不動産売却をして損益が確定したら、損益通算をしっかりおこなわなければいけません。
サラリーマンの方には聞きなれない言葉だと思いますが、この損益通算をできるかどうかで、損するか得するかが大きく変わってきます。
ここからは、不動産売却で出てくる損益通算とは一体何なのか。詳しく解説していきます!
不動産売却の損益通算するパターン
不動産売却を損益通算することが出来るパターンについて紹介していきます。
今回紹介するパターン以外にも損益通算をすることが出来る場合もあります。
税理士やFPなどのお金に関する知識を有している人に相談、または税務署に確認して実施するかどうかを判断するようにしましょう。
- 複数の不動産の譲渡益を通算する
- マイホームを買い替える際の繰り延べ特例
- 特定居住用財産の場合
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①複数の不動産の譲渡益を通算する
不動産1つでなく複数の不動産を有しており売買を繰り返して行っている場合は、物件によって生み出される利益、物件によっては損失が生まれてしまいます。
例えば不動産を1棟売却して500万円の利益を生み出したが、別の1棟は売却をした事によって200万円の損失が出た場合、不動産売却によって生み出された利益は300万円になります。
このように複数の不動産の譲渡益を通算することで課税対象となる元金を下げることが出来ます。
今回は2棟の例で紹介しましたが、3棟4棟と複数の不動産を損益通算することが出来ます。
②マイホームを買い替える際の繰り延べ特例
マイホームを買い替える際に譲渡益を利用する場合、譲渡益を翌年以降に繰り延べることが出来ます。
厳密にいうと、繰り延べているため損益通算のように納める必要のある税額が減額するなどの効果はないですが、個人の会計の中で支出を抑える役割を担っています。
ただしのこの繰り延べを利用する際はいくつかの条件があります。
- 所有期間が5年以上
- 所得金額が3,000万円以内
- 敷地面積が500㎡以内
- 所得600万円
そのほかにも詳細な条件があるため、利用する際は必ずお金のプロに相談をしてから利用するようにしましょう。
③特定居住用財産の場合
特定居住用財産として利用している場合も損益通算を行うことで納める税金を減額することが出来ます。
ただし住宅ローン控除との併用をすることが出来ないため、利用する際はどの控除を利用することで費用を抑え自分の元に一番多くの資産が残るかどうかを比較検討する必要があります。
住宅ローン控除は課税対象となる所得があることが絶対的な条件であるため年によっては住宅ローン控除が適用されない可能性もあるので利用する際は注意が必要です。
損益通算を行い住宅ローンの控除をしっかりと受けると10年以上控除の適応を受ける事も可能です。
不動産売却の損益通算に必要な書類
不動産売却の損益通算を行う際に必要な書類は以下の通りです。
- 確定申告書
- 損益通算の計算書類
- 登記事項証明書
- 住宅ローン残高証明書
それぞれを詳しく見ていきましょう。
確定申告書
確定申告を行う際に必要な書類が確定申告書です。
その年の収入と納税金額についての詳細が記載されています。
損益通算を行う際は必ず必要な書類となります。
確定申告書が不要なケースはないので、まず初めに準備をして間違いないです。
損益通算の計算書類
確定申告書を作成するためにも必要ですが、損益通算の計画書も合わせて提出する必要があります。
損益通算の書類がどのような計算で求められているかを算出するためです。
売買下金額だけでなく、諸費用や税金なども鑑みて計算する必要があるので、個人で行うのは難しい場合もあります。
その場合は、お金のプロや税金のプロに相談して計算するようにしましょう。
登記事項証明書
不動産を誰が所有しているか、その不動産はどんな物件なのかを証明するのが登記事項証明書です。
不動産の査定や売却する際に必ず必要で原本でなくて謄本でも利用することが出来るので、売却する際に取得した物をコピーして自分の手元に置いておくようにしましょう。
ただし、登記事項証明書は発行から3ヶ月までが有効期限なので、前もって準備をしていても実際に利用する必要があるタイミングで利用不可能になってしまうこともあるので注意が必要です。
住宅ローン残高証明書
住宅ローンを利用してマンションや戸建ての家を購入している場合は、住宅ローン残高証明書を準備しておく必要があります。
この書類があることで、不動産の価値や住居としての家を購入した証明書になります。
損益通算を行うためには様々な条件があり、その条件を満たすことができないと損益通算を行うことが出来ないので注意しましょう。
現在は技術の発達によって紙ベースではなくデータベースで確認することも出来ますが、可能であれば紙ベースに印字して持っておきたいです。
不動産売却の損益通算を行う際の注意点
不動産売却の損益通算を行う際の注意点について紹介していきます。
- 損益通算は分離課税扱い
- 3,000万円控除と併用ができない
- 確定申告時に申請が必要
- 専門家に相談が必要
- 所有している期間によって税率が変わる
それぞれを詳しく見ていきましょう。
損益通算は分離課税扱い
損益通算は幅広く様々な事例で行うことが出来ます。
ただし、不動産売却によって生まれる譲渡所得は分離課税扱いされます。
そのため譲渡益だけに個別で税率がかかり、納税する金額も決まります。
特に不動産や土地は資産としての価値が高く売却した際の譲渡所得も大きくなりがちなため発生する税金も高額になりやすいので注意が必要です。
3,000万円控除と併用ができない
不動産売却によって得た譲渡所得税には3,000万円の特別控除をすることが出来ます。
ただし、複数の特例を同時に併用することが出来ないため、損益通算を行うよりも3,000万円の特別控除を利用した方が良い場合もあります。
どのような時にどちらを優先した方が良いかは、ケースによって異なるため一概に言うことが出来ないため、その場その場に合わせた対応を行う必要があります。
確定申告時に申請が必要
確定申告は年に1度行う期間があります。
確定申告を行うタイミングで損益通算の申告をする必要があります。
このタイミングを逃してしまうとその年は損益通算を行うことが出来なくなってしまいます。
確定申告の申込みが出来る期間であれば、一度申請した後に申告内容の修正を行うことができますが、期間を超過してしまうと対応が難しくなってしまいます。
専門家に依頼が必要
不動産売却の損益通算は、お金のプロまたは税金のプロである場合を除いて個人が対応することはとても難しいです。
専門家に依頼をすると費用が発生してしまいますが、損益通算を行うことで対策できる税金の額を考慮すると実施した方がプラスになる場合が多いです。
税金の申告は少なく申告すると、追徴課税を求められ悪質な場合は実刑を受ける事もあるので注意しましょう。
所有している期間によって税率が変わる
不動産売却の譲渡税にかかる税率は、その不動産を所有している期間が5年未満かどうかは大きな判断基準になります。
〇〇 | 5年未満 | 5年以上 |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 9% | 5% |
5年目を基準に税率が約半分になります。
このため短期の不動産売買で譲渡益を増やそうとすると発生する税金の額が高いため判断をする際に所有期間を確認した方が良いです。
不動産売却で損をしないためのコツ
不動産売却で損をしないために抑えておきたいポイントは次の3つです。
- 利用する不動産会社を精査する
- 不動産を売却するタイミングを見定める
- 信頼できる業者に売却する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
利用する不動産会社を精査する
不動産売却で損をしないために最も重要なのが利用する不動産会社の選定です。
利用する不動産会社選びが上手くいけば、あなたの不動産売却は成功したと言っても過言ではありません。
しかしどの不動産会社が良い不動産会社か一般の人は判断をすることが難しいです。
そんな時に活躍するのが、不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定サイトであれば、一度の査定依頼で複数の不動産会社から査定をしてもらうことが出来ます。
複数の不動産会社をまとめて比較することができるので、より良い不動産会社を簡単に見つけ出すことが出来ます。
不動産を売却するタイミングを見定める
不動産を売却するタイミングも非常に重要です。
不動産は値動きの大きい資産です。
インフレやデフレによって不動産の市況が変化すると価格も変動を起こします。
高額で売却をして利益を大きくするためには、不動産売却をするタイミングをしっかりと見計らうようにしましょう。
信頼できる担当者に売却する
不動産売却業者・不動産仲介業者どちらを利用して不動産を売却する時も、会社選びが重要ですが会社だけでなくどの担当者かという点も重要です。
良い会社を選んでも誠実に対応をしてくれない担当者にあたってしまっては、不動産の売却を成功させることは出来ません。
必ず、担当者が信頼できる人かどうかを判断してから依頼をするかどうか確認しましょう。
不動産売却の損益通算のポイントをおさらい
不動産売却の損益通算はどうやっておこなう?
不動産売却における損益通算は、主に以下の3つのパターンで行われます。
- 複数の不動産譲渡益通算:複数の不動産売却から得た利益とゆっくりをしばらくし、金銭対象となる総利益を減らすことができます。例えば、1つの物件で500万円の利益があり、別の物件で200万円のロスがある場合、合計利益は300万円となります。
- マイホーム買い替えの繰り延べ特例:マイホームを買い替える際、譲渡益の税金支払いをその後も繰り返し延長することが可能です。この特例は、すべての期間が5年以上で、結果が3,000万円以内、敷地地域が500㎡以内などの条件に関わらずご利用頂けます。
- 特定居住用財産の損益通算:居住用財産を売却する際、損益通算を行う税金を減額できます。ただし、特定住宅ローン権利との併用はできないため、どちらの権利を利用するか検討する必要があります。
これらの利益を得るためには、税務の専門家や税務署に相談し、適切な手続きを行うことが重要です。
不動産売却の損益通算を行う際はどこに注意すべき?
不動産売却の損益通算では以下の点に注意すべきです。
- 譲渡所得税は分離課税扱いとなる
- 損益通算と3,000万円特例控除は併用不可
- 損益通算を利用するためには、確定申告が必須
- 所有期間が5年以内か5年超かで損益通算の金額が変わる
不動産売却した際は必ず確定申告をして損益通算をしよう
不動産売却した際は利益がでた場合は必ず、利益が出ずに損失が出た場合も行うようにしましょう。
損失が出た場合も損益通算を行うことで納税額を少なくし、損失を最小化することが出来ます。
そもそも損失が出ないように不動産売却を成功させることが重要です。
不動産売却を成功させるためには、不動産一括査定を利用してどの業者に依頼をするようにしましょう。