
残債付きのマンションを売りに出すのは問題ないですが、引き渡し時には、売った利益を使って完済をする必要があります。
住宅ローンは物件を担保にして借りるので、引き渡し時にローンを完済して担保(抵当権)を外さないといけないのです。
見積もり額>ローン残高だったら問題なく売りに出せますが、見積もり額≦ローン残高の場合は売却を取りやめるか、足りない分を自己資金で補わないといけません。
理由②売り出し価格の参考にする
中古マンションは、売主の思う通りの価格で買ってもらうわけにはいきません。
当然ですが、こちらも価格を付けなければ、売りに出すことはできないのです。
ただ、マンションには適正価格があるので、似たような物件が2000万円で売られているのに、自分は3000万円で売り出すこともできます。
ただ、ここまで平均から離れてしまうと、買う方も割高に感じ、避けるようになります。
これを避けるには、見積もり通りの価格か、最大1割前後で売り出すのが理想的です。
マンション見積もりには2つの依頼方法がある!どちらを選ぶのがおすすめ?
マンションの見積もりには、机上(簡易)査定と訪問査定という2種類の方法があります。
- 机上査定:周辺地域の相場や類似物件の売却額を元にした簡単な査定
- 訪問査定:業者が部屋の状態、道路や境界の位置関係などを詳細に確認することで得られる制度の高い査定
ネットなどで簡単に申し込む見積もりが机上(簡易)査定です。こちらは申込フォームに記入した情報を元に、市場の状態や地価、各社のデータベースなどを参考に価格をつける方法です。
一方、訪問査定は机上査定の方法に加え、担当者が実際に物件を訪問し、ネットでは分からない壁やフローリングのキズ・凹みなどをチェックします。
ネットの見積もり依頼サイトでは、この2つの査定方法を選べるところが多いです。
マンションを売る際は訪問査定が必要
良く机上査定と訪問査定のどちらを選べばいいかという質問が来ますが、最初にどちらを選んだにせよ、マンションを売る際は訪問査定をする必要があります。
つまり、マンションを売るならこの2つのフローのどちらかを選ぶしかないのです。
- 机上査定→訪問査定→契約
- 訪問査定→契約
当サイトとしては、最初に机上査定を複数社に出して絞り込み、2~3社に訪問査定を依頼して1社に決める方法をおすすめしています。
不動産会社が無料でマンション見積もりを実施する理由
マンション売却前の見積もりは、本来なら不動産鑑定士という国家資格を有する専門家にお金を払って依頼するものでした。
しかし、今は不動産会社が無料で見積もりをしてくれます。
ただ、これは100%サービスでやっているわけではなく、その先の契約を見込んでのことなのです。
無料見積もりで気を惹かせて契約を取る
実は、不動産会社の見積もり額はあくまで各社の「私見」扱いなので、大きく外しても罰則などはありません。
そのため、良心のない業者はあえて見積もり額を高く出して、契約を取ろうとするのです。
実際に相場の2割前後まで見積もり額をつり上げ、契約を取っている不動産会社は珍しくないと言われています。
こうした会社と契約しないためにも、最初に相場のイメージを大まかに掴んでおくことが大切です。
マンション見積もりの注意点
マンション見積もりは常に数字が正確であるという保証もなく、参考にする場合は注意が必要です。
ここからは、特に注意したい4つのポイントを紹介していきます。
注意点➀マンション見積もり価格が適正価格より高いことがある
マンションの見積もり価格はあくまで依頼した不動産会社の私見なので、実績の低い業者なら適正価格・実際の価格との乖離は生まれやすくなります。
見積もり価格が高い業者=高く売ってくれる業者と見ることもできますが、単に正確な見積もりができてないだけの場合や、敢えて査定額を吊り上げて契約を取ろうとしている場合も考えられるので注意が必要です。
注意点②マンション見積もり価格が適正価格より低いことがある
上記の場合は、単に不動産会社の営業力が高い(本当に高く売ってくれる)という可能性もありますが、見積もり額が実際の価格より低い場合はデメリットしかないので注意しましょう。
マンションの売り出し価格は各社の査定額に基づいて設定されますが、売り出し価格よりも実際の売却価格が高くなるケースはほぼ0といっても良いでしょう。
査定額を比較せず、最寄りの不動産会社に査定を依頼する場合などに、こうした状況に陥ってしまいがちです。
注意点③諸費用の見積もり価格にズレがある
前述の通り、費用の見積もり価格はマンション売却の見積もり価格をもとに算出されます。
つまり、売却見積もりの認識ズレがあった場合、費用見積もりの金額も大きくズレる可能性があるので注意しましょう。
注意点④仲介手数料の見積もり価格は法定上限額である
仲介手数料の見積もり価格は売却見積もりに比例して、以下のように計算されます。
取引額 | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | 売却額×5% |
200万円超400万円以下 | 売却額×4%+2万円 |
400万円超 | 売却額×3%+6万円 |
ただ、この金額は仲介手数料の法定上限額。つまり、不動産会社が請求できる最大の手数料額となるので、実際はこれより少ない金額で足りる可能性もあります。
ただ、商習慣上、不動産会社は法定上限額の仲介手数料を求めてくるケースが圧倒的に多いです。
値引き交渉をして仲介手数料を下げられるケースもありますが、こうしたケースは基本的に稀と考えて良いです。
注意点⑤マンションの見積もり前にリフォームしない
マンションを売却する前にリフォームを行うことは、一見すると価格を引き上げるための有効な手段のように思えます。
しかし、そのリフォーム費用が売却価格の上昇分を上回ることが多く、結果的に損をすることがあります。
また購入者の好みに合わないリフォームを行ってしまうと、かえって売却を困難にする可能性もあります。
大規模なリフォームを行う前には、専門家の意見を聞いたり、市場の動向をよく調べたりすることが重要です。
基本的には、小規模な修繕や清掃など、物件をきれいに見せる程度の準備が適切と言えるでしょう。
注意点⑥マンションの見積もり後に必ず売却する必要はない
マンションの見積もりを依頼したからといって、その後必ず売却しなければならないわけではありません。
見積もりはあくまで参考情報であり、売却を決定する一助となるものです。
見積もり価格が期待したものと違った場合、売却を見送ることも可能です。
また、複数の不動産会社から見積もりを取ることで、比較検討することができ、最適な売却方針を決めるための有用な情報を得ることができます。
また市場の動向や自身の生活計画などを考慮に入れながら、売却の最適なタイミングを見極めることが重要です。
注意点⑦売却時期の影響を考慮する
マンションの価格は、一年を通じて見ると季節や市場の動向によって変動する可能性があります。
一般的に不動産市場が活発とされるのは春(2月〜4月)と秋(9月〜11月)です。
これは新学期や新生活の開始に合わせた引越し需要が高まるためで、その結果、物件の価格が上昇しやすくなります。
一方、夏(特にお盆)や冬(特に年末年始)は、一般的に不動産市場が落ち着き、売却物件の需要が減少する傾向にあります。
この時期に市場に出された物件は、比較的長い期間売れ残る可能性があり、売却価格が期待したものよりも低くなることもあります。
さらに不動産価格はマクロ経済の状況や住宅政策、利子率の変動など、多くの要素に影響を受けます。
したがって、売却を検討している場合には、これらの要素を含めて市場状況を把握し、適切な売却タイミングを見極めることが重要です。
また時期による価格変動を考慮する一方で、自身の生活状況や物件の状態など、自分自身にとって最適なタイミングで売却を進めることが最も重要であることを忘れないようにしましょう。
マンション見積もりの流れは大きく3ステップで分けるべし
マンション見積もりの流れは、大きく分けてこちらの3ステップで考えておくのがおすすめです。
- マンションの売却相場を調べる
- マンションの見積もり価格を比較する
- 見積もり価格以外の要素も鑑みて契約する業者を決定する
それぞれ見ていきましょう。
➀マンションの売却相場を調べる
不動産会社にマンション見積もりを依頼する前に、自分である程度価格のイメージを付けることをおすすめします。
不動産会社の見積もりは必ずしも正確とは限らないので、ある程度の金額のイメージは知っておかなければ足元を見られてしまうためです。
相場を調べられるサイト・データベースには以下のようなものがあります。
- レインズ
- 土地総合システム
- ポータルサイト
- 標準地・基準値検索システム
- 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
- 全国地価マップ
詳しい相場の調べ方を知りたい方はこちらを参考にしてください!
→不動産の売却相場はいくら?価格の調べ方や相場の推移・変動要因について解説【2024年最新】
②マンションの見積もり価格を比較する
相場のイメージを掴んだら、不動産一括査定サイトを利用するなどして複数社に見積もりを依頼し、金額を比較していきます。
見積もり価格を比較することで、売却にあたってどれくらいの金額で売れるのかを知ることができます。
見積もり価格の高い不動産会社ほど高く売ってくれる傾向にありますが、相場より2割以上高いような場合は詐欺にあうリスクも高いので注意が必要です。
あくまで常識の範囲内で高額売却が見込める値に設定することをおすすめします。
③見積もり価格以外の要素も鑑みて契約する業者を決定する
マンション売却を依頼する会社は、見積もり価格だけで決定するのも大きなリスクがあります。
例えば、実績のない会社Aが実績豊富な会社Bより大きく見積もり価格が高い場合、A社の見積もり価格は信ぴょう性に乏しいと考えることができます。
過去の実績や検査・保障サービス、その他様々なサポートも鑑みて契約先を決定しましょう。
マンションの見積もりだけして売らないのもOK
マンションの見積もりをしたいけど、売るかどうかは価格を見て判断したい人も多いでしょう。
結論から言えば、マンションの見積もりだけ不動産会社にしてもらい、売らないのもOKです。
不動産会社に申し訳ない気もしますが、前述の通り、向こうも積極的に無料査定を実施している部分もあるので、売りたくないならキッパリ断りましょう。
たかが見積もりとは言え、依頼された会社からすれば、日本に数万社ある不動産会社から自分たちを見つけてくれたので、自社に少なからず興味があると認識します。
そのため、見積もりを依頼しただけなのに売却を強くすすめてくる業者も多いです。
勧誘を防ぎたい方は、最初から「見積もりだけです」と強く言っておくことをおすすめします。
見積もりに出す前にマンションの売却相場をチェック
マンション見積もりは契約の前段階という意味もありますし、高くつり上げられる可能性もあります。
出来れば事前に価格相場のイメージをある程度つかんでおき、売る・売らないの最初の判断をつけておきましょう。
売却相場は、以下のようなサイトを使って調べることができます。
- SUUMO・ライフルホームズなどのポータルサイトの売り出し物件情報
- レインズ・マンションマーケットなどの専門サイト
- 国土交通省運営の「土地総合情報システム」など
※相場の詳しい調べ方はこちらにまとめています。
→不動産の売却相場はいくら?価格の調べ方や相場の推移・変動要因について解説【2024年最新】
必ず確認してほしいのが成約価格の相場
自宅に届く中古マンションの売り込みチラシやネットの売り出し情報が参考にするには手っ取り早いですが、注意が必要なのはあくまで売り出し中の価格ということです。
前述のように、騙されて査定額をつり上げられているだけで最終的に売れ残って最終的に値下げをするかも知れません。
また、順調に売り出し価格のまま売れたとしても、売買契約の段階で買主から値下げを要求されることだってあります。
マンション売買は高額を出す買主がどうしても優位なので、彼らに逆らえず1割前後も下げてしまうケースは少なくありません。
売り出し情報も参考にはなりますが、必ず「土地総合情報システム」などに載っている成約価格(最終的な売買価格)もチェックしましょう。
相場を知れば見積もり期間を早く完了できる
中には、マンション見積もりをたくさんの不動産屋に依頼したのに、「もっと高値を付けてくれるところがあるのでは…」と不安になって、見積もりをやめられない人もいます。
一方、相場をしっかり調べておけば、見積もり額は高くても相場の約1割増なので、見積もりをある程度の数依頼すれば、どこと契約すれば良いかがすぐにわかります。
見積もり調査だけで半年かかったという人もいます。売却時期を引き延ばすほど市場では不利になりますし、維持費もかさんでいくので注意しましょう。
マンションの見積もり額を計算する方法は3種類
マンションの見積もり額は、3つの方法で計算されます。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
マンションの利用状況、環境によって使う計算が異なるので注意しましょう。
マンション見積もり①取引事例比較法
取引事例比較法は、主に住まいとして使われるマンションの見積もりに利用されます。
住まいの価値である住みやすさや眺めの良さ、閑静かどうかなどは数値化しにくいので、過去の取引事例のデータを集積して見積もるのが最も効果的です。
この方法では、類似の物件の取引事例を集め、面積や築年数の違いを修正して価格を算出します。
その後、時の経過による相場の変化により、見積もり額を修正します。(流動性比率)
マンションは戸建て住宅と違ってデザインや間取りの個別性が低いので、この方法で見積もりがしやすいです。
マンション見積もり②原価法
原価法は、今同じ物件をそっくりそのまま建てるといくらかかるかを算出し、それを逆算して見積もり額を算定する方法です。
これは築古の戸建て住宅に対して使われることが多く、マンションの見積もりにはあまり使われません。
原価法の計算は、立て直した価格(再調達価格)を耐用年数を使って減価償却して求めます。
見積もり価格=再調達価格×延床面積×(耐用年数の残り÷構造ごとの法定耐用年数)
耐用年数はマンションの構造により、法律でキッチリ決まっています。詳しくはこちらをご覧ください。
マンション見積もり③収益還元法
投資目的で利用していたマンションは、収益性の評価によって見積もりを決めます。
このタイプのマンションに使われるのが収益還元法です。
これは、今後の予測収益を計算し、それを割り戻して価格を見積もる方法です。
収益還元法には、1年間の家賃収入を予想して算出する直接還元法と、収益が上げられる限界まで経営をし、その後に売却した利益を含めて割り戻すDCF法の2種類があります。
- 直接還元法=年間家賃収入÷還元利回り×100
- DCF法=(X年後の合計収益※家賃収入+売却益)÷(1+年間割引率のX乗)
マンションの見積もりを成功させる4つのポイント
ここまで紹介してきたように、マンションの見積もりには注意すべき点もあります。
ただ、いくら注意しようと思ってもあっちはプロでこっちは素人。上手く言いくるめられてしまいます。
では、正確な見積もりをしっかり出してもらい、売却を成功するにはどうすれば良いのでしょうか?
今回は特に抑えておきたい4つのポイントを紹介していきます。
①投資用マンションの見積もりは東京の不動産屋へ依頼
マンションの中でも投資用の収益物件は、ターゲットが都市部の富裕層に偏っています。
直接住むわけではないので、他県に売り出しても成約する可能性は十分あるのです。
不動産投資に取り組む人が最も多いのは東京都心です。そのため、投資物件の仲介業者も東京に店舗が固まっています。
地方の投資用マンションの見積もりにも対応していることが多いので、他県でも見積もりを依頼してみましょう。
②金額の根拠を各社からヒアリングする
査定結果が届いた時、数字だけを鵜呑みにしてはいけません。
なぜこの金額になったのか、しっかり質問することが大切です。
この時、複数社に見積もりを依頼していると「他社は〇〇万円だったのですが、金額に差があるのはなぜですか?」といった相見積もりがやりやすくなります。
見積もりの根拠は特に企業秘密でもないので、聞かれたら正確に答える必要があります。
ここで回答が曖昧だったり、言い分が納得できなかったりしたら、契約を結ぶのはやめておきましょう。
③販売プラン・保証サービスもしっかり比較
見積もり後の話し合いでは、どうやって売っていくのか、どんな保証がついてくるのかといったことも相談します。
例えば、フローリングの傷は容認できる程度なのか、それとも売却前に修理するべきなのかという判断は、会社によっても異なります。
また、買取保証サービスなどを付けて売るのかというのも業者の判断に違いがありますし、そもそも保証が充実していない業者も多々あります。
見積もり額通りに売れるわけでは必ずしもないですし、全く検査や保証をせず売って、相手に賠償請求されたら意味がありません。
こうした細かいところもしっかり比較していきましょう。
④最終的な売り出し価格をしっかり考えておく
マンションは契約した業者の見積もり額通りに売らなければいけないわけではありません。
最終的な売り出し価格は、見積もり額を踏まえて売主の希望で少し高めに設定することができます。
例えば見積もり額が3000万円だったとしても、ローン残高が2000万円、費用・税金が200万円かかると見込んで、後200万円高く売るといった戦略が立てられます。
逆に早く売りたいけど損もしたくないという方は、周りのマンション価格より100万円低く売るといったこともできます。
最終的な判断はあなたに委ねられるので、いくらで売るかしっかり考えておきましょう。
マンションの見積もりは必ず複数社に依頼しよう
マンションの見積もりは、必ず複数社へ依頼することが大切です。
計算の仕方・実績・その地域の知見などで価格は前後するので、1社のみに見積もりを依頼し、そのまま契約を結ぶのは危険です。
最低でも3社、平均で6社前後には査定を依頼しておきましょう。
見積もり額に300万円以上の差がつくことも!
マンション(分譲)の価格が平均2000~3000万円とすると、6社に依頼すれば100~300万円くらい見積もり額に差があります。
もちろん、前述の通り高ければ良いというわけでもないですが、複数社を比較しないと単純に300万円も損してしまうということです。
マンション全体の価格からすれば300万円というのは1割程度ですが、100万円以上の臨時所得がもらえるなんて、普通の人の人生で1度あるかないかです。
複数社への見積もり依頼は正直面倒ですが、将来の投資と考えて力を入れていきましょう。
一括査定サイトを活用しよう
複数社に見積もり依頼する時、1社ごとに電話をかけるのは面倒ですよね?
そこでおすすめのサービスが、一括査定サイトです。
一括査定サイトは簡単な物件情報を入力するだけで、平均6社以上に一括で査定依頼が出来る優れもの。結果はメールか書類で郵送されるので、店舗を回る手間が省けます。
利用料は登録会社の広告費でまかなわれているので完全無料。売却を検討段階の人も気軽に利用できます。
一括査定サイトの詳しい情報はこちらにまとめてあるので、ぜひ参考にしてください!
→【2024年8月】不動産一括査定サイトおすすめ比較ランキング!不動産売却におすすめの人気16社を厳選紹介
マンション見積もりにおすすめの不動産一括見積もりサイト5選
ここからは、マンション見積もりにおすすめの査定サイトを5つ紹介していきます!
サイトの内容・特徴が少しずつ違うので、比較した上で自分にあったサイトを利用することをおすすめします。
- マンションマーケット
- マンションレビュー
- マンションデータPlus
- HOME4U
- ライフルホームズ
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電話番号 | 0120-205-666 |
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通話料 | 完全無料 |
受付時間 | 10:00~19:00 |
分からないことがあれば、そのままにせず積極的に相談していきましょう!
運営会社 | 株式会社マンションマーケット |
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設立 | 2014年5月 |
本社所在地 | 東京都中央区銀座7-13-12 サクセス銀座7ビル9階 |
マンションレビューは価格の推移が丸わかり!賃料見積もりもできる
マンションレビューは、以下のようなコンテンツを使うことができる、マンションの総合サイトです。
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マンションについて知れるだけでなく、直接自分と関係のないコンテンツも楽しみながら利用することができます。
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マンションを見積もりに出す人の中には、売ってしまうか賃貸に出すか悩む方も多いと思います。
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運営会社 | 株式会社グルーヴ・アール |
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設立 | 2009年9月10日 |
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門3丁目4番7号 虎ノ門36森ビル 10階 |
マンションデータPlusは野村不動産グループが提供するマンションデータベース!
マンションデータPlusは野村不動産のWebサービス「ノムコム」が提供する新サービスです。
首都圏・関西・東海を中心にマンション情報を詳しく紹介しており、建物名を入力するだけで簡単に相場を調べることができます。
査定サービスを使えば、そのまま野村不動産アーバンネットに見積もり依頼ができるので、より踏み込んだ価格が知りたい方はおすすめです。
運営会社 | 野村不動産アーバンネット株式会社 |
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設立 | 2000年11月6日 |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 新宿野村ビル |
HOME4Uは優良1000社に依頼できる!プライバシー保護を徹底
HOME4UはNTTグループが運営する大規模査定サイトで、優良業者が約1000社登録されています。
大手から中小まで、様々な優良業者の見積もり額を比較したい方におすすめのサイトです。
また、HOME4Uはプライバシーマーク認定を受けており、個人情報の流出を厳しく制限しています。
安心してサービスを受けたい方にもHOME4Uはおすすめです!
→HOME4Uの本当の評価とは?口コミ・評判とメリット・デメリットを徹底解説
運営会社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング |
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設立 | 1997年8月 |
本社所在地 | 東京都江東区豊洲3-3-9 豊洲センタービルアネックス4F |
ライフルホームズは最大級の不動産サイト!匿名でマンション見積もりができる
ライフルホームズは、SUUMOやアットホームに並ぶ最大級の不動産サイトです。
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運営会社 | 株式会社LIFULL |
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設立 | 1997年3月12日 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町1-4-4 |
マンションを見積もり額より高く売る方法
マンションの見積もり額が低くても、そこまでがっかりする必要はありません。
売主の努力次第で、見積もりよりも高く売ることは十分できるのです。
ここからは、マンションを見積もりより高く売るにはどうすれば良いのか、詳しく説明していきます。
高く売る意思・プランを業者と共有する
一度低い見積もり通りに売り出したら、「この物件とても気に入ったので、もっと高く買いたいです!」と言われることはないでしょう。
見積もりが気に入らなければ、売りに出す前に「どうすればより高く売れるか」を業者と話し合い、双方納得の上で見積もり額より高値をつけて売り出さなければいけません。
高く売りたいという気持ちをどれだけ共有できるかがカギになります。
自分が納得できるまで質問する
不動産会社の担当者と話していると、専門用語を多用するケースや「業界で決まってるんで…」のように論理的に説明してくれないケースがあります。
ただ、これでは高く売る共通認識を持てません。何より、ちゃんと分かりやすく説明してくれない人に自分のマンションを任せるのはリスクが高すぎます。
デキる営業マンなら、専門用語を使わずに素人にも分かりやすく、なぜこの見積もり額なのか、高く売るにはどうすれば良いのかを説明してくれます。
見積もりよりも高く売るには、提示された売却プランに納得できるかどうかが重要です。そのためには、分からないことは遠慮せず相談をしましょう。
相手は不動産のプロだからと、言われたことを鵜呑みにせず、対等の意識を持ちましょう。
部屋の広告写真に力を入れる
買主にとって、そのマンションの印象を最初に決定付けるのは広告に掲載されている写真です。
この写真の出来が良ければ、内覧の申し込み数はある程度確保できます。
広告写真の印象を良くするには、晴れた日に自然光が差し込むタイミングで写真を撮るのがおすすめです。
また、写真とはいえ撮影前には換気をしましょう。空気が澄み切ってると写真がキレイに撮れますよ。
注意してほしいのは、不動産会社は写真のプロではないので出来栄えはピンキリになってしまうということです。
SUUMOやライフルホームズなどのポータルサイトに掲載されている写真を見ると、物件の印象が全然違うのが分かります。
物件の写真を撮影するのは営業マンですが、彼らもカメラのプロではないので、どうしてもクオリティに偏りが生まれてしまいます。
先に他の物件の広告を見て、写真の出来を業者選びの1要素にするのも一つの手です。
部屋の掃除・整理整頓を徹底する
査定額より高く売り出したのは良いものの、鋭い買い手なら「このマンションでこの金額は明らかに損だな…」と気づきます。
このギャップを埋めるには、掃除・整理整頓を徹底的におこなって、第一印象をアップさせることが重要です。
不動産に詳しい買い手でも、プロに匹敵するほどの調査力・分析力は持っていません。
掃除を徹底的にやれば、言い方は悪いですがコロっと騙されて高く買ってくれる可能性は十分あります。
日頃の掃除は不動産会社に任せることはできないので、売主自身が積極的に動きましょう。
水回りを重点的に掃除しよう
中古マンションの内覧準備では、お風呂や洗面台、台所などの水回りを重点的に掃除しましょう。
水回りは水垢などの汚れが付きやすく、汚れていると中古感を醸し出します。
マンションを隅から隅まで掃除するのは時間と労力がかかりすぎるので、まずは水回りを重点的に掃除してキレイにしましょう。
自分にしか分からない魅力・アピールポイントを共有する
マンションの内覧には売主が同席しなくても担当者が対応してくれます。
担当者はプロの視点から物件の魅力を共有してくれますが、住みやすさや眺めの良さ・騒音の有無など、買い手が本当に求めている情報は長年住んでいる人にしか分かりません。
内覧に同席する必要はないですが、住んだ中で得た生の情報を事前に担当者へ共有しておきましょう。
スケジュール設定と根気も見積もり以上で売るために必要
見積もり以上の価格で売り出すと、周辺の競合物件と比べて割高な印象を買い手に与えます。
そのため、適正価格や見積もり以下で売るよりも成約までに時間がかかってしまいがちです。
売り出し価格のまま、値下げをせずに成約を取るには、半年から1年ほどの長いスパンの計画と、売れ残ってもあきらめない根気が必要になってきます。
媒介契約の仕方を工夫する
マンションの見積もり額に納得がいったら、不動産会社と契約を結びます。
これを媒介契約と言いますが、主に3種類の方法があり、それぞれ少しずつ内容が異なります。
契約の種類 | 契約の有効期間 | 売り手自身が買い手を見つけること | 依頼可能な業者数 | 仲介業者からの報告※ |
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専属専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
専任媒介契約 | 3ヶ月以内 | できない | 1社のみ | 1週間に1回、メールか文書で連絡 |
一般媒介契約 | 3ヶ月以内 | 可能 | 複数社と契約可能(契約数の上限なし) | なし |
通常は、専任媒介契約を結ぶようになります。
一般媒介契約は複数社と契約を結び、成約が取れた1社に仲介手数料を支払う仕組みなので、業者からすると営業コストをかけるのは大きなリスクです。
そのため、営業マンのモチベーションも低くなり、上手く売れないのです。
ただ、専任媒介で失敗した後、一般媒介に変えたら業者同士が競いあって高く売れたという口コミもあります。
最初に一般媒介で各社の様子を見て、気に入った業者と専任媒介契約を結ぶのも一つの手です。
囲い込みを避けて片手仲介の不動産会社と契約する
特に大手仲介業者と契約する際に警戒したいのが囲い込みです。
囲い込みとは、自社で契約している売主と買主をマッチング(両手仲介)させて仲介手数料を両取りするために、他社への情報を制限する方法です。
不動産会社は仲介物件の情報をすべてレインズに登録しなければいけません。これによって、全国の不動産会社が物件を紹介できるようになります。
レインズに登録されないと成約までにかかる期間がグッと下がり、価格も下がり目になってしまいます。
レインズは不動産会社しか見れないので、囲い込みされているのを感じたら他社に相談し、チェックしてもらいましょう。
また、現在はソニー不動産のように、両手仲介を禁止している不動産会社もあるので、不安な方はこうしたところと契約するのがおすすめです。
→SRE不動産(旧ソニー不動産)の評判・口コミは?不動産売却・査定のメリット・デメリットや仲介手数料について解説
仲介手数料を交渉して安くしてもらう
マンション売却には税金・費用がかかり、手取り額がどうしても下がってしまいます。
特に高額なのが仲介手数料で、100万円を超えることもしばしばあります。
仲介手数料は法定の上限額を支払うのが慣例ですが、その金額を必ずしも払わなければいけない根拠はありません。
チャレンジしたい方は、仲介手数料の値引き交渉をしてみましょう。
→不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法を解説
ただ、交渉の成功率は決して高くなく、関係を悪くするかも知れません。
そういう方には、以下のように最初から値引き特典を用意している業者をおすすめします。
ページリンク | 割引特典の内容 |
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三井のリハウス |
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住友不動産販売 | 再度のお取引特典:2度目の成約でギフト券10万円分プレゼント |
東急リバブル |
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京王不動産 | リピーター制度:再度の利用で仲介手数料1割引き |
キャンペーン・特典を利用する
同じように、費用を値下げするだけでなく、不動産会社や査定サイトが実施しているキャンペーンを利用して特典をもらうという方法もあります。
大手の不動産会社も、定期的に以下のようなキャンペーンを実施しています。
- 三菱UFJ不動産販売「売却サポートキャンペーン」
- 三井住友トラスト不動産「売却サポートキャンペーン」
- 阪急阪神不動産「新会社設立記念 売却応援キャンペーン」
- 京急不動産「売却相談・無料査定キャンペーン」
- 住友林業ホームサービス「商品券プレゼントキャンペーン」
- 東急リバブル「不動産売却キャンペーン」
キャンペーンは随時更新されるので、定期的にチェックしましょう!
見積もり額の低いマンションをどうするかが重要
売りたいマンションを見積もりに出し、高値が付いたらスムーズに売り出せます。
問題は、見積もり額が思いのほか低かったときにどうするかです。
強気で売り出すか、それとも賃貸に出すかなど、選択肢は無限にあります。
特に最近は不動産投資ブームということもあり、勢いに乗って賃貸経営に手を出す人も多いです。
ただ、マンション経営は素人が手を出すには難しいですし、2020年の東京オリンピックが終わった後の市場の見通しは決して明るくないと言われています。
→不動産価格は今後どう推移する?市場・市況の動向・価格高騰がいつまで続くかの見通しを徹底解説【2024年最新】
結果的にマンションをどうするかは自分の意志ですが、ウソや適当な言葉に影響されず、慎重に行動することをおすすめします。